JP6608629B2 - パン類の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、中種法によるパン類の製造方法に関する。
近年、健康意識の高まりから、食物繊維、ビタミン、ミネラル等の栄養素に富むふすまや胚芽を含み、ふすまに由来する独特の風味を有する小麦全粒粉の需要が増してきている。しかし、小麦全粒粉を用いたパン類は、舌にざらつく食感やふすま独特の臭いやエグミを有しているため、小麦粉を主体とする通常のパン類に比べて栄養価が高いにもかかわらず、消費者に敬遠されがちである。
また従来、パン類の製造方法として代表的なものに、ストレート法と中種法がある。ストレート法は、全原料を一度にミキシングして生地を作製する方法であり、中種法は、原料の一部をミキシングして予備発酵したものを中種生地とし、これに残りの原料を加えてミキシングする方法である。このうち中種法は、ストレート法に比べて工程時間が長いという欠点はあるものの、予備発酵で生地の熟成を充分行っているため生地の伸展性が良く機械耐性が良好、老化が遅い、ボリュームが大きい、食感がソフトであるなどの多くの利点を有し、さらには、時間の管理と温度の管理に幅がなく、大量生産しやすいという利点を有することから、広く普及し、主に量産工場で採用されている。
特許文献1及び2には、サワー種と呼ばれる中種生地の作製原料として、小麦粉以外の穀粉と小麦粉とからなる混合粉を用いることが記載されており、この小麦粉以外の穀粉として、ライ麦、小麦全粒粉などが使用できるとされている。特許文献1及び2記載技術は、伝統的なパン種であるサワー種を、熟練した職人の技能に頼らず、また環境の影響を受けずに安定的に短期間で調製することを目的としたもので、小麦全粒粉の使用を前提とした技術ではなく、特許文献1及び2には、小麦全粒粉を用いたパン類の品質向上については記載されていない。
特許文献3には、湯種法によるパン類の製造方法が記載されている。湯種法は、小麦粉に熱水を加えて混捏することにより、中間生地を作製する工程を有するもので、もっちりとした独特の食感を有するパン類が得られる。特許文献3には、湯種法によるパン類の製造方法において、澱粉質を有する材料を熱湯で練った後に所定温度に冷ました材料を用意し、これに湯種を入れたパン生地の材料と予備発酵したドライイーストとを混合し、第1次発酵及び本捏を要することなくパン生地の工程を終了することが記載されており、そうすることによってパンの風味や旨みが向上し、製造時間が短縮されるとされている。特許文献3には、前記の澱粉質を有する材料として、小麦粉、そば粉など共に、全粒粉が例示されている。
特開2014−168486号公報 特開2011−229497号公報 特開2007−68443号公報
本発明の課題は、穀類粒から外皮など取り除かずにそのまま粉にした全粒穀粉を含有しながらも、全粒穀粉に特有の好ましくない臭いが低減されており、風味の良好なパン類が得られるパン類の製造方法を提供することに関する。
本発明は、穀粉及びパン用酵母を含む原料の一部を混合して中種生地を作製し、該中種生地を8〜48時間発酵させた後、該中種生地に残りの原料を加えて混合し本捏生地を作製する工程を有し、前記中種生地の作製用穀粉として、平均粒径150μm未満〜200μm未満の微粉砕全粒穀粉を用いる、パン類の製造方法である。
また本発明は、前記製造方法で得られるパン類である。
本発明のパン類の製造方法によれば、穀類粒から外皮など取り除かずにそのまま粉にした全粒穀粉を含有しながらも、全粒穀粉に特有の好ましくない臭いが低減されており、風味の良好なパン類が得られる。
本発明のパン類の製造方法は、穀粉及びパン用酵母を含む原料の一部を混合して中種生地を作製し、該中種生地を発酵させた後、該中種生地に残りの原料を加えて混合し本捏生地を作製する工程を有している。
本発明において、中種生地の作製から本捏生地の作製に至るまでに使用する穀粉としては、中種法によるパン類の製造に通常用いられるものを特に制限無く用いることができ、例えば、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉等の小麦粉の他、ライ麦粉、ライ小麦粉、大麦粉、オーツ麦粉、トウモロコシ粉、そば粉、米粉、豆粉等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の主たる特徴の1つとして、中種生地の作製用穀粉として、平均粒径150μm未満〜200μm未満の微粉砕全粒穀粉を用いる点が挙げられる。全粒穀粉は、イネ科植物の頴果などの穀類粒から外皮など取り除かずに、穀物粒を丸粒のまま粉砕して粉にしたものであり、本発明では全粒穀粉の中でも、平均粒径が150μm未満〜200μm未満の微粉砕全粒穀粉を用いる。このような微粉砕全粒穀粉を中種生地の作製に用いることにより、従来の全粒穀粉入りパン類で課題となっていた全粒穀粉に特有の好ましくない臭い、例えばふすま臭さが効果的に低減され、風味の良好なパン類が得られるようになる。中種生地の作製用全粒穀粉として平均粒径が200μmを超えるものを用いると、後述する比較例から明らかなように、ふすま臭さが十分に低減されず、風味の良好なパン類が得られない。
本発明で用いる微粉砕全粒穀粉の平均粒径は、好ましくは150μm未満〜180μm未満、さらに好ましくは150μm未満である。微粉砕全粒穀粉の平均粒径の下限値は特に制限されず、基本的には、微粉砕全粒穀粉の平均粒径は小さいほど良いと言える。尚、本明細書において「平均粒径」は、特に断らない限り、動的光散乱法を用いて乾式測定した粒子径分布のメジアン径を意味する。また、本発明で用いる微粉砕全粒穀粉の種類は特に制限されないが、小麦粒を粉砕して得られる微粉砕全粒小麦粉が特に好ましい。
本発明で用いる微粉砕全粒穀粉は、小麦粒等の穀物粒を粉砕して得られる。穀物粒の粉砕方法は特に制限されず、公知の粉砕方法を用いることができ、例えば、ロール式粉砕、衝撃式粉砕、気流式粉砕等が挙げられ、これらの1つを単独で又は2つ以上を組み合わせて用いることができる。また、穀物粒を粉砕する前に加水して調質しても良く、加水・調質せずに穀物粒をそのまま粉砕しても良い。
平均粒径が前記特定範囲にある微粉砕全粒穀粉を安定的に得られるようにする観点から、微粉砕全粒穀粉の製造工程(穀物粒の粉砕工程)において、穀物粒を粉砕して粗粉砕物を得、該粗粉砕物に湿熱処理を施した後、該粗粉砕物を再粉砕することが好ましい。即ち、本発明で用いる微粉砕全粒穀粉は、穀物粒の粉砕物を湿熱処理した後に再粉砕したものを含むことが好ましい。粉砕対象の穀物粒を予め湿熱処理しておくことで、粉砕工程による澱粉、グルテン等の穀物粒含有成分の損傷が抑制され、また、粉砕効率の向上が期待できる。ここでいう湿熱処理は、原料(穀物粒の粉砕物)中の水分を維持しながら、又は水分を加えながら行う加熱処理である。湿熱処理においては水及び/又は水蒸気が用いられ、水蒸気としては飽和水蒸気が好ましく用いられる。穀物粒の粉砕物の湿熱処理は、穀物粒の粉砕物に加水し、あるいは穀物粒の粉砕物に水蒸気(飽和水蒸気)を直接当てて、穀物粒の粉砕物の全体を加熱することにより実施することができる。
穀物粒の粉砕物の湿熱処理の一例として、穀物粒の粉砕物に加水したものをアルミパウチ等の密閉容器に封入密閉し、加圧下で加熱処理する方法が挙げられる。また、穀物粒の粉砕物の湿熱処理の他の一例として、穀物粒の粉砕物に加水したものを密閉容器内に導入した後、必要に応じて該穀物粒の粉砕物を攪拌しつつ、該容器内に飽和水蒸気を導入して加圧下で加熱処理する方法が挙げられる。後者の方法は、例えば、攪拌移送機構を備え且つジャケット等の加温手段で加温された連続粉体移送装置を用い、飽和水蒸気雰囲気下で穀物粒の粉砕物を加熱処理することによって実施し得る。尚、ここでいう「加圧下」は、主として容器内に充満する蒸気によって加圧状態となった場合を意味し、押出具(エクストルーダーが備えるスクリューに相当する部材)のような物体を穀物粒の粉砕物に接触させることによって該穀物粒の粉砕物を加圧状態とした場合は含まない。
平均粒径が前記特定範囲にある微粉砕全粒穀粉の製造方法の一例として、下記工程1〜6を有する製造方法が挙げられる。この微粉砕全粒穀粉の製造方法は、前記の穀物粒の粉砕物の湿熱処理を含むものである。
・工程1:穀物粒を粗粉砕する工程
・工程2:前記工程1で得られた粗粉砕物を、平均粒径150μm未満〜200μm未満の微粉画分と、それ以外の粗粉画分(微粉画分に比して平均粒径が大きい画分)とに分離する工程
・工程3:前記工程2で得られた粗粉画分を湿熱処理する工程
・工程4:前記工程3で湿熱処理した画分を衝撃式微粉砕に供して微粉砕する工程
・工程5:前記工程4で得られた微粉砕物から平均粒径150μm未満〜200μm未満の微粉画分を分取する工程
・工程6:前記工程2で得られた微粉画分と前記工程5で得られた微粉画分とを混合する工程
本発明において、中種生地の作製用穀粉としては、平均粒径が前記特定範囲にある微粉砕全粒穀粉のみを用いることもできるが、これ以外の他の穀粉を併用しても良く、具体的には前記の各種穀粉を併用することができる。中種生地の作製用穀粉の全質量(中種生地の作製に使用する全ての穀粉の合計質量)に占める、平均粒径が前記特定範囲にある微粉砕全粒穀粉の質量の割合(以下、「微粉砕全粒穀粉占有率」ともいう)は、全粒穀粉の使用意義(栄養価、風合いの向上等)と食感、食味等とのバランスの観点から、好ましくは3〜90質量%、さらに好ましくは8〜70質量%である。
また本発明において、中種生地の作製から本捏生地の作製に至るまでに使用する穀粉(平均粒径が前記特定範囲にある微粉砕全粒穀粉及び他の穀粉)の全質量(中種生地を経て本捏生地を作製するのに使用する全ての穀粉の合計質量)に占める、中種生地の作製用穀粉の質量の割合(以下、「中種生地用穀粉占有率」ともいう)は、好ましくは2〜80質量%、さらに好ましくは10〜70質量%である。中種生地用穀粉占有率が少なすぎると、平均粒径が前記特定範囲にある微粉砕全粒穀粉を用いて中種生地を作製する意義に乏しく、中種生地用穀粉占有率が多すぎると、発酵過多、熟成過多のおそれがある。
本発明で用いる中種生地の作製原料としては、穀粉以外に、パン用酵母が挙げられる。パン用酵母(イースト)としては、パン類の製造に通常用いられるものを特に制限無く用いることができ、生でも乾燥状態でも良い。また、中種生地の作製原料としては、副原料として、パン類の製造に通常用いられるもの、例えば、イーストフード;ベーキングパウダー;砂糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水あめ、麦芽糖、乳糖等の糖類;卵又は卵粉;脱脂粉乳、全脂粉乳、チーズ粉末、ヨーグルト粉末、ホエー粉末等の乳製品;ショートニング、バター、マーガリン、その他の動植物油等の油脂類;乳化剤;膨張剤;増粘剤;アスコルビン酸;食塩等の無機塩類;モルト粉末、モルトエキス;グルコシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、ヘミセルラーゼ等の酵素類;食物繊維等が挙げられ、本発明ではこれら副原料の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、中種生地の作製は常法に従って行うことができ、通常、穀粉及びパン用酵母を含む、中種生地の作製用原料(中種生地の作製から本捏生地の作製に至るまでに使用する全原料の一部)に水を加えて混合する。この混合(混合物の混捏)は、公知の混合手段を用いて、ミキシング、ロール圧延、パンチング又はこれらの2つ以上の組み合わせにより行うことができる。中種生地の作製用原料に対する加水量は、製造するパン類の種類等に応じて適宜調整すれば良く、特に制限されないが、中種生地の作製用原料中の穀粉100質量部に対して、好ましくは40〜80質量部、さらに好ましくは50〜70質量部である。
本発明においては、前記の要領で作製した中種生地を発酵させる。この発酵は、中種生地に含まれるパン用酵母の作用によって進行するいわゆる自然発酵であり、所定の環境下に中種生地を所定時間静置することにより行うことができる。本発明においては、中種生地の発酵時間を8〜48時間に設定する。即ち、中種生地を発酵用の環境下に静置した時点から8〜48時間静置する。発酵中に中種生地を捏ねる等、発酵中の中種生地に外圧を加えることはしない。中種生地の発酵時間が8時間未満では、発酵が不十分となってパンの風味が、ふすま臭の強く好ましくないものになるおそれがあり、中種生地の発酵時間が48時間を超えると、過発酵により酸臭が強くなり過ぎるおそれがある。中種生地の発酵時間は、好ましくは9〜40時間、さらに好ましくは10〜36時間である。また、中種生地の発酵温度(発酵を行う環境の雰囲気温度)は、好ましくは0〜30℃、さらに好ましくは4〜27℃である。また、中種生地の発酵湿度(発酵を行う環境の雰囲気湿度)は生地表面が過度に乾燥、あるいは過度に湿らない範囲であれば特に限定されないが、好ましくは5〜95%、さらに好ましくは10〜90%である。
本発明における中種生地の発酵は、単一の発酵条件(発酵時間、発酵温度)で実施する態様に制限されず、後述する実施例のように、2種以上の発酵条件を組み合わせて実施しても良い。その場合、複数の発酵条件それぞれの発酵時間の合計が8〜48時間であれば良く、また、各発酵条件における中種生地の発酵温度は、好ましくは0〜30℃、さらに好ましくは4〜27℃である。また、2種以上の発酵条件を組み合わせて中種生地の発酵を行う場合は、一の発酵条件による発酵の終了後、他の処理を介在させずに速やかに、他の発酵条件による発酵を実施し、各発酵条件は実質的に連続するのが好ましい。さらに、連続する発酵の態様については、最初の発酵は発酵温度が相対的に高く、次の発酵は発酵温度が相対的に低い方が好ましい。これは、最初の発酵温度が低い場合、発酵不足になりやすいからである。
本発明においては、中種生地の発酵終了後は、発酵済みの中種生地に残りの原料を加えて混合し本捏生地を作製する。本捏生地の作製は常法に従って行うことができ、例えば、発酵済みの中種生地に、残りの原料と所定量の水、食塩や砂糖、脱脂粉乳等の乳製品、ショートニング等の油脂、必要に応じてイーストフードや追加のパン用酵母等を加えて混合すれば良い。中種生地に加える残りの原料には、平均粒径が前記特定範囲にある微粉砕全粒穀粉が含まれていても良いが、通常は含まれない。本捏生地の作製後は、常法に従ってパン類の製造を行うことができ、例えば、フロアタイム、分割、ベンチタイム、成型、最終発酵(ホイロ)、焼成等の工程を順次行う。
本発明の製造方法により製造されるパン類としては、中種製パン法により製造されるパン類であれば特に限定されないが、例えば、食パン、菓子パン、フランスパン、テーブルロール等の各種のパン類が挙げられる。
本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
(微粉砕全粒小麦粉Aの製造方法)
先ず、精選した硬質小麦の小麦粒を、加水・調質せずにロール機にて粉砕した後、さらに市販の衝撃式粉砕機を用いて粉砕し、粗粉砕物を得た(前記工程1)。
次いで、前記工程1で得られた粗粉砕物を目開き150μmの篩を用いて分級し、篩を通過する粒径150μm未満の微粉画分と、篩上に残留する粒径150μm以上の粗粉画分とに分離した(前記工程2)。ここで得られた微粉画分の平均粒径は53μmであり、粗粉画分の平均粒径は321μmであった。
次いで、前記工程2で得られた粗粉画分を、前記連続粉体移送装置を用いて飽和水蒸気を導入しながら、品温90℃で約5秒間の条件で湿熱処理を行った(前記工程3)。
次いで、湿熱処理した画分を市販の衝撃式微粉砕機を用いて微粉砕した(前記工程4)。
次いで、前記工程4で得られた微粉砕物を目開き150μmの篩を用いて分級し、篩を通過する粒径150μm未満の微粉画分を分取した(前記工程5)。
そして、前記工程2で得られた微粉画分と前記工程5で得られた微粉画分とを混合し(前記工程6)、目的とする微粉砕全粒小麦粉Aを得た。こうして得られた微粉砕全粒小麦粉Aの平均粒径は50μmであった。
(中種生地の作製方法)
市販の縦型ミキサーに、前記の要領で製造した微粉砕全粒小麦粉Aを含む中種生地原料を下記配合で投入し、低速で3分間、中低速で7分間撹拌混合し、捏上温度24℃で中種生地を作製した。次いで、作製した中種生地を室温27℃、湿度75%RHの環境下に静置して発酵時間を2時間とった後(1回目発酵)、中種生地を室温4℃、湿度75%RHの環境下に静置して12時間発酵させ(2回目発酵)、目的とする発酵済み中種生地を得た。
(中種生地原料)
・小麦粉(日清製粉(株)製、ソレドオル)60質量部
・微粉砕全粒小麦粉A 40質量部
・ドライイースト(サフ社製、サフ赤)0.4質量部
・モルトシロップ 0.3質量部
・食塩 2質量部
・水 70質量部
〔実施例1〕
前記の要領で作製した発酵済み中種生地を用い、中種法によりフランスパンを製造した。
具体的には、先ず、市販の縦型ミキサーに、中種生地を含む本捏生地原料を下記配合で投入し、低速で3分間、中低速で3分間、中高速で4分間撹拌混合し、捏上温度25℃で本捏生地を作製した。次いで、作製した本捏生地を室温27℃、湿度75%RHの環境下に静置して一次発酵時間(フロアタイム)を30分間とった後、本捏生地に対してパンチングを30分間行った。次いで、カッターを用いて本捏生地を質量50gの複数個に分割し、その分割生地を室温27℃、湿度75%RHの環境下に静置してベンチタイムを30分間とった後、モルダー(成形機)を用いて分割生地を成形し、その成形生地を温度28℃、湿度80%RHの環境下で60分間ホイロ発酵させた。そして、そのホイロ発酵済み生地を、温度225℃で20分間焼成してフランスパンを得た。
(本捏生地原料)
・小麦粉(日清製粉(株)製、ソレドオル)70質量部
・小麦粉(日清製粉(株)製、北海道ゆめちから)30質量部
・ドライイースト(サフ社製、サフ赤)0.6質量部
・BBJ(フランスパン用生地改良剤、サフ社製)0.08質量部
・フレグラントプラス(風味付け用添加物、オリエンタル酵母工業(株)製)0.5質量部
・クレームドルヴァン(風味付け用添加物、オリエンタル酵母工業(株)製)2.5質量部
・砂糖 1質量部
・モルトシロップ 0.3質量部
・食塩 2.1質量部
・油脂(ラード)10質量部
・発酵済み中種生地 35質量部
・水 68質量部
〔実施例2〜3、比較例1〜3及び参考例1〜2〕
中種生地の発酵時間、発酵温度等を適宜変更した以外は、実施例1と同様にしてフランスパンを得た。
〔比較例4〕
微粉砕全粒小麦粉Aに代えて平均粒径300μmの市販の全粒小麦粉を用いた以外は、実施例1と同様にしてフランスパンを得た。
〔試験例〕
各実施例、比較例及び参考例で製造したフランスパンをパネラー10人に喫食してもらい、下記評価基準によりフランスパンの風味を評価してもらった。その結果(パネラー10人の平均点)を下記表1に示す。
(フランスパンの風味の評価基準)
5点:パンにコク、香りがあり、また、ふすま臭がほとんどせず、風味が極めて良好。
4点:パンにややコク、香りがあり、また、ふすま臭は少し感じる程度であり、風味が良好。
3点:パンのコク、香りが普通。ふすま臭が多少するが、気にならない程度。
2点:パンのコク、香りがやや劣り、また、やや不快なふすま臭があり、風味がやや不良。
1点:パンのコク、香りが劣り、また、不快なふすま臭があり、風味が不良。
Figure 0006608629
表1に示す通り、各実施例は各比較例に比して、製造結果物であるフランスパンについてふすま臭が低減され、風味が良好であった。
比較例1は中種生地の発酵時間が短すぎるため、比較例2及び3は中種生地の発酵時間が長すぎるため、それぞれ風味に劣る結果になったと推察される。比較例4は、中種生地の発酵時間は実施例と同程度であるものの、微粉砕全粒穀粉の平均粒径が300μmもあるため、ふすま臭さが十分に低減されず、風味に劣る結果になったと推察される。
参考例1及び2は、比較例ほど風味は悪くなかったものの、各実施例に比べると風味に劣る結果となった。その理由は、参考例1については、2回目の発酵温度が30℃を超えているため、参考例2については、中種生地用穀粉占有率が95質量%と高すぎるためと推察される。これら参考例の結果を踏まえると、ふすま臭の低減された風味の良好なパン類を得るためには、「中種生地の発酵時間8〜48時間」及び「微粉砕全粒穀粉の平均粒径150μm未満〜200μm未満」に加えてさらに、「中種生地の発酵温度0〜30℃」及び「中種生地用穀粉占有率3〜90質量%」を採用することが好ましいことがわかる。

Claims (3)

  1. 穀粉及びパン用酵母を含む原料の一部を混合して中種生地を作製し、該中種生地を14〜48時間発酵させた後、該中種生地に残りの原料を加えて混合し本捏生地を作製する工程を有し、
    前記中種生地の作製用穀粉として、平均粒径150μm未満の微粉砕全粒穀粉を用い、
    前記中種生地の発酵温度が0〜30℃であり、
    前記中種生地の作製から前記本捏生地の作製に至るまでに使用する穀粉の全質量に占める、前記中種生地の作製用穀粉の質量の割合が3〜90質量%である、パン類の製造方法。
  2. 前記中種生地の作製用穀粉の全質量に占める、前記微粉砕全粒穀粉の質量の割合が3〜90質量%である請求項1に記載のパン類の製造方法。
  3. 前記微粉砕全粒穀粉は、穀物粒の粉砕物を湿熱処理した後に再粉砕したものを含む請求項1又は2に記載のパン類の製造方法。
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