JP2007023965A - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ロッドプレッシャ等を廃止して部品点数の低減を図りながらも、ノズルニードル5の当接面とバネ座部7の当接面91とが当接する当接部における当接面積を十分に確保してニードル閉弁時の衝撃による当接部の摩耗を低減することを課題とする。
【解決手段】 コマンドピストン6の軸方向部77のニードル側端部に、リターンバネ4のバネ荷重を受け止めるバネ座部7を一体的に形成している。これにより、ノズルニードル5のニードル頭部61の当接面とコマンドピストン6のバネ座部7の当接面91とが当接する当接部における当接面積が、従来の技術と比べて大きくなる。これによって、ノズルニードル閉弁時の衝撃による当接部の摩耗を低減できるので、リターンバネ4のバネ荷重の低下をもたらすことはなく、インジェクタ1の燃料噴射量の経時的な変化を抑制することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料を噴射供給する燃料噴射弁に関するもので、特にコモンレールの内部に蓄圧された高圧燃料を内燃機関の気筒に噴射供給する内燃機関用燃料噴射弁に係わる。
[従来の技術]
従来より、ディーゼルエンジン用の燃料噴射装置として知られるコモンレール式燃料噴射システムに採用される内燃機関用燃料噴射弁として、燃料噴射ノズルと電磁弁とを一体化した電磁式燃料噴射弁(インジェクタ)が公知である。なお、この種のインジェクタは、図9に示したように、ノズルニードル101を内蔵する円筒状のノズルボデー102と、ノズルニードル101と連動するコマンドピストン103を内蔵する円筒状のシリンダ104を有するインジェクタボデー105と、ノズルニードル101のフルリフト量を規定する規制面を有するチップパッキン106と、このチップパッキン106を介してノズルボデー102の密着面(シール面)とインジェクタボデー105の密着面(シール面)とを液密的に結合するリテーニングナット107とによって燃料噴射ノズルのハウジングが構成されている。なお、インジェクタボデー105の上端面には、電磁弁が締め付け固定されている。
また、ノズルボデー102の中心軸線上には、ノズルニードル101を軸線方向に往復移動可能に収容するノズル孔(軸方向孔)111が形成されている。また、インジェクタボデー105の中心軸線上には、コマンドピストン103を軸線方向に往復移動可能に収容するシリンダ孔(軸方向孔)112が形成されている。そして、ノズルニードル101の軸線方向の一端側には、ノズルボデー102の弁座部113に対して、着座、離座するシート部114が設けられている。また、コマンドピストン103の軸線方向の一端面は、ノズルニードル101の軸線方向の他端側に設けられたニードル頭部115の端面と当接するように配置されている。また、インジェクタボデー105のシリンダ孔112の内部には、コマンドピストン103の図示下方側(ニードル側)を取り囲むようにコイルスプリング108が収容されている。
このコイルスプリング108は、円環状のバネ座面116を有する円筒状のロッドプレッシャ109を介して、ノズルニードル101をノズルボデー102の噴射孔117を閉じる側(閉弁方向)に付勢している。そのロッドプレッシャ109は、コマンドピストン103の軸線方向の一端面とノズルニードル101のニードル頭部115の端面とが当接する当接部118の外周に隙間嵌めされて、コイルスプリング108の付勢力(スプリング力)をノズルニードル101の肩部119に伝えて、ノズルニードル101のシート部114をノズルボデー102の弁座部113に押し付けている。ここで、図9中の121〜123は、コモンレールから燃料溜まり室124に高圧燃料を導入するための高圧燃料通路であって、図9中の125は、内部に燃料と共にコイルスプリング108およびロッドプレッシャ109を収容するバネ収容室であって、インジェクタボデー105のシリンダ孔112の図示下方側(噴射孔側)に設けられている。
[従来の技術の不具合]
ところが、従来のインジェクタにおいては、図9に示したように、燃料の噴射終了時に、コマンドピストン103から閉弁方向の油圧力がノズルニードル101に加わると、コイルスプリング108の付勢力による助勢を受けてコマンドピストン103およびノズルニードル101が瞬時に閉弁方向に移動する。このため、ノズルニードル101の着座速度が速く、ノズルニードル101のシート部114が、ノズルボデー102の弁座部113に着座する時に衝撃が発生し、このような衝撃によりノズルボデー102およびノズルニードル101が弾性変形し、その反動でノズルニードル101がバウンスする。このようなノズルニードル101のバウンスが繰り返されると、ノズルニードル101のシート部114とノズルボデー102の弁座部113との当接部が摩耗する。そして、ノズルニードル101のシート部114とノズルボデー102の弁座部113との当接部に摩耗が発生すると、有効シート面積が変化することから、ノズルニードル101の開弁圧が変化したり、また、ノズルニードル101のシート部114とノズルボデー102の弁座部113との間のシール性が低下したりするので、インジェクタとしての燃料噴射性能に悪影響を及ぼすという問題があった。
また、従来のインジェクタにおいては、図9に示したように、ロッドプレッシャ109が当接部118の外周に隙間嵌めされているため、ロッドプレッシャ109とノズルニードル101の肩部119とが当接する当接部の当接面積を十分に確保することができない。これにより、上述したように、ノズルニードル101のシート部114が、ノズルボデー102の弁座部113に着座する時、つまりニードル閉弁時の衝撃によってロッドプレッシャ109が摩耗する。このロッドプレッシャ109の摩耗は、コイルスプリング108の付勢力の低下をもたらし、インジェクタとしての経時的な燃料噴射特性の変化を促進させるという問題があった。
ここで、ノズルニードル101の摺動部110は、ノズルボデー102のノズル孔111との間に所定のクリアランスを保ってノズルボデー102の内周に摺動自在に保持されている。しかし、このクリアランスが大きいと、燃料溜まり室124からクリアランスを経てバネ収容室側に溢流する燃料リーク量が増えてしまうので、今後、ノズルニードル101の摺動部110の外径が小さくなっていく傾向がある。この場合には、ロッドプレッシャ109とノズルニードル101の肩部119とが当接する当接部の当接面積が現状のものよりも更に小さくなり、ロッドプレッシャ109の摩耗量がより増加することが懸念される。
一方、ノズルニードルとコマンドピストンとの間にコマンドピストンよりも外径の小さいノズルプレッシャピンを介装させ、このノズルプレッシャピンの周囲にコイルスプリングを配設したインジェクタが公知である(例えば、特許文献1参照)。しかるに、このインジェクタの場合には、コマンドピストンの軸線方向の端面とノズルプレッシャピンの軸線方向の端面とが当接する当接部において摩耗が生じるため、摩耗箇所が増えてしまい、インジェクタとしての経時的な燃料噴射特性の変化を更に促進させるという問題があった。また、図9のインジェクタは、チップパッキン106およびロッドプレッシャ109が必要とされ、また、特許文献1に記載のインジェクタは、チップパッキンおよびノズルプレッシャピンが必要とされているので、部品点数が多く、組付工数の増加に伴い高コストとなるという問題もあった。
特開平10−141167号公報(第1−8頁、図1)
本発明の目的は、ニードルがノズルボデーの弁座部に着座する時、つまりニードル閉弁時の衝撃による当接部の摩耗を低減することのできる燃料噴射弁を提供することにある。また、部品点数の低減も同時に行うことのできる燃料噴射弁を提供することにある。
請求項1に記載の発明によれば、ノズルボデーの内部に移動自在に配設されたニードル、あるいはニードルと同一軸線上(同軸的)に配設されてニードルと連動して軸線方向に移動するピストンに、荷重付与手段の荷重を受け止める座部を一体的に形成したことにより、ニードルとピストンとが当接する当接部における当接面積を十分に確保することが可能となる。これによって、ニードルがノズルボデーの弁座部に着座する時、つまりニードル閉弁時の衝撃による当接部の摩耗を低減することができるので、噴孔部から噴射される燃料噴射量の経時的な変化を抑制することができる。そして、内部にニードルを往復移動可能に収容する軸方向孔(ノズル孔)が形成された筒状のノズルボデーの端面と、内部に流体と共に座部を軸線方向に往復移動可能に収容する軸方向孔(シリンダ孔)が形成された筒状のシリンダの端面とを、直接的に密着して結合することで燃料噴射弁のハウジングを構成することにより、チップパッキン、ロッドプレッシャ、ノズルプレッシャピン等を廃止できるので、部品点数の低減も同時に行うことができる。ここで、ピストンのニードル側端部の一端面とニードルのピストン側端部の他端面とを突き当てるようにして、シリンダの軸方向孔の内部に移動自在に配設しても良い。
また、燃料噴射弁のハウジングは、ニードルがノズルボデーの弁座部に着座した状態で、ノズルボデーの端面(上端面)とこの端面に対峙する座部の端面(下端面)との間に、流体を溜め込むような空間(軸線方向の隙間)を有する構造を採用したことにより、ニードル閉弁動作時に空間内に瞬間油圧力を発生させ、ニードルがノズルボデーの弁座部に着座する時に発生する衝撃を緩和している。したがって、ニードルとノズルボデーの弁座部とが当接する当接部の摩耗を低減することができるので、有効シート面積の変化を抑えることができる。これにより、ニードルの開弁圧が変化したり、また、ニードルとノズルボデーの弁座部との間のシール性が低下したりすることはない。よって、燃料噴射弁としての燃料噴射性能に悪影響を及ぼすことはない。
請求項2に記載の発明によれば、ピストンのニードル側端部に、ピストン径よりも外径の大きい大径部を設けている。そして、このピストンの大径部自体が座部を成し、また、ピストンの大径部のうちで座部の座面側に対して反対側がニードルと直接的に当接する当接面を成している。これにより、ニードルとピストンのニードル側端部に設けられた大径部(座部)とが当接する当接部における当接面積を大きく確保することが可能となる。これによって、ニードルがノズルボデーの弁座部に着座する時、つまりニードル閉弁時の衝撃による、座部の当接面またはニードルの当接面の摩耗を低減することができる。
また、ニードルとピストンとが直接的に当接することになるので、ロッドプレッシャやノズルプレッシャピン等の中間部品が不要となる。これによって、部品点数の低減も同時に行うことができるので、組付工数の減少およびコストの削減を行うことができる。ここで、ピストンの大径部は、ピストンの中間部分よりも外径の大きい大径部であっても、あるいはピストンのうちで最も外径の大きい最大径部であっても構わない。また、ピストンの大径部は、ピストンの中間部分よりも鍔状に外径が拡げられたフランジ部であっても構わない。また、ピストンの大径部の当接部に、ニードルのピストン側端部を嵌め込む嵌合凹部が設けられていても構わない。
請求項3に記載の発明によれば、ピストンの大径部を、シリンダの軸方向孔の内部で摺動自在に支持しても良い。この場合には、例えばシリンダの軸方向孔の内径を、ピストンの大径部の外径よりも僅かに大きくする。これにより、ニードルと当接する大径部がシリンダのシリンダ孔の内径に対して偏心することはなく、ピストンの大径部がニードルと同一軸線上に位置するようになるため、ニードルとピストンの大径部とが偏心した状態で当接するのを防げるので、ピストンの大径部の偏摩耗を抑制することができる。
請求項4に記載の発明によれば、ニードルのピストン側端部に、ニードル径よりも外径の大きい大径部を設けている。そして、このニードルの大径部自体が座部を成し、また、ニードルの大径部のうちで座部の座面と同じ側がピストンと直接的に当接する当接面を成している。これにより、ニードルのピストン側端部に設けられた大径部(座部)とピストンとが当接する当接部における当接面積を大きく確保することが可能となる。これによって、ニードルがノズルボデーの弁座部に着座する時、つまりニードル閉弁時の衝撃による、座部の当接面またはピストンの当接面の摩耗を低減することができる。
また、ニードルとピストンとが直接的に当接することになるので、ロッドプレッシャやノズルプレッシャピン等の中間部品が不要となる。これによって、部品点数の低減も同時に行うことができるので、組付工数の減少およびコストの削減を行うことができる。ここで、ニードルの大径部は、ニードルの中間部分よりも外径の大きい大径部であっても、あるいはニードルのうちで最も外径の大きい最大径部であっても構わない。また、ニードルの大径部は、ニードルの中間部分よりも鍔状に外径が拡げられたフランジ部であっても構わない。また、ニードルの大径部の当接部に、ピストンのニードル側端部を嵌め込む嵌合凹部が設けられていても構わない。
請求項5に記載の発明によれば、ニードルのピストン側端部に大径部を設けた場合、このニードルの大径部が、シリンダの軸方向孔の内部に嵌まるようにニードルを延長し、ニードルの大径部を、シリンダの軸方向孔の内部で摺動自在に支持しても良い。この場合には、例えばシリンダの軸方向孔の内径を、ニードルの大径部の外径よりも僅かに大きくする。これにより、ピストンと当接する大径部がシリンダの軸方向孔の内径に対して偏心することはなく、ニードルの大径部がピストンと同一軸線上に位置するようになるため、ニードルの大径部とピストンとが偏心した状態で当接するのを防げるので、ニードルの大径部の偏摩耗を抑制することができる。
請求項6に記載の発明によれば、シリンダの軸方向孔の内部に流体と共に収容される、荷重付与手段の荷重を受け止める座部によって、液密的に区画された第1空間と第2空間とを連通する連通路に設けられる絞り部は、シリンダの軸方向孔の中で最も大きい開口断面積よりも極めて小さい流路断面積を有している。このため、ニードルおよびピストンがノズルボデーおよびシリンダの軸線方向の一方側(噴孔部側)に移動して、ニードルがノズルボデーの弁座部に着座するニードル閉弁動作時に、シリンダの軸線上に設けられた軸方向孔の中で、座部よりも軸線方向の弁座部側に位置する第1空間の内容積が、座部の軸線方向の一方側(弁座部側)への移動に伴って縮小化され、座部よりも軸線方向の弁座部側に対して反対側に位置する第2空間の内容積が、座部の軸線方向の一方側(弁座部側)への移動に伴って拡大化される。
これにより、第1、第2空間の内容積の変化(縮小、拡大)に伴って第1空間内の流体は、連通路を通り抜けて第2空間側に押し出される。このとき、連通路に設けられた絞り部を流体が通過する際の流通抵抗により、座部の軸線方向の一方側(弁座部側)への移動速度が遅くなる。これにより、ニードルおよびピストンの軸線方向の一方側(噴孔部側)への移動速度が遅くなるので、ニードルがノズルボデーの弁座部に着座する際の、ニードルの着座速度が遅くなる。これによって、ニードルの着座速度を遅くするダンパ効果が発揮されるため、ニードルがノズルボデーの弁座部に着座する時に発生する衝撃を緩和できるので、ニードル閉弁時のニードルのバウンスを抑えることができる。したがって、ニードルとノズルボデーの弁座部とが当接する当接部の摩耗を低減することができるので、有効シート面積の変化を抑えることができる。これにより、ニードルの開弁圧が変化したり、また、ニードルとノズルボデーの弁座部との間のシール性が低下したりすることはない。よって、燃料噴射弁としての燃料噴射性能に悪影響を及ぼすことはない。
請求項7に記載の発明によれば、荷重付与手段として、ニードルに対して、ニードルをノズルボデーの弁座部に押し当てる方向にバネ荷重を与えるバネ、およびこのバネのバネ荷重を調整するバネ荷重調整部材を採用しても良い。そして、バネを、ピストンの周囲に配設されたコイルスプリングとしても良く、また、シリンダの軸方向孔(バネ収容室)の内部に収容されたコイルスプリングとしても良い。この場合には、シリンダの内周部がコイルスプリングのコイル外径側を保持する筒状のスプリングガイドを成し、ピストンの外周部がコイルスプリングのコイル内径側を保持する軸状のスプリングガイドを成す。なお、コイルスプリングのコイル外径側またはコイル内径側がスプリングガイドに摺接しても離れていても構わない。また、ピストンの大径部は、少なくともピストンのスプリングガイドよりも外径を大きくすることが望まれる。
本発明を実施するための最良の形態は、ニードルとこのニードルと当接する部材とが当接する当接部における当接面積を十分に確保することで、ニードル閉弁時の衝撃による当接部の摩耗を低減すると同時に、部品点数の低減も行うという目的を、ニードルまたはピストンに、荷重付与手段の荷重を受け止める座部を一体的に形成することで実現した。
[実施例1の構成]
図1ないし図4は本発明の実施例1を示したもので、図1はディーゼルエンジン用のインジェクタの主要構造を示した図で、図2はディーゼルエンジン用のインジェクタの全体構造を示した図である。
本実施例の内燃機関用燃料噴射装置は、例えば自動車等の車両に搭載される多気筒ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下エンジンと言う)の各気筒の燃焼室内に高圧燃料を噴射供給する蓄圧式燃料噴射装置(コモンレール式燃料噴射システム)であって、内部に燃料噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧するコモンレール(図示せず)と、電磁弁(図示せず)を経由して加圧室内に吸入した燃料を加圧して高圧化し、この高圧燃料をコモンレールに圧送供給するサプライポンプ(燃料供給ポンプ:図示せず)と、エンジンの各気筒毎に対応してシリンダヘッド等に搭載された複数のインジェクタ(ディーゼルエンジン用のインジェクタ、内燃機関用燃料噴射弁)1と、エンジンの各気筒の燃焼室内への燃料噴射圧力、燃料噴射量および燃料噴射時期等を電子制御するエンジン制御ユニット(以下ECUと呼ぶ)とを備えている。
本実施例のインジェクタ1は、コモンレールの内部に蓄圧された高圧燃料を、エンジンの各気筒の燃焼室内に霧状に噴射供給する直接噴射タイプの電磁式燃料噴射弁であって、内燃機関用燃料噴射ノズル(インジェクタ本体、以下燃料噴射ノズルと略す)2と電磁弁等のアクチュエータ(以下電磁弁と呼ぶ)3とを備え、図2および図3に示したように、燃料噴射ノズル2と電磁弁3との間にチップパッキン(オリフィスプレート)10を挟み込んだ状態で、リテーニングナット11を燃料噴射ノズル2の図示上端側に設けられた円筒部12の外周に締め付け固定することで、燃料噴射ノズル2と電磁弁3とが一体化されている。ここで、オリフィスプレート10には、図3に示したように、通過する燃料の流量を調節するための入口側、出口側オリフィス13、14が形成されている。なお、本実施例では、リテーニングナット11が、インジェクタ1のアッパーボデーを構成している。
本実施例の燃料噴射ノズル2は、エンジンの各気筒の燃焼室内に燃料噴射を行うノズル噴孔部を有するハウジングを備えている。この燃料噴射ノズル2のハウジングは、円筒状のインジェクタボデー(インジェクタ1のロアボデー:以下ロアボデーと呼ぶ)15と円筒状のノズルボデー16とを備え、リテーニングナット17をロアボデー15の図示下端側の外周に締め付け固定することで、ロアボデー15とノズルボデー16とが一体化されている。また、ノズルボデー16の中心軸線上には、ノズル噴孔部を開閉するノズルニードル5が配設されている。また、ロアボデー15の中心軸線上には、ノズルニードル5と同一軸線上に配設されたコマンドピストン6が配設されている。また、ロアボデー15の内部には、本発明の主要な構成要素の1つであるバネ荷重付与手段(後記する)が収容されている。
ロアボデー15は、金属材料によって形成されており、円筒形状のシリンダ19、このシリンダ19の図示上部から斜め右上側に突出した配管継ぎ手(燃料インレット)20、およびシリンダ19の図示上部から斜め左上側に突出した配管継ぎ手(燃料アウトレット)21等によって構成されている。ロアボデー15の内部、つまりシリンダ19の中心軸線上には、オリフィスプレート10の密着面に液密的に密着する密着面よりノズルボデー側へと真っ直ぐに延びるシリンダ孔(軸方向孔)22が設けられている。ロアボデー15のシリンダ孔22の図示上端側には、単純な丸穴形状の摺動孔(ピストンガイド部)23が形成されている。
また、ロアボデー15のシリンダ孔22の図示下端側には、単純な丸穴形状の中間部分よりも孔径が大きい単純な丸穴形状の軸方向孔(ピストンガイド部)が形成されている。このロアボデー15のシリンダ19の中心軸線上に設けられた軸方向孔は、後記するコマンドピストン6のバネ座部7の外径よりも僅かに内径が大きく、内部に燃料と共にコマンドピストン6のバネ座部7および本発明の主要な構成要素の1つであるバネ荷重付与手段を収容している。その軸方向孔の内部には、バネ座部7を間に挟んで、ダンパ室(空間、第1空間)24、および内部に燃料と共にバネ荷重付与手段を収容するバネ収容室(第2空間)25が形成されている。なお、ダンパ室24およびバネ収容室25の詳細は後述する。
そして、配管継ぎ手20は、コモンレールより分岐した燃料供給配管に接続する部分で、内部にインレットポート(流入ポート)26が形成されている。この流入ポート26の内部には、燃料中に混入した異物を捕捉するバーフィルタ27が挿入されている。また、配管継ぎ手21は、アウトレットパイプ28を介して、燃料系の低圧側である燃料タンクに余剰燃料を戻すためのリターン燃料配管に接続する部分で、内部にアウトレットポート(流出ポート)29が形成されている。アウトレットパイプ28の内部には、流出ポート29とリターン燃料配管の内部とを連通するリターン燃料通路30が形成されている。
そして、ロアボデー15の内部には、流入ポート26から真っ直ぐに延ばされた高圧燃料通路31が形成されている。また、ロアボデー15の内部には、高圧燃料通路31の燃料流方向の下流端からロアボデー15の密着面へと真っ直ぐに延びる高圧燃料通路32が形成されている。この高圧燃料通路32は、シリンダ19の中心軸線上から図示右寄りに外れた位置に設けられている。また、ロアボデー15の内部には、図2および図3に示したように、高圧燃料通路31の途中から分岐して、オリフィスプレート10の入口側オリフィス13へと斜め上に延びる高圧燃料通路33が形成されている。また、ロアボデー15の内部には、シリンダ19の中心軸線上から図示左寄りに外れた位置に燃料回収通路34が設けられている。この燃料回収通路34は、ロアボデー15のシリンダ19のダンパ室24やバネ収容室25等から余剰燃料が流れ込むように構成されている。燃料回収通路34内に流入した余剰燃料は、図2および図3に示したように、電磁弁側の低圧燃料通路35、ロアボデー15の低圧燃料通路36、流出ポート29、リターン燃料通路30およびリターン燃料配管を経て燃料タンクに戻される。
ノズルボデー16は、金属材料によって円筒形状に形成されている。そして、ノズルボデー16の中心軸線方向の先端側(図示下端側)には、図4に示したように、内部に円錐形状空間を形成する逆円錐形状のシート面(弁座部)37が設けられている。このシート面には、図4に示したように、燃料噴射を行うノズル噴孔部(複数の噴射孔)38が設けられている。つまり、ノズル噴孔部38は、ノズルボデー16の弁座部近傍に設けられている。そして、ノズルボデー16の内部、つまりノズルボデー16の中心軸線上には、ロアボデー15の密着面に液密的に密着する密着面よりノズル噴孔部側へと真っ直ぐに延びるノズル孔(軸方向孔)39が設けられている。ノズルボデー16のノズル孔39の図示上端側には、ノズルニードル5の摺動部が摺動する摺動孔(ニードルガイド部)40が形成されている。
また、ノズルボデー16のノズル孔39の中間部分には、図2および図4に示したように、ノズル孔39および摺動孔40よりも孔径が拡げられた燃料溜まり室41が設けられている。また、ノズルボデー16の内部には、ノズルボデー16の密着面から燃料溜まり室41へ斜めに延びる高圧燃料通路42が形成されている。なお、燃料溜まり室41は、ロアボデー15から内部に導入される燃料の油圧力が、ノズルニードル5の開弁方向に作用する第1圧力室(油溜まり室)として機能する。一方、高圧燃料通路31の途中から分岐した高圧燃料通路33は、入口側オリフィス13を介して圧力制御室43に連通している。この圧力制御室43は、オリフィスプレート10の板厚方向の図示下端面とコマンドピストン6の軸線方向の図示上端側とロアボデー15の摺動孔23の開口端側とで囲まれた空間である。なお、圧力制御室43は、内部に導入される燃料の油圧力が、ノズルニードル5の閉弁方向に作用する第2圧力室(背圧制御室)として機能する。
本実施例のインジェクタ1の電磁弁3は、図2および図3に示したように、弁孔(オリフィスプレート10の出口側オリフィス14)を開閉するボールバルブ44と、このボールバルブ44を開弁方向に駆動する電磁駆動部とによって構成されている。電磁駆動部は、ボールバルブ44が図示下端に装着されたアーマチャ45、このアーマチャ45を図示上下方向に摺動自在に保持するバルブボデー46、アーマチャ45を介してボールバルブ44をオリフィスプレート10に設けられた出口側オリフィス14の開口周縁部(弁座部)に押し当てる方向(閉弁方向)に付勢するリターンバネ(コイルスプリング)47、およびアーマチャ45をオリフィスプレート10の弁座部より引き離す方向(開弁方向)に駆動するソレノイドコイル49等を有している。なお、ボールバルブ44は、アーマチャ45の弁部を構成している。
次に、本実施例のバネ荷重付与手段の構成を図1および図2に基づいて簡単に説明する。本実施例のバネ荷重付与手段は、ノズルニードル5に対して、ノズルニードル5をノズルボデー16の弁座部37に押し当てる方向に荷重(本例ではバネ荷重)を与える荷重付与手段であって、ロアボデー15のバネ収容室25の軸線方向に弾性変形が可能なリターンバネ(弾性変形部材)4と、このリターンバネ4の初期バネ荷重(セット荷重)を調整するための円環状のバネ荷重調整部材とを備えている。なお、本実施例のバネ荷重調整部材は、スプリングシート50およびシム51によって構成されている。スプリングシート50およびシム51は、リターンバネ4の初期バネ荷重をその厚みにより調整するための円環板状のプレート部材である。スプリングシート50は、ロアボデー15の段差部56に当接するように装着されて、内部にコマンドピストン6が挿通する挿通孔53を有している。また、シム51は、スプリングシート50の図示下端面に当接するように装着されて、内部にコマンドピストン6が挿通する挿通孔54を有している。なお、スプリングシート50またはシム51のうちのいずれか一方を廃止しても良い。
リターンバネ4は、本発明のバネに相当するもので、ノズルニードル5に対して、ノズルニードル5をノズルボデー16の弁座部37に押し当てる方向に付勢する付勢力(バネ荷重、スプリング力)を発生するニードル付勢手段である。このリターンバネ4は、ノズルボデー16のノズル噴孔部38を閉じる方向(閉弁方向)に、コマンドピストン6を介してノズルニードル5を常に付勢する圧縮コイルスプリング(等ピッチコイルスプリングまたは不等ピッチコイルスプリング)が使用されている。そして、リターンバネ4は、コマンドピストン6の周囲に配設され、ロアボデー15のバネ収容室25の内部に収容されている。そして、リターンバネ4の軸線方向の一端は、コマンドピストン6に係止され、また、リターンバネ4の軸線方向の他端は、シム51を介してスプリングシート50に係止されている。
次に、本実施例のノズルニードルの構成を図1、図2および図4に基づいて簡単に説明する。本実施例のノズルニードル5は、金属材料によって形成されており、ノズルボデー16の内壁面に形成されたテーパ状の弁座部37に着座、離脱して、ノズル噴孔部38を閉塞、開放する弁体である。そして、ノズルニードル5の軸線方向の図示上端部には、ノズルニードル5のうちで最も外径の大きい円柱形状の摺動部(摺動軸部、最大径部)60が設けられている。なお、ノズルニードル5の摺動部60は、ノズルボデー16のノズル孔39の図示上端側に設けられる摺動孔40の内部において摺動自在に支持されている。すなわち、ノズルニードル5は、摺動部60によって半径方向の変位を拘束され、ノズルボデー16の中心軸線方向に摺動可能である。
また、本実施例のノズルニードル5の摺動部60の図示上端面からは、摺動部60よりも外径の小さい単純な円柱形状のニードル頭部(ピストン側端部)61が、軸線方向の図示上方側に突出している。そのニードル頭部61の先端面(図示上端面)には、コマンドピストン6と当接する円形状の当接面が設けられている。そのニードル頭部61の周りには、円環状の段差部(肩部)62が設けられている。そして、ニードル頭部61は、ノズルボデー16の摺動孔40の開口端側からロアボデー15のシリンダ19のダンパ室24の内部に嵌入している。
また、ノズルニードル5は、摺動部60とこの摺動部60よりも外径の小さい単純な円柱形状の軸方向部63との間に小径部64を有している。そして、ノズルニードル5は、摺動部60と小径部64との間に円環状の段差部65を設けている。この段差部65は、ノズルニードル5のリフト開始時に、燃料溜まり室41内の燃料圧力を受ける第1燃料受圧部となる。そして、ノズルニードル5は、軸方向部63とノズルボデー16のノズル孔39との間に所定のクリアランスを保って往復移動自在に収容されている。このクリアランスは、燃料溜まり室41からノズル噴孔部側へと真っ直ぐに延びる燃料通路66として利用される。
また、軸方向部63よりも図示下方側、つまりノズルニードル5の軸線方向の図示下端側には、概略2段または概略3段の円錐形状面が設けられている。なお、円錐形状面は、ノズルニードル5の燃料流方向の下流側の先端部(噴孔部側端部)に設けられる。そして、それらの円錐形状面間に設けられる円環状の稜線(エッジ)には、ノズルボデー16の弁座部37に液密的に接触(着座)するシート部67が設けられている。なお、シート部67は、ノズルニードル5の弁部を構成している。
次に、本実施例のコマンドピストンの構成を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。本実施例のコマンドピストン6は、金属材料によって形成されており、ノズルニードル5に連動して中心軸線方向(図示上下方向)に往復移動すると共に、そのコマンドピストン自体がノズルニードル5と当接する部材を成す。このコマンドピストン6の軸線方向の図示上端部(制御室側端部)には、コマンドピストン6のうちで最も外径の大きい円柱形状の摺動部(摺動軸部、最大径部)70が設けられている。なお、コマンドピストン6の摺動部70は、ロアボデー15のシリンダ孔22の図示上端側に設けられる摺動孔23の内部において摺動自在に支持されている。すなわち、コマンドピストン6は、摺動部70によって半径方向の変位を拘束され、ロアボデー15のシリンダ19の中心軸線方向に摺動可能である。
また、本実施例のコマンドピストン6の摺動部70の図示上端面からは、摺動部70よりも外径の小さい円柱形状のピストン頭部71が、軸線方向の図示上方側に突出している。そのピストン頭部71の周りには、円環状の段差部72が設けられている。この段差部72は、ノズルニードル5のフルリフト時に、圧力制御室43内の燃料圧力を受ける第2燃料受圧部となる。また、コマンドピストン6は、摺動部70とこの摺動部70よりも外径の小さい単純な円柱形状の軸方向部73との間に小径部74を有している。また、軸方向部73とこの軸方向部73よりも外径の小さい単純な円柱形状の軸方向部75との間には、円環状の段差部76が設けられている。また、軸方向部75とこの軸方向部75よりも外径の小さい単純な円柱形状の軸方向部77との間には、円環状の段差部79が設けられている。なお、軸方向部77は、スプリングシート50の挿通孔53およびシム51の挿通孔54を挿通しており、挿通孔53、54の孔径よりも若干小さい外径を有している。
そして、コマンドピストン6の軸方向部77のニードル側端部には、コマンドピストン6の中間部分の外径(ピストン径)よりも外径の大きい大径部が設けられている。このコマンドピストン6の大径部は、この大径部自体が、リターンバネ4のバネ荷重を受け止めるバネ座部7を成す。これにより、リターンバネ4は、コマンドピストン6のバネ座部7のバネ座面(図示上端面)上に乗った状態で、ロアボデー15のシリンダ19のダンパ室24の内部に嵌入していることになる。なお、コマンドピストン6のバネ座部7は、コマンドピストン6の軸方向部77よりも鍔状に外径が拡げられた円環板状のフランジ形状とされているため、リターンバネ4の一端を係止するバネ座面の形状は円環状を成す。
そして、コマンドピストン6のバネ座部7は、バネ座面側に対して反対側の端面(図示下端面)が、ノズルニードル5のピストン側端部の当接面(ニードル頭部61の当接面)と当接する当接面91を成す。これにより、ノズルニードル5のニードル頭部61の当接面とコマンドピストン6のバネ座部7の当接面91との間には、円形状の当接部が形成される。なお、コマンドピストン6のバネ座部7の外径部(摺動部、外周面)93は、ロアボデー15のシリンダ19の軸方向孔(ダンパ室24、バネ収容室25)の内部において摺動自在に支持されている。すなわち、コマンドピストン6は、バネ座部7によって半径方向の変位を拘束され、ロアボデー15のシリンダ19の中心軸線方向に摺動可能である。また、バネ座部7の板厚方向の厚みを変更することで、リターンバネ4の初期バネ荷重(セット荷重)を調整する荷重調整機能を持たせても良い。
ここで、ロアボデー15のシリンダ19の軸方向孔(ダンパ室24、バネ収容室25)の内部には、図1に示したように、燃料と共に、リターンバネ4およびバネ座部7が収容されている。なお、その軸方向孔(ダンパ室24、バネ収容室25)の内部には、ロアボデー15の密着面とノズルボデー16の密着面との高圧シール部から溢流した余剰燃料(リーク燃料)が流れ込むように構成されている。また、軸方向孔(ダンパ室24、バネ収容室25)の内部には、ロアボデー15の摺動孔23の孔壁面とコマンドピストン6の摺動部70の摺動面との間に形成される摺動隙間(クリアランス)を経由して、圧力制御室43から溢流した余剰燃料(リーク燃料)が流れ込むように構成されている。
また、軸方向孔(ダンパ室24、バネ収容室25)の内部には、ノズルボデー16の摺動孔40の孔壁面とノズルニードル5の摺動部60の摺動面との間に形成される摺動隙間(クリアランス)を経由して、燃料溜まり室41から溢流した余剰燃料(リーク燃料)が流れ込むように構成されている。また、本実施例のインジェクタ1は、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座した状態で、つまりノズルニードル5が閉弁した状態で、コマンドピストン6のバネ座部7の図示下端面とノズルボデー16の図示上端面との間に軸線方向の隙間(ダンパ室24)を持つような構造を採用している。
そして、本実施例のインジェクタ1では、バネ座部7の外径部93が、ロアボデー15のシリンダ19の軸方向孔(ダンパ室24、バネ収容室25)の内部で摺動自在に支持されている。このため、バネ座部7の外径部93の外周面(摺動面)とロアボデー15のシリンダ19の内周面(軸方向孔の孔壁面)との間に、ロアボデー15のシリンダ19の軸方向孔の中で最も大きい開口断面積よりも極めて小さい流路断面積を有する絞り部(オリフィス、クリアランス)8が形成される。この絞り部8は、ダンパ室24とバネ収容室25とを連通する連通路を形成している。
ダンパ室24は、ロアボデー15のシリンダ19の軸方向孔の内部に収容されるバネ座部7によって、バネ座部7の図示下端面よりも軸線方向の一方側(弁座部側)に形成される第1空間である。このダンパ室24は、ノズルニードル5のニードル頭部61の外周面と、ロアボデー15のシリンダ19の内周面と、ノズルニードル5の段差部62およびノズルボデー16の図示上端面(密着面)と、コマンドピストン6のバネ座部7の図示下端面とによって囲まれている。そして、ダンパ室24は、ノズルニードル5およびコマンドピストン6がロアボデー15のシリンダ19およびノズルボデー16の軸線方向の一方側(噴孔部側)に移動して、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座するニードル閉弁動作時に、バネ座部7の軸線方向の一方側(弁座部側)への移動に伴って内容積が変化(縮小化)する円筒状の第1可変容積空間である。
また、バネ収容室25は、ロアボデー15のシリンダ19の軸方向孔の内部に収容されるバネ座部7によって、バネ座部7の図示上端面よりも軸線方向の他方側(弁座部側に対して反対側、制御室側)に形成される第2空間である。このバネ収容室25は、コマンドピストン6の軸方向部77の外周面と、ロアボデー15のシリンダ19の内周面と、ロアボデー15の段差部56と、コマンドピストン6のバネ座部7の図示上端面とによって囲まれている。そして、バネ収容室25は、上記のニードル閉弁動作時に、バネ座部7の軸線方向の一方側(弁座部側)への移動に伴って内容積が変化(拡大化)する円筒状の第2可変容積空間である。また、バネ収容室25の内部には、リターンバネ4が収容されている。なお、バネ収容室25は、スプリングシート50の挿通孔53およびシム51の挿通孔54を介して、ロアボデー15のシリンダ孔22の中間部分に連通している。
[実施例1の作用]
次に、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムの作用を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。
コモンレールから供給される高圧燃料は、インジェクタ1の流入ポート26から高圧燃料通路31の内部に流入する。この高圧燃料通路31の内部に流入した高圧燃料は、高圧燃料通路31の途中で分岐した高圧燃料通路33の内部に流入する。この高圧燃料通路33の内部に流入した高圧燃料は、オリフィスプレート10の入口側オリフィス13を経て、圧力制御室43の内部に流入する。一方、高圧燃料通路31の燃料流方向の下流端に到達した高圧燃料は、高圧燃料通路32およびノズルボデー16の高圧燃料通路42を経て、燃料溜まり室41の内部に流入する。これによって、ノズルニードル5は、圧力制御室43内の燃料圧力によって押し下げる方向(閉弁方向)の力を受けると共に、燃料溜まり室41内の燃料圧力によって押し上げる方向(開弁方向)の力を受けることになる。
ここで、ECUにより電磁弁3のソレノイドコイル49への通電が成されず、電磁弁3のボールバルブ44がオリフィスプレート10の出口側オリフィス14を塞いでいる場合には、燃料溜まり室41の内部および圧力制御室43の内部が高圧燃料で満たされている。したがって、ノズルニードル5の段差部65にて燃料溜まり室41内の燃料圧力を受ける受圧面積よりも、コマンドピストン6の段差部72にて圧力制御室43内の燃料圧力を受ける受圧面積の方が大きく、しかもリターンバネ4によってノズルニードル5に対して、ノズルニードル5を閉弁方向(噴射孔を閉じる側)に付勢する付勢力(バネ荷重)が加わっている。
すなわち、ノズルニードル5には、コマンドピストン6を介して伝達される圧力制御室43内の燃料圧力による押し下げる方向(閉弁方向)の力(F1)と、リターンバネ4の付勢力(バネ荷重)による押し下げる方向(閉弁方向)の力(F2)と、燃料溜まり室41内の燃料圧力による押し上げる方向(開弁方向)の力(F3)とが働いており、F1+F2>F3が成立している。このため、ECUにより電磁弁3のソレノイドコイル49への通電が成されず、電磁弁3のボールバルブ44が閉弁している場合には、全体として図2にて図示下向きの力が勝ることになる。その結果、電磁弁3の閉弁時には、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に押さえ付けられて、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16のノズル噴孔部38を塞いでいる。したがって、当該インジェクタ1は、ノズルニードル5が閉弁した閉弁状態となり、エンジンの気筒の燃焼室内には燃料の噴射が成されない。
一方、ECUにより電磁弁3が開弁駆動されると、つまりECUにより電磁弁3のソレノイドコイル49への通電が成されて、アーマチャ45がオリフィスプレート10の弁座部より引き離されると、電磁弁3のボールバルブ44がオリフィスプレート10の出口側オリフィス14から離れ、電磁弁3のボールバルブ44が開弁する。そして、電磁弁3のボールバルブ44が開弁すると、コモンレールから導入されて圧力制御室43内に充満していた高圧燃料が、オリフィスプレート10の出口側オリフィス14を経て、電磁弁側の低圧燃料通路35の内部に流出する。
このため、圧力制御室43内の燃料圧力が急激に低下し、F1+F2<F3が成立すると、燃料溜まり室41内の燃料圧力による押し上げる方向(開弁方向)の力によってノズルニードル5およびコマンドピストン6が上昇し(リフトを開始し)、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37から離れる(離間する)。その結果、ノズルニードル5が開弁した開弁状態となり、燃料溜まり室41内の高圧燃料が、燃料通路66を経てノズル噴孔部38から噴射される。したがって、当該インジェクタ1は、エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射を開始する。
その後、ECUにより電磁弁3のソレノイドコイル49への通電が停止されて、リターンバネ47の付勢力によりアーマチャ45が閉弁方向に移動すると、ボールバルブ44がオリフィスプレート10の出口側オリフィス14を塞ぎ、電磁弁3のボールバルブ44が閉弁する。そして、電磁弁3のボールバルブ44が閉弁すると、圧力制御室43内の燃料圧力が急激に上昇し、F1+F2>F3が成立するため、ノズルニードル5およびコマンドピストン6が閉弁方向に移動する。その結果、当該インジェクタ1は、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16のノズル噴孔部38を塞ぎ、ノズルニードル5が閉弁した閉弁状態に戻ることになる。よって、燃料噴射が終了する。
ここで、ノズルニードル5およびコマンドピストン6が閉弁方向に移動する際には、コマンドピストン6のバネ座部7も閉弁方向に移動するため、コマンドピストン6のバネ座部7によってバネ収容室25に対して液密的に区画されたダンパ室24の内容積が縮小化される。したがって、ダンパ室24の内部に流れ込んでいる燃料が、ダンパ室24から絞り部8を通り抜けてバネ収容室側に押し出される。このとき、絞り部8を通過する際の流通抵抗により、バネ座部7の閉弁方向への移動速度が遅くなる。これにより、ノズルニードル5およびコマンドピストン6の閉弁方向への移動速度が遅くなるので、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する際の、ノズルニードル5の着座速度が遅くなる。これによって、ノズルニードル5の着座速度を遅くするダンパ効果が発揮されるため、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する時に発生する衝撃を緩和できるので、ノズルニードル閉弁時のノズルニードル5のバウンスを抑えることができる。
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例のインジェクタ1においては、コマンドピストン6の軸方向部77のニードル側端部に、コマンドピストン6の中間部分の外径(ピストン径)よりも外径の大きい大径部を設けている。そして、このコマンドピストン6の大径部自体が、リターンバネ4のバネ荷重を受け止めるバネ座部7を成し、また、バネ座部7のバネ座面側に対して反対側の端面が、ノズルニードル5のニードル頭部61の当接面と当接する当接面91を成している。すなわち、コマンドピストン6の軸方向部77のニードル側端部に、リターンバネ4のバネ荷重を受け止めるバネ座部7を一体的に形成している。
これにより、インジェクタ1に内蔵される部品点数の削減を図りながらも、ノズルニードル5のニードル頭部61の当接面とコマンドピストン6のバネ座部7の当接面91とが当接する当接部における当接面積を、従来の技術におけるノズルニードル101の肩部119とロッドプレッシャ109とが当接する当接部と比べて、非常に大きく確保することが可能となる。これによって、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する時、つまりノズルニードル閉弁時の衝撃による当接部の摩耗を低減することができる。したがって、ノズルニードル5のニードル頭部61の当接面、あるいはコマンドピストン6のバネ座部7の当接面91の摩耗を低減することができるので、予め設定されたリターンバネ4のバネ荷重の低下をもたらすことはなく、ノズルボデー16の軸線方向の先端側に設けられたノズル噴孔部38から噴射される燃料噴射量の経時的な変化を抑制することができる。すなわち、インジェクタ1としての経時的な燃料噴射特性の変化を促進させることはない。
ここで、本実施例のインジェクタ1においては、例えば燃料リークを少なくする目的で、ノズルニードル5の摺動部60の外径(ニードル径)を小さくしたとしても、ノズルニードル5のニードル頭部61の当接面とコマンドピストン6のバネ座部7の当接面91とが当接する当接部における当接面積を十分に確保することができるので、コマンドピストン6のバネ座部7の当接面91の摩耗量を減少させることができる。また、ノズルニードル5のニードル頭部61の当接面とコマンドピストン6のバネ座部7の当接面91とを直接当接させることができるので、ロッドプレッシャやノズルプレッシャピン等の中間部品が不要となる。また、ノズルボデー16の図示上端面にロアボデー15を直接的に結合しているので、チップパッキンも不要となる。これによって、摩耗箇所が減り、燃料噴射特性に影響を及ぼすことはなく、更にインジェクタ1に内蔵される部品点数の低減も同時に行うことができるので、組付工数の減少およびコストの削減を行うことができる。
また、本実施例のインジェクタ1においては、コマンドピストン6のバネ座部7の外径部93を、ロアボデー15のシリンダ孔22の図示下端側に設けられるバネ収容室25によって軸線方向に摺動可能にガイドしている。これによって、コマンドピストン6がロアボデー15のシリンダ孔22の孔径(内径)に対して偏心することはなく、コマンドピストン6が、ノズルニードル5のニードル頭部61と同一軸線上に位置するようになる。すなわち、ノズルニードル5のニードル頭部61とコマンドピストン6のバネ座部7とがその中心軸線上で突き合うように当接するため、ノズルニードル5とコマンドピストン6とが偏心した状態で当接するのを防げるので、ノズルニードル5のニードル頭部61の当接面、あるいはコマンドピストン6のバネ座部7の当接面91の偏摩耗を抑制することができる。
また、本実施例のインジェクタ1は、ノズルニードル5が閉弁した状態で、コマンドピストン6のバネ座部7の図示下端面とノズルボデー16の図示上端面との間に軸線方向の隙間を持つような構造を採用することで、ノズルニードル閉弁動作時にダンパ室24内に瞬間油圧力を発生させ、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する時に発生する衝撃を緩和している。具体的には、バネ座部7の外径部93の外周面とロアボデー15のシリンダ19の内周面との間に、ダンパ室24とバネ収容室25とを連通する連通路を成す絞り部8を設けている。そして、この絞り部8は、ロアボデー15のシリンダ19の軸方向孔の中で最も大きい開口断面積よりも極めて小さい流路断面積を有している。このため、インジェクタ1の燃料噴射終了時、つまりノズルニードル5の閉弁動作時には、コマンドピストン6のバネ座部7の閉弁方向への移動に伴ってダンパ室24の内容積が縮小化されることにより、ダンパ室24からバネ収容室側に押し出される燃料が、絞り部8を通り抜けるときの流通抵抗によって、ノズルニードル5の着座速度が遅くなる。
これによって、ノズルニードル5の着座速度を遅くするダンパ効果が発揮されるため、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する時に発生する衝撃を緩和できるので、ノズルニードル閉弁時のノズルニードル5のバウンスを抑えることができる。したがって、ノズルニードル5のシート部67とノズルボデー16の弁座部37とが当接する当接部の摩耗を低減することができるので、有効シート面積の変化を抑えることができる。これにより、ノズルニードル5の開弁圧が変化したり、また、ノズルニードル5のシート部67とノズルボデー16の弁座部37との間のシール性が低下したりすることはない。よって、エンジンの各気筒の燃焼室内に燃料を噴射供給するインジェクタ1としての燃料噴射性能に悪影響を及ぼすことはない。
図5は本発明の実施例2を示したもので、ディーゼルエンジン用のインジェクタの主要構造を示した図である。
本実施例では、実施例1のノズルニードル5のニードル頭部61を廃止し、また、ノズルニードル5の摺動部60を図示上方側に延長している。そして、摺動部60は、ノズルボデー16の摺動孔40の開口端側からロアボデー15のシリンダ19のダンパ室24の内部に嵌入している。このため、摺動部60の先端面(図示上端面)には、コマンドピストン6の軸方向部77のニードル側端部において鍔状に外径が拡げられたバネ座部7の当接面(図示下端面)91と当接する円形状の当接面が設けられている。
この場合には、ノズルニードル5の摺動部60の当接面とコマンドピストン6のバネ座部7の当接面91とが当接する当接部における当接面積を、実施例1と比べて、更に大きく確保することができる。これによって、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する時、つまりノズルニードル閉弁時の衝撃による当接部の摩耗を更に低減することができる。また、コマンドピストン6のバネ座部7の外径部93は、実施例1と同様に、ロアボデー15のシリンダ19の軸方向孔(ダンパ室24、バネ収容室25)内を摺動可能となっており、コマンドピストン6がロアボデー15のシリンダ孔22の孔径(内径)に対して偏心することはない。
本実施例のインジェクタ1においては、コマンドピストン6のバネ座部7の図示下端面よりも軸線方向の一方側(弁座部側)に、ロアボデー15のシリンダ19のダンパ室24が形成されている。このダンパ室24は、ノズルニードル5の摺動部60の外周面と、ロアボデー15のシリンダ19の内周面と、ノズルボデー16の図示上端面(密着面)と、コマンドピストン6のバネ座部7の図示下端面とによって囲まれている。この場合にも、ノズルニードル5が閉弁した状態で、コマンドピストン6のバネ座部7の図示下端面とノズルボデー16の図示上端面との間に軸線方向の隙間(ダンパ室24)が形成されるため、ノズルニードル閉弁動作時にダンパ室24内に瞬間油圧力が発生し、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する時に発生する衝撃を緩和できる。このため、ノズルニードル閉弁時のノズルニードル5のバウンスを抑えることができるので、ノズルニードル5のシート部67とノズルボデー16の弁座部37とが当接する当接部の摩耗を低減することができる。
図6は本発明の実施例3を示したもので、ディーゼルエンジン用のインジェクタの主要構造を示した図である。
本実施例では、実施例1のノズルニードル5のニードル頭部61を廃止し、また、ノズルニードル5の摺動部60を図示上方側に延長している。そして、摺動部60は、ノズルボデー16の摺動孔40の開口端側からロアボデー15のバネ収容室25の内部に嵌入している。そして、ノズルニードル5の摺動部60のピストン側端部には、ノズルニードル5の中間部分の外径(ニードル径)よりも外径の大きい大径部が設けられている。このノズルニードル5の大径部は、この大径部自体が、リターンバネ4のバネ荷重を受け止めるバネ座部9を成す。これにより、リターンバネ4は、ノズルニードル5のバネ座部9のバネ座面(図示上端面)上に乗った状態で、ロアボデー15のシリンダ孔22の図示下端側に設けられるバネ収容室25の内部に嵌入していることになる。なお、ノズルニードル5のバネ座部9は、ノズルニードル5の摺動部60よりも鍔状に外径が拡げられた円環板状のフランジ形状とされているため、リターンバネ4の一端を係止するバネ座面の形状は円環状を成す。
そして、ノズルニードル5のバネ座部9は、バネ座面と同じ側の端面(図示上端面)がコマンドピストン6の軸方向部77の当接面(ニードル側端部の当接面)と当接する当接面92を成す。これにより、ノズルニードル5のバネ座部9の当接面92とコマンドピストン6の軸方向部77の当接面との間には、円形状の当接部が形成される。なお、ノズルニードル5のバネ座部9の外径部(摺動部、外周面)94は、実施例1、2と同様に、ロアボデー15のバネ収容室(ニードルガイド部)24の内部を摺動可能となっている。すなわち、ノズルニードル5は、バネ座部9によって半径方向の変位を拘束され、ロアボデー15のシリンダ19の中心軸線方向に摺動可能である。また、本実施例のバネ荷重付与手段は、リターンバネ4とスプリングシート50とシム51、52とによって構成されている。また、シム52は、ノズルニードル5のバネ座部9のバネ座面(図示上端面)に当接するように装着されて、内部にコマンドピストン6の軸方向部77が挿通する挿通孔55を有している。なお、シム51またはシム52のうちのいずれか一方を廃止しても良い。
本実施例のインジェクタ1においては、実施例1、2と同様に、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する時、つまりノズルニードル閉弁時の衝撃による当接部の摩耗を低減することができ、部品点数の低減も同時に行うことができる。また、本実施例の場合には、仮にコマンドピストン6の軸方向部77の当接面とノズルニードル5のバネ座部9の当接面92とが当接する当接部に摩耗が起きたとしても、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する時、つまりノズルニードル閉弁時のリターンバネ4による図示下向き(閉弁方向)のバネ荷重は低下しないといった利点がある。
本実施例のインジェクタ1のロアボデー15のシリンダ19の中心軸線上に設けられたシリンダ孔22のノズルボデー側には、実施例1、2と同様に、ノズルニードル5のバネ座部9の外径よりも僅かに内径が大きく、内部に燃料およびリターンバネ4と共にバネ座部9を軸線方向に往復移動可能に収容する軸方向孔が設けられている。そして、ロアボデー15のシリンダ19の軸方向孔の内部には、ノズルニードル5のバネ座部9を間に挟んで、バネ座部9の図示下端面よりも軸線方向の一方側(弁座部側)にダンパ室24と、バネ座部9の図示上端面よりも軸線方向の他方側(弁座部側に対して反対側、制御室側)にバネ収容室25とが形成されている。そして、ノズルニードル5のバネ座部9の外径部94の外周面(摺動面)とロアボデー15のシリンダ19の内周面(軸方向孔の孔壁面)との間には、ダンパ室24とバネ収容室25とを連通すると共に、ロアボデー15のシリンダ19の軸方向孔の中で最も大きい開口断面積よりも極めて小さい流路断面積を有する絞り部8が形成されている。
本実施例のインジェクタ1においても、ノズルニードル5が閉弁した状態で、ノズルニードル5のバネ座部9の図示下端面とノズルボデー16の図示上端面との間に軸線方向の隙間(ダンパ室24)が形成されるため、ノズルニードル閉弁動作時にダンパ室24内に瞬間油圧力が発生し、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する時に発生する衝撃を緩和できる。このため、ノズルニードル閉弁時のノズルニードル5のバウンスを抑えることができるので、ノズルニードル5のシート部67とノズルボデー16の弁座部37とが当接する当接部の摩耗を低減することができる。
図7は本発明の実施例4を示したもので、ディーゼルエンジン用のインジェクタの主要構造を示した図である。
本実施例のノズルニードル5のバネ座部9のピストン側端部には、コマンドピストン6の移動方向を規制する、すなわち、コマンドピストン6の中心軸線方向に対して直交する半径方向への移動を規制する円筒状のガイド部95が設けられている。このガイド部95には、コマンドピストン6の軸方向部77のニードル側端部が嵌合する嵌合凹部96が形成されている。なお、本実施例では、ガイド部95の嵌合凹部96の底面が、コマンドピストン6の軸方向部77の当接面(ニードル側端部の当接面)と当接する当接面92を成す。また、ガイド部95の外径部を含むバネ座部9の外径部(摺動部)94は、実施例1〜3と同様に、ロアボデー15のバネ収容室25の内部を摺動可能となっている。すなわち、コマンドピストン6は、ガイド部95の嵌合凹部96の内周面によって半径方向の変位を拘束され、ロアボデー15のシリンダ19の中心軸線方向に摺動可能である。したがって、ノズルニードル5だけでなく、コマンドピストン6もインジェクタ1の中心軸線方向に対して半径方向に偏心しないような構造となっている。
本実施例のインジェクタ1においては、実施例1〜3と同様に、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する時、つまりノズルニードル閉弁時の衝撃による当接部の摩耗を低減することができ、部品点数の低減も同時に行うことができる。また、本実施例の場合には、実施例3と同様に、仮にコマンドピストン6の軸方向部77の当接面とノズルニードル5のバネ座部9の当接面92とが当接する当接部に摩耗が起きたとしても、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する時、つまりノズルニードル閉弁時のリターンバネ4による図示下向き(閉弁方向)のバネ荷重は低下しないといった利点がある。
本実施例のインジェクタ1においても、ノズルニードル5が閉弁した状態で、ノズルニードル5のバネ座部9の図示下端面とノズルボデー16の図示上端面との間に軸線方向の隙間(ダンパ室24)が形成されるため、ノズルニードル閉弁動作時にダンパ室24内に瞬間油圧力が発生し、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する時に発生する衝撃を緩和できる。このため、ノズルニードル閉弁時のノズルニードル5のバウンスを抑えることができるので、ノズルニードル5のシート部67とノズルボデー16の弁座部37とが当接する当接部の摩耗を低減することができる。
図8は本発明の実施例5を示したもので、ディーゼルエンジン用のインジェクタの主要構造を示した図である。
本実施例では、実施例4のノズルニードル5のニードル頭部61を廃止し、また、ノズルニードル5の摺動部60を図示上方側に延長している。そして、摺動部60は、ノズルボデー16の摺動孔40の開口端側からロアボデー15のシリンダ19のダンパ室24の内部に嵌入している。
また、本実施例のインジェクタ1においても、ノズルニードル5が閉弁した状態で、ノズルニードル5のバネ座部9の図示下端面とノズルボデー16の図示上端面との間に軸線方向の隙間(ダンパ室24)が形成されるため、ノズルニードル閉弁動作時にダンパ室24内に瞬間油圧力が発生し、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する時に発生する衝撃を緩和できる。このため、ノズルニードル閉弁時のノズルニードル5のバウンスを抑えることができるので、ノズルニードル5のシート部67とノズルボデー16の弁座部37とが当接する当接部の摩耗を低減することができる。
[変形例]
本実施例では、本発明の燃料噴射弁を、コモンレールの内部に蓄圧した高圧燃料を、エンジンの各気筒の燃焼室内に噴射供給する蓄圧式燃料噴射装置に使用されるインジェクタ(例えば電磁式燃料噴射弁)1に適用した例を説明したが、本発明の燃料噴射弁を、列型燃料噴射ポンプや分配型燃料噴射ポンプ等の燃料噴射ポンプから燃料溜まり室の内部に直接圧送され、燃料溜まり室内の燃料圧力がバネの付勢力(バネ荷重)よりも大きくなるとニードルが開弁して、エンジンの各気筒の燃焼室内に燃料を噴射供給する内燃機関用燃料噴射装置に使用される燃料噴射ノズルに適用しても良い。また、電磁式燃料噴射弁よりなるインジェクタ1だけでなく、内燃機関の気筒の燃焼室内に燃料を噴射供給する圧電方式の燃料噴射弁よりなるインジェクタを採用しても良い。また、燃料噴射ノズル2と電磁弁3等のアクチュエータとが別体の燃料噴射弁を採用しても良い。また、内燃機関の気筒または吸気ポートまたは吸気バルブに燃料を噴射供給するガソリンエンジン用のフューエルインジェクタを燃料噴射弁として用いても良い。
本実施例では、インジェクタ1のハウジング、特に燃料噴射ノズル2のハウジングを、ロアボデー(インジェクタボデー、ノズルホルダ)15とノズルボデー16とによって構成しているが、インジェクタ1のハウジング、特に燃料噴射ノズル2のハウジングを、1個の部品によって構成しても良い。また、燃料噴射弁のハウジングを、中心軸線上にシリンダ孔が形成されたシリンダと、このシリンダの軸線方向の一端面に結合されて、中心軸線上にノズル孔が形成されたノズルボデーとによって構成しても良い。この場合には、ニードルが、ノズル孔の内部で摺動自在に支持されるノズルニードルとなり、また、ピストンが、シリンダ孔の内部で摺動自在に支持されるコマンドピストンとなる。
本実施例では、ニードルを噴孔部を閉じる側(閉弁方向)に付勢するニードル付勢手段として、ノズルニードル5に対して、ノズルニードル5をノズルボデー16の弁座部37に押し当てる方向に付勢する付勢力を発生するリターンバネ(コイルスプリング)4を採用したが、ニードルを噴孔部を閉じる側(閉弁方向)に付勢するニードル付勢手段として、板バネ、ゴム系弾性体、樹脂系弾性体、エアクッション、ウェーブワッシャ等の弾性変形部材を用いても良い。また、ニードル付勢手段として、コマンドピストン6の周囲に配設されるコイル状の弾性変形部材、筒状の弾性変形部材、環状の弾性変形部材等を用いても良い。
本実施例では、コマンドピストン6のバネ座部7の外径部93の外周面(摺動面)とロアボデー15のシリンダ19の内周面(軸方向孔の孔壁面)との間、あるいはノズルニードル5のバネ座部9の外径部94の外周面(摺動面)とロアボデー15のシリンダ19の内周面(軸方向孔の孔壁面)との間に、ダンパ室24とバネ収容室25とを連通する連通路を成す絞り部8を設けているが、ロアボデー15のシリンダ19の内部にダンパ室24とバネ収容室25とを連通する連通路を形成し、この連通路の途中に絞り部を設けても良い。また、絞り部8は、外径部93、94の軸方向寸法よりも短くても良い。また、絞り部8を複数設けても良い。また、ノズルニードル5のシート部67がノズルボデー16の弁座部37に着座する寸前でダンパ室24内の油圧力がダンパ効果を発揮できるように、絞り部8を弁座部側に設けても良い。この場合には、絞り部8よりも図示上方側のバネ収容室25の内径を、バネ座部7、9の外径およびダンパ室24の内径よりも大きくする。例えばバネ収容室25の形状を円錐台形状にする。
本実施例では、コマンドピストン6の軸方向部77のニードル側端部にバネ座部7を一体的に形成しているが、コマンドピストン6とバネ座部7とを別体で製造した後に、コマンドピストン6とバネ座部7とが一体的に動作可能となるようにコマンドピストン6とバネ座部7とを溶接、接着、圧入嵌合等により結合して一体化するようにしても良い。また、本実施例では、ノズルニードル5のニードル頭部61または摺動部60のピストン側端部にバネ座部9を一体的に形成しているが、ノズルニードル5とバネ座部9とを別体で製造した後に、ノズルニードル5とバネ座部9とが一体的に動作可能となるようにノズルニードル5とバネ座部9とを溶接、接着、圧入嵌合等により結合して一体化するようにしても良い。
インジェクタの主要構造を示した断面図である(実施例1)。 インジェクタの全体構造を示した断面図である(実施例1)。 インジェクタの圧力制御室の周辺構造を示した断面図である(実施例1)。 ノズルボデーとノズルニードルを示した断面図である(実施例1)。 インジェクタの主要構造を示した断面図である(実施例2)。 インジェクタの主要構造を示した断面図である(実施例3)。 インジェクタの主要構造を示した断面図である(実施例4)。 インジェクタの主要構造を示した断面図である(実施例5)。 インジェクタの主要構造を示した断面図である(従来の技術)。
符号の説明
1 インジェクタ(内燃機関用燃料噴射弁、電磁式燃料噴射弁)
2 燃料噴射ノズル(インジェクタ本体)
3 電磁弁(アクチュエータ)
4 リターンバネ(荷重付与手段、弾性変形部材、ニードル付勢手段)
5 ノズルニードル
6 コマンドピストン
7 コマンドピストンのバネ座部
8 絞り部(連通路)
9 ノズルニードルのバネ座部
15 ロアボデー(ハウジング)
16 ノズルボデー(ハウジング)
19 シリンダ
22 ロアボデーのシリンダ孔(軸方向孔)
23 ロアボデーの摺動孔(ピストンガイド部)
24 ロアボデーのダンパ室(空間、第1空間、バネ座部ガイド部)
25 ロアボデーのバネ収容室(第2空間、バネ座部ガイド部)
37 ノズルボデーの弁座部
38 ノズルボデーのノズル噴孔部
39 ノズルボデーのノズル孔(軸方向孔)
40 ノズルボデーの摺動孔(ニードルガイド部)
41 ノズルボデーの燃料溜まり室
43 ロアボデーの圧力制御室
50 スプリングシート(バネ荷重調整部材)
51 シム(バネ荷重調整部材)
52 シム(バネ荷重調整部材)
91 コマンドピストンのバネ座部の当接面
92 ノズルニードルのバネ座部の当接面
93 コマンドピストンのバネ座部の外径部(摺動部)
94 ノズルニードルのバネ座部の外径部(摺動部)
95 ノズルニードルのバネ座部のガイド部
96 ノズルニードルのバネ座部の嵌合凹部

Claims (7)

  1. (a)燃料噴射を行う噴孔部、およびこの噴孔部近傍に弁座部を有する筒状のノズルボデーと、
    (b)このノズルボデーの内部に移動自在に配設されて、前記弁座部に対して着座、離脱して前記噴孔部を閉塞、開放するニードルと、
    (c)このニードルと同一軸線上に配設されて、前記ニードルと連動して軸線方向に移動するピストンと、
    (d)前記ニードルに対し前記ニードルを前記弁座部に押し当てる方向に荷重を与える荷重付与手段と
    を備えた燃料噴射弁において、
    前記ニードルまたは前記ピストンには、前記荷重付与手段の荷重を受け止める座部が一体的に形成されており、
    前記ノズルボデーは、このノズルボデーの端面に直接的に密着して結合されて、内部に流体と共に前記座部を軸線方向に往復移動可能に収容する軸方向孔が形成された筒状のシリンダを伴ってハウジングを構成し、
    前記ハウジングは、前記ニードルが前記弁座部に着座した状態で、前記ノズルボデーの端面とこの端面に対峙する前記座部の端面との間に空間を有していることを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 請求項1に記載の燃料噴射弁において、
    前記ピストンの軸線方向のニードル側端部には、前記ピストン径よりも外径の大きい大径部が設けられており、
    前記ピストンの大径部は、前記大径部自体が前記座部を成し、
    前記座部の座面側に対して反対側が、前記ニードルと当接する当接面を成すことを特徴とする燃料噴射弁。
  3. 請求項2に記載の燃料噴射弁において、
    前記ピストンの大径部は、前記軸方向孔の内部で摺動自在に支持されていることを特徴とする燃料噴射弁。
  4. 請求項1に記載の燃料噴射弁において、
    前記ニードルの軸線方向のピストン側端部には、前記ニードル径よりも外径の大きい大径部が設けられており、
    前記ニードルの大径部は、前記大径部自体が前記座部を成し、
    前記座部の座面と同じ側が前記ピストンと当接する当接面を成すことを特徴とする燃料噴射弁。
  5. 請求項4に記載の燃料噴射弁において、
    前記ニードルの大径部は、前記軸方向孔の内部で摺動自在に支持されていることを特徴とする燃料噴射弁。
  6. 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射弁において、
    前記軸方向孔は、前記座部の外径よりも僅かに内径が大きく、前記シリンダの軸線上に設けられており、
    前記軸方向孔の内部には、前記座部を間に挟んで、前記座部よりも前記弁座部側に前記空間を成す第1空間と、前記座部よりも前記弁座部側に対して反対側に第2空間とが形成されており、
    前記シリンダの内部には、前記第1空間と前記第2空間とを連通する連通路が設けられており、
    前記連通路には、前記軸方向孔の中で最も大きい開口断面積よりも極めて小さい流路断面積を有する絞り部が設けられていることを特徴とする燃料噴射弁。
  7. 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の燃料噴射弁において、
    前記荷重付与手段は、前記ピストンの周囲に配設されたバネ、およびこのバネのバネ荷重を調整するバネ荷重調整部材を有していることを特徴とする燃料噴射弁。
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