JP6603689B2 - 遮音構造体 - Google Patents

遮音構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP6603689B2
JP6603689B2 JP2017129255A JP2017129255A JP6603689B2 JP 6603689 B2 JP6603689 B2 JP 6603689B2 JP 2017129255 A JP2017129255 A JP 2017129255A JP 2017129255 A JP2017129255 A JP 2017129255A JP 6603689 B2 JP6603689 B2 JP 6603689B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sound insulation
insulation structure
sound
bag body
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017129255A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019012205A (ja
Inventor
智昭 貝瀬
諭 井上
正治 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tottori University
Tokyu Construction Co Ltd
Original Assignee
Tottori University
Tokyu Construction Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tottori University, Tokyu Construction Co Ltd filed Critical Tottori University
Priority to JP2017129255A priority Critical patent/JP6603689B2/ja
Publication of JP2019012205A publication Critical patent/JP2019012205A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6603689B2 publication Critical patent/JP6603689B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Building Environments (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Description

本発明は、パネル状に形成される遮音構造体に関するものである。
工事現場などの騒音発生源を囲う防音パネル、住宅の仕切り壁、遮音壁、遮音扉などのようにパネル状の遮音構造体が、騒音などを遮断するために設置されることが知られている(特許文献1,2など参照)。
特許文献1,2に開示された遮音構造体は、従来の遮音壁が質量則に依存して重量が増大していたのに対し、軽量で広範な周波数領域に対して優れた遮音効果が発揮される構成としたことを特徴としている。
具体的には、格子状の一対の保形枠体の間に袋状の遮音部材を介在させ、遮音部材の内圧を高めて遮音部材の膜状体に大きな張力を付与して剛性を増大させることで、極めて振動し難い状態にしている。
特許第5209037号公報 特開2013−195729号公報
しかしながら特許文献1,2に開示された遮音構造体であっても、外形寸法が依存する固有振動数などにおいて遮音性能が欠損する帯域が発生することがある。
そこで、本発明は、少ない重量の付加で効率的に遮音欠損の発生を抑えることが可能な遮音構造体を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の遮音構造体は、パネル状に形成される遮音構造体であって、薄膜材によって形成されて内部に気体が封入された袋体部と、前記袋体部の両側の側面に密着させた複数の開口を有する面状の剛性部と、前記袋体部と前記剛性部とを積層させた状態で保持させる枠体部とを備え、前記剛性部の少なくとも一方の側面には、錘部が取り付けられていることを特徴とする。
ここで、前記錘部は、受音側の剛性部に取り付けられることが好ましい。また、前記錘部は、受音側の表面振動が大きくなる位置に取り付けられることがより好ましい。
また、前記錘部は、バネ状材を介して前記剛性部に取り付けられる構成とすることもできる。
また、別の発明の遮音構造体は、パネル状に形成される遮音構造体であって、薄膜材によって形成されて内部に気体が封入された袋体部と、前記袋体部の両側の側面に密着させた複数の開口を有する面状の剛性部と、前記袋体部と前記剛性部とを積層させた状態で保持させる枠体部とを備え、前記袋体部の内部には、一端が開口されて他端が閉口されたチューブ状の共鳴器が配置されていることを特徴とする。
また、前記剛性部は、格子状の面状材である構成とすることができる。そして、前記袋体部の薄膜材が、前記剛性部の開口から膨出されるように内圧が設定されていることが好ましい。
このように構成された本発明の遮音構造体は、内部に気体が封入された袋体部の両側面に剛性部が密着されるうえに、剛性部の少なくとも一方の側面には錘部が取り付けられた構成となっている。
このため、袋体部のそれぞれの側面において剛性部によって高められた剛性のもとに遮音効果が得られるうえに、それだけでは遮音性能が欠損する帯域に対しては、錘部によって遮音性能を引き上げることができる。すなわち、少ない重量の付加で効率的に遮音欠損の発生を抑えることが可能になる。
錘部は、音源側とは反対側の受音側の剛性部に取り付けることで、より高い遮音欠損の緩和効果を発揮させることができる。また、錘部を受音側の表面振動が大きくなる位置に取り付けることで、さらに効率的に遮音欠損の発生を抑えることができる。
また、錘部とバネ状材とを組み合わせた動吸振器を剛性部に取り付けることによっても、少ない重量の付加で、効率的に遮音欠損の発生を抑えることが可能になる。
一方、一端が開口されて他端が閉口されたチューブ状の共鳴器を袋体部の内部に配置することによっても、少ない重量の付加で、効率的に遮音欠損の発生を抑えることが可能になる。
また、格子状の面状材であれば、格子を形成する線材の幅と配置間隔と線材自体の密度の少なくとも一つを変更することによって、低周波数音や高周波数音など所望する周波数音が遮断できるようになる。
さらに、袋体部の薄膜材が剛性部の開口から膨出されるくらいに内圧を高めることで、より遮音効果を高めることができる。また、袋体部を複数にして、それらの側面に密着させる剛性部の数を増やすことによって、さらに多くの周波数に対して高い遮音効果を発揮させることができる。
本発明の実施の形態の遮音構造体の主要部の構成を説明するための断面図である。 本発明の実施の形態の遮音構造体の構成を説明するための正面図である。 遮音構造体の構成を説明するための分解斜視図である。 遮音構造体の本体部の構成を説明するための断面図である。 錘部を取り付ける面による遮音構造体の遮音性能を確認するために行った実験結果を示した図である。 表面振動が大きくなる位置を示したコンター図である。 錘部を取り付ける位置による遮音構造体の遮音性能を確認するために行った実験のケースを説明する図である。 錘部を取り付ける位置による遮音構造体の遮音性能を確認するために行った実験結果を示した図である。 錘部の重量による遮音構造体の遮音性能を確認するために行った実験結果を示した図である。 実施例1の遮音構造体の主要部の構成を説明するための断面図である。 動吸振器を取り付けた場合の表面振動を示したコンター図である。 動吸振器を取り付けた場合の遮音構造体の遮音性能を確認するために行った実験結果を示した図である。 実施例2の遮音構造体の構成を説明するための図で、(A)は袋体の内部に配置する共鳴器の構成を説明する図、(B)は共鳴器が配置された遮音構造体の構成を説明する図である。 共鳴器を配置した場合の遮音構造体の遮音性能を確認するために行った実験結果を示した図である。 実施例3の遮音構造体の構成を説明するための分解斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1−4は、本実施の形態の遮音構造体1の構成を説明するための図である。まず、図3,4を参照しながら、遮音構造体1の本体部の構成について説明する。
本実施の形態の遮音構造体1は、正面視略長方形などのパネル状に形成される。例えば、複数のパネル状の遮音構造体1によって、工事現場などの騒音発生源を囲うことができる。また、2つの空間を区切る仕切り壁を、複数のパネル状の遮音構造体1によって構成することもできる。
この遮音構造体1の本体部は、薄膜材によって形成されて内部に気体21が封入された袋体部2と、その第1面に密着させた第1の剛性部としての粗目格子体3と、第1面の反対側の第2面に密着させた第2の剛性部としての細目格子体4と、粗目格子体3と袋体部2と細目格子体4とを積層させた状態で保持させる枠体部5とによって、主に構成される。
なお、以下では第1面と第2面を分かり易く説明するために、異なる剛性部が設けられた例によって説明するが、これに限定されるものではなく、両面とも粗目格子体3,3、両面とも細目格子体4,4という構成であってもよい。
袋体部2は、可撓性を有する薄膜材によって形成される。例えば、ポリエチレンシート、塩化ビニルシートなどを袋状に成形することができる。また、薄膜材の厚さは、0.01mm−1mm程度が好ましい。
袋体部2は、粗目格子体3と細目格子体4という両側面に配置される剛性材の拘束によって形状が変形するため、初期の形状は限定されるものではない。例えば、長方形のポリエチレンシートを二つ折りにして、縁部22を溶着させて袋状に成形することができる。
また、袋体部2には、図示していないが、内部に気体21を注入するための逆止弁付き注入口と排出口が設けられる。内部に注入する気体21は、空気、窒素ガスなど特に限定されるものではない。
さらに、袋体部2の縁部22には、正面視略長方形の弾性枠材23を貼り付ける。弾性枠材23は、膨張した袋体部2の滑り抜けを防ぐために配置される滑り止め材で、クロロプレンゴム、EPDMゴム(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)など摩擦抵抗が確保できる素材が使用できる。
そして、袋体部2の側面となる第1面に粗目格子体3を密着させる。粗目格子体3は、複数の開口を有する面状材である。すなわち格子の目が開口に該当する。
粗目格子体3には、ワイヤーメッシュ、ファインメッシュ、パンチングメタル、金網、ハニカム材等の面状材として剛性が確保できる材料が使用できる。素材としては、金属、プラスチック、紙、木材、ガラスなどが使用できる。
例えば粗目格子体3は、平行に配置された複数の横線材31,・・・と、横線材31に対して略直交するように平行に配置された複数の縦線材32,・・・とによって形成される。
横線材31と縦線材32の交点は、溶接によって接合される。すなわち、金網のように縦横の線材を編んだだけの材料よりも、交点が溶接などによって接合されている材料の方が格子の目の形状(格子間隔)が変形しにくく好ましい。
粗目格子体3の開口率は、横線材31及び縦線材32の線径(幅)と、横線材31及び縦線材32のピッチ(配置間隔)によって調整することができる。開口率は、92%未満にするのが好ましい。
一方、粗目格子体3の面密度は、単位面積当たりの質量となるため、横線材31及び縦線材32の線径(幅)とピッチ(配置間隔)に加えて、横線材31及び縦線材32の素材(密度)によって調整することができる。
すなわち横線材31及び縦線材32が金属線であれば、プラスチック線材を使用した場合に比べて開口率が同じでも面密度を高めることができる。面密度は、1kg/m2より大きくするのが好ましい。
粗目格子体3が、開口率92%以上かつ面密度1kg/m2以下の場合は、遮音周波数領域で高い遮音効果が得られる周波数(以下、「ピーク遮音周波数」という。)において、充分な遮音性能を得ることができない。例えばピーク遮音周波数において20dB程度の遮音性能を確保するためには、開口率92%未満かつ面密度2kg/m2以上の粗目格子体3を使用する。
袋体部2の第1面の反対側の側面となる第2面にも剛性部を密着させる。以下では、剛性部として粗目格子体3と開口率及び面密度が異なる細目格子体4を使用する場合を例に説明するが、これに限定されるものではなく、第2面にも開口率及び面密度が同じとなる粗目格子体3を配置することもできる。ここで、細目格子体4は、上述した粗目格子体3と同様の構成となる。粗目格子体3と細目格子体4とは、開口率及び面密度が異なる以外の構成は同じであるため、重複する説明は省略する。
細目格子体4は、粗目格子体3と比較して、横線材41及び縦線材42の線径(幅)が小さく、横線材41及び縦線材42のピッチ(配置間隔)も狭い。本実施の形態では、説明を簡単にするために第1剛性部を粗目格子体3とし、第2剛性部を細目格子体4として説明するが、これに限定されるものではない。
枠体部5は、少なくとも袋体部2の縁部22に沿って配置される正面視略長方形の枠材を備えている。この枠体部5は、粗目格子体3側に配置される第1枠材51と、細目格子体4側に配置される第2枠材52とによって主に構成される。
第1枠材51及び第2枠材52は、袋体部2の内部を高圧にして膨張させた際に、変形したり破損したりしない程度の剛性を有するように形成される。例えば、鋼材、アルミニウム、木材、プラスチックなどによって、断面視略L字形の長方形枠状に製作することができる。
図3の分解斜視図で示された第1枠材51と粗目格子体3と袋体部2と細目格子体4とを積層させると、図4の断面図に示した状態となる。内部に気体21が封入されて膨張した袋体部2の縁部22は、弾性枠材23,23と粗目格子体3及び細目格子体4の縁部を介して、第1枠材51と第2枠材52によって挟持される。
一方、袋体部2の側面には、粗目格子体3(又は細目格子体4)が密着されている。袋体部2の内部は高圧になっているため、横線材31,31(41,41)と縦線材32,32(42,42)に囲まれた開口から、袋体部2の薄膜材が膨出された形態となる。
要するに袋体部2の薄膜材は、張力が付与された状態になる。張力が付与された薄膜材は、入射音波に対する剛性が増加するため、剛性則によって振動しにくい状態になる。さらに、粗目格子体3(又は細目格子体4)と袋体部2の薄膜材とが密着によって一体化することでも、入射音波に対する剛性を増加させることができる。
横線材31,31(41,41)と縦線材32,32(42,42)に囲まれた開口で仕切られた袋体部2の側面は、区画された長方形(正方形)の薄膜材の集合体とみなすことができ、1次固有振動数f0(共振周波数)を押し上げることが可能になる。
この共振周波数の変動は、袋体部2の薄膜材に付与される張力、粗目格子体3(又は細目格子体4)の開口率及び面密度によって調整することができる。要するに、袋体部2の2つの側面に粗目格子体3と細目格子体4という開口率及び面密度が異なる剛性部を配置した場合は、ピーク遮音周波数を変えることができるので、一つの遮音構造体1に2つのピーク遮音周波数が現れることになり、遮音周波数を広帯域化させることができるようになる。
さらに、本実施の形態の遮音構造体1では、本体部を構成する剛性部(粗目格子体3,細目格子体4)の少なくとも一方の側面に、錘部6が取り付けられる。以下では、図1,2に示すように、粗目格子体3側に錘部6が取り付けられた例について説明する。
錘部6は、重量を付加できるものであればよく、合成樹脂材、金属、ガラス、木材など材質は任意に選択することができる。一方、形態は、パネル状に形成される遮音構造体1の本体部に合わせて、板状又はシート状のものが好ましい。
ここでは、長方形の板状の錘部6を図示している。例えば、粗目格子体3の30%程度の重量となる錘部6を取り付ける。錘部6は、材質にもよるが、粗目格子体3に接着剤、両面テープ又は溶接などによって固定される。
次に、本実施の形態の遮音構造体1の遮音性能を確認するために行った実験結果について説明する。この実験は、残響室を用いて音響透過損失試験により音響透過損失(空気音遮断性能)を測定する方法で行った。
実験に使用した遮音構造体1の試料(縦920mm×横980mm)の詳細を記載する。袋体部2は、厚さ0.11mmのポリエチレンとナイロンの合成素材によって可撓性を有するように製作した。また、袋体部2の加圧条件は、500Paとして空気を封入した。
実験では、袋体部2の両面に細目格子体4,4を配置した。この細目格子体4には、横線材41及び縦線材42の線径が0.7mm、格子間隔が6.35mmの開口率が78%、面密度が0.95kg/m2となるファインメッシュを使用した。
まず、錘部6を音源側又は本体部を挟んだ反対側となる受音側のいずれの側面に取り付ける方が、遮音欠損の発生を抑えることができるかを確認した。ここで、錘部6としては、アルミシートとブチルゴムとが積層された制振シートを使用した。
図5は、横軸を周波数(Hz)とし縦軸を音響透過損失(dB)としてその実験結果を示したグラフである。この実験結果を見ると、錘部6が設置されていない場合(「設置なし」)は、63Hz帯域に遮音性能の欠損が生じているが、錘部6を取り付けることによって5dB−15dB程度、遮音性能が向上し、遮音欠損の緩和が図れることがわかる。
さらに、受音側の面に錘部6を貼付した場合は、音源側の面に貼付した場合と比べると、5dB程度の遮音性能の改善が見られ、錘部6は受音側の剛性部に取り付けるのが遮音欠損の緩和には有効であると言える。
続いて、錘部6を取り付ける位置について検討する。図6は、錘部6を設置していない状態の遮音構造体1Aの表面11において測定された音響粒子速度分布(63Hz帯域)を、コンター図で示している。この図を見るとわかるように、表面振動が大きくなる高振動部P1が、長方形の表面に十字状に現われる。
そこで、図7に示すように、錘部6A,6B,6Cを取り付ける位置による遮音構造体1Aの遮音性能を比較するための実験を行った。図7(A)は錘部6Aが遮音構造体1Aの四隅に貼付されたケース(配置条件A)、図7(B)は錘部6Bが遮音構造体1Aの中央位置にのみ4枚、貼付されたケース(配置条件B)、図7(C)は錘部6Cが遮音構造体1Aの中央周辺に4枚貼付されたケース(配置条件C)となる。
図8の実験結果に示したように、錘部6A,6B,6Cを取り付けた場合は、配置条件に関わらず、「錘なし」のケースと比べて遮音欠損の緩和が見られる。そしてその効果は、配置条件Cの錘部6Cが遮音構造体1Aの中央周辺に4枚貼付されたケースが最も高くなった。要するに、図6に示した高振動部P1に合わせて錘部6Cを取り付けることによって、高い遮音欠損の緩和効果が得られることがわかる。
続いて、配置条件Cで、錘部6Cの重量の違いによる遮音性能の変化を比較する実験を行った。図9にその実験結果を示す。この図を見るとわかるように、付加重量が大きくなる方が遮音欠損の緩和効果は高くなる傾向にあるが、1m2あたり275g程度以上の錘部6Cが取り付けられていれば、10dB−15dB程度の遮音欠損の緩和効果が得られると言える。
次に、本実施の形態の遮音構造体1の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の遮音構造体1は、内部に気体21が封入された袋体部2の両側面に、粗目格子体3や細目格子体4などの剛性部をそれぞれ密着させる。
そして、剛性部(3,4)の少なくとも一方の側面には、板状又はシート状の錘部6が取り付けられた構成となっている。
このため、袋体部2のそれぞれの側面において剛性部によって高められた剛性のもとに遮音効果が得られるうえに、それだけでは遮音性能が欠損する帯域に対しては、錘部6によって遮音性能を引き上げることができる。すなわち、錘部6という少ない重量の付加で、効率的に遮音欠損の発生を抑えることができる。
特に、錘部6は、音源側とは反対側の受音側の剛性部(粗目格子体3又は細目格子体4)に取り付けることで、より高い遮音欠損の緩和効果を発揮させることができる。また、錘部6Cを受音側の表面振動が大きくなる高振動部P1に取り付けることで、さらに効率的に遮音欠損の発生を抑えることができる。
また、粗目格子体3と細目格子体4という2種類の剛性部を使用することで、袋体部2の両側面で異なるピーク遮音周波数を設定することができるので、2つのピーク遮音周波数が現れるだけでなく、それらの間も含めた広い帯域の周波数に対して高い遮音効果を発揮させることができる。要するに、遮音周波数範囲を拡張させることができる。
例えば、開口率が88%で面密度が4.3kg/m2となる粗目格子体3は、低音域(125Hz帯域前後)の騒音を低減することができる。また、開口率が78%で、面密度が0.95kg/m2となる細目格子体4は、高音域(2000Hz帯域前後)の騒音を低減させることができる。
このような粗目格子体3と細目格子体4の開口率及び面密度は、格子状の面状材であれば、横線材31,41と縦線材32,42の線径(幅)やピッチ(配置間隔)を変更するだけで容易に調整することができる。
また、横線材31(41)と縦線材32(42)の格子の交点が溶接などによって接合されていれば、袋体部2の内圧によって張力が作用しても、格子の目の形状(格子間隔)が変形しにくく、狙い通りに遮音したい周波数近辺をピーク遮音周波数に設定することができる。
さらに、遮音構造体1の外形をアスペクト比4以上の長方形に形成することで、正方形などのアスペクト比が4未満の外形に形成された場合に比べて、同じ材料(同じ重量及び同じ面積)で遮音効果を高めることができる。特に、低周波数音を効果的に遮断することができるようになる。
そして、袋体部2の薄膜材が粗目格子体3及び細目格子体4の格子の目(開口)から膨出されるくらいに内圧を高めることで、より遮音効果を高めることができる。
この袋体部2の内圧は50Pa以上、好ましくは100Pa以上に設定する。さらに、内圧を2000Pa以上かつ限界内圧(袋体部2が破裂する圧力)以下にすることで、2ランク(11dB)以上の非常に高い遮音効果が期待できる。
そして、気体21が封入された袋体部2並びに粗目格子体3、細目格子体4及び枠体部5と錘部6とによって構成される遮音構造体1は、軽量に製作することができる。
すなわち質量則に依存した遮音パネルによって広帯域の周波数に対して遮音効果を発揮させようとすれば、必然的に重量と厚みが大きくなってコストが増加するだけでなく扱いにくくなって施工性が低下することになる。これに対して、軽量化された遮音構造体1であれば、工事現場や住宅内などの様々な場所に容易に設置することができる。
特に、質量則に依存した遮音パネルでは効果的に遮音することが難しい低周波音に対して、本実施の形態の遮音構造体1であれば軽量であっても高い遮音性能を発揮させることができる。
以下、前記実施の形態で説明した遮音構造体1,1Aとは別の形態の実施例1について、図10−12を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を用いて説明する。
本実施例1で説明する遮音構造体1Bは、図10に示すように、剛性部(粗目格子体3,細目格子体4)の少なくとも一方の側面に、動吸振器7が取り付けられている。以下では、粗目格子体3側に動吸振器7が取り付けられた例について説明する。
動吸振器7は、錘部71と、錘部71に一端が接続されるバネ状材72と、バネ状材72の他端が接続される支持板73とによって主に構成される。動吸振器7は、支持板73が粗目格子体3に接着剤、両面テープ又は溶接などによって固定される。この支持板73は、錘部71などの重量が作用しても、たわみなどの変形が生じない程度以上の剛性を備えている。
錘部71は、重量を付加できるものであればよく、合成樹脂材、金属、ガラス、木材など材質は任意に選択することができる。一方、バネ状材72には、コイルバネ、金属などの弾性材、合成ゴム材などの錘部71を振幅させることが可能なものが使用できる。
ここで、錘部71及びバネ状材72は、錘部71の質量mとバネ状材72のバネ定数kからから求まる固有振動数f0(=1/2π(k/m)^0.5)が、遮音性能が欠損する周波数と一致する組み合わせのものを選定する。
図11は、遮音構造体1Bの表面振動が大きくなる十字状の高振動部P1(図6参照)の頂点に合わせた4箇所に、動吸振器7を取り付けたときの音響粒子速度分布(63Hz帯域)をコンター図で示している。この図を見るとわかるように、動吸振器7を取り付けたことによって、図6に現われていた高振動部P1は消滅している。
図12は、動吸振器7を取り付けた場合の遮音構造体1Bの遮音性能を確認するために行った実験結果を示した図である。この実験では、1ユニットが0.42kgの動吸振器7を使用した。
図12の実験結果に示したように、動吸振器7を取り付けた場合(1ユニット、4ユニット)は、その数に関わらず「設置なし」のケースと比べて、63Hz帯域の遮音欠損の緩和が見られる。そしてその効果は、1ユニットのケースで6dB程度、4ユニットのケースで12dB程度の改善がみられた。
このように、錘部71とバネ状材72とを組み合わせた動吸振器7を剛性部(粗目格子体3,細目格子体4)に取り付けることでも、少ない重量の付加で、効率的に遮音欠損の発生を抑えることが可能になる。特に、受音側の表面振動が大きくなる位置に動吸振器7を取り付けることで、さらに効率的に遮音欠損の発生を抑えることができる。
なお、実施例1のこの他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるため説明を省略する。
以下、前記実施の形態及び実施例1で説明した遮音構造体1,1A,1Bとは別の形態の実施例2について、図13,14を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を用いて説明する。
本実施例2で説明する遮音構造体1Cは、図13に示すように、共鳴器8が袋体部2の内部に配置される。共鳴器8は、図13(A)に示すように、チューブ状に形成されており、一端が開放された開口部81となり、他端が閉塞された閉口部82となっている。
共鳴器8の外殻となるチューブは、CD管などの合成樹脂製可撓電線管や塩化ビニル管などによって形成される。そして、共鳴器8の開口部81の周辺には、ガラス繊維(グラスウール(比重32KG/m3))やポリエステル繊維などの吸音材83が充填される。
共鳴器8は、遮音性能が欠損する周波数の音波と同じ波長を持つ音に対して同様に気柱共鳴が発生するように、その波長のほぼ1/4に相当する長さに設定される。共鳴器8の断面形状は、任意に設定することができる。
共鳴器8に充填する吸音材83は、遮音性能が欠損する周波数帯域音を効率良く吸収するために、その周波数帯域幅、吸収量が最適になるように選択される。その選択に際しては、音響アドミッタンスを考慮(Miki-model式を適用)した適当な流れ抵抗を備えるものが検討される。
共鳴器8は、図13(B)に示すように、開口部81が高振動部P1(図6参照)に配置されるように袋体部2の内部に挿入される。ここでは、開口部81を遮音構造体1Cの中央に配置した。なお、共鳴器8は、太径の1本でも細径の複数本でもいずれの形態で設置してもよい。
図14は、共鳴器8を配置した場合の遮音構造体1Cの遮音性能を確認するために行った実験結果を示した図である。この実験は、共鳴器8を袋体部2に貼り付けて行われたため、実験結果には質量付加の効果が含まれている。
まず「共鳴器の開口を塞いだ場合」と「挿入なし」のケースを比べることで、共鳴器8の質量付加の効果を確認することができる。この結果、共鳴器分の質量付加によって63Hz帯域の遮音欠損の大幅な緩和が見られることがわかる。さらに、開口部81の有無(「共鳴器の開口あり」、「共鳴器の開口を塞いだ場合」)を比較することで、共鳴器8の気柱共鳴による緩和効果が確認でき、5dB程度の改善効果があったと言える。
このように、一端が開口部81とされ他端が閉口部82とされたチューブ状の共鳴器8を袋体部2の内部に配置することによっても、少ない重量の付加で、効率的に遮音欠損の発生を抑えることが可能になる。
なお、実施例2のこの他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるため説明を省略する。
以下、前記実施の形態及び実施例1,2で説明した遮音構造体1,1A−1Cとは別の形態の実施例3について、図15を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1,2で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を用いて説明する。
本実施例3で説明する遮音構造体1Dは、図15に示すように、袋体部2だけでなく第2の袋体部2Aを備えた多層構造となっている。また、第2の袋体部2Aが追加されるのに伴って、第3の剛性部としての格子体4Aが追加される。
すなわち実施例3の遮音構造体1Dの本体部は、薄膜材によって形成されて内部に気体21が封入された袋体部2と、その第1面に密着させた粗目格子体3と、第1面の反対側の第2面に密着させた細目格子体4と、薄膜材によって形成されて内部に気体21が封入された袋体部2Aと、袋体部2Aの細目格子体4を密着させた側面とは反対側の側面に密着させた格子体4Aと、粗目格子体3と袋体部2と細目格子体4と袋体部2Aと格子体4Aとを積層させた状態で保持させる枠体部5とによって、主に構成される。
そして、遮音構造体1Dの本体部には、上記した錘部6、動吸振器7又は共鳴器8のいずれかが配置される。
ここで、袋体部2Aは、上述した袋体部2と同じ構成となるため、詳細な説明は省略する。また、格子体4Aは、粗目格子体3又は細目格子体4と開口率及び面密度が同じであっても異なっていてもよい。
粗目格子体3と細目格子体4と格子体62との開口率及び面密度が異なっている場合は、3つのピーク遮音周波数を出現させることができる。すなわち、袋体部(2,2A)を複数にして、それらの側面に密着させる剛性部(3,4,4A)の数を増やすことによって、多くの周波数に対して高い遮音効果を発揮させることができる。
なお、実施例3のこの他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるため説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態及び実施例1−3では、袋体部2に対して開口率及び面密度が異なる剛性部(粗目格子体3,細目格子体4)を密着させる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、袋体部2の両側の側面に開口率及び面密度が同じ剛性部を密着させてもよい。
また、前記実施の形態及び実施例1−3では、格子状の剛性部(3,4,4A)を使用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、複数の開口を有する剛性を備えた面状材であれば剛性部の形態は問われない。
さらに、前記実施の形態及び実施例1,2では袋体部2が1層、実施例3では袋体部2,2Aが2層となる本体部の構成について説明したが、これに限定されるものではなく、袋体部を3層以上にして、それぞれの袋体部の側面に剛性部が密着される本体部の構成にすることもできる。
1 遮音構造体
2 袋体部
21 気体
3 粗目格子体(剛性部)
4 細目格子体(剛性部)
5 枠体部
6 錘部
1B 遮音構造体
7 動吸振器
71 錘部
72 バネ状材
1C 遮音構造体
8 共鳴器
81 開口部
82 閉口部
1D 遮音構造体
2A 袋体部
4A 格子体(剛性部)

Claims (7)

  1. パネル状に形成される遮音構造体であって、
    薄膜材によって形成されて内部に気体が封入された袋体部と、
    前記袋体部の両側の側面に密着させた複数の開口を有する面状の剛性部と、
    前記袋体部と前記剛性部とを積層させた状態で保持させる枠体部とを備え、
    前記剛性部の少なくとも一方の側面には、錘部が取り付けられていることを特徴とする遮音構造体。
  2. 前記錘部は、受音側の剛性部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の遮音構造体。
  3. 前記錘部は、受音側の表面振動が大きくなる位置に取り付けられることを特徴とする請求項2に記載の遮音構造体。
  4. 前記錘部は、バネ状材を介して前記剛性部に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の遮音構造体。
  5. パネル状に形成される遮音構造体であって、
    薄膜材によって形成されて内部に気体が封入された袋体部と、
    前記袋体部の両側の側面に密着させた複数の開口を有する面状の剛性部と、
    前記袋体部と前記剛性部とを積層させた状態で保持させる枠体部とを備え、
    前記袋体部の内部には、一端が開口されて他端が閉口されたチューブ状の共鳴器が配置されていることを特徴とする遮音構造体。
  6. 前記剛性部は、格子状の面状材であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の遮音構造体。
  7. 前記袋体部の薄膜材が、前記剛性部の開口から膨出されるように内圧が設定されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の遮音構造体。
JP2017129255A 2017-06-30 2017-06-30 遮音構造体 Active JP6603689B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017129255A JP6603689B2 (ja) 2017-06-30 2017-06-30 遮音構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017129255A JP6603689B2 (ja) 2017-06-30 2017-06-30 遮音構造体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019012205A JP2019012205A (ja) 2019-01-24
JP6603689B2 true JP6603689B2 (ja) 2019-11-06

Family

ID=65226959

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017129255A Active JP6603689B2 (ja) 2017-06-30 2017-06-30 遮音構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6603689B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7496706B2 (ja) 2020-04-20 2024-06-07 三菱重工業株式会社 制振遮音装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09212174A (ja) * 1996-02-02 1997-08-15 Du Pont Kk 騒音低減方法および振動モードの低減方法ならびに広帯域遮音板
JP4167673B2 (ja) * 2004-05-28 2008-10-15 昭和電線デバイステクノロジー株式会社 膜状吸音構造
JP5209037B2 (ja) * 2010-12-08 2013-06-12 国立大学法人鳥取大学 遮音構造体
JP6010747B2 (ja) * 2012-03-21 2016-10-19 国立大学法人鳥取大学 遮音構造ユニット及び同ユニットを用いた遮音構造体
JP6114080B2 (ja) * 2013-03-18 2017-04-12 株式会社神戸製鋼所 遮音パネル構造、および建設機械

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019012205A (ja) 2019-01-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7434660B2 (en) Perforated soundproof structure and method of manufacturing the same
JP2007069816A (ja) 二重壁構造体
WO2009144818A1 (ja) スピーカシステム
US20080128200A1 (en) Double-Wall Structure
US20180053496A1 (en) Sound absorbing and insulating structures by tailoring sound velocities, and method of designing the sound absorbing and insulating structures
JP2020112785A (ja) ブロードバンドスパース吸音器
JP6603689B2 (ja) 遮音構造体
CN216388742U (zh) 声学隔离面板和包括声学隔离面板的组件
JP6607499B2 (ja) 遮音構造体
JP2008046618A (ja) 固体音低減構造
JP5219976B2 (ja) 騒音低減構造体
JP2009198901A (ja) 吸音構造、吸音構造群、音響室、吸音構造の調整方法及び騒音低減方法
JP2015132743A (ja) 上部改良型透光型膜振動吸音遮音壁
JP2878091B2 (ja) 多孔質構造体モジュールを用いた音響パネル及び音響装置
JP7116666B2 (ja) 遮音構造体
KR101950694B1 (ko) 철도차량 실내소음 저감을 위한 차벽용 차음판
JP6929532B2 (ja) 防音パネル
KR20220023621A (ko) 흡음 장치
KR101458116B1 (ko) 연질 막형 흡음판 및 이를 이용한 방음시설
US20150129354A1 (en) Thermo-Acoustic Protection Structure for a Rotating Machine
JP4553846B2 (ja) 流路用消音装置
JP4303183B2 (ja) 二重壁構造体
JP2020038287A (ja) 電子機器用の防音装置
JP4680963B2 (ja) 枠体付き二重壁構造体
JP3179226U (ja) 低周波音用消音エルボ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181004

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190823

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191001

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191011

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6603689

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250