JP6613627B2 - 核酸増幅の成否判定方法、及び核酸増幅の検査キット - Google Patents
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Description
PCR法では、2種類の異なるプライマー、すなわちフォワードプライマーとリバースプライマーからなるプライマーセットが使用され、これらを起点として核酸合成酵素により塩基が繋ぎ合わされて、プライマーセットに特有の大きさの増幅産物が生成される。そして、増幅産物の大きさを電気泳動法などによって測定することにより、その増幅産物に対応する生物の種類等が特定される。
このようにPCR自体が成功したか否かを確認可能にすることで、陰性の結果がでた場合に、それがPCRの失敗によるものではなく、試料が存在しなかったことによるものであることを確認することが可能となった。
このような人工合成DNAと人工合成DNA検出用プライマーを内部標準として利用すれば、PCRに用いるプライマーの種類数をさらに減らしてPCR自体が成功したか否かを確認でき、非特異的な増幅産物が生じる可能性を一層低減することが可能となる。
本実施形態に係る核酸増幅方法は、PCR法による核酸増幅方法であって、プライマーセットとして同一の塩基配列からなるフォワードプライマーとリバースプライマーを用いると共に、核酸増幅対象の試料として、試料のDNAの二本鎖のそれぞれに、プライマーセットの増幅対象領域を隔てて前記同一の塩基配列もしくは前記増幅対象領域を増幅可能な相同性を有する塩基配列が存在するものを用いて、1種類のプライマーで増幅対象領域における核酸を増幅させることを特徴とする。
本明細書及び図面において、塩基配列は、5’末端から3’末端方向に把握するものとする。
このようなフォワードプライマーとリバースプライマーとしては、検出対象の試料のDNAにおける増幅対象領域を特異的に増幅可能なものが設計されるため、通常は互いに異なる塩基配列からなり、一般にPCRには検出対象の試料ごとに2種類のプライマーが必要であると考えられている。
すなわち、本実施形態に係る核酸増幅の成否判定方法は、PCR法による核酸増幅の検査方法であって、検出対象の試料と、検出対象の試料のDNAにおける第一の増幅対象領域を増幅するための第一のプライマーセットと、同一の塩基配列からなるフォワードプライマーとリバースプライマーを備えた第二のプライマーセットと、内部標準用のDNAの二本鎖のそれぞれに、第二のプライマーセットにより増幅される第二の増幅対象領域を隔てて前記同一の塩基配列もしくは前記第二の増幅対象領域を増幅可能な相同性を有する塩基配列を挿入して得られた人工合成DNAとを用いて、第一のプライマーセットによって、第一の増幅対象領域における核酸を増幅させると共に、第二のプライマーセットによって、第二の増幅対象領域における核酸を増幅させ、当該第二の増幅対象領域における核酸の増幅産物の有無にもとづいて、核酸増幅の成否を判定することを特徴とする。
同図の左側には、試料のDNAにおける増幅対象領域を増幅させるための2種類のプライマーからなる試料検出用プライマーと、人工合成DNAにおける増幅対象領域を増幅させるための1種類のプライマーからなる人工合成DNA検出用プライマーとを含むPCR反応液を用いて、それぞれの増幅対象領域を1つのPCR反応液で同時に増幅させる場合の増幅反応の結果を示している。
すなわち、このような核酸増幅の検査キットを用いることによって、非特異的な増幅産物が生じる可能性を低減しつつ、PCRの成否を確認可能なPCR反応液を作成することが可能となる。
まず、検出対象の微生物などが培養された培養液等を回収し、遠心分離を行う。次に、上清を廃棄し、得られた沈殿にリゾチーム溶液を加えて、溶菌処理を行う。さらに、カラム精製を行って、DNA抽出液を得ることができる。そして、このDNA抽出液を、PCRで使用する試料とすることができる。
PCR反応を行う装置としては、一般的なサーマルサイクラーなどを用いることができる。
(a)94℃ 2分、(b)94℃(DNA変性工程) 30秒、(c)63℃(アニーリング工程) 30秒、(d)72℃(DNA合成工程) 60秒((b)〜(d)を35サイクル)、(e)72℃ 3分
また、このようにして増幅可能な人工合成DNAと人工合成DNA検出用プライマーを内部標準として利用することで、試料検出のためのPCRを行うに際し、使用するプライマーの種類数を少なくしつつ、PCR自体が成功したか否かを確認することが可能になる。
本実施形態の核酸増幅方法を用いて、1種類のみのプライマーを用いて、増幅対象の試料のDNAにおける増幅対象領域を増幅できるかを確認するための検証試験を行った。
増幅対象の試料のDNAとしては、図2の配列番号1に示す塩基配列及びその相補配列からなる二本鎖の人工合成DNAを、10^7copy/μlで使用した。また、その増幅対象領域を増幅するためのプライマーとして、図2の配列番号2に示す塩基配列からなる人工合成DNA検出用プライマーを使用した。これらは、ライフテクノロジージャパン株式会社より合成した。
・核酸合成基質 dNTP Mixture(dATP、dCTP、dGTP、dTTP各2.5mM) 4.0μl
・16SrRNA検出用フォワードプライマー(10μM) 1.25μl
・16SrRNA検出用リバースプライマー (10μM) 1.5μl
・rpo検出用フォワードプライマー(10μM) 0.2μl
・rpo検出用リバースプライマー (10μM) 0.3μl
・人工合成DNA検出用プライマー (10μM) 0.4μl
・核酸合成酵素 EX Taq Hot Start Version (5U/μl) 0.25μl
・人工合成DNA 2.5μl
・滅菌水 34.6μl
(全量 50μl)
(a)94℃ 2分
(b)94℃ 30秒(DNA鎖の乖離工程)
(c)63℃ 30秒(アニーリング工程)
(d)72℃ 60秒(DNA合成工程)
(e)72℃ 3分
(b)〜(d)を35サイクル
同図において、人工合成DNAの増幅産物を示す578bp付近にバンドが示された。
したがって、本実施形態の核酸増幅方法を用いて、1種類のみのプライマーを用いて、増幅対象の試料のDNAにおける増幅対象領域を増幅できることが確認された。
本実施形態の核酸増幅の成否判定方法、及び核酸増幅の検査キットを用いて、検出対象の試料のDNAと人工合成DNAにおける各増幅対象領域を一つの反応液を用いて同時に増幅させ、その増幅産物の有無を確認するための検証試験を行った。
検出対象の試料としては、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum) NBRC15891を、10ng/μl(菌数換算で10^8〜10^9程度)で使用した。
まず、5000×gで10分間の遠心分離を行った。次に、上清を廃棄し、得られた沈殿に、20mg/mL濃度のリゾチーム溶液(20mM Tris−HCl,pH8.0/2mM EDTA,1.2%TritonX−100)を加えて、37℃で30分間溶菌処理を行った。さらに、DNeasy Blood&Tissue Kit(株式会社キアゲン製)を用いて、カラム精製を行うことにより、DNA抽出液を得た。
・緩衝液 10×Ex Taq buffer(20mM Mg 2+ plus) 5.0μl
・核酸合成基質 dNTP Mixture(dATP、dCTP、dGTP、dTTP各2.5mM) 4.0μl
・16SrRNA検出用フォワードプライマー(10μM) 1.25μl
・16SrRNA検出用リバースプライマー (10μM) 1.5μl
・rpo検出用フォワードプライマー(10μM) 0.2μl
・rpo検出用リバースプライマー (10μM) 0.3μl
・人工合成DNA検出用プライマー (10μM) 0.4μl
・核酸合成酵素 EX Taq Hot Start Version (5U/μl) 0.25μl
・人工合成DNA 2.5μl
・検出対象の試料のDNA 2.5μl
・滅菌水 32.1μl
(全量 50μl)
したがって、本実施形態の核酸増幅の成否判定方法、及び核酸増幅の検査キットを用いて、検出対象の試料のDNAと人工合成DNAにおける各増幅対象領域を同時に増幅させて、増幅産物が得られることが確認された。
Claims (4)
- PCR法による核酸増幅の検査方法であって、
検出対象の試料と、
前記検出対象の試料のDNAにおける第一の増幅対象領域を増幅するための第一のプライマーセットと、
同一の塩基配列からなるフォワードプライマーとリバースプライマーを備えた第二のプライマーセットと、
内部標準用のDNAの二本鎖のそれぞれに、前記第二のプライマーセットにより増幅される第二の増幅対象領域を隔てて前記同一の塩基配列と相補的な塩基配列、もしくは、前記第二の増幅対象領域を増幅可能な前記同一の塩基配列と相同性を有する塩基配列と相補的な塩基配列、を挿入して得られた人工合成DNAと、を用いて、
前記第一のプライマーセットによって、前記第一の増幅対象領域における核酸を増幅させると共に、
前記第二のプライマーセットによって、前記第二の増幅対象領域における核酸を増幅させ、当該第二の増幅対象領域における核酸の増幅産物の有無にもとづいて、核酸増幅の成否を判定する
ことを特徴とする核酸増幅の検査方法。 - 前記第二のプライマーセットとして、前記第一のプライマーセットにおけるいずれか一方のプライマーの塩基配列と、それぞれ同一の塩基配列からなるフォワードプライマーとリバースプライマーを用いる
ことを特徴とする請求項1記載の核酸増幅の検査方法。 - 同一の塩基配列からなるフォワードプライマーとリバースプライマーを備えたプライマーセットと、
内部標準用のDNAの二本鎖のそれぞれに、前記プライマーセットにより増幅される増幅対象領域を隔てて前記同一の塩基配列と相補的な塩基配列、もしくは、前記増幅対象領域を増幅可能な前記同一の塩基配列と相同性を有する塩基配列と相補的な塩基配列、を挿入して得られた人工合成DNAと、を含むことを特徴とする核酸増幅の検査キット。 - 前記同一の塩基配列が、検出対象の試料のDNAにおける増幅対象領域を増幅するためのプライマーセットのいずれか一方の塩基配列と同一の塩基配列、もしくは、前記増幅対象領域を増幅可能な前記プライマーセットのいずれか一方の塩基配列と相同性を有する塩基配列、であることを特徴とする請求項3記載の核酸増幅の検査キット。
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JP2015108920A JP6613627B2 (ja) | 2015-05-28 | 2015-05-28 | 核酸増幅の成否判定方法、及び核酸増幅の検査キット |
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JP2016220589A JP2016220589A (ja) | 2016-12-28 |
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