JP6607815B2 - トンネル掘削機及びトンネル掘削工法 - Google Patents

トンネル掘削機及びトンネル掘削工法 Download PDF

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Description

本発明は、地盤を掘削する際にカッタヘッドに発生した振動を抑制するようにしたトンネル掘削機及びトンネル掘削工法に関する。
一般的に、トンネル掘削機においては、カッタヘッドを回転させて、そのカッタヘッドの前面に装着された複数のカッタが、前方の地盤に切羽を形成することにより、トンネルを掘削することができる。このとき、掘削する地盤が岩盤等の硬質地盤となる場合には、特に、カッタヘッドに大きな振動が発生する。このように、大きな振動がカッタヘッドに発生すると、その振動が地中を伝わり、地表の住宅や地下施設等の周辺地域に振動被害を及ぼすおそれがある。
そこで、従来から、地盤を掘削する際にカッタヘッドに発生した振動を抑制するようにした、トンネル掘削機が種々提供されている。そして、このようなトンネル掘削機としては、例えば、特許文献1に開示されている。
特開2015−155597号公報
ここで、上記従来のトンネル掘削機においては、掘削機本体、カッタヘッド、隔壁等に、複数の加振器を設けるようにしており、これらの加振器を駆動させることにより、カッタヘッドに発生した振動に対して、その振動の位相と逆位相になる振動を出力するようにしている。これにより、カッタヘッドに発生した振動を、出力した逆位相振動によって相殺し、その振動を抑制するようにしている。
しかしながら、上記従来のトンネル掘削機においては、加振器が逆位相振動を与える面に、当該加振器を設置しているため、その出力させた逆位相振動が、カッタヘッドに伝達され難くなっている。即ち、加振器の設置面と、加振器が逆位相振動を与える面とが同じになっているため、加振器が逆位相振動を出力しても、その振動によって加振器自体が振れてしまうことになり、出力した逆位相振動をカッタヘッドに対して適切に伝達させることができない。この結果、上記従来のトンネル掘削機においては、カッタヘッドに発生した振動を十分に抑制させることができないおそれがある。
従って、本発明は上記課題を解決するものであって、掘削時においてカッタヘッドに発生した振動を抑制することにより、周辺地域への振動被害を防止することができるトンネル掘削機及びトンネル掘削工法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する第1の発明に係るトンネル掘削機は、
筒状をなす前胴及び後胴を有し、前記前胴と前記後胴とが互いに屈曲可能に連結される掘削機本体と、
前記前胴の前端部に回転可能に支持され、前方の地盤を掘削するカッタヘッドと、
基端が前記後胴に連結される一方、先端が前記前胴に連結される伸縮ロッドを有し、前記伸縮ロッドを伸縮させることにより、前記カッタヘッドに発生した振動の位相に対して逆位相となる逆位相振動を出力する振動発生用ジャッキとを備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第2の発明に係るトンネル掘削機は、
前記振動発生用ジャッキは、前記後胴における内周面の周方向において、複数並設されており、
前記複数の振動発生用ジャッキを、周方向において、所定数量ずつの複数のグループにグループ化し、前記カッタヘッドに発生した振動の主体となる振動モードに応じて、前記グループごとに、前記振動発生用ジャッキの伸縮を制御して、逆位相振動を出力させる制御装置とを備える
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第3の発明に係るトンネル掘削機は、
前記振動発生用ジャッキは、
前記前胴の傾きを変えて、前記掘削機本体の掘進方向を制御する方向制御ジャッキである
ことを特徴とする。
上記課題を解決する第4の発明に係るトンネル掘削工法は、
掘削機本体において互いに屈曲可能に連結された前胴と後胴との間に設けられる複数の方向制御ジャッキの伸縮ロッドを伸縮させることにより、前記前胴の前端部に回転可能に支持されたカッタヘッドの傾きを変えて、掘進方向を制御可能とするトンネル掘削工法であって、
前記前胴及び前記後胴の周方向において並設された複数の前記方向制御ジャッキを、周方向において、所定数量ずつの複数のグループにグループ化し、
前記カッタヘッドが前方の地盤を掘削する際に当該カッタヘッドに発生した振動を、計測手段によって計測し、
前記計測手段によって計測された振動を解析して、前記カッタヘッドに発生した振動の主体となる振動モードを特定し、
前記振動モードに応じて、前記グループごとに、前記方向制御ジャッキの伸縮を制御して、前記カッタヘッドに発生した振動の位相に対して逆位相となる逆位相振動を出力することにより、前記カッタヘッドに発生した振動を逆位相振動によって相殺する
ことを特徴とする。
従って、本発明に係るトンネル掘削機によれば、前胴と後胴とを連結する振動発生用ジャッキを設け、この振動発生用ジャッキによって逆位相振動を発生させることにより、カッタヘッドを支持する前胴全体を、逆位相振動によって振動させることができるので、その逆位相振動をカッタヘッドに発生する振動に容易に干渉させることができる。これにより、掘削時においてカッタヘッドに発生した振動を抑制することができるので、周辺地域への振動被害を防止することができる。
また、本発明に係るトンネル掘削工法によれば、前胴と後胴とを連結する方向制御ジャッキによって、逆位相振動を発生させることにより、カッタヘッドを支持する前胴全体を、逆位相振動によって振動させることができるので、その逆位相振動をカッタヘッドに発生する振動に容易に干渉させることができる。これにより、掘削時においてカッタヘッドに発生した振動を抑制することができるので、周辺地域への振動被害を防止することができる。
本発明の一実施例に係るトンネル掘削機の縦断面図である。 図1のII−II矢視断面図である。
以下、本発明に係るトンネル掘削機及びトンネル掘削工法について、図面を用いて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、トンネル掘削機1は、掘削機本体11を有している。この掘削機本体11は、共に円筒状をなす前胴11a及び後胴11bから構成されており、前胴11aの後端と後胴11bの前端とは、中折れ機構としての球面軸受部12及び複数の方向制御ジャッキ13(中折れジャッキ、振動発生用ジャッキ)によって、互いに屈曲可能に連結されている。
球面軸受部12は、前胴11aの後端における内周面と、後胴11bの前端における外周面とによって構成されている。また、方向制御ジャッキ13は、前胴11a及び後胴11bの内周面に沿って、且つ、その内周面の周方向において所定の間隔で配置されており、伸縮ロッド13aをトンネル前後方向に伸縮可能としている。そして、方向制御ジャッキ13の基端は、後胴11bに揺動可能に支持される一方、伸縮ロッド13aの先端は、前胴11aに揺動可能に支持されている。
従って、方向制御ジャッキ13の伸縮ロッド13aを伸縮させることにより、前胴11aを後胴11bに対して屈曲させることができる。このように、各方向制御ジャッキ13の伸縮量を調整することにより、前胴11a(カッタヘッド14)の傾き(向き)を変更することができるので、トンネル掘削機1の掘進方向を制御することができる。これにより、トンネル掘削機1においては、計画路線が直線となるトンネルTだけでなく、計画路線が急曲線となるトンネルTについても掘削可能となっている。
また、前胴11aの前端部には、円盤状をなすカッタヘッド14が回転可能に支持されている。カッタヘッド14の中心部には、カッタ回転軸15の前端が嵌入されており、このカッタ回転軸15は、後述する隔壁17の中心部に回転可能に支持されている。そして、カッタヘッド14には、トンネル前後方向に貫通する掘削土砂取込口(図示省略)が形成されており、当該カッタヘッド14の前面には、複数のカッタビッド16が装着されている。
ここで、方向制御ジャッキ13は、上述したように、掘進方向を制御する際に駆動可能となるだけでなく、カッタヘッド14に対して振動を与えるときにも駆動可能となっており、掘進方向制御機能と振動付与機能との双方を兼ね備えている。
具体的には、方向制御ジャッキ13は、伸縮ロッド13aを伸長または短縮させることにより、掘進方向の制御を行うことができる一方、伸縮ロッド13aを小刻みに繰り返し伸縮させることにより、振動を発生させることができる。この方向制御ジャッキ13の微伸縮によって発生された振動は、地盤の掘削に伴ってカッタヘッド14に発生した振動の位相と逆位相となる逆位相振動となっている。このように、掘削時においてカッタヘッド14に発生した振動に対して、逆位相振動を干渉させることにより、その振動を逆位相振動によって相殺し、当該振動を抑制することができる。
更に、前胴11aの前端部内には、隔壁17が設けられている。この隔壁17には、リング状をなす回転体18が、カッタ回転軸15と同軸状で、且つ、回転可能に支持されている。そして、回転体18の前端面には、複数の連結部材19が、当該回転体18の周方向において所定の間隔で設けられており、これらの連結部材19の前端は、カッタヘッド14の後面に連結されている。一方、回転体18の後端面には、外歯式のリングギヤ20が設けられている。
これに対して、隔壁17の後面には、カッタ旋回用モータ21が設けられており、このカッタ旋回用モータ21の回転軸には、駆動ギヤ22が装着されている。そして、駆動ギヤ22は、リングギヤ20と噛み合っている。
従って、カッタ旋回用モータ21を駆動させることにより、駆動ギヤ22の回転を、リングギヤ20から回転体18及び連結部材19に伝達させることができるので、カッタヘッド14を、カッタ回転軸15を回転中心として、回転させることができる。これにより、カッタヘッド14の回転に伴って、カッタビット16が、カッタ回転軸15を旋回中心として旋回することになり、当該カッタビット16によって、前方の地盤に切羽を掘削することができる。
そして、カッタヘッド14と隔壁17との間には、チャンバ23が区画形成されている。このチャンバ23は、掘削土砂を一時的に蓄えるための空間(室)となっており、当該チャンバ23内には、カッタビット16による地盤掘削に伴って発生した掘削土砂が、カッタヘッド14の掘削土砂取込口を介して、取り込まれるようになっている。
また、掘削機本体11内には、スクリューコンベヤ24が、前胴11aから後胴11bに亘って、設けられている。このスクリューコンベヤ24は、前端から後端に向かうに従って、上方に向けて傾斜するように配置されており、その前端開口部は、隔壁17の下部を貫通して、チャンバ23内に挿入されている。従って、スクリューコンベヤ24を駆動させることにより、チャンバ23内に蓄えられた掘削土砂を、掘削機本体11の後方に向けて排出することができる。
更に、後胴11bの後端内部には、エレクタ装置25が、トンネル前後方向、トンネル径方向、及び、トンネル周方向に移動可能に支持されている。このエレクタ装置25は、覆工部材としてのセグメントSを把持可能となっており、その把持したセグメントSをトンネルTの内壁面(坑壁)に沿って組立可能となっている。これに対して、セグメントSは、掘削されたトンネルTの内壁面形状に沿うような、環片となっている。従って、エレクタ装置25を駆動させることにより、複数のセグメントSをトンネル周方向に沿ってリング状に組み立てることができる。
そして、後胴11bの内周面には、複数のシールドジャッキ(推進ジャッキ)26が、その内周面に沿って、且つ、その周方向において所定の間隔で並設されている。これらのシールドジャッキ26は、駆動ロッドをトンネル前後方向に伸縮可能としており、その駆動ロッドに先端には、スプレッダ26aが装着されている。このスプレッダ26aは、トンネル前後方向において、既設のセグメントSにおける前端面と対向している。
従って、シールドジャッキ26の駆動ロッドを、トンネル後方に向けて伸長して、スプレッダ26aを、既設のセグメントSに押圧させることにより、掘削機本体11に推進反力を与えることができる。即ち、掘削機本体11は、シールドジャッキ26がセグメントSを押圧したときに発生する推進反力によって、前進可能となっている。
ここで、隔壁17の後面には、複数の振動計測器(計測手段)31が、方向制御ジャッキ13よりも径方向内側に設けられている。これらの振動計測器31は、カッタヘッド14及びカッタビット16が地盤を掘削する際に、当該カッタヘッド14に発生した振動の大きさ(波形、周期、振幅)を、計測可能となっており、掘削機本体11内におけるカッタヘッド14に最も近い位置に配置されている。即ち、地盤の掘削に伴ってカッタヘッド14に発生した振動は、カッタ回転軸15や、連結部材19及び回転体18を介して、隔壁17に伝達された後、振動計測器31に入力されることになる。
また、掘削機本体11内には、制御装置32が設けられている。この制御装置32は、方向制御ジャッキ13に対して油圧を給排するためのサーボ弁と、振動計測器31とに電気的に接続されており、振動計測器31によって計測された振動の大きさに応じて、方向制御ジャッキ13におけるサーボ弁の弁開度を制御することにより、方向制御ジャッキ13を振動的に伸縮させて、逆位相振動を出力可能としている。
詳細には、制御装置32においては、各振動計測器31によって計測された振動が入力されると、それらの振動を解析して、カッタヘッド14に発生した振動の主体となる振動モードを特定した後、その振動モードに応じた制御信号を、各方向制御ジャッキ13のサーボ弁に入力するようになっている。ここで、振動モードとしては、例えば、トンネル前後方向の振動、トンネル幅方向(トンネル左右方向)の振動、及び、トンネル上下方向の振動となっている。
これに対応して、制御装置32においては、予め、全ての方向制御ジャッキ13に対して、グループ化を図るようにしている。具体的には、複数の方向制御ジャッキ13を、周方向において、所定数量ずつの複数のグループに分けるようにしており、上記振動モードに対応した逆位相振動の出力制御の簡素化を考慮して、ここでは、複数の方向制御ジャッキ13を、同数量ずつの複数のグループに分けている。
例えば、図2に示すように、本実施形態においては、12本の方向制御ジャッキ13を、3本ずつの4つのグループG1〜G4にグループ化している。つまり、第1グループG1は、前胴11a内の右側上部において周方向に連続して配置される3本の方向制御ジャッキ13から構成されており、第2グループG2は、前胴11a内の右側下部において周方向に連続して配置される3本の方向制御ジャッキ13から構成されている。また、第3グループG3は、前胴11aの左側下部において周方向に連続して配置される3本の方向制御ジャッキ13から構成されており、第4グループG4は、前胴11aの左側上部において周方向に連続して配置される3本の方向制御ジャッキ13から構成されている。
そして、カッタヘッド14に発生した振動の主体となる振動モードが、トンネル前後方向の振動となる場合には、全ての方向制御ジャッキ13における伸縮動作を一致させる。即ち、グループG1〜G4の方向制御ジャッキ13における伸縮動作を一致させる。
これにより、全ての方向制御ジャッキ13の伸縮によって発生させた逆位相振動を、全体として、トンネル前後方向への複合振動にすることができるので、カッタヘッド14全体をトンネル前後方向に振動させることができる。よって、カッタヘッド14に発生した振動の主体となる振動モードがトンネル前後方向の振動となる場合であっても、その振動に対して逆位相振動を干渉させることができ、当該振動を逆位相振動によって相殺することができる。
また、カッタヘッド14に発生した振動の主体となる振動モードが、トンネル幅方向の振動となる場合には、グループG1,G2の方向制御ジャッキ13における伸縮動作を一致させる一方、グループG3,G4の方向制御ジャッキ13における伸縮動作を一致させつつ、グループG1,G2の方向制御ジャッキ13における伸縮動作と、グループG3,G4の方向制御ジャッキ13における伸縮動作とを、一致させることなく、相反するものとする。
これにより、全ての方向制御ジャッキ13の伸縮によって発生させた逆位相振動を、全体として、トンネル幅方向への複合振動にすることができるので、カッタヘッド14全体をトンネル幅方向に振動させることができる。よって、カッタヘッド14に発生した振動の主体となる振動モードがトンネル幅方向の振動となる場合であっても、その振動に対して逆位相振動を干渉させることができ、当該振動を逆位相振動によって相殺することができる。
更に、カッタヘッド14に発生した振動の主体となる振動モードが、トンネル上下方向の振動となる場合には、グループG1,G4の方向制御ジャッキ13における伸縮動作を一致させる一方、グループG2,G3の方向制御ジャッキ13における伸縮動作を一致させつつ、グループG1,G4の方向制御ジャッキ13における伸縮動作と、グループG2,G3の方向制御ジャッキ13における伸縮動作とを、一致させることなく、相反するものとする。
これにより、全ての方向制御ジャッキ13の伸縮によって発生させた逆位相振動を、全体として、トンネル上下方向への複合振動にすることができるので、カッタヘッド14全体をトンネル上下方向に振動させることができる。よって、カッタヘッド14に発生した振動の主体となる振動モードがトンネル上下方向の振動となる場合であっても、その振動に対して逆位相振動を干渉させることができ、当該振動を逆位相振動によって相殺することができる。
以上より、トンネル掘削機1によってトンネル構造体を施工する場合には、先ず、カッタヘッド14を回転させながら、複数のシールドジャッキ26を伸長させて既設のセグメントに押し付ける。これにより、掘削機本体11が、その既設のセグメントから推進反力を得て、前進すると共に、回転するカッタヘッド14に装着されたカッタビット16が、前方の地盤に切羽を形成するため、トンネルTが掘削される。
このとき、地盤掘削によって発生した掘削土砂は、カッタヘッド14の掘削土砂取込口を介して、チャンバ23内に充填されることになり、そのチャンバ23は、充填された掘削土砂によって、所定の内圧に維持される。そして、チャンバ23内に充填された掘削土砂は、スクリューコンベヤ24の回転によって、トンネル後方に向けて排出される。つまり、掘削土砂をチャンバ23内に充填させて、そのチャンバ23の内圧を切羽から受ける土圧に対抗させながら、当該チャンバ23内から掘削土砂を排出する。
これと同時に、短縮したシールドジャッキ26のトンネル後方においては、エレクタ装置25の駆動によって、これに保持されたセグメントSが、トンネルTの内壁面に沿って、リング状に順次組み立てられる。
即ち、カッタヘッド14の掘削による掘削量に見合う土砂量を、スクリューコンベヤ24によって円滑に排出して、チャンバ23内を常に掘削土砂によって充満させることにより、切羽の安定化を図りつつ、トンネルTを掘削する。これと同時に、シールドジャッキ26の伸長によって、既設のセグメントSから推進反力を取って掘進しながら、短縮させたシールドジャッキ26のトンネル後方において、新設のセグメントSを組み立てる。
また、トンネル掘削機1が計画路線からずれた場合や、その計画路線が急曲線となる場合には、方向制御ジャッキ13を伸縮させることにより、カッタヘッド14の傾きを調整する。これにより、トンネル掘削機1が計画路線に沿って掘進するように、その掘進方向が制御される。
更に、トンネル掘削機1が、例えば、岩盤等の硬質地盤に到達すると、カッタヘッド14に発生した振動が大きくなる。そこで、方向制御ジャッキ13の伸縮ロッド13aを伸縮させて、逆位相振動をカッタヘッド14に与えるようにする。
つまり、カッタヘッド14に発生した振動が振動計測器31によって計測されると、制御装置32においては、その計測された振動の大きさに応じた逆位相振動が発生するように、方向制御ジャッキ13の伸縮を制御する。これにより、その方向制御ジャッキ13によって出力された逆位相振動は、カッタヘッド14に伝達された後、そのカッタヘッド14に発生した振動と干渉して、当該振動を減少させる。
このとき、カッタヘッド14に発生した振動の主体となる振動モードに応じて、グループG1〜G4ごとに、方向制御ジャッキ13の伸縮を制御しているため、カッタヘッド14に発生した振動は逆位相振動によって十分に抑制されることになる。
従って、本発明によれば、前胴11aと後胴11bとを連結する方向制御ジャッキ13を設け、この方向制御ジャッキ13によって逆位相振動を発生させることにより、カッタヘッド14を支持する前胴11a全体を、逆位相振動によって振動させることができるので、その逆位相振動をカッタヘッド14に発生する振動に容易に干渉させることができる。これにより、掘削時においてカッタヘッド14に発生した振動を抑制することができるので、周辺地域への振動被害を防止することができる。
また、複数の方向制御ジャッキ13を、所定数量ずつの複数のグループG1〜G4にグループ化することにより、カッタヘッド14に発生した振動の主体となる振動モードに応じた逆位相振動を出力することができるので、カッタヘッド14に発生した振動を効率的に抑制することができる。
更に、方向制御ジャッキ13を、逆位相振動を発生させるための振動発生用ジャッキとして使用することにより、既存の構成を変更することなく、カッタヘッド14に発生した振動を抑制することができる。
1 トンネル掘削機
11 掘削機本体
11a 前胴
11b 後胴
12 球面軸受部
13 方向制御ジャッキ
13a 伸縮ロッド
14 カッタヘッド
15 カッタ回転軸
16 カッタビット
17 隔壁
18 回転体
19 連結部材
20 リングギヤ
21 カッタ旋回用モータ
22 駆動ギヤ
23 チャンバ
24 スクリューコンベヤ
25 エレクタ装置
26 シールドジャッキ
26a スプレッダ
31 振動計測器
32 制御装置
S セグメント
T トンネル

Claims (4)

  1. 筒状をなす前胴及び後胴を有し、前記前胴と前記後胴とが互いに屈曲可能に連結される掘削機本体と、
    前記前胴の前端部に回転可能に支持され、前方の地盤を掘削するカッタヘッドと、
    基端が前記後胴に連結される一方、先端が前記前胴に連結される伸縮ロッドを有し、前記伸縮ロッドを伸縮させることにより、前記カッタヘッドに発生した振動の位相に対して逆位相となる逆位相振動を出力する振動発生用ジャッキとを備える
    ことを特徴とするトンネル掘削機。
  2. 請求項1に記載のトンネル掘削機において、
    前記振動発生用ジャッキは、前記後胴における内周面の周方向において、複数並設されており、
    前記複数の振動発生用ジャッキを、周方向において、所定数量ずつの複数のグループにグループ化し、前記カッタヘッドに発生した振動の主体となる振動モードに応じて、前記グループごとに、前記振動発生用ジャッキの伸縮を制御して、逆位相振動を出力させる制御装置とを備える
    ことを特徴とするトンネル掘削機。
  3. 請求項1または2に記載のトンネル掘削機において、
    前記振動発生用ジャッキは、
    前記前胴の傾きを変えて、前記掘削機本体の掘進方向を制御する方向制御ジャッキである
    ことを特徴とするトンネル掘削機。
  4. 掘削機本体において互いに屈曲可能に連結された前胴と後胴との間に設けられる複数の方向制御ジャッキの伸縮ロッドを伸縮させることにより、前記前胴の前端部に回転可能に支持されたカッタヘッドの傾きを変えて、掘進方向を制御可能とするトンネル掘削工法であって、
    前記前胴及び前記後胴の周方向において並設された複数の前記方向制御ジャッキを、周方向において、所定数量ずつの複数のグループにグループ化し、
    前記カッタヘッドが前方の地盤を掘削する際に当該カッタヘッドに発生した振動を、計測手段によって計測し、
    前記計測手段によって計測された振動を解析して、前記カッタヘッドに発生した振動の主体となる振動モードを特定し、
    前記振動モードに応じて、前記グループごとに、前記方向制御ジャッキの伸縮を制御して、前記カッタヘッドに発生した振動の位相に対して逆位相となる逆位相振動を出力することにより、前記カッタヘッドに発生した振動を逆位相振動によって相殺する
    ことを特徴とするトンネル掘削工法。
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