JP6608791B2 - アンモニアを含む排水処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、アンモニアを含む排水処理装置に関する。
例えば最終処分場(final disposal space)や工場等から排出されるアンモニアを含む排水を処理する排水処理装置が知られている。この種の排水処理装置としては、硝化脱窒法(nitrification denitrification)やアナモックス菌(anammox bacteria)等の特殊な細菌を利用した生物的処理、アンモニアストリッピング法(ammonia stripping)などの化学的処理、膜処理法等の物理的処理を行うものが知られている。
しかしながら、これらの処理方法では、高濃度のアンモニアを安定且つ確実に処理できるとは言い難い。アンモニアを効率よく処理する方法としては、臭素イオン存在下においてオゾンを利用するものがある(例えば、特許文献1に記載されている排水処理方法)。上記特許文献中、臭素イオンを含む被処理原水に対しオゾンを供給することで、化学式1の(1)式及び化学式1の(2)式を経てアンモニアを脱窒分解するようにしている。即ち、この反応過程では、まず化学式1の(1)式において、オゾン(O)が臭素イオン(Br)と反応して次亜臭素酸(HBrO:hypobromous acid)が生成される。次いで、化学式1の(2)式において、次亜臭素酸がアンモニア(NH)と反応して窒素(N)が生成され、アンモニアの脱窒分解が完了する。
Figure 0006608791
特許第5334148号明細書
しかしながら、前述した従来の技術では、すなわち、上記特許文献1に記載のような排水処理装置において、オゾンの供給速度が過剰になると、未反応のオゾンが排出ガスとして大気中へ放出される可能性がある。この場合、アンモニアの分解に寄与しなかったオゾンを無駄に消費してしまう(いわゆる無効消費してしまう)。また、例えば未反応のオゾンガスを処理するために排ガス処理装置を別途設ける必要があったり、排ガス処理装置の負荷が増大したりする問題も生じる。
そこで、本発明者は上記の欠点が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理的設計で上記の課題を効果的に改善する本発明の提案に到った。
本発明は、以上の従来技術の課題を解決する為になされたものである。即ち、本発明は、未反応のオゾンガスが排出ガスとして放出されることを抑制できるアンモニアを含む排水処理装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のアンモニアを含む排水処理装置の第1の発明では、アンモニアを含む排水の処理を行う少なくとも1つの反応塔(31、32)を有する反応部(30)と、反応塔内(31、32)の排水にオゾンを供給するオゾン供給部(23)と、反応塔(31、32)で処理される排水に臭素イオンを供給する臭素イオン供給部(20)とを備え、上記反応塔で排水に所定の有機物を供給する有機物供給部とを備え、上記有機物は、カルボン酸(carboxylic acid)、アルコール(alcohol)、アルデヒド(aldehyde)、エーテル(ether)、及びアルカン(alkane)のいずれか1つ又は2つ以上を含む。
第1の発明では、有機物供給部(25)が排水へ有機物を供給する。オゾンが水酸化物イオンと反応すると、その後の連鎖伝播反応(chain propagation reaction)によりOHラジカル(OH radical)(・OH) が生じる 。上記OHラジカルがオゾンと反応すると、オゾンが臭素イオンと反応せずに消費されてしまう。これに対し、反応塔(31、32)内に所定の有機物を供給することで、OHラジカルは、優先的に有機物と反応する。これにより、OHラジカルによるオゾンの消費を抑制できる。
第1の発明では、カルボン酸、アルコール、アルデヒド、エーテル、及びアルカンのいずれか1つ又は2つ以上を含む有機物が、反応塔(31、32)で処理される排水中に供給される。これらの有機物は、オゾンとの反応速度が比較的遅いため、オゾンが有機物と反応して消費されることを抑制できる。
第2の発明は、アンモニアを含む排水の処理を行う少なくとも1つの反応塔を有する反応部と、上記反応塔内の排水にオゾンを供給するオゾン供給部と、上記反応塔で処理される排水に臭素イオンを供給する臭素イオン供給部とを備え、上記反応部は、上記反応塔で上記排水を間欠的に処理する回分式(batch method)であり、上記反応塔内の排水中のアンモニアの分解が終了したことを示す指標を検出する検知部と、上記検知部が検出した指標に基づいて上記アンモニアの分解が終了したと判断すると、上記反応塔内の排水へのオゾンの供給を停止させる制御を行う制御部とを更に備えている。
第2の発明では、検知部(41)が所定の指標を検出する。制御部(42)は、この指標に基づいて反応塔(31、32)内の排水中のアンモニアの分解が終了しことを判断し、反応塔(31、32)内の排水へのオゾンの供給を停止させる。反応塔(31、32)内のアンモニアの分解が終了したにも拘わらず、排水中にオゾンが供給されることを速やかに終了できる。この結果、オゾンの無駄な供給を回避できるとともに、未反応のオゾンガスが排出ガスとして排出されることも防止できる。
本発明のアンモニアを含む排水処理装置の第の発明では、第の発明において、上記指標は、反応塔(31、32)内の排水のpH、反応塔(31、32)内の排水の酸化剤濃度、反応塔(31、32)内の酸化還元電位、上記反応塔(31、32)から排出されるガス中のオゾン濃度の少なくとも1つである。これにより、検知部(41)が上記指標として、反応塔(31、32)内の排水のpH、反応塔(31、32)内の排水の酸化剤濃度、反応塔(31、32)内の酸化還元電位、反応塔(31、32)から排出されるガス中のオゾン濃度の少なくとも1つを検出する。制御部(42)は、これらの指標に基づいて、反応塔(31、32) でのアンモニアの分解が終了したか否かを判定する 。
本発明のアンモニアを含む排水処理装置の第の発明では、第の発明において、制御部(42)は、指標の増大変化率が所定値より大きくなると、反応塔(31、32)内の排水へのオゾンの供給を停止させる制御を行う。制御部(42)が、上記指標の増大変化率に基づいて、反応塔(31、32) でのアンモニアの分解が終了したか否かを判定する 。
本発明の第5の発明では、第2の発明において、上記指標は、上記反応塔から排出されるガス中のオゾン濃度であり、上記臭素イオン供給部及びオゾン供給部は、Y≧18×Xの関係を満たすように構成され、上記Yは上記反応塔で処理される排水に供給される臭素イオン濃度(mg[Br-]/l)、上記Xは、上記反応塔内の排水中に供給されるオゾンの供給速度((mg[O ]/l[反応塔の排水の量])/min)、上記18は、比例定数Kであって、オゾンの供給速度に対する臭素イオン濃度の比((mg[Br-]・min)/mg[O ])である。
第6の発明は、アンモニアを含む排水の処理を行う少なくとも1つの反応塔を有する反応部と上記反応塔内の排水にオゾンを供給するオゾン供給部と、上記反応塔で処理される排水に臭素イオンを供給する臭素イオン供給部とを備え、上記反応部は、上記反応塔で上記排水を間欠的に処理する回分式(batch method)であり、上記臭素イオン供給部及びオゾン供給部は、Y≧18×Xの関係を満たすように構成され、上記Yは上記反応塔で処理される排水に供給される臭素イオン濃度(mg[Br-]/l)、上記Xは、上記反応塔内の排水中に供給されるオゾンの供給速度((mg[O ]/l[反応塔の排水の量])/min)、上記18は、比例定数Kであって、オゾンの供給速度に対する臭素イオン濃度の比((mg[Br-]・min)/mg[O ])であることを特徴とするアンモニアを含む。
の発明では、反応塔(31、32)で処理される排水の臭素イオン濃度Yと、反応塔(31、32)で処理される排水へ供給されるオゾンの供給速度との関係が、Y≧18×Xを満たしている。この関係式は、反応塔(31、32)で処理される排水の臭素イオン濃度と、この臭素イオン濃度に応じたオゾンの消費速度の関係から実験的に求められたものであり、未反応のオゾンガスが排出されることなく、オゾンと臭素イオンとを有効に反応させるための条件を表す。従って、この関係式を満たすように臭素イオンを供給することで、オゾンの無効消費を確実に防止できる。
第1、第2、及び第6の発明では、臭素イオン供給部(20)が排水へ臭素イオンを供給する技術手段により、反応塔(31、32)で処理される排水中の臭素イオンを所定濃度に調節できる。オゾン供給部(23)は、反応塔(31、32)で処理される排水にオゾンを供給する。これにより、反応塔(31、32)に供給されるオゾンの供給速度を調節できる。このように、反応塔(31、32)の排水の臭素イオンの濃度、及びオゾンの供給速度を最適に調節できる。この結果、排水中の臭素イオンに対してオゾンの供給速度が過剰となることを抑制できる。
第1、第2、及び第6の発明では、反応塔(31、32)において排水が一時的に滞留し、この排水が間欠的に処理される。このような回分式(バッチ式)では、アンモニアを確実に分解するための十分な反応時間を確保できる。従って、処理後の排水中のアンモニア性窒素(ammonia nitrogen)の濃度を極めて低い濃度とすることができる。
本発明のアンモニアを含む排水処理装置の第7の発明では、第1乃至第6のいずれか1つの発明において、反応塔(31、32)内の排水のpHを7以下に調整するpH調整部(21)を備えている。これにより、オゾン及び水酸化物イオン(OH)の連鎖開始反応(chain initiation)に起因するオゾンの自己分解を抑制できる。この結果、オゾンが臭素イオンと反応せずに消費されてしまうことを抑制できる。
本発明のアンモニアを含む排水処理装置の第の発明では、第1乃至第のいずれかの1つの発明において、反応部(30)は、2つ以上の反応塔(31、32) が交替して上記排水を処理する連続回分式である 。これにより、反応部(30)に2つ以上の反応塔(31、32)が設けられる。そして、これらの反応塔(31、32) において交替して排水が処理される。このような連続回分式(連続バッチ処理)では、実質的には、排水が連続的に処理される。
本発明のアンモニアを含む排水処理装置の第の発明では、第1乃至第8のいずれかの1つの発明において、反応塔(31、32)で処理される前の排水と、反応塔(31、32)で処理された後の排水とを混合させる混合部(14)を更に備えている。これにより、混合部(14)において、反応塔(31、32)で処理される前の排水と、反応塔(31、32)で処理された後の排水とが混合される。反応塔(31、32)で処理された後の排水中に酸化剤が残留していた場合に、この酸化剤と、処理前の排水中のアンモニアとを反応させることができる。この結果、排水中の残留酸化剤の濃度を低減できる。
本発明のアンモニアを含む排水処理装置の第1の発明では、第1乃至第8のいずれかの1つの発明において、臭素イオン供給部(20)は、海水中の臭素イオンを排水へ供給する。これにより、臭素イオン供給部(20)が、臭素イオンの供給源として海水を利用する。
本発明による効果を以下に示す。
第1、第2、及び第6の発明では、本発明によれば、反応塔(31、32)で処理される排水中の臭素イオンの濃度、及び排水中に供給されるオゾンの供給速度を最適に調整できる。従って、排水中の臭素イオン濃度に対してオゾンが過剰に供給されることを防止できる。この結果、未反応のオゾンガスが排出されることを抑制できるとともに、オゾンの無効消費を抑制できる。このようにすると、オゾンの過剰な供給を抑制でき、オゾンの供給に要するランニングコスト(Running cost)を低減できる。また、オゾンガスを処理するための排ガス処理装置を省略できる。あるいはこの排ガス処理装置を小型化できる。
の発明では、反応塔(31、32)内の排水のpHを7以下に調整することで、オゾンの自己分解に起因する無効消費を抑制できる。この結果、供給するオゾンに対するアンモニアの分解効率を向上できる。
また、排水中のpHを低くすることで、上述の化学式1の(1)式で得た次亜臭素酸が、OBrに解離することを抑制できる。この結果、アンモニアの硝酸化反応を抑制し、且つ化学式1の(2)式によるアンモニアの脱窒は反応を促進できる。また、このようにOBrの発生を抑制することで、臭素酸(BrO)の生成も抑制できる。
の発明では、オゾンの連鎖伝播反応に起因して生じたOHラジカルを所定の有機物と反応させることで、オゾンがOHラジカルと反応して消費されることを防止できる。この結果、供給するオゾンに対するアンモニアの分解効率を更に向上できる。
また、有機物とOHラジカルとの反応により、反応性の高い有機物(有機ラジカル)の生成を促すことができる。この有機ラジカルは、次亜臭素酸の生成や、アンモニアの酸化分解に寄与される。従って、アンモニアの分解効率を更に向上できる。
の発明では、比較的安価に有機物を得ることができる。また、オゾンが有機物と反応して無効消費されることを抑制できる。
1、2、6の発明では、処理後の排水中のアンモニア性窒素(ammonia nitrogen)の濃度を極めて低い濃度とすることができる。
の発明では、オゾンが排出ガスとして放出されることを確実に防止できる。
の発明では、排水中のアンモニアの濃度を検出せずとも、アンモニアの分解が終了したことを判断できる。
の発明では、所定の指標の増大変化率に基づいてアンモニアの分解の終了を判断するため、この判断の精度が向上する。
の発明では、2つ以上の反応塔(31、32)で連続バッチ処理を行うため、所定の排水を実質的に連続的に処理できる。
の発明では、反応塔(31、32)の処理後の排水中の残留酸化剤を、処理前の排水を利用することで確実且つ容易に処理できる。
第1の発明では、海水中の臭素イオンを利用するため、臭素イオンを生成するためのコストを低減できる。
5、6の発明では、Y≧18×Xの関係式を満たすように臭素イオン及びオゾンが供給されるため、供給したオゾンの全てを臭素イオンと反応させてアンモニアを分解処理できる。この結果、未反応のオゾンの発生も確実に防止できる。従って、供給するオゾンに対するアンモニアの分解効率が極めて高く、経済性に優れた排水処理装置を提供できる。
本発明の好ましい実施形態による排水処理装置を示すシステム構成図である。 反応塔での処理動作におけるオゾンの消費量に対する、アンモニア性窒素濃度、酸化剤濃度、及びpHの関係の一例を示したグラフである。 臭素イオン濃度Yとオゾン消費速度X’の関係を実験的に求めたグラフである。 変化例の排水処理装置システムを示す構成図である。 オゾンによりアンモニアを分解させた試験結果であり、有機物を供給した排水を用いたRUN1及びRUN2と、有機物を供給しなかった排水を用いたRUN3及びRUN4における、アンモニア分解効率(O/NH−N比)を対比したものである。 酢酸の添加濃度と総反応時間の関係を検証した試験結果である。
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
《実施形態》
本発明に係る排水処理装置(10)は、例えば最終処分場や工場等から排出される排水を被処理原水とする。被処理原水中には、アンモニアが含まれている。
<全体構造>
図1は本発明に係る排水処理装置(10)を示す全体構成図である。排水処理装置(10)は、排水中のアンモニアをオゾンにより分解する反応部(30)を備える。本実施形態の反応部(30)は、2つの反応塔(31、32)を有し、且つ各反応塔(31、32)でそれぞれ排水を間欠的に処理する回分式(batch method)である。更に厳密にいうと、反応部(30)は、各反応塔(31、32)が交替して排水を処理する連続回分式(バッチ式)である。
排水処理装置(10)は、ガス接触部(11)、第1切替部(12)、第1反応塔(31)、第2反応塔(32)、第2切替部(13)、及び混合部(14)を有している。ガス接触部(11)は、排水処理装置(10)に流入した排水と、各反応塔(31、32)から排出された排出ガスとを気液接触させる。ガス接触部(11)は、スクラバー(scrubber)式、エジェクタ式等を採用できる他の方式であってもよい。
第1切替部(12)は、例えば第1反応塔(31)への排水の供給動作をON/OFFさせる第1開閉機構と、第2反応塔(32)への排水の供給動作をON/OFFさせる第2開閉機構とを有している。
また、第1反応塔(31)及び第2反応塔(32)は、第1切替部(12)を流出した排水と、オゾンガスとを塔内で気液接触させるリアクター(Reactor)である。
なお、第2切替部(13)は、例えば第1反応塔(31)からの排水の排出動作をON/OFFさせる第三開閉機構と、第2反応塔(32)からの排水の排出動作をON/OFFさせる第四開閉機構とを有している。
さらに、混合部(14)は、第2切替部(13)を流出した排水と、分流路(15)を流れた排水とを混合させる。分流路(15)の流入端はガス接触部(11)の上流部に接続し、分流路(15)の流出端は混合部(14)に接続する。即ち、混合部(14)は、反応塔(31、32)で処理される前の排水と、反応塔(31、32)で処理された後の排水とを混合させる。
排水処理装置(10)は、臭素イオン供給部(20)、第1pH調整部(21)、第2pH調整部(22)、オゾン供給部(23)、及びガス切替部(24)を有している。臭素イオン供給部(20)は、各反応塔(31、32)で処理される排水に臭素イオンを供給する。より具体的には、臭素イオン供給部(20)は、分流路(15)の流入端とガス接触部(11)との間の流路を流れる排水に臭素イオンを供給する。臭素イオン供給部(20)は、各反応塔(31、32)で処理される排水の濃度Y(詳細は後述する)が所定値となるように、排水へ臭素イオンを供給する。
臭素イオン供給部(20)は、例えば海水中の臭素イオンを膜処理装置(例えば逆浸透膜装置)により濃縮した後、濃縮後の液を排水中へ供給する。これにより、海水中の臭素イオンを排水の処理に利用できる。臭素イオン供給部(20)は、例えば臭化カリウム(KBr)等の臭素化合物を排水に供給するものであってもよい。
第1pH調整部(21)は、各反応塔(31、32)で処理される排水に酸剤を供給する。より具体的には、第1pH調整部(21)は、ガス接触部(11)と第1切替部(12)の間の流路を流れる排水に酸剤を供給する。第1pH調整部(21)は、各反応塔(31、32)で処理される排水のpHが所定値以下となるように、この排水へ酸剤(例えば硫酸(HSO))を供給する。
第2pH調整部(22)は、反応塔(31、32)で処理される排水にアルカリ剤を供給する。より具体的には、第2pH調整部(22)は、反応塔(31、32)内の排水のpHが所定値以上となるように、この排水へアルカリ剤(例えば水酸化ナトリウム(NaOH))を供給する。
オゾン供給部(23)は、ガス切替部(24)を通じて各反応塔(31、32)へオゾンを供給する。オゾン供給部(23)は、例えばPSA型オゾン発生装置で発生させたオゾンガスをガス切替部(24)へ導入する。
ガス切替部(24)は、例えばオゾン供給部(23)から第1反応塔(31)へのオゾンガスの供給動作をON/OFFさせる第1ガス開閉機構と、オゾン供給部(23)から第2反応塔(32)へのオゾンガスの供給動作をON/OFFさせる第2ガス開閉機構とを備えている。ガス切替部(24)を通過したオゾンは、各反応塔(31、32)の下部の散気管より排水中へ供給(注入)される。
排水処理装置(10)は、検知部(41)及び制御部(42)を有している。検知部(41)は、各反応塔(31、32)にそれぞれ設けられる。検知部(41)は、各反応塔(31、32)でのアンモニアの分解が終了したことを示す指標を検出する。制御部(42)は、検知部(41)で検知した指標に基づいて、第1切替部(12)、第2切替部(13)、及びガス切替部(24)の流路の切換状態を変更する。
<被処理原水の処理工程>
図1を参照しながら、排水処理装置(10)の処理工程の概要を説明する。まず、アンモニアを含む被処理原水の多くは、メインの流路を流れてガス接触部(11)に流入し、残りの被処理原水は分流路(15)を介して混合部(14)に流入する。ガス接触部(11)へ流入する前の排水には、臭素イオン供給部(20)より臭素イオンが供給される。これにより、反応塔(31、32)で処理される排水の臭素イオン濃度が調節される。
次いで、ガス接触部(11)では、各反応塔(31、32)から排出される排出ガスと、被処理原水である排水とが気液接触する。これにより、仮に排出ガス中にオゾンが残存していた場合に、上記化学式1の(1)式の反応により、オゾンを分解することができる。また、化学式1の(2)式の反応により、排水中のアンモニアを前処理できる。
また、排出ガス中に臭素(Br)ガスが含まれている場合、この臭素ガスを排水中に臭素イオンとして取り込むことができる。これにより、臭素イオン供給部(20)による臭素イオンの供給量を軽減できる。
ガス接触部(11)で処理された排出ガスは大気中へ放出される。ガス接触部(11)で処理された排水には、第1pH調整部(21)から酸剤が供給される。これにより、反応塔(31、32)で処理される排水のpHが所定値以下に調節される。
上述したガス接触部(11)では、排水中に臭素イオンを多く含んでいる方が、オゾンの分解効率が高くなり易い。このため、臭素イオン供給部(20)は、ガス接触部(11)の上流側に臭素イオンを供給するのが好ましい。また、ガス接触部(11)では、pHが比較的高い方が、オゾンガスや臭素ガスの分解効率が高くなる。このため、第1pH調整部(21)は、ガス接触部(11)の下流側に酸剤を供給するのが好ましい。ただし、臭素イオン供給部(20)、ガス接触部(11)、及び第1pH調整部(21)の順序はこれに限らず、他の順序であってもよい。
pH調整部(21)によってpHが調節された排水は、第1切替部(12)を通じて第1反応塔(31)又は第2反応塔(32)へ供給される。第1反応塔(31)及び第2反応塔(32)では、排水中のアンモニアが交互に繰り返し処理される。例えば第1反応塔(31)の処理(第1処理動作)では、第1反応塔(31)への排水の供給動作と、第1反応塔(31)からの排水の排出動作とが停止される。これにより、第1反応塔(31)は実質的に閉鎖されたリアクターとなる。また、第2処理動作では、第1反応塔(31)へのオゾンの供給動作が行われる。
第1反応塔(31)では、初期の臭素イオン濃度がY(mg[Br-]/l)になる。これに対し、オゾン供給部(23)からは、所定のオゾンの供給速度X((mg[O3]/l[反応塔の排水の量])/min)にて、第1反応塔(31)の排水中にオゾンが供給される。
第1反応塔(31)では、化学式1の(1)式の反応により、オゾンが臭素イオンと反応して次亜臭素酸が生成される。次いで、化学式1の(2)式の反応により、次亜臭素酸がアンモニアと反応し、アンモニアが窒素にまで分解される。この化学式1の(1)式及び化学式1の(2)式の反応を繰り返すことで、臭素イオンの存在下において、アンモニアが分解されていく。
こうして、第1反応塔(31)においてアンモニアの分解が終了すると、制御部(42)は、検知部(41)で検出した指標に基づいてアンモニアの分解が終了したと判断する。すると、制御部(42)は、ガス切替部(24)を制御し、第1反応塔(31)へのオゾンの供給を停止する。
第1反応塔(31)の第1処理動作が完了すると、第2反応塔(32)での処理(第2処理動作)が開始される。第2処理動作では、第2反応塔(32)への排水の供給動作と、第2反応塔(32)からの排水の排出動作とが停止される。これにより、第2反応塔(32)は、実質的に閉鎖されたリアクターとなる。また、第2処理動作では、第2反応塔(32)へのオゾンの供給動作が行われる。
第2処理動作では、上記の第1処理動作と同様にして、アンモニアが分解される。第2反応塔(32)においてアンモニアの分解が終了すると、制御部(42)は、検知部(41)で検出した指標に基づいてアンモニアの分解が終了したと判定する。すると、制御部(42)は、ガス切替部(24)を制御し、第2反応塔(32)へのオゾンの供給を停止する。
この第2処理動作中には、まず、第1反応塔(31)で処理された排水を排出する排水動作が行われる。次いで、新たな排水を第1反応塔(31)へ供給する供給動作が行われる。従って、第2処理動作から第1処理動作へ切り換わると、第1反応塔(31)に新たな被処理水が溜まっている状態となる。
同様に、第1処理動作中には、まず、第2反応塔(32)で処理された排水を排出する排水動作が行われる。次いで、新たな排水を第2反応塔(32)へ供給する供給動作が行われる。第1処理動作から第2処理動作へ切り換わると、第2反応塔(32)では新たな被処理水が溜まっている状態となる。
以上のような第1処理動作と第2処理動作とを交互に繰り返し行うことで、アンモニアを含む排水を実質的に連続して処理できる。
また、各反応塔(31、32)で処理される排水は、混合部(24)において被処理原水と合流する。反応塔(31、32)でのオゾン処理の後には、排水中に何らかの酸化剤(酸化性物質)が残存している可能性がある。これに対し、混合部(14)において、処理後の排水と被処理原水とを混合させることで、残留した酸化剤と、被処理原水中のアンモニアとを反応させることができ、残留酸化剤を分解できる。
混合部(14)に分流させる被処理原水の流量は、混合部(14)におけるアンモニアの分解と希釈の効果により、混合後のアンモニア性窒素の濃度が所定の基準値以下、あるいはゼロとなるように設定するのが好ましい。これにより、放流水においては、残留酸化剤とアンモニア性窒素の双方の基準を確実に充足させることができる。
〔最適pH〕
上述したように、反応塔(31、32)で処理される排水のpHは7.0以下とするのが好ましく、5.0以下とするのがより好ましい。この点について以下に詳述する。
反応塔(31、32)の排水中にオゾンを供給すると、以下の化学式2のように、オゾンの自己分解が生じ得る。
Figure 0006608791
ここで、上記化学式2の(3)式及び化学式2の(4)式は、オゾンの自己分解の連鎖開始反応である。この連鎖開始反応によりオゾン(O)と水酸化物イオン(OH)とが反応し、スーパーオキサイドラジカル(superoxide radical)(・O )やヒドロペルオキシラジカル(hydroperoxy radical)(HO・)が生成される。
この連鎖開始反応が生じると、次いで上記化学式2の(5)〜(10)式の連鎖伝播反応が生じる。これらの反応過程においては、オゾン(O)がスーパーオキサイドラジカル(superoxide radical)(・O )やOHラジカル(・OH)と反応來することで、オゾン(O)が分解されてしまう。つまり、このようなオゾンの自己分解が生じると、オゾンは上記化学式1の(1)のようにアンモニアの分解に寄与せず、無駄に消費されてしまう(無効消費となる)。
これに対し、反応塔(31、32)の排水のpHを7.0以下、好ましくは5.0以下に調整すると、上記化学式2の(3)式の反応を抑制できる。上記化学式2に示す連鎖開始反応、ひいては連鎖伝播反応を抑制できるため、オゾンの自己分解を抑制できる。この結果、供給するオゾンに対するアンモニアの分解効率を向上できる。
このほか、反応塔(31、32)の排水のpHを7.0以下、好ましくは5.0以下に調整すると、上記化学式1の(1)式で生じた次亜臭素酸( HBrO )が、OBrに解離することを抑制できる。この結果、アンモニアの硝酸化反応を抑制し、上記化学式1の(2)式によるアンモニアの脱窒反応を促進できる。また、このようにOBrの発生を抑制することで、上記化学式2の(3)式により臭素酸(BrO)が生成されることを抑制できる。特に、排水のpHを5.0以下とすることで、OBrの発生を確実に防止でき、化学式3に起因する臭素酸の生成、及びオゾンの無効消費を回避できる。
Figure 0006608791
一方、反応塔(31、32)の排水のpHがあまり低くなりすぎると、臭素イオンが臭素ガスとして放出される可能性がある。このため、第2pH調整部(22)のアルカリ剤の供給により、反応塔(31、32)の排水のpHを2.0以上、好ましくは3.0以上に調整するのがよい。
〔処理動作の終了判定〕
反応塔(31、32)の第1処理動作及び第2処理動作の終了の判定は、具体的には以下のように行われる。
例えば、第1処理動作では、検知部(41)が第1反応塔(31)の所定の指標を検出する。また、第2処理動作では、検知部(41)が第2反応塔(32)の所定の指標を検出する。上記指標は、各反応塔(31、32)でアンモニアの分解が終了したことを示す指標である。より具体的には、この指標は、反応塔(31、32)内の排水のpH、反応塔(31、32)内の排水の酸化剤濃度、反応塔(31、32)内の酸化還元電位、反応塔(31、32)から排出されるガス中のオゾン濃度の少なくとも1つのである。
制御部(42)は、この指標に基づいて各反応塔(31、32)でアンモニアの分解が終了したことを判定する。一方の反応塔(例えば第1反応塔(31))でアンモニアの分解が終了したと判定すると、ガス切替部(24)を制御し、この反応塔(第1反応塔(31))へのオゾンの供給動作を停止する。同時に、制御部(42)は、他方の反応塔(例えば第2反応塔(32))へのオゾンの供給動作を開始させる。このような切換により、各反応塔(31、32)では、アンモニアを確実に分解しつつ、2つの処理動作を交互に繰り返すことができる。
また、上記の指標を用いることで、例えば排水中のアンモニアの濃度を検出することなく、比較的容易にアンモニアの分解の終了を判定できる。例えば図2は、反応塔(31、32)におけるオゾンの消費量と、これに対応したアンモニア性窒素の濃度、酸化剤濃度、pHの関係を検証した結果である。
図2に示すように、オゾンの消費量が増えるにつれて、アンモニア性窒素の濃度が低下し、これに伴ってpHも低下する。そして、図2の破線で囲むように、アンモニア性窒素の濃度が概ねゼロに至ると、pHが初めて増大変化する。これは、アンモニアが分解された状況下においてオゾンの供給が継続されると、上記化学式1の(2)式の反応が行われず、酸性化が止まるためである。
従って、このpHを上記の指標とすることで、アンモニアの分解が終了したことを判定できる。具体的に、例えば制御部(42)は、pHが減少傾向から増大傾向に至る変曲点に至ると、アンモニアの分解が終了したと判定する。あるいは、制御部(42)は、所定時間におけるpHの増大変化率が所定値(例えば0.1)より大きくなると、アンモニアの分解が終了したと判定する。このようにpHの増大変化率を指標 として用いることで、アンモニアの分解の終了を精度よく判定できる。
さらに、図2に示すように、アンモニア性窒素の濃度が低下することに伴い、酸化剤の濃度は緩やかに増大するないし一定となる。そして、図2の破線で囲むように、アンモニア性窒素の濃度が概ねゼロに至ると、酸化剤の濃度が急激に増大する。これは、アンモニアが分解された状況下において化学式1の(1)式の反応が継続されることで、次臭素酸等の酸化剤濃度が高くなるためである。
従って、この酸化剤濃度を上記の指標とすることで、アンモニアの分解が終了したことを判定できる。具体的に、例えば制御部(42)は、所定時間における酸化剤濃度の増大変化率が所定値(例えばOCl換算にて10mg/l)より大きくなると、アンモニアの分解が終了したと判定する。このように酸化剤濃度の増大変化率を指標として用いることで、アンモニアの分解の終了を精度よく判定できる。
排水中のORP(Oxidation Reduction Potential(酸化還元電位))は、酸化剤濃度と概ね比例関係にある。このため、酸化剤濃度に変えてORPの増大変化率を用いても、同様の判定を行うことができる。この場合、制御部(42)は、ORPが例えば10mV以上増大変化すると、アンモニアの分解が終了したと判定する。
また、アンモニアの分解が終了した状態でオゾンの供給を継続すると、未反応のオゾンが排ガスとして放出されてしまう。従って、この排ガス中のオゾン濃度を検知部(41)により検出し、このオゾン濃度を上記の指標としてもよい。制御部(42)は、例えば排ガス中のオゾン濃度の絶対値、あるいは増大変化率が所定値(例えば5%)を超えると、アンモニアの分解が終了したと判定する。
以上のように、各反応塔(31、32)では、アンモニアの分解が終了すると速やかにオゾンの供給動作が停止される。これにより、未反応のオゾンガスが放出されることを速やかに回避できるとともに、オゾンの無効消費を確実に抑制できる。
〔臭素イオンとオゾンの供給速度との関係〕
本実施形態の排水処理装置(10)では、臭素イオン供給部(20)とオゾン供給部(23)とが、Y≧18×Xの関係式を満たすように構成される。ここで、Yは、反応塔(31、32)で処理される排水に供給される臭素イオン濃度(mg[Br-]/l)である。換言すると、Yは、反応塔(31、32)の処理動作が開始する時点での反応塔(31、32)内の排水の臭素イオン濃度ということもできる。Xは、反応塔内の排水中に供給されるオゾンの供給速度((mg[O3]/l[反応塔の排水の量])/min)である。上記18は、比例定数Kであって、オゾンの供給速度に対する臭素イオン濃度の比((mg[Br-]・min)/mg[O3)である。この関係式を満たすことで、未反応のオゾンガスの発生を抑制しつつ、供給したオゾンに対するアンモニアの分解効率を向上できる。この点について図3を参照しながら説明する。
図3は、反応塔(31、32)の排水の臭素イオン濃度と、この排水中へオゾンを供給した際のオゾン消費速度との関係を実験的に求めたグラフである。ここで、このグラフで示すオゾンの消費速度((mg[O3]/l[反応塔の排水の量])/min)は、上記化学式1の(1)式の反応においてBrが消費される速さを(A)とし、上記化学式1の(2)式の反応において、Brが生成される速さを(B)とした場合に、(A)=(B)の平衡状態が成立する理想条件でのオゾンの消費速度である。
本実験により、反応塔(31、32)で処理される排水の臭素イオン濃度Yと、上記平衡状態が成立するオゾンの消費速度X’とは、概ねY=18×X’の関係が成立することがわかった。従って、実際にオゾン供給部(23)から排水中へ供給するオゾンの供給速度が、X≦X’となれば、オゾンの供給速度がオゾンの消費速度以下となる。この条件を満たすことで未反応のオゾンが排出ガスとして放出されることを回避でき、供給するオゾンに対するアンモニアの分解効率を向上できる。
逆にオゾンの供給速度Xが、X>X’となれば、オゾンの供給速度がオゾンの消費速度を越えてしまう。この場合、未反応のオゾンが排出ガスとして放出されてしまうとともに、供給されたオゾンの一部がアンモニアの分解に寄与せずに無効消費されてしまう。
以上より、反応塔(31、32)で処理される排水に供給される臭素イオン濃度Yと、オゾンの供給速度Xとの関係は、Y≧18×Xを満たすようにすればいい。これにより、上記X≦X’の関係が満たされるため、未反応のオゾンガスが排出されることを抑制しつつ、オゾンの無効消費を抑制できる。
さらに、上記Y及びXは、Y≧36×Xの関係を満たすのがより好ましい。これにより、臭素イオン濃度が比較的高い条件下においても、未反応のオゾンが排出されることを確実に回避できる。また、上記Y及びXは、100×X≧Y、更には60×X≧Yの関係を満たすのが好ましい。また、例えばX=10であれば、100≦Y≦1000の範囲であるのが好ましく、更には300≦Y≦600の範囲であるのが好ましい。また、例えばY=300であれば、X≦30の範囲であるのが好ましく、更には5≦X≦10の範囲であるのが好ましい。
上記Y及びXの関係を適用する場合、反応塔(31、32)で処理する排水中の初期のアンモニア性窒素の濃度は5mg/l以上500mg/l以下の範囲であるのがよいが、この濃度は10mg/l以上、更には20mg/l以上であるのが好ましい。
−変化例−
上記実施形態の排水処理装置(10)において、反応塔(31、32)で処理される排水中に所定の有機物を供給する有機物供給部(25)を付与してもよい。例えば有機物供給部(25)は、TOC(全有機炭素:Total Organic Carbon)やCOD(科学的酸素要求量:Chemical Oxygen Demand)等が比較的低い排水を排出する半導体工場等に適用される排水処理装置(10)に付与される。
例えば図4に示す変化例の有機物供給部(25)は、ガス接触部(11)の上流側の排水へ有機物を供給する。なお、有機物供給部(25)は、ガス接触部(11)と第1切替部(12)の間の排水へ有機物を供給してもよい。このように反応塔(31、32)へ所定の有機物を供給すると、オゾンの無効消費を抑制できる。この点について詳述する。
反応塔(31、32)の排水にオゾンを供給すると、上記化学式2のように、オゾンの自己分解の連鎖開始反応、及び連鎖伝播反応が生じ、上記化学式2の(8)式を経てOHラジカルが生成する。OHラジカルと反応する有機物が無い又は少ない場合、上記化学式2の(9)式によりオゾンを分解させる可能性がある。これに対し、排水中に被酸化物となる有機物が含まれる場合、OHラジカルが有機物と優先的に反応する。これにより、化学式2の(9)式に伴うオゾンの自己分解を抑制でき、オゾンの無効消費を抑制できる。
また、有機物とOHラジカルとの反応により、反応性の高い有機物(いわゆる有機ラジカル)の生成を促すことができる。この有機ラジカルは、次亜臭素酸(hypobromous acid)の生成や、アンモニアの酸化分解に寄与される。従って、アンモニアの分解効率を更に向上できる。このように、反応塔(31、32)に有機物を供給することで、オゾンの自己分解を抑制するだけでなく、有機ラジカルによるアンモニアの分解効率の向上が期待できる。このことを検証した実験結果を図5に示す。
本実験では、排水中に有機物を供給したもの(RUN1、RUN2)と、有機物を供給しないもの(RUN3、RUN4)とのそれぞれについて、臭素イオン存在下でオゾンを供給してアンモニアを分解を分解させた際の分解効率(O/NH−N比)を検証したものである。ここで、図5のO/NH−N比は、反応塔へのオゾンの供給量に対する、除去されたアンモニア性窒素量の割合である。なお、このO/NH−N比の理論値は、化学式1の(1)式及び化学式1の(2)式より5.2である。
有機物を供給しない試験では、O/NH−N比の平均値は8.3であり、理論値を大きく上回っている。つまり、有機物がない条件下では、上述のようにオゾンの自己分解が進むため、アンモニア性窒素の分解効率が低減したと推察できる。
これに対し、有機物を供給した試験では、O/NH−N比の平均値が4.65であり、理論値よりも小さくなっている。このことから 有機物を供給することで、オゾンの自己分解を抑制できるだけでなく、有機ラジカルによりアンモニアの分解効率が向上したものと推察できる。
続いて、別途添加される酢酸が、NH−Nの反応時間を1mg/Lにまで低下させるのに寄与する。研究結果によると、添加される酢酸の濃度が高いほど総反応時間の短縮への寄与が大きくなる。これを図6に示す。
有機物供給部(25)が排水中へ供給する有機物は、TOCやCODの増大に寄与する被酸化性物質であればよいが、オゾンとの反応速度がオゾンと臭素イオンとの反応速度よりも遅いものがよい。また、有機物は、OHラジカルと反応することで上記の有機ラジカルを生成し易いものがよい。具体的に、この有機物は、カルボン酸、アルコール、アルデヒド、エーテル、及びアルカンのいずれか1つ又は2つ以上を含むものがよい。カルボン酸類としては、酢酸、シュウ酸(oxalic acid)、ギ酸(formic acid)等、アルコール類としては、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)等のオゾンとの反応速度が比較的遅いものが好ましい。
また、有機物供給部(25)は、上述した有機物を含む一般排水を被処理水中に供給するものであってもよい。このような一般排水を有機物の供給源として利用することで、ランニングコストを低減できる。
《他の実施形態》
上記実施形態の反応部(30)は、2つの反応塔(31、32)を有する連続回分式である。しかし、反応部(30)は、例えば3つ以上の反応塔(31、32)において交替して排水を処理する連続回分式であってもよいし、1つの反応塔(31、32)で間欠的に排水を処理する回分式(batch method)であってもよい。更に、反応部(30)は連続して排水が流れる連続式で構成することもできる。
以上説明したように、本発明は、排水処理装置について有用である。
10 排水処理装置
11 ガス接触部
12 第1切替部
13 第2切替部
14 混合部
15 分流路
20 臭素イオン供給部
21 第1pH調整部
22 第2pH調整部
23 オゾン供給部
24 ガス切替部
25 有機物供給部
30 反応部
31 第1反応塔
32 第2反応塔
41 検知部
42 制御部

Claims (10)

  1. アンモニアを含む排水の処理を行う少なくとも1つの反応塔を有する反応部と、
    上記反応塔内の排水にオゾンを供給するオゾン供給部と、
    上記反応塔で処理される排水に臭素イオンを供給する臭素イオン供給部と
    上記反応塔で排水に所定の有機物を供給する有機物供給部とを備え、
    上記有機物は、カルボン酸(carboxylic acid)、アルコール(alcohol)、アルデヒド(aldehyde)、エーテル(ether)、及びアルカン(alkane)のいずれか1つ又は2つ以上を含むことを特徴とするアンモニアを含む排水処理装置。
  2. アンモニアを含む排水の処理を行う少なくとも1つの反応塔を有する反応部と
    上記反応塔内の排水にオゾンを供給するオゾン供給部と、
    上記反応塔で処理される排水に臭素イオンを供給する臭素イオン供給部とを備え、
    上記反応部は、上記反応塔で上記排水を間欠的に処理する回分式(batch method)であり、
    上記反応塔内の排水中のアンモニアの分解が終了したことを示す指標を検出する検知部と、
    上記検知部が検出した指標に基づいて上記アンモニアの分解が終了したと判断すると、上記反応塔内の排水へのオゾンの供給を停止させる制御を行う制御部と
    を更に備えていることを特徴とするアンモニアを含む排水処理装置。
  3. 請求項において、
    上記指標は、上記反応塔内の排水のpH、上記反応塔内の排水の酸化剤濃度、上記反応塔内の酸化還元電位、上記反応塔から排出されるガス中のオゾン濃度の指標の内の少なくとも1つであることを特徴とするアンモニアを含む排水処理装置。
  4. 請求項において、
    上記制御部は、上記指標の増大変化率が所定値より大きくなると、上記反応塔内の排水へのオゾンの供給を停止させる制御を行うことを特徴とするアンモニアを含む排水処理装置。
  5. 請求項2において、
    上記指標は、上記反応塔から排出されるガス中のオゾン濃度であり、
    上記臭素イオン供給部及びオゾン供給部は、Y≧18×Xの関係を満たすように構成され、上記Yは上記反応塔で処理される排水に供給される臭素イオン濃度(mg[Br-]/l)、上記Xは、上記反応塔内の排水中に供給されるオゾンの供給速度((mg[O ]/l[反応塔の排水の量])/min)、上記18は、比例定数Kであって、オゾンの供給速度に対する臭素イオン濃度の比((mg[Br-]・min)/mg[O ])であることを特徴とするアンモニアを含む排水処理装置。
  6. アンモニアを含む排水の処理を行う少なくとも1つの反応塔を有する反応部と
    上記反応塔内の排水にオゾンを供給するオゾン供給部と、
    上記反応塔で処理される排水に臭素イオンを供給する臭素イオン供給部とを備え、
    上記反応部は、上記反応塔で上記排水を間欠的に処理する回分式(batch method)であり、
    上記臭素イオン供給部及びオゾン供給部は、Y≧18×Xの関係を満たすように構成され、上記Yは上記反応塔で処理される排水に供給される臭素イオン濃度(mg[Br-]/l)、上記Xは、上記反応塔内の排水中に供給されるオゾンの供給速度((mg[O ]/l[反応塔の排水の量])/min)、上記18は、比例定数Kであって、オゾンの供給速度に対する臭素イオン濃度の比((mg[Br-]・min)/mg[O ])であることを特徴とするアンモニアを含む排水処理装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1つにおいて、
    上記反応塔内の排水のpHを7以下に調整するpH調整部を備えていることを特徴とするアンモニアを含む排水処理装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1つにおいて、
    上記反応部は、2つ以上の上記反応塔が交替して上記排水を処理する連続回分式であることを特徴とするアンモニアを含む排水処理装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1つにおいて、
    上記反応塔で処理される前の上記排水と、上記反応塔で処理された後の排水とを混合させる混合部を更に備えていることを特徴とするアンモニアを含む排水処理装置。
  10. 請求項1乃至8のいずれか1つにおいて、
    上記臭素イオン供給部は、海水中の臭素イオンを上記排水へ供給することを特徴とするアンモニアを含む排水処理装置。
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