JP6607499B2 - 遮音構造体 - Google Patents

遮音構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP6607499B2
JP6607499B2 JP2016111672A JP2016111672A JP6607499B2 JP 6607499 B2 JP6607499 B2 JP 6607499B2 JP 2016111672 A JP2016111672 A JP 2016111672A JP 2016111672 A JP2016111672 A JP 2016111672A JP 6607499 B2 JP6607499 B2 JP 6607499B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sound insulation
rigid
insulation structure
lattice
bag body
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016111672A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017219577A (ja
Inventor
智昭 貝瀬
諭 井上
正治 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tottori University
Tokyu Construction Co Ltd
Original Assignee
Tottori University
Tokyu Construction Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tottori University, Tokyu Construction Co Ltd filed Critical Tottori University
Priority to JP2016111672A priority Critical patent/JP6607499B2/ja
Publication of JP2017219577A publication Critical patent/JP2017219577A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6607499B2 publication Critical patent/JP6607499B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Description

本発明は、パネル状に形成される遮音構造体に関するものである。
工事現場などの騒音発生源を囲う防音パネル、住宅の仕切り壁、遮音壁、遮音扉などのようにパネル状の遮音構造体が、騒音などを遮断するために設置されることが知られている(特許文献1,2など参照)。
特許文献1,2に開示された遮音構造体は、従来の遮音壁が後述するように質量則に依存して重量が増大していたのに対し、軽量で広範な周波数領域に対して優れた遮音効果が発揮される構成としたことを特徴としている。
具体的には、格子状の一対の保形枠体の間に袋状の遮音部材を介在させ、遮音部材の内圧を高めて遮音部材の膜状体に大きな張力を付与して剛性を増大させることで、極めて振動し難い状態にしている。
特許第5209037号公報 特開2013−195729号公報
しかしながら特許文献1,2に開示された遮音構造体は、同一種類の一対の保形枠材によって遮音部材を挟んでいるため、ある特定の周波数に対しては大きな遮音効果を発揮するものの、複数の周波数に対してそれぞれ所望する遮音効果を発揮させるというような調整が可能な構成とはなっていなかった。
そこで、本発明は、複数の周波数に対して高い遮音効果を発揮させることが可能な遮音構造体を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の遮音構造体は、パネル状に形成される遮音構造体であって、薄膜材によって形成されて内部に気体が封入された袋体部と、前記袋体部の側面となる第1面に密着させた第1剛性部と、前記第1面の反対側の側面となる前記袋体部の第2面に密着させた第2剛性部と、前記第1剛性部と前記袋体部と前記第2剛性部とを積層させた状態で保持させる枠体部とを備え、前記第1剛性部及び前記第2剛性部は複数の開口を有する面状材であるとともに、前記第1剛性部と前記第2剛性部とは開口率及び面密度が異なっていることを特徴とする。
ここで、前記第1剛性部及び前記第2剛性部は、格子状の面状材とすることができる。また、前記開口率及び面密度が、格子を形成する線材の幅と配置間隔と線材自体の密度とによって調整されている構成とすることができる。さらに、前記第1剛性部及び前記第2剛性部は、前記面状材の格子の交点が接合されていることが好ましい。
また、外形がアスペクト比4以上の長方形に形成された構成とすることができる。
そして、前記袋体部の薄膜材が、前記第1剛性部及び前記第2剛性部の開口から膨出されるように内圧が設定されていることが好ましい。さらに、前記内圧は、50Pa以上にすることができる。
また、遮音構造体の別の発明は、パネル状に形成される遮音構造体であって、薄膜材によって形成されて内部に気体が封入された複数の袋体部と、前記複数の袋体部のそれぞれの側面に密着させた複数の剛性部と、前記複数の袋体部と前記複数の剛性部とを積層させた状態で保持させる枠体部とを備え、前記複数の剛性部は、それぞれ複数の開口を有する面状材であるとともに、前記複数の剛性部は開口率及び面密度がそれぞれ異なっていることを特徴とする。
このように構成された本発明の遮音構造体は、内部に気体が封入された袋体部の両側面に、開口率及び面密度が異なる第1剛性部と第2剛性部とを密着させた構成となっている。
このため、袋体部のそれぞれの側面において、低周波数音と高周波数音などと異なる周波数音を遮断できるようになるので、複数の周波数に対して高い遮音効果を発揮させることが可能になる。
また、第1剛性部と第2剛性部の開口率及び面密度は、格子状の面状材であれば容易に調整することができる。すなわち、格子を形成する線材の幅と配置間隔と線材自体の密度の少なくとも一つを変更することによって、開口率及び面密度を容易に調整することができる。
さらに、格子の交点が接合されていれば、袋体部の内圧によって張力が作用しても、格子の目の形状(格子間隔)が変形しにくく、所望する周波数の遮音効果を発揮させることができる。
また、遮音構造体の外形をアスペクト比4以上の長方形に形成することで、正方形などのアスペクト比が4未満の外形に形成された場合に比べて低周波数音の遮音効果を高めることができるうえに、広帯域の周波数に対して遮音効果を発揮させることができる。
さらに、袋体部の薄膜材が第1剛性部及び第2剛性部の開口から膨出されるくらいに内圧を高めることで、より遮音効果を高めることができる。特に、内圧を50Pa以上にすることで高い遮音効果が期待できる。
そして、袋体部を複数にして、それらの側面に密着させる剛性部の数を増やすことによって、さらに多くの周波数に対して高い遮音効果を発揮させることができる。
本発明の実施の形態の遮音構造体の構成を説明するための分解斜視図である。 本発明の実施の形態の遮音構造体の構成を説明するための断面図である。 質量則に依存する遮音パネルの遮音性能を概念的に説明する図である。 本発明の実施の形態の遮音構造体の遮音性能を確認するために行った実験結果を示した図である。 アスペクト比の差について説明するための図である。 アスペクト比が遮音性能に与える影響を説明するための図である。 格子間隔の変化がピーク遮音周波数に与える影響を説明するための図である。 袋体部の内圧の大きさと遮音性能との関係を説明するための図である。 実施例1の遮音構造体の構成を説明するための分解斜視図である。 実施例1の遮音構造体の遮音性能を概念的に説明する図である。 実施例1の遮音構造体の遮音性能を確認するために行った実験結果を示した図である。 実施例2の遮音構造体の構成を説明するための分解斜視図である。 実施例3の遮音構造体の構成を説明するための断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1,2は、本実施の形態の遮音構造体1の構成を説明するための分解斜視図及び断面図である。
本実施の形態の遮音構造体1は、正面視略長方形などのパネル状に形成される。例えば、複数のパネル状の遮音構造体1によって、工事現場などの騒音発生源を囲うことができる。また、2つの空間を区切る仕切り壁を、複数のパネル状の遮音構造体1によって構成することもできる。
この遮音構造体1は、薄膜材によって形成されて内部に気体21が封入された袋体部2と、その第1面に密着させた第1剛性部としての粗目格子体3と、第1面の反対側の第2面に密着させた第2剛性部としての細目格子体4と、粗目格子体3と袋体部2と細目格子体4とを積層させた状態で保持させる枠体部5とによって、主に構成される。
袋体部2は、可撓性を有する薄膜材によって形成される。例えば、ポリエチレンシート、塩化ビニルシートなどを袋状に成形することができる。また、薄膜材の厚さは、0.01mm−1mm程度が好ましい。
袋体部2は、粗目格子体3と細目格子体4という両側面に配置される剛性材の拘束によって形状が変形するため、初期の形状は限定されるものではない。例えば、長方形のポリエチレンシートを二つ折りにして、縁部22を溶着させて袋状に成形することができる。
また、袋体部2には、図示していないが、内部に気体21を注入するための逆止弁付き注入口と排出口が設けられる。内部に注入する気体21は、空気、窒素ガスなど特に限定されるものではない。
さらに、袋体部2の縁部22には、正面視略長方形の弾性枠材23を貼り付ける。弾性枠材23は、膨張した袋体部2の滑り抜けを防ぐために配置される滑り止め材で、クロロプレンゴム、EPDMゴム(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)など摩擦抵抗が確保できる素材が使用できる。
そして、袋体部2の側面となる第1面に粗目格子体3を密着させる。粗目格子体3は、複数の開口を有する面状材である。すなわち格子の目が開口に該当する。
粗目格子体3には、ワイヤーメッシュ、ファインメッシュ、パンチングメタル、金網、ハニカム材等の面状材として剛性が確保できる材料が使用できる。素材としては、金属、プラスチック、紙、木材、ガラスなどが使用できる。
例えば粗目格子体3は、平行に配置された複数の横線材31,・・・と、横線材31に対して略直交するように平行に配置された複数の縦線材32,・・・とによって形成される。
横線材31と縦線材32の交点は、溶接によって接合される。すなわち、金網のように縦横の線材を編んだだけの材料よりも、交点が溶接などによって接合されている材料の方が格子の目の形状(格子間隔)が変形しにくく好ましい。
粗目格子体3の開口率は、横線材31及び縦線材32の線径(幅)と、横線材31及び縦線材32のピッチ(配置間隔)によって調整することができる。開口率は、92%未満にするのが好ましい。
一方、粗目格子体3の面密度は、単位面積当たりの質量となるため、横線材31及び縦線材32の線径(幅)とピッチ(配置間隔)に加えて、横線材31及び縦線材32の素材(密度)によって調整することができる。
すなわち横線材31及び縦線材32が金属線であれば、プラスチック線材を使用した場合に比べて開口率が同じでも面密度を高めることができる。面密度は、1kg/m2より大きくするのが好ましい。
粗目格子体3が、開口率92%以上かつ面密度1kg/m2以下の場合は、遮音周波数領域で高い遮音効果が得られる周波数(以下、「ピーク遮音周波数」という。)において、充分な遮音性能を得ることができない。例えばピーク遮音周波数において20dB程度の遮音性能を確保するためには、開口率92%未満かつ面密度2kg/m2以上の粗目格子体3を使用する。
袋体部2の第1面の反対側の側面となる第2面に密着させる細目格子体4は、上述した粗目格子体3と同様の構成となる。粗目格子体3と細目格子体4とは、開口率及び面密度が異なる以外の構成は同じであるため、重複する説明は省略する。
細目格子体4は、粗目格子体3と比較して、横線材41及び縦線材42の線径(幅)が小さく、横線材41及び縦線材42のピッチ(配置間隔)も狭い。本実施の形態では、説明を簡単にするために第1剛性部を粗目格子体3とし、第2剛性部を細目格子体4として説明するが、これに限定されるものではない。第1剛性部と第2剛性部は、開口率及び面密度が異なる組み合わせであれば、いずれの組み合わせにすることもできる。
枠体部5は、少なくとも袋体部2の縁部22に沿って配置される正面視略長方形の枠材を備えている。この枠体部5は、粗目格子体3側に配置される第1枠材51と、細目格子体4側に配置される第2枠材52とによって主に構成される。
第1枠材51及び第2枠材52は、袋体部2の内部を高圧にして膨張させた際に、変形したり破損したりしない程度の剛性を有するように形成される。例えば、鋼材、アルミニウム、木材、プラスチックなどによって、断面視略L字形の長方形枠状に製作することができる。
図1の分解斜視図で示された第1枠材51と粗目格子体3と袋体部2と細目格子体4とを積層させると、図2の断面図に示した状態となる。内部に気体21が封入されて膨張した袋体部2の縁部22は、弾性枠材23,23と粗目格子体3及び細目格子体4の縁部を介して、第1枠材51と第2枠材52によって挟持される。
一方、袋体部2の側面には、粗目格子体3(又は細目格子体4)が密着されている。袋体部2の内部は高圧になっているため、横線材31,31(41,41)と縦線材32,32(42,42)に囲まれた開口から、袋体部2の薄膜材が膨出された形態となる。
要するに袋体部2の薄膜材は、張力が付与された状態になる。張力が付与された薄膜材は、入射音波に対する剛性が増加するため、剛性則によって振動しにくい状態になる。さらに、粗目格子体3(又は細目格子体4)と袋体部2の薄膜材とが密着によって一体化することでも、入射音波に対する剛性を増加させることができる。
図3に、質量則に依存する遮音パネルの遮音性能を概念的に示した。この従来から使用されている遮音パネルは、1次固有振動数fまでの低い周波数の入射音波に対しては、剛性則によって遮音性能を発揮する。
一方、1次固有振動数fよりも高い周波数の入射音波に対しては、質量則によって遮音性能を発揮する。すなわち、遮音パネルの質量と音の周波数の積の対数値との間には直線関係があり、遮音性能はこの質量則によっても増加する。
鋼板などによって形成される従来の遮音パネルは、1次固有振動数fが数十Hzと低いため、実質的に質量則によって遮音性能が決定されることが多い。このため、遮音性能を上げるためには、質量を増加させる必要があった。
これに対して、横線材31,31(41,41)と縦線材32,32(42,42)に囲まれた開口で仕切られた袋体部2の側面は、区画された長方形(正方形)の薄膜材の集合体とみなすことができ、1次固有振動数f(共振周波数)を押し上げることが可能になる。
この共振周波数の変動は、袋体部2の薄膜材に付与される張力、粗目格子体3(又は細目格子体4)の開口率及び面密度によって調整することができる。要するに、粗目格子体3と細目格子体4とでピーク遮音周波数を変えることができるので、一つの遮音構造体1に2つのピーク遮音周波数が現れることになり、遮音周波数を広帯域化させることができるようになる。
次に、本実施の形態の遮音構造体1の遮音性能を確認するために行った実験結果について説明する。この実験は、残響室を用いて音響透過損失試験により音響透過損失(空気音遮断性能)を測定する方法で行った。
実験に使用した遮音構造体1の試料の詳細を記載する。袋体部2は、厚さ0.07mmのポリエチレンとナイロンの合成素材によって可撓性を有するように製作した。
また、粗目格子体3には、横線材31及び縦線材32の線径が6mm、格子間隔が100mmの開口率が88%、面密度が4.3kg/m2となるワイヤーメッシュを使用した。
さらに、細目格子体4には、横線材41及び縦線材42の線径が0.7mm、格子間隔が6.35mmの開口率が78%、面密度が0.95kg/m2となるファインメッシュを使用した。
一方、袋体部2に封入された気体21の内圧よる影響を確認するために、4ケースの加圧条件(0Pa,500Pa,1000Pa,2000Pa)で実験を行った。図4は、その実験結果を、横軸を周波数(Hz)とし縦軸を音響透過損失(dB)として示したグラフである。
この実験結果を見ると、加圧がされた3ケース(500Pa,1000Pa,2000Pa)では、80Hz−250Hz帯域で15dB−20dB程度、1000Hz−2000Hz帯域で20dB−23dB程度の遮音効果が確認できた。すなわち、2つのピーク遮音周波数が現れたと言える。
本実施の形態の遮音構造体1は、気体21が封入された袋体部2並びに粗目格子体3、細目格子体4及び枠体部5などによって軽量に製作されている。それにも関わらず、質量則に依存した遮音パネル(図4の破線参照)では質量を増加させないと得られないような遮音効果が得られていることがわかる。
この2つのピーク遮音周波数の大きさ(高さ)は、粗目格子体3と細目格子体4の開口率と面密度を変更することによって、所望する大きさに調整することが可能である。
続いて、遮音構造体1の外形についての検討を行う。以下では、1枚の遮音構造体1のことを1ユニットと呼ぶこととする。
1ユニットの遮音構造体1の1次固有振動数f0M(Hz)は、以下の式で表される。
ここで、T1は長方形の1ユニット全体に働く張力(N/m)、ρ1は1ユニットの面密度(kg/m2)、Lx、Lyは1ユニットの縦横の各辺の寸法(m)を示す。
また、図3に示したように、1次固有振動数f0M未満の周波数領域では、剛性則が成立し、音響透過損失は、以下の近似式で表される。
ここで、TL0は垂直入射時の音響透過損失、Kは1ユニットの等価剛性、fは周波数、mは1ユニットの質量を示す。
続いて、上式を用いて正方形と長方形(縦横の辺の長さが異なるもの。矩形)との外形の相違による音響透過損失の差を求める。ここで、比較対象となる長方形と正方形の質量m及び面積Sは同じである。
正方形の1ユニットの1次固有振動数をf0M1、長方形(矩形)の1ユニットの1次固有振動数をf0M2とすると、上式の差分は次式で表される。
遮音効果に充分な差異があると判断するには、ΔTL0が5dB以上であることが必要になる。そこで、図5を参照しながら説明を続ける。まず、正方形の1辺をaとし、長方形(矩形)の短辺をbとする。また、長方形(矩形)のアスペクト比をAとすると、長辺はAbとなる。
これらの前提に基づくと、(f0M2/f0M1)2は、図5に示した式のように導くことができ、2以上となる場合にΔTL0が6dB以上となる。この結果、アスペクト比A≧2+√3となるため、アスペクト比Aが4以上となる長方形(矩形)の外形とすることで、遮音性能を向上させることができる。
図6に、1ユニットの遮音構造体1の外形の違い(正方形、アスペクト比が4の長方形)によって遮音性能に差が出ることを模式的に説明する図を示した。この図に示されているように、外形を正方形にすると1次固有振動数f0M1が小さくなって剛性則領域の範囲が狭くなるため、低周波領域の遮音性能が充分に得られない。
これに対して、同じ質量で同じ面積であっても、遮音構造体1の外形をアスペクト比が4以上となる長方形にするだけで、低周波数音を効果的に遮断できるうえに、広い周波数範囲で高い遮音性能を得ることができることがわかる。
次に、本実施の形態の遮音構造体1の作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の遮音構造体1は、内部に気体21が封入された袋体部2の両側面に、開口率及び面密度が異なる粗目格子体3と細目格子体4とを密着させた構成となっている。
このため、袋体部2の両側面で異なるピーク遮音周波数を設定することができるので、2つのピーク遮音周波数が現れるだけでなく、それらの間も含めた広い帯域の周波数に対して高い遮音効果を発揮させることができる。要するに、遮音周波数範囲を拡張させることができる。
例えば、開口率が88%で面密度が4.3kg/m2となる粗目格子体3は、低音域(125Hz帯域前後)の騒音を低減することができる。また、開口率が78%で、面密度が0.95kg/m2となる細目格子体4は、高音域(2000Hz帯域前後)の騒音を低減させることができる。
このような粗目格子体3と細目格子体4の開口率及び面密度は、格子状の面状材であれば、横線材31,41と縦線材32,42の線径(幅)やピッチ(配置間隔)を変更するだけで容易に調整することができる。
図7には、格子間隔(縦横のピッチ)が異なる格子体を使用した場合の遮音性能を実験で確認した結果を示した。この実験は、格子間隔(100mm,50mm,25mm)以外はすべて同じ条件(内圧は500Pa)にした3ケースの遮音構造体により行った。
この3ケースの実験結果を見ると、格子間隔によってピーク遮音周波数が異なっているのが分かる。詳細には、格子間隔が広くなるほど、ピーク遮音周波数が低くなることがわかる。
すなわち、袋体部2の内圧によって張力が作用することで格子間隔(格子の目の形状)が変化すると、ピーク遮音周波数も変化することになる。例えば、格子間隔が広がると、図7に矢印で示したように、ピーク遮音周波数が低周波数側にシフトすることになる。
これに対して、横線材31(41)と縦線材32(42)の格子の交点が溶接などによって接合されていれば、袋体部2の内圧によって張力が作用しても、格子の目の形状(格子間隔)が変形しにくく、狙い通りに遮音したい周波数近辺をピーク遮音周波数に設定することができる。
また、遮音構造体1の外形をアスペクト比4以上の長方形に形成することで、正方形などのアスペクト比が4未満の外形に形成された場合に比べて、同じ材料(同じ重量及び同じ面積)で遮音効果を高めることができる。特に、低周波数音を効果的に遮断することができるようになる。
さらに、袋体部2の薄膜材が粗目格子体3及び細目格子体4の格子の目(開口)から膨出されるくらいに内圧を高めることで、より遮音効果を高めることができる。
図8は、袋体部2の内圧の大きさと遮音性能との関係を説明するための図である。この図は、内圧が0Paのときの音響透過損失結果を基準にした各内圧条件の遮音性能の上昇量を図示している。
ここで、オーバーオール換算値ROAとは、音響透過損失結果から各周波数帯の透過率を求め、それらを平均した透過率の逆数をデシベル換算した値をいう。そして、遮音効果に充分な差異があると判断するには、加圧後の音響透過損失(遮音性能)が、加圧前(0Pa)と比較して1ランク(5dB)程度以上向上していることが必要となる。
そこで、音響透過損失のオーバーオール換算値ROAの差分で示した遮音性能上昇量により判断すると、内圧が50Paのケースでは約4.5dB上昇という1ランク弱の遮音効果の向上が確認できた。さらに、内圧が100Paのケースでは、約6dBと1ランク以上の遮音効果の向上が確認できた。
このため、袋体部2の内圧は50Pa以上、好ましくは100Pa以上に設定する。さらに、内圧を2000Pa以上かつ限界内圧(袋体部2が破裂する圧力)以下にすることで、2ランク(11dB)以上の非常に高い遮音効果が期待できる。
そして、気体21が封入された袋体部2並びに粗目格子体3、細目格子体4及び枠体部5によって構成される遮音構造体1は、軽量に製作することができる。
すなわち質量則に依存した遮音パネルによって広帯域の周波数に対して遮音効果を発揮させようとすれば、必然的に重量と厚みが大きくなってコストが増加するだけでなく扱いにくくなって施工性が低下することになる。これに対して、軽量化された遮音構造体1であれば、工事現場や住宅内などの様々な場所に容易に設置することができる。
特に、質量則に依存した遮音パネルでは効果的に遮音することが難しい低周波音に対して、本実施の形態の遮音構造体1であれば軽量であっても高い遮音性能を発揮させることができる。
以下、前記実施の形態で説明した遮音構造体1とは別の形態の実施例1について、図9−図11を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を用いて説明する。
本実施例1で説明する遮音構造体1Aは、図9に示すように、袋体部2だけでなく第2の袋体部61を備えた多層構造となっている。また、第2の袋体部61が追加されるのに伴って、第3の剛性部としての格子体62が追加される。
すなわち実施例1の遮音構造体1Aは、薄膜材によって形成されて内部に気体21が封入された袋体部2と、その第1面に密着させた粗目格子体3と、第1面の反対側の第2面に密着させた細目格子体4と、薄膜材によって形成されて内部に気体21が封入された袋体部61と、袋体部61の細目格子体4を密着させた側面とは反対側の側面に密着させた格子体62と、粗目格子体3と袋体部2と細目格子体4と袋体部61と格子体62とを積層させた状態で保持させる枠体部5とによって、主に構成される。
袋体部61は、上述した袋体部2と同じ構成となるため、詳細な説明は省略する。また、格子体62は、粗目格子体3及び細目格子体4と開口率及び面密度が異なる以外の構成は同じであるため、重複する説明は省略する。すなわち格子体62は、粗目格子体3と開口率及び面密度が異なるだけでなく、細目格子体4とも開口率及び面密度が異なっている。
図10の上図は、粗目格子体3と細目格子体4と格子体62とが、それぞれ単独で使用された場合のピーク遮音周波数を概念的に示した図である。開口率及び面密度が大きい粗目格子体3は、低音域の周波数f1がピーク遮音周波数となる。
一方、粗目格子体3よりも開口率及び面密度が小さい細目格子体4は、周波数f1よりも高い周波数f2がピーク遮音周波数となる。さらに、細目格子体4よりも開口率及び面密度が小さい格子体62は、周波数f2よりも高い周波数f3がピーク遮音周波数となる。
これに対して粗目格子体3と細目格子体4と格子体62という3枚の剛性材が積層された遮音構造体1Aであれば、図10の下図に示すように、3つのピーク遮音周波数を出現させることができる。
図11は、実施例1の遮音構造体1Aの遮音性能を確認するために行った実験結果を示した図である。ここで、ケース1が遮音構造体1Aの実験結果となる。また、ケース2,3は、比較のために行った実験で、ケース1の遮音構造体1Aの一部を抜き出した構成の遮音構造体による結果を示している。
この図を見ると、多層構造の遮音構造体1A(ケース1)は、剛性部が2つの遮音構造体(ケース2,3)と比較して、明確な3つのピーク遮音周波数が出現していることが確認できた。
このように袋体部(2,6)を複数にして、それらの側面に密着させる剛性部(3,4,61)の数を増やすことによって、多くの周波数に対して高い遮音効果を発揮させることができる。
なお、実施例1のこの他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるため説明を省略する。
以下、前記実施の形態及び実施例1で説明した遮音構造体1,1Aとは別の形態の実施例2について、図12を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を用いて説明する。
本実施例2で説明する遮音構造体1Bは、薄膜材によって形成されて内部に気体が封入された複数の袋体部(2,61,611,・・・,612)と、複数の袋体部(2,61,611,・・・,612)のそれぞれの側面に密着させた複数の剛性部としての格子体(3,4,62,・・・,621,622)と、複数の袋体部(2,61,611,・・・,612)と複数の格子体(3,4,62,・・・,621,622)とを積層させた状態で保持させる枠体部5とによって、主に構成される。
そして、複数の格子体(3,4,62,・・・,621,622)は、開口率及び面密度がそれぞれ異なっている。すなわち上記実施例1では、2つの袋体部2,61と3枚の格子体(3,4,62)とによって構成された多層構造の遮音構造体1Aについて説明したが、本実施例2の遮音構造体1Bは、袋体部及び格子体(剛性部)の数に限定されない構成となっている。
このように構成された遮音構造体1Bは、袋体部(2,61,611,・・・,612)の数が増加した分だけ、それらの側面に密着させる剛性部(3,4,62,・・・,621,622)の数を増やすことができ、さらに多くの周波数に対して高い遮音効果を発揮させることができる。
なお、実施例2のこの他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるため説明を省略する。
以下、前記実施の形態及び実施例1,2で説明した遮音構造体1,1A,1Bとは別の形態の実施例3について、図13を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1,2で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語又は同一符号を用いて説明する。
本実施例3で説明する遮音構造体1Cは、図13に示すように、袋体部7と剛性部(81,82)とが一体に成形されている。すなわち、第1剛性部としての粗目格子体81及び第2剛性部としての細目格子体82が、袋体部7の薄膜材の内部に埋め込まれて固定された構成となっている。
例えば、硬質の樹脂を用いて格子状の粗目格子体81及び細目格子体82を成形し、成形金型の内部に粗目格子体81又は細目格子体82を配置する。続いてその成形金型の内部に軟質樹脂を注入すると、袋体部7の薄膜材と粗目格子体81又は細目格子体82とが溶着により一体になったシートが成形される。
そして、粗目格子体81が一体になった薄膜材と細目格子体82が一体になった薄膜材とを重ね合わせて袋状にすることで、簡単に袋体部7を製作することができる。
このようにして製作された袋体部7に気体71を封入すると、線材(図13では横線材811,821のみ図示)の無い部分の薄膜材が膨出された状態となる。そして、こうして製作された袋体部7は、粗目格子体81及び細目格子体82と一体になって挙動するので、設定されたピーク遮音周波数に対して高い遮音効果を発揮させることができる。
さらに、粗目格子体81及び細目格子体82を袋体部7の薄膜材と一体に成形することで、遮音構造体1Cの組み立ての工数が削減できるなど容易に製作することができるようになる。
なお、実施例3のこの他の構成及び作用効果については、前記実施の形態又は他の実施例と略同様であるため説明を省略する。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態及び実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態及び実施例では、格子状の剛性部(3,4,62,621,622,81,82)を使用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、複数の開口を有する剛性を備えた面状材であれば第1剛性部、第2剛性部及びそれ以外の剛性部の形態は問われない。
1 遮音構造体
2 袋体部
21 気体
3 粗目格子体(第1剛性部)
4 細目格子体(第2剛性部)
5 枠体部
1A 遮音構造体
61 袋体部
62 格子体(剛性部)
1B 遮音構造体
611,612 袋体部
621,622 格子体(剛性部)
1C 遮音構造体
7 袋体部
71 気体
81 粗目格子体(第1剛性部)
82 細目格子体(第2剛性部)

Claims (8)

  1. パネル状に形成される遮音構造体であって、
    薄膜材によって形成されて内部に気体が封入された袋体部と、
    前記袋体部の側面となる第1面に密着させた第1剛性部と、
    前記第1面の反対側の側面となる前記袋体部の第2面に密着させた第2剛性部と、
    前記第1剛性部と前記袋体部と前記第2剛性部とを積層させた状態で保持させる枠体部とを備え、
    前記第1剛性部及び前記第2剛性部は複数の開口を有する面状材であるとともに、前記第1剛性部と前記第2剛性部とは開口率及び面密度が異なっていることを特徴とする遮音構造体。
  2. 前記第1剛性部及び前記第2剛性部は、格子状の面状材であることを特徴とする請求項1に記載の遮音構造体。
  3. 前記開口率及び面密度は、格子を形成する線材の幅と配置間隔と線材自体の密度とによって調整されていることを特徴とする請求項2に記載の遮音構造体。
  4. 前記第1剛性部及び前記第2剛性部は、前記面状材の格子の交点が接合されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の遮音構造体。
  5. 外形がアスペクト比4以上の長方形に形成されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の遮音構造体。
  6. 前記袋体部の薄膜材が、前記第1剛性部及び前記第2剛性部の開口から膨出されるように内圧が設定されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の遮音構造体。
  7. 前記内圧は、50Pa以上であることを特徴とする請求項6に記載の遮音構造体。
  8. パネル状に形成される遮音構造体であって、
    薄膜材によって形成されて内部に気体が封入された複数の袋体部と、
    前記複数の袋体部のそれぞれの側面に密着させた複数の剛性部と、
    前記複数の袋体部と前記複数の剛性部とを積層させた状態で保持させる枠体部とを備え、
    前記複数の剛性部は、それぞれ複数の開口を有する面状材であるとともに、前記複数の剛性部は開口率及び面密度がそれぞれ異なっていることを特徴とする遮音構造体。
JP2016111672A 2016-06-03 2016-06-03 遮音構造体 Active JP6607499B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016111672A JP6607499B2 (ja) 2016-06-03 2016-06-03 遮音構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016111672A JP6607499B2 (ja) 2016-06-03 2016-06-03 遮音構造体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017219577A JP2017219577A (ja) 2017-12-14
JP6607499B2 true JP6607499B2 (ja) 2019-11-20

Family

ID=60656031

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016111672A Active JP6607499B2 (ja) 2016-06-03 2016-06-03 遮音構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6607499B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109003598A (zh) * 2018-06-13 2018-12-14 西安交通大学 薄板型声学超材料低频隔声结构
JP7116666B2 (ja) 2018-11-12 2022-08-10 東急建設株式会社 遮音構造体

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0719154B2 (ja) * 1992-12-22 1995-03-06 株式会社鴻池組 薄膜からなる遮音装置
JP5308006B2 (ja) * 2006-11-02 2013-10-09 株式会社神戸製鋼所 吸音構造体
JP2010085818A (ja) * 2008-10-01 2010-04-15 Inoac Corp 吸音材
JP5209037B2 (ja) * 2010-12-08 2013-06-12 国立大学法人鳥取大学 遮音構造体
JP6010747B2 (ja) * 2012-03-21 2016-10-19 国立大学法人鳥取大学 遮音構造ユニット及び同ユニットを用いた遮音構造体
JP2015114635A (ja) * 2013-12-16 2015-06-22 コニカミノルタ株式会社 遮音構造体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017219577A (ja) 2017-12-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5056385B2 (ja) 吸音体
US9466283B2 (en) Sound attenuating structures
JP5308006B2 (ja) 吸音構造体
US20090283356A1 (en) Solid-borne sound reducing structure
US11322126B2 (en) Broadband sparse acoustic absorber
US10621966B2 (en) Sound absorbing and insulating structures by tailoring sound velocities, and method of designing the sound absorbing and insulating structures
JP2010007278A (ja) 広帯域吸音構造及び吸音材
WO2015114929A1 (ja) 吸音パネル及び防音壁設備
US11568848B2 (en) Airborne acoustic absorber
JP6607499B2 (ja) 遮音構造体
WO2004107313A1 (ja) 遮音・吸音構造体、並びにこれらを適用した構造物
JP6829434B2 (ja) 遮音構造体
JP6276072B2 (ja) 工事現場用仮囲いの防音構造及び先端改良型消音器
JP6326882B2 (ja) 遮音構造体
JP2018066914A (ja) 吸音構造
JP6603689B2 (ja) 遮音構造体
JP2008046618A (ja) 固体音低減構造
JP2015132743A (ja) 上部改良型透光型膜振動吸音遮音壁
JP7116666B2 (ja) 遮音構造体
JP5066680B2 (ja) 吸音構造体
JP5350183B2 (ja) 二重壁構造を有する金属製遮音パネル
JP2011085761A (ja) 騒音低減構造体
JP2000206976A (ja) 吸音構造体
JP2010014888A (ja) 吸音構造体
JP2017040134A (ja) 防音構造体、トンネル防音構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181004

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190823

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191001

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191011

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6607499

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250