以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の圧電材料は、下記一般式(1)で表されるペロブスカイト型金属酸化物からなる主成分と、Mnからなる第1副成分と、を有する圧電材料であって、前記第1副成分の含有量が前記金属酸化物100重量部に対して金属換算で0.04重量部以上0.36重量部以下であることを特徴とする圧電材料である。
(Ba1−x−yCaxBiy)a(Ti1−z−y’ZrzFey’)O3 (1)
(式中、0.030≦x≦0.300、0.004≦y≦0.018、0.004≦y’≦0.015、0.010≦z≦0.090、0.950≦y/y’≦1.200、0.986≦a≦1.020)
(ペロブスカイト型金属酸化物)
本発明において、ペロブスカイト型金属酸化物とは、岩波理化学辞典 第5版(岩波書店 1998年2月20日発行)に記載されているような、ペロブスカイト型構造(ペロフスカイト構造とも言う)を有する金属酸化物を指す。ペロブスカイト型構造を有する金属酸化物は一般にABO3の化学式で表現される。ペロブスカイト型金属酸化物において、元素A、Bは各々イオンの形でAサイト、Bサイトと呼ばれる単位格子の特定の位置を占める。例えば、立方晶系の単位格子であれば、A元素は立方体の頂点、B元素は体心に位置する。O元素は酸素の陰イオンとして立方体の面心位置を占める。A元素、B元素、O元素がそれぞれ単位格子の対象位置から僅かに座標シフトすると、ペロブスカイト型構造の単位格子が歪み、正方晶、菱面体晶、斜方晶といった結晶系となる。
ここで、第1副成分であるMnの「金属換算」による含有量とは、以下のものを示す。まず、前記圧電材料から測定されたBa、Ca、Ti、Zr、Mn、Bi、Feの各金属の含有量から、前記一般式(1)で表される金属酸化物を構成する元素を酸化物換算して、総重量を算出する。次いで、算出された総重量を100として、この総重量に対するMn重量の比を算出する。これらによって求められた値(Mn重量の比)が、第1副成分であるMnの「金属換算」による含有量を表す。なお、Mnの「金属換算」による含有量の測定には、蛍光X線分析(XRF:X−ray Fluorescence)、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析、原子吸光分析などを用いることができる。
本発明の圧電材料は、絶縁性の観点からペロブスカイト型金属酸化物を主相とする。「主相」とは、圧電材料の粉末X線回折を行った場合に、最も回折強度の強いピークがペロブスカイト型金属酸化物構造に起因したものである場合である。ペロブスカイト型金属酸化物が主相であるかどうかは、例えば、エックス線回折において、ペロブスカイト型金属酸化物に由来する最大の回折強度が、不純物相に由来する最大の回折強度の100倍以上であるか否かで判断できる。ペロブスカイト型金属酸化物のみから構成されていると、絶縁性が最も高くなるため好ましい。より好ましくは、ペロブスカイト型金属酸化物構造の結晶がほぼ全てを占める「単相」である。
前記一般式(1)で表される金属酸化物は、Aサイトに位置する金属元素がBa、Ca、Biであり、Bサイトに位置する金属元素がTi、ZrおよびFeであることを意味する。
ただし、一部のBa、Ca、BiがBサイトに位置してもよい。同様に、一部のTi、Zr、FeがAサイトに位置してもよい。
前記一般式(1)における、Bサイトの元素とO元素のモル比は1対3であるが、元素量の比が若干ずれた場合でも、前記金属酸化物がペロブスカイト型構造を主相としていれば、本発明の範囲に含まれる。
本発明に係る圧電材料の形態は限定されず、セラミックス、粉末、単結晶、膜、スラリーなどのいずれの形態でも構わないが、セラミックスまたは膜であることが好ましい。本明細書中において「セラミックス」とは、基本成分が金属酸化物であり、熱処理によって焼き固められた結晶粒子の凝集体(バルク体とも言う)、いわゆる多結晶を表す。また、「セラミックス」には焼結後に加工されたものも含まれる。
本明細書において「膜」とは、平板上の基材(基板)のある面を覆うように密着して設けられた集合組織を表す。膜をその設置面に対して垂直方向に計測した厚さは10μm以下であり、該垂直方向における結晶粒の積み上げ数が20個以内であるものを本発明では膜とする。
(圧電材料の主成分)
本発明の圧電材料は、主成分として前記一般式(1)で表されるペロブスカイト型金属酸化物を含む。
また、本発明の圧電材料は、前記一般式(1)において、AサイトにおけるBa、CaとBiのモル量の和と、BサイトにおけるTi、ZrとFeのモル量の和との比を示すaは0.986≦a≦1.020の範囲である。aが0.986より小さいと圧電材料を構成する結晶粒に異常粒成長が生じやすくなり、材料の機械的強度が低下する。一方で、aが1.020より大きくなると粒成長に必要な温度が高温化し、一般的な焼成炉で焼成ができなくなる。
ここで「焼成ができない」とは密度が充分でないことや、圧電材料内にポアや欠陥が多数存在している状態を示す。
なお、本発明において「主成分」とは、対象となる物質の50重量%以上もしくは50体積%以上を占める成分を指す。より好ましくは、本発明の圧電材料は、一般式(1)で表わされるペロブスカイト型金属酸化物を主成分として90モル%以上含むことが好ましい。
前記圧電材料は、一般式(1)で表わされるペロブスカイト型金属酸化物、第1副成分、第2副成分、第3副成分を総和で98.5モル%以上含むことが好ましい。
前記一般式(1)において、AサイトにおけるCaのモル比を示すxは、0.030≦x≦0.300の範囲である。Ca量xが0.030未満の場合、正方晶から斜方晶への相転移温度(以後Tto)が高くなり、その結果、動作温度範囲内での圧電定数の温度依存性が大きくなる。一方、xが0.300よりも大きくなると、1400℃以下の焼成温度ではCaが固溶しないので、不純物相であるCaTiO3が発生して圧電定数が低下する。
前記一般式(1)において、BサイトにおけるZrのモル比を示すzは、0.010≦z≦0.090の範囲である。zが0.010未満の場合、デバイス使用温度内(−30℃から50℃)の内において充分な圧電特性が得られない。またzが0.090よりも大きいと、キュリー温度(以後TC)が低下し、使用環境によっては圧電定数の経時劣化が大きくなる。
前記一般式(1)において、AサイトにおけるBiのモル比を示すyは、0.004≦y≦0.018の範囲である。また、前記一般式(1)において、BサイトにおけるFeのモル比を示すy’は、0.004≦y’≦0.015の範囲である。
BiとFeのいずれか一方の含有量が0.004より小さくなると圧電特性は維持されるものの加工性が低下し、クラックやチッピングが増加し、製品の歩留まりが悪くなる。ここでいうクラックとは、圧電材料および圧電素子の加工工程である切断や研削、さらに表面研磨時に外部表面上もしくは角部がひび割れる現象を示す。また、チッピングとは同じく圧電材料および圧電素子の加工工程である切断や研削、さらに表面研磨時に、外部表面上もしくは角部が細かく欠ける現象を示す。通常クラックやチッピングは、理想的には全くないことが望ましいが、実際は多様な圧電材料および圧電素子毎にその許容形状や寸法、許容個数を決め良否判断を行う。
一方で、BiとFeのいずれか一方の含有量が上記範囲を超える、即ち、yは0.018より、y’は0.015より大きくなると圧電特性、特に機械的品質係数が著しく低下し、デバイスの実用範囲内の特性に達しない。
前記一般式(1)において、AサイトにおけるBiのモル比を示すyとBサイトにおけるFeのモル比を示すy’との比率y/y’は、0.950≦y/y’≦1.200の範囲内であり、理想的にはy/y’=1である。y/y’が0.950より小さいとFeが粒界に析出したり、他の元素と不純物を形成したりするなどして圧電定数が充分でなくなるので好ましくない。y/y’が1.200より大きいとBiが粒界に析出するなどして機械的品質係数が低下するので好ましくない。
BiとFeの量を等しくすることを目的としてBiFeO3ペロブスカイト型金属酸化物を原料粉末として用いることは有効であるが、これに限らず金属Bi、金属Feを添加するなど、Bi成分、Fe成分として圧電材料に含まれていれば良く、その含有の形態は問わない。
Biは3価のBiとしてAサイトに固溶していることが好ましい。Biの価数の特定には放射光を用いたX線吸収微細構造測定(XAFS;X−ray absorptionfine structure)より特定することができる。
FeはBサイトに固溶していることが好ましいが、Aサイトに固溶されていたり、粒界に含まれていたりしても構わない。または、金属、イオン、酸化物、金属塩、錯体などの形態でFe成分が圧電材料に含まれていても良い。
本発明に係る圧電材料の組成を測定する手段は特に限定されない。かかる手段としては、X線蛍光分析、ICP発光分光分析、原子吸光分析等があげられる。いずれの手段においても、前記圧電材料に含まれる各元素の重量比及び組成比を算出できる。
(相転移温度Tto、キュリー温度Tcの測定)
Tto及びTcは試料(圧電材料)の温度を変化させながらインピーダンスアナライザ(例えば、Keysight Technologies社(旧Agilent Technologies社)製 4194A)で静電容量を測定して求めることができる。同時に誘電正接の温度依存性もインピーダンスアナライザで測定し求めることができる。Ttoとは結晶系が正方晶(tetragonal)から斜方晶(orthorhombic)に変化する温度である。
試料を25℃から−60℃まで冷却しながら誘電率を測定し、誘電率を試料温度で微分した値が最大となる温度を求めることでTtoを決定することができる。
Tcはキュリー温度であり、強誘電相(正方晶相)から常誘電相(立方体晶相)への相転移温度近傍で誘電率が極大となる温度である。試料を加熱しながら誘電率を測定し、誘電率の値が極大となる温度を求めることで決定することができる。
また結晶系はエックス線回折、電子線回折、またはラマン散乱などで評価することができる。
(圧電材料の第1副成分)
本発明の圧電材料は、一般式(1)で表されるペロブスカイト型金属酸化物100重量部に対して、金属換算で0.04重量部以上0.36重量部以下のMnが含まれる。ここで、副成分の含有量は、蛍光X線分析(XRF)、ICP発光分光分析、原子吸光分析などにより測定することができる。前記範囲のMnが含まれると機械的品質係数が増加する。
なお、本発明において「副成分」とは圧電材料に含有され、機械的品質係数などの圧電材料のさまざまな特性に関する調整成分に相当する。圧電材料の特性に実質的に影響を与えない、ごく微量の元素成分などは不純物に相当し、副成分にはあたらない。
ここで機械的品質係数とは圧電材料を振動子として評価した際の振動による弾性損失を表す係数であり、機械的品質係数の大きさはインピーダンス測定における共振曲線の鋭さとして観察される。つまり振動子の共振の鋭さを表す定数である。機械的品質係数が高い方が振動で失われるエネルギーは少ない。絶縁性や機械的品質係数が向上すると、前記圧電材料を圧電素子とした場合、電圧を印加し、駆動させた際の圧電素子の長期信頼性が確保できる。
Mnの含有量が0.04重量部よりも小さいと、機械的品質係数を増加させる効果が得られない。機械的品質係数が小さいと前記圧電材料と一対の電極よりなる圧電素子を共振デバイスとして駆動した際に消費電力が増大する。好ましい機械的品質係数は200以上であり、この場合消費電力の極端な増大は発生しない。
一方でMnの含有量が0.36重量部よりも大きいと圧電材料の絶縁抵抗が低下する。絶縁抵抗が低い時、インピーダンスアナライザを用いて、周波数が1kHz、電界強度が10V/cmの交流電界を印加して測定される室温での誘電正接が0.01を超える。もしくは絶縁抵抗が低い時は電気抵抗率が1GΩcm以下となる。
本発明の圧電材料の周波数1kHzにおける誘電正接は0.006以下であることが好ましい。誘電正接が0.006以下であると、圧電材料を素子の駆動条件下で最大500V/cmの電界を印加した際でも、安定した動作を得ることが出来る。
Mnは金属Mnに限らず、Mn成分として圧電材料に含まれていれば良く、その含有の形態は問わない。例えば、MnがBサイトに固溶していても良いし、粒界に含まれていてもかまわない。または、金属、イオン、酸化物、金属塩、錯体などの形態でMn成分が圧電材料に含まれていても良い。絶縁性や焼結容易性という観点からMnは存在することが好ましい。
Mnの価数は一般に4+、2+、3+を取ることができるが、Mnの価数が4+よりも低い場合、Mnはアクセプタとなる。アクセプタとしてMnがペロブスカイト構造結晶中に存在すると、結晶中に酸素空孔が形成される。酸素空孔は欠陥双極子を形成すると、圧電材料の機械的品質係数を向上させることができる。Mnが4+よりも低い価数で存在するためには、Aサイトに3価の元素が存在することが好ましい。好ましい3価の元素はBiである。他方、Mnの価数は、磁化率の温度依存性の測定によって評価できる。
(圧電材料の第2副成分)
本発明の圧電材料は、Mgからなる第2副成分を有しており、前記第2副成分の含有量が前記一般式(1)で表されるペロブスカイト型金属酸化物100重量部に対して金属換算で0.10重量部以下(ただし、0重量部を除く)であることが好ましい。Mgを0.10重量部より多く含有すると、機械的品質係数が低下するおそれがある。
MgはMg成分として圧電材料に含まれていれば良く、その含有の形態は金属Mgに限らない。例えば、Mgがペロブスカイト構造のAサイトまたはBサイトに固溶していても良いし、粒界に含まれていてもかまわない。または、金属、イオン、酸化物、金属塩、錯体などの形態でMg成分が圧電材料に含まれていても良い。
(圧電材料の第3副成分)
本発明の圧電材料は、SiおよびBの少なくとも一方からなる第3副成分を有することが好ましい。第3副成分の含有量は、前記一般式(1)で表される金属酸化物100重量部に対して金属換算で0.001重量部以上4.000重量部以下であることが好ましい。
第3副成分は本発明の圧電材料の焼成温度を低温化させる働きがある。圧電材料を積層圧電素子に用いる際、その製造工程において圧電材料は電極材料と共に焼結される。一般に電極材料の耐熱温度は圧電材料よりも低い。そのため圧電材料の焼成温度を低下できると、焼結に必要なエネルギーを低減し、さらに電極材料の選択肢が増えるという観点で好ましい。
また、SiおよびBは前記圧電材料の粒界に偏析する。そのため、粒界を流れる漏れ電流が低減するので、電気抵抗率が高くなる。
第3副成分の含有量が0.001重量部未満の場合、焼成温度を低下させる効果が得られないおそれがある。一方、第3副成分の含有量が4.000重量部よりも多い場合、誘電率が低下し、その結果、圧電性能が低下するおそれがある。第3副成分の含有量が0.001重量部以上で4.000重量部以下であるとき、圧電性能の低下を抑制し、かつ焼成温度を低下できる。
(結晶粒の粒径と円相当径)
本発明の圧電材料は、前記圧電材料を構成する結晶粒の平均円相当径が500nm以上10μm以下であることが好ましい。平均円相当径とは複数の結晶粒の円相当径の平均値を示す。結晶粒の平均円相当径をこの範囲にすることで、本発明の圧電材料は、より良好な圧電特性と機械的強度を有することが可能となる。平均円相当径が500nm未満であると圧電特性が充分でなくなるおそれがある。一方10μmより大きくなると機械的強度が低下するおそれがある。
本発明における「円相当径」とは、顕微鏡観察法において一般に言われる「投影面積円相当径」を表し、即ち、結晶粒の投影面積と同面積を有する真円の直径を表す。本発明においてこの円相当径の測定方法は特に制限されない。例えば圧電材料の表面を偏光顕微鏡や走査型電子顕微鏡で撮影して得られる写真画像を画像処理して求めることができる。円相当径の測定では、測定対象となる結晶粒の粒径により最適倍率が異なるため、光学顕微鏡と電子顕微鏡を使い分けても構わない。また、円相当径の測定では測定対象である材料の表面ではなく、研磨面や断面の画像から円相当径を求めても良い。
(相対密度)
本発明の圧電材料は、相対密度が93%以上100%以下であることが好ましい。
相対密度は、前記圧電材料の格子定数と前記圧電材料の構成元素の原子量から理論密度を算出し、その理論密度と実測した密度との割合である。格子定数は、例えばX線回折分析により測定することができる。密度は例えばアルキメデス法により測定することができる。相対密度が93%より小さくなると圧電特性や機械的品質係数が充分でなかったり、機械的強度が低下したりするおそれがある。
本発明の圧電材料のより好ましい相対密度は95%以上100%以下の範囲であり、更に好ましい相対密度は97%以上100%以下の範囲である。
(圧電材料の製造方法)
本発明に係る圧電材料の製造方法は特に限定されないが、以下に代表的な製造方法を説明する。
(圧電材料の原料)
セラミックス状の圧電材料(圧電セラミックス)を製造する場合は、構成元素を含んだ酸化物、炭酸塩、硝酸塩、蓚酸塩などの固体粉末を常圧下で焼結する一般的な手法を採用することができる。
原料としては、Ba化合物、Ca化合物、Ti化合物、Zr化合物、Mn化合物、Bi化合物、Fe化合物、B化合物、Si化合物といった金属化合物から構成される。これらの中でも、Ba化合物、Ca化合物、Ti化合物、Zr化合物、Bi化合物、Fe化合物のすべてについてペロブスカイト型金属酸化物を用い、混合すると、焼結後の結晶粒の微細化効果が得られ、圧電材料や圧電素子の加工時のクラック、チッピングの発生を更に抑制できるため好ましい。特にペロブスカイト型の鉄酸ビスマスの固体粉末を原料に含ませると、焼結後の結晶粒の微細化が促進され、結果として圧電材料や圧電素子の加工時のクラック、チッピングの発生が格段に抑制される。なお、Mgについては、Mg化合物を原料として用いてもよく、原料として用いられる他の(Mg以外の)金属化合物に由来したMgとして圧電材料中に含まれていてもよい。
使用可能なBa化合物としては、酸化バリウム、炭酸バリウム、蓚酸バリウム、酢酸バリウム、硝酸バリウム、ペロブスカイト型のチタン酸バリウム、ペロブスカイト型のジルコン酸バリウム、ペロブスカイト型のチタン酸ジルコン酸バリウムなどが挙げられる。
使用可能なCa化合物としては、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、蓚酸カルシウム、酢酸カルシウム、ペロブスカイト型のチタン酸カルシウム、ペロブスカイト型のジルコン酸カルシウムなどが挙げられる。
使用可能なTi化合物としては、酸化チタン、ペロブスカイト型のチタン酸バリウム、ペロブスカイト型のチタン酸ジルコン酸バリウム、ペロブスカイト型のチタン酸カルシウムなどが挙げられる。
使用可能なZr化合物としては、酸化ジルコニウム、ペロブスカイト型のジルコン酸バリウム、ペロブスカイト型のチタン酸ジルコン酸バリウム、ペロブスカイト型のジルコン酸カルシウムなどが挙げられる。
使用可能なMn化合物としては、炭酸マンガン、一酸化マンガン、二酸化マンガン、四酸化三マンガン、酢酸マンガンなどが挙げられる。
使用可能なBi化合物としては、酸化ビスマス、ペロブスカイト型の鉄酸ビスマスなどが挙げられる。
使用可能なFe化合物としては、酸化鉄、ペロブスカイト型の鉄酸ビスマス等が挙げられる。
使用可能なB化合物としては、酸化ホウ素等が挙げられる。
使用可能なSi化合物としては、二酸化ケイ素などが挙げられる。
また、本発明に係る前記圧電材料のBa、Ca、Biのモル数の和に対するTi、Zr、Feのモル数の和との比を示すaを調整するための原料は特に限定されない。Ba化合物、Ca化合物、Ti化合物、Zr化合物、Bi化合物、Fe化合物のいずれでも効果は同じである。
(造粒粉と成形体)
本発明に係る圧電セラミックスの原料粉を造粒する方法は特に限定されない。造粒する際に使用可能なバインダーの例としては、PVA(ポリビニルアルコール)、PVB(ポリビニルブチラール)、アクリル系樹脂などが挙げられる。添加するバインダーの量は、Ba化合物、Ca化合物、Bi化合物、Ti化合物、Zr化合物、Fe化合物およびMn化合物100重量部に対して、1重量部から10重量部が好ましく、成形体の密度が上がるという観点において2重量部から5重量部がより好ましい。
造粒の方法としては、Ba化合物、Ca化合物、Bi化合物、Ti化合物、Zr化合物、Fe化合物およびMn化合物、並びに必要に応じてB化合物およびSi化合物等の他の原料を機械的に混合した混合粉を造粒してもよいし、これらの化合物を800〜1300℃程度で仮焼した後に造粒してもよいし、Ba化合物、Ca化合物、Bi化合物、Ti化合物、Zr化合物、Fe化合物を仮焼したのちにMn化合物をバインダーと同時に添加してもよい。造粒粉の粒径をより均一にできるという観点において、最も好ましい造粒方法はスプレードライ法である。
本発明に係る圧電セラミックスの成形体の作成方法は特に限定されない。成形体とは原料粉末、造粒粉、もしくはスラリーから作成される固形物である。成形体作成の手段としては、一軸加圧加工、冷間静水圧加工、温間静水圧加工、鋳込成形と押し出し成形などを用いることができる。
(焼結体)
本発明に係る圧電セラミックスの焼結方法は特に限定されない。焼結方法の例としては、電気炉による焼結、ガス炉による焼結、通電加熱法、マイクロ波焼結法、ミリ波焼結法、HIP(熱間等方圧プレス;hot isostatic pressing)などが挙げられる。電気炉およびガスによる焼結は、連続炉であってもバッチ炉であっても構わない。
前記焼結方法における圧電セラミックスの焼結温度は特に限定されない。焼結温度は、各化合物が反応し、充分に結晶成長する温度であることが好ましい。好ましい焼結温度としては、圧電セラミックスの粒径を500nmから10μmの範囲にするという観点で、1100℃以上1400℃以下であり、より好ましくは1100℃以上1380℃以下である。上記温度範囲において焼結した圧電セラミックスは良好な圧電性能を示す。
焼結処理により得られる圧電セラミックスの特性を再現よく安定させるためには、焼結温度を上記範囲内で一定にして2時間以上24時間以下の焼結処理を行うとよい。
二段階焼結法などの焼結方法を用いてもよいが、生産性を考慮すると急激な温度変化のない方法が好ましい。
前記圧電セラミックスを研磨加工した後に、1000℃以上の温度で熱処理することが好ましい。機械的に研磨加工されると、圧電セラミックスの内部には残留応力が発生するが、1000℃以上で熱処理することにより、残留応力が緩和し、圧電セラミックスの圧電特性がさらに良好になる。また、1000℃以上の温度で熱処理することにより、粒界部分に析出した炭酸バリウムなどの原料粉を排除する効果もある。1000℃以上の温度での熱処理の時間は特に限定されないが、1時間以上が好ましい。
本発明の圧電材料を基板上に作成された膜として得る際、前記圧電材料の厚みは200nm以上10μm以下、より好ましくは300nm以上3μm以下であることが望ましい。圧電材料の膜厚を200nm以上10μm以下とすることで圧電素子として十分な電気機械変換機能が得られるからである。
前記膜の成膜方法は特に制限されない。例えば、化学溶液堆積法(CSD法)、ゾルゲル法、有機金属化学気相成長法(MOCVD法)、スパッタリング法、パルスレーザデポジション法(PLD法)、水熱合成法、エアロゾルデポジション法(AD法)などが挙げられる。これらのうち、最も好ましい積層方法は化学溶液堆積法またはスパッタリング法である。化学溶液堆積法またはスパッタリング法は、容易に成膜面積を大面積化できる。
本発明の圧電材料に用いる基板は(001)面または(110)面で切断・研磨された単結晶基板であることが好ましい。特定の結晶面で切断・研磨された単結晶基板を用いることで、その基板表面に設けられた圧電材料膜も同一方位に強く配向させることができる。
(圧電素子)
以下に本発明の圧電材料を用いた圧電素子について説明する。
図1は本発明の圧電素子の構成の一実施形態を示す概略図である。本発明に係る圧電素子は、第一の電極1、前記第一の電極上に設けられ、圧電材料を含む圧電材料部2および前記圧電材料部上に設けられた第二の電極3を少なくとも有する圧電素子であって、前記圧電材料部2が本発明の圧電材料であることを特徴とする。
本発明に係る圧電材料は、少なくとも第一の電極と第二の電極を有する圧電素子にすることにより、その圧電特性を評価できる。
前記第一の電極および第二の電極は、厚み5nmから10μm程度の導電層よりなる。
その材料は特に限定されず、圧電素子に通常用いられているものであればよい。例えば、Ti、Pt、Ta、Ir、Sr、In、Sn、Au、Al、Fe、Cr、Ni、Pd、Ag、Cuなどの金属およびこれらの化合物を挙げることができる。前記第一の電極および第二の電極は、これらのうちの1種からなるものであっても2種以上の混合物あるいは合金であってもよく、あるいはこれらの2種以上を積層してなるものであってもよい。また、第一の電極と第二の電極が、それぞれ異なる材料であってもよい。
前記第一の電極と第二の電極の製造方法は限定されず、金属ペーストの焼き付けにより形成しても良いし、スパッタ、蒸着法などにより形成してもよい。また第一の電極と第二の電極とも所望の形状にパターニングして用いてもよい。
(分極処理)
前記圧電素子は一定方向に分極軸が揃っているものであると、より好ましい。分極軸が一定方向に揃っていることで前記圧電素子の圧電定数は大きくなる。
前記圧電素子の分極方法は特に限定されない。分極処理は大気中で行ってもよいし、シリコーンオイル中で行ってもよい。
分極をする際の温度は60℃から150℃の温度が好ましいが、圧電素子を構成する圧電材料の組成によって最適な条件は多少異なる。
分極処理をするために印加する電界は、600V/mmから2.0kV/mmが好ましい。
(圧電定数および機械的品質係数の測定)
前記圧電素子の圧電定数および機械的品質係数は、市販のインピーダンスアナライザを用いて得られる共振周波数及び反共振周波数の測定結果から、電子情報技術産業協会規格(JEITA EM−4501)に基づいて、計算により求めることができる。以下、この方法を共振−反共振法と呼ぶ。
(積層圧電素子)
次に、本発明の圧電材料を用いた積層圧電素子について説明する。
本発明に係る積層圧電素子は、圧電材料を含む複数の圧電材料層と、内部電極を含む複数の電極と、を有し、前記複数の圧電材料層と前記複数の電極層とが交互に積層された積層圧電素子であって、前記圧電材料層が本発明の圧電材料よりなることを特徴とする。
図2(a)および図2(b)は本発明の積層圧電素子の構成の一実施形態を示す断面概略図である。本発明に係る積層圧電素子は、圧電材料層54と、内部電極55を含む電極とで構成されており、圧電材料層と層状の電極とが交互に積層された積層圧電素子であって、前記圧電材料層54が上記の本発明の圧電材料よりなることを特徴とする。電極は、内部電極55以外に第一の電極51や第二の電極53といった外部電極を含んでいてもよい。
図2(a)は2層の圧電材料層54と1層の内部電極55が交互に積層され、その積層構造体を第一の電極51と第二の電極53とで狭持した本発明の積層圧電素子の構成を示している。なお、本発明の積層圧電素子は図2(a)に示す構成に限定されるものではなく、図2(b)のように圧電材料層と内部電極の数を増やしてもよく、その層数に限定はない。
図2(b)の積層圧電素子は9層の圧電材料層504と8層の内部電極505(図示の例では、4層の内部電極505aと4層の内部電極505bとからなる)が交互に積層され、その積層構造体を第一の電極501と第二の電極503で狭持した構成である。また、図2(b)の積層圧電素子は交互に形成された内部電極を短絡するための外部電極506aおよび外部電極506bを有する。具体的に図2(b)に示す実施形態においては、4層の内部電極505aが外部電極506aで短絡されてなり、4層の内部電極505bが外部電極506bで短絡されてなる。
内部電極55、505および外部電極506a、506bの大きさや形状は必ずしも圧電材料層54、504と同一である必要はなく、また複数に分割されていてもよい。
内部電極55、505および外部電極506a、506b、並びに、第一の電極51、501および第二の電極53、503は、厚み5nmから10μm程度の導電層よりなる。
これらの電極に用いられる材料は特に限定されず、圧電素子に通常用いられているものであればよい。例えば、Ti、Pt、Ta、Ir、Sr、In、Sn、Au、Al、Fe、Cr、Ni、Pd、Ag、Cuなどの金属およびこれらの化合物を挙げることができる。内部電極55、505および外部電極506a、506bは、これらのうちの1種からなるものであっても2種以上の混合物あるいは合金であってもよく、あるいはこれらの2種以上を積層してなるものであってもよい。また複数の電極が、それぞれ異なる材料であってもよい。
電極材料が安価であるという観点において、内部電極55、505はNiおよびCuの少なくともいずれか1種を含むことが好ましい。内部電極55、505にNiおよびCuの少なくともいずれか1種を用いる場合、本発明の積層圧電素子は還元雰囲気で焼成することが好ましい。
また、本発明の積層圧電素子は、内部電極がAgとPdを含み、前記Agの含有重量M1と前記Pdの含有重量M2との重量比M1/M2が0.25≦M1/M2≦4.0であることが好ましい。前記重量比M1/M2が0.25未満であると内部電極の焼結温度が高くなるおそれがあるので望ましくない。一方で、前記重量比M1/M2が4.0よりも大きくなると、内部電極が島状になるために面内で不均一になるおそれがあるので望ましくない。重量比M1/M2は、より好ましくは0.3≦M1/M2≦3.0である。
図2(b)に示すように、内部電極505を含む複数の電極は、駆動電圧の位相をそろえる目的で互いに短絡させても良い。例えば、内部電極505aと第一の電極501を外部電極506aで短絡させても良い。内部電極505bと第二の電極503を外部電極506bで短絡させても良い。また、内部電極505aと内部電極505bは交互に配置されていても良い。さらに、電極同士の短絡の形態は限定されない。積層圧電素子の側面に短絡のための電極や配線を設けてもよいし、圧電材料層504を貫通するスルーホールを設け、その内側に導電材料を設けて電極同士を短絡させてもよい。
(液体吐出ヘッド)
本発明に係る液体吐出ヘッドは、液体を貯留し得る液室と、前記液室と連通し、前記液体を吐出する吐出口と、を少なくとも有する液体吐出ヘッドであって、前記液室が、前記液体に振動を付与する振動部を備え、前記振動部が、前記圧電素子または前記積層圧電素子を配してなることを特徴とする。本発明の液体吐出ヘッドによって吐出する液体は流動体であれば特に限定されず、水、インク、燃料などの水系液体や非水系液体を吐出することができる。
図3(a)及び図3(b)は、本発明の液体吐出ヘッドの構成の一実施態様を示す概略図である。図3(a)及び図3(b)に示すように、本発明の液体吐出ヘッドは、本発明の圧電素子101を有する液体吐出ヘッドである。圧電素子101は、第一の電極1011、圧電材料1012、第二の電極1013を少なくとも有する圧電素子である。圧電材料1012は、図3(b)の如く、必要に応じてパターニングされている。
図3(b)は液体吐出ヘッドの全体模式図である。液体吐出ヘッドは、吐出口105、個別液室102、個別液室102と吐出口105をつなぐ連通孔106、液室隔壁104、共通液室107、振動板103、圧電素子101を有する。図3(b)において圧電素子101は矩形状だが、その形状は、楕円形、円形、平行四辺形等の矩形以外でも良い。一般に、圧電材料1012は個別液室102の形状に沿った形状となる。
なお、本実施形態における液室は、圧電素子101を配してなる振動部である振動板103と、液室隔壁104と、連通孔106が形成されてなる底面と、で構成され、個別液室102に液体であるインクを貯留し得るものである。但し、本発明はかかる構成に限定されるものではない。
本発明の液体吐出ヘッドに含まれる圧電素子101の近傍を図3(a)で詳細に説明する。図3(a)は、図3(b)に示された液体吐出ヘッドにおける圧電素子の幅方向(図3(b)における圧電材料1012の配列方向)での部分断面図である。なお、図3(a)においては液室隔壁104より下の構成の図示を省略している。また、圧電素子101の断面形状は矩形で表示されているが、台形や逆台形でもよい。
図3(a)中では、第一の電極1011が下部電極、第二の電極1013が上部電極として使用されている。しかし、第一の電極1011と、第二の電極1013の配置はこの限りではない。例えば、第一の電極1011を下部電極として使用してもよいし、上部電極として使用してもよい。同じく、第二の電極1013を上部電極として使用しても良いし、下部電極として使用しても良い。また、振動板103と下部電極との間にバッファ層108が存在しても良い(図3(b)に示す例においては、バッファ層108は図示されていない。)。なお、これらの名称の違いはデバイスの製造方法によるものであり、いずれの場合でも本発明の効果は得られる。
前記液体吐出ヘッドにおいては、振動板103が圧電材料1012の伸縮によって上下に変動し、個別液室102の液体に圧力を加える。その結果、吐出口105より液体が吐出される。本発明の液体吐出ヘッドは、プリンタ用途や電子デバイスの製造に用いることができる。
振動板103の厚みは、1.0μm以上15μm以下であり、好ましくは1.5μm以上8μm以下である。振動板の材料は限定されないが、好ましくはSiである。振動板のSiにホウ素やリンがドープされていてもよい。また、振動板上のバッファ層、電極が振動板の一部となってもよい。
バッファ層108の厚みは、5nm以上300nm以下であり、好ましくは10nm以上200nm以下である。
吐出口105の大きさは、円相当径で5μm以上40μm以下である。吐出口105の形状は、円形であってもよいし、星型や角型状、三角形状でもよい。
(液体吐出装置)
次に、本発明の液体吐出装置について説明する。本発明の液体吐出装置は、被転写体を載置する載置部と、前記被転写体に液体を吐出する前記液体吐出ヘッドと、を備えたものである。
本発明の液体吐出装置の一例として、図4および図5に示すインクジェット記録装置を挙げることができる。図4に示す液体吐出装置(インクジェット記録装置)881の外装882〜885及び887を外した状態を図5に示す。インクジェット記録装置881は、被転写体としての記録紙を装置本体896内へ自動給送する自動給送部897を有する。更に、自動給送部897から送られる記録紙を所定の記録位置へ導き、記録位置から排出口898へ導く搬送部899と、記録位置に搬送された記録紙に記録を行う記録部891と、記録部891に対する回復処理を行う回復部890とを有する。記録部891には、本発明の液体吐出ヘッドを収納し、レール上を往復移送されるキャリッジ892が備えられる。ここで、載置部としての搬送部899は、被転写体としての記録紙を搬送しながら所定の記録位置で載置する箇所であり、その載置箇所において記録部891によって記録紙への記録が行われる。
このようなインクジェット記録装置において、コンピューターから送出される電気信号によりキャリッジ892がレール上を移送され、圧電材料を挟持する電極に駆動電圧が印加されると圧電材料が変位する。この圧電材料の変位により、図3(b)に示す振動板103を介して個別液室102を加圧し、インクを吐出口105から吐出させて、印字を行う。本発明の液体吐出装置においては、均一に高速度で液体を吐出させることができ、装置の小型化を図ることができる。
上記例は、プリンタとして例示したが、本発明の液体吐出装置は、ファクシミリや複合機、複写機などのインクジェット記録装置等のプリンティング装置の他、産業用液体吐出装置、対象物に対する描画装置として使用することができる。加えて、ユーザーは用途に応じて所望の被転写体を選択することができる。なお載置部としてのステージに載置された被転写体に対して液体吐出ヘッドが相対的に移動する構成をとっても良い。
(超音波モータ)
本発明に係る超音波モータは、前記圧電素子または前記積層圧電素子を配した振動体と、前記振動体と接触し、前記振動体の振動によって移動する移動体と、を少なくとも有することを特徴とする。
図6(a)および図6(b)は、本発明の超音波モータの構成の一実施態様を示す概略図である。本発明の圧電素子が単板からなる超音波モータを、図6(a)に示す。
超音波モータは、振動子201、振動子201の摺動面に不図示の加圧バネによる加圧力で接触しているロータ202、ロータ202と一体的に設けられた出力軸203を有する。前記振動子201は、金属の弾性体リング2011、本発明の圧電素子2012、圧電素子2012を弾性体リング2011に接着する有機系接着剤2013(エポキシ系、シアノアクリレート系など)で構成される。本発明の圧電素子2012は、不図示の第一の電極と第二の電極によって挟まれた圧電材料で構成される。
本発明の圧電素子に位相がπ/2の奇数倍異なる二相の交番電圧を印加すると、振動子201に屈曲進行波が発生し、振動子201の摺動面上の各点は楕円運動をする。この振動子201の摺動面にロータ202が圧接されていると、ロータ202は振動子201から摩擦力を受け、屈曲進行波とは逆の方向へ回転する。不図示の被駆動体は、出力軸203と接合されており、ロータ202の回転力で駆動される。
圧電材料に電圧を印加すると、圧電横効果によって圧電材料は伸縮する。金属などの弾性体が圧電素子に接合している場合、弾性体は圧電材料の伸縮によって曲げられる。ここで説明された種類の超音波モータは、この原理を利用したものである。
次に、積層構造を有した圧電素子を含む超音波モータを図6(b)に例示する。振動子204は、筒状の金属弾性体2041に挟まれた積層圧電素子2042よりなる。積層圧電素子2042は、不図示の複数の積層された圧電材料により構成される素子であり、積層外面に第一の電極と第二の電極、積層内面に内部電極を有する。金属弾性体2041はボルトによって締結され、積層圧電素子2042を挟持固定し、この積層圧電素子2042と共に振動子204となる。もちろん積層圧電素子2042は積層圧電素子に限らず、単層型の圧電素子をもちいてもよい。
積層圧電素子2042に位相の異なる交番電圧を印加することにより、振動子204は互いに直交する2つの振動を励起する。この二つの振動は合成され、振動子204の先端部を駆動するための円振動を形成する。なお、振動子204の上部にはくびれた周溝が形成され、駆動のための振動の変位を大きくしている。ロータ205は、加圧用のバネ206により振動子204と加圧接触し、駆動のための摩擦力を得る。ロータ205はベアリングによって回転可能に支持されている。
(光学機器)
次に、本発明の光学機器について説明する。本発明の光学機器は、駆動部を有する光学機器であって、駆動部が、前記超音波モータを備えたことを特徴とする。
図7(a)および図7(b)は、本発明の光学機器の好適な実施形態の一例である一眼レフカメラの交換レンズ鏡筒の主要断面図である。また、図8は本発明の光学機器の好適な実施形態の一例である一眼レフカメラの交換レンズ鏡筒の分解斜視図である。
カメラとの着脱マウント711には、固定筒712と、直進案内筒713、前群レンズ701を備えた前群鏡筒714が固定されている。これらは交換レンズ鏡筒の固定部材である。
直進案内筒713には、フォーカスレンズ702用の光軸方向の直進案内溝713aが形成されている。フォーカスレンズ702を保持した後群鏡筒716には、径方向外方に突出するカムローラ717a、717bが軸ビス718により固定されており、このカムローラ717aがこの直進案内溝713aに嵌まっている。
直進案内筒713の内周には、カム環715が回動自在に嵌まっている。直進案内筒713とカム環715とは、カム環715に固定されたローラ719が、直進案内筒713の周溝713bに嵌まることで、光軸方向への相対移動が規制されている。このカム環715には、フォーカスレンズ702用のカム溝715aが形成されていて、カム溝715aには、前述のカムローラ717bが同時に嵌まっている。
固定筒712の外周側にはボールレース727により固定筒712に対して定位置回転可能に保持された回転伝達環720が配置されている。回転伝達環720には、回転伝達環720から放射状に延びた軸720fにコロ722が回転自由に保持されており、このコロ722の径大部722aがマニュアルフォーカス環724のマウント側端面724bと接触している。またコロ722の径小部722bは接合部材729と接触している。コロ722は回転伝達環720の外周に等間隔に6つ配置されており、それぞれのコロが上記の保持および接触の関係で構成されている。
マニュアルフォーカス環724の内径部には低摩擦シート(ワッシャ部材)733が配置され、この低摩擦シートが固定筒712のマウント側端面712aとマニュアルフォーカス環724の前側端面724aとの間に挟持されている。また、低摩擦シート733の外径面はリング状であり、マニュアルフォーカス環724の内径724cと径嵌合しており、更にマニュアルフォーカス環724の内径724cは固定筒712の外径部712bと径嵌合している。低摩擦シート733は、マニュアルフォーカス環724が固定筒712に対して光軸周りに相対回転する構成の回転環機構における摩擦を軽減する役割を果たす。
なお、コロ722の径大部722aとマニュアルフォーカス環のマウント側端面724bとは、波ワッシャ726が超音波モータ725をレンズ前方に押圧する力により、加圧力が付与された状態で接触している。また同じく、波ワッシャ726が超音波モータ725をレンズ前方に押圧する力により、コロ722の径小部722bと接合部材729の間も適度な加圧力が付与された状態で接触している。波ワッシャ726は、固定筒712に対してバヨネット結合したワッシャ732によりマウント方向への移動を規制されている。その結果、波ワッシャ726が発生するバネ力(付勢力)は、超音波モータ725、更にはコロ722に伝わり、マニュアルフォーカス環724が固定筒712のマウント側端面712aを押し付け力ともなる。つまり、マニュアルフォーカス環724は、低摩擦シート733を介して固定筒712のマウント側端面712aに押し付けられた状態で組み込まれている。
従って、不図示の制御部により超音波モータ725が固定筒712に対して回転駆動されると、接合部材729がコロ722の径小部722bと摩擦接触しているため、コロ722が軸720f中心周りに回転する。コロ722が軸720f回りに回転すると、結果として回転伝達環720が光軸周りに回転する(オートフォーカス動作)。
また、不図示のマニュアル操作入力部からマニュアルフォーカス環724に光軸周りの回転力が与えられると、マニュアルフォーカス環724のマウント側端面724bがコロ722の径大部722aと加圧接触しているため、摩擦力によりコロ722が軸720f周りに回転する。コロ722の径大部722aが軸720f周りに回転すると、回転伝達環720が光軸周りに回転する。このとき超音波モータ725は、ロータ725cとステータ725bの摩擦保持力により回転しないようになっている(マニュアルフォーカス動作)。
回転伝達環720には、フォーカスキー728が2つ互いに対向する位置に取り付けられており、フォーカスキー728がカム環715の先端に設けられた切り欠き部715bと嵌合している。従って、オートフォーカス動作或いはマニュアルフォーカス動作が行われて、回転伝達環720が光軸周りに回転させられると、その回転力がフォーカスキー728を介してカム環715に伝達される。カム環が光軸周りに回転させられると、カムローラ717aと直進案内溝713aにより回転規制された後群鏡筒716が、カムローラ717bによってカム環715のカム溝715aに沿って進退する。これにより、フォーカスレンズ702が駆動され、フォーカス動作が行われる。
ここで本発明の光学機器として、一眼レフカメラの交換レンズ鏡筒について説明したが、コンパクトカメラ、電子スチルカメラ、カメラ付き携帯情報端末等、カメラの種類を問わず、駆動部に超音波モータを有する光学機器に適用することができる。
(振動装置および塵埃除去装置)
粒子、粉体、液滴の搬送、除去等で利用される振動装置は、電子機器等で広く使用されている。以下、本発明の振動装置の一つの例として、本発明の圧電素子を用いた塵埃除去装置について説明する。
本発明に係る振動装置は、振動板を備える振動体を有し、振動を付与する振動装置であって、前記振動板が、前記圧電素子または前記積層圧電素子を配してなることを特徴とする。また、本発明に係る塵埃除去装置は、振動部を有し、振動を付与して塵埃を除去する塵埃除去装置であって、前記振動部が、前記振動装置を備えることを特徴とする。そして、本発明に係る塵埃除去装置は、振動板の表面に付着した塵埃を除去する機能を有する。
図9(a)および図9(b)は本発明の塵埃除去装置の一実施態様を示す概略図である。図9(a)は塵埃除去装置310の表面側、図9(b)は塵埃除去装置310の裏面側を示している。塵埃除去装置310は板状の圧電素子330と振動板320より構成される。圧電素子330は、本発明の積層圧電素子であってもよい。
振動板320の材質は限定されないが、塵埃除去装置310を光学デバイスに用いる場合には透光性材料や光反射性材料を振動板320として用いることができる。透光性材料や光反射性材料を振動板として用いる場合、振動板の透光部や光反射部が塵埃除去の対象となる。
図10(a)〜図10(c)は、図9(a)および図9(b)における圧電素子330の構成を示す概略図である。図10(a)と図10(c)は圧電素子330の表裏面の構成、図10(b)は側面の構成を示している。
圧電素子330は図9(a)に示すように圧電材料331と第1の電極332と第2の電極333より構成され、第1の電極332と第2の電極333は圧電材料331の板面に対向して配置されている。図9(a)および図9(b)と同様に圧電素子330は、本発明の積層圧電素子であっても良い。その場合、圧電材料331は圧電材料層と内部電極の交互構造をとり、内部電極を交互に第1の電極332または第2の電極333と短絡させることにより、圧電材料の層ごとに位相の異なる駆動波形を与えることができる。
図10(c)において圧電素子330の手前に出ている第1の電極332が設置された面を第1の電極面336、図10(a)において圧電素子330の手前に出ている第2の電極333が設置された面を第2の電極面337とする。電極面とは電極が設置されている圧電素子の面であり、例えば図10(b)に示すように第1の電極332が第2の電極面337に回りこんでいても良い。
圧電素子330と振動板320は、図9(a)および図9(b)に示すように圧電素子330の第1の電極面336で振動板320の板面に固着される。そして圧電素子330の駆動により圧電素子330と振動板320との間に応力が発生し、振動板に面外振動を発生させる。本発明の塵埃除去装置310は、この振動板320の面外振動により振動板320の表面に付着した塵埃等の異物を除去する装置である。面外振動とは、振動板を光軸方向つまり振動板の厚さ方向に変位させる弾性振動を意味する。
図11(a)および図11(b)は本発明の塵埃除去装置310の振動原理を示す模式図である。図11(a)は左右一対の圧電素子330に同位相の交番電圧を印加して、振動板320に面外振動を発生させた状態を表している。左右一対の圧電素子330を構成する圧電材料の分極方向は圧電素子330の厚さ方向と同一である。図11(a)に示す塵埃除去装置310は7次の振動モードで駆動している。図11(b)は左右一対の圧電素子330に位相が180°反対である逆位相の交番電圧を印加して、振動板320に面外振動を発生させた状態を表している。図11(b)に示す塵埃除去装置310は6次の振動モードで駆動している。本発明の塵埃除去装置310は少なくとも2つの振動モードを使い分けることで振動板の表面に付着した塵埃を効果的に除去できる装置である。
(撮像装置)
次に、本発明の撮像装置について説明する。本発明の撮像装置は、前記塵埃除去装置と、光を受光する撮像素子ユニットと、を少なくとも有する撮像装置であって、前記塵埃除去装置が備える振動板が、前記撮像素子ユニットの受光面側に設けられてなることを特徴とする。
図12および図13は本発明の撮像装置の好適な実施形態の一例であるデジタル一眼レフカメラを示す図である。図12は、カメラ本体601を被写体側より見た正面側斜視図であって、撮影レンズユニットを外した状態を示す。図13は、本発明の塵埃除去装置と撮像ユニット400の周辺構造について説明するためのカメラ内部の概略構成を示す分解斜視図である。
図12に示すカメラ本体601内には、撮影レンズを通過した撮影光束が導かれるミラーボックス605が設けられており、ミラーボックス605内にメインミラー(クイックリターンミラー)606が配設されている。メインミラー606は、撮影光束をペンタダハミラー(不図示)の方向へ導くために撮影光軸に対して45°の角度に保持される状態と、撮像素子(不図示)の方向へ導くために撮影光束から退避した位置に保持される状態とを取り得る。
図13において、カメラ本体の骨格となる本体シャーシ300の被写体側には、被写体側から順にミラーボックス605、シャッタユニット200が配設される。また、本体シャーシ300の撮影者側には、撮像ユニット400が配設される。前記撮像ユニット400は、塵埃除去装置の振動板と撮像素子ユニットで構成される。また、塵埃除去装置の振動板は前記撮像素子ユニットの受光面と同一軸上に順に設けてある。撮像ユニット400は、撮影レンズユニットが取り付けられる基準となるマウント部602(図12)の取り付け面に設置され、撮像素子ユニットの撮像面が撮像レンズユニットと所定の距離を空けて、且つ平行になるように調整されている。
ここで、本発明の撮像装置として、デジタル一眼レフカメラについて説明したが、例えばミラーボックス605を備えていないミラーレス型のデジタル一眼カメラのような撮影レンズユニット交換式カメラであってもよい。また、撮影レンズユニット交換式のビデオカメラや、複写機、ファクシミリ、スキャナ等の各種の撮像装置もしくは撮像装置を備える電子電気機器のうち、特に光学部品の表面に付着する塵埃の除去が必要な機器にも適用することができる。
(電子機器)
次に、本発明の電子機器について説明する。本発明の電子機器は、圧電音響部品を有する電子機器であって、前記圧電音響部品が、前記圧電素子または前記積層圧電素子を備えることを特徴とする。圧電音響部品にはスピーカ、ブザー、マイク、表面弾性波(SAW:surface acoustic wave filter)素子が含まれる。
図14は本発明の電子機器の好適な実施形態の一例であるデジタルカメラの本体931の前方から見た全体斜視図である。
本体931の前面には光学装置901、マイク914、ストロボ発光部909、補助光部916が配置されている。マイク914は本体内部に組み込まれているため、破線で示している。マイク914の前方(本体931の前面側)には外部からの音を拾うための穴が設けられている。
本体931上面には電源ボタン933、スピーカ912、ズームレバー932、合焦動作を実行するためのレリーズボタン908が配置される。スピーカ912は本体931内部に組み込まれており、破線で示してある。スピーカ912の前方(本体931の上面側)には音声を外部へ伝えるための穴が設けられている。
本発明の圧電音響部品は、マイク914、スピーカ912、および表面弾性波素子、の少なくとも一つに用いられる。
ここで、本発明の電子機器としてデジタルカメラについて説明したが、本発明の電子機器は、音声再生機器、音声録音機器、携帯電話、情報端末等各種の圧電音響部品を有する電子機器にも適用することができる。
前述したように本発明の圧電素子および積層圧電素子は、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、超音波モータ、光学機器、振動装置、塵埃除去装置、撮像装置および電子機器に好適に用いられる。
本発明の圧電素子および積層圧電素子を用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上のノズル密度、および吐出速度を有する液体吐出ヘッドを提供できる。
本発明の液体吐出ヘッドを用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上の吐出速度および吐出精度を有する液体吐出装置を歩留まり良く提供できる。
本発明の圧電素子および積層圧電素子を用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上の駆動力、および耐久性を有する超音波モータを提供できる。
本発明の超音波モータを用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上の耐久性および動作精度を有する光学機器を提供できる。
本発明の圧電素子および積層圧電素子を用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上の振動能力、および耐久性を有する振動装置を提供できる。
本発明の振動装置を用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上の塵埃除去効率、および耐久性を有する塵埃除去装置を提供できる。
本発明の塵埃除去装置を用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上の塵埃除去機能を有する撮像装置を提供できる。
本発明の圧電素子または積層圧電素子を備えた圧電音響部品を用いることで、鉛を含む圧電素子を用いた場合と同等以上の発音性を有する電子機器を提供できる。
本発明の圧電材料は、液体吐出ヘッド、モータなどに加え、超音波振動子、圧電アクチュエータ、圧電センサ、強誘電メモリ、発電装置等の圧電装置に用いることができる。
本発明の圧電装置は、図17に示すように、本発明の圧電素子または積層圧電素子を備えており、前記圧電素子または積層圧電素子への電圧印加手段および電力取出手段の少なくとも一方を有している。「電力取出」とは、電気エネルギーを採取する行為、および、電気信号を受信する行為のいずれであっても良い。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
(Ba1−x−yCaxBiy)a(Ti1−z−y’ZrzFey’)O3で表される一般式(1)において、x=0.160、y=0.012、y’=0.012、z=0.070、a=0.996の組成である(Ba0.828Ca0.160Bi0.012)0.996(Ti0.918Zr0.070Fe0.012)O3に相当する原料を以下に示す手順で秤量した。
固相法により、いずれもペロブスカイト型金属酸化物であるチタン酸バリウム(平均粒径300nm、純度99.99%以上)、チタン酸カルシウム(平均粒径300nm、純度99.99%以上)、ジルコン酸バリウム(平均粒径300nm、純度99.99%以上)、鉄酸ビスマス(平均粒径200nm、純度99.99%以上)の原料粉末を作製、準備し、Ba、Ca、Bi、Ti、Zr、Feが組成(Ba0.828Ca0.160Bi0.012)0.996(Ti0.918Zr0.070Fe0.012)O3の比率になるように秤量した。
また、AサイトにおけるBa、Ca、Biのモル数の和と、BサイトにおけるTi、Zr、Feのモル数の和との比を表すaを調整するために炭酸バリウム及び酸化チタンを用いた。
前記主成分(Ba0.828Ca0.160Bi0.012)0.996(Ti0.918Zr0.070Fe0.012)O3の金属酸化物100重量部に対して、第1副成分のMnの含有量が金属換算で0.16重量部となるように、二酸化マンガン(MnO2)粉末(純度99.5%以上)を秤量した。
これらの粉末を、ボールミルを用いて24時間の乾式混合によって混合した。
得られた混合粉の総重量を100重量部とし、その混合粉100重量部に対して3重量部となるPVA(polyvinyl alcohol)バインダーを、スプレードライヤー装置を用いて混合粉表面に付着させ造粒した。
次に、得られた造粒粉を金型に充填し、プレス成型機を用いて200MPaの成形圧をかけて円盤状の成形体を作製した。金型の表面には非マグネシウム系の離型剤をあらかじめ塗布しておいた。また、この成形体は冷間等方加圧成型機を用いて更に加圧しても得られる結果は同様であった。
得られた成形体を雰囲気可変型の電気炉に入れ、まず大気雰囲気で600℃の加熱を行い保持した後、更に1320℃まで昇温し、5時間保持した。降温は放冷により行った。
以上の工程により、円盤状の焼結体(多結晶のセラミックス)を得た。この焼結体を本発明の圧電素子の圧電材料として使用した。
次に、圧電材料を構成する結晶粒の平均円相当径と相対密度を評価した。評価の結果、平均円相当径は1.5μm、相対密度は99.1%であった。なお、結晶粒の観察には、主に偏光顕微鏡を用いて観察した。小さな結晶粒の粒径を特定する際には、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。観察により得られた観察像を画像処理して平均円相当径を算出した。また、相対密度はアルキメデス法を用いて評価した。
次に、得られた圧電材料を厚さ0.5mmになるように研磨し、研磨面に対するX線回折により結晶構造を雰囲気温度25℃で解析した。その結果、正方晶系のペロブスカイト型構造に相当するピークのみが観察された。
また、蛍光X線分析により圧電材料の組成を評価した。その結果、本実施例の圧電材料は(Ba0.828Ca0.160Bi0.012)0.996(Ti0.918Zr0.070Fe0.012)O3の化学式で表すことができる金属酸化物を主成分としており、前記主成分100重量部に対してMn、Mgがそれぞれ0.160、0.0003重量部含有されていることが分かった。
この結果、Mgは原料由来の組成成分であり、その他の金属元素については秤量した組成と焼結後の組成が一致していることが分かった。更に結晶粒の観察を再度行ったが、研磨前後で平均円相当径に大きな違いはなかった。
(実施例2から実施例19の圧電材料)
実施例1と同様の工程で実施例2から実施例19の圧電材料を作製した。
初めに、Ba、Ca、Bi、Ti、Zr、Feが表1に示すような比率になるように各原料粉末を秤量した。AサイトにおけるBa、Ca、Biのモル数の和と、BサイトにおけるTi、Zr、Feのモル数の和との比を表すaを調整するために炭酸バリウム及び酸化チタンを用いた。次に、第1副成分のMnの含有量が一般式(1)で表されるペロブスカイト型金属酸化物100重量部に対して金属換算で表1に示すような比率となるように、二酸化マンガン(MnO2)粉末を秤量した。
実施例15には、Mg重量が一般式(1)で表されるペロブスカイト型金属酸化物100重量部に対して金属換算で0.120重量部になるように酸化マグネシウムを混合した。
実施例16から18では、第3副成分のSi、とBが金属換算で表1に示すような比率になるように二酸化ケイ素と酸化ホウ素をそれぞれ秤量した。この際、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、鉄酸ビスマス、炭酸バリウム及び酸化チタンの秤量和(合算値)を(Ba1−x−yCaxBiy)a(Ti1−z−y’ZrzFey’)O3の化学式に換算した100重量部に対して、二酸化ケイ素と酸化ホウ素を秤量した。
これらの粉末を、ボールミルを用いて24時間の乾式混合によって混合した。
得られた混合粉の総重量を100重量部とし、その混合粉100重量部に対して3重量部となるPVAバインダーを、スプレードライヤー装置を用いて、混合粉表面に付着させ造粒した。
次に、得られた造粒粉を金型に充填し、プレス成型機を用いて200MPaの成形圧をかけて円盤状の成形体を作製した。金型の表面には非マグネシウム系の離型剤をあらかじめ塗布しておいた。
得られた成形体を雰囲気可変型の電気炉に入れ、まず大気雰囲気で600℃の加熱を行い保持した後、更に表1に示す焼成最高温度まで昇温し、5時間保持した。降温は放冷により行った。
以上の工程により、円盤状の焼結体(多結晶のセラミックス)を得た。この焼結体を本発明の圧電素子の圧電材料として使用した。
実施例8から12はBiとFeのモル比が異なるが、これは予めBiとFeのモル比が異なる鉄酸ビスマス粉末を作製して用いた。
その他、酸化鉄と酸化ビスマスを目的組成になるように秤量し、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、炭酸バリウム、酸化チタン、二酸化マンガン、二酸化ケイ素、酸化ホウ素とともに焼成しても同様な圧電特性が得られた。
実施例2から19についても実施例1と同様に、平均円相当径及び相対密度を評価した結果を表2に示す。
また、実施例2から19についても実施例1と同様に組成分析を行った。すべての圧電材料においてBa、Ca、Bi、Ti、Zr、Fe、Mn、Si及びBは、秤量した組成と焼成後の組成が一致していた。Mg成分については原料に含まれていた量が反映されていた。
またSiとBの合計が0.001重量部より小さい実施例1から15および実施例19の組成比では、焼結温度が1200℃および1250℃では焼結状態が不十分であったため、焼結温度としては1320℃以上が必要であった。この時の相対密度はいずれも98%以上となった。
他方でまたSiとBの合計が0.001重量部より大きい実施例16,17,18における焼結温度に注目すると、焼結温度としては1320℃より低い温度でも焼結させることができるという良好な結果が得られた。
(比較例1から12の金属酸化物材料)
表1に示す主成分、第1副成分、第2副成分及び第3副成分、BiとFeのモル比y/y’、AサイトとBサイトのモル比aの各比率及び焼成最高温度の条件に従い、実施例1から19と同様の工程で比較用の金属酸化物材料を作製した。(比較例1から12)
比較例7、8はBiとFeのモル比が他の実施例および比較例と比較して大きく異なるが、この比較例7、8には、鉄酸ビスマスを用いず、酸化ビスマス及び酸化鉄を用いて、BiとFeのモル比に差をつけた。
比較例1から12についても実施例1と同様に、平均円相当径と相対密度を評価した。その結果を表2に示す。
また図15(a)は実施例1、図15(b)は実施例9で得られた圧電材料、図15(c)は比較例9で得られた金属酸化物の表面結晶粒の顕微鏡観察写真である。図15(a)、図15(b)は図15(c)と比較し結晶粒が微細化されていることが観察された。
また、比較例1から12についても実施例1と同様に組成分析を行った。すべての金属酸化物においてBa、Ca、Bi、Ti、Zr、Fe、Mn、Si及びBは、秤量した組成と焼成後の組成が一致していた。Mg成分については原料に含まれていた量が反映されていた。
また図16は実施例1の雰囲気温度25℃でのX線回折図形である。これより結晶系が正方晶系のペロブスカイト型構造であることがわかった。
また、比較例11の金属酸化物は、aの値が0.980であり、ペロブスカイト型構造のAサイト元素が不足したことに起因して異常粒成長をしていた。比較例11の結晶粒の平均円相当径は54.0μmであり、他の実施例および比較例と比較して極端に大きな値となっていた。
また、比較例12の金属酸化物はaの値が1.040であり、ペロブスカイ型構造のAサイト元素が過剰となったことに起因して焼結が不十分であった。比較例12の結晶粒の平均円相当径は0.3μmであり、他の実施例および比較例と比較して極端に小さな値となっていた。また、比較例12の相対密度は90%であり、他の実施例および比較例と比較して極端に小さな値となっていた。
(圧電素子の作製)
次に本発明の圧電素子を作製した。
(実施例1から19の圧電素子)
前記実施例1から19で得られた円盤状の圧電材料の表裏両面を研磨した後、表裏両面にDCスパッタリング法により厚さ400nmの金電極を形成した。なお、電極と圧電材料の間には、密着層として厚さ30nmのチタンからなる層を成膜した。この電極付きの圧電材料を切断加工し、10mm×2.5mm×0.5mmの短冊状の素子を作製した。
この素子を、表面温度が100℃から140℃のホットプレート上に設置し、両電極間に1.0kV/mmの電界を30分間印加して、分極処理した。こうして、電極に狭持された部分の圧電材料が電極面と垂直に残留分極を有する本発明の圧電素子を得た。
(比較例1から12の圧電素子)
比較例1から12の金属酸化物材料を用いて、比較用の圧電素子を実施例1から19と同様の方法で作製及び分極処理を行った。
(圧電素子および比較用の素子の特性評価)
以上のようにして得られた実施例1から19までの圧電材料を用いて作製した圧電素子と、比較例1から12の金属酸化物を用いて作製した比較用の素子について、以下のとおり評価した。
(圧電定数および機械的品質係数の測定)
実施例1から19で得られた圧電素子および比較例1から12で得られた素子の室温(25℃)における誘電正接tanδ、圧電定数d31、室温における機械的品質係数Qmを評価した。これらの結果を表3に示す。圧電定数d31は各温度(−5℃〜40℃)で共振−反共振法によって求め、表3中には室温(25℃)のときの測定値を絶対値で記載した。また、圧電定数の温度依存性を評価するために、−5℃〜40℃の範囲で圧電定数の最大値と最小値の差の絶対値を求め、室温(25℃)における圧電定数d31に対する割合[100×(△d31)/(室温25℃のd31)]を表3中に記載した。機械的品質係数Qmは共振−反共振法によって圧電定数と同時に求めた値を記載した。
実施例1から19の圧電素子の圧電定数d31はいずれも80pm/V以上と大きく、圧電デバイスの実用性に適する値を示した。これは適度なZr量によってTcを制御した効果と考えられる。
実施例1から19の圧電素子の機械的品質係数Qmはいずれも1100以上であり、共振型の圧電デバイスの実用性に適する値を示した。これはBi量とMn量、またBi量とFe量の比がいずれも適量であったためと考えられる。
実施例1から19の圧電素子の[100×(△d31)/(室温25℃のd31)]は、いずれも30%以下であった。これは適度なCa量とBi量による相転移温度の制御効果によるものと考えられる。
(電極材料の影響)
実施例1〜19において電極を銀ペーストによる印刷電極に変更し、作製した本発明の圧電素子の特性においても、金電極を有する本発明の圧電素子の場合と同等の特性であった。
(機械強度の測定)
機械強度の評価はJIS規格(JISR1601、ファインセラミックスの室温曲げ強さ試験方法)に準じて実施した。実施例1から19および比較例1から12で得られた圧電材料を切断加工して、36mm×3mm×4mmの試験片を作製した。試験片に対して四点曲げ試験を行って破壊荷重を測定し、破壊荷重から曲げ強度を算出した。結果は表3に記載の通りであった。
実施例1から19の圧電材料の強度はいずれも125MPa以上であり、圧電素子を作製する過程において、加工時の割れ、クラック等の発生はなく充分な強度が得られた。これは適正な焼成温度による密度の緻密化と、Bi量およびFe量、およびその比であるy/y’が適量であったため、結晶粒の微細化が図られたためと考えられる。
(チッピングの評価)
実施例1、8、9、および比較として比較例7、9、10、11で得られた前記円盤状の圧電材料及び金属酸化物材料の表裏両面を研磨した後、これらを切断加工し、10.0×10.0×2.0mmの試験片を作製した。得られた試験片に対し、ダイヤモンドブレードにより幅100μm、深さ150μm、長さ10.0mmの溝を加工ピッチ100μmでダイシング加工し、その溝上部のチッピング数を測定し、1溝(1ライン)あたりの平均チッピング数として評価した。
チッピングは、縦、横10μm、深さ10μm以上のものを不良原因となるチッピングと規格して計測対象とし、チッピング数の測定には測定顕微鏡を用いた。本評価においては、クラックのようなひびもその亀裂幅、深さを上記規格に照らし、合わせてチッピングと判断し、計測対象とした。
表4はその結果である。表4においては、前記した結晶粒の平均円相当径、圧電定数d31、機械的品質係数Qmおよび機械強度(四点曲げ強度)を合わせて示す。
表4には代表的な実施例1、8、9を記載したが、平均チッピング数がいずれも1個/ライン以下となり、圧電素子を作製する過程において、加工におけるチッピングの発生は極めて低減された。またこれ以外の実施例1から19の圧電素子においても平均チッピング数は2.0個/ライン以下と極めて良好な結果となった。これは、機械強度と同様に、充分な焼成温度による密度の緻密化と、Bi量およびFe量、およびその比であるy/y’が適量であったため、結晶粒の微細化効果により、機械強度の向上とともに、チッピング形状の極小化が得られたためと考えられる。
(比較例の結果)
比較例1で作製した圧電材料はCaの量であるxの値が0.005と小さく、圧電定数の温度依存性を示す100×(△d31)/(室温25℃のd31)の値が、50%以上と大きかった。また比較例2で作製した圧電材料は、Caの量であるxの値が0.350と大きく、X線回折を測定したところCaTiO3相が検出され、更に圧電定数d31が70pm/Vとなり、実施例1と比較し30%程度低下した。
また比較例3で作製した圧電材料は、Zrの量であるzの値が0.005と小さく、圧電定数d31が73pm/Vとなり、実施例1と比較し30%程度低下した。また比較例4で作製した圧電材料は、Zrの量であるzの値が0.150と大きく、圧電定数の温度依存性を示す(100×△d31)/(室温25℃のd31)の値が、58%以上と大きかった。
また比較例5で作製した圧電材料は、Mnを添加しておらず、機械的品質係数Qmが700と実施例1から19と比較し非常に小さい値となった。また比較例6で作製した圧電材料は、Mnの添加量が0.500重量部と大きく、誘電正接が0.030となり、実施例1から19と比較し、非常に大きくなった。
また比較例7で作製した圧電材料は、Feを添加しておらず、平均円相当径が8.2μmと大きく、更に機械強度も117MPaと実施例1から19と比較し低下した。
また比較例8で作製した圧電材料はBiを添加しておらず、機械的品質係数Qmが790と低下した。
また比較例9で作製した圧電材料は、Biの量であるyの値およびFeの量であるy’の値が0.001と共に小さく、圧電定数d31の値は77pm/V、機械的品質係数Qmの値が790と共に低下するとともに、平均円相当径が8.3μmとなり、機械強度も118MPaと低下した。
また比較例10で作製した圧電材料は、Biの量であるyの値およびFeの量であるy’の値が0.04と共に大きく、共振系での測定では、圧電定数d31および機械的品質係数Qmは測定不能であった。なお、表3および表4の比較例10における「×」の表記は、いずれも測定不能で評価結果が得られなかったことを意味する。
また比較例11で作製した圧電材料は、AサイトとBサイトのモル比であるaの値が0.980と小さく、結晶粒は異常粒成長していた(54.0μm)。更に機械強度は100MPaとなり、実施例1から19と比較し、大きく低下した。
また比較例12で作製した圧電材料は、AサイトとBサイトのモル比であるaの値が1.040と大きく、相対密度が90%となり焼結が不十分となった。この圧電材料に関しては焼結温度を更に1400℃まで上げてみたが、改善はみられなかった。
表4に示されるチッピングの評価では、代表的な比較例として用いた比較例7、9、11は、実施例1、8、9と比較しチッピングの発生量が多く観察された。これは結晶径の平均円相当径の大きさおよび機械強度が影響していると思われる。図15(a)〜図15(c)の観察写真にも示されるように、実施例1、9は結晶粒が微粒子化しており、そのため機械強度が大きくなり、かつチッピングの発生要因の一つと推定される結晶粒の加工時の脱落によるチッピングの発生も抑制されたと考えられる。これに対し比較例11で作製した圧電材料は、異常粒成長をしており、このため機械強度も低下し、さらに加工時の結晶粒の脱落がチッピングを大量発生させたと考えられる。
(積層圧電素子の作製と評価)
次に、本発明の積層圧電素子を作製した。
(実施例20)
固相法により作製したチタン酸バリウム(平均粒径300nm、純度99.99%以上)、チタン酸カルシウム(平均粒径300nm、純度99.99%以上)ジルコン酸バリウム(平均粒径300nm、純度99.99%以上)、鉄酸ビスマス(平均粒径200nm、純度99.99%以上)の原料粉末、および二酸化マンガン(MnO2)粉末(純度99.5%以上)を、表1の実施例1に記載の組成になるように秤量した。
また、AサイトにおけるBa、Ca、Biのモル数の和と、BサイトにおけるTi、Zr、Feのモル数の和との比を表すaを調整するために炭酸バリウム及び酸化チタンを用いた。具体的には、上記組成(Ba0.828Ca0.160Bi0.012)0.996(Ti0.918Zr0.070Fe0.012)O3の100重量部に対して第3副成分として金属換算でSiが0.0690重量部となるように二酸化ケイ素を、Bが0.0310重量部となるように酸化ホウ素を秤量した。
得られた混合粉にPVB(polyvinyl butyral)を加えて混合した後、ドクターブレード法によりシート形成して、厚み50μmのグリーンシートを得た。得られたグリーンシートに内部電極用の導電ペーストを印刷した。導電ペーストには、Ag60%−Pd40%合金ペーストを用いた。導電ペーストを塗布したグリーンシートを9枚積層して、その積層体を1200℃の条件で5時間焼成して焼結体を得た。
次いで、前記焼結体を10mm×2.5mmの大きさに切断した後にその側面を研磨し、内部電極を交互に短絡させる一対の外部電極(第一の電極と第二の電極)をAuスパッタにより形成し、図2(b)のような積層圧電素子を作製した。得られた積層圧電素子の内部電極を観察したところ、電極材であるAg−Pdが圧電材料と交互に形成されていた。
さらに、圧電性能の評価に先立って試料に分極処理を施した。具体的には、試料をオイルバス中で100℃に加熱し、第一の電極と第二の電極間に1kV/mmの電圧を30分間印加し、電圧を印加したままで室温まで冷却した。
得られた積層圧電素子の圧電性能を評価したところ、十分な絶縁性を有し、実施例1の圧電材料と同等の良好な圧電特性を有していることが分かった。また内部電極にNiやCuを用いて低酸素雰囲気中で焼結した他は同様な工程で作製した積層圧電素子についても同等の圧電特性を得ることができた。
(実施例21)
実施例20と同様の手法で厚み50μmのグリーンシートを得た。上記グリーンシートに内部電極用の導電ペーストを印刷した。導電ペーストには、Niペーストを用いた。導電ペーストを塗布したグリーンシートを9枚積層して、その積層体を熱圧着した。
熱圧着した積層体を管状炉中で焼成した。焼成は300℃まで大気中で行い、脱バインダーを行った後、雰囲気を還元性雰囲気(H2:N2=2:98、酸素濃度2×10−6Pa)に切り替え、1200℃で5時間保持した。降温過程においては、1000℃以下から酸素濃度を30Paに切り替えて室温まで冷却した。
このようにして得られた焼結体を10mm×2.5mmの大きさに切断した後にその側面を研磨し、内部電極を交互に短絡させる一対の外部電極(第一の電極と第二の電極)をAuスパッタにより形成し、図2(b)のような積層圧電素子を作製した。得られた積層圧電素子の内部電極を観察したところ、電極材であるNiが圧電材料層と交互に形成されていた。
次いで、得られた積層圧電素子を、100℃に保持したオイルバス中で1kV/mmの電界を30分間印加し、分極処理した。得られた積層圧電素子の圧電特性を評価したところ、十分な絶縁性を有し、実施例1の圧電素子と同等の良好な圧電特性を得ることができた。
(実施例22)
実施例1の圧電素子を用いて、図3(b)に示される液体吐出ヘッドを作製した。加工時のチッピングも抑制され、入力した電気信号に追随したインクの吐出が確認された。
(実施例23)
実施例22の液体吐出ヘッドを用いて、図4に示される液体吐出装置を作製した。入力した電気信号に追随したインクの吐出が記録媒体(記録紙)上に確認された。
(実施例24)
実施例1の圧電素子を用いて、図6(a)に示される超音波モータを作製した。加工時の外周部のチッピングが抑制され、交番電圧の印加に応じたモータの回転が確認された。
(実施例25)
実施例24の超音波モータを用いて、図7(a)および図7(b)に示される光学機器を作製した。交番電圧の印加に応じたオートフォーカス動作が確認された。
(実施例26)
実施例1の圧電素子を用いて、図9(a)および図9(b)に示される塵埃除去装置を作製した。プラスチック製ビーズを散布し、交番電圧を印加したところ、良好な塵埃除去率が確認された。
(実施例27)
実施例26の塵埃除去装置を用いて、図12に示される撮像装置を作製した。動作させたところ、撮像ユニットの表面の塵を良好に除去し、塵欠陥の無い画像が得られた。
(実施例28)
実施例20の積層圧電素子を用いて、図3(b)に示される液体吐出ヘッドを作製した。入力した電気信号に追随したインクの吐出が確認された。
(実施例29)
実施例28の液体吐出ヘッドを用いて、図4に示される液体吐出装置を作製した。入力した電気信号に追随したインクの吐出が記録媒体(記録紙)上に確認された。
(実施例30)
実施例20の積層圧電素子を用いて、図6(b)に示される超音波モータを作製した。交番電圧の印加に応じたモータの回転が確認された。
(実施例31)
実施例30の超音波モータを用いて、図7(a)および図7(b)に示される光学機器を作製した。交番電圧の印加に応じたオートフォーカス動作が確認された。
(実施例32)
実施例20の積層圧電素子を用いて、図9(a)および図9(b)に示される塵埃除去装置を作製した。プラスチック製ビーズを散布し、交番電圧を印加したところ、良好な塵埃除去率が確認された。
(実施例33)
実施例32の塵埃除去装置を用いて、図12に示される撮像装置を作製した。動作させたところ、撮像ユニットの表面の塵を良好に除去し、塵欠陥の無い画像が得られた。
(実施例34)
実施例20の積層圧電素子を用いて、図14に示される電子機器を作製した。交番電圧の印加に応じたスピーカ動作が確認された。