第1の実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る紙葉類処理装置、紙葉類処理システム、管理装置及び紙葉類処理方法の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図10は本発明の実施の形態を説明するための図である。
なお、本願において「紙葉類処理システム」は「紙葉類処理装置」単体を含む概念として用いられている。このため、本願において「紙葉類処理システム」という文言を用いた場合には、紙葉類処理装置100そのものを意味することもあれば、紙葉類処理装置100とそれ以外の装置とを組み合わせたものを意味することもある。なお、本願における「紙葉類」とは、紙幣、小切手、商品券、帳票等のことを意味するが、代表的なものとしては紙幣を意味する。
図1及び図2に示すように、本実施の形態の紙葉類処理装置100は、筐体1と、筐体1に設けられて複数の紙葉類を受け入れる受入部11と、受入部11で受け入れられた紙葉類を1枚ずつ取り込む取込部10と、を備えている。図2に示すように、本実施の形態の紙葉類処理装置100は、取込部10から筐体1内に取り込まれた紙葉類を一枚ずつ搬送する搬送部70と、搬送部70で搬送された紙葉類を識別して計数する識別部55と、後述するスタッカ60(60a−60d)に集積されない紙葉類をリジェクトする複数のリジェクト部65(65a,65b)と、を備えている。なお、本実施の形態の識別部55は、少なくとも紙葉類を一意に特定できる情報である識別情報(識別番号、識別記号、シリアル番号等)を識別し、紙幣を識別する際には、例えば、紙幣の記番号と、紙幣の金種、正損、表裏、新旧、方向、真偽等を識別する。
また、図2に示すように、本実施の形態の紙葉類処理装置100は、識別部55で識別された紙葉類を集積する複数のスタッカ60(60a−60d)を備えている。このスタッカ60a−60dは、前面が開口しており、オペレータはスタッカ60a−60d内の紙葉類を自由に取り出すことができる。なお、このスタッカ60a−60dは特許請求の範囲に記載された「集積部」に含まれている。また、図1に示すように、スタッカ60a−60dの各々に対応するように所定の情報を表示する個別表示部62a−62dが設けられている。また、図2に示すように、スタッカ60a−60dにはスタッカ60a−60d内に紙葉類が集積されているか否かを検知するためのセンサ73が設けられている。なお、スタッカ60内に集積された紙葉類は取引が確定される度に取り除かれてもよいが、確定処理がなされた取引の紙葉類がそのまま残されていてもよく、すなわち残置運用を採用することもできる。
また、本実施の形態の紙葉類処理装置100は、例えば100枚といった所定枚数の紙葉類を結束する紙葉類結束ユニット200を備えている。なお、本実施の形態では紙葉類結束ユニット200が一つだけ設けられた態様を用いて説明するが、これはあくまでも一例であり、複数の紙葉類結束ユニット200が設けられてもよい。
また、本実施の形態の紙葉類処理装置100は、紙葉類を反転させる紙葉類反転部91,95を含んだ紙葉類反転ユニット90も備えている。この紙葉類反転部91,95は、搬送部70で紙葉類を短手方向に搬送した場合、搬送されている紙葉類をその短手方向の向きが逆向きになるように表裏反転させる短手反転部95と、搬送部70で搬送されている紙葉類をその長手方向の向きが逆向きになるように表裏反転させる長手反転部91とを有している。なお、これら短手反転部95及び長手反転部91で紙葉類を反転させる方法の詳細についてはWO2010/097954号に開示されていることから、詳細な説明は省略する。
また、図2に示すように、搬送部70には、搬送部70で搬送される紙葉類を適宜分岐するための複数の分岐部材71が設けられている。また、搬送部70には、搬送部70を通過する紙葉類を検知したり、紙葉類の有無を検知したりするための複数のセンサ72が設けられている。なお、受入部11に設けられたセンサ72は、受入部11内に紙葉類があるか否かを判断するために用いられる。
また、本実施の形態の紙葉類結束ユニット200は、搬送部70で搬送された結束用の複数の紙葉類を集積するための複数の帯封一時保留部210(210a−210c)と、帯封一時保留部210a−210cに集積された紙葉類を結束帯で結束して紙葉類束を生成するための結束部250と、を有している。また、帯封一時保留部210a−210cには帯封一時保留部210a−210c内に紙葉類が集積されているか否かを検知するためのセンサ213(図3参照)が設けられている。なお、帯封一時保留部210a−210cは帯封するための紙葉類を集積するための部材であり、特許請求の範囲に記載された「集積部」に含まれている。ちなみに、本実施の形態の帯封一時保留部210a−210cに集積された紙葉類の再識別処理を行う際には、紙葉類結束ユニット200を開けて帯封一時保留部210a−210cに集積された紙葉類を取り出す必要があるが、これに限られることはない。一例としては、帯封一時保留部に集積された紙葉類は搬送部70に繰り出し可能となってもよく、帯封一時保留部に集積された紙葉類の再識別処理を行う際に帯封一時保留部から紙葉類が繰り出されて、当該紙葉類に対して再識別処理が行われてもよい。
以下では、スタッカ60、帯封一時保留部210又はスタッカ60及び帯封一時保留部210の両方を示す用語として「集積部60,210」を用いる。
また、紙葉類結束ユニット200は、帯封一時保留部210a−210cから結束部250に結束用の紙葉類を搬送するための結束前搬送部220と、結束部250から紙葉類束を搬送するための結束後搬送部260と、結束後搬送部260で搬送される結束された紙葉類束を収容する紙葉類束集積部270も有している。なお、紙葉類束集積部270に収容された紙葉類束は、当該紙葉類束集積部270によって、束放出部280(図1参照)から放出することができる。上述した結束部250は、例えば100枚の紙葉類に結束帯を巻き掛け、当該結束帯を止めることで、紙葉類を結束して紙葉類束とする。また、本実施の形態では、帯封一時保留部210a−210cに集積された紙葉類を、結束前搬送部220により結束部250に搬送する構成としたが、このような態様に限られることはなく、帯封一時保留部210a−210cに集積された状態の紙葉類を、そのまま結束部で結束する態様としてもよい。
また、図1に示すように、紙葉類結束ユニット200は、取引終了時に帯封一時保留部210a−210cに集積されている端数の紙葉類をオペレータに放出する端数返却口285も有している。
本実施の形態の紙葉類処理装置100は、例えばタッチパネル等からなり所定の情報を表示するとともに、所定の情報を入力することができる操作表示部59も備えている。この操作表示部59は、操作部及び表示部の両方の役割を果たしているが、このような態様に限られることはない。つまり、操作部と表示部とが別体となっていてもよい。
図2に示すように、結束後搬送部260は、結束部250で結束された紙葉類束を把持搬送する把持搬送部261と、把持搬送部261で把持搬送された紙葉類束を上方に搬送する紙葉類束リフト部262と、この紙葉類束リフト部262で搬送された紙葉類束を束放出部280の方向(図2の紙面の表面側)に押し出す押出機構265(図5参照)と、を有している。そして、この押出機構265によって、紙葉類束が、図4に示すように、紙葉類束リフト部262の上方から開閉部269の上方まで押し出され、開閉可能な開閉部269が開状態になることで、当該紙葉類束が紙葉類束集積部270内に落下して集積される。本実施の形態の押出機構265は、図5に示すように、紙葉類の後端を押す押出部265aと、この押出部265aを前後方向(図5の矢印Aの方向)で往復移動させる往復駆動ベルト265bとを有している。
また、図3に示すように、本実施の形態の紙葉類処理装置100は、様々な情報を記憶する紙葉類記憶部56と、識別部55で識別された紙葉類の識別情報を紙葉類記憶部56に出力する制御部50も備えている。そして、この制御部50は、再識別処理(又は、いわゆる「戻し処理」)において、識別部55で紙葉類の識別情報が識別されると、当該識別情報に基づいて紙葉類記憶部56に記憶されていた識別情報を修正する。識別部55で識別された紙葉類の識別情報を紙葉類記憶部56に出力する条件(タイミング)は様々であり、上記のように識別部55で紙葉類の識別情報が識別されたことを条件(タイミング)としてもよいが、その他に、受入部11に載置された紙葉類の全てが集積部60,210に集積されたことを条件としてもよいし、操作表示部59から取引確定が入力されたことを条件としてもよいし、集積部60,210から紙葉類が抜き取られたことを条件としてもよいし、特に帯封一時保留部210に集積された紙幣については、帯封一時保留部210から抜き取られ、結束部250で結束されたことを条件としてもよい。
ちなみに、情報を記憶するための記憶部は外部装置に設けられていてもよい。なお、本実施の形態において外部装置とは、対象となっている装置以外の装置のことを意味し、例えば紙葉類処理装置100から見た場合には紙葉類処理装置100以外のあらゆる装置が外部装置に該当する。
一例を示すと、紙葉類処理装置100から識別情報に関する情報を取得し、当該識別情報を管理する管理装置500が設けられてもよい(図6及び図7参照)。この管理装置500は、識別部55で識別された紙葉類の識別情報を記憶する管理記憶部560(この管理記憶部560も特許請求の範囲に記載された「記憶部」に含まれる。)を有している。そして、紙葉類処理装置100で行われる再識別処理において、識別部55で紙葉類の識別情報が識別されると、当該識別情報に基づいて管理記憶部560に記憶されていた識別情報が修正されることとなる。
管理装置500は、図6に示すように、一つの紙葉類処理装置100に対して一つだけ設けられてもよいが、図7に示すように、複数の紙葉類処理装置100が設けられ、複数の紙葉類処理装置100に対して一つの管理装置500が設けられていてもよい。また、紙葉類の識別情報は、紙葉類記憶部56及び管理記憶部560のいずれか一方で記憶されているのではなく、紙葉類記憶部56と管理記憶部560の両方で記憶されてもよい。一例としては、識別部55で紙葉類の識別情報が識別されると、まず紙葉類記憶部56で当該紙葉類の識別情報が記憶され、その後で、随時又はある程度まとめて、紙葉類記憶部56で記憶された紙葉類の識別情報が管理装置500へと送られ、当該管理装置500の管理記憶部560で記憶されてもよい。また、紙葉類記憶部56で記憶されている紙葉類の識別情報は一定期間が経過すると削除されてもよいし、管理装置500へ識別情報を送った後で一定期間が経過すると削除されてもよい。また、管理記憶部560のみで紙葉類の識別情報を管理する場合には、紙葉類記憶部56では当該紙葉類の識別情報は記憶されず、識別部55で紙葉類の識別情報が識別されると、そのまま当該紙葉類の識別情報が管理装置500へ送られて、当該管理装置500の管理記憶部560で記憶されてもよい。以下では、紙葉類記憶部56、管理記憶部560、紙葉類記憶部56及び管理記憶部560の両方、又は、図示していないが外付けの記憶部のことを「記憶部56,560」として示して説明する。
制御部50は、例えば再識別指令が操作表示部59から入力されることで再識別処理を実行するようにしてもよい。また、制御部50は、取引をキャンセルするためのキャンセル指令が操作表示部59から入力されたことを条件として再識別処理を実行するようにしてもよいし、搬送部70での搬送エラーが解除されたことを条件として再識別処理を実行するようにしてもよい。このようにキャンセル指令が操作表示部59から入力されたことや搬送部70での搬送エラーが解除されたことを条件としている場合には、キャンセル指令が入力された後や搬送エラーが解除された後であって一定時間(例えば数分)以内に紙葉類が受入部11に載置されることで、制御部50が再識別処理であると認識して自動的に再識別処理を実行してもよい。また、このような態様とは異なり、キャンセル指令が入力された後や搬送エラーが解除された後で、例えば操作表示部59から再識別指令が入力されることで再識別処理を実行するようにしてもよい。
なお、再識別処理とは、一度は識別部55で識別された紙葉類を再度識別させるための処理であるが、再識別処理で処理される紙葉類は必ずしも全てが識別部55で一度は識別されている必要はなく、その一部に識別部55で一度も識別されていない紙葉類が含まれていてもよい。ところで一度は識別部55で識別された紙葉類には、識別部55を通過したもののスタッカ60a−60dまでの搬送部70の搬送路上で停止した紙葉類も含まれている。
本実施の形態の制御部50は、再識別処理において、識別された紙葉類の識別情報に基づいて記憶部56,560に記憶された識別情報を例えば追加して修正するのではなく、識別された紙葉類の識別情報に基づいて記憶部56,560に記憶された識別情報を書き換えて修正するようになっていてもよい。なお、このように記憶部56,560に記憶された識別情報を書き換えて修正する際には、記憶部56,560に記憶された識別情報のうち再識別処理の対象となっている紙葉類の識別情報をまず消去し、その後で、識別された紙葉類の識別情報を記憶部56,560に記憶させてもよい。また、このような態様とは異なり、記憶部56,560に記憶された識別情報を書き換えて修正する際に、記憶部56,560に記憶された識別情報のうち再識別処理の対象となっている紙葉類の識別情報を、識別された紙葉類の識別情報で上書きすることで書き換えて修正してもよい。
なお、再識別処理の対象となっている紙葉類には、既に確定処理がなされた取引に含まれる紙葉類が含まれてもよい。
ちなみに、再識別処理の対象となっている紙葉類の範囲を予め制御部50が把握している場合には、再識別処理の対象となっている紙葉類は、例えば、再識別処理を行うこととなった原因(取引のキャンセルなのか搬送エラーの解除なのか等)と、集積部60,210に集積されている紙葉類の内容(どの取引までが集積部60,210に集積されているのか等)に基づいて、予め確定されることとなる。なお、集積部60,210に含まれるスタッカ60a−60dを例に取ると、再識別処理の対象となっている紙葉類は、必ずしもスタッカ60a−60dに集積されているものには限られず、スタッカ60a−60dから取り除かれて、例えば載置場所に載置されているものであってもよい(後述する実施例2参照)。
上記のように再識別処理の対象となっている紙葉類の範囲を予め制御部50が把握していてもよいが、このような態様に限られることはい。例えば、制御部50は、再識別処理で計数された紙葉類の「枚数」から再識別処理の対象となっている紙葉類の範囲(つまり「枚数」)を確定し、当該再識別処理の対象となっている紙葉類の範囲の識別情報を、識別された紙葉類の識別情報に基づいて書き換えて修正してもよい。
また、制御部50は、集積部60,210に集積されていた紙葉類を取り出して識別部55で再度識別させる場合に、記憶部56,560に記憶された識別情報のうち、集積部60,210に集積されていた紙葉類の枚数と同数の識別情報を書き換えて修正してもよい。そして、このように記憶部56,560に記憶された識別情報のうち集積部60,210に集積されていた紙葉類の枚数と同数の識別情報を書き換えて修正する際には、制御部50は、既に確定処理がなされた取引に含まれる紙葉類の識別情報も書き換えて修正してもよい。
スタッカ60a−60dに集積されている紙葉類の枚数は、対象となるスタッカ60a−60dに搬送された紙葉類の枚数から算出することができる。より具体的には、各スタッカ60a−60dに対応して設けられた分岐部材71の上流位置のセンサ72で紙葉類の通過が確認されたが当該分岐部材71の下流位置のセンサ72で紙葉類の通過が確認されなかった場合に、当該分岐部材71で紙葉類が取り込まれて、当該分岐部材71に対応するスタッカ60a−60dに紙葉類が搬送されたと判断されて、当該スタッカ60a−60dに集積された紙葉類の枚数が加算される。また、スタッカ60a−60dから紙葉類が取り出されたことがセンサ73で検知されると、当該スタッカ60a−60d内に集積されている紙葉類が「0枚」にリセットされる。
また、帯封一時保留部210a−210cに集積されている紙葉類の枚数も、対象となる帯封一時保留部210a−210cに搬送された紙葉類の枚数から算出することができる。より具体的には、各帯封一時保留部210a−210cに対応して設けられたセンサ72で紙葉類の通過が確認された場合に、当該帯封一時保留部210a−210cに紙葉類が搬送されたと判断されて、当該帯封一時保留部210a−210cに集積された紙葉類の枚数が加算される。また、帯封一時保留部210a−210cから紙葉類が取り出されたことがセンサ213で検知されると、当該帯封一時保留部210a−210c内に集積されている紙葉類が「0枚」にリセットされる。
ちなみに、上記では操作部及び表示部としての役割を果たす操作表示部59が紙葉類処理装置100に設けられている態様を用いて説明したが、これに限られることはなく、指令を入力するための操作部、情報を表示するための表示部は外部装置に設けられていてもよい。また、上記では制御部50が紙葉類処理装置100内に設けられている態様を用いて説明したが、これに限られることはなく、紙葉類処理装置100の制御を行う制御部が外部装置に設けられていてもよい。
《方法》
次に、本実施の形態の紙葉類処理装置100又は紙葉類処理システムを用いた紙葉類処理方法について説明する。
まず、受入部11に処理の対象となる紙葉類が載置される。次に、受入部11に載置された紙葉類が筐体1内に取込部10によって取り込まれる。このように取込部10によって取り込まれた紙葉類は搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で、集積されるべき集積部60,210へと搬送される。なお、識別部55で正常に識別されなかった紙葉類はリジェクト紙葉類として例えばリジェクト部65a,65bへと搬送される。
識別部55で紙葉類が識別される際には、紙葉類の少なくとも識別情報(識別番号、識別記号等)が識別部55で識別される。なお、紙葉類が紙幣である場合には、識別部55で、例えば、紙幣の識別情報としての記番号と、紙幣の金種、正損、表裏、新旧、方向、真偽等が識別される。このように識別部55で取得された識別情報等は記憶部56,560に出力され、当該記憶部56,560で記憶されることとなる。
上述のように識別部55で紙葉類が識別された後で、操作表示部59から取引を確定する旨の入力が行われることで対象となる紙葉類の取引が確定される。
なお、紙葉類に関して再識別処理が行われる際には、識別部55で識別された紙葉類の識別情報に基づいて記憶部56,560に記憶されていた識別情報が修正されることとなる。
この再識別処理は、例えば再識別指令が操作表示部59から入力されることで再識別処理を実行するようにしてもよい。
また、取引をキャンセルするためのキャンセル指令が操作表示部59から入力されたことを条件として再識別処理を実行するようにしてもよいし、搬送部70での搬送エラーが解除されたことを条件として再識別処理を実行するようにしてもよい。このようにキャンセル指令が操作表示部59から入力されたことや搬送部70での搬送エラーが解除されたことを条件としている場合には、キャンセル指令が入力された後や搬送エラーが解除された後であって一定時間(例えば数分)以内に紙葉類が受入部11に載置されることで、制御部50が再識別処理であると認識して自動的に再識別処理を実行してもよい。また、このような態様とは異なり、キャンセル指令が入力された後や搬送エラーが解除された後で、例えば操作表示部59から再識別指令が入力されることで再識別処理を実行するようにしてもよい。
また、再識別処理では、識別された紙葉類の識別情報に基づいて記憶部56,560に記憶された識別情報を書き換えて修正するようになってもよい。なお、このように記憶部56,560に記憶された識別情報を書き換えて修正する際には、記憶部56,560に記憶された識別情報のうち再識別処理の対象となっている紙葉類の識別情報を予め確定し、このように確定された再識別処理の対象となっている紙葉類の識別情報を書き換えて修正してもよい。また、このような態様に限られることはなく、再識別処理で計数された紙葉類の枚数や再識別処理において集積部60,210に搬送された紙葉類の枚数から再識別処理の対象となっている紙葉類の範囲を確定し、当該再識別処理の対象となっている紙葉類の範囲の識別情報を、識別された紙葉類の識別情報に基づいて書き換えて修正してもよい。
また、再識別処理の対象とする紙葉類には、既に確定処理がなされた取引に含まれる紙葉類が含まれてもよい。
また、集積部60,210に集積されていた紙葉類を取り出して識別部55で再度識別させる場合には、記憶部56,560に記憶された識別情報のうち、集積部60,210に集積されていた紙葉類の枚数と同数の識別情報を書き換えて修正してもよい。そして、このように記憶部56,560に記憶された識別情報のうち集積部60,210に集積されていた紙葉類の枚数と同数の識別情報を書き換えて修正する際には、制御部50は、既に確定処理がなされた取引に含まれる紙葉類の識別情報も書き換えて修正してもよい。
[比較例]
ここで、図11に示す態様を用いて比較例に関する説明を行う。まず、3枚の紙葉類が受入部11に載置され、当該3枚の紙葉類が一枚ずつ筐体1内に取込部10によって取り込まれる。このように取込部10によって取り込まれた紙葉類は一枚ずつ搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で、同じスタッカ60a−60dへと搬送される(図11(a)参照)。
識別部55では、当該3枚の紙葉類の識別情報が取得され、図11(a)に示す態様では「A0123」、「B1234」及び「C2345」という識別情報が識別部55で取得されることとなる。そして、このように識別情報が識別部55で取得されると、当該識別情報は記憶部56,560に出力され、当該記憶部56,560で記憶されることとなる。なお、3枚の紙葉類を集積したスタッカ60a−60dに対応する個別表示部62a−62dではスタッカ60a−60dに集積された紙葉類の枚数(3枚)を意味する「3」が表示される。
上述のように識別部55で紙葉類が識別された後で、操作表示部59から取引を確定する旨の入力が行われて、「A0123」、「B1234」及び「C2345」という識別情報を有する紙葉類の取引(前回取引)が確定される(図11(a)参照)。
次に、新たな取引(今回取引)の最初の1枚の紙葉類が受入部11に載置され、当該紙葉類が筐体1内に取込部10によって取り込まれる。このように取込部10によって取り込まれた紙葉類は搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で、上述した3枚の紙葉類と同じスタッカ60a−60dへと搬送される。このスタッカ60a−60dに対応する個別表示部62a−62dではスタッカ60a−60dに集積された紙葉類の枚数(4枚)を意味する「4」が表示される(図11(b)参照)。
識別部55では、当該1枚の紙葉類の識別情報が取得され、図11(b)に示す態様では「D3456」という識別情報が識別部55で取得されることとなる。そして、このように識別情報が識別部55で取得されると、当該識別情報は記憶部56,560に出力され、当該記憶部56,560で記憶されることとなる。
ところで、搬送異常等の何らしかの理由によってエラーが発生することがある。図11(c)では「D3456」という識別情報を有する紙葉類に関する取引(今回取引)に関してエラーが発生した態様を示している。このようにエラーが発生すると、当該取引に関する紙葉類を集積したスタッカ60a−60d内の全ての紙葉類が取り除かれ再識別処理が実行される。この際、当該スタッカ60a−60dに対応する個別表示部62a−62dでは取り除かれた紙葉類のうち既に確定処理が行われていた前回取引の紙葉類の枚数(3枚)を意味する「−3」が表示される(図11(d)参照)。
このようにスタッカ60a−60d内の紙葉類が取り除かれて再識別処理が実行されるが、記憶部56,560に記憶された識別情報は変更されない。
スタッカ60a−60d内から取り除かれた紙葉類(図11(e)に示す態様では4枚の紙葉類)は再び受入部11に載置され、当該4枚の紙葉類が一枚ずつ筐体1内に取込部10によって取り込まれる。この際、紙葉類は最も下方に位置する紙葉類から順番に取り込まれる。このように取込部10によって取り込まれた紙葉類は一枚ずつ搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で同じスタッカ60a−60dへと搬送される。この際、紙葉類がスタッカ60a−60dへと搬送される度に個別表示部62a−62dでは「−3」→「−2」→「−1」というように、確定処理が行われている紙葉類の枚数との差分が表示され、3枚目の紙葉類がスタッカ60a−60dへ搬送される際には当該個別表示部62a−62dの表示が「0」とはならず、当該スタッカ60a−60dで集積されている紙葉類の枚数(3枚)を意味する「3」が個別表示部62a−62dに表示される。そして、最後の1枚の紙葉類がスタッカ60a−60dへ搬送されると当該スタッカ60a−60dで集積されている紙葉類の枚数(4枚)を意味する「4」が個別表示部62a−62dに表示される。なお、紙葉類がスタッカ60a−60dへと搬送される度に個別表示部62a−62dでは「−3」→「−2」→「−1」というように、確定処理が行われている紙葉類の枚数との差分が表示され、3枚目の紙葉類がスタッカ60a−60dへ搬送される際に当該個別表示部62a−62dの表示が「0」となり、所定時間経過後に当該スタッカ60a−60dで集積されている紙葉類の枚数(3枚)を意味する「3」が個別表示部62a−62dに表示されてもよい。そして、スタッカ60a−60d内から取り除かれた紙葉類の枚数と同数の紙葉類(図11(e)に示す態様では4枚の紙葉類)に関しては識別情報が識別部55で取得されないか、仮に識別情報が識別部55で取得されても記憶部56,560に出力する情報としては扱われない。
ところで、再識別処理を実行するときに、スタッカ60a−60d内から取り除かれた紙葉類は、任意の順番で受入部11に載置される。例えば、下から「A0123」、「B1234」、「D3456」、「C2345」の順番で紙葉類が受入部11に載置されると、紙葉類はその順番で取り込まれる。最初の3枚である「A0123」、「B1234」、「D3456」の紙葉類が前回取引分の紙葉類としてスタッカ60a−60dへ搬送される。4枚目の「C2345」の紙葉類が今回取引分の紙幣としてスタッカ60a−60dへ搬送される。
上述のように「C2345」の紙葉類は、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報では、前回取引の紙葉類として記憶されたままであるが、再識別処理では今回取引の紙葉類として処理される。また、「D3456」の紙葉類は、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報では、今回取引の紙葉類として記憶されたままであるが、再識別処理では前回取引の紙葉類として処理される。
このように比較例によれば、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報と、実際にスタッカ60a−60dに集積されて後工程にまわされる紙葉類の識別情報とが必ずしも合致しないこととなる。
[実施例1]
次に、図8を用いて実施例1について説明する。実施例1では、3枚の紙葉類が受入部11に載置され、当該3枚の紙葉類が一枚ずつ筐体1内に取込部10によって取り込まれる。このように取込部10によって取り込まれた紙葉類は一枚ずつ搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で、同じスタッカ60a−60dへと搬送される。
識別部55では、当該3枚の紙葉類の識別情報が取得され、図8(a)に示す態様では「A0123」、「B1234」及び「C2345」という識別情報が識別部55で取得されることとなる。そして、このように識別情報が識別部55で取得されると、当該識別情報は記憶部56,560に出力され、当該記憶部56,560で記憶されることとなる。なお、3枚の紙葉類を集積したスタッカ60a−60dに対応する個別表示部62a−62dではスタッカ60a−60dに集積された紙葉類の枚数(3枚)を意味する「3」が表示される。
上述のように識別部55で紙葉類が識別された後で、操作表示部59から取引を確定する旨の入力が行われて、「A0123」、「B1234」及び「C2345」という識別情報を有する紙葉類の取引(前回取引)が確定される。これらの識別情報は、取引が確定されたことを示すフラグとともに記憶される。
次に、新たな取引(今回取引)の最初の1枚の紙葉類が受入部11に載置され、当該紙葉類が筐体1内に取込部10によって取り込まれる。このとき、前回取引の紙葉類をスタッカ60a−60dに残したまま今回取引の処理を行うが、このような処理を残置処理又は連続入金処理という。このように取込部10によって取り込まれた紙葉類は搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で、上述した3枚の紙葉類と同じスタッカ60a−60dへと搬送される。このスタッカ60a−60dに対応する個別表示部62a−62dではスタッカ60a−60dに集積された紙葉類の枚数(4枚)を意味する「4」が表示される。
識別部55では、当該1枚の紙葉類の識別情報が取得され、図8(b)に示す態様では「D3456」という識別情報が識別部55で取得されることとなる。そして、このように識別情報が識別部55で取得されると、当該識別情報は記憶部56,560に出力され、当該記憶部56,560で記憶されることとなる。
ところで、紙葉類に関する取引が(作業ミスやリジェクトされる紙葉類があまりにも多すぎる等の)何らしかの理由によってキャンセルされることがある。図8(c)では「D3456」という識別情報を有する紙葉類に関する取引がキャンセルされた態様を示している。このように取引がキャンセルされると、当該取引に関する紙葉類を集積したスタッカ60a−60d内の全ての紙葉類(前回取引の確定済みの紙葉類を含む)が取り除かれ再識別処理が実行される。この際、当該スタッカ60a−60dに対応する個別表示部62a−62dでは取り除かれた紙葉類のうち既に確定処理が行われていた前回取引の紙葉類の枚数(3枚)を意味する「−3」が表示される(図8(d)参照)。
このようにスタッカ60a−60d内の紙葉類が取り除かれると、記憶部56,560に記憶された識別情報のうち再識別処理の対象となっている紙葉類の識別情報が消去される。本実施例では、スタッカ60a−60d内の紙葉類に関して記憶部56,560に記憶されていた識別情報が確定処理をされているものも含めて消去される。
スタッカ60a−60d内から取り除かれた紙葉類(図8(d)に示す態様では4枚の紙葉類)は再び受入部11に載置され、当該4枚の紙葉類が一枚ずつ筐体1内に取込部10によって取り込まれる。このように取込部10によって取り込まれた紙葉類は一枚ずつ搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で、既に確定処理が行われた紙葉類と同じ枚数(図8(d)に示す態様では3枚)の紙葉類が同じスタッカ60a−60dへと搬送され、未だ確定処理が行われていない紙葉類と同じ枚数(図8(d)に示す態様では1枚)の紙葉類がリジェクト部65a,65bへと搬送される。一例としては、最初の3枚の紙葉類が同じスタッカ60a−60dへと搬送され、最後の1枚の紙葉類がリジェクト部65a,65bへと搬送される。この際、紙葉類がスタッカ60a−60dへと搬送される度に個別表示部62a−62dでは「−3」→「−2」→「−1」というように、確定処理が行われている紙葉類の枚数との差分が表示され、3枚目がスタッカ60a−60dへ搬送される際には「0」とはならず、当該スタッカ60a−60dで集積されている紙葉類の枚数(3枚)を意味する「3」が個別表示部62a−62dに表示される。なお、上述した比較例と同様、紙葉類がスタッカ60a−60dへと搬送される度に個別表示部62a−62dでは「−3」→「−2」→「−1」というように、確定処理が行われている紙葉類の枚数との差分が表示され、3枚目の紙葉類がスタッカ60a−60dへ搬送される際に当該個別表示部62a−62dの表示が「0」となり、所定時間経過後に当該スタッカ60a−60dで集積されている紙葉類の枚数(3枚)を意味する「3」が個別表示部62a−62dに表示されてもよい。このことは以下の実施例にも当てはまる。
ところで、再識別処理を実行するときに、スタッカ60a−60d内から取り除かれた紙葉類は、任意の順番で受入部11に載置される。例えば、図8(e)に示す態様では、下から「D3456」、「B1234」、「A0123」、「C2345」の順番で、紙葉類が受入部11に載置される。紙葉類はその順番で取り込まれ、最初の3枚である「D3456」、「B1234」、「A0123」の紙葉類は、前回取引分の紙葉類としてスタッカ60a−60dへ搬送される。4枚目の「C2345」の紙葉類は、キャンセルされた今回取引分の紙葉類としてリジェクト部65a,65bへ搬送される。識別部55では、最初の3枚の紙葉類の識別情報が取得され、図8(e)に示す態様では「D3456」、「B1234」及び「A0123」という識別情報が識別部55で取得されることとなる。そして、このように識別情報が識別部55で取得されると、当該識別情報は記憶部56,560に出力され、当該記憶部56,560で記憶されることとなる。なお、図8(e)では、リジェクト部65a,65bへと搬送された紙葉類の識別情報は、4枚目に取り込まれた紙葉類の「C2345」となっている。
上述のように識別部55で紙葉類が識別された後で、操作表示部59から取引を確定する旨の入力が行われて、「D3456」、「B1234」及び「A0123」という識別情報を有する紙葉類の取引が確定される。
このように実施例1によれば、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報と、実際にスタッカ60a−60dに集積されて後工程にまわされる紙葉類の識別情報とを合致させることができる。さらに、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報の順番と、実際にスタッカ60a−60dに集積される紙葉類の順番とを合致させることもできる。
[実施例2]
次に、図9を用いて実施例2を説明する。実施例2は、スタッカ60a−60dに集積された紙葉類の枚数が、予め設定した枚数になったとき集積を停止し、スタッカ60a−60dから紙葉類が抜き取られたとき集積を再開する処理で、バッチ取りと呼ばれる処理を行う場合の例である。バッチ取りを行うことで、紙葉類を所定枚数ずつ区分けすることができる。図9に示す実施例2では、設定枚数を5枚としている。まず、3枚の紙葉類が受入部11に載置され、当該3枚の紙葉類が一枚ずつ筐体1内に取込部10によって取り込まれる。このように取込部10によって取り込まれた紙葉類は一枚ずつ搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で、同じスタッカ60a−60dへと搬送される。
識別部55では、当該3枚の紙葉類の識別情報が取得され、図9(a)に示す態様では「A0123」、「B1234」及び「C2345」という識別情報が識別部55で取得されることとなる。そして、このように識別情報が識別部55で取得されると、当該識別情報は記憶部56,560に出力され、当該記憶部56,560で記憶されることとなる。なお、3枚の紙葉類を集積したスタッカ60a−60dに対応する個別表示部62a−62dではスタッカ60a−60dに集積された紙葉類の枚数(3枚)を意味する「3」が表示される。
上述のように識別部55で紙葉類が識別された後で、操作表示部59から取引を確定する旨の入力が行われて、「A0123」、「B1234」及び「C2345」という識別情報を有する紙葉類の取引(前回取引)が確定される。これらの識別情報は、取引が確定されたことを示すフラグとともに記憶される。
次に、新たな取引(今回取引)として、別の3枚の紙葉類が受入部11に載置され、当該3枚の紙葉類が一枚ずつ筐体1内に取込部10によって取り込まれる。このとき、前回取引の紙葉類をスタッカ60a−60dに残したまま今回取引の紙葉類を処理する残置処理が行われる。このように取込部10によって取り込まれた紙葉類は一枚ずつ搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で、上述した3枚の紙葉類と同じスタッカ60a−60dへと搬送される。図9には記載していないが、今回取引の最初の2枚の紙葉類がスタッカ60a−60dに搬送された時点で処理は一旦停止する。これは、バッチ取り処理の設定枚数が5枚に設定されているためである。このとき、スタッカ60a−60dに対応する個別表示部62a−62dではスタッカ60a−60dに集積された紙葉類の枚数(5枚)を意味する「5」が表示される。また、識別部55では、当該2枚の紙葉類の識別情報が取得され、「D3456」及び「E4567」という識別情報が識別部55で取得されることとなる。そして、このように識別情報が識別部55で取得されると、当該識別情報は記憶部56,560に出力され、当該記憶部56,560で記憶されることとなる。
次に、スタッカ60a−60dから5枚の紙葉類が抜き取られ、5枚の紙葉類は抜き取り済み紙葉類「ウ」として隣接する載置場所に移される。このとき、記憶部56,560に記憶された「A0123」、「B1234」、「C2345」、「D3456」及び「E4567」の識別情報は、「抜き取り済み」として記憶される。スタッカ60a−60dから5枚の紙葉類が抜き取られたことにより処理が再開され、今回取引の3枚目の紙葉類が受入部11から筐体1内に取込部10によって取り込まれ、スタッカ60a−60dへと搬送される。この際、「F5678」という識別情報が識別部55で取得され、当該識別情報は記憶部56,560に出力され、当該記憶部56,560で記憶される。この際、このスタッカ60a−60dに対応する個別表示部62a−62dではスタッカ60a−60dに集積された紙葉類の枚数(1枚)を意味する「1」が表示される。ちなみに、確定済みの紙葉類しか含まない一組の紙葉類に関しては仕切りによって切り分けられるようになっており、図9(b)の「ア」及び「イ」の各々は確定済みの紙葉類しか含まない一組の紙葉類を示している。なお、このような仕切りが用いられる必要は必ずしもなく、確定済みの紙葉類しか含まない紙葉類の組を載置する場所と、確定済みの紙葉類以外の紙葉類も含む組を載置する場所とを分けるようにしてもよい。また、仮に紙葉類が結束されて紙葉類束となっている場合には、帯封に印字したID等の束識別情報を利用することもできる。例えば、キャンセル対象となった紙葉類を含み、再識別処理が必要な紙葉類束のID等の束識別情報を操作表示部59が表示するようになってもよい。この場合には、操作者は操作表示部59で表示された束識別情報に基づいて、戻し処理を行う必要がある紙葉類束を特定することができる。
図9(c)に示す態様では、「D3456」、「E4567」及び「F5678」という識別情報を有する紙葉類の取引がキャンセルされた態様を示している。このように取引がキャンセルされると、スタッカ60a−60d内の紙葉類が取り除かれることとなる。また、未確定の紙葉類を含む一組の紙葉類(5枚の紙葉類)「ウ」も載置場所から取り除かれる。この際、上記のスタッカ60a−60dに対応する個別表示部62a−62dではスタッカ60a−60d及び載置場所から取り除かれた紙葉類のうち既に確定処理が行われていた紙葉類の枚数(3枚)を意味する「−3」が表示される(図9(d)参照)。
このようにスタッカ60a−60d内や載置場所から紙葉類が取り除かれると、記憶部56,560に記憶された識別情報のうち再識別処理の対象となっている紙葉類の識別情報が消去される。本実施例では、スタッカ60a−60d内の紙葉類及び載置場所から取り除かれた紙葉類に関して記憶部56,560に記憶されていた識別情報が消去される。
スタッカ60a−60d内から取り除かれた紙葉類(図9(d)に示す態様では1枚の紙葉類)と載置場所から取り除かれた紙葉類(図9(d)に示す態様では5枚の紙葉類)は再び受入部11に載置され、当該6枚の紙葉類が一枚ずつ筐体1内に取込部10によって取り込まれる。このように取込部10によって取り込まれた紙葉類は一枚ずつ搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で、既に確定処理が行われた紙葉類と同じ枚数(図9(d)に示す態様では3枚)の紙葉類が同じスタッカ60a−60dへと搬送され、未だ確定処理が行われていない紙葉類と同じ枚数(図9(d)に示す態様では3枚)の紙葉類がリジェクト部65a,65bへと搬送される。一例としては、最初の3枚の紙葉類が同じスタッカ60a−60dへと搬送され、最後の3枚の紙葉類がリジェクト部65a,65bへと搬送される。この場合も、再識別処理の対象となる紙葉類は、任意の順番で受入部11に載置される。例えば、下から「D3456」、「B1234」、「A0123」、「C2345」、「E4567」、「F5678」の順番で、紙葉類が受入部11に載置される。紙葉類はその順番で取り込まれ、最初の3枚である「D3456」、「B1234」、「A0123」の紙葉類は、前回取引分の紙葉類としてスタッカ60a−60dへ搬送される(図9(e)参照)。4枚目以降の「C2345」、「E4567」及び「F5678」の3枚の紙葉類は、キャンセルされた今回取引分の紙葉類としてリジェクト部65a,65bへ搬送される。この際、紙葉類がスタッカ60a−60dへと搬送される度に個別表示部62a−62dでは「−3」→「−2」→「−1」というように、確定処理が行われている紙葉類の枚数との差分が表示され、3枚目がスタッカ60a−60dへ搬送される際には「0」とはならず、当該スタッカ60a−60dで集積されている紙葉類の枚数(3枚)を意味する「3」が個別表示部62a−62dに表示される。
上述したように、「D3456」、「B1234」、「A0123」の紙葉類がスタッカ60a−60dへ搬送される際に、識別部55で3枚の紙葉類の識別情報が取得され、図9(e)に示す態様では「D3456」、「B1234」及び「A0123」という識別情報が識別部55で取得されることとなる。そして、このように識別情報が識別部55で取得されると、当該識別情報は記憶部56,560に出力され、当該記憶部56,560で記憶されることとなる。
上述のように識別部55で紙葉類が識別された後で、操作表示部59から取引を確定する旨の入力が行われて、「D3456」、「B1234」及び「A0123」という識別情報を有する紙葉類の取引が確定される。
このように実施例2でも、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報と、実際にスタッカ60a−60dに集積されて後工程にまわされる紙葉類の識別情報とを合致させることができる。さらに、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報の順番と、実際にスタッカ60a−60dに集積される紙葉類の順番とを合致させることもできる。
[実施例3]
次に、図10を用いて実施例3を説明する。図10に示す実施例3では、3枚の紙葉類が受入部11に載置され、当該3枚の紙葉類が一枚ずつ筐体1内に取込部10によって取り込まれる。このように取込部10によって取り込まれた紙葉類は一枚ずつ搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で、同じスタッカ60a−60dへと搬送される。
識別部55では、当該3枚の紙葉類の識別情報が取得され、図10(a)に示す態様では「A0123」、「B1234」及び「C2345」という識別情報が識別部55で取得されることとなる。そして、このように識別情報が識別部55で取得されると、当該識別情報は記憶部56,560に出力され、当該記憶部56,560で記憶されることとなる。なお、3枚の紙葉類を集積したスタッカ60a−60dに対応する個別表示部62a−62dではスタッカ60a−60dに集積された紙葉類の枚数(3枚)を意味する「3」が表示される。
上述のように識別部55で紙葉類が識別された後で、操作表示部59から取引を確定する旨の入力が行われて、「A0123」、「B1234」及び「C2345」という識別情報を有する紙葉類の取引(今回取引)が確定される。これらの識別情報は、取引が確定されたことを示すフラグとともに記憶される。
次に、新たな取引(今回取引)として、1枚の紙葉類が受入部11に載置され、当該紙葉類が筐体1内に取込部10によって取り込まれる。このとき、前回取引の紙葉類をスタッカ60a−60dに残したまま今回取引の紙葉類を処理する残置処理が行われる。このように取込部10によって取り込まれた紙葉類は搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で、上述した3枚の紙葉類と同じスタッカ60a−60dへと搬送される。このスタッカ60a−60dに対応する個別表示部62a−62dではスタッカ60a−60dに集積された紙葉類の枚数(4枚)を意味する「4」が表示される。
識別部55では、当該1枚の紙葉類の識別情報が取得され、図10(b)に示す態様では「D3456」という識別情報が識別部55で取得されることとなる。そして、このように識別情報が識別部55で取得されると、当該識別情報は記憶部56,560に出力され、当該記憶部56,560で記憶されることとなる。
ところで、搬送異常等の何らしかの理由によってエラーが発生することがある。図10(c)では「D3456」という識別情報を有する紙葉類を含む取引の処理中(確定前)にエラーが発生した態様を示している。このようにエラーが発生すると、当該取引に関する紙葉類を集積したスタッカ60a−60d内の全ての紙葉類(前回取引の確定済みの紙葉類を含む)が取り除かれて、再識別処理が実行される。この際、当該スタッカ60a−60dに対応する個別表示部62a−62dでは取り除かれた紙葉類のうち既に確定処理が行われていた紙葉類の枚数(3枚)を意味する「−3」が表示される(図10(d)参照)。
このようにスタッカ60a−60d内の紙葉類が取り除かれると、記憶部56,560に記憶された識別情報のうち再識別処理の対象となっている紙葉類の識別情報が消去される。本実施例では、スタッカ60a−60d内の紙葉類に関して記憶部56,560に記憶されていた識別情報が消去される。
スタッカ60a−60d内から取り除かれた紙葉類(図10(d)に示す態様では4枚の紙葉類)は再び受入部11に載置され、当該4枚の紙葉類が一枚ずつ筐体1内に取込部10によって取り込まれる。このように取込部10によって取り込まれた紙葉類は一枚ずつ搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で同じスタッカ60a−60dへと搬送される。この場合も、再識別処理の対象となる紙葉類は、任意の順番で受入部11に載置される。図10(d)では、例えば、下から「D3456」、「B1234」、「A0123」、「C2345」の順番で、紙葉類が受入部11に載置される。紙葉類はその順番で取り込まれ、最初の3枚である「D3456」、「B1234」、「A0123」の紙葉類は、確定済みの前回取引分の紙葉類としてスタッカ60a−60dへ搬送される。続けて、4枚目の「C2345」の紙葉類は、未確定の今回取引分の紙葉類としてリジェクト部65a,65bへ搬送される。この際、紙葉類がスタッカ60a−60dへと搬送される度に個別表示部62a−62dでは「−3」→「−2」→「−1」というように、確定処理が行われている紙葉類の枚数との差分が表示され、3枚目がスタッカ60a−60dへ搬送される際には「0」とはならず、当該スタッカ60a−60dで集積されている紙葉類の枚数(3枚)を意味する「3」が個別表示部62a−62dに表示される。そして、最後の1枚の紙葉類がスタッカ60a−60dへ搬送されると当該スタッカ60a−60dで集積されている紙葉類の枚数(4枚)を意味する「4」が個別表示部62a−62dに表示される。
識別部55では、4枚の紙葉類の識別情報が取得され、図10(e)に示す態様では「D3456」、「B1234」、「A0123」及び「C2345」という識別情報が識別部55で取得されることとなる。そして、このように識別情報が識別部55で取得されると、当該識別情報は記憶部56,560に出力され、当該記憶部56,560で記憶されることとなる。
ところで、再識別処理される紙葉類のうち、最初の3枚は確定済みの前回取引の紙葉類として処理されるので、最初の3枚の識別情報である「D3456」、「B1234」及び「A0123」が記憶部56,560に記憶された時点で、これらの識別情報は自動的に確定処理がなされ、取引が確定されたことを示すフラグとともに記憶される。他方、4枚目の紙葉類の識別情報である「C2345」は、未確定の識別情報として記憶部56,560に記憶される。
このように実施例3でも、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報と、実際にスタッカ60a−60dに集積されて後工程にまわされる紙葉類の識別情報とを合致させることができる。さらに、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報の順番と、実際にスタッカ60a−60dに集積される紙葉類の順番とを合致させることもできる。
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態によって達成される効果であって、まだ述べていない効果又はとりわけ重要な効果について説明する。
本実施の形態によれば、再識別処理において、識別部55で紙葉類の識別情報が識別されると、当該識別情報に基づいて記憶部56,560に記憶されていた識別情報を修正する。このため、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報と、実際に後工程にまわされる紙葉類の識別情報とを合致させることができる。
また、本実施の形態において、取引をキャンセルするためのキャンセル指令が操作表示部59から入力されたことを条件として再識別処理を実行するようにしてもよい。このような態様を採用することで、キャンセル指令が入力された際に記憶部56,560に記憶された識別情報を修正することができるようになり、誤って記憶部56,560に記憶された識別情報が書き換えられたりして修正されることを防止することができる。
なお、キャンセル指令が入力された後であって一定時間以内に紙葉類が受入部11に載置されることで、制御部50が再識別処理であると認識して自動的に再識別処理を実行する態様を採用した場合には、操作者はキャンセル指令を入力して受入部11に紙葉類を載置するだけで、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報と、実際に後工程にまわされる紙葉類の識別情報とを合致させることができるようになる。他方、キャンセル指令が入力された後であっても操作表示部59から所定の入力を行って再識別処理を実行する場合には、操作者によって実際に再識別処理を行うかが判断されることから、誤って再識別処理が行われてしまい、誤って記憶部56,560に記憶された識別情報が書き換えられたりして修正されることを防止することができる。
また、本実施の形態において、搬送部70での搬送エラーが解除されたことを条件として再識別処理を実行するようにしてもよい。このような態様を採用することで、搬送エラーを解除した際に記憶部56,560に記憶された識別情報を修正することができるようになり、誤って記憶部56,560に記憶された識別情報が書き換えられたりして修正されることを防止することができる。
なお、搬送エラーを解除した後であって一定時間以内に紙葉類が受入部11に載置されることで、制御部50が再識別処理であると認識して自動的に再識別処理を実行する態様を採用した場合には、操作者は搬送エラーを解除して受入部11に紙葉類を載置するだけで、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報と、実際に後工程にまわされる紙葉類の識別情報とを合致させることができるようになる。他方、搬送エラーを解除した後であっても操作表示部59から所定の入力を行って再識別処理を実行する場合には、操作者によって実際に再識別処理を行うかが判断されることから、誤って再識別処理が行われてしまい、誤って記憶部56,560に記憶された識別情報が書き換えられたりして修正されることを防止することができる。
また、再識別処理において、識別された紙葉類の識別情報に基づいて、記憶部56,560に記憶された識別情報を書き換えて修正する態様を採用した場合には、記憶部56,560に記憶された識別情報を再識別処理で実際に取得された識別情報に書き換えることができ、余分な情報を記憶部56,560で記憶することなく、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報と、実際に後工程にまわされる紙葉類の識別情報とを合致させることができる。
この際、記憶部56,560に記憶された識別情報のうち再識別処理の対象となっている紙葉類の識別情報を予め確定し、このように確定された再識別処理の対象となっている紙葉類の識別情報を書き換えて修正してもよい。このような態様を採用することで、修正が必要な識別情報を確実に書き換えることができる。
また、再識別処理で計数された紙葉類の枚数や再識別処理において集積部60,210に搬送された紙葉類の枚数から再識別処理の対象となっている紙葉類の範囲を確定してもよい。そして、このようにして確定された紙葉類の範囲の識別情報を、識別された紙葉類の識別情報に基づいて書き換えて修正してもよい。このような態様を採用することで、再識別処理の対象となっている紙葉類の識別情報を予め確定することなく、再識別処理で認識された実際の紙葉類の枚数に基づいて、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報を書き換えることができる。
また、再識別処理の対象とする紙葉類には、既に確定処理がなされた取引に含まれる紙葉類が含まれてもよく、このような態様によれば、確定処理がなされているか否かに関わらず記憶部56,560に記憶された識別情報を書き換えることができる。このため、半ば強制的に、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報と、実際に後工程にまわされる紙葉類の識別情報とを合致させることができるようになる。
また、集積部60,210に集積されていた紙葉類を取り出して識別部55で再度識別させる場合に、記憶部56,560に記憶された識別情報のうち、集積部60,210に集積されていた紙葉類の枚数と同数の識別情報を書き換えて修正してもよい。このような態様を採用することで、集積部60,210に集積されていた紙葉類を再識別処理する運用を行っている場合には、集積部60,210に集積された紙葉類の実際の枚数を用いて記憶部56,560に記憶された識別情報を書き換えることができる。
また、このように記憶部56,560に記憶された識別情報のうち集積部60,210に集積されていた紙葉類の枚数と同数の識別情報を書き換えて修正する際には、制御部50は、既に確定処理がなされた取引に含まれる紙葉類の識別情報も書き換えて修正してもよい。このような態様を採用することで、半ば強制的に、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報と、実際に後工程にまわされる紙葉類の識別情報とを合致させることができる。
なお近年、紙葉類の識別情報(紙葉類が紙幣の場合には例えば紙幣の記番号)をデータベース化することが考えられている。このように紙葉類の識別情報をデータベース化する際に、本実施の形態のように記憶部56,560に既に記憶されている識別情報を書き換えて、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報と、実際に後工程にまわされる紙葉類の識別情報とを合致させることで、紙葉類の識別情報が二重に登録されてしまったり、登録されずに漏れてしまったりすることを防止することができる。また、本実施の形態によれば、所定枚数の紙葉類(例えば100枚の紙葉類)からなる紙葉類束(小束)の識別情報(例えば結束帯に印字された情報)を当該紙葉類束に含まれる各紙葉類の識別情報に紐付けることができる。さらには、所定束数の紙葉類束(例えば10束の紙葉類束)からなる大束の識別情報と紙葉類束の識別情報とを紐付けることで、ひいては、大束の識別情報と当該大束に含まれる各紙葉類の識別情報とを紐付けることもできる。そして、これら紙葉類束(小束)や大束に含まれる紙葉類をトレースすることもできる。さらには、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報の順番と、紙葉類束に集積される紙葉類の順番とを合致させることもできるので、特定の識別情報を有する紙葉類が、どの紙葉類束の何番目に集積されているかを知ることができ、特定の紙葉類を容易に探し出すことができる。
第2の実施の形態
次に、主に図12乃至図14を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態では、取引データの修正に基づいて、スタッカ60a−60d内に集積される紙葉類の枚数を修正する態様となっている。ある取引データにおいて紙葉類の枚数を加算する処理を行った場合又は行おうとする場合には、紙葉類処理装置100で計数済みの紙葉類の中に、手作業で紙葉類を追加すると違算の原因になる。このため、当該紙葉類を実際に紙葉類処理装置100で計数して、当該紙葉類を追加することが好ましい。このとき、追加する紙葉類は識別部55で識別されて、スタッカ60a−60d内に集積されることとなる。他方、ある取引データにおいて紙葉類の枚数を減算する処理を行った場合又は行おうとする場合には、紙葉類処理装置100で計数済みの紙葉類から、手作業で紙葉類を抜き取ると違算の原因になるので、計数済みの紙葉類を再識別処理することが好ましい。具体的には、スタッカ60a−60d内に集積されている紙葉類(この合計は減算する紙葉類の枚数以上となっている。)又はスタッカ60a−60d内に集積されている紙葉類と載置場所に載置されている紙葉類(これらの合計は減算する紙葉類の枚数以上となっている。)が受入部11に載置され、除去される紙葉類がリジェクト部65a,65bへと搬送され、それ以外の紙葉類がスタッカ60a−60d内に集積されることとなる。なお、減算する紙葉類の枚数がスタッカ60a−60d内に集積されている紙葉類の枚数以下のときには、スタッカ60a−60d内に集積されている紙葉類が受入部11に載置されることとなるが、減算する紙葉類の枚数がスタッカ60a−60d内に集積されている紙葉類の枚数よりも大きいときには、スタッカ60a−60d内に集積されている紙葉類と載置場所に載置されている紙葉類が受入部11に載置されることとなる。ここで、載置場所に載置されている紙葉類とは、前述のバッチ取り処理により、スタッカ60a−60dから抜き取られた紙葉類である。また、第2の実施の形態では、ある取引データにおける紙葉類の枚数の加算又は減算処理に伴い、実際の紙葉類を追加又は除去するために、紙葉類処理装置100で紙葉類を計数する処理が再識別処理に相当する。
バッチ取り処理の設定枚数を仮に100枚としている場合には、バッチ取り処理による抜き取り済みの1組の紙葉類は100枚である。これを利用し、取引データ上で減算された紙葉類の枚数を100で割った際の「余り」に相当する枚数の紙葉類を再識別処理で除去し、取引データ上で減算された紙葉類の枚数を100で割った際の「商」に相当する枚数の紙葉類を、抜き取り済みの紙葉類を手作業で除去する旨、操作表示部59で表示するようにしてもよい。仮に取引データ上で100枚の紙葉類を減算した場合には、再識別処理により100枚の紙葉類を除去する必要はなく、抜き取り済みの1組の紙葉類(100枚の紙葉類)を手作業で除去する旨を操作表示部59が表示してもよい。他方、仮に取引データ上で101枚の紙葉類を減算した場合には、例えばスタッカ60a−60d内に残っている紙葉類を再識別処理し、1枚の紙葉類をリジェクト部65a,65bに搬送するようにしてやればよい。この場合には、抜き取り済みの1組の紙葉類(100枚の紙葉類)及びリジェクト部65a,65bに搬送された紙葉類の分(1枚の紙葉類)が除去される旨を操作表示部59が表示してもよい。
また、本実施の形態では、再識別処理において、識別部55で紙葉類の識別情報が識別されると、当該識別情報に基づいて記憶部56,560に記憶されていた識別情報を修正する態様となってもよい。より具体的には、ある取引に紙葉類を追加したり、ある取引から紙葉類を取り除いたり、ある取引自体をキャンセルしたりする場合に、記憶部56,560に記憶されている紙葉類の識別情報を修正する態様となってもよい。
第2の実施の形態において、その他の構成は、第1の実施の形態と略同一の態様となっている。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。第1の実施の形態で詳細に説明したことから、本実施の形態における効果については適宜省略しながら説明する。
〈紙葉類の追加〉
ある取引に関して紙葉類が追加される場合について説明する(図12参照)。ある取引に関して紙葉類が追加される場合には、当該紙葉類の識別情報が新たな紙葉類の識別情報であるとして記憶部56,560で記憶される。紙葉類の枚数が加算される取引を含め、全ての取引の紙葉類の枚数は記憶されている。取引毎の枚数を基に、新たに追加された識別情報を含む識別情報データを、各取引に関連付けるようデータを修正する。記憶部56,560の識別情報は、識別された順番に記憶されているので、取引の順番に識別情報を取引に関連付けることで、スタッカ60a−60d内に集積される紙葉類と抜き取り済みの紙葉類は、同じ取引に属する紙葉類が連続して集積されることとなる。
[実施例4]
この点に関して、図12に示すような具体的な例を用いて説明する。図12(a)に示す態様では、前々回の取引には2枚の5ドル紙幣が含まれ、前回の取引には4枚の5ドル紙幣が含まれ、今回の取引には2枚の5ドル紙幣が含まれた態様となっている。なお、図12に示す態様では、前々回の取引に含まれる2枚の5ドル紙幣と前回の取引に含まれる3枚の5ドル紙幣はスタッカ60a−60dから取り除かれており、スタッカ60a−60d内には、前回の取引に含まれる1枚の5ドル紙幣と今回の取引に含まれる2枚の5ドル紙幣とが集積されている。
図12(b)に示す態様では、前回の取引に1枚の5ドル紙幣を追加しなければならない態様となっている。この際には、当該5ドル紙幣が受入部11に載置され、当該5ドル紙幣が筐体1内に取込部10によって取り込まれる。このように取込部10によって取り込まれた5ドル紙幣は搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で、5ドル紙幣を集積しているスタッカ60a−60d(図12(c)では左側から2つめのスタッカ60a−60d)へと搬送される。
そして、本実施の形態では、この度識別された5ドル紙幣に関する識別情報を新たな5ドル紙幣の識別情報とするとともに、それぞれの識別情報と取引との関連付けを修正する。図12(d)に示す態様では、5ドル紙幣を追加した後の各取引の紙幣枚数は、今回取引が2枚、前回取引が5枚(4枚+1枚)なので、再識別処理を行った後の識別情報データのうち、最後に識別された2件の識別情報を今回取引に関連付け、次の5件の識別情報を前回取引に関連付ける。この結果、スタッカ60a−60dに集積された下から2枚の5ドル紙幣の識別情報が前回の取引に含まれるよう記憶部56,560で記憶され、スタッカ60a−60dに集積された上から2枚の5ドル紙幣の識別情報が今回の取引に含まれるよう記憶されることとなる。
〈紙葉類の取り除き〉
次に、ある取引に関して紙葉類が取り除かれる場合について説明する(図13参照)。ある取引に関して紙葉類が取り除かれる場合には、既に計数済みの紙葉類の少なくとも一部について再識別処理し、取り除かれる紙葉類と同数の紙葉類がリジェクト部65a,65bに搬送され、残りの紙葉類がスタッカ60a−60dに搬送される。再識別処理の対象とする計数済みの紙葉類は、スタッカ60a−60dに集積されている紙葉類を優先して使用することが好ましい。このようにすることで、再識別処理において、スタッカ60a−60dに集積される紙葉類の枚数がバッチ抜き取り枚数に達する頻度が少なくなるので、紙葉類を抜き取る手間を省くことができる。また、再識別処理の対象とする紙葉類の枚数は、取り除くべき紙葉類の枚数以上であることが必要である。制御部50は、スタッカ60a−60dに集積される紙葉類の枚数と抜き取り済みの1組の紙葉類を把握しているので、どの紙葉類を再識別処理の対象とするかを決定し、操作表示部59等に出力することができる。
そして、再識別処理の対象となった紙葉類の識別情報が記憶部56,560から削除され、再識別処理で識別された識別情報が新たに追加される。紙葉類の枚数が減算される取引を含め、全ての取引の紙葉類の枚数は記憶されている。取引毎の枚数を基に、新たに追加された識別情報を含む識別情報データを、各取引に関連付けるようデータを修正する。記憶部56,560の識別情報は、識別された順番に記憶されているので、取引の順番に識別情報を取引に関連付けることで、スタッカ60a−60d内に集積される紙葉類と抜き取り済みの紙葉類は、同じ取引に属する紙葉類が連続して集積されることとなる。
なお、リジェクト部65a,65bへ搬送された紙葉類が、取引データ上で削除された紙葉類である旨が操作表示部59で表示されてもよい。
[実施例5]
この点に関して、図13に示すような具体的な例を用いて説明する。図13(a)に示す態様でも、前々回の取引には2枚の5ドル紙幣が含まれ、前回の取引には4枚の5ドル紙幣が含まれ、今回の取引には2枚の5ドル紙幣が含まれた態様となっている。なお、図13(a)に示す態様でも、前々回の取引に含まれる2枚の5ドル紙幣と前回の取引に含まれる3枚の5ドル紙幣はスタッカ60a−60dから取り除かれており、スタッカ60a−60d内には、前回の取引に含まれる1枚の5ドル紙幣と今回の取引に含まれる2枚の5ドル紙幣とが集積されている。
図13(b)に示す態様では、前回の取引から2枚の5ドル紙幣を取り除かなければならない態様となっている。この際には、スタッカ60a−60d内に集積されている3枚の5ドル紙幣が受入部11に載置され、当該3枚の5ドル紙幣が1枚ずつ筐体1内に取込部10によって取り込まれる。このように取込部10によって取り込まれた5ドル紙幣は一枚ずつ搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で、2枚の5ドル紙幣(例えば最初の2枚の5ドル紙幣)はリジェクト部65a,65bへと搬送され、残りの1枚の5ドル紙幣(例えば最後の1枚の5ドル紙幣)は5ドル紙幣を集積しているスタッカ60a−60dへと搬送される。
そして、本実施の形態では、リジェクト部65a,65bへと搬送された2枚の5ドル紙幣に関する識別情報が記憶部56,560から削除され、スタッカ60a−60dへと搬送された5ドル紙幣の識別情報が新たな識別情報としてデータに追加修正される。今回取引の紙幣枚数は2枚、前回取引の紙幣枚数は2枚(4枚から2枚を減算)、前々回取引の紙幣枚数は2枚なので、修正された識別情報データのうち、最新の2件が今回取引の識別情報であり、次の2件が前回取引の識別情報であり、更に次の2件が前々回取引の識別情報であるとしてデータを修正する。
なお、リジェクト部65a,65bへ搬送された紙葉類が、取引データ上でキャンセルされた取引の紙葉類である旨が操作表示部59で表示されてもよい。
〈取引のキャンセル〉
次に、ある取引がキャンセルされる場合について説明する(図14参照)。ある取引がキャンセルされる場合には、既に計数済みの紙葉類の少なくとも一部について再識別処理し、キャンセルされる取引に含まれる紙葉類の枚数と同数の紙葉類がリジェクト部65a,65bに搬送され、残りの紙葉類がスタッカ60a−60dに搬送される。そして、再識別処理された紙葉類の識別情報が記憶部56,560から削除され、スタッカ60a−60dに搬送された紙葉類の識別情報が新たな識別情報として記憶部56,560に記憶される。そして、識別部55で識別された紙葉類の識別情報を、順番に上記ある取引以外の各取引に含まれる紙葉類の識別情報として書き換えて記憶部56,560で記憶させる。
[実施例6]
この点に関して、図14に示すような具体的な例を用いて説明する。図14(a)に示す態様でも、前々回の取引には2枚の5ドル紙幣が含まれ、前回の取引には4枚の5ドル紙幣が含まれ、今回の取引には2枚の5ドル紙幣が含まれた態様となっている。なお、図14(a)に示す態様でも、前々回の取引に含まれる2枚の5ドル紙幣と前回の取引に含まれる3枚の5ドル紙幣はスタッカ60a−60dから取り除かれており、スタッカ60a−60d内には、前回の取引に含まれる1枚の5ドル紙幣と今回の取引に含まれる2枚の5ドル紙幣とが集積されている。
図14(b)に示す態様では、前回の取引がキャンセルされる態様となっている。前回取引の枚数は4枚であり、スタッカ60a−60d内に集積されている枚数3枚より多いので、既に計数済みの紙葉類の全て(図14に示す態様では載置場所に載置された5枚の5ドル紙幣とスタッカ60a−60d内に集積されている3枚の5ドル紙幣)を再識別処理の対象とする。取込部10によって取り込まれた5ドル紙幣は一枚ずつ搬送部70で搬送され、識別部55で識別計数された後で、4枚の5ドル紙幣(例えば最初の4枚の5ドル紙幣)はリジェクト部65a,65bへと搬送され、残りの4枚の5ドル紙幣(例えば最後の4枚の5ドル紙幣)は5ドル紙幣を集積しているスタッカ60a−60dへと搬送される(図14(c)参照)。
そして、本実施の形態では、再識別処理の対象となった5ドル紙幣に関する識別情報が記憶部56,560から削除され、スタッカ60a−60dへと搬送された4枚の5ドル紙幣の識別情報が前々回の取引及び今回の取引に含まれる5ドル紙幣のものとして記憶部56,560で記憶されることとなる。今回取引の紙幣枚数は2枚、前々回取引の紙幣枚数は2枚なので、修正された識別情報データのうち、最新の2件が今回取引の識別情報であり、次の2件が前々回取引の識別情報であるとしてデータを修正する(図14(d)参照)。
ところで、上記では、第2の実施の形態が、第1の実施の形態と略同一の態様となっているとして説明したが、これに限られることはない。つまり、第2の実施の形態は第1の実施の形態から独立した態様となっていてもよい。このため、紙葉類処理装置100及び/又は紙葉類処理システムは、取引データの修正に基づいて、スタッカ60a−60d内に集積される紙葉類の枚数を修正する態様となっていればよく、その他の限定は特に必要ない。
最後になったが、上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。