JP2008163772A - 燃料制御弁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 インジェクタの各部品を組み付けた後に、燃料噴射ノズルのロアボデー1と締結されるリテーニングナット10の締結角度を変更することで、ロアボデー1、ノズルボデー2からリテーニングナット10を取り外すことなく、ロアボデー1の結合面とノズルボデー2の結合面との間に存在するギャップ37の幅を可変に制御可能となっている。これに伴って、スプリングシート6の第1座面とロッドプレッシャ7の第2座面との間に介装されているスプリング5のスプリング長が制御可能になり、スプリング5の初期セット荷重を容易に調整することができる。これにより、スプリング5の初期セット荷重の調整作業が大幅に簡略化される。
【選択図】 図2
Description
近年、環境改善のためにエンジンの排気ガス規制が年々強化されており、PM排出量・NOx排出量およびCO2 排出量の低減が課題として開発が進められている。特に、ディーゼルエンジンは、その課題に対して、噴射特性の高精度化、噴射燃料の高圧化、多段噴射化等の技術の向上を求められている。
特に、内燃機関用燃料噴射ノズルまたは内燃機関用燃料噴射弁等の燃料制御弁の噴射特性バラツキの低減は、排気ガス規制の強化に伴い、今後ますます厳しい要求精度を必要とすることが予想されている。
ここで、インジェクタに使用される燃料噴射ノズルは、図3に示したように、内燃機関への燃料噴射を行う噴孔部(燃料孔、噴射孔)111、およびこの噴孔部近傍に設けられた弁座部112を有するハウジングを備えている。
ここで、内燃機関への燃料噴射開始タイミングおよびノズル開弁圧力の調整は、スプリング106の初期スプリング荷重(初期セット荷重)を調整することで実施されている。このスプリング106の初期セット荷重の調整は、リテーニングナット104による各部品組付前に、スプリング106に接続するスプリングシート115の厚みを変更することで成されている。
ところが、従来の燃料噴射ノズルにおいては、ロアボデー101の外周にリテーニングナット104の内周を締結することで、ロアボデー101、ノズルボデー102およびチップパッキン103を一体結合している。
このため、燃料噴射ノズルの各部品を組み付けた後に、スプリング106の初期セット荷重を変更するという目的で、スプリングシート115の厚みを変更する際、つまりスプリングシート115を交換する際に、一度ロアボデー101の外周からリテーニングナット104を取り外して、ロアボデー101、ノズルボデー102およびチップパッキン103の一体構造を解消し、ロアボデー101の内部からスプリングシート115を取り出し、新たに厚さの異なるスプリングシート115をロアボデー101の内部に挿入する脱着作業を行う必要がある。
したがって、従来の燃料噴射ノズルにおいては、リテーニングナット104を取り外さなければスプリング106の初期セット荷重を変更することができず、スプリング106の初期セット荷重の調整に多大な工数を必要とするという問題が生じている。
これによって、ハウジング(2つの第1、第2ボデー)の内部にバルブおよびスプリングを収容し、2つの第1、第2ボデー間に弾性部材を挟み込んだ状態で、第1ボデーまたは第2ボデーにナット部材を締め付ける各部品組付時、あるいは各部品組付後に、スプリングの初期セット荷重の調整または変更する場合には、第1ボデーまたは第2ボデーに対するナット部材の締結角度(締め付け力)を調整または変更することで、2つの第1、第2ボデー間に挟み込まれている弾性部材がハウジング(2つの第1、第2ボデー)の軸線方向に弾性変形する。
この弾性部材が軸線方向に伸縮することにより、2つの第1、第2ボデー間に形成される軸線方向隙間(ギャップ)の軸線方向距離が調整または変更されるので、ハウジング(2つの第1、第2ボデー)の内部に収容されているスプリングのスプリング長が調整または変更される。
したがって、第1ボデーまたは第2ボデーに対するナット部材の締結角度(締め付け力)を調整または変更することで、スプリングのスプリング長を調整または変更できるので、2つの第1、第2ボデーからナット部材を取り外すことなく、スプリングの初期セット荷重を変更できるようになる。これにより、ナット部材によって2つの第1、第2ボデーを締め付けて結合した後(各部品組付後)の、スプリングの初期セット荷重の調整作業を大幅に簡略化することができる。
請求項3に記載の発明によれば、2つの第1、第2ボデーの硬度よりも軟らかい材料によって弾性部材が形成されている。
請求項4に記載の発明によれば、2つの第1、第2ボデー間に、弾性部材の軸線方向の伸縮量(弾性変形量)に応じて軸方向距離が変化するギャップ(軸線方向隙間)を形成している。これによって、弾性部材が軸線方向に伸縮することにより、ギャップの軸線方向距離が調整または変更されるので、スプリングのスプリング長が調整または変更される。
そして、2つの第1、第2ボデーの各結合面のうちの少なくとも一方の結合面に、2つの第1、第2ボデーの中心軸線から外れた位置に高圧燃料通路および燃料回収通路が開口している。
そして、高圧燃料通路および燃料回収通路よりも外部側の位置で、且つ2つの第1、第2ボデーの各結合面における最大外径部に沿って弾性部材を配置することにより、2つの第1、第2ボデーの各結合面間に形成されるギャップから外部へ燃料が洩れ出ることはない。
また、燃料回収通路とは、燃料制御弁として燃料噴射装置に使用される燃料噴射弁または燃料噴射ノズルを採用した場合、内燃機関への燃料噴射に寄与しなかった余剰燃料、あるいは燃料制御弁の各摺動部より溢流した余剰燃料(リーク燃料)を、燃料系の低圧側(例えば燃料タンク等)に戻すための燃料通路のことである。この燃料回収通路は、2つの第1、第2ボデーの各結合面のうちの少なくとも一方の結合面から燃料出口部(リークポート)へと延びている。
なお、外部への燃料洩れが発生した場合には、例えばエンジンオイル中に燃料が混入し、内燃機関の摺動部の潤滑性が低下する等の不具合が発生する場合がある。
請求項8に記載の発明によれば、2つの第1、第2ボデーの各結合面(第1ボデーの結合端面、第2ボデーの結合端面)が、ハウジングの軸線方向のギャップを隔てて対向している場合には、第1ボデー側の第1高圧燃料通路と第2ボデー側の第2高圧燃料通路との接続箇所(突き合わせ部)が、軸線方向のギャップを隔てて離れている。
そこで、第1ボデー側の第1高圧燃料通路と第2ボデー側の第2高圧燃料通路との突き合わせ部に、内部に第1ボデー側の第1高圧燃料通路と第2ボデー側の第2高圧燃料通路とを連通する燃料中継通路が形成された中間部材を配置している。
これによって、第1ボデー側の第1高圧燃料通路と第2ボデー側の第2高圧燃料通路との突き合わせ部が、中間部材によって密閉シールされるので、第1ボデー側の第1高圧燃料通路と第2ボデー側の第2高圧燃料通路との突き合わせ部から高圧燃料が洩れ出ることはない。
請求項10に記載の発明によれば、第1ボデー側の第1高圧燃料通路または第2ボデー側の第2高圧燃料通路の(各結合面側の)通路壁面に、中間部材との間に軸線方向のクリアランスを形成する段差面を設けることにより、第1ボデー側の第1高圧燃料通路と第2ボデー側の第2高圧燃料通路との突き合わせ部に中間部材が配置されている場合であっても、そのクリアランス分だけ、2つの第1、第2ボデー間に挟み込まれる弾性部材を、ハウジング(2つの第1、第2ボデー)の軸線方向に伸縮(弾性変形)させることができる。
これによって、弾性部材が軸線方向に伸縮することにより、バルブに設けられる座部とハウジングに設けられる座面との間に形成される軸線方向隙間(ギャップ)の軸線方向距離が調整または変更されるので、バルブに設けられる座部とハウジングに設けられる座面との間に介装されているスプリングのスプリング長が調整または変更される。
これによって、弾性部材が軸線方向に伸縮することにより、第1ボデーの第1軸方向孔の内部に設けられる第1座面とバルブに設けられる第2座面との間に形成される軸線方向隙間(ギャップ)の軸線方向距離が調整または変更されるので、2つの第1、第2座面間に介装されているスプリングのスプリング長が調整または変更される。
図1および図2は本発明の実施例1を示したもので、図1はインジェクタを示した図で、図2は燃料噴射ノズルの主要構造を示した図である。
このコモンレール式燃料噴射システムは、燃料系の低圧側である燃料タンクから低圧燃料を汲み上げるフィードポンプを内蔵したサプライポンプと、このサプライポンプの燃料吐出口から高圧燃料が導入されるコモンレールと、このコモンレールの各燃料出口から高圧燃料が分配供給される複数のインジェクタとを備え、コモンレール内部に蓄圧された高圧燃料を各インジェクタを介してエンジンの各気筒毎の燃焼室内に噴射供給するように構成されている。
コモンレールの内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室内に噴射供給する燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧する蓄圧室が形成されている。
また、本実施例のインジェクタとしては、エンジンの各気筒毎の燃焼室内への燃料噴射を行うインジェクタ本体(以下燃料噴射ノズルと言う)と、この燃料噴射ノズルのハウジング(2つのロアボデー1、ノズルボデー2)に締め付け固定された電磁弁とを一体化した電磁式燃料噴射弁が採用されている。
燃料噴射ノズルのロアボデー1と電磁弁自身のバルブボデーとの間にチップパッキン(オリフィスプレート)11を挟み込んだ状態で、リテーニングナットを燃料噴射ノズルのロアボデー1の軸線方向の図示上端側に締め付けて結合することで、燃料噴射ノズルのロアボデー1の軸線方向の図示上端側に電磁弁が一体的に組み付けられている。
ここで、燃料噴射ノズルのロアボデー1およびオリフィスプレート11には、通過する燃料の流量を調節するための入口側、出口側オリフィス12、13が形成されている。なお、本実施例では、燃料噴射ノズルのロアボデー1に電磁弁を締結固定するためのリテーニングナットが、インジェクタのアッパーボデーを構成している。また、オリフィスプレート11のみに、入口側、出口側オリフィス12、13が共に形成されていても良い。
ここで、電磁弁のハウジング18は、リテーニングナットやコネクタハウジング等を含んで構成されており、アーマチャ室16に溢流した余剰燃料を燃料系の低圧側である燃料タンクに戻すためのリークポート19が形成されたトップリターンチューブを有している。また、電磁弁のバルブボデーの中心軸線上には、アーマチャ17の軸状部を摺動自在に保持する摺動孔が設けられている。
そして、アーマチャ17は、コイル15が通電されると磁化されて、電磁石の磁極面側に吸引される。これにより、バルブがオリフィスプレート11の弁座部(バルブシート)より離脱して出口側オリフィス13を開放する。
また、アーマチャ17は、コイル15への通電が停止されると、スプリング14の付勢力(スプリング荷重)によって閉弁方向に移動してバルブをオリフィスプレート11のバルブシートに押し当てる。これにより、バルブがオリフィスプレート11のバルブシートに着座して出口側オリフィス13を閉鎖する。
ECUには、EDUの他に、CPU、ROM、RAM等を含んで構成される周知のマイクロコンピュータが内蔵されている。また、マイクロコンピュータは、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、ROM等のメモリ内に格納された制御プログラムに基づいて、エンジンの各気筒毎の燃焼室内への燃料噴射圧力、各インジェクタの燃料噴射時期(燃料噴射タイミング)、および各インジェクタからの燃料噴射量等を演算し、サプライポンプの電磁弁のコイルへの供給電流量(所謂ポンプ駆動電流)、および複数のインジェクタの各電磁弁のコイル15への供給電流量(所謂インジェクタ駆動電流)を電子制御する。
燃料噴射ノズルのハウジングは、コモンレールより分岐するインジェクタ配管の燃料流方向の下流端に接続される円筒状のロアボデー(第1ボデー)1と、エンジンの各気筒の燃焼室内に燃料噴射を行うノズル噴孔部を有する円筒状のノズルボデー(第2ボデー)2とを備え、リテーニングナット10をロアボデー1の軸線方向の図示下端側(ノズルボデー側)の外周に締め付けることで、ロアボデー1とノズルボデー2とが締結一体化されている。なお、ロアボデー1とノズルボデー2とは、ハウジングの軸線方向に2分割されている。
ここで、リテーニングナット10は、ロアボデー1の結合面(円環状の第1密着面)29および第1高圧シール部とノズルボデー2の結合面(円環状の第2密着面)30および第2高圧シール部との間に、弾性部材8および中間部材9を挟み込んだ状態で、ロアボデー1の外周に締め付け固定されている。
そして、ロアボデー1は、内部にコマンドピストン3が挿入される円筒形状のシリンダを有している。ロアボデー1の内部、つまりシリンダの中心軸線上には、オリフィスプレート11の密着面に液密的に密着する結合面(密着面)よりノズルボデー側へと真っ直ぐに延びるシリンダ孔(第1軸方向孔)33が設けられている。
このスプリング収容室35の内部には、ロッドプレッシャ7のバネ座面との間に所定の軸線方向隙間を隔てて対向するバネ座面を有するスプリングシート6が、シリンダ孔33の中間部分とスプリング収容室35との間に形成される段差面36に当接するように挿入されている。
ここで、圧力制御室21よりも燃料流方向の上流側は、入口側オリフィス12を介して、高圧燃料通路23に連通し、また、圧力制御室21よりも燃料流方向の下流側は、オリフィスプレート11の出口側オリフィス13を介して、電磁弁側のアーマチャ室16に連通している。そして、圧力制御室21は、内部に導入される燃料の油圧力が、ノズルニードル4の閉弁方向に作用する第1圧力室(背圧制御室、第1燃料室)としての機能を有している。
また、ロアボデー1のシリンダの中心軸線上から図示左寄りに外れた位置には、余剰燃料を燃料系の低圧側に排出するための燃料回収通路27が設けられている。この燃料回収通路27内に流入した余剰燃料は、電磁弁側のアーマチャ室16、トップリターンチューブのリークポート19およびリターン燃料配管を経て燃料タンクに戻される。
また、ロアボデー側の高圧燃料通路24の開口端近傍には、中間部材9の軸線方向の一端を圧入する第1圧入孔31が形成されている。この第1圧入孔31は、その上流側の高圧燃料通路24よりも孔径が大きい単純な丸穴形状の嵌合凹部である。そして、高圧燃料通路24の通路壁面には、ロアボデー1の第1高圧シール部側(ロアボデー1の結合面側)に、中間部材9の軸線方向の一方側の第1環状端面との間に、軸線方向の第1クリアランス39を形成する円環状の第1段差面が設けられている。
また、ロアボデー1の外周には、リテーニングナット10を締め付け固定するための雄ネジ部40が形成されている。
そして、ノズルボデー2の中心軸線方向の先端側(図示下端側)には、内部に円錐形状空間を形成する逆円錐形状のシート面(弁座部)41が設けられている。このシート面41は、ノズルニードル4の全閉位置を規定している。また、シート面41を有するブロック(ノズルボデー2の先端壁部)には、燃料噴射を行うノズル噴孔部(複数の噴射孔42)が設けられている。つまり、ノズル噴孔部は、ノズルボデー2の弁座部近傍に設けられている。
そして、ノズルボデー2の内部、つまりノズルボデー2の中心軸線上には、ロアボデー1の密着面に液密的に密着する密着面よりノズル噴孔部側へと真っ直ぐに延びるノズル孔(第2軸方向孔)43が設けられている。ノズルボデー2のノズル孔43の図示上端側には、単純な丸穴形状の摺動孔44が形成されている。
また、ノズルボデー2の内部には、中間部材9および2つの第1、第2高圧シール部から燃料溜まり室22へ斜めに延びる高圧燃料通路(第2高圧燃料通路)25が形成されている。また、ノズルボデー2のノズル孔43のうちで、燃料溜まり室22よりも図示下方側には、燃料溜まり室22からノズル噴孔部側へと真っ直ぐに延びる高圧燃料通路26が形成されている。
また、ノズルボデー側の高圧燃料通路25の開口端近傍には、中間部材9の軸線方向の他端を圧入する第2圧入孔32が形成されている。この第2圧入孔32は、その下流側の高圧燃料通路25よりも孔径が大きい単純な丸穴形状の嵌合凹部である。そして、高圧燃料通路25の通路壁面には、ノズルボデー2の第2高圧シール部側(ノズルボデー2の結合面側)に、中間部材9の軸線方向の他方側の第2環状端面との間に、軸線方向の第2クリアランス45を形成する円環状の第2段差面が設けられている。
そして、コマンドピストン3には、ロアボデー1に摺動自在に支持される摺動部46、およびこの摺動部46よりも外径が小さい軸方向部47が設けられている。なお、コマンドピストン3の摺動部46の摺動面は、ロアボデー1のシリンダ孔33の図示上方側に設けられる摺動孔34の孔壁面に対して摺動可能となっている。また、コマンドピストン3の摺動部46の図示上端部は、ノズルニードル4のフルリフト時に、圧力制御室21内の燃料圧力を受ける第1燃料受圧部となる。
また、コマンドピストン3の軸方向部47の先端面(図示下端面)には、ノズルニードル4のニードル頭部51の図示上端面と当接する円形状の当接面が設けられている。
そして、ノズルニードル4には、円柱形状のニードル頭部51、およびこのニードル頭部51よりも外径が大きい摺動部52が設けられている。なお、ノズルニードル4の摺動部52の摺動面は、ノズルボデー2のノズル孔43の図示上方側に設けられる摺動孔44の孔壁面に対して摺動可能となっている。
また、ノズルニードル4のニードル頭部51の外周には、スプリング5のスプリング荷重を受け止める座面を有するロッドプレッシャ7が嵌め合わされている。このロッドプレッシャ7は、ニードル頭部51の周囲に設けられる円環状の段差面53に常に当接している。
また、軸方向部54よりも図示下方側、つまりノズルニードル4の軸線方向の図示下端側には、概略2段または概略3段の円錐形状面が設けられている。なお、円錐形状面は、ノズルニードル4の燃料流方向の下流側の先端部(噴孔部側端部)に設けられる。そして、それらの円錐形状面間に設けられる円環状の稜線(エッジ)には、ノズルボデー2のシート面41に液密的に接触(着座)するシート部が設けられている。
そして、ノズルニードル4は、ノズルボデー2のノズル孔43とノズルニードル4の軸方向部54との間に所定のクリアランスを保って往復移動自在に収容されている。このクリアランスは、高圧燃料通路26として利用される。
このスプリング5としては、ロアボデー1の軸線方向に弾性変形が可能なコイルスプリング、特にロッドプレッシャ7を介して、ノズルボデー2のノズル噴孔部(複数の噴射孔42)を閉じる方向(閉弁方向)にノズルニードル4を常に付勢する圧縮コイルスプリング(等ピッチコイルスプリングまたは不等ピッチコイルスプリング)が採用されている。
なお、スプリング5の軸線方向の一端が、ロアボデー1のスプリング収容室35の段差面36に直接的に接続していても良い。また、スプリング5の軸線方向の他端が、ノズルニードル4の段差面53に直接的に接続していても良い。これらの場合には、ロアボデー1に設けられる段差面(第1座面)36とノズルニードル4に設けられる段差面(第2座面)56との間に形成される軸線方向隙間の軸線方向距離によってスプリング5の初期セット荷重が決定される。
そして、ロッドプレッシャ7は、スプリング5のスプリング荷重を受け止める座部(ノズルニードル4の座部)を構成している。そして、ロッドプレッシャ7の図示上端面には、スプリング5の軸線方向の他端を保持する円環状の第2座面が形成されている。また、ロッドプレッシャ7の第2座面は、スプリングシート6の第1座面との間に所定の軸線方向隙間を隔てて対向している。
そして、弾性部材8としては、スプリング5のスプリング荷重に対して変形しない程度の板バネや皿バネが採用されている。そして、弾性部材8は、ロアボデー1の外周にリテーニングナット10を締め付ける(締結する)ことで、ロアボデー1の第1密着面29とノズルボデー2の第2密着面30との間に挟み込まれて保持されている。
そして、弾性部材8は、ロアボデー1の最大外径部(最大外周部)およびノズルボデー2の最大外径部(最大外周部)に沿って配置されている。また、弾性部材8は、高圧燃料通路24、25の突き合わせ部(高圧シール部)、燃料回収通路27、シリンダ孔33(スプリング収容室35)およびノズル孔43(摺動孔44)よりも外部側の位置に配置されている。
ここで、本実施例では、ロアボデー1の最大外径部の外径がノズルボデー2の最大外径部の外径よりも大きいため、ロアボデー1の最大外径部の外径と弾性部材8の外径とが略同一で、ノズルボデー2の最大外径部の外径よりも弾性部材8の外径の方が大きい。
そして、本実施例の燃料噴射ノズルのハウジングは、ロアボデー1の第1密着面29と弾性部材8の第1シール面との間に形成される第1密閉シール面、およびノズルボデー2の第2密着面30と弾性部材8の第2シール面との間に形成される第2密閉シール面を有している。第1密閉シール面は、ロアボデー1、ロアボデー側の高圧燃料通路24および燃料回収通路27の軸線方向に対して垂直な半径方向に設けられる。また、第2密閉シール面は、ノズルボデー2、ノズルボデー側の高圧燃料通路25の軸線方向に対して垂直な半径方向に設けられる。
この中間部材9は、ロアボデー1の第1高圧シール部とノズルボデー2の第2高圧シール部との間に配設されている。特に、中間部材9は、ロアボデー側の高圧燃料通路24とノズルボデー側の高圧燃料通路25との突き合わせ部に配置されている。
そして、中間部材9は、内部に単純な丸孔形状の燃料中継通路61が形成された円筒部を有している。燃料中継通路61は、ロアボデー側の高圧燃料通路24とノズルボデー側の高圧燃料通路25とを連通する連通路である。
また、中間部材9の円筒部の軸線方向の他端は、ノズルボデー側の高圧燃料通路25(ノズルボデー2の第2圧入孔32)の内部に挿入されて、高圧燃料通路25の開口端側の通路壁面(第2圧入孔32の孔壁面)に圧入嵌合(締まり嵌め)されている。
すなわち、中間部材9は、ロアボデー1の第1高圧シール部(高圧燃料通路24)およびノズルボデー2の第2高圧シール部(高圧燃料通路25)にそれぞれ圧入されている。これにより、中間部材9は、ロアボデー側の高圧燃料通路24とノズルボデー側の高圧燃料通路25との突き合わせ部、つまりロアボデー1の第1高圧シール部とノズルボデー2の第2高圧シール部との間を液密的に密閉シールするシール部材としての機能を有している。
なお、中間部材9の第1環状端面とロアボデー1の第1段差面との間に形成される第1クリアランス39、あるいは中間部材9の第2環状端面とノズルボデー2の第2段差面との間に形成される第2クリアランス45のいずれか一方のクリアランスを廃止しても良い。
このリテーニングナット10は、弾性部材8を介して、ロアボデー1の第1密着面29とノズルボデー2の第2密着面30とを所定のネジ締結軸力(締結角度、締め付け力)で密着させて、ロアボデー1とノズルボデー2とを締め付けて結合させるナット部材である。
そして、リテーニングナット10には、ノズルボデー2の軸線方向の中間部に設けられる円環状の肩部62の荷重を受け止める円環状の座面を有する円筒部63、およびこの円筒部63の外周端より図示上方へと延びる円筒部64が設けられている。
この円筒部64は、段差65よりも図示下方側に小径部を有し、段差65よりも図示上方側に小径部よりも外径の大きい大径部を有している。また、円筒部64の大径部の内周には、ロアボデー1の雄ネジ部40と締結される雌ネジ部66が設けられている。
また、円筒部63の外周には、例えばトルクレンチやラチェットレンチ等の工具と係合する係合部67が設けられている。
次に、本実施例のスプリング5の初期セット荷重の調整方法を図1および図2に基づいて簡単に説明する。
トルクレンチやラチェットレンチ等の工具を、リテーニングナット10の係合部67に係合させて、ロアボデー1に対するリテーニングナット10の締結角度を変更(増加または減少)させる。
ここで、ロアボデー1に対するリテーニングナット10の締結角度を増加した場合、つまりロアボデー1の雄ネジ部40に対してリテーニングナット10の雌ネジ部66がより締まるように回した場合には、ロアボデー1の第1密着面29とノズルボデー2の第2密着面30との間に挟み込まれている弾性部材8がハウジングの軸線方向に弾性変形(収縮変形)する。
これによって、弾性部材8の弾性変形量(伸縮量、収縮量)に応じてギャップ37の幅(軸線方向距離、ギャップ長)が短縮される。これに伴って、スプリングシート6の第1座面とロッドプレッシャ7の第2座面との軸線方向隙間の軸線方向距離も、弾性部材8の弾性変形量(伸縮量、収縮量)に応じて、ギャップ37の幅の変化分だけ短くなる。
したがって、スプリングシート6の第1座面とロッドプレッシャ7の第2座面との間に介装されているスプリング5のスプリング長が調整または変更されるため、スプリング5の初期セット荷重が増加する側に変更される。これにより、インジェクタのノズル開弁圧力が高くなり、燃料噴射タイミングが遅くなる。
したがって、スプリングシート6の第1座面とロッドプレッシャ7の第2座面との間に介装されているスプリング5のスプリング長が調整または変更されるため、スプリング5の初期セット荷重が減少する側に変更される。これにより、インジェクタのノズル開弁圧力が低くなり、燃料噴射タイミングが早くなる。
次に、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムの作用を図1および図2に基づいて簡単に説明する。
一方、高圧燃料通路23の内部に流入した高圧燃料は、この高圧燃料通路23の途中で分岐したロアボデー側の高圧燃料通路24の内部に流入する。この高圧燃料通路24の燃料流方向の下流端に到達した高圧燃料は、中間部材9の燃料中継通路61およびノズルボデー側の高圧燃料通路25を経て、燃料溜まり室22の内部に流入する。これによって、ノズルニードル4は、圧力制御室21内の燃料圧力によって押し下げる方向(閉弁方向)の力を受けると共に、燃料溜まり室22内の燃料圧力によって押し上げる方向(開弁方向)の力を受けることになる。
したがって、当該インジェクタは、ノズルニードル4が閉弁した閉弁状態となり、エンジンの気筒の燃焼室内には燃料の噴射が成されない。
したがって、当該インジェクタは、エンジンの気筒の燃焼室内への燃料の噴射を開始する。
以上のように、本実施例のインジェクタの燃料噴射ノズルにおいては、インジェクタの各部品を組み付けた後に、燃料噴射ノズルのハウジング(ロアボデー1)の雄ネジ部40と締結される雌ネジ部66を有するリテーニングナット10の締結角度を変更することで、燃料噴射ノズルのロアボデー1、ノズルボデー2からリテーニングナット10を取り外すことなく、ロアボデー1の結合面とノズルボデー2の結合面との間に存在するギャップ37の幅を可変に制御可能となっている。
したがって、燃料噴射ノズルのロアボデー1、ノズルボデー2からリテーニングナット10を取り外すことなく、リテーニングナット10の締結角度を調整することで、スプリング5の初期セット荷重を容易に調整することができるので、インジェクタの各部品を組み付けた後の、スプリング5の初期セット荷重の調整作業を大幅に簡略化することができる。
これによって、インジェクタの燃料噴射ノズルを分解することなく、インジェクタのノズル開弁圧力および燃料噴射タイミングを外部調整することができるので、インジェクタの燃料噴射ノズルの燃料噴射特性(燃料噴射時期、燃料噴射量等の特性)の調整が容易となる。
本実施例では、本発明の燃料制御弁(内燃機関用燃料噴射弁または内燃機関用燃料噴射ノズル)を、コモンレールの内部に蓄圧した高圧燃料を、エンジンの各気筒の燃焼室内に噴射供給する蓄圧式燃料噴射装置に使用されるインジェクタ(例えば電磁式燃料噴射弁)に適用した例を説明したが、本発明の燃料制御弁を、列型燃料噴射ポンプや分配型燃料噴射ポンプ等の燃料噴射ポンプから燃料溜まり室の内部に直接圧送され、燃料溜まり室内の燃料圧力がスプリング(バネ)の付勢力(バネ荷重)よりも大きくなるとニードルが開弁して、エンジンの各気筒の燃焼室内に燃料を噴射供給する内燃機関用燃料噴射装置に使用される燃料噴射ノズル(内燃機関用燃料噴射ノズル)に適用しても良い。
2 ノズルボデー(燃料噴射ノズルのハウジング、第2ボデー)
4 ニードル(燃料噴射ノズルのバルブ、弁体)
5 スプリング(荷重付与手段)
6 スプリングシート(ハウジングの座面、第1ボデーの第1座面)
7 ロッドプレッシャ(バルブの座部、バルブの第2座面)
8 弾性部材(荷重調整手段)
9 中間部材(荷重調整手段)
10 リテーニングナット(荷重調整手段、ナット部材)
21 ロアボデーの圧力制御室
22 ノズルボデーの燃料溜まり室
24 ロアボデーの高圧燃料通路(第1高圧燃料通路)
25 ノズルボデーの高圧燃料通路(第2高圧燃料通路)
27 ロアボデーの燃料回収通路
29 ロアボデーの第1密着面(第1ボデーの結合面)
30 ノズルボデーの第2密着面(第2ボデーの結合面)
31 ロアボデーの第1圧入孔
32 ノズルボデーの第2圧入孔
33 ロアボデーのシリンダ孔(第1軸方向孔)
37 ギャップ
39 第1クリアランス
41 ノズルボデーのシート面(ハウジングの弁座部)
42 ノズルボデーの噴射孔(ハウジングの燃料孔)
43 ノズルボデーのノズル孔(第2軸方向孔)
45 第2クリアランス
61 中間部材の燃料中継通路
Claims (13)
- (a)燃料が通過する燃料孔を有するハウジングと、
(b)このハウジング内部に収容されて、前記燃料孔を開閉するバルブと、
(c)このバルブに対し前記バルブを全閉位置または全開位置に押し当てる方向に荷重を与えるスプリングと、
(d)このスプリングの初期セット荷重を調整する荷重調整手段と
を備えた燃料制御弁において、
前記ハウジングは、前記バルブおよび前記スプリングを収容する2つの第1、第2ボデーを有し、
前記荷重調整手段は、前記2つの第1、第2ボデー間に配置された弾性部材、およびこの弾性部材を介して、前記2つの第1、第2ボデーを締め付けて結合するナット部材を有していることを特徴とする燃料制御弁。 - 請求項1に記載の燃料制御弁において、
前記弾性部材は、前記第1ボデーまたは前記第2ボデーに前記ナット部材を締結することで、前記2つの第1、第2ボデー間に挟み込まれて保持されていることを特徴とする燃料制御弁。 - 請求項1または請求項2に記載の燃料制御弁において、
前記弾性部材は、前記2つの第1、第2ボデーの硬度よりも軟らかい材料によって形成されていることを特徴とする燃料制御弁。 - 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の燃料制御弁において、
前記2つの第1、第2ボデー間には、前記弾性部材の軸線方向の伸縮量に応じて軸線方向距離が変化するギャップが形成されていることを特徴とする燃料制御弁。 - 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の燃料制御弁において、
前記2つの第1、第2ボデーは、その軸線方向のギャップを隔てて対向する結合面をそれぞれ有し、
前記2つの第1、第2ボデーの各結合面のうちの少なくとも一方の結合面には、前記2つの第1、第2ボデーの中心軸線から外れた位置に高圧燃料通路および燃料回収通路が開口しており、
前記弾性部材は、前記高圧燃料通路および前記燃料回収通路よりも外部側の位置で、且つ前記2つの第1、第2ボデーの各結合面における最大外径部に沿って配置されていることを特徴とする燃料制御弁。 - 請求項5に記載の燃料制御弁において、
前記第1ボデーの結合面における最大外径部には、前記弾性部材の軸線方向の一端面に液密的に密着する環状の第1密着面が設けられており、
前記第2ボデーの結合面における最大外径部には、前記弾性部材の軸線方向の他端面に液密的に密着する環状の第2密着面が設けられていることを特徴とする燃料制御弁。 - 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の燃料制御弁において、
前記第1ボデーの内部には、高圧燃料を前記ハウジング内部に導入するための燃料入口部、およびこの燃料入口部から前記第1ボデーの結合面側へと延びる第1高圧燃料通路が形成されており、
前記第2ボデーの内部には、前記燃料孔、および前記第2ボデーの結合面から前記燃料孔側へと延びる第2高圧燃料通路が形成されていることを特徴とする燃料制御弁。 - 請求項7に記載の燃料制御弁において、
前記荷重調整手段は、前記第1高圧燃料通路と前記第2高圧燃料通路との突き合わせ部に、内部に前記第1高圧燃料通路と前記第2高圧燃料通路とを連通する燃料中継通路が形成された中間部材を有していることを特徴とする燃料制御弁。 - 請求項8に記載の燃料制御弁において、
前記中間部材は、前記第1高圧燃料通路または前記第2高圧燃料通路の通路壁面に圧入嵌合されていることを特徴とする燃料制御弁。 - 請求項9に記載の燃料制御弁において、
前記第1高圧燃料通路または前記第2高圧燃料通路の通路壁面には、前記中間部材との間に軸線方向のクリアランスを形成する段差面が設けられていることを特徴とする燃料制御弁。 - 請求項1ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載の燃料制御弁において、
前記バルブは、前記スプリングの荷重を受け止める座部を有し、
前記ハウジングは、前記座部との間に所定の軸線方向隙間を隔てて対向する座面を有し、
前記スプリングは、前記座部と前記座面との間に設置されていることを特徴とする燃料制御弁。 - 請求項1ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載の燃料制御弁において、
前記第1ボデーは、前記スプリングを収容する第1軸方向孔、およびこの第1軸方向孔の内部に設けられて、前記スプリングの軸線方向の一端が接続する第1座面を有し、
前記第2ボデーは、前記燃料孔、および前記バルブを収容する第2軸方向孔を有し、
前記バルブは、前記第1座面との間に所定の軸線方向隙間を隔てて対向し、前記スプリングの軸線方向の他端が接続する第2座面を有していることを特徴とする燃料制御弁。 - 請求項1ないし請求項12のうちのいずれか1つに記載の燃料制御弁において、
前記燃料孔は、内燃機関への燃料噴射を行う噴孔部であることを特徴とする燃料制御弁。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2006-12-27 JP JP2006351607A patent/JP2008163772A/ja active Pending
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