JP6607741B2 - 凹凸複合シート加工装置および凹凸複合シートの製造方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、サイドシート原反に、該原反を折り畳んで2層部分を形成し、加熱手段によりそれぞれが加熱されるエンボスロールとアンビルロールとを用いた熱エンボス加工により、該2層部分に対してエンボスを形成する製造方法が記載されている。エンボスロールに配された加工ロールの周面は、エンボス加工を施す凸部が形成された加圧面となっている。アンビルロールは、表面平滑な円柱状の周面を有しており、その周面が、加工ロールの加圧面との間で対象物を加熱及び加圧する受け面となっている(特許文献1の段落[0020]、[0021]等を参照。)。
また特許文献2には、表面シートと中高部を有する吸収体と部分的に圧密一体化させたエンボス溝部を形成するための装置が記載されている。具体的には、エンボス凸部を備えるエンボスロールと、該エンボスロールに対向して配置されたアンビルロールとを備えた吸収性物品の製造装置である。アンビルロールの外周面にアンビル凸部を設けて、エンボス凸部による押圧力がアンビル凸部の部分とアンビル凸部がない部分とで異なっている。つまり、アンビルロールのアンビル凸部以外の外周面は、エンボス対象の部材と接触して、弱いエンボス加工を施している。そのため、アンビル凸部の高さhは、5〜1000μmの微細な高さ程度とすることが好ましいとされている(特許文献2の段落[0016]から[0021]等を参照。)。
さらに特許文献3にも、エンボス加工装置として、複数のエンボスパターンを形成するに当たり、パターンごとに強弱をつけるべく、エンボスパターンとアンビルパターンとのバランスをパターンごとにとるようにしたものが記載されている。エンボスパターンに応じてクリアランスを変える手段の一つとして、アンビルロールの周面部の外径が異なるブロックを設けている。このアンビルロールの外径が小さく凹んだ部分において、弱いエンボス処理がなされる。(特許文献3の段落[0005]、[0012]、[0015]及び図1を参照。)。
また、シート紙継で両面テープを使う場合、シート両側部は両面テープが貼られていないため、シート幅方向内側に折れる可能性があり、折れることにより厚みを増してロールに接触すれば更に溶融した樹脂が付着する可能性がある。上記の特許文献1から3のいずれも、この問題に着目したものはない。
特許文献1に記載の発明では、エンボス加工時に、シートの幅方向の側部が、加熱されているエンボスロールやアンビルロールに接触しやすくなる。また、特許文献2、3のアンビルロールの凹部においても、エンボスロールとの間で弱いエンボス処理を施すため、側部が加熱したロールに接触しやすい。
上記いずれにおいても、アンビルロールが加熱される場合、アンビルロールの周面に接触した繊維は、加熱されたアンビルロールの熱によって溶けてロールに付着、堆積して、ロールが繊維により汚染される可能性があり、改善する余地がある。また、その付着、堆積した繊維が異物となって搬送シートに載り、異物クレームなどの原因となる可能性がある。
ロール幅方向に一定間隔に複数配されて前記凹凸加工部の凸条部間に入り込む、ロール周方向に連なる押し込み凸条部をロール周面に有する、押し込みロールと、
前記凹凸加工部に圧接するシール部と、該シール部のロール幅方向の両側に配される前記シール部のロール径よりも小さいロール径の段差部とをロール周面に有する、アンビルロールとを備え、
前記中央ロール、前記押し込みロール及び前記アンビルロールは互いに連動して回動するように配されており、
前記アンビルロールには加熱手段が配され、
前記中央ロール及び前記アンビルロールは、前記中央ロールと前記押し込みロールとで凹凸賦形された前記シートと該シートに合流する別のシートとの両側部を前記段差部に対応させ、かつ前記両側部を前記段差部から離間させた状態とし、前記凹凸加工部と前記シール部との間で前記両シートを接合する凹凸複合シート加工装置を提供する。
上記の「ロール周方向に連なる」とは、凸条部12がロール周方向に連続して全周にわたって配されていることをいう。なお、凸条部12の一部に切り欠き部(図示せず)が存在していてもよい。切り欠き部は、ロール周方向の全周にわたって間欠的に配されていてもよい。そして、ロール全周のうち凸条部12の長さの合計が切り欠き部の長さの合計よりも長ければ、「周方向に連なる」という概念に含まれるとする。
中央ロール10の凸条部12と押込みロール20の押し込み凸条部22とを比較して、凸条部12の数が1つ多くなっている。中央ロール10の凸条部12はアンビルに加圧された時、シール部となり、幅方向両端の凸部がシール端となるために中央ロール10の凸条部12の方が押し込み凸条部22より多くなっている。
上記各ロールの駆動部は、中央ロール10、押し込みロール20及びアンビルロール30が連動して回転するように、図示していない制御手段により回転数、回転方向が制御されている。
中央ロール10とアンビルロール30との回動軸11、31は、予め、ベアラー15とベアラー35と、ベアラー16とベアラー36とが連動して回動するように加圧接触する状態に位置決めされている。すなわち、凸条部12とシール部32とが上記した接触圧力で回動自在に加圧接触する。
上記説明したように、回動軸11、21間距離を微調整した後、中央ロール10にシート100を巻き付けて、中央ロール10の周面10Sにそって搬送する。そして、中央ロール10と押し込みロール20との間にシート100を供給する。シート100は不織布であり、繊維同士の交点で融着しているものである。シート100が中央ロール10の凹凸加工部13と押し込みロール20の凹凸加工部23との間を中央ロール10の係止部14に巻き付くようにして搬送される。凹凸加工部13、23間に挿入されるシート100部分が加工部100aであり、所定幅にスリットされた部分が両側部100c、100cである。このような状態で凹凸加工部13、23間にシート100が通ることにより、シート100が延伸加工され、凸条部12と押し込み凸条部22とによってシート100の繊維が引っ張られる(図3(a)参照)。これによって、不織布の繊維101は、繊維の太さdfが太く、繊維間隔wfが狭い状態(図3(b)参照)から、繊維間隔wfが延ばされるとともに繊維自体が延ばされて広くなり、かつ繊維の太さdfが部分的に細くなり(図3(c)参照)、シート100に凹凸形状が賦形される。このようなシートを吸収性物品の表面シートに用いた場合、延伸された部分の端部が起点となって曲がりやすくなり、肌触りが向上する。それとともに、肌との接触面積の低減、肌との追従性の向上により、肌刺激性が低減でき、液残り量を低減することができる。
上記「離間」とは、段差部33、34に触れないようにして中央ロール10と押し込みロール20との間でシート100、110が搬送される状態を意味する。なお、シート100、110の幅方向端部の繊維が段差部33、34に付着しない程度に瞬間的な接触があってもよいものとする。
中央ロール10に巻き付いて搬送されるシート100には、張力がかけられている。
搬送制御ロール50は、上記接線Tよりも中央ロール10側の位置から別のシート110が送り出されれば、その回動軸51の軸心が接線Tよりもアンビルロール30側にあっても差し支えはない。そして、接線Tに対して別のシート110の供給角度θは、0°以上、好ましくは5°以上、さらに好ましくは10°以上であり、そして30°以下、好ましくは25°以下、さらに好ましくは20°以下である。供給角度θが大きすぎると、凸条部12にしわが発生してしまう。したがって、供給角度θの上限値は、凸条部12によって別のシート110にしわが発生しない角度とする。また、供給角度θを有することにより、別のシート110がアンビルロール30のシール部32(前記図1、2参照。)にさらに接触しにくくなるという利点がある。
搬送制御ロール50は、回動自在な、いわゆるフリーロールであり、円柱ロールである。その材質は、一般的な金属ロールと同様であり、ロール表面は滑らかに加工されていることが好ましい。
押し込みロール20Aは、中央ロール10に対してアンビルロール30とは反対側に配されている。押し込みロール20Bは、中央ロール10の周面10Sを搬送されるシート100の搬送方向に沿った、押し込みロール20Aとアンビルロール30との中間位置において、押し込み凸条部が中央ロールの凸条部12(図1参照)間に入り込むように配されている。押し込みロール20Bの押し込み凸条部の凸条部12間に入り込む長さは、押し込みロール20Aの押し込み凸条部22A(図1、2に示した押し込み凸条部22をいう。)が凸条部12間に入り込む長さより長いことが好ましい。
このように複数の押し込みロール20A、20Bは、中央ロール10の凹凸加工部13(図1参照)に位置するシート100を段階的に押し込むものである。段階的に押し込むとは、押し込みロール20Aで押し込んだ押し込み長さよりも次の押し込みロール20Bで押し込んだ押し込み長さが長くなることを意味する。押し込み長さとは、言い換えれば、押し込み凸条部22の頂部が凸条部12間に入り込む深さを意味する。
凸条シール部37は、断面矩形もしくは台形を成している。その断面の形状、大きさ、間隔等は、適宜選択される。凸条シール部37のピッチは、4mm以上、好ましくは5mm以上、さらに好ましくは6mm以上とする。そして、9mm以下、好ましくは8mm以下、さらに好ましくは7mm以下とする。ピッチが狭すぎると、固定点が多くなり、表面材としての柔らかさが損なわれ、ピッチが広すぎると接合が不十分になる。凸条シール部37の頂部の幅は、0.5mm以上、好ましくは0.75mm以上、さらに好ましくは1mm以上とする。凸条シール部37の頂部の幅が狭すぎると、シート100と別のシート110との接合が不十分になりやすくなる。凹条部38の幅は、8.5mm以内、好ましくは8.25mm以内、さらに好ましくは8mm以内とする。凹条部38の幅が広すぎると、シート100と別のシート110(図1参照)との接合が不十分になる。そして中央ロール10の各凸条シール部12とロール周方向で間欠的に圧接するように配置されている。その際、中央ロール10のベアラー15、16とアンビルロール30のベアラー35、36によって凸条部12と凸条シール部37との間隔が保持されている。
上記凸条部12のピッチを2mm、頂部の幅を0.7mmとした場合、凸条シール部37のピッチを6.24mm、頂部の幅を1.04mmとすることが好ましい。
カバー71、72は、段差部33、34の周面を分割して被覆するように、半円筒形状をなしている。段差部33、34の形状に合わせた形状を成していることが好ましく、隅R加工の形状にも合うように成形されていることが好ましい。このように、段差部33、34の形状に合わせることにより、段差部33、34から熱が漏れることなく熱放出を抑えることができる。その材質は、例えば、ガラス入りエポキシ樹脂(0.471W/m・K)、150℃が挙げられる。なお、括弧内の数値は熱伝導率とガラス転移温度である。
上記カバー71、72は、段差部33、34の周面を2分割したもの、または3分割以上に分割したものであってもよい。また、段差部33、34を被覆することができれば、分割されていない1枚のカバーであってもよい。
また、ブラシ81により掃きとられた繊維を集めておく受け皿85が、ブラシ81の下方に配されていてもよい。または、受け皿85の代わりに、ブラシ81により掃きとられた繊維を吸引する集塵機を配してもよい。
10 中央ロール
10S ロール周面
11 回動軸
12 凸条部
13 凹凸加工部
14 係止部
15,16 ベアラー
20 押し込みロール
20S ロール周面
21 回動軸
22 押し込み凸条部
23 凹凸加工部
25,26 ベアラー
30 アンビルロール
30S ロール周面
31 回動軸
32 シール部
32S シール部周面
33,34 段差部
35,36 ベアラー
37 凸条シール部
38 凹状部
41 加熱手段
50 搬送制御ロール
71,72 カバー
81 ブラシ
82 ブラシ軸
83 毛
85 受け皿
100 シート
100a 加工部
100b 非加工部
100c 両側部
110 別のシート
110a 加工部
110b 非加工部
110c 両側部
120 凹凸複合シート
d 段差
T 接線
θ 供給角度
Claims (10)
- ロール周方向に連なる凸条部がロール幅方向に一定間隔に複数配されて成る、移送されるシートの凹凸加工部と、該凹凸加工部のロール幅方向の両側に配される前記シートの係止部とをロール周面に有する、中央ロールと、
ロール幅方向に一定間隔に複数配されて前記凹凸加工部の凸条部間に入り込む、ロール周方向に連なる押し込み凸条部をロール周面に有する、押し込みロールと、
前記凹凸加工部に圧接するシール部と、該シール部のロール幅方向の両側に配される前記シール部のロール径よりも小さいロール径の段差部とをロール周面に有する、アンビルロールとを備え、
前記中央ロール、前記押し込みロール及び前記アンビルロールは互いに連動して回動するように配されており、
前記アンビルロールには加熱手段が配され、
前記中央ロール及び前記アンビルロールは、前記中央ロールと前記押し込みロールとで凹凸賦形された前記シートと該シートに合流する別のシートとの両側部を前記段差部に対応させ、かつ前記両側部を前記段差部から離間させた状態とし、前記凹凸加工部と前記シール部との間で前記両シートを接合する凹凸複合シート加工装置。 - 前記中央ロールと前記アンビルロールとが接触する位置における接線よりも前記中央ロール側から前記別のシートを搬送する搬送制御ロールを配した請求項1に記載の凹凸複合シート加工装置。
- 前記中央ロールに対して前記押し込みロールを複数配し、該複数の押し込みロールが、前記中央ロールの凹凸加工部に位置する前記シートを押し込む請求項1又は2に記載の凹凸複合シート加工装置。
- 前記中央ロールおよび前記押し込みロールに加熱手段を配した請求項1〜3のいずれか1項に記載の凹凸複合シート加工装置。
- 前記アンビルロールの前記シール部は、ロール周方向に凹凸形状をなし、前記中央ロールの凹凸加工部の凸条部とロール周方向で間欠に圧接するように配置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の凹凸複合シート加工装置。
- 前記中央ロール及び前記アンビルロールのそれぞれのロール幅方向の端部に一対のベアラーを有し、前記中央ロールのベアラーと前記アンビルロールのベアラーとが加圧接触する請求項1〜5のいずれか1項に記載の凹凸複合シート加工装置。
- 前記段差部の周面は、前記シール部よりも熱伝導率が低い請求項1〜6のいずれか1項に記載の凹凸複合シート加工装置。
- 前記シール部に接触して掃くブラシを周面に備えた回動可能なブラシロールを有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の凹凸複合シート加工装置。
- 前記シール部と前記段差部との段差を5mm以上有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の凹凸複合シート加工装置。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の凹凸複合シート加工装置を用いた凹凸複合シートの製造方法であって、
前記中央ロールに前記シートを巻き付けて搬送するとともに、前記中央ロールと前記押し込みロールとの間に前記シートを通して前記シートを凹凸形状に賦形し、
賦形された前記シートと該シートとは別のシートとを合流させ、前記中央ロールと前記アンビルロールとの間に供給し、
前記中央ロール及び前記アンビルロールは、合流させた前記両シートの両側部を前記段差部に離間するように対向させて、前記凹凸加工部と前記シール部との間で前記両シートを接合する凹凸複合シートの製造方法。
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