<撮像素子実装用基板および撮像装置の構成>
以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、撮像素子実装用基板に電子素子が実装され、撮像素子実装用基板の上面に蓋体が接合された構成を撮像装置とする。また、撮像素子実装用基板の外面側に設けられたレンズホルダーを有する構成を撮像モジュールとする。撮像素子実装用基板、撮像装置および撮像モジュールは、いずれの方向が上方若しくは下方とされてもよいが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方とする。
(第1の実施形態)
図1を参照して本発明の第1の実施形態における撮像装置21、および撮像素子実装用基板1について説明する。本実施形態における撮像装置21は、撮像素子実装用基板1と撮像素子10とを備えている。
撮像素子実装用基板1は、上面に撮像素子10が実装される中央領域4bと中央領域4bを取り囲むように設けられた周辺領域4aとを有する無機基板4と、無機基板4の上面に設けられ、中央領域4bを取り囲む枠状の配線基板2と、無機基板4と配線基板2の間に設けられた接合材15とを備え、無機基板4の周辺領域4aに位置する箇所は、上方に
向かって傾斜しており、接合材15は無機基板4の外縁よりも内側に設けられている。
撮像素子実装用基板1は、上面に撮像素子10が実装される中央領域4bと中央領域4bを取り囲むように設けられた周辺領域4aとを有する無機基板4を有している。
無機基板4を構成する材料は例えば、高い熱伝導率を有する材料が使用される。高い熱伝導率を有する材料を使用することによって、撮像素子を使用する際に発生する熱または配線基板2と無機基板4とを接合材15によって接合させる際に生じる熱を外部に放熱しやすくすることができる。無機基板4を形成する材料として例えば、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはシリコン(Si)等が挙げられる。なお、無機基板4を形成する材料として、例えば窒化アルミニウム質結晶体または窒化ケイ素室結晶体等である場合、無機基板4は複数の絶縁層から成る積層体であってもよい。また、無機基板4は複数の絶縁層からなる積層体の表面に導電層を被着させてもよい。なお、無機基板4の上面に位置する中央領域4bに、撮像素子10が実装される。
また、無機基板4の材料としては金属材料も使用され、金属材料として例えば、ステンレス(SUS)、Fe−Ni−Co合金、42アロイ、銅(Cu)または銅合金等が挙げられる。例えば、配線基板2が約5×10−6/℃〜10×10−6/℃の熱膨張率を有する酸化アルミニウム質焼結体である場合、無機基板4は約10〜17×10−6/℃の熱膨張率を有するステンレス(SUS410またはSUS304等)を用いることができる。この場合には、配線基板2と無機基板4との熱収縮差・熱膨張差が小さくなるので、中央領域4bの変形を低減することができる。その結果、撮像素子10とレンズホルダーに設けられたレンズとの光軸ズレを抑制することができ、画像の鮮明度を良好に維持することができる。また、無機基板4が金属材料から成るとき、その材料が非磁性体であることで無機基板4が磁化することを低減させることが可能となる。よって、レンズ駆動等の外部機器の働きを無機基板4が妨げることを低減させることが可能となる。
撮像素子10は例えば、CCD(Charge Coupled Device)型またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の撮像素子が用いられる。なお、撮像素子10は、接着材を介して、無機基板4の上面に配置されていてもよい。この接着材は、例えば、銀エポキシまたは熱硬化性樹脂等が使用される。
撮像素子実装用基板1は、無機基板4の上面に設けられ、中央領域4bを取り囲む枠状の配線基板2を有している。配線基板2は、絶縁層から成り、配線基板2は上面に撮像素子接続用パッド3が設けられている。また、図示していないが、配線基板2の下面には外部回路または無機基板4と接続される外部回路接続用電極を複数設けてもよい。配線基板2を構成する絶縁層の材料は例えば、電気絶縁性セラミックスまたは樹脂(プラスティックス)等が使用される。
配線基板2を形成する絶縁層の材料として使用される電気絶縁性セラミックスとしては例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミック焼結体等が挙げられる。
配線基板2を形成する絶縁層の材料として使用される樹脂としては例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂またはフッ素系樹脂等が挙げられる。フッ素系樹脂としては例えば、ポリエステル樹脂または四フッ化エチレン樹脂が挙げられる。
配線基板2を形成する絶縁層は、前述した材料から成る絶縁層を複数上下に積層して形成されていてもよい。配線基板2を形成する絶縁層は、図1に示すように3層の絶縁層か
ら形成されていてもよいし、単層、2層または4層以上の絶縁層から形成されていてもよい。また、図1に示す例のように、配線基板2を形成する絶縁層の開口部の大きさを異ならせ上面に段差部を形成し、段差部に複数の撮像素子接続用パッド3が設けられていてもよい。
また、配線基板2の上面、側面または下面に、外部回路接続用電極が設けられていてもよい。外部回路接続用電極は、配線基板2と外部回路基板、あるいは撮像装置21と外部回路基板とを電気的に接続するものである。
配線基板2の内部には、絶縁層間に形成される内部配線、内部配線同士を上下に接続する貫通導体が設けられる。これら内部配線または貫通導体は、配線基板2の表面に露出していてもよい。この内部配線または貫通導体によって、外部回路接続用電極および撮像素子接続用パッド3が電気的に接続されていてもよい。
撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体は、配線基板2が電気絶縁性セラミックスから成る場合には、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、銀(Ag)若しくは銅(Cu)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。また、撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体は、配線基板2が樹脂から成る場合には、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)若しくはチタン(Ti)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。
撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体の露出表面に、めっき層が設けられてもよい。この構成によれば、撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体の露出表面を保護して酸化を抑制できる。また、この構成によれば、撮像素子接続用パッド3と撮像素子10とをワイヤボンディング等の接続部材13を介して良好に電気的接続することができる。めっき層は、例えば、厚さ0.5〜10μmのNiめっき層を被着させるか、またはこのNiめっき層および厚さ0.5〜3μmの金(Au)めっき層を順次被着させてもよい。
また、配線基板2は封止の為に蓋体12を有していてもよい。蓋体12は、例えば、平板形状である。また、蓋体12は、例えば撮像素子10が撮像素子、又はLEDなどの発光素子である場合ガラス材料等の透明度の高い部材が用いられる。蓋体12は、例えば、熱硬化性樹脂または低融点ガラスまたは金属成分から成るろう材等の接着部材14により、配線基板2の上面に接合される。
撮像素子実装用基板1は、無機基板4と配線基板2の間に接合材15を有している。そのとき例えば、後述するが配線基板2が切り欠きなどを有している場合、上面視において切り欠きの内部に接合材15が露出していてもよい。
接合材15を構成する材料として例えば、熱硬化性樹脂またはろう材等が使用される。接合材15を形成する材料として使用される熱硬化性樹脂として例えば、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂等が挙げられる。また、接合材15を形成する材料として使用されるろう材として例えば、ハンダ、鉛、ガラスなどが挙げられる。
接合材15は例えば導電性を有していてもよい。接合材15として例えば、銀エポキシ、はんだ、異方性導電樹脂(ACF)または異方性導電フィルム(ACP)等である。接合材15が導電性を有することで、配線基板2と無機基板4とを電気的に接合することが可能となる。例えば配線基板2と無機基板4とを接地電極と同電位で電気的に接合させることで、撮像素子10を外部からのノイズから守るシールドの役割を無機基板4に持たせることが可能となる。
無機基板4の周辺領域4aに位置する箇所は、上方に向かって傾斜しており、接合材15は無機基板4の外縁よりも内側に設けられている。接合材15が接合の工程等で押圧されたとしても、上方に向かって傾斜した周辺領域4aにより接合材15が無機基板4の側面へ露出することを低減させることが可能となる。
以上に示した本発明の実施形態に係る撮像素子実装用基板1は、無機基板4の周辺領域4aに位置する箇所は、上方に向かって傾斜しており、接合材15は無機基板4の外縁よりも内側に設けられている。このことで、配線基板2および無機基板4が小型化した場合に、接合材15が接合の工程等で押圧されたとしても、上方に向かって傾斜した周辺領域4aにより接合材15が無機基板4の側面へ露出することを低減させることが可能となる。よって、配線基板2と無機基板4との接合材15が外部へ露出することを低減させることが可能となり、撮像装置21の気密性の低下またはレンズホルダー19の接合不良を低減させることが可能となる。
また、接合材15が導電性の材料から成るとき、配線基板2と無機基板4とを電気的に接合することが可能となる。このとき、接合材15が外部に露出することで外部回路およびその他の部品と接触しショートが発生することを低減させることが可能となる。
また、本発明の実施形態に係る撮像素子実装用基板1は、無機基板4の周辺領域4aに位置する箇所は、上方に向かって傾斜しており、接合材15は無機基板4の外縁よりも内側に設けられている。このことで、周辺領域4aがバネとなって撮像装置21の外部からかかる応力を緩和させることが可能となる。よって、配線基板2および無機基板4が薄型化しても、配線基板2にクラックまたは割れ等が発生する可能性を低減させることが可能となる。
<撮像モジュールの構成>
図2に、撮像素子実装用基板1を用いた撮像モジュール31を示す。撮像モジュール3
1は、撮像装置21と撮像装置21に設けられたレンズホルダー19とを有している。また、撮像装置21は、撮像素子実装用基板1と、撮像素子実装用基板1の無機基板4の中央領域4bに実装された撮像素子10とを備えている。
また、図1に示す例の様に、無機基板の外縁は、前記配線基板の外縁よりも内側に位置していてもよい。このように、無機基板4の外縁が配線基板2の外縁と同じ位置または内側に位置していることで、撮像装置21のより小型化が可能となる。さらに、無機基板4の外縁が配線基板2の外縁よりも内側に位置することで配線基板2と無機基板4の外縁との間を小さくすることが可能となる。よって、接合材15が無機基板4の側面へ露出することをより低減させることが可能となる。
また、図1に示す例の様に、無機基板4の上端は、配線基板2の下端と間を空けて設けられていてもよい。このように、無機基板4と配線基板2との間に距離を設けることで、無機基板4に応力がかかった場合に、配線基板2と無機基板4とが接触する可能性を低減させることが可能となる。このことで無機基板4から配線基板2に応力が伝わることを低減させることが可能となり、配線基板2に割れまたはクラックが発生することを低減させることが可能となる。
図2に示す例のように、撮像モジュール31はレンズホルダー19を有している。レンズホルダー19を有することでより気密性の向上または外部からの応力が直接撮像装置2
1に加えられることを低減することが可能となる。レンズホルダー19は、例えば樹脂または金属材料等から成る筐体と、樹脂、液体、ガラスまたは水晶等からなるレンズが1個以上組み込まれていてもよい。また、レンズホルダー19は、上下左右の駆動を行う駆動装置等が付いていて、配線基板2と電気的に接続されていてもよい。
また、図2に示す例では、レンズホルダー19の下端部は断面視で無機基板4の下面に到達し、一部と重なるように設けられている。このことによって、撮像モジュール31の気密性をより高くすることが可能となる。また、この場合には本発明のように、無機基板4の周辺領域4aが上面側へ傾斜しており、接合材15が無機基板4の外縁よりも内側に設けられていることで、接合材15が撮像装置21の側面へ露出し、レンズホルダー19を接合する際に嵌合性の悪化を低減させることが可能となる。
なお、図2に示す例では図示していないが、レンズホルダー19は上面視において4方向の少なくとも一つの辺において開口部が設けられていてもよい。そして、レンズホルダー19の開口部から外部回路が挿入され配線基板2と電気的に接続していてもよい。またレンズホルダー19の開口部は、外部回路が配線基板2と電気的に接続された後、樹脂等の封止材等で開口部の隙間を閉じて撮像モジュール31の内部が気密されていてもよい。
また、図示していないが無機基板4は上面側へ曲がっている箇所の上面、下面または上面および下面の両方からスリットが設けられていてもよい。このことで、無機基板4の屈曲点で応力をより緩和させることが可能となる。
<撮像素子実装用基板および撮像装置の製造方法>
次に、本実施形態の撮像素子実装用基板1および撮像装置21の製造方法の一例について説明する。なお、下記で示す製造方法の一例は、配線基板2を多数個取り配線基板を用いた製造方法である。
(1)まず、配線基板2を構成するセラミックグリーンシートを形成する。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体である配線基板2を得る場合には、Al2O3の粉末に焼結助材としてシリカ(SiO2)、マグネシア(MgO)またはカルシア(CaO)等の粉末を添加し、さらに適当なバインダー、溶剤および可塑剤を添加し、次にこれらの混合物を混錬してスラリー状となす。その後、ドクターブレード法またはカレンダーロール法等の成形方法によって多数個取り用のセラミックグリーンシートを得る。
なお、配線基板2が、例えば樹脂から成る場合は、所定の形状に成形できるような金型を用いて、トランスファーモールド法またはインジェクションモールド法等で成形することによって配線基板2を形成することができる。
また、配線基板2は、例えばガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものであってもよい。この場合には、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって配線基板2を形成できる。
(2)次に、スクリーン印刷法等によって、上記(1)の工程で得られたセラミックグリーンシートに撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体となる部分に、金属ペーストを塗布または充填する。この金属ペーストは、前述した金属材料から成る金属粉末に適当な溶剤およびバインダーを加えて混練することによって、適度な粘度に調整して作製される。なお、金属ペーストは、配線基板2との接合強度を高めるために、ガラスまたはセラミックスを含んでいても構わない。
(3)次に、前述のグリーンシートを金型等によって加工する。配線基板2となるグリーンシートの中央部に、開口部を形成する。なお、このとき配線基板2となるグリーンシートの所定の箇所に溝2aを金型等で形成してもよい。
(4)次に、各絶縁層となるセラミックグリーンシートを積層して加圧することにより配線基板2となるセラミックグリーンシート積層体を作製する。また、本工程では、例えば、それぞれの層となるグリーンシートに貫通孔を設け、積層して加圧することにより、配線基板2となるグリーンシート積層体を作製してもよい。また、本工程では、例えば、それぞれの層となるグリーンシートに溝2aを設け、両者を積層して加圧することにより、配線基板2となるグリーンシート積層体を作製してもよいし、配線基板2となるグリーンシートを複数積層した後溝2aを形成してもよい。
(5)次に、このセラミックグリーンシート積層体を約1500〜1800℃の温度で焼成して、配線基板2が複数配列された多数個取り配線基板を得る。なお、この工程によって、前述した金属ペーストは、配線基板2となるセラミックグリーンシートと同時に焼成され、撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体となる。
(6)次に、焼成して得られた多数個取り配線基板を複数の配線基板2に分断する。この分断においては、配線基板2の外縁となる箇所に沿って多数個取り配線基板に分割溝を形成しておき、この分割溝に沿って破断させて分割する方法またはスライシング法等により配線基板2の外縁となる箇所に沿って切断する方法等を用いることができる。なお、分割溝は、焼成後にスライシング装置により多数個取り配線基板の厚みより小さく切り込むことによって形成することができるが、多数個取り配線基板用のセラミックグリーンシート積層体にカッター刃を押し当てたり、スライシング装置によりセラミックグリーンシート積層体の厚みより小さく切り込んだりすることによって形成してもよい。
(7)次に、配線基板2の下面に接合される無機基板4を用意する。無機基板4は、金属材料からなる場合は、金属材料から成る板材に、従来周知のスタンピング金型を用いた打ち抜き加工またはエッチング加工等によって作製される。また、他の材料から成る場合も同様にそれぞれの材質にあった打ち抜き加工等によって作製することが可能となる。また、無機基板4が金属材料であるFe−Ni−Co合金、42アロイ、Cuまたは銅合金等の金属から成る場合には、その表面にニッケルめっき層および金めっき層を被着してもよい。これにより、無機基板4の表面の酸化腐食を有効に抑制することができる。
また、無機基板4が電気絶縁性セラミック等からなり、表面に導体パターンをプリントしている場合も同様にその表面にニッケルめっき層および金めっき層を被着してもよい。これにより、無機基板4の表面の酸化腐食を有効に抑制することができる。
尚この時、押圧や金型等を用いて所定の位置に上面側へ曲がった部分を作成することもできる。
(8)次に、接合材15を介して、配線基板2と無機基板4とを接合する。接合材15は、ペースト状の熱硬化性樹脂(接着部材)をスクリーン印刷法またはディスペンス法等で、配線基板2または無機基板4のいずれか一方または両方の接合面に塗布する。そして、熱硬化性樹脂を乾燥させた後、配線基板2と無機基板4とを重ねた状態で、トンネル式の雰囲気炉またはオーブン等に通炉させ、加圧し加熱することで接合材を熱硬化させ、配線基板2と無機基板4とを強固に接着させる。
接合材15は、例えばビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、ビスフェノールF型液状
エポキシ樹脂、フェノールノボラック型液状樹脂等からなる主剤に、球状の酸化珪素等から成る充填材、テトラヒドロメチル無水フタル酸等の酸無水物などを主とする硬化剤および着色剤としてカーボン紛末等を添加し遠心攪拌機等を用いて混合または混練してペースト状とすることによって得られる。
また、接合材15としては、この他にも例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールA変性エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、特殊ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール誘導体エポキシ樹脂、ビスフェノール骨格型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にイミダゾール系、アミン系、リン系、ヒドラジン系、イミダゾールアダクト系、アミンアダクト系、カチオン重合系またはジシアンジアミド系等の硬化剤を添加したもの等を使用することができる。
(9)次に、無機基板4の中央領域4bに撮像素子10を実装する。撮像素子10はワイヤーボンディング等で配線基板2と電気的に接合させる。またこのとき、撮像素子10または無機基板4に接着材等を設け、無機基板4に固定しても構わない。また、撮像素子10を無機基板4の中央領域に実装した後、蓋体12を接着部材14で接合してもよい。
以上のようにして配線基板2と無機基板4とを組み立てることで、撮像装置21を作製することができる。上記(1)〜(9)の工程によって、撮像装置21が得られる。なお、上記(1)〜(9)の工程順番は指定されない。
また、無機基板4を上面側に曲げる方法として、配線基板2と無機基板4との熱膨張率の差を用いることで作製することができる。例えば、無機基板4よりも配線基板2の熱膨張率が大きくなるように選択することで、接合材15を硬化させるための加熱の工程で、熱膨張の大きさの差により、接合材15が硬化後は無機基板4が上面側の方向へ曲がるように設定することが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による撮像素子実装用基板1、撮像装置21および撮像モジュール31について、図3および図4を参照しつつ説明する。本実施形態における撮像素子実装用基板1および撮像装置21において、第1の実施形態の撮像素子実装用基板1および撮像装置21と異なる点は、上面視において無機基板4が配線基板2の外辺より突出している点である。
本実施形態では、無機基板4の外縁は、配線基板2の外縁よりも外側に位置している。このことで、配線基板2の小型化によって接合材15の周囲のクリアランスを設けることが難しくなっても無機基板4が配線基板2の外縁よりも外側に位置していることで接合材15が接合時の押圧により無機基板4の周囲へ露出することをより低減させることが可能となる。
また、無機基板4の外縁が上面視で配線基板2の外縁よりも外側に位置していることで、落下などの衝撃をより無機基板4で受け止めやすく、配線基板2に衝撃がかかることをより低減させることが可能となる。ひいては配線基板2の割れ等を低減させることが可能となる。
図4に本実施形態における撮像モジュール31を示す。本実施形態では、レンズホルダー19の脚部は無機基板4の周辺領域4aの上面に位置している。このことによって、撮像モジュール31が落下、またはレンズホルダーの上面から応力がかかり無機基板4に応力がかかった場合においても、上面側へ傾斜した周辺領域4aによって応力を吸収する事が可能となる。よって、無機基板4が変形するまたは、加わった応力が無機基板4から配線基板2に伝達し、配線基板2に割れまたはクラックが発生することを低減させることが可能となる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態による撮像素子実装用基板1および撮像装置21について、図5を参照しつつ説明する。本実施形態における撮像素子実装用基板1および撮像装置21において、第2の実施形態の撮像素子実装用基板1および撮像装置21と異なる点は、配線基板2の外側面に上下方向に沿った溝が設けられている点である。
本実施形態では、配線基板2は矩形状であり、配線基板2の外側面には、上下方向に沿った溝2aが形成されている。一般的に、図5に示す例の様に配線基板2の外側面に溝2aを設けたとき、接合材15は溝2aの外縁に沿って、且つ外縁からクリアランスを設けて塗布することで無機基板4の側面へ露出することを低減させている。しかしながら、近年の配線基板2の小型化により、配線基板2に溝2aが設けられている場合に接合材15のクリアランスを設け、接合材15が無機基板4の側面へ露出することを低減させることが非常に難しくなる傾向がある。これに対し、本実施形態では、無機基板4の周辺領域4aが上面側へ傾斜していることで、接合材15を塗布する際に、溝2aの外縁に沿ったクリアランスを設けなくても、接合材15が無機基板4の側面へ露出することを低減させることが可能となる。
なお、ここで溝2aは例えば方向性を指示するために設けている、またはレンズホルダー19若しくはその他外部回路、無機基板4と接合するために設けられている。そのため、溝2aは表面に導体層を有し、配線基板2内部と電気的に接続していてもよいし、さらにその表面にNiめっき、金メッキなどの表面処理をしていてもよい。また、レンズホルダー19の脚部が溝2aに嵌まっていてもよいし、その際導電性の接合材等で電気的に接合していてもよい。
図示していないが、本実施形態の撮像装置21を用いた撮像モジュール31はレンズホルダーの脚部が溝2aに嵌まっており、その先端が接合材15と重なるように設けられていてもよい。このことで、レンズホルダー19の上面から応力がかかった場合においても、接合材15でその応力を吸収する事が可能となるため、無機基板4に変形、クラック等の発生または無機基板4と配線基板2との剥離の可能性を低減させることが可能となる。なお、この時、接合材15は延性の高い材料を用いることでこの効果を高めることが可能となる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態による撮像素子実装用基板1および撮像装置21について、図6を参照しつつ説明する。本実施形態における撮像素子実装用基板1および撮像装置21において、第2の実施形態の撮像素子実装用基板1および撮像装置21と異なる点は、配線基板2の側面に接合材15が設けられている点である。
本実施形態では、接合材15は、配線基板2の側面にかけて設けられている。一般的に、配線基板2が小型化すると、配線基板2と無機基板4との接合面積が小さくなり、接合強度が低減する虞れがある。これに対し、無機基板4の周辺領域4aが上面へ傾斜していることで、無機基板4の側面へ接合材15が露出することを低減させ、また配線基板2の側面にかけて接合材15が設けられていることで、接合材15がフィレットを形成し、さらに接合面積を大きくすることが可能となるため、接合強度を向上させることが可能となる。
本実施形態のように接合材15を配線基板2の側面にかけて設ける方法として、例えば無機基板4に接合材15を配線基板2の外縁より食み出るように塗布し、その後配線基板2の上面から加圧し接合材15を加圧させることで作製することができる。または配線基板2の側面の表面粗さを粗くし、接合材15が這い上がりやすくする事でも作製することが可能となる。
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態による撮像素子実装用基板1および撮像装置21について、図7を参照しつつ説明する。本実施形態における撮像素子実装用基板1および撮像装置21において、第1の実施形態の撮像素子実装用基板1および撮像装置21と異なる点は、配線基板2と無機基板4との間にフレキシブル基板5が設けられている点である。
本実施形態では、無機基板4の上面と配線基板2の下面の間に設けられ、中央領域4bを取り囲む枠状のフレキシブル基板5をさらに備えている。このように、ヤング率の低いフレキシブル基板5を配線基板2と無機基板4との間に設けることで、フレキシブル基板5が無機基板4にかかった応力を吸収する事が可能となる。よって、より無機基板4にかかる応力が配線基板2に伝搬し、配線基板2にクラックまたは割れ等が発生することをより低減させることが可能となる。
また、接合材15が導電性の材料から成るとき、無機基板4の周辺領域4aが上面側へ傾斜していることで、接合材15が広がり無機基板4の側面へ露出した際に、フレキシブル基板5と接合材15とその他外部回路基板または電子部品と不用意な接触をして、ショート等が発生する可能性を低減させることが可能となる。また、図7に示す例では、フレキシブル基板5は断面視で無機基板4と同じ方向へ曲がっていても構わない。
フレキシブル基板5は例えばベースフィルムを有している。ベースフィルムを形成する材料として例えばポリイミドフィルム等の樹脂から成る絶縁体が用いられる。また、フレキシブル基板5は、ベースフィルムの上面に導電層を有している。導電層は、銅、アルミニウム、金、ニッケルまたはこれらから選ばれる少なくとも1種類以上の金属材料を含有する合金からなる。
また、導電層の露出表面に、めっき層が設けられてもよい。この構成によれば、導電層の露出表面を保護して酸化を抑制できる。また、この構成によれば、配線基板2と導電層との電気的接続の電気的接続を良好にできる。めっき層は、例えば、厚さ0.5〜10μmのNiめっき層を被着させるか、またはこのNiめっき層および厚さ0.5〜3μmの金(Au)めっき層を順次被着させてもよい。さらにはめっき層上にSnメッキが施されていてもよい。
フレキシブル基板5は、導電層の上面に設けられたカバーフィルムを有している。カバーフィルムは導電層の表面保護用のフィルムであり、ポリイミドフィルム等の樹脂材料からなるフィルムの片面に接着材を塗布し、配線基板2と電気的に接合される個所以外の導電層の表面に設けられている。なお、フレキシブル基板5と配線基板2とは導電性の接合材で接続されている。
また、フレキシブル基板5と無機基板4とを接合する接合材15およびフレキシブル基板5と配線基板2とを接合する接着部材は、電子素子10の実装工程において加えられる熱によって変性しにくい材料からなる。このような接合材15および接着部材としては、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂等である。この場合には、電子素子10の実装工程においてフレキシブル基板5と無機基板4、またはフレキシブル基板5と配線基板2とが剥離することを良好に抑制することができる。また、接合材15お
よび接着部材は導電性であってもよく、フレキシブル基板5と配線基板2またはフレキシブル基板5と無機基板4とは電気的に接合していてもよい。なお、導電性の接合材15または接着部材として例えば、例えば例えば、銀エポキシ、はんだ、異方性導電樹脂(ACF)または異方性導電フィルム(ACP)等である。
また、図7に示す例ではフレキシブル基板5は上面視において無機基板4よりも内側に位置している。このことで、撮像装置21の外形のすべての基準を無機基板4の外縁で統一することが可能となる。よって、撮像装置21をより小型化することが可能となると同時に撮像装置21の外寸を統一することが容易となる。
なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、数値などの種々の変形は可能である。また、例えば、図1〜図7に示す例では、撮像素子接続用パッド3の形状は矩形状であるが、円形状やその他の多角形状であってもかまわない。また、本実施形態における撮像素子接続用パッド3の配置、数、形状などは指定されない。なお、本実施形態における特徴部の種々の組み合わせは上述の実施形態の例に限定されるものではい。