以下、本発明のいくつかの例示的な実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、撮像素子が実装され、レンズ筐体が接合された構成を撮像装置とする。撮像装置は、いずれの方向が上方若しくは下方とされてもよいが、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともに、z方向の正側を上方とする。
(第1の実施形態)
図1〜図4を参照して本発明の第1の実施形態における撮像装置21について説明する。本実施形態における撮像装置21は、撮像素子10と蓋体12とレンズ筐体19を備えている。
撮像装置21は、上面に中央領域11を有する平板4と、平板4上に設けられた、中央領域11に実装された撮像素子10と、平板4上に撮像素子10を取り囲んで設けられた、外縁が矩形の枠状であって、外側面のうち撮像素子10を挟む2箇所には上端から下端にまで溝2aが形成され、撮像素子10に電気的に接続された配線基板2と、配線基板2を取り囲むとともに、下部が配線基板2の外縁に沿って配置され、下部から下方に向かって突出した凸部19aを有し、凸部19aが溝2aに嵌るとともに平板4に固定されたレンズ筐体19を備えている。
平板4は、矩形状の板体である。平板4を構成する材料は例えば、高い熱伝導率を有する材料が使用される。平板4を形成する材料として例えば、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはシリコン(Si)等が挙げられる。なお、平板4を形成する材料として、例えば窒化アルミニウム質結晶体または窒化ケイ素室結晶体等である場合、平板4は複数の絶縁層から成る積層体であっても良い。なお、平板4の上面に位置する中央領域11に、撮像素子10が実装される。
また、平板4の材料としては金属材料も使用され、金属材料として例えば、ステンレス(SUS)、Fe−Ni−Co合金、42アロイ、銅(Cu)、コバールまたは銅合金等が挙げられる。例えば、配線基板2が約5×10−6/℃〜10×10−6/℃の熱膨張率を有する酸化アルミニウム質焼結体である場合、平板4は約10×10−6/℃の熱膨張率を有するステンレス(SUS410)を用いることができる。この場合には、配線基板2と平板4との熱収縮差・熱膨張差が小さくなるので、撮像素子実装部11の変形を低
減することができる。その結果、撮像素子10とレンズとの光軸ズレを抑制することができ、画像の鮮明度を良好に維持することができる。また、平板4が金属材料から成るとき、その材料が非磁性体であることで、レンズ駆動等の外部機器の働きを平板4が妨げることを低減させることが可能となる。
撮像素子10は、平板4の中央領域11に実装されている。撮像素子10は、例えば、CCD型またはCMOS型等の撮像素子が用いられる。なお、撮像素子10は、接着材を介して、平板4の上面に配置されていてもよい。この接着材は、例えば、銀エポキシまたは熱硬化性樹脂等が使用される。
撮像装置21は平板4上に撮像素子10を取り囲んで設けられた、外縁が矩形の枠状の配線基板2を有している。配線基板2は撮像素子10に電気的に接続されている。撮像素子10の各電極は、接続部材13(ボンディングワイヤ)によって配線基板2に電気的に接続されている。
配線基板2は、絶縁層から成り、配線基板2は上面に撮像素子接続用パッド3が設けられている。また、図示していないが、配線基板2の下面には外部回路または平板4と接続される外部回路接続用電極を複数設けても良い。配線基板2を構成する絶縁層の材料は例えば、電気絶縁性セラミックスまたは樹脂(プラスティックス)等が使用される。
配線基板2を形成する絶縁層の材料として使用される電気絶縁性セラミックスとしては例えば、酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、窒化珪素質焼結体またはガラスセラミック焼結体等が挙げられる。
配線基板2を形成する絶縁層の材料として使用される樹脂としては例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂またはフッ素系樹脂等が挙げられる。フッ素系樹脂としては例えば、ポリエステル樹脂または四フッ化エチレン樹脂が挙げられる。
配線基板2を形成する絶縁層は、前述した材料から成る絶縁層を複数上下に積層して形成されている。配線基板2を形成する絶縁層は、図1に示すように3層の絶縁層から形成されていても良いし、単層、2層または4層以上の絶縁層から形成されていても良い。また、図1に〜図4に示す例のように、配線基板2を形成する絶縁層の開口部の大きさを異ならせ上面に段差部を形成し、段差部に複数の撮像素子接続用パッド3が設けられていてもよい。
また、配線基板2の上面、側面または下面に、外部回路接続用電極が設けられていてもよい。外部回路接続用電極は、配線基板2と外部回路基板、あるいは撮像装置21と外部回路基板とを電気的に接続するものである。
配線基板2の内部には、絶縁層間に形成される内部配線、内部配線同士を上下に接続する貫通導体が設けられる。これら内部配線または貫通導体は、配線基板2の表面に露出していても良い。この内部配線または貫通導体によって、外部回路接続用電極および撮像素子接続用パッド3が電気的に接続されていても良い。
撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体は、配線基板2が電気絶縁性セラミックスから成る場合には、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、マンガン(Mn)、銀(Ag)若しくは銅(Cu)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。また、撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体は、配線基板2が樹脂から成る場合には、銅(Cu)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)若しくはチタン(Ti)またはこれらから選ばれる少なくとも1種以上の金属材料を含有する合金等から成る。
撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体の露出表面に、めっき層が設けられてもよい。この構成によれば、撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体の露出表面を保護して酸化を抑制できる。また、この構成によれば、撮像素子接続用パッド3と撮像素子10とをワイヤボンディング等の接続部材13を介して良好に電気的接続することができる。めっき層は、例えば、厚さ0.5〜10μmのNiめっき層を被着させるか、またはこのNiめっき層および厚さ0.5〜3μmの金(Au)めっき層を順次被着させてもよい。
また、配線基板2は封止の為に蓋体12を有していても良い。蓋体12は、例えば、平板形状である。また、蓋体12は、ガラス材料等の透明度の高い部材が用いられる。蓋体12は、例えば、熱硬化性樹脂または低融点ガラス等の接合部材14により、配線基板2の上面に接合される。
配線基板2は、外側面のうち撮像素子10を挟む2箇所には上端から下端にまで溝2aが形成されている。図1および図2に示す例では配線基板2は上面視で楕円形状の溝2aを有しているが、溝2aは撮像素子10を挟む少なくとも2箇所、かつ上端から下端にまでかけて設けられていればよい。例えば、図3に示す例のように、溝2aは上面視で円弧の一部のみであっても良い。また例えば、溝2aは上面視で半円状、矩形状またはそれ以上の多角形状であっても良い。また例えば、溝2aが上面視で矩形状またはそれ以上の多角形状であるとき溝2aの角部は円弧を描いていることで、溝2aを設ける際に配線基板2にかかる応力を低減させクラック等の発生を低減させることが可能となる。
また溝2aは、例えば図1に示す例では縦断面視において直線状に設けられているが、上面または下面に向かって暫時斜めとなっていても良い。また、配線基板2が複数の絶縁層から成る場合、溝2aは縦断面視において層間で段差があってもよい。なお、溝2aは、図1に示す例では、例えば上下方向の長さが0.30mm〜3.00mmであって、配線基板2の外側面に沿った方向の幅が0.05mm〜2.00mmであって、溝2aの底部から配線基板2の外側面までの奥行きが0.05mm〜0.50mmに設定されている。
レンズ筐体19は、配線基板2を取り囲むとともに、下部が配線基板2の外縁に沿って配置されている。レンズ筐体19は、樹脂等から成る筐体と、樹脂、液体、ガラスまたは水晶等からなるレンズが1個以上筐体に接合されたものである。また、レンズ筐体19は、上下左右の駆動を行う駆動装置等が付いていて、配線基板2と電気的に接続されていても良い。
レンズ筐体19は下部から下方に向かって突出した凸部19aを有し、凸部19aが溝2aに嵌るとともに平板4に固定されている。なお、凸部19aは、図1に示す例では、上下方向の長さが0.30mm〜3.00mmであって、上面視したときの1辺の長さが0.05mm〜2.00mmに設定されている。
近年、撮像装置21は薄型化が要求されており、配線基板2の厚みも薄くなってきている。配線基板2が薄型化することで、配線基板2にクラックまたは割れが発生する可能性が高まっている。これに対し、レンズ筐体19が下方に向かって突出した凸部19aを有し、凸部19aが溝2aにはまるとともに、平板4に固定されていることで、凸部19aによりレンズ筐体19からかかる応力を平板4へ分散することが可能となる。よって、撮
像装置21の配線基板2にクラックまたは割れ等を抑制することが可能となる。
なお、図1〜図3に示す例では図示していないが、レンズ筐体19は上面視において4方向の少なくとも一つの辺において開口部が設けられている。そして、レンズ筐体19の開口部から外部回路が挿入され配線基板2と電気的に接続していても良い。またレンズ筐体19の開口部は、外部回路が配線基板2と電気的に接続された後、樹脂等の封止材等で開口部の隙間を閉じて撮像装置21の内部が気密されていても良い。
また、図1〜図2に示す例のように、平板4の外縁は上面視で配線基板2の外縁よりも内側に位置していても良い。これにより、工程誤差等により平板4の外縁が上面視で配線基板2よりも外側に位置することを低減することができ、撮像装置21および撮像装置21の実装エリアをより小型化することが可能となる。
また、図3に示す例のように、平板4の外縁が上面視で配線基板2の外縁よりも外側に位置していてもよい。平板4の外縁が上面視で配線基板2の外縁よりも外側に位置していることで、落下などの衝撃を平板4で受け止め、配線基板2に衝撃がかかることを低減させることが可能となり、ひいては配線基板2の割れ等を低減させることが可能となる。
また、図1〜図2に示す例では、凸部19aの側部は溝2aの内面と一部間を空けて設けられているが、図3に示す例のように凸部19aの側部が溝2aの内面と全てが接するように設けられていても良い。凸部19aの側部が溝2aの内面と接するように設けられていることで、レンズ筐体19の内部と蓋体12との間の領域の気密性を良好とすることが可能となり、蓋体12の撮像エリアに塵などがつくことを低減させることが可能となる。
図1〜図3に示す例では、溝2aは矩形状の配線基板2の各辺の中央部に設けられているが、図4(a)に示す例のように配線基板2の角部に溝2aを設けていても良い。一般的に矩形状の配線基板2を有する撮像装置21が落下等した場合、配線基板2の角部に応力がかかると辺の中央部近傍と比較してより応力が集中し、配線基板2に欠け等が発生する可能性が高くなる。図4(a)に示すように、角部に溝2aを設けることで、撮像装置21の落下等による応力が集中することを低減することが可能となり、配線基板2の欠け等を低減させることが可能となる。
また、図4(b)に示す例のように溝2aは、配線基板2の角や各辺の複数箇所に設け、溝2aと対応する箇所に凸部19aが設けられていても良い。また、図4(b)に示す例のように上面視で溝2aおよび凸部19aと重なる位置の平板4が外側へ突出していても良い。このことで、平板4を小さくしつつ、凸部19aを設けるエリアをさらに確保することが可能となる。
溝2aは撮像素子10を挟むように設けている。このとき、図1〜図4に示す例では、撮像素子10を挟むとは、2つの溝2a同士を結ぶ仮想線が撮像素子10を通るように設けている。また、例えば撮像素子10を挟む1組の対向する辺のそれぞれに設けられている場合も撮像素子10を挟むように設けているととらえることが可能である。
次に、本実施形態の撮像装置21の製造方法の一例について説明する。なお、下記で示す製造方法の一例は、配線基板2を多数個取り配線基板を用いた製造方法である。
(1)まず、配線基板2を構成するセラミックグリーンシートを形成する。例えば、酸化アルミニウム(Al2O3)質焼結体である配線基板2を得る場合には、Al2O3の粉末に焼結助材としてシリカ(SiO2)、マグネシア(MgO)またはカルシア(Ca
O)等の粉末を添加し、さらに適当なバインダー、溶剤および可塑剤を添加し、次にこれらの混合物を混錬してスラリー状となす。その後、従来周知のドクターブレード法またはカレンダーロール法等の成形方法によって多数個取り用のセラミックグリーンシートを得る。
なお、配線基板2が、例えば樹脂から成る場合は、所定の形状に成形できるような金型を用いて、トランスファーモールド法またはインジェクションモールド法等で成形することによって配線基板2を形成することができる。
また、配線基板2は、例えばガラスエポキシ樹脂のように、ガラス繊維から成る基材に樹脂を含浸させたものであってもよい。この場合には、ガラス繊維から成る基材にエポキシ樹脂の前駆体を含浸させ、このエポキシ樹脂前駆体を所定の温度で熱硬化させることによって配線基板2を形成できる。
(2)次に、スクリーン印刷法等によって、上記(1)の工程で得られたセラミックグリーンシートに撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体となる部分に、金属ペーストを塗布または充填する。
この金属ペーストは、前述した金属材料から成る金属粉末に適当な溶剤およびバインダーを加えて混練することによって、適度な粘度に調整して作製される。なお、金属ペーストは、配線基板2との接合強度を高めるために、ガラスまたはセラミックスを含んでいても構わない。
(3)次に、前述のグリーンシートを金型等によって加工する。配線基板2となるグリーンシートの中央部に、開口部を形成する。なお、このとき配線基板2となるグリーンシートの所定の箇所に溝2aを金型等で形成しても良い。
(4)次に、各絶縁層となるセラミックグリーンシートを積層して加圧することにより配線基板2となるセラミックグリーンシート積層体を作製する。また、本工程では、例えば、それぞれの層となるグリーンシートに貫通孔を設け、両者を積層して加圧することにより、配線基板2となるグリーンシート積層体を作製しても良い。また、本工程では、例えば、それぞれの層となるグリーンシートに溝2aを設け、両者を積層して加圧することにより、配線基板2となるグリーンシート積層体を作製しても良いし、配線基板2となるグリーンシートを複数積層した後溝2aを形成してもよい。
(5)次に、このセラミックグリーンシート積層体を約1500〜1800℃の温度で焼成して、配線基板2が複数配列された多数個取り配線基板を得る。なお、この工程によって、前述した金属ペーストは、配線基板2となるセラミックグリーンシートと同時に焼成され、撮像素子接続用パッド3、外部回路接続用電極、内部配線および貫通導体となる。
(6)次に、焼成して得られた多数個取り配線基板を複数の配線基板2に分断する。この分断においては、配線基板2の外縁となる箇所に沿って多数個取り配線基板に分割溝を形成しておき、この分割溝に沿って破断させて分割する方法またはスライシング法等により配線基板2の外縁となる箇所に沿って切断する方法等を用いることができる。なお、分割溝は、焼成後にスライシング装置により多数個取り配線基板の厚みより小さく切り込むことによって形成することができるが、多数個取り配線基板用のセラミックグリーンシート積層体にカッター刃を押し当てたり、スライシング装置によりセラミックグリーンシート積層体の厚みより小さく切り込んだりすることによって形成してもよい。
(7)次に、配線基板2の下面に接合される平板4を用意する。平板4は、金属材料からなる場合は、金属材料から成る板材に、従来周知のスタンピング金型を用いた打ち抜き加工またはエッチング加工等によって作製される。また、他の材料から成る場合も同様にそれぞれの材質にあった打ち抜き加工等によって作製することが可能となる。また、平板4が金属材料であるFe−Ni−Co合金、42アロイ、Cuまたは銅合金等の金属から成る場合には、その表面にニッケルめっき層および金めっき層を被着してもよい。これにより、平板4の表面の酸化腐食を有効に抑制することができる。
また、平板4が電気絶縁性セラミック等からなり、表面に導体パターンをプリントしている場合も同様にその表面にニッケルめっき層および金めっき層を被着してもよい。これにより、平板4の表面の酸化腐食を有効に抑制することができる。
(8)次に、接合材を介して、配線基板2と平板4とを接合する。接合材は、ペースト状の熱硬化性樹脂(接着部材)をスクリーン印刷法またはディスペンス法等で、配線基板2または平板4のいずれか一方の接合面に塗布する。そして、熱硬化性樹脂を乾燥させた後、配線基板2と平板4とを重ねた状態で、トンネル式の雰囲気炉またはオーブン等に通炉させ、加圧し加熱することで接合材を熱硬化させ、配線基板2と平板4とを強固に接着させる。
接合材は、例えばビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型液状樹脂等からなる主剤に、球状の酸化珪素等から成る充填材、テトラヒドロメチル無水フタル酸等の酸無水物などを主とする硬化剤および着色剤としてカーボン紛末等を添加し遠心攪拌機等を用いて混合または混練してペースト状とすることによって得られる。
また、接合材としては、この他にも例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールA変性エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、特殊ノボラック型エポキシ樹脂、フェノール誘導体エポキシ樹脂、ビスフェノール骨格型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂にイミダゾール系、アミン系、リン系、ヒドラジン系、イミダゾールアダクト系、アミンアダクト系、カチオン重合系またはジシアンジアミド系等の硬化剤を添加したもの等を使用することができる。
(9)次に、平板4の中央領域に撮像素子10を実装する。撮像素子10はワイヤーボンディング等で配線基板2と電気的に接合させる。またこのとき、撮像素子10または平板4に接着材等を設け、平板4に固定しても構わない。また、撮像素子10を平板4の中央領域に実装した後、蓋体12を接合材で接合しても良い。
(10)次に、レンズ筐体19を平板4および配線基板2の上面に固定する。このとき、レンズ筐体19は凸部19aを有しており、凸部19aを溝2aにはめて平板4と固定することでレンズ筐体19を固定する。また、配線基板2とレンズ筐体19との間を樹脂等の封止材で密閉しても良い。
以上のようにして配線基板2とレンズ筐体とを組み立てることで、撮像装置21を作製することができる。上記(1)〜(10)の工程によって、撮像装置21が得られる。なお、上記(1)〜(10)の工程順番は指定されない。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による撮像装置21について、図5を参照しつつ説明する。
本実施形態における撮像装置21において、第1の実施形態の撮像装置21と異なる点は、配線基板2と平板4およびレンズ筐体19と平板4が第1接合材15および第2接合材16で接合されている点である。
図5に示す例では、撮像装置21は配線基板2と平板4との間は第1接合材15で接続されており、レンズ筐体19の凸部19aと平板4との間は第2接合材16で接合されている。このようにレンズ筐体19の凸部19aを第2接合材16で固定することで、レンズ筐体19を平板4により強固に固定することが可能となる。また、第2接合材16がクッション材のような役割を持たせることが可能となり、レンズ筐体19の外部からかかる応力を凹部19aでより分散することが可能となる。よって、配線基板2の割れまたはクラック等をより低減させることが可能となる。
また、レンズ筐体19の凸部19aと平板4を接合する第2接合材16で接合することで、より強固にレンズ筐体19の凸部19aを平板4に固定することが可能となる。よって、撮像装置21の外部から力がかかったとしても、レンズ筐体19がずれることを低減させることが可能となる。よって、レンズ筐体19の光軸と撮像素子10との位置関係をより良好に保つことが可能となる。また、レンズ筐体19の凸部19aと平板4との間からダスト等が侵入することを低減させることが可能となる。
また、平板4が金属材料から成る場合または表面および内部に電極を有する絶縁層から成る場合レンズ筐体19の凸部19aと平板4とを接合する第2接合材16は導電性を有していても良い。このことで、レンズ筐体19と平板4とを電気的に接合することが可能となり、外部ノイズ等の対策の1つとして用いることも可能となる。
また、配線基板2と平板4を接合する第1接合材15と、レンズ筐体19の凸部19aと平板4を接合する第2接合材16とを異なる材料とすることで、撮像装置21を組み立てる工程においてより良好な条件で組み立てることが可能となる。
例えば、第1接合材15の融点が第2接合材16の融点よりも高いとする。このとき、第1接合材15によって配線基板2と平板4とを接合する工程のあと、レンズ筐体19の凸部19aと平板4とを第2接合材16によって接合する場合、第2接合材16を平板4または凸部19aに塗布した後の加熱の工程において加熱の熱により第1接合材15が液状に戻ることを低減させることが可能となる。よって、配線基板2がレンズ筐体19と平板4とを接合する工程中に剥がれるまたはずれる等の不良の発生を低減させることが可能となる。
また、例えば第1接合材15と第2接合材15の導電性をそれぞれ異ならせることも考えられる。このことで配線基板2と平板4とを電気的に接合するか、またはレンズ筐体19と平板4とを電気的に接合するかを適宜検討することが可能となる。なお、第1接合材15が溝2aにはみ出ており、食み出た第1接合材15と第2接合材16とは上面視で重なっていても良い。なお、絶縁性を有する第1接合材15および第2接合材16としては、上述した接合材と同様の材料からなる。また、導電性を有する第1接合材15および第2接合材16として例えば、銀エポキシ、はんだ、異方性導電樹脂(ACF)または異方性導電フィルム(ACP)等である。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態による撮像装置21について、図6を参照しつつ説明する。
本実施形態における撮像装置21において、第2の実施形態の撮像装置21と異なる点は、配線基板2と平板4およびレンズ筐体19と平板4との両方を第1接合材15で接合している点である。
図6に示す例では、平板4の上面と配線基板2の下面とは第1接合材15を介して接合されており、第1接合材15の一部は平面視で溝2aの内面にまで食み出ており、凸部19aは第1接合材15の一部を介して平板4と固定されている。
また、平板4と配線基板2およびレンズ筐体19の凸部19aと平板4とを同一の第1接合材15で接合することにより、配線基板2と平板4およびレンズ筐体19の凸部19aと平板4とを1回の加熱の工程で接合することが可能となる。このことで、撮像装置21にかかる熱履歴による負荷を低減させることが可能となり、平板4と配線基板2の剥がれまたは平板4の熱変形による撮像素子10の光軸の傾きなどを低減させることが可能となる。
また、図6に示すように第1接合材15は上面視でレンズ筐体19の凸部19aを覆うように設けられている。このことで、レンズ筐体19を平板4により強固に固定することが可能となる。また、第1接合材15がクッション材のような役割を持たせることが可能となり、レンズ筐体19の外部からかかる応力を凹部19aでより分散することが可能となる。よって、配線基板2の割れまたはクラック等をより低減させることが可能となる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態による撮像装置21について、図7を参照しつつ説明する。
本実施形態における撮像装置21において、第1の実施形態の撮像装置21と異なる点は、配線基板2はフレキシブル基板5とその上にセラミック基板2bとから成る積層構造体である点である。
図7に示す例では、配線基板2は、フレキシブル基板5と、フレキシブル基板5上に設けられたセラミック基板2bからなる積層構造体である。また、図7に示す例では、配線基板2を構成するフレキシブル基板5とセラミック基板2bとが重なる位置に溝2aを設けており、レンズ筐体19の凸部19aは溝2aに嵌まり、平板4に固定されている。このことで、レンズ筐体19の外部から応力がかかった時に平板4に固定されていることで、凸部19aによりレンズ筐体19からかかる応力を平板4へ分散することが可能となる。よって、撮像装置21の配線基板2にクラックまたは割れ等を抑制することが可能となり、より良好な撮像が可能な撮像装置21を提供することが可能となる。
ここでフレキシブル基板5とは例えば外部のモジュールと接続するための外部回路基板である。一般的に、撮像装置21は外部のモジュールと接続するための外部回路基板と電気的に接合することが求められる。このとき例えば外部回路基板は配線基板2の上面または側面と接続されていても良いが、図7に示す例のように、外部回路基板となるフレキシブル基板5がセラミック基板2bと平板4との間に挟み込むように接続しても良い。このことによって、セラミック基板2bと外部回路基板であるフレキシブル基板5との接合面積を大きくすることが可能となる。よって、接合強度および撮像装置21の電気特性を向上させることが可能となる。
また、図7に示す例のようにレンズ筐体19の凸部19aが平板4に固定されていることで、工程誤差による厚み方向のバラつきを最小限にすることが可能となる。このことで、レンズ筐体19のレンズと撮像素子10との光学距離をより良い距離で保った形で撮像装置21を組み立てることが可能となる。
フレキシブル基板5は例えばベースフィルムを有している。ベースフィルムを形成する材料として例えばポリイミドフィルム等の樹脂から成る絶縁体が用いられる。また、フレキシブル基板5は、ベースフィルムの上面に導電層を有している。導電層は、銅、アルミニウム、金、ニッケルまたはこれらから選ばれる少なくとも1種類以上の金属材料を含有する合金からなる。
また、導電層の露出表面に、めっき層が設けられてもよい。この構成によれば、導電層の露出表面を保護して酸化を抑制できる。また、この構成によれば、セラミック基板2bと導電層との電気的接続の電気的接続を良好にできる。めっき層は、例えば、厚さ0.5〜10μmのNiめっき層を被着させるか、またはこのNiめっき層および厚さ0.5〜3μmの金(Au)めっき層を順次被着させてもよい。さらにはめっき層上にSnメッキが施されていてもよい。
フレキシブル基板5は、導電層の上面に設けられたカバーフィルムを有している。カバーフィルムは導電層の表面保護用のフィルムであり、ポリイミドフィルム等の樹脂材料からなるフィルムの片面に接着材を塗布し、セラミック基板2bと電気的に接合される個所以外の導電層の表面に設けられている。なお、フレキシブル基板5とセラミック基板2bとは導電性の接合材で接続されている。
また、フレキシブル基板5と平板4とを接合する接合材は、撮像素子10の実装工程において加えられる熱によって変性しにくい材料からなる。このような接合材としては、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂等である。この場合には、撮像素子10の実装工程においてフレキシブル基板5と平板4とが剥離することを良好に抑制することができる。
また、図7に示す例ではフレキシブル基板5は上面視において平板4よりも内側に位置している。このことで、撮像装置21の外形のすべての基準を平板4の外縁で統一することが可能となる。よって、撮像装置21をより小型化することが可能となると同時に撮像装置21の外寸を統一することが容易となる。
図7に示す例のような撮像装置21を作製する方法として例えば、セラミック基板2bと平板4とフレキブル基板5とを準備したあと、セラミック基板2bとフレキブル基板5とを溝2aと貫通孔5aとが上面視で重なるように接合し、フレキシブル基板5と平板4とをそれぞれ接合することで作製することが可能となる。なお、第4の実施形態では、セラミック基板2bを用いて説明したが、セラミック基板2bの代わりに有機基板を用いても良い。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態による撮像装置21について、図8を参照しつつ説明する。本実施形態における撮像装置21において、第1の実施形態の撮像装置21と異なる点は、配線基板2と平板4との間にフレキシブル基板5を有し、レンズ筐体19の凸部19aがフレキシブル基板5の上面で固定されている点である。
図8に示す例では、撮像装置21は上面に中央領域11を有する平板4と、平板上4に設けられた、中央領域11に実装された撮像素子10と、平板4上に撮像素子10を取り囲むとともに、一部が外方に向かって延在したフレキシブル基板5と、フレキシブル基板5上に撮像素子10を取り囲んで設けられた、外縁が矩形の枠状であって、外側面のうち撮像素子10を挟む2箇所には上端から下端にまで溝2aが形成され、撮像素子10に電
気的に接続された配線基板2と、配線基板2を取り囲むとともに、下部が配線基板2の外縁に沿って配置され、下部から下方に向かって突出した凸部19aを有し、凸部19aが溝2aに嵌るとともにフレキシブル基板5に固定されたレンズ筐体19とを備えている。
図8に示す例のように、レンズ筐体19が下方に向かって突出した凸部19aを有し、凸部19aが溝2aにはまるとともに、フレキシブル基板5に固定されていることで、凸部19aによりレンズ筐体19からかかる応力をフレキシブル基板5へ分散することが可能となる。よって、撮像装置21の配線基板2にクラックまたは割れ等を抑制することが可能となる。また、フレキシブル基板5は平板4よりも剛性が低い。このことで、レンズ筐体19からかかる応力をフレキシブル基板5が緩衝材の役割をし、より応力を吸収する事が可能となる。よって、撮像装置21の配線基板2にクラックまたは割れ等をより抑制することが可能となり、またレンズ筐体19の凸部19aにかかるストレスも低減させることが可能となる。
また、図8に示す例ではフレキシブル基板5は上面視において平板4よりも外側に位置している。このことで、撮像装置21に落下等によって応力がかかった時、その応力をフレキシブル基板5で軽減させることが可能となる。よって、配線基板2にクラックまたは割れ等が発生することをより低減させることが可能となる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6の実施形態による撮像装置21について、図9を参照しつつ説明する。本実施形態における撮像装置21において、第5の実施形態の撮像装置21と異なる点は、フレキシブル基板5は表面に接続電極5bを有しており、レンズ筐体19の凸部19aが接続電極5bと導電性接合材17を介して接合されている点である。
図9に示す例では、フレキシブル基板5の上面には、平面視で凸部19aと重なる位置に接続電極5bを有しており、凸部19aと接続電極5bは導電性接合材17を介して接合されている。このことで、フレキシブル基板5を介してレンズ筐体19にレンズ筐体を駆動させるため等の信号を入れることが可能となる。よって、レンズ筐体19からの圧力による配線基板2の割れまたはクラックを防止するとともに、レンズ筐体19とフレキシブル基板5とを電気的に接合することが可能となる。なお、導電性接合材17とは、例えば例えば、銀エポキシ、はんだ、異方性導電樹脂(ACF)または異方性導電フィルム(ACP)等である。
フレキシブル基板5の表面に設けられた接続電極5bは銅、アルミニウム、金、ニッケルまたはこれらから選ばれる少なくとも1種類以上の金属材料を含有する合金からなる。また、接続電極5bの露出表面に、めっき層が設けられてもよい。この構成によれば、接続電極5bの露出表面を保護して酸化を抑制できる。また、この構成によれば、レンズ筐体19の凸部19aと接続電極5bとの電気的接続の電気的接続を良好にできる。めっき層は、例えば、厚さ0.5〜10μmのNiめっき層を被着させるか、またはこのNiめっき層および厚さ0.5〜3μmの金(Au)めっき層を順次被着させてもよい。さらにはめっき層上にSnメッキが施されていてもよい。
なお、本発明は上述の実施形態の例に限定されるものではなく、数値などの種々の変形が可能である。例えば、図1〜図9に示す本実施形態の例では、撮像素子接続用パッド3、蓋体12、の形状は矩形状であるが、円形状やその他の多角形状であってもかまわない。また、本実施形態における撮像素子接続用パッド3の配置、数、形状などは指定されない。また、本実施形態における特徴部の種々の組み合わせは上述の実施形態の例に限定されるものではない。