JP6613484B2 - 熱転写加飾方式に用いる熱転写記録媒体 - Google Patents

熱転写加飾方式に用いる熱転写記録媒体 Download PDF

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Description

本発明はガラス等の透明な受像体に熱転写した側の反対面から見て着色された金属光沢を有する熱転写記録物を得る熱転写加飾方式に用いる熱転写記録媒体に関する。
従来、熱転写記録装置を用いて着色された金属光沢を有する画像を得る方式としては、例えば特許文献1に紹介された方式がある。これによるとまず金属蒸着層を設けた熱転写記録媒体にて先に画像を転写し、その上から着色層を設けた熱転写記録媒体で画像を重ね転写し、着色された金属光沢を有する画像を得ている。
近年、スマートフォンやタブレット端末等の平面ディスプレイからなる機器において、ディスプレイ表面から見たときにメーカーロゴや機種名等を金属光沢を有する画像で表示すべく、全ての画像を熱転写記録媒体を用いて画像を転写したいという潜在的ニーズがある。
この方式では以下のようなメリットがある。すなわち
1.画像を転写する装置としてサーマルヘッドを用いた熱転写記録装置を使用すると、画像パターンを自由に設定できるので小部数の作成に有利である。
2.着色層を設けた熱転写記録媒体と、金属光沢層を設けた熱転写記録媒体を別にすることで、画像デザインの自由度が上がる。例えばメーカーロゴを金色、機種名を銀色とする等の画像を簡便に得ることが出来る。
3.透明な受像体の転写を行わなかった側を機器の表側とすることで、前記特許文献1に記載の方式に比べて前記金属光沢を有する画像は機器の内側となり、汚れたり、破損を受けるたりすることが無く、長い期間美観を保つことが出来る。
前記メリットが得られる観点から、本発明者は従来公知の熱転写記録媒体を用いて、以下の熱転写加飾方式を検討した。
1) ガラス等の透明な受像体に、基材の上に少なくとも着色層を設けた第1の熱転写記録媒体を用いて画像を転写する。
2) 前記画像の上に、基材の上に少なくとも離型層、金属蒸着層、接着層をこの順で設けた第2の熱転写記録媒体を用いて画像を重ね転写する。
3) さらに前記画像の上に、基材の上に少なくとも黒色隠蔽層を設けた第3の熱転写記録媒体で画像を重ね転写する。場合によっては、さらに別の熱転写記録媒体にて画像を重ね転写する。この目的は、前記の透明な受像体を、転写を行った面の反対側の面から見た場合に、光が第1、第2の熱転写記録媒体にて形成された画像を透過してしまって金属光沢が弱くなることを防ぐ目的で、第2の熱転写記録媒体の上に熱転写にて重ねて転写を行うものである。
4) 前記の透明な受像体を転写を行なった面の反対側の面から見ることで、着色された金属光沢画像を得る。
しかしながら、前記の第1の熱転写記録媒体として、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に着色層としての色材含有接着層を設けてなる従来公知の熱転写記録媒体を用いた場合、着色層としての色材含有接着層を転写した画像の上から第2の熱転写記録媒体で重ね転写を行う際や、さらにその上から第3の熱転写記録媒体で重ね転写した際に、着色層としての色材含有接着層表面が重ね転写を行う際の熱によりダメージを受けて細かな凹凸状態になり、金属光沢がくすんだように見える問題が生じた。
一方、特許文献1における方式においては、先ず最初に、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に離型層、アンカー層、金属蒸着層、接着層をこの順に設けてなる熱転写記録媒体を用いて熱転写にて画像を形成させた後、着色層を有する熱転写記録媒体を用いて熱転写にて画像を形成させる。すなわち下地が硬い画像上に、熱により溶融しやすい画像を形成させるため、本加飾方式と異なり最終画像において、金属光沢がくすんだように見える問題が生じ難い。
しかしながら、特許文献1における方式では、まず受像体に金属光沢のある画像を転写し、その上から着色層を重ね転写するため、受像体側には着色されていない金属光沢層が面する事になる。このため透明な受像体に転写を行って反対側から見る方式では、着色された金属光沢画像を得られない。転写を行った側から見ると着色した金属光沢画像を得ることができるが、前記の3.のメリットは得られず、転写物の美観を長く保つことが困難である。
そこで本発明者は、鋭意研究を行った結果、前記の第1の熱転写記録媒体として、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも耐熱性剥離層および色材含有接着層をこの順に設けてなる熱転写記録媒体を用いることで、本発明の熱転写加飾方式においても、金属光沢がくすむ現象をなくすことができる事を見出し、本発明を完成した。
特開平9−39399
ガラス等の透明な受像体に、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも着色層としての色材含有接着層を設けた第1の熱転写記録媒体を用いて熱転写にて画像を形成した後、その上に基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも離型層、金属蒸着層、接着層をこの順に設けてなる第2の熱転写記録媒体を用いて熱転写にて画像を形成し、さらに、その上に、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも黒色隠蔽層を設けた第3の熱転写記録媒体を用いて熱転写にて重ねて画像を形成し、前記の透明な受像体を、転写を行った面の反対側の面から見たときに着色された金属光沢画像を得る熱転写加飾方式において、第2の熱転写記録媒体や、第3の熱転写記録媒体にて画像を重ね転写した場合でも金属光沢が熱によるダメージでくすまない、第1の熱転写記録媒体を提供する。
第1発明は、透明な受像体に、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも着色層を設けた第1の熱転写記録媒体を用いて熱転写にて画像を形成した後、その上に、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも離型層、金属蒸着層、接着層をこの順に設けた第2の熱転写記録媒体を用いて熱転写にて重ねて画像を形成し、さらに、その上に、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも黒色隠蔽層を設けた第3の熱転写記録媒体を用いて熱転写にて重ねて画像を形成し、前記の透明な受像体を、転写を行った面の反対側の面から見た場合に着色された金属光沢を有する熱転写記録物を得ることを特徴とする熱転写加飾方式において、前記第1の熱転写記録媒体が、前記他方の面に少なくとも耐熱性剥離層、色材含有接着層をこの順で設けてなる熱転写記録媒体であることを特徴とする熱転写記録方法である。
第2発明は、前記第1の熱転写記録媒体の前記耐熱性剥離層が無機粒子と結着剤樹脂からなり、前記無機粒子の含有量が前記耐熱性剥離層中35重量%〜80重量%であり、かつ前記耐熱性剥離層の全光線透過率が80%以上であることを特徴とする第1発明に記載の熱転写記録方法である。
第3発明は、前記無機粒子がシリカ粒子であることを特徴とする第2発明に記載の熱転写記録方法である。
第4発明は、前記第1の熱転写記録媒体の前記耐熱性剥離層の表面がコロイド状シリカゾル液で表面処理され、その上に前記色材含有接着層が設けられていることを特徴とする第2発明または第3発明のいずれかに記載の熱転写記録方法である。
本発明の耐熱性剥離層と色材含有接着層を有する第1の熱転写記録媒体により画像を形成し、その画像の上に、金属蒸着層を設けた第2の熱転写記録媒体や、さらに黒色隠蔽層を設けた第3の熱転写記録媒体にて画像を熱転写で重ね転写した場合でも、転写時の熱で第1の熱転写記録媒体の画像表面が変形しにくくなり、金属光沢がくすむ現象をなくすことができた。
本発明の加飾方式に用いられる、前記第1の熱転写記録媒体は、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも耐熱性剥離層および色材含有接着層をこの順に設けてなる熱転写記録媒体であり、前記第2の熱転写記録媒体は、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも離型層、金属蒸着層、接着層をこの順に設けてなる熱転写記録媒体であり、前記第3の熱転写記録媒体は、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも黒色隠蔽層を設けた熱転写記録媒体である。
(受像体)
本発明における透明な受像体は、スマートフォンやタブレット端末等の平面ディスプレイからなる機器においてディスプレイ表面に設置されるため、視認性かつ耐久性が必要である。このため透明かつ硬質であることが好適である。また、機器の薄型化の傾向よりなるべく薄いことが好ましい。具体的には厚さが0.3〜1.0mm程度の硬質ガラス板や、アクリル系樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明な硬質プラスチック板等が好適に用いられる。
(基材)
本発明の前記第1の熱転写記録媒体、前記第2の熱転写記録媒体、前記第3の熱転写記録媒体に使用される基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルムその他この種の熱転写記録媒体の基材用フィルムとして一般に使用されている各種のプラスチックフィルムが使用できる。また、コンデンサーペーパーのような高密度の薄い紙も使用できる。基材の厚さは通常は1〜10μm程度であり、熱伝達を良好にする為には、1〜6μmの範囲が好ましい。
(耐熱滑性層)
本発明の前記第1の熱転写記録媒体、前記第2の熱転写記録媒体、前記第3の熱転写記録媒体に使用される耐熱滑性層の材料としては、熱転写記録媒体で従来より採用されているものが特に制限無く使用でき、たとえばシリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ニトロセルロース樹脂等の耐熱性樹脂、前記耐熱性樹脂で他の樹脂を変性した耐熱性樹脂(たとえばシリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂等)などの1種または2種以上からなるものがあげられるが、サーマルヘッドに対する耐熱性、高温時での動摩擦係数を下げる点やコストの観点より、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、またはその混合物が特に好ましい。
また、本発明の耐熱滑性層には、滑剤を配合してもよい。滑剤としては、たとえばシリコーンオイル類(たとえばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、フッ素含有シリコーンオイル、およびエポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、ポリエーテル変性などの各種変性シリコーンオイルなど)、アスパラギン酸エステル類、フッ素系界面活性剤、リン酸エステル類、パラフィンワックス、高級脂肪酸アミド類、エステル類および金属塩などの液体状態で滑性を示すものなどがあげられる。
本発明の耐熱滑性層には、帯電防止剤などその他の添加剤を配合してもよい。
本発明の耐熱滑性層は、前記成分を適宜の溶剤に溶解、分散してえられる塗工液を塗工、乾燥することによって形成できる。耐熱滑性層の塗工厚み(乾燥後塗工厚み、以下同様)は、良好なステイック防止効果を達成しかつ熱伝導の悪化を防止する観点から、0.05〜 0.8μmの範囲が適当である。耐熱滑性層の厚みが0.05μm未満では、耐熱性が不十分で転写時にサーマルヘッドの熱でヘッドに貼り付くスティックを起したり、熱で記録媒体が基材ごと溶融して転写不可能となることがある。0.8μmを超えた場合は、熱伝導が悪化して転写に支障をきたすことがある。
(第1の熱転写記録媒体)
(色材含有接着層)
本発明の第1の熱転写記録媒体の色材含有接着層としては、熱溶融性ないし熱軟化性のビヒクルと着色剤とからなる従来から知られている感熱転写インク層がとくに制限無く使用できる。前記ビヒクルとしては、熱可塑性樹脂を単独で使用してもよく、または2種以上併用して使用してもよい。また、種々の目的のために添加剤を適宜使用してもよい。
前記熱可塑性樹脂(エラストマーを含む)としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酪酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−アクリロニトリル共重合体、エチレンアクリルアミド共重合体、エチレン−スチレン共重合体などのエチレン系共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体などの塩化ビニル系(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アセトフェノン−ホルムアルデヒド系樹脂、セルロース系樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、イソプレン重合体、クロロプレン重合体、石油系樹脂、スチレン系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂などがあげられる。これら樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤などがあげられる。
前記着色剤としては、熱転写記録媒体の着色層で一般に使用されている有機、無機の着色顔料、染料などが使用できるが、着色された金属光沢のある画像を得るためには前記色材含有着色層の光透過性が良いことが求められるため、染料や有機の着色顔料が好適である。着色剤の色材含有着色層中における含有量は、20〜60重量%が適当である。
前記色材含有接着層の厚みは0.2〜2.0μmの範囲が好適である。厚みが0.2μm未満の場合は、十分な着色力が得られづらい。厚みが2.0μmより厚いと転写性が損なわれる傾向がある。
(耐熱性剥離層)
前記第1の熱転写記録媒体の耐熱性剥離層は、無機粒子と結着剤樹脂からなる。
本発明の第一の熱転写記録媒体の耐熱性剥離層は、耐熱性のみならず、機能上透明性が要求されるため、無機粒子としては、非着色性の金属酸化物粒子が好ましい。金属酸化物粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化セリウム、酸化ニオブなどが使用でき、かつその平均粒径は100nm以下で、粒径はより小さいものが好ましい。そして耐熱性剥離層としての全光線透過率は少なくとも80%以上が好ましい。
前記金属酸化物粒子と結着剤樹脂よりなる耐熱性剥離層のための塗工液としては、分散用装置を用いて溶液中で金属酸化物粒子を分散して使用することも可能であるが、工程面からすれば、前記金属酸化物粒子のコロイドゾル液を使用することが簡便である。前記具体例に挙げた金属酸化物粒子のコロイドゾル液はいずれも市販されている。一方、これら金属酸化物粒子ゾル液は、シリカやアルミナ以外は一般に高価である。したがって、本発明に用いる金属酸化物粒子ゾル液としては、コスト面からシリカやアルミナのコロイドゾル液を使用することが好ましい。また、コロイドゾル液の分散溶媒として市販されているものは一般には水系が多い。水系の場合には後述する前記結着剤樹脂は、水溶性樹脂やディスパージョンタイプの結着剤樹脂が選択される。一方、コロイドゾル液の分散溶媒が有機溶媒の場合は、結着剤樹脂を溶解状態で使用することが可能となるため樹脂の選択範囲が広がる利点がある。本発明に使用の金属酸化物粒子としてはコスト面および前記観点から、水性コロイドゾルのみならず、各種有機溶媒のコロイド状オルガノゾルが容易に入手可能なシリカ粒子を用いるのがより好ましい。
前述したごとく、耐熱性剥離層の透明性の観点からは、金属酸化物粒子の粒径は、小さいほど好ましい。好ましくは、50nm以下、より好ましくは30nm以下である。また、本発明の熱転写加飾方式の前記くすみの問題点解消面および熱転写時の切れ性からは、金属酸化物粒子の前記耐熱性剥離層中に占める比率は高いほど好ましい。しかしながら、熱転写記録媒体としての剥離層の機能面からは、耐熱性剥離層は適切な基材密着性と転写時の基材からの離型性の両立および熱感度を低下させないことが要求される。これらを満たす観点から、前記金属酸化物粒子の含有量が前記耐熱性剥離層中35重量%〜80重量%であることが好ましい。含有量が35重量%未満では、前記くすみの問題点解消の効果が低い。また一般に前記金属酸化物粒子の含有量が多くなるほど耐熱性および転写時の切れ性が良化する傾向にあるが、80重量%を超えると、前記耐熱性剥離層の基材密着性が低下して前記耐熱性剥離層が基材から剥がれやすくなり、前記熱転写記録媒体の取り扱いが難しくなる。
前記耐熱性剥離層の他の構成成分である結着剤樹脂としては、従来公知の樹脂が使用できるが、耐熱性剥離層としては、前述のごとく、非転写時には耐熱性剥離層と基材の密着性が強く、熱転写時には耐熱性剥離層の剥離性が高いという機能が要求される。この観点から、結着剤樹脂としては、樹脂自体の耐熱性、硬度、透明性に優れたアクリル系樹脂と、非転写時の耐熱性剥離層と基材の密着性が劣るアクリル系樹脂の問題点を改良するための密着性付与剤樹脂から構成されることが好ましい。
アクリル系樹脂の例としては、ポリメタアクリル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチルやこれらの共重合体が好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量Mwは500,000以下が好ましい。Mwが500,000を超えると樹脂の凝集力が上がって、転写時に切れにくくなり転写不良を起こすおそれがある。
前記密着性付与剤樹脂としては軟化点が180℃以下の公知のものが使用可能であり、例えば、エポキシ樹脂、脂環族炭化水素樹脂、ケトン樹脂、スチレン系樹脂、ロジン系樹脂、ポリエステル樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノール樹脂やこれらの変性樹脂などが好適に用いられる。特に、ポリエステル樹脂やケトン樹脂、ポリエステル樹脂とケトン樹脂を混合したものが好ましい。
前記耐熱性剥離層の厚みは乾燥状態で0.1〜1.0μmが好適である。厚みが0.1μm未満では耐熱性の効果が得られづらい。厚みが1.0μmを超えると転写感度低下する傾向がある。
前記耐熱性剥離層固形分中の前記アクリル系樹脂の含有量が15重量%〜60重量%であり、前記密着性付与剤樹脂の含有量が、1重量%〜30重量%であることが、耐熱性剥離層の課題を達成するために好ましい。より好ましくは前記アクリル系樹脂の含有量が15重量%〜45重量%、前記密着性付与剤樹脂の含有量が5重量%〜20重量%の範囲である。
更に、前記耐熱性剥離層は、耐熱性をさらに向上させる目的で、その表面をコロイド状金属酸化物粒子ゾル液で表面処理をし、耐熱性剥離層表面近傍のみを、金属酸化物粒子の結着剤樹脂に対する比率をよりあげることは、本発明の熱転写加飾方式の前記くすみの問題点の解消をより良くすることと前記耐熱性剥離層の適切な基材密着性と転写時の基材からの離型性を維持させることにおいて、より良好である。表面処理用のコロイド状金属酸化物粒子ゾル液としては、水性ゾル液でもよいが、塗工液の耐熱性剥離層面への濡れ性や密着性向上の面から、有機溶媒分散系がより好ましい。この観点からも、コロイド状金属酸化物粒子ゾル液としては、コロイド状オルガノゾル液がより好ましい。コロイド状金属酸化物粒子ゾル液よりなる塗工液中には、前記表面処理の効果を損なわない程度に樹脂やシランカップリング剤などの添加物を加えてもよい。コロイド状金属酸化物粒子ゾル液での表面処理量としては、金属酸化物粒子の乾燥重量で0.05〜0.50g/mが好ましい。0.05g/m未満では均一処理が難しい。0.50g/mを超えると熱転写時の感度が低下する場合がある。
(第2の熱転写記録媒体)
本発明における金属蒸着層を設けた第2の熱転写記録媒体は、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも離型層、金属蒸着層、接着層をこの順に設けた熱転写記録媒体であり、従来より公知の熱転写記録媒体の使用が可能である。
前記離型層、接着層の材料としては熱溶融性ないし熱軟化性のビヒクルからなる従来から知られている感熱転写インク層がとくに制限無く使用できる。前記ビヒクルとしては、熱可塑性樹脂、ワックス類を単独で使用してもよく、または2種以上併用して使用してもよい。前期熱可塑性樹脂としては前記第1の熱転写記録媒体における前記着色層説明で掲げた熱可塑性樹脂を単独で使用してもよく、または2種以上併用して使用してもよい。また、添加剤として前記着色層説明で掲げたものを適宜利用できる。
また、前記第2の熱転写記録媒体には、金属蒸着層を蒸着して設ける際の熱による基材、離型層のダメージを防ぐために、離型層と金属蒸着層の間に耐熱性のあるアンカー層を設けても良い。また、金属蒸着層と接着層の間には、特開2010−5969号公開公報に記載の中間層を設けてもよい。
また、前記アンカー層としては、従来から金属蒸着層を設けた熱転写記録媒体において用いられているアンカー層が特に制限無く使用できる。前記アンカー層を構成する材料としては、例えば、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸アミド等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のビニル系樹脂、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンオキシド等のポリエーテル系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース樹脂、エチルセルロース樹脂等の樹脂が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、耐熱性を確保する点から、前記樹脂をイソシアネート等の架橋剤で架橋硬化させることが好適である。前記アンカー層の厚みは、金属蒸着の下地としての機能を果たす意味から0.2〜2.0μmの範囲が好適である。厚みが0.2μm未満の場合は、本来の機能が発揮されにくい。2.0μmより厚いと転写性が損なわれる傾向がある。
前記金属蒸着層としては、従来から金属蒸着層を設けた熱転写記録媒体において用いられている金属蒸着層が特に制限無く使用できる。
前記金属蒸着層の金属としては、アミルニウム、亜鉛、錫、ニッケル、クロム、チタン、銅、銀、金、白金などの単体、混合物、合金などが使用できるが、アルミニウムや錫が好ましく用いられる。金属蒸着層は真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理蒸着法や化学蒸着法などにより形成できる。
金属蒸着層の厚みは、高光沢の金属光沢を得る点から、10〜100nmが好ましく、15〜80nmの範囲がより好ましい。厚みが10nm未満では光沢感が得られる程に可視光線を反射しなくなる。厚みが100nmを越えると転写時の箔切れが悪くなり、転写感度が低下する。
(第3の熱転写記録媒体)
本発明における黒色隠蔽層を設けた第3の熱転写記録媒体は、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも黒色隠蔽層を設けた熱転写記録媒体である。
本発明における黒色隠蔽層を設けた第3の熱転写記録媒体で画像形成を行う目的は、透明な受像体に、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも着色層を設けた第1の熱転写記録媒体を用いて画像を形成した後、その上に、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも離型層、金属蒸着層、接着層をこの順に設けてなる第2の熱転写記録媒体を用いて重ねて画像を形成した状態で前記の透明な受像体を、転写を行った面の反対側の面から見た場合に、光が第1、第2の熱転写記録媒体にて形成された画像を透過してしまって金属光沢が弱くなることを防ぐ目的で行うものであり、本方式特有のものである。
前記黒色隠蔽層としては、熱溶融性ないし熱軟化性のビヒクルと着色剤とからなる従来から知られている感熱転写インク層がとくに制限無く使用できる。前記ビヒクルとしてはたとえば、前記第1の熱転写記録媒体の色材含有接着層で挙げられた熱可塑性樹脂、ワックス類を単独で使用してもよく、または2種以上併用して使用してもよい。また、種々の目的のために添加剤を適宜使用してもよい。
前記黒色隠蔽層の着色剤としては、前記目的を達成するために光透過率の低い黒色着色剤が好適に用いられる。例えばカーボンブラック、チタンブラック、ペリレンブラック等の黒色顔料や黒色染料、各種有機顔料や染料を混合して黒色としたものなどが挙げられるが、光透過率やコストの点からカーボンブラックが好適である。着色剤の着色隠蔽層層中における含有量は20〜60重量%が適当である。
前記黒色隠蔽層の厚みは、0.5〜2.5μmが好適である。厚みが0.5μm未満では、本来の機能が発揮されにくい。2.5μmより厚いと転写性が損なわれる傾向がある。
また、前記第3の熱転写記録媒体は、必要に応じて基材と黒色隠蔽層の間に離型層を、黒色隠蔽層の上に接着層を設けても良い。前記離型層、接着層には熱溶融性ないし熱軟化性のビヒクルからなる従来から知られている感熱転写インク層がとくに制限無く使用できる。
本発明を、以下の実施例1〜、比較例1〜2を用いて、更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
(耐熱性剥離層作製)表1に記載の組成を混練して耐熱性剥離層塗工液を作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.3μmになるよう調整して前記基材上に塗工、乾燥させて耐熱性剥離層を作製した。なお、比較例2は耐熱性剥離層を設けなかった。
(耐熱性剥離層表面処理)
下記処方の材料を混合して表面処理液を作成し、表1における組合せにて前記耐熱性剥離層上に1.5g/mの量で塗工、乾燥させて表面処理を行った。
コロイド状シリカゾル液(粒子径10〜15nm、MEK分散体、固形分30%)
10部
溶剤(MEK) 20部
(色材含有接着層作製)下記処方の材料を混練して色材含有接着層塗工液を作製し、乾燥後の厚みが0.4μmになるよう調整して前記耐熱性剥離層上に塗、乾燥させて色材含有接着層を耐熱性剥離層上に積層して作製した。
ポリエステル樹脂(軟化点110℃) 42部
ポリメチルメタクリレート樹脂(Tg105℃、重量平均分子量Mw280,000)
42部
有機顔料 21部
分散剤 2部
溶剤(MEK) 225部
(耐熱滑性層作製)下記処方の材料を混練して耐熱滑性塗工液を作成し、乾燥後の厚みが0.15μmになる様に調整して前記基材の前記離型層、色材含有接着層を積層した面の反対の面に塗工、乾燥させて耐熱滑性層を作製し、実施例1〜、比較例1〜2の第1の熱転写記録媒体を作製した。
シリコーン変性ウレタン樹脂 5部
イソシアネート(TDI) 3部
溶剤(MEK) 140部
溶剤(トルエン) 25部
(第2の熱転写記録媒体作成)
(離型層)下記処方の材料を混練して離型層塗工液を作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に乾燥後の厚みが0.5μmになるよう調整して塗工、乾燥させて前記基材上に離型層を作製した。
ポリエステル樹脂(軟化点110℃) 1部
ケトン樹脂(軟化点80℃) 1部
アクリル樹脂(Tg105℃、重量平均分子量Mw25,000)
73部
溶剤(MEK) 225部
(アンカー層作製)下記処方の材料を混練してアンカー層塗工液を作製し、乾燥後の厚みが0.5μmになるよう調整して前記離型層上に塗工、乾燥させてアンカー層を離型層上に積層して作製した。
ニトロセルロース 21.5部
イソシアネート(TDI) 16.0部
アクリル樹脂(Tg105℃、重量平均分子量Mw95,000)
5.5部
溶剤(MEK) 57.0部

(金属蒸着層作製)
真空蒸着法にて、錫を前記アンカー層の上に蒸着厚み20nmになるよう調整して蒸着、積層して金属蒸着層を作成した
(接着層作製)
下記処方の材料を混合して接着層塗工液を作製し、乾燥後の厚みが0.05μmになるよう調整して前記金属蒸着層上に塗工、乾燥させてアンカー層を金属蒸着層上に積層して作製した。
ポリエステル樹脂(軟化点165℃) 2.0部
溶剤(MEK) 98.0部
(耐熱滑性層作製)
前記基材の離型層、アンカー層、金属蒸着層、接着層を積層したのと反対側の面に、前記耐熱滑性塗工液を乾燥後の厚みが0.15μmになる様に調整して塗工、乾燥させて耐熱滑性層を作製し、第2の熱転写記録媒体を作製した。
(第3の熱転写記録媒体作製)
(黒色隠蔽層作製)
下記処方の材料を混練して接着層塗工液を作製し、基材として用いた4.5μmのPETフィルムの上に、乾燥後の厚みが1.5μmになるよう調整して塗工、乾燥させて黒色隠蔽層を作製した。
ポリエステル樹脂(軟化点110℃) 8部
カーボンブラック 10部
アクリル樹脂(Tg105℃、重量平均分子量Mw25,000) 8部
溶剤(MEK) 74部
(耐熱滑性層作製)
前記基材の黒色隠蔽層を塗工したのと反対側の面に、前記耐熱滑性塗工液を乾燥後の厚みが0.15μmになる様に調整して塗工、乾燥させて耐熱滑性層を作製し、第3の熱転写記録媒体を作製した。
各実施例および比較例のくすみ評価結果を表1に、くすみ評価方法を下記に示す。
(くすみ評価)
透明な厚み0.5mmのガラス板に実施例1〜、比較例1〜2の第1の感熱転写記録媒体を用いて熱転写プリンターにて画像を形成し、その上に前記第2の熱転写記録媒体を熱転写プリンターにて重ねて転写し、その上に前記第3の熱転写記録媒体を熱転写プリンターにて重ねて転写を行った後、前記ガラス板を転写を行った側の反対側から見て、着色された金属光沢画像のくすみの状態を目視で判定した。判定基準は以下の通り。
◎:金属光沢がくすまない。
○:金属光沢がわずかにくすむが、実用上問題ない。
×:金属光沢がくすみ、実用上問題がある。
使用プリンタ:キヤノン社製プレート&シートプリンタ PP500 プレート印字モード(転写速度:30mm/sec)

Figure 0006613484

アクリル樹脂1 :Tg105℃、分子量Mw280,000
アクリル樹脂2 :Tg105℃、分子量Mw480,000
アクリル樹脂3 :Tg105℃、分子量Mw95,000
密着性付与剤樹脂*1 :ポリエステル樹脂 軟化点110℃
密着性付与剤樹脂*2 :ケトン樹脂 軟化点80℃
コロイド状シリカゾル液 :シリカ粒径10〜15nm、固形分30%MEK分散液

Claims (4)

  1. 透明な受像体に、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも着色層を設けた第1の熱転写記録媒体を用いて熱転写にて画像を形成した後、その上に、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも離型層、金属蒸着層、接着層をこの順に設けた第2の熱転写記録媒体を用いて熱転写にて重ねて画像を形成し、さらに、その上に、基材の一方の面に耐熱滑性層、他方の面に少なくとも黒色隠蔽層を設けた第3の熱転写記録媒体を用いて熱転写にて重ねて画像を形成し、前記の透明な受像体を、転写を行った面の反対側の面から見た場合に着色された金属光沢を有する熱転写記録物を得ることを特徴とする熱転写加飾方式において、前記第1の熱転写記録媒体が、前記他方の面に少なくとも耐熱性剥離層、色材含有接着層をこの順で設けてなる熱転写記録媒体であることを特徴とする熱転写記録方法
  2. 前記第1の熱転写記録媒体の前記耐熱性剥離層が無機粒子と結着剤樹脂からなり、前記無機粒子の含有量が前記耐熱性剥離層中35重量%〜80重量%であり、かつ前記耐熱性剥離層の全光線透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写記録方法
  3. 前記無機粒子がシリカ粒子であることを特徴とする請求項2に記載の熱転写記録方法
  4. 前記第1の熱転写記録媒体の前記耐熱性剥離層の表面がコロイド状シリカゾル液で表面処理され、その上に前記色材含有接着層が設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の熱転写記録方法
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