A.第1実施形態:
図1は、一実施形態としての点火プラグ100の概略図である。図中には、点火プラグ100の中心軸CL(「軸線CL」とも呼ぶ)と、点火プラグ100の外観と、が示されている。以下、中心軸CLに平行な方向を「軸線CLの方向」、または、単に「軸線方向」または「前後方向」とも呼ぶ。軸線CLを中心とする円の径方向を「径方向」とも呼ぶ。径方向は、軸線CLに垂直な方向である。軸線CLを中心とする円の円周方向を、「周方向」とも呼ぶ。中心軸CLに平行な方向のうち、図1における上方向を先端方向Df、または、前方向Dfと呼び、下方向を後端方向Dfr、または、後方向Dfrとも呼ぶ。先端方向Dfは、後述する端子金具40から中心電極20に向かう方向である。また、図1における先端方向Df側を点火プラグ100の先端側と呼び、図1における後端方向Dfr側を点火プラグ100の後端側と呼ぶ。
図中では、点火プラグ100の外観が、実線で示され、点火プラグ100の軸線CLを含む断面の構成の概略が、点線で示されている。点火プラグ100は、軸線CLに沿って延びる貫通孔12を有する筒状の絶縁体10と、絶縁体10の貫通孔12の先端側の部分によって保持される中心電極20と、絶縁体10の貫通孔12の後端側の部分によって保持される端子金具40と、絶縁体10の外周側に固定された筒状の主体金具50と、一方の端部が主体金具50の先端面55に接合されるとともに他方の端部が中心電極20とギャップgを介して対向するように配置された接地電極30と、を有している。絶縁体10の貫通孔12内の中心電極20と端子金具40との間には、中心電極20と端子金具40と電気的に接続する部材が、配置されている(例えば、抵抗体73と、中心電極20と抵抗体73とを接続する導電性シール72と、抵抗体73と端子金具40とを接続する導電性シール74)。
中心電極20は、金属製の部材であり、絶縁体10の貫通孔12内の前方向Df側の端部に配置されている。本実施形態では、中心電極20は、点火プラグ100の軸線CLに沿って延びる棒状の部材である。中心電極20のうちの前方向Df側の部分は、絶縁体10の貫通孔12の前方向Df側に露出している。中心電極20のうち後方向Dfr側の部分20tは、貫通孔12内に配置されている。このように、中心電極20は、絶縁体10の先端部10tに配置される部分(部分20tのうちの少なくとも一部)を含んでいる。絶縁体10の先端部10tは、絶縁体10のうちの先端を含む部分である。
なお、中心電極20を絶縁体10に固定するための構成としては、種々の構成を採用可能である。本実施形態では、絶縁体10の貫通孔12に、前方向Dfに向けて内径が小さくなる縮内径部11が設けられ、中心電極20に、前方向Dfに向けて外径が小さくなる縮外径部23が設けられる。そして、絶縁体10の縮内径部11が、中心電極20の縮外径部23を、支持している。
接地電極30は、金属製の部材であり、主体金具50に固定されている。本実施形態では、接地電極30は、棒状の部材である。接地電極30は、主体金具50に接合された端部33から先端方向Dfに向かって延び、中心軸CLに向かって曲がって、他方の端部34に至る。この端部34の後方向Dfr側の部分は、中心電極20に対向して、ギャップgを形成する。
中心電極20と接地電極30とは、耐酸化性に優れる材料(例えば、ニッケル、ニッケルを主成分として含む合金、など)を用いて形成されている。また、中心電極20と接地電極30とは、放電に対する耐久性に優れる材料(例えば、イリジウム(Ir)、白金(Pt)等の貴金属、貴金属を含む合金、など)を用いて形成されたチップを有している。これらのチップによって、ギャップgが形成されている。なお、中心電極20のチップと接地電極30のチップとの少なくとも一方が、省略されてもよい。
端子金具40は、軸線CLに平行に延びる棒状の部材である。端子金具40は、導電性材料を用いて形成されている(例えば、鉄を主成分として含む金属)。端子金具40のうちの前方向Df側の部分は、絶縁体10の貫通孔12内に、挿入されている。端子金具40のうちの後方向Dfr側の部分は、絶縁体10の貫通孔の後方向Dfr側に露出している。
主体金具50は、軸線CLに沿って延びる貫通孔59を有する筒状の部材である。主体金具50の貫通孔59には、絶縁体10が挿入され、主体金具50は、絶縁体10の外周に固定されている。主体金具50は、導電材料(例えば、主成分である鉄を含む炭素鋼等の金属)を用いて形成されている。絶縁体10の前方向Df側の一部は、貫通孔59の外に露出している。また、絶縁体10の後方向Dfr側の一部は、貫通孔59の外に露出している。
主体金具50は、工具係合部51と、先端側胴部52と、を有している。工具係合部51は、点火プラグ用のレンチ(図示せず)が嵌合する部分である。先端側胴部52は、主体金具50の先端面55を含む部分である。先端側胴部52の外周面には、内燃機関(例えば、ガソリンエンジン)の取付孔に螺合するためのネジ部57が形成されている。ネジ部57は、軸線CLの方向に延びる雄ねじが形成された部分であり、螺旋状のネジ山と螺旋状のネジ溝とを有している(図示省略)。
主体金具50の工具係合部51と先端側胴部52との間の外周面には、径方向外側に突き出たフランジ状の中胴部54が形成されている。中胴部54の前方向Df側の面54fは、内燃機関のうちの取付孔を形成する部分である取り付け部(例えば、エンジンヘッド)とのシールを形成する座面である。
先端側胴部52のネジ部57と中胴部54の座面54fとの間には、環状のガスケット90が配置されている。ガスケット90は、例えば金属の板状部材を折り曲げることによって形成されている。ガスケット90は、点火プラグ100が内燃機関に取り付けられた際に押し潰されて変形する。このガスケット90の変形によって、点火プラグ100の中胴部54の座面54fと、図示しない内燃機関の取り付け部(例えば、エンジンヘッド)と、の隙間が封止され、燃焼ガスの漏出が抑制される。なお、ガスケット90が省略されてもよい。この場合、中胴部54の座面54fは、直接に内燃機関の取り付け部に接触することによって、座面54fと、内燃機関の取り付け部と、の隙間を封止する。
なお、点火プラグ100の構成としては、公知の任意の構成を採用可能である。また、点火プラグ100を組み立てる方法としては、公知の任意の方法を採用可能である。例えば、絶縁体10に主体金具50を固定する際には、主体金具50の後端部53が加締められる。
図2は、点火プラグ100の製造方法の例を示すフローチャートである。本実施形態では、後述するように、ギャップgの距離が許容範囲内であるか否かの判断が、基準器を撮影して得られる画像データと、点火プラグ100を撮影して得られる画像データとを用いて、行われる。
S100では、撮影システムの治具に、基準器が装着される。図3は、撮影システムの例を示す概略図である。本実施形態では、撮影システム700は、光源710(例えば、LED光源)と、治具800と、デジタルカメラ720と、デジタルカメラ720によって生成された画像データを解析する処理装置600と、を含んでいる。光源710は、デジタルカメラ720の撮影範囲のおおよそ中心に、配置されている。図中の軸AXは、デジタルカメラ720の光学装置721(撮像素子とレンズを含む)と光源710とで構成される光学システムの光軸である。光軸AXは、デジタルカメラ720の光学装置721と光源710とを結ぶ直線である。
治具800は、光源710とデジタルカメラ720との間に配置されている。デジタルカメラ720に対する治具800の位置と向きとは、予め決められている。また、デジタルカメラ720に対する光源710の位置は、予め決められている。例えば、光源710とデジタルカメラ720と治具800とは、共通の台730に、取り付けられている。治具800には、基準器900が装着される。
図3の下部には、処理装置600の構成が示されている。処理装置600は、例えば、パーソナルコンピュータである(例えば、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ)。処理装置600は、プロセッサ610と、記憶装置615と、画像を表示する表示部640と、ユーザによる操作を受け入れる操作部650と、インタフェース670と、を有している。記憶装置615は、揮発性記憶装置620と、不揮発性記憶装置630と、を含んでいる。処理装置600の各要素は、図示しないバスを介して互いに接続されている。
プロセッサ610は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。揮発性記憶装置620は、例えば、DRAMであり、不揮発性記憶装置630は、例えば、フラッシュメモリである。不揮発性記憶装置630は、プログラム632を格納している。プロセッサ610は、プログラム632を実行することによって、デジタルカメラ720を制御し、デジタルカメラ720から画像データを取得し、取得した画像データを解析し、そして、点火プラグ100のギャップgの距離が許容範囲内であるか否かを判断する(詳細は後述)。プロセッサ610は、プログラム632の実行に利用される種々の中間データを、記憶装置615(例えば、揮発性記憶装置620、不揮発性記憶装置630のいずれか)に、一時的に格納する。
表示部640は、画像を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイである。操作部650は、ユーザによる操作を受け取る装置であり、例えば、表示部640上に重ねて配置されたタッチパネルである。ユーザは、操作部650を操作することによって、種々の指示を処理装置600に入力可能である。インタフェース670は、他の装置と通信するためのインタフェースである(例えば、USBインタフェース)。デジタルカメラ720は、このインタフェース670に接続されている。
図4は、基準器900の説明図である。図4(A)、図4(B)には、基準器900の中心軸CL9(軸線CL9とも呼ぶ)と、基準器900の外観と、が示されている。図4(A)、図4(B)は、軸線CL9に垂直な方向であって、互いに異なる方向を向いて見た外観を示している。
基準器900は、点火プラグ100(図1)を模した部材である。基準器900は、軸線CL9に沿って順に並ぶ、スリット形成部940と、第1部分910と、第2部分920と、第3部分930と、で構成されている。
3つの部分910、920、930は、それぞれ、軸線CL9を中心とする円柱状の部分である。第2部分920は、点火プラグ100(図1)の主体金具50の中胴部54に対応している。第1部分910は、主体金具50の先端側胴部52に対応している。スリット形成部940は、軸線CL9に沿って延びる平板状の部分であり、軸線CL9に垂直な方向に延びるスリット950を形成する。図4(A)は、スリット形成部940に垂直な方向を向いて見た概略図であり、図4(B)は、スリット形成部940に平行な方向を向いて見た概略図である。スリット950は、電極20、30(図1)によって形成されるギャップgに対応している。
軸線CL9に平行に第3部分930からスリット形成部940へ向かう方向(図4(A)の上方向)は、図1の先端方向Dfに対応している(以下、同じ符号を用いて、先端方向Df、または、前方向Dfと呼ぶ。そして、反対の方向を、後端方向Dfr、または、後方向Dfrとも呼ぶ)。
第2部分920の外径は、主体金具50の中胴部54の外径と、おおよそ同じである。第1部分910の外径は、主体金具50の先端側胴部52の外径と、おおよそ同じである。第2部分920の外径は、第1部分910の外径よりも大きい。すなわち、第2部分920は、第1部分910よりも、軸線CL9に垂直な方向に突出している。第2部分920の外面のうちの前方向Df側の部分920f(すなわち、第2部分920の外周面920oと第1部分910の外周面910oとを接続する面920f)は、主体金具50(図1)の中胴部54の座面54fに対応している(以下、座面920fとも呼ぶ)。また、第2部分920の外径は、第3部分930の外径よりも、大きい。
図4(C)は、図4(A)のうち、スリット形成部940のスリット950を含む一部分の拡大図である。図中には、方向Df、Dfrに加えて、軸線CL9に垂直な第1方向Dxと、第1方向Dxの反対の方向である第2方向Dxrと、が示されている。スリット形成部940は、これらの方向Df、Dfr、Dx、Dxrに平行な平板状の部材である。
スリット950は、第1方向Dx側の部分である基準部分953と、基準部分953の第2方向Dxr側に接続された部分であって基準部分953よりも広い幅を有する幅広部分957と、で構成されている。基準部分953は、軸線CL9に垂直な方向に延びる、予め決められた幅Daの部分である。この幅Daは、基準部分953の延びる方向に垂直な方向(ここでは、軸線CL9に平行な方向)の幅である。基準部分953は、軸線CL9を横切るように、構成されている。幅広部分957の幅Dcは、基準部分953の幅Daよりも大きい。なお、幅広部分957の幅Dcは、基準部分953の延びる方向に垂直な方向(ここでは、軸線CL9に平行な方向)の幅である。幅広部分957の形状は、本実施形態では、軸線CL9に平行な縁と軸線CL9に垂直な縁とを含む略正方形である。
スリット形成部940は、基準部分953を形成する第1部分943と、幅広部分957を形成する第2部分947と、第1方向Dx側の端部941を形成する第3部分942と、を含んでいる。図示するように、スリット形成部940の第1部分943の第1方向Dx側の端部944は、基準部分953の第1方向Dx側の端部951を形成しており、閉じずに、開いている。
スリット形成部940のうち、スリット950の端部951側とは反対側の部分を形成する部分は、基準部分953の幅Daよりも広い幅Dcの幅広部分957を形成する第2部分947を含んでいる。
スリット形成部940の第2部分947のうち、スリット950の端部951側とは反対側(ここでは、第2方向Dxr側)の端部959を形成する部分949は、閉じており、基準部分953の延びる方向に垂直な直線状の縁部948を形成している。すなわち、スリット950の端部951側とは反対側の端部959は、基準部分953の延びる方向に垂直な直線状の縁部である(縁部959とも呼ぶ)。
スリット形成部940の第3部分942は、基準部分953の延びる方向に垂直な直線状の端部941を形成している。以下、端部941を、縁部941とも呼ぶ。
図中には、幅広部分957の中心956が示されている。中心956は、幅広部分957によって形成される正方向の中心の位置である。本実施形態では、軸線CL9に平行な方向の中心956の位置は、基準部分953の範囲内である。すなわち、中心956の、基準部分953の延びる方向に垂直な方向の位置(ここでは、軸線CL9に平行な方向の位置)は、基準部分953の幅の範囲Rs内である。
図中には、スリット950の構成を示すパラメータDa〜Ddが、示されている。幅Daは、上述したように、基準部分953の延びる方向に垂直な方向の基準部分953の幅である。幅Dcは、上述したように、基準部分953の延びる方向に垂直な方向の幅広部分957の幅である。本実施形態では、基準部分953は、軸線CL9に垂直な方向に延びているので、幅Da、Dcは、軸線CL9に平行な方向の幅である。長さDbは、基準部分953の延びる方向(ここでは、軸線CL9に垂直な方向)の幅広部分957の長さである。長さDdは、基準部分953の延びる方向(ここでは、軸線CL9に垂直な方向)のスリット950の長さである。スリット950の長さDdは、端部951と端部959との間の距離である。本実施形態では、長さDdは、縁部941と縁部948との間の距離と、同じである。これらのサイズDa〜Ddは、予め決められている。
図5は、治具800の説明図である。図中には、治具800の中心軸CL8(軸線CL8とも呼ぶ)と、治具800の軸線CL8を含む断面と、が示されている。治具800は、軸線CL8に沿って延びる貫通孔800iを形成するリング状の部材である。治具800は、軸線CL8に沿って順に並ぶ、第1部分810と、第2部分820と、で構成されている。第2部分820の内径は、第1部分810の内径よりも、大きい。治具800は、例えば、金属を用いて、形成されている。
第1部分810は、基準器900(図4(A))の第1部分910、そして、主体金具50(図1)の先端側胴部52を、受け入れるように構成されている。例えば、第1部分910の内径は、基準器900の第1部分910の外径、そして、主体金具50の第2部分920の外径と、おおよそ同じである。
第2部分820は、基準器900(図4(A))の第2部分920、そして、主体金具50(図1)の中胴部54を、受け入れるように構成されている。例えば、第2部分820の内径は、基準器900の第2部分920の外径、そして、主体金具50の中胴部54の外径と、おおよそ同じである。
後述するように、点火プラグ100または基準器900が治具800に装着された状態において、軸線CL8に平行に第2部分820から第1部分810へ向かう方向(図5の上方向)は、図1、図4(A)の先端方向Dfに対応している(以下、同じ符号を用いて、先端方向Df、または、前方向Dfと呼ぶ。そして、反対の方向を、後端方向Dfr、または、後方向Dfrとも呼ぶ)。
第1部分810の内径は、第2部分820の内径よりも、小さい。貫通孔800i内において、第1部分810の後方向Dfr側の面810r(すなわち、第1部分810の内周面810iと第2部分820の内周面820iとを接続する面810r)は、主体金具50(図1)の中胴部54の座面54f、そして、基準器900(図4(A))の座面920fを、支持する支持部を形成する(支持部810rとも呼ぶ)。
図3には、治具800の軸線CL8を含む断面と、治具800に装着された基準器900の外観と、が示されている。図示するように、治具800の貫通孔800i内に、基準器900が嵌め込まれる。基準器900の第2部分920のうちの前方向Df側の部分は、治具800の第2部分820の内周側に配置されている。基準器900の第1部分910のうちの後方向Dfr側の部分は、治具800の第1部分810の内周側に配置されている。貫通孔800i内において、基準器900は、基準器900の軸線CL9が治具800の軸線CL8におおよそ一致する位置に、配置される。例えば、基準器900の第2部分920の外周面920oが、治具800の第2部分820の内周面820iに接触することによって、軸線CL8、CL9がおおよそ一致する。
また、治具800の貫通孔800i内において、基準器900は、基準器900の第2部分920のスリット形成部940側を向いた座面920fが、治具800の貫通孔800i内の支持部810rに接する位置に、配置される。このように、治具800の支持部810rは、基準器900の座面920fを、支持している。これにより、治具800に対する基準器900の位置と向きのずれは、抑制される。
このように治具800に基準器900が装着される場合、基準器900のスリット950は、光軸AXの近傍に、配置される。基準器900の周方向の向きは、スリット形成部940が光軸AXにおおよそ垂直になるように、調整される。
図2のS105では、ユーザは、処理装置600(図3)の操作部650を操作することにより、基準器900の処理を開始する指示を、入力する。プロセッサ610は、指示に応じて、プログラム632に従って、処理を開始する。具体的には、S105では、プロセッサ610は、デジタルカメラ720を制御することによって、デジタルカメラ720に基準器900を撮影させる。そして、プロセッサ610は、デジタルカメラ720から、撮影によって生成された画像データを取得する。デジタルカメラ720は、基準器900のうちのスリット950を含む部分を表す画像である基準画像を表す画像データを生成する(基準画像データとも呼ぶ)。本実施形態では、基準画像データは、基準画像を示すビットマップデータである。このビットマップデータは、基準画像を示す複数の画素のそれぞれの色値を示している。各画素の色値は、例えば、赤(R)と緑(G)と青(B)との3個の色成分の値(以下、R値、G値、B値とも呼ぶ)を含んでいる。また、各成分値の階調数は、例えば、256階調である。
図6(A)は、基準画像の例を示す説明図である。この基準画像IMGsは、スリット形成部940のうちのスリット950を含む部分を示している。この基準画像IMGsは、図3で説明したように、軸線CL8、CL9が、光軸AXにおおよそ垂直であり、そして、スリット形成部940が、光軸AXにおおよそ垂直である状態で取得される適切な画像の例である。
基準画像IMGsは、互いに垂直な水平方向Dhと垂直方向Dvとに沿ってマトリクス状に配置される複数の画素によって、示される。図3で説明したように、スリット形成部940は、光源710とデジタルカメラ720との間に配置される。従って、基準画像IMGs上では、基準器900(具体的には、スリット形成部940)を示す基準器領域A1は、比較的暗い色で示され、スリット950を含む背景を示す背景領域A2は、比較的明るい色で示される。また、図示するように、光源710の位置は、光源710が幅広部分957の中心956に位置するように、調整される。
図6(A)には、基準画像IMGs中のパラメータD1、D2、D3、D4が示されている。これらのパラメータD1、D2、D3、D4は、それぞれ、図4(C)のパラメータDa、Db、Dc、Ddに対応している。後述するように、基準画像IMGs上の幅D1は、点火プラグ100を示す撮像画像上のギャップgの距離の較正に利用される(以下、幅D1を、基準画像長D1とも呼ぶ)。長さD2、D3、D4は、光源710と基準器900との位置の調整に利用される。
基準画像IMGs上の基準画像長D1は、種々の原因によって、変化し得る。例えば、基準画像IMGs上の基準器領域A1のうちのスリット950の基準部分953を示す縁P31x、P32xは、スリット950を通り抜ける光の回折によって、ぼやけ得る。回折に起因する縁P31x、P32xのぼやけは、基準画像IMGs内の光源710の位置と光量に応じて、変化し得る。縁P31x、P32xのぼやけの変化に起因して、基準画像IMGs上の幅D1は、変化し得る。また、基準画像IMGs上の縁P31x、P32xの間の距離は、デジタルカメラ720に対して基準器900が傾く場合に、変化し得る。
図7、図8は、基準器900の傾斜と基準画像長D1の変化との説明図である。図7(A)は、光源710とデジタルカメラ720と基準器900のスリット形成部940との位置関係の例を示している。図7(A)では、基準器900の軸線CL9は、光軸AXに対して、垂直ではなく、傾斜している。図7(B)は、図7(A)の状態で撮影される基準画像IMGsの例を示す説明図である。軸線CL9が光軸AXに対して傾斜しているので、デジタルカメラ720からの基準画像IMGs中では、スリット形成部940は、軸線CL9に沿って縮んだように、示される。従って、軸線CL9におおよそ平行な方向の大きさを示す基準画像長D1と長さD3とが、図6(A)のような適切な基準画像IMGs中の基準画像長D1と長さD3と比べて、小さくなる。また、デジタルカメラ720から見た基準部分953の幅が小さいので、光の回折による縁P31x、P32xのぼやけの程度は、適切な基準画像IMGs中の縁P31x、P32xのぼやけの程度と、異なり得る。
図8(A)は、光源710とデジタルカメラ720と基準器900のスリット形成部940との位置関係の別の例を示している。図8(A)では、基準器900は、軸線CL9を中心に回動しており、スリット形成部940は、光軸AXに対して、傾斜している。図8(B)は、図8(A)の状態で撮影される基準画像IMGsの例を示す説明図である。スリット形成部940が光軸AXに対して傾斜しているので、デジタルカメラ720からの基準画像IMGs中では、スリット形成部940は、軸線CL9に垂直な方向に沿って縮んだように、示される。従って、軸線CL9におおよそ垂直な方向の大きさを示す長さD2、D4が、図6(A)のような適切な基準画像IMGs中の長さD2、D4と比べて、小さくなる。
また、図8(A)のように光軸AXに対してスリット形成部940が傾斜する場合、光源710からの光は、スリット950を斜めに通り抜ける。従って、光源710からデジタルカメラ720までの光の経路のうち、スリット950(例えば、基準部分953)内の部分の長さは、光軸AXに対してスリット形成部940が垂直である場合(すなわち、図6(A)のような適切な基準画像IMGsが取得される場合)と比べて、長くなる。スリット950の基準部分953内の光の経路が長くなる場合、光の回折による縁P31x、P32xのぼやけの程度は、適切な基準画像IMGs中の縁P31x、P32xのぼやけの程度と、異なり得る。
以上のように、軸線CL9が光軸AXに対して傾斜している場合と、スリット形成部940が光軸AXに対して傾斜している場合とには、図7(B)、図8(B)のような不適切な基準画像IMGs、ひいては、不適切な基準画像長D1が、取得され得る。図7(A)、図7(B)で説明したように、軸線CL9が光軸AXに対して傾斜しているか否かは、長さD3を用いて、判断できる。また、図8(A)、図8(B)で説明したように、スリット形成部940が光軸AXに対して傾斜しているか否かは、長さD2、D4を用いて、判断できる。
図2のS110、S113では、プロセッサ610は、基準画像データを解析することによって、基準画像IMGs上の長さD2、D3、D4を特定する。基準画像IMGs上の長さD2、D3、D4を特定する方法は、種々の方法であってよい。本実施形態では、プロセッサ610は、まず、S110で、基準画像IMGsを、基準器900を示す基準器領域A1と、背景を示す背景領域A2とに、区分する。
基準画像IMGsを基準器領域A1と背景領域A2とに区分する方法は、種々の方法であってよい。本実施形態では、プロセッサ610は、複数の画素の輝度値の分布を用いて、基準器領域A1と背景領域A2とを特定する。輝度値は、赤R、緑G、青Bの3個の色成分の値を用いて、予め決められた計算式に従って、算出される。例えば、輝度値は、RGB色空間の階調値とYCbCr色空間の輝度値とを対応付ける公知の関係式を用いて、算出される。
図6(B)は、輝度値Yの分布の例を示すヒストグラムである。横軸は、輝度値Yを示し、縦軸は、画素の頻度Fを示している。図示するように、輝度値Yのヒストグラムは、基準器領域A1を示す比較的暗い第1ピークPk1と、背景領域A2を示す比較的明るい第2ピークPk2とを、示している。プロセッサ610は、基準画像データを解析することによって、各画素の輝度値Yを算出し、輝度値Yの分布を示すヒストグラムを生成する。そして、プロセッサ610は、ヒストグラムを解析することによって、第1ピークPk1の複数の画素(すなわち、基準器領域A1)と、第2ピークPk2の複数の画素(すなわち、背景領域A2)と、を特定する。2つのピークを分離する方法は、種々の方法であってよい。本実施形態では、プロセッサ610は、第1ピークPk1の頂点Ps1の輝度値Ys1と、第2ピークPk2の頂点Ps2の輝度値Ys2と、を特定する。そして、プロセッサ610は、2つの頂点Ps1、Ps2の2つの輝度値Ys1、Ys2の平均値を、閾値Ystとして採用する。プロセッサ610は、閾値Yst未満の輝度値Yを示す画素を、第1ピークPk1の画素、すなわち、基準器領域A1の画素に分類する。また、プロセッサ610は、閾値Yst以上の輝度値Yを示す画素を、第2ピークPk2の画素、すなわち、背景領域A2の画素に分類する。なお、閾値Ystの決定方法は、他の種々の方法であってよい。例えば、2つの第1ピークPk1、Pk2の間の谷における最も頻度Fの低い輝度値Yが、閾値Ystとして採用されてもよい。
図2のS113では、プロセッサ610は、領域A1、A2の少なくとも一方のうち、長さD2、D3、D4に対応する部分を特定し、特定した部分を用いて、長さD2、D3、D4を特定する。本実施形態では、プロセッサ610は、基準器領域A1のうち、スリット950の基準部分953を形成する部分である基準画像部分P3と、幅広部分957を形成する部分である幅広画像部分P7と、を特定する。基準画像部分P3は、互いに離れた2つの部分P31、P32で構成される。幅広画像部分P7は、略環状の部分である。これらの部分P3、P7の特定方法は、種々の方法であってよい。例えば、図2のS100では、基準器900(図3)は、スリット形成部940が基準画像IMGs内の予め決められた位置に配置されるように、配置される。この場合、プロセッサ610は、基準器領域A1のうち、基準画像IMGs内の予め決められた範囲A3内の部分を、基準画像部分P3として採用し、予め決められた範囲A7内の部分を、幅広画像部分P7として採用してよい。なお、本実施形態では、基準画像IMGs内において、基準器900の向き、すなわち、基準器900の軸線CL9の延びる方向も、予め決められた方向を向く。具体的には、軸線CL9は、垂直方向Dvに、おおよそ平行である。
特定された部分P3、P7を用いて長さD2、D3、D4を特定する方法は、種々の方法であってよい。例えば、基準部分953を示す2つの部分P31、P32は、それぞれ、縁P31x、P32xを形成する。これらの縁P31x、P32xは、スリット950の基準部分953の縁を示しており、互いにおおよそ平行である。プロセッサ610は、2つの部分P31、P32のそれぞれの縁P31x、P32xを近似する2本の縁直線L1、L2のいずれか一方を算出する。縁直線(縁直線L1、L2のいずれか一方)は、縁P31x、P32xのうちの対応する縁を示す複数の画素の配置を近似する直線であり、例えば、最小二乗法やハフ変換によって、特定可能である。複数の直線が特定される場合、水平方向Dhとの成す角度が最も小さい直線を、縁直線として採用してよい。算出される縁直線に平行な方向は、基準部分953の延びる方向として、利用される。プロセッサ610は、幅広画像部分P7の内周側の縁P7xで囲まれる領域(スリット950の幅広部分957に対応する領域)の、基準部分953の延びる方向に平行な方向の長さを、長さD2として算出し、基準部分953の延びる方向に垂直な方向の長さを、長さD3として算出する。また、プロセッサ610は、基準器領域A1のうち、幅広画像部分P7の縁P7xと、基準画像部分P3の縁P31x、32xとで囲まれる領域(スリット950に対応する領域)の、基準部分953の延びる方向に平行な方向の長さを、長さD4として算出する。なお、長さD2、D3、D4の単位は、基準画像IMGs上の長さを示す任意の単位であってよく、例えば、長さD2、D3、D4は、画素数で示される。
なお、図4(C)で説明したように、スリット形成部940のうち、スリット950の第2方向Dxr側の縁部959を形成する部分949は、基準部分953の延びる方向に垂直な直線状の縁部948を形成する、従って、プロセッサ610は、縁部948の縁を示す複数の画素の配置を近似する直線L9を特定し、この直線L9に垂直な方向を、基準部分953の延びる方向として用いてもよい。例えば、長さD2、D4として、直線L9に垂直な方向の長さが、算出されてよい。この場合、長さD2、D4の精度、ひいては、基準器900の周方向の向きの特定の精度を、向上できる。
また、図4(C)で説明したように、スリット形成部940の第1方向Dx側の縁部941は、基準部分953の延びる方向に垂直な直線状の縁である。従って、プロセッサ610は、縁部941(図6(A))の縁を示す複数の画素の配置を近似する直線L8を特定し、この直線L8と、第2方向Dxr側の縁を示す直線L9と、の間の距離を、長さD4として算出してもよい。
図2のS113では、プロセッサ610は、長さD2、D3、D4(図6(A))に加えて、基準画像IMGs内の光源710の位置と、スリット950の基準部分953における輝度値と、を特定する。光源710の位置の特定方法は、種々の方法であってよい。本実施形態では、基準画像IMGs内の最も明るい1以上の画素が連続する領域の中心の位置が、光源710の位置として採用される。領域の重心は、領域内に質量が均等に分布していると仮定した場合の重心の位置である。これに代えて、光源710の予め決められた形状を用いるパターンマッチングによって、光源710の位置が特定されてもよい。
基準部分953における輝度値としては、例えば、基準部分953を示す縁P31x、P32xに挟まれる領域Abの平均輝度値が採用される。なお、平均に限らず、複数の画素のそれぞれの輝度値から得られる種々の代表値(例えば、最頻値、中央値)が、採用されてよい。
図2のS115では、プロセッサ610は、基準器900と光源710との配置と光源710の光量とが適切であるか否かを判断する。本実施形態では、以下の条件1〜5の全てが満たされる場合に、基準器900と光源710との配置と光源710の光量とが適切であると判断される。
条件1)光源710の位置が、幅広部分957の中心956を含む予め決められた許容範囲Ac内である。
条件2)基準部分953の輝度値が、輝度値の予め決められた許容範囲内である。
条件3)長さD2が、長さD2の予め決められた許容範囲内である。
条件4)長さD4が、長さD4の予め決められた許容範囲内である。
条件5)長さD3が、長さD3の予め決められた許容範囲内である。
長さD2、D3、D4と光源710の位置と基準部分953の輝度値とのそれぞれの許容範囲は、例えば、上限と下限とによって特定される。また、それらの許容範囲は、予め、実験的に決定される。長さD2、D4が、それぞれの許容範囲外である場合(例えば、長さD2、D4が、それぞれの許容範囲よりも小さい場合)、図8(B)で説明したように、スリット形成部940は、光軸AXに対して、傾斜している。また、長さD3が、長さD3の許容範囲外である場合(例えば、長さD3が、許容範囲よりも小さい場合)、図7(B)で説明したように、基準器900の軸線CL9は、光軸AXに対して、傾いている。
条件1〜5の少なくとも1つが満たされない場合(S115:No)、S117で、プロセッサ610は、判断結果を示す結果情報を、結果情報を受け付ける装置に出力し、基準器900の処理を終了する。プロセッサ610は、例えば、結果情報を表示部640に出力し、表示部640に判断結果を表示させる。ユーザは、表示部640を観察することによって、判断結果を特定できる。結果情報は、条件1〜5のうちの満たされなかった条件を示す情報を含むことが好ましい。
S119では、ユーザは、条件1が満たされるように(すなわち、光源710が許容範囲Ac内に位置するように)、光源710の位置を調整する。条件1が既に満たされている場合、S119は省略される。
S120では、ユーザは、条件2が満たされるように(すなわち、基準部分953の輝度値が許容範囲内になるように)、光源710の光量を調整する。条件2が既に満たされている場合、S120は省略される。
S125では、ユーザは、条件5が満たされるように(すなわち、基準器900の軸線CL9が光軸AXに垂直になるように)、治具800の向きを調整する。条件5が既に満たされている場合、S125は省略される。
S130では、ユーザは、条件3、4が満たされるように(すなわち、スリット形成部940が光軸AXに垂直になるように)、基準器900の周方向の向きを調整する。条件3、4の両方が既に満たされている場合、S130は省略される。
なお、プロセッサ610が、光源710を制御することによって、光量と光源710の位置とを調整してもよい。また、プロセッサ610が、治具800の向きを制御してもよい。また、プロセッサ610が基準器900の周方向の向きを制御してもよい。
S130の後、処理は、S105へ移行する。そして、S105で新たに基準画像データが取得され、S110〜S115の処理が、新たに取得された基準画像データを用いて、実行される。
S115で、基準器900と光源710との配置と光源710の光量とが適切であると判断される場合(S115:Yes)、S140で、プロセッサ610は、判断結果を示す結果情報を、結果情報を受け付ける装置に出力する。この処理は、S117と同様に、行われる。
S145では、プロセッサ610は、最新の(すなわち、適切な)基準画像データによって示される領域A1、A2(図6(A))の少なくとも一方のうち、基準画像長D1に対応する部分を用いて、基準画像長D1を特定する。基準画像長D1を特定する方法は、種々の方法であってよい。本実施形態では、プロセッサ610は、S113で特定された基準画像部分P3を用いて、基準画像長D1を算出する。本実施形態では、プロセッサ610は、開いた端部944から予め決められた距離Diだけ内側の位置における、2つの縁P31x、P32xの間の距離(ここでは、基準部分953の延びる方向に垂直な方向の距離)を、基準画像長D1として算出する。これに代えて、プロセッサ610は、以下の方法で基準画像長D1を算出してもよい。上述したように、基準画像部分P3の2つの縁P31x、P32xは、基準部分953の延びる方向に平行である。従って、2つの部分P31、P32の間の最短距離は、基準部分953の延びる方向に垂直な方向の距離と、同じである。プロセッサ610は、2つの部分P31、P32の間の最短距離を、基準画像長D1として採用してよい。また、プロセッサ610は、2つの縁P31x、P32xを近似する2つの直線L1、L2を算出し、2つの直線L1、L2の間の距離を、基準画像長D1として算出してよい。なお、基準画像長D1の単位は、基準画像IMGs上の長さを示す任意の単位であってよく、例えば、基準画像長D1は、画素数で示される。
S150では、プロセッサ610は、基準画像長D1を示す情報を、処理装置600の記憶装置615(例えば、揮発性記憶装置620と不揮発性記憶装置630とのいずれか)に格納する。そして、プロセッサ610は、基準器900の処理を終了する。基準画像長D1を示す情報は、後述するS180で、点火プラグ100のギャップgの距離の判断に、利用される。
基準画像長D1の特定(S100〜S150)とは独立に、S160で、点火プラグ100(図1)が組み立てられる。点火プラグ100の組み立て方法は、公知の任意の方法であってよい。なお、この段階では、ガスケット90は、主体金具50に取り付けられない。S165では、ギャップgの距離が調整される。例えば、接地電極30の曲がり具合を調整することによって、ギャップgの距離が調整される。S170では、点火プラグ100が、撮影システム700(図3)の治具800に装着される。S170は、基準画像長D1の特定が終了した後に、行われる。ここで、デジタルカメラ720に対する光源710の位置と、デジタルカメラ720に対する治具800の位置と向きとは、それぞれ、図S100〜S150の処理で最新の(すなわち、適切な)基準画像データが取得された状態での光源710の位置と治具800の位置と向きと、おおよそ同じに設定される。なお、光源710の位置は、適切な基準画像データが取得された状態から、変更されずに維持されてもよい。また、治具800の位置と向きとは、適切な基準画像データが取得された状態から、変更されずに維持されてもよい。
図9は、点火プラグ100が装着された撮影システム700の説明図である。図中には、図3と同様に、治具800の軸線CL8を含む断面と、治具800に装着された点火プラグ100の外観と、が示されている。図示するように、基準器900は治具800から取り外され、基準器900の代わりに点火プラグ100が、治具800の貫通孔800i内に、嵌め込まれる。点火プラグ100の主体金具50の中胴部54は、治具800の第2部分820の内周側に配置されている。点火プラグ100の主体金具50の先端側胴部52のうちの後方向Dfr側の部分は、治具800の第1部分810の内周側に配置されている。貫通孔800i内において、点火プラグ100は、点火プラグ100の軸線CLが治具800の軸線CL8におおよそ一致する位置に、配置される。例えば、点火プラグ100の中胴部54の外周面54oが、治具800の第2部分820の内周面820iに接触することによって、軸線CL、CL8がおおよそ一致する。
また、治具800の貫通孔800i内において、点火プラグ100は、点火プラグ100の座面54fが、治具800の貫通孔800i内の支持部810rに接する位置に、配置される。このように、治具800の支持部810rは、点火プラグ100の座面54fを、支持している。これにより、治具800に対する点火プラグ100の位置と向きのずれは、抑制される。
このように治具800に点火プラグ100が装着される場合、点火プラグ100のギャップgは、光軸AXの近傍に、配置される。点火プラグ100の周方向の向きは、接地電極30の延びる方向(ここでは、外周側から内周側に向かって延びる方向)が、光軸AXにおおよそ垂直になるように、調整される。
図2のS173では、ユーザは、処理装置600(図9)の操作部650を操作することにより、点火プラグ100の処理を開始する指示を、入力する。プロセッサ610は、指示に応じて、プログラム632に従って、処理を開始する。具体的には、S173では、プロセッサ610は、デジタルカメラ720を制御することによって、デジタルカメラ720に点火プラグ100を撮影させる。そして、プロセッサ610は、デジタルカメラ720から、撮影によって生成された画像データを取得する。デジタルカメラ720は、点火プラグ100のうちのギャップgを含む部分を表す画像であるギャップ画像を表す画像データを生成する(ギャップ画像データとも呼ぶ)。ギャップ画像データは、基準画像データと同様のビットマップデータである。
図10(A)は、ギャップ画像の例を示す説明図である。このギャップ画像IMGpは、点火プラグ100のうちのギャップgを含む部分を示している。図9に示すように、点火プラグ100は、光源710とデジタルカメラ720との間に配置される。従って、ギャップ画像IMGp上では、点火プラグ100を示す領域A11は、比較的暗い色で示され、ギャップgを含む背景を示す領域A12は、比較的明るい色で示されている。また、図示するように、光源710(ひいては、光軸AX)は、接地電極30の曲がる部分と絶縁体10との間の空間SP(ギャップgよりも広い空間SP)内に位置している。本実施形態では、基準器900の幅広部分957は、点火プラグ100の空間SPに対応する位置に、設けられている。なお、光源710の光量は、図2のS100〜S150の処理で最新の(すなわち、適切な)基準画像データが取得された状態の光量と、おおよそ同じ光量に設定される。なお、光源710の光量は、適切な基準画像データが取得された状態から、変更されずに維持されてもよい。
S175、S177では、プロセッサ610は、ギャップ画像データを解析することによって、ギャップ画像IMGp(図10(A))上の長さであってギャップgの長さに対応するギャップ画像長Dgを特定する。ギャップ画像長Dgを特定する方法は、種々の方法であってよい。本実施形態では、プロセッサ610は、まず、S175で、ギャップ画像IMGpを、点火プラグ100を示すプラグ領域A11と、ギャップgを含む背景を示す背景領域A12とに、区分する。具体的には、プロセッサ610は、図6(A)、図6(B)の基準画像IMGsの解析と同様に、輝度値Yのヒストグラムを解析することによって、ギャップ画像IMGpを、プラグ領域A11と背景領域A12とに区分する。
図10(B)は、ギャップ画像IMGpの輝度値Yの分布の例を示すヒストグラムである。横軸は、輝度値Yを示し、縦軸は、頻度Fを示している。輝度値Yのヒストグラムは、プラグ領域A11を示す比較的暗い第1ピークPi1と、背景領域A12を示す比較的明るい第2ピークPi2とを、示している。図中には、閾値Yptが示されている。閾値Yptの決定方法は、図6(B)の閾値Ystの決定方法と同じである。本実施形態では、第1ピークPi1の頂点Pp1の輝度値Yp1と、第2ピークPi2の頂点Pp2の輝度値Yp2と、の平均値が、閾値Yptとして用いられる。閾値Ypt未満の輝度値Yを示す画素は、第1ピークPi1の画素、すなわち、プラグ領域A11の画素に分類され、閾値Ypt以上の輝度値Yを示す画素は、第2ピークPi2の画素、すなわち、背景領域A12の画素に分類される。
S177(図2)では、領域A11、A12(図10(A))の少なくとも一方のうち、ギャップgに対応する部分を用いて、ギャップ画像長Dgを特定する。ギャップ画像長Dgを特定する方法は、種々の方法であってよい。本実施形態では、プロセッサ610は、プラグ領域A11のうち、ギャップgを形成する部分を示すギャップ画像部分P4を特定する。ギャップ画像部分P4は、互いに離れた2つの部分P41、P42で構成される。第1部分P41は、接地電極30の一部を示し、第2部分P42は、中心電極20の一部を示している。ギャップ画像部分P4の特定方法は、種々の方法であってよい。例えば、図2のS170では、点火プラグ100(図9)は、ギャップgがギャップ画像IMGp内の予め決められた位置に配置されるように、配置される。従って、プロセッサ610は、プラグ領域A11のうち、ギャップ画像IMGp内の予め決められた範囲A13内の部分を、ギャップ画像部分P4として採用してよい。なお、本実施形態では、ギャップ画像IMGp内において、点火プラグ100の向き、すなわち、点火プラグ100の軸線CLの延びる方向も、予め決められた方向を向く。具体的には、軸線CLは、垂直方向Dvに、おおよそ平行である。
プロセッサ610は、特定されたギャップ画像部分P4を用いてギャップ画像長Dgを特定する。ギャップ画像長Dgの特定方法は、種々の方法であってよい。例えば、2つの部分P41、P42の間の最短距離が、ギャップ画像長Dgとして採用されてよい。ギャップ画像長Dgは、図6(A)の基準画像長D1と同じ単位で、示される(例えば、画素数)。
なお、上述したように、点火プラグ100の撮影時には、デジタルカメラ720に対する光源710の位置と、デジタルカメラ720に対する治具800の向きと位置と、光源710の光量とは、図S100〜S150の処理で適切な基準画像データが取得された状態のものと、おおよそ同じに設定される。従って、S173では、適切なギャップ画像データを取得することができ、S177では、適切なギャップ画像長Dgを特定することができる。
図2のS180では、プロセッサ610は、基準画像長D1とギャップ画像長Dgとを用いて、点火プラグ100のギャップgの実際の距離が、予め決められた許容範囲内であるか否かを判断する。S180の判断方法は、種々の方法であってよい。プロセッサ610は、例えば、基準画像長D1に対する基準器900のスリット950の基準部分953の実際の幅Daの割合を、ギャップ画像長Dgに乗じることによって、ギャップgの実際の距離を算出する(幅Daは、予め決められている。幅Daの単位は、例えば、mm)。そして、プロセッサ610は、算出されたギャップgの実際の距離が、予め決められた許容範囲内であるか否かを判断する。この方法に代えて、プロセッサ610は、ギャップgの実際の距離の許容範囲の上限と下限とに、基準器900のスリット950の基準部分953の実際の幅Daに対する基準画像長D1の割合を乗じることによって、ギャップ画像長Dgの許容範囲の上限と下限を算出してよい。そして、プロセッサ610は、ギャップ画像長Dgが、ギャップ画像長Dgの許容範囲内であるか否かを判断してよい。ギャップ画像長Dgがギャップ画像長Dgの許容範囲内である場合、ギャップgの実際の距離は、許容範囲内である。
ギャップgの実際の距離が許容範囲内ではない場合(S180:No)、S185で、プロセッサ610は、S180の判断結果を示す結果情報を、結果情報を受け付ける装置に、出力し、点火プラグ100の処理を、終了する。プロセッサ610は、例えば、結果情報を表示部640に出力し、表示部640に判断結果を表示させる。ユーザは、表示部640を観察することによって、判断結果を特定できる。また、プロセッサ610は、結果情報を記憶装置615(例えば、不揮発性記憶装置630)に出力してもよい(すなわち、結果情報を記憶装置615に格納してもよい)。点火プラグ100の製造に用いられるデータ処理装置(例えば、処理装置600)や、ユーザは、記憶装置615に格納された結果情報を参照することによって、判断結果を特定できる。そして、処理は、S165に移行し、点火プラグ100のギャップgの距離は、再調整される。そして、S170〜S180の処理が行われる。
ギャップgの実際の距離が許容範囲内である場合(S180:Yes)、S190で、プロセッサ610は、S180の判断結果を示す結果情報を、結果情報を受け付ける装置に、出力し、点火プラグ100の処理を終了する。S190の処理は、S185の処理と同じである。そして、S195では、ガスケット90が主体金具50に取り付けられる。これにより、点火プラグ100が完成し、図2の処理が終了する。なお、点火プラグ100からガスケット90が省略される場合、S195は、省略される。
なお、S100〜S150の処理によって特定された基準画像長D1は、複数個の点火プラグ100の製造に共通に利用されてよい。
以上のように、本実施形態では、図2のS105で、基準器900を、撮影装置の例であるデジタルカメラ720を用いて撮影することによって、基準画像IMGs(図6(A))を示す基準画像データが生成される。基準画像IMGsは、基準器900のスリット950を含む画像である。図4(C)で説明したように、基準器900は、予め決められた幅Da(図4(C))の基準部分953を含むスリット950を形成するスリット形成部940を含んでいる。図2のS110、S145では、基準画像データを解析することによって、基準画像IMGs上の基準部分953の幅D1が特定される。図2のS173では、同じデジタルカメラ720を用いて、点火プラグ100を撮影することによって、ギャップ画像IMGp(図10(A))を示すギャップ画像データが生成される。ギャップ画像IMGpは、ギャップgを含む画像である。図2のS175、S177では、ギャップ画像データを解析することによって、ギャップ画像IMGp上でギャップgの距離Dgが特定される。図2のS180では、ギャップ画像IMGpで特定したギャップgの距離Dgと、基準画像IMGsで特定した基準部分953の幅D1と、を用いて、ギャップgの実際の距離が予め決められた許容範囲内か否かが、判断される。
このように、ギャップgの実際の距離が予め決められた許容範囲内か否かの判断に、点火プラグ100を撮影して得られるギャップ画像IMGp上におけるギャップgの距離Dgと、基準器900を撮影して得られるギャップ画像IMGp上の基準部分953の幅D1と、が用いられるので、ギャップgの実際の距離が許容範囲内であるか否かの判断の精度を向上できる。また、判断の精度が向上するので、点火プラグ100の歩留まりの低下を抑制しつつ、ギャップgの小さい公差を実現できる。
また、図1等に示すように、点火プラグ100の接地電極30と中心電極20との間の隙間の一方側の端部は、閉じずに開いている。そして、図4(C)で説明したように、基準器900のスリット形成部940のうちのスリット950の一方の端部951を形成する部分944は、開いている。これにより、基準器900のスリット形成部940の形状を、点火プラグ100のギャップgを形成する部分の形状に、近づけることができる。この結果、基準画像IMGsとギャップ画像IMGpとの間の撮影の条件の差が小さくなるので、基準画像IMGs上の幅D1とギャップ画像IMGp上の距離Dgとを用いる判断(すなわち、ギャップgの実際の距離が許容範囲内であるか否かの判断)の精度を向上できる。
また、図1等に示すように、点火プラグ100の接地電極30と中心電極20との間の距離は、ギャップgにおいて、最も小さくなる。ギャップgの、接地電極30の端部33側には、接地電極30と絶縁体10との間に、ギャップgよりも大きな空間が形成されている。そして、図4(C)で説明したように、スリット形成部940のうち、スリット950の端部951側とは反対側の部分を形成する部分は、基準部分953の幅Daよりも広い幅Dcの幅広部分957を形成する部分947を含んでいる。これにより、基準器900のスリット形成部940の形状を、点火プラグ100のギャップgを形成する部分の形状に、近づけることができる。この結果、基準画像IMGsとギャップ画像IMGpとの間の撮影の条件の差が小さくなるので、基準画像IMGs上の幅D1とギャップ画像IMGp上の距離Dgとを用いる判断(すなわち、ギャップgの実際の距離が許容範囲内であるか否かの判断)の精度を向上できる。
また、図4(C)で説明したように、スリット形成部940のうち、スリット950の端部951側とは反対側の端部959を形成する部分949は、閉じており、スリット950の基準部分953の延びる方向に垂直な直線状の縁部948を形成する。上述したように、撮影時の基準器900の周方向の向きが適切であるか否かの判断に用いられるパラメータ(例えば、長さD2、D4)は、このような縁部948を基準として用いて、算出され得る。これにより、パラメータの算出の精度、ひいては、基準器900の周方向の向きが適切であるか否かの判断の精度を、向上できる。この結果、ギャップgの実際の距離が許容範囲内であるか否かの判断の精度を向上できる。
また、図4(C)で説明したように、スリット形成部940のうち、スリット形成部940の第1方向Dx側の縁部941は、基準部分953の延びる方向に垂直な直線状の縁である。上述したように、撮影時の基準器900の周方向の向きが適切であるか否かの判断に用いられるパラメータ(例えば、長さD4)は、このような縁部941を基準として用いて、算出され得る。これにより、パラメータの算出の精度、ひいては、基準器900の周方向の向きが適切であるか否かの判断の精度を、向上できる。この結果、ギャップgの実際の距離が許容範囲内であるか否かの判断の精度を向上できる。
また、図4(C)で説明したように、スリット形成部940は、正多角形状(より具体的には、正方形)の辺の一部を形成する第2部分947を含んでいる。第2部分947は、正方形の4つの辺のうち、3つの辺の全体と、1つの辺のうちの基準部分953との接続部分を除いた残りの部分と、を形成している。上述したように、正多角形状の中心956は、光源710の位置合わせに利用できるので、光源710の位置のズレが抑制される。この結果、ギャップgの実際の距離が許容範囲内であるか否かの判断の精度を向上できる。
さらに、図4(C)で説明したように、正多角形状の中心956の、基準部分953の延びる方向に垂直な方向の位置は、基準部分953の幅の範囲Rs内である。従って、基準画像IMGs(図6)において、基準部分953の2つの縁P31x、P32xの間で、光源710に対する配置の相違が小さくなる。これにより、2つの縁P31x、P32xの間で、光の回折の影響の相違が小さくなる。この結果、ギャップgの実際の距離が許容範囲内であるか否かの判断の精度を向上できる。
また、図3で説明したように、デジタルカメラ720に対する治具800の位置は、予め決められている。基準器900の撮影は、基準器900の第2部分920のスリット950側の座面920fが、このようにデジタルカメラ720に対して予め決められた位置に配置される治具800の支持部810rに接触する状態で、行われる。これにより、デジタルカメラ720に対する基準器900の位置のずれが抑制されるので、適切な基準画像長D1を取得できる。この結果、ギャップgの実際の距離が許容範囲内であるか否かの判断の精度を向上できる。
更に、図2のS170、S173、図9で説明したように、点火プラグ100の撮影は、点火プラグ100の主体金具50の外面のうちギャップg側を向いた座面54fが、治具800の同じ支持部810rに接触する状態で、行われる。これにより、点火プラグ100の位置のずれが抑制されるので、適切なギャップ画像長Dgを取得できる。この結果、ギャップgの実際の距離が許容範囲内であるか否かの判断の精度を向上できる。
また、本実施形態では、図2のS125で、条件5に基づいて、治具800の向きが、調整され得る。この条件5は、適切な基準画像IMGsが取得されるように、予め決められた条件である。このように、S125では、治具800の向きは、適切な基準画像IMGsが取得されるように予め決められた向きに、調整される。これにより、デジタルカメラ720に対する基準器900の向きのずれが抑制されるので、適切な基準画像長D1を取得できる。この結果、ギャップgの実際の距離が許容範囲内であるか否かの判断の精度を向上できる。
なお、点火プラグ100の撮影時において、治具800の位置と、治具800の向きと、光源710の位置と、光源710の光量と、を含む複数のパラメータのうちの少なくとも1つのパラメータは、基準器900の撮影時の対応するパラメータと、異なっていてもよい。ただし、基準器900の撮影時と点火プラグ100の撮影時との間で条件が大きく異なる場合、適切なギャップ画像IMGpの取得(ひいては、適切なギャップ画像長Dgの特定)が、困難であり得る。従って、パラメータの差(例えば、治具800の位置の差)は、適切なギャップ画像長Dgを特定できるように、小さいことが好ましい。また、点火プラグ100の撮影時に、上記の複数のパラメータのうちの少なくとも1つが、調整されてよい。例えば、点火プラグ100の撮影時に、光源710の位置が調整されてよい。点火プラグ100の撮影時のパラメータの調整方法は、基準器900の撮影時の対応するパラメータの調整方法と同様の方法であってよい。
B.スリット形成部の別の実施形態:
図11(A)〜図11(D)は、スリット形成部940の別の実施形態を示す説明図である。各図11(A)〜図11(D)は、図4(C)と同様の、スリット形成部940a〜940dの一部を示している。
図11(A)のスリット形成部940aによって形成されるスリット950aは、図4(C)のスリット950の幅広部分957を、円弧を形成する幅広部分957aに置換して得られるスリットである。スリット形成部940aは、基準部分953を形成する第1部分943と、幅広部分957aを形成する第2部分947aと、を含んでいる。第2部分947aは、半円よりも大きな円弧(具体的には、円のうちの基準部分953との接続部分を除いた残りの部分)を形成している。スリット形成部940aのうち、スリット950aの第2方向Dxr側の端部959aを形成する部分949aは、閉じている。スリット形成部940aのうち、第2部分947a以外の部分の構成は、図4(C)のスリット形成部940の対応する部分の構成と、同じである(同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。スリット形成部940aを用いる場合も、図4(C)のスリット形成部940を用いる場合と同じく、種々の利点を実現できる。例えば、円弧を形成する幅広部分957aの中心956aを用いることによって、光源710の位置を容易に調整できる。ここで、円の一部である円弧を形成する幅広部分957aの中心956aとしては、その円の中心を採用してよい。また、幅Dcは、基準部分953の延びる方向に垂直な方向の、幅広部分957aの最大幅である。ギャップ画像(図示せず)内のパラメータDa、Db、Dc、Ddに対応する大きさを用いることによって、スリット形成部940aを含む基準器900aの向きを調整できる。
図11(B)のスリット形成部940bによって形成されるスリット950bは、図4(C)のスリット950の幅広部分957を、正六角形の辺の一部を形成する幅広部分957bに置換して得られるスリットである。スリット形成部940bは、基準部分953を形成する第1部分943と、幅広部分957bを形成する第2部分947bと、を含んでいる。第2部分947bは、正多角形(ここでは、正六角形)の6個の辺のうち、4個の辺の全体と、2個の辺の頂点部分(ここでは、基準部分953との接続部分)を除いた残りの部分と、を形成している。スリット形成部940bのうち、スリット950bの第2方向Dxr側の端部959bを形成する部分949bは、閉じている。スリット形成部940bのうち、第2部分947b以外の部分の構成は、図4(C)のスリット形成部940の対応する部分の構成と、同じである(同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する)。スリット形成部940bを用いる場合も、図4(C)のスリット形成部940を用いる場合と同じく、種々の利点を実現できる。例えば、幅広部分957bの中心956bを用いることによって、光源710の位置を容易に調整できる。ここで、正多角形の辺の一部を形成する幅広部分957bの中心956bとしては、その正多角形の中心を採用してよい。また、幅Dcは、基準部分953の延びる方向に垂直な方向の、幅広部分957bの最大幅である。ギャップ画像(図示せず)内のパラメータDa、Db、Dc、Ddに対応する大きさを用いることによって、スリット形成部940bを含む基準器900bの向きを調整できる。
図11(C)のスリット形成部940cによって形成されるスリット950cは、図4(C)のスリット950の幅広部分957を省略し、基準部分953を延長して得られるスリットである。スリット形成部940cは、基準部分953cを形成する第1部分943cを含んでいる。基準部分953cは、図4(C)の基準部分953と比べて、第2方向Dxrに向かって延長されている。このようなスリット形成部940cを用いる場合も、種々の利点を実現できる。例えば、基準部分953cの延びる方向(ここでは、軸線CL9に垂直な方向)のスリット950cの長さDdを用いることによって、スリット形成部940cを含む基準器900cの向きを調整できる。また、スリット形成部940cのうち、スリット950cの第2方向Dxr側の端部959cを形成する部分949cは、閉じており、基準部分953cの延びる方向に垂直な直線状の縁部948cを、形成している。ギャップ画像における長さDdに対応する長さ(例えば、図6(A)の長さD4)は、このような縁部948cを基準として用いて、算出され得る。これにより、パラメータの算出の精度、ひいては、基準器900cの周方向の向きが適切であるか否かの判断の精度を、向上できる。この結果、ギャップgの実際の距離が許容範囲内であるか否かの判断の精度を向上できる。
図11(D)のスリット形成部940dによって形成されるスリット950dは、図11(C)のスリット950cの端部951を閉じることによって得られるスリットである。スリット形成部940dは、基準部分953dを形成する第1部分943dを含んでいる。基準部分953dは、スリット形成部940dの内部に設けられた略矩形状のスリットである。このようなスリット形成部940cを用いる場合も、種々の利点を実現できる。例えば、基準部分953dの延びる方向(ここでは、軸線CL9に垂直な方向)のスリット950dの長さDdを用いることによって、スリット形成部940dを含む基準器900dの向きを調整できる。
また、スリット形成部940dのうち、スリット950dの第2方向Dxr側の端部959cを形成する部分949cは、閉じており、基準部分953dの延びる方向に垂直な直線状の縁部948cを、形成している。さらに、スリット形成部940dのうち、スリット950dの第1方向Dx側の端部951dを形成する部分942dは、閉じており、基準部分953dの延びる方向に垂直な直線状の縁部945dを形成している。ギャップ画像における長さDdに対応する長さ(例えば、図6(A)の長さD4)は、このような縁部948c、945dを基準として用いて、算出され得る。例えば、ギャップ画像IMGp上の縁部948c、945dの間の最短距離が、長さDdに対応する長さとして、算出され得る。これにより、パラメータの算出の精度、ひいては、基準器900の周方向の向きが適切であるか否かの判断の精度を、向上できる。この結果、ギャップgの実際の距離が許容範囲内であるか否かの判断の精度を向上できる。
C.変形例:
(1)基準画像データを解析することによって基準画像長D1を特定する方法は、図2のS110、S145で説明した方法に代えて、他の種々の方法であってよい。例えば、基準画像IMGs(図6)のうち、基準器領域A1を用いずに、背景領域A2のうちの基準画像長D1に対応する部分を用いることによって、基準画像長D1が特定されてもよい。また、基準器領域A1と背景領域A2との少なくとも一方を用いて、基準部分953の形状を用いるパターンマッチングによって、基準画像IMGs内の基準画像長D1に対応する部分が特定されてもよい。
(2)ギャップ画像データを解析することによってギャップ画像長Dgを特定する方法は、図2のS175、S177で説明した方法に代えて、他の種々の方法であってよい。例えば、ギャップ画像IMGp(図10(A))のうち、プラグ領域A11を用いずに、背景領域A12のうちのギャップgに対応する部分を用いることによって、ギャップ画像長Dgが特定されてもよい。また、プラグ領域A11と背景領域A12との少なくとも一方を用いて、ギャップgの形状を用いるパターンマッチングによって、ギャップ画像IMGp内のギャップ画像長Dgに対応する部分が特定されてもよい。
(3)スリット形成部の構成(ひいては、スリットの形状)は、図4(C)、図11(A)〜図11(D)の構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、スリット950、950a、950b、950c、950dの閉じた端部959、959a、959b、959cは、基準部分953、953c、953dの延びる方向に対して、斜めに傾斜してもよい。また、円弧を形成する幅広部分957a(図11(A))の中心956aは、基準部分953の幅の範囲Rsの外に位置してもよい。また、正多角形の辺の一部を形成する幅広部分957、957b(図4(C)、図11(B))の中心956、956bは、基準部分953の幅の範囲Rsの外に位置してもよい。
また、スリットの幅広部分は、基準部分に垂直な方向の最大幅が基準部分の幅よりも大きい種々の部分であってよい。例えば、幅広部分は、正多角形ではない多角形(例えば、台形)の複数の辺の一部を形成してもよい。一般的には、スリットの幅広部分は、円のうちの基準部分に接続された部分を除いた残りの部分である円弧を形成してよい。また、幅広部分は、多角形の複数の辺のうちの基準部分に接続された部分を除いた残りの部分を形成してよい。
(4)基準器の構成は、図4(A)等に示す構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、部分910、920、930は、円柱状の部分ではなく、多角柱状の部分(例えば、四角柱状の部分)であってよい。また、第3部分930は、省略されてもよい。いずれの場合も、基準器は、スリット形成部から特定の方向に向かって順に並ぶ第1部分と第2部分とを含み、第2部分は、第1部分よりも、特定の方向に垂直な方向に突出していることが好ましい。そして、第2部分の外面のうちスリット形成部側を向く面(例えば、図4(A)の座面920f)を、治具の特定の部分に接触させることによって、治具に対する基準器の位置を調整することが好ましい。
(5)治具の構成は、図5等に示す構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、第2部分820が省略されて、第1部分810のみで構成されてもよい。一般的には、主体金具50(図1)の先端側胴部52を受け入れる孔を形成するとともに、主体金具50の座面54fに接触することによって座面54fを支持する支持部を有する、種々の構成を採用してよい。
(6)基準器の配置が適切であると判断するための条件は、図2のS115で説明した条件に代えて、種々の条件であってよい。また、光源710の配置が適切であると判断するための条件は、図2のS115で説明した条件に代えて、種々の条件であってよい。例えば、上記の条件1〜条件5から任意に選択された1以上の条件が、省略されてよい。
(7)点火プラグの構成は、図1で説明した構成に代えて、他の種々の構成であってよい。例えば、ガスケット90が省略されてよい。また、中心電極の前方向Df側の端面に代えて、中心軸CLに垂直な方向の面(すなわち、側面)が、放電面であってもよい。この場合、基準器のスリット形成部も、点火プラグと同様に、接地電極に対応する部分は、中心電極に対応する部分の軸線CL9に垂直な方向の面に対向して、スリットを形成してよい。また、抵抗体73は、省略されてよい。また、絶縁体10の貫通孔12の内の中心電極20と端子金具40との間に、磁性体が配置されてよい。
(8)図3、図9の処理装置600は、パーソナルコンピュータとは異なる種類の装置であってもよい(例えば、デジタルカメラ、スマートフォン)。また、ネットワークを介して互いに通信可能な複数の装置(例えば、コンピュータ)が、ギャップgの実際の距離が許容範囲内であるか否かを判断するための処理の機能を一部ずつ分担して、全体として、処理の機能を提供してもよい(これらの装置を備えるシステムが処理装置に対応する)。
上記各実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図2のS110、S175の処理の機能が、専用のハードウェア回路によって実現されてもよい。
また、本発明の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含み得る。
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。