JP6326882B2 - 遮音構造体 - Google Patents

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Description

本発明は,遮音構造体に関する。さらに詳細には,薄膜に張力が掛かっていることにより優れた遮音性を得るようにした遮音構造体に関する。
一般的に,遮音構造体は,質量則や剛性側に基づいて構成されている。質量則は,遮音構造体の単位面積当たりの質量である面密度が大きいほど,遮音効果が高くなるというものである。面密度が大きい遮音構造体ほど,これを透過する際の透過損失が大きくなるということからである。一方,剛性則は,遮音構造体の剛性が高いほど,遮音効果が高くなるというものである。ここで,剛性則は低周波音に対する考え方であり,可聴周波数領域の大部分においては質量則が支配的であると考えられている。
そこで,通常の可聴周波数領域における遮音を目的とする遮音構造体は,質量則に従い,遮音構造体の面密度を大きくすることにより,遮音効果が高くなるようにされている。しかし,質量則によって遮音効果を高くする場合には,遮音構造体の厚みを厚くすることが必要であるため,遮音構造体が大きく,重くなってしまうという問題があった。
このような問題に対し,特許文献1には,袋状の薄いフィルムを,その両側より複数の開口を有する枠体によって挟み込んでなる遮音構造体が記載されている。そして,袋状のフィルム内に,フィルムが枠体の開口内に突出するまで空気を充填させることにより,フィルムに張力を掛けて遮音効果を得ることができるとされている。これにより,軽量で安価な構成の遮音構造体とすることができるとされている。
ところが,特許文献1に記載の遮音構造体は,袋状のフィルムを両側から枠体で挟み込んだ構成であり,枠体同士はそれぞれの外縁部においてのみ固定されている。このため,枠体の中央付近では,袋状のフィルム内に空気が充填された際の押圧力により,枠体同士が互いに遠ざかるように変形してしまう。その枠体の中央付近における変形量は,遮音構造体の面積が大きくなるほど,外縁部と比較して大きくなる。遮音構造体の面積が大きくなるほど,枠体の中央付近は,固定されている外縁部からの距離が遠くなるからである。このような中央付近での変形は,例えば,枠体の強度を高くすることにより低減することができる。しかし,強度を高くするためには,遮音構造体を全体として大きく,重くしてしまうこととなるため好ましくない。
そこで,特許文献2に記載されているように,特許文献1のような構成の遮音構造体を1つの構成単位として,これを同一面内に複数並べることで,遮音できる面積を大きくすることが考えられる。構成単位とした1つの遮音構造ユニットあたりの面積は小さいもので済むからである。このため,枠体に高い強度が必要なく,遮音構造体が全体として大きく,重くなってしまうことがないからである。
特開2012−122236号公報 特開2013−195729号公報
しかしながら,複数の遮音構造ユニットよりなる遮音構造体では,遮音対象の面積が大きくなると,それだけ多くの遮音構成ユニットが必要となる。これにより,遮音構造体の全体の構成は複雑なものとなってしまう。また,フィルムに張力を掛けて遮音を行うものでは,フィルムに掛かる張力を調整することにより,透過損失を異なるものとすることができる。しかし,複数の遮音構造ユニットよりなる遮音構造体では,その全体の透過損失を調整することが容易ではないという問題がある。すなわち,遮音構造体の全体の透過損失を調整するためには,複数の遮音構造ユニットの圧力調整をそれぞれ個別に行う必要がある。このため,圧力調整を行うための圧力調整部を複数の遮音構造ユニットに個別に設けたり,あるいは,すべての遮音構造ユニットを配管によって圧力調整部と接続しなければならない。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点の解決を目的としてなされたものである。すなわちその課題とするところは,遮音対象の面積によらず,簡素な構成で,かつ軽量で厚みの薄い遮音構造体を提供することである。
この課題の解決を目的としてなされた本発明の一態様に係る遮音構造体は,第1面と,第1面の反対側の第2面とを有し,第1面から第2面への音の伝播を遮断する遮音構造体であって,第1面の側に位置する第1面部と,第2面の側に第1面部と間隔を置いて位置する第2面部とを有し,第1面部と第2面部とのいずれにも,外縁よりも内側の中央領域内に複数の貫通孔が形成されているフレームと,フレームの第1面部と第2面部とを,中央領域内にて接続する接続部材と,第1面部と第2面部との間に位置し,第1面部と第2面部との間の空間を外部の空間から区画して密閉空間を形成している可撓性のフィルムと,密閉空間を大気圧より高い圧力に維持する圧力維持部とを有し,フィルムは,密閉空間が大気圧よりも高い圧力に加圧されることで,第1面部および第2面部の貫通孔より密閉空間から外部へ向けて湾曲状に突出しつつ張力が掛かった加圧状態をとることにより,音の透過を遮るものであり,フィルムには,接続部材を囲み,フィルムの第1面側と第2面側とがつながって形成されている環状部が設けられていることを特徴とする遮音構造体である。
本発明の遮音構造体は,密閉空間を加圧状態とし,フィルムに張力を掛けることで遮音状態をとることができる。フィルムは薄膜であり,フレームや接続部材はフィルムの張力を支持できる程度の剛性があればよい。このため,軽量で厚みの薄いものである。また,接続部材により,外縁よりも内側の中央の領域内でのフレームの変形を抑制することができる。よって,第1面および第2面の面積が大きなものであっても,簡素な構成で,フレームの変形を抑制することができる。さらに,フィルムには,接続部材を囲み,フィルムの第1面側と第2面側とがつながって形成されている環状部が設けられていることで,フィルムの接続部材を通す箇所をシールする必要がない。
また,本発明の他の態様に係る遮音構造体は,第1面と,第1面の反対側の第2面とを有し,第1面から第2面への音の伝播を遮断する遮音構造体であって,第1面の側に位置する第1面部と,第2面の側に第1面部と間隔を置いて位置する第2面部とを有し,第1面部と第2面部とのいずれにも,外縁よりも内側の中央領域内に複数の貫通孔が形成されているフレームと,フレームの第1面部と第2面部とを,中央領域内にて接続する接続部材と,第1面部と第2面部との間に位置し,第1面部と第2面部との間の空間を外部の空間から区画して密閉空間を形成している可撓性のフィルムと,密閉空間を大気圧より高い圧力に維持する圧力維持部とを有し,フィルムは,密閉空間が大気圧よりも高い圧力に加圧されることで,第1面部および第2面部の貫通孔より密閉空間から外部へ向けて湾曲状に突出しつつ張力が掛かった加圧状態をとることにより,音の透過を遮るものであり,フィルムは袋状のものであり,フィルムには,接続部材を囲み,フィルムの第1面側と第2面側とがつながって形成されている環状部が設けられていることを特徴とする遮音構造体である本発明の遮音構造体は,フィルムが袋状のものであることで,フレームとフィルムとを固定する必要がない。
また,本発明の他の態様に係る遮音構造体は,第1面と,第1面の反対側の第2面とを有し,第1面から第2面への音の伝播を遮断する遮音構造体であって,第1面の側に位置する第1面部と,第2面の側に第1面部と間隔を置いて位置する第2面部とを有し,第1面部と第2面部とのいずれにも,外縁よりも内側の中央領域内に複数の貫通孔が形成されているフレームと,フレームの第1面部と第2面部とを,中央領域内にて接続する接続部材と,第1面部と第2面部との間に位置し,第1面部と第2面部との間の空間を外部の空間から区画して密閉空間を形成している可撓性のフィルムと,密閉空間を大気圧より高い圧力に維持する圧力維持部とを有し,フィルムは,密閉空間が大気圧よりも高い圧力に加圧されることで,第1面部および第2面部の貫通孔より密閉空間から外部へ向けて湾曲状に突出しつつ張力が掛かった加圧状態をとることにより,音の透過を遮るものであり,フィルムは袋状のものであり,フィルムは細長いチューブ状であるとともに,その一端と他端との間に第1面と直交しない面内で屈曲または湾曲しているターン部が設けられており,接続部材は,フィルムの一端側と他端側とがターン部を介して隣接している区間同士の間を通って第1面部と第2面部とを接続しているものであることを特徴とする遮音構造体である。本発明の遮音構造体は,フィルムの形状を単純なものとすることができる。
また,本発明の他の態様に係る遮音構造体は,第1面と,第1面の反対側の第2面とを有し,第1面から第2面への音の伝播を遮断する遮音構造体であって,第1面の側に位置する第1面部と,第2面の側に第1面部と間隔を置いて位置する第2面部とを有し,第1面部と第2面部とのいずれにも,外縁よりも内側の中央領域内に複数の貫通孔が形成されているフレームと,フレームの第1面部と第2面部とを,中央領域内にて接続する接続部材と,第1面部と第2面部との間に位置し,第1面部と第2面部との間の空間を外部の空間から区画して密閉空間を形成している可撓性のフィルムと,密閉空間を大気圧より高い圧力に維持する圧力維持部とを有し,フィルムは,密閉空間が大気圧よりも高い圧力に加圧されることで,第1面部および第2面部の貫通孔より密閉空間から外部へ向けて湾曲状に突出しつつ張力が掛かった加圧状態をとることにより,音の透過を遮るものであり,フィルムは袋状のものであり,フィルムには枝分かれした枝部が2つ以上形成されており,接続部材は,枝部同士の間を通って第1面部と第2面部とを接続しているものであることを特徴とする遮音構造体である。本発明の遮音構造体は,フィルムの形状を単純なものとすることができる。
また,上記に記載の遮音構造体において,フィルムは,加圧状態では,接続部材に押圧された状態をとるものであることが好ましい。加圧状態においてフィルムが接続部材へ押圧されることにより,これらの間には隙間がなく,密着した状態となる。このため,遮音状態での入射音の透過率を低減することができるからである。
また,本発明の他の態様に係る遮音構造体は,第1面と,第1面の反対側の第2面とを有し,第1面から第2面への音の伝播を遮断する遮音構造体であって,第1面の側に位置する第1面部と,第2面の側に第1面部と間隔を置いて位置する第2面部とを有し,第1面部と第2面部とのいずれにも,外縁よりも内側の中央領域内に複数の貫通孔が形成されているフレームと,フレームの第1面部と第2面部とを,中央領域内にて接続する接続部材と,第1面部と第2面部との間に位置し,第1面部と第2面部との間の空間を外部の空間から区画して密閉空間を形成している可撓性のフィルムと,密閉空間を大気圧より高い圧力に維持する圧力維持部とを有し,フィルムは,密閉空間が大気圧よりも高い圧力に加圧されることで,第1面部および第2面部の貫通孔より密閉空間から外部へ向けて湾曲状に突出しつつ張力が掛かった加圧状態をとることにより,音の透過を遮るものであり,接続部材は,フィルムを貫通し,密閉空間を通って第1面部と第2面部とを接続しているものであることを特徴とする遮音構造体である。本発明の遮音構造体は,接続部材とフィルムとの隙間がないことにより,隙間を音が透過してしまうおそれがない。
また,本発明の他の態様に係る遮音構造体は,第1面と,第1面の反対側の第2面とを有し,第1面から第2面への音の伝播を遮断する遮音構造体であって,第1面の側に位置する第1面部と,第2面の側に第1面部と間隔を置いて位置する第2面部とを有し,第1面部と第2面部とのいずれにも,外縁よりも内側の中央領域内に複数の貫通孔が形成されているフレームと,フレームの第1面部と第2面部とを,中央領域内にて接続する接続部材と,第1面部と第2面部との間に位置し,第1面部と第2面部との間の空間を外部の空間から区画して密閉空間を形成している可撓性のフィルムと,密閉空間を大気圧より高い圧力に維持する圧力維持部とを有し,フィルムは,密閉空間が大気圧よりも高い圧力に加圧されることで,第1面部および第2面部の貫通孔より密閉空間から外部へ向けて湾曲状に突出しつつ張力が掛かった加圧状態をとることにより,音の透過を遮るものであり,フィルムは袋状のものであり,接続部材は,フィルムを貫通し,密閉空間を通って第1面部と第2面部とを接続しているものであることを特徴とする遮音構造体である本発明の遮音構造体は,フィルムが袋状のものであることで,フレームとフィルムとを固定する必要がない。また,接続部材とフィルムとの隙間がないことにより,隙間を音が透過してしまうおそれがない。
また,本発明の他の態様に係る遮音構造体は,第1面と,第1面の反対側の第2面とを有し,第1面から第2面への音の伝播を遮断する遮音構造体であって,第1面の側に位置する第1面部と,第2面の側に第1面部と間隔を置いて位置する第2面部とを有し,第1面部と第2面部とのいずれにも,外縁よりも内側の中央領域内に複数の貫通孔が形成されているフレームと,フレームの第1面部と第2面部とを,中央領域内にて接続する接続部材と,第1面部と第2面部との間に位置し,第1面部と第2面部との間の空間を外部の空間から区画して密閉空間を形成している可撓性のフィルムと,密閉空間を大気圧より高い圧力に維持する圧力維持部とを有し,フィルムは,密閉空間が大気圧よりも高い圧力に加圧されることで,第1面部および第2面部の貫通孔より密閉空間から外部へ向けて湾曲状に突出しつつ張力が掛かった加圧状態をとることにより,音の透過を遮るものであり,接続部材は,粘弾性を有する材質により構成されているものであることを特徴とする遮音構造体である本発明の遮音構造体は,接続部材における音の伝達を低減させ,透過損失を大きくすることができる。
また,上記に記載の遮音構造体において,圧力維持部は,密閉空間と外部との間で空気を移動させて密閉空間の圧力を調整する圧力調整部を有し,圧力調整部により外部から密閉空間に空気が吸入されることで加圧状態をとり,圧力調整部により密閉空間から外部に空気が排出されることで加圧状態が解除された加圧解除状態をとることができるものであることが好ましい。密閉空間の圧力により,透過損失を調整することができるからである。
また,上記に記載の遮音構造体において,フィルム,フレーム,接続部材からなる群のうちの少なくともフィルムは,透明または半透明のものであることが好ましい。第1面および第2面のうちの一方の面の側からの,他方の面の側の視認性を確保することができるからである。
本発明によれば,遮音対象の面積によらず,簡素な構成で,かつ軽量で厚みの薄い遮音構造体が提供されている。
第1の形態に係る遮音構造体の断面図である。 第1の形態に係る遮音構造体の正面図である。 第1の形態に係る遮音構造体の加圧状態における断面図である。 密閉空間の圧力と透過損失との関係を説明するためのグラフ図である。 袋状のフィルムの第1の変形例を説明するための図である。 袋状のフィルムの第2の変形例を説明するための図である。 袋状のフィルムの第3の変形例を説明するための図である。 第2の形態に係る遮音構造体の断面図である。 第2の形態に係る遮音構造体の正面図である。 第2の形態に係る遮音構造体のフィルムと枠体接続部とを説明するための断面図である。 第2の形態に係る遮音構造体の加圧状態における断面図である。
[第1の形態]
以下,本発明を具体化した第1の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に,本形態に係る遮音構造体100の断面図を示す。また,図2は,遮音構造体100の正面図である。図1は,図2に示すX−X位置での断面図である。本形態に係る遮音構造体100は,図1における左側の第1面Aおよび右側の第2面Bの一方の面への入射音の,他方の面側への透過を遮断することができるものである。また,図1および図2に示す遮音構造体100は,入射音を遮断する遮音状態が解除された非遮音状態のときのものである。図1に示すように,遮音構造体100は,フレーム110と,フレーム110の内部に配置されているフィルム160とを有している。
本形態のフレーム110は,図1に示すように,第1面A側の枠体120と第2面B側の枠体130とを有している。枠体120,130はともに,平板状のものである。枠体120は,第1面A側の面121とは反対の面122において,枠体130と対面するように配置されている。枠体130は,第2面B側の面131とは反対の面132において,枠体120と対面するように配置されている。つまり,枠体120と枠体130とは,それぞれの面122,面132において互いに対面するように配置されている。
また,図1に示すように,フレーム110の上下の側面は,外壁140により構成されている。外壁140は,図2に示すように,フレーム110の上下の側面のみでなく,左右の側面をも構成している部材である。図1において,枠体130にはカッコを付して示している。そして,枠体120と枠体130とは,図1および図2に示すように,対面している面122,132の外縁部分において,外壁140により接続されている。
さらに,図1に示すように,枠体120,130にはそれぞれ,厚み方向に貫通している貫通孔123,133が複数形成されている。本形態における貫通孔123,133はいずれも,図2に示すように正方形のものである。つまり,枠体120,130はともに,格子状の板部材である。枠体120の貫通孔123と枠体130の貫通孔133とは,正面より見たときに互いに重なる位置に形成されている。また,貫通孔123,133はそれぞれ,枠体120,130の外縁よりも内側の中央の領域内に形成されている。
なお,貫通孔123,133の形状は正方形に限らず,長方形や菱形,平行四辺形であってもよい。あるいは,三角形や六角形などであってもよい。さらに,枠体120の貫通孔123と枠体130の貫通孔133とは,正面からみたときに異なる位置に形成されていてもよい。加えて,枠体120の貫通孔123と枠体130の貫通孔133とを異なる形状としてもよい。
フィルム160は,図1に示すように,枠体120,130および外壁140で囲われたフレーム110の内側の空間に配置されている。フィルム160は,可撓性を有する薄膜であり,本形態では袋状のものである。フィルム160としては,バリヤー性の高いものが好ましく,ポリ塩化ビニリデンなどからなる樹脂フィルムを用いることができる。また,袋状のフィルム160の内部には,密閉空間161が形成されている。つまり,密閉空間161は,フィルム160によって外部の空間から区画されている。
また,遮音構造体100には,枠体接続部150が設けられている。枠体接続部150は,図1に示すように,フレーム110の枠体120と枠体130とを,これらが対面している面122,面132同士において接続している部材である。また,枠体接続部150は,図2に示すように,遮音構造体100の中央に位置している。
そして,フィルム160には,図1および図2に示すように,環状部162が設けられている。環状部162は,袋状のフィルム160の第1面A側と第2面B側とがつながることにより形成されており,図2に示すように環状のものである。環状部162は,図2に示すように,遮音構造体100の中央に位置している。すなわち,本形態の遮音構造体100において,フィルム160の環状部162は,枠体接続部150を囲うように設けられている。また,枠体接続部150は,フィルム160の環状部162の内側を通って枠体120,130を接続している。また,図2に示すように,袋状のフィルム160には環状部162が設けられているものの,密閉空間161は1つの空間である。
また,図1および図2において,枠体接続部150の外周面と,フィルム160の環状部162の内側の面との間には隙間が形成されている。同様に,外壁140の内側の面とフィルム160との間にも隙間が形成されている。つまり,図1および図2に示す非遮音状態において,フィルム160は,枠体接続部150の外周面および外壁140の内側の面に接触していない。
また,図2に示すように,遮音構造体100の左上には,圧力調整部170が設けられている。圧力調整部170は,袋状のフィルム160の密閉空間161に接続されており,密閉空間161内の圧力を調整するためのものである。そのため,圧力調整部170は,遮音構造体100の外部の空気を密閉空間161の内部に吸入することができる。また,密閉空間161の内部の空気を遮音構造体100の外部に排出することができる。
そして,本形態の遮音構造体100では,圧力調整部170によって密閉空間161の圧力を調整することで,入射音を透過させない遮音状態と,入射音をほとんど透過させる非遮音状態とを切り換えることができる。具体的には,遮音構造体100は,遮音状態をとるときには,圧力調整部170によって,密閉空間161の圧力を大気圧よりも高い圧力とする。この状態を,本形態では加圧状態という。
一方,遮音構造体100は,非遮音状態をとるときには,圧力調整部170によって,密閉空間161の圧力をほぼ大気圧と同じ圧力とする。この状態を,本形態では加圧解除状態という。つまり,図1および図2に示す遮音構造体100は,前述したように非遮音状態であるため,加圧解除状態のときのものである。
図1および図2に示す加圧解除状態においては,密閉空間161の圧力がほぼ大気圧と同じ圧力であるため,フィルム160は,これを囲っているフレーム110の内側の面へと押し付けられることがない。つまり,加圧解除状態の遮音構造体100において,フィルム160には,後述する加圧状態のときのような特段の張力が掛かっていない状態である。このため,加圧解除状態であるときの遮音構造体100は,第1面Aおよび第2面Bの一方の面への入射音をほとんど他方の面側へ透過することができる非遮音状態である。
図3に,加圧状態の遮音構造体100の断面図を示す。加圧状態における遮音構造体100において,可撓性を有する袋状のフィルム160は,密閉空間161が大気圧よりも高い圧力である正圧に維持されていることにより,膨張している。このため,袋状のフィルム160は,これを囲っているフレーム110の内側の面へと押し付けられている。
具体的には,図3に示す加圧状態において,フィルム160は,枠体120,130の内側の面122,132へと押し付けられている。さらに,フィルム160は,枠体120,130の貫通孔123,133の部分では,フレーム110の内側より外側に向かって突出している。また,フィルム160の貫通孔123,133の中央における部分ほど,外側へ向かって突出したドーム状をしている。このため,図3に示す加圧状態におけるフィルム160には,密閉空間161の圧力と外部の大気圧との差である差圧と釣り合うための張力が掛かっている。
そして,加圧状態の遮音構造体100は,フィルム160に張力が掛けられていることにより,透過損失の大きい状態となる。これは,張力が掛かった状態のフィルム160の共振周波数が,可聴周波数領域よりも高くなるためであると考えられる。さらに,加圧状態の遮音構造体100において,フレーム110は,膨張しているフィルム160により,その内側から外側へと向かう向きの力を受けることとなる。このため,フレーム110の振動が抑制されているからである。よって,加圧状態であるときの遮音構造体100は,第1面Aおよび第2面Bの一方の面への入射音をほとんど他方の面側へ透過させることがない遮音状態をとることができる。
また,フィルム160としては,厚みの薄いものほど好ましい。厚みの薄いものほど,加圧状態における共振周波数が高くなる傾向にあるからである。さらには,枠体120,130の貫通孔123,133の大きさは,小さいほど好ましい。フィルム160の,貫通孔123,133の縁に押し付けられている内側の部分の面積が小さいほど,共振周波数が高くなる傾向にあるからである。
また,図3に示す加圧状態では,袋状のフィルム160は,膨張していることにより,枠体接続部150の外周面および外壁140の内側の面へと押し付けられて密着している。すなわち,加圧解除状態におけるフィルム160と枠体接続部150との間,および,フィルム160と外壁140の内側の面との間の隙間はなくなっている。このため,第1面Aまたは第2面Bへの入射音が隙間を通って他方の面側へと透過してしまうことはない。
さらに,加圧状態の遮音構造体100において,枠体120,130は,膨張している袋状のフィルム160より,互いに遠ざかる向きの力を受けている。しかし,その加圧状態のフィルム160によって受ける力により,枠体120,130はほとんど変形することがない。枠体120,130は,その外縁部分において,外壁140によって接続されているからである。また,枠体120,130は,その中央部分において,枠体接続部150によって接続されているからである。このため,例えば,枠体120,130の中央部分のみが大きく変形してしまうようなことはないのである。
また,本形態においては,枠体接続部150を遮音構造体100の中央に設けているが,中央から多少ずれた位置,すなわち外縁よりも内側の貫通孔123,133が形成されている中央の領域内に設けておけばよい。そして,フィルム160には,枠体接続部150を囲う環状部162を設けておけばよい。また,本形態では,枠体接続部150として円柱形状のものを示しているが,円柱形状に限らず,楕円や三角,四角の断面を有する柱や壁状のものであってもよい。
また,枠体接続部150やフィルム160の環状部162は,複数設けることもできる。このため,図1から図3に示す本形態の遮音構造体100よりも第1面Aおよび第2面Bの面積が大きい遮音構造体であっても,構造が複雑になることがない。その面積が大きい分,枠体接続部150を多く設けて,枠体120,130の変形を抑制することができるからである。これにより,遮音対象の面積に関わらず,簡素な構成ですむ。
また,本形態の遮音構造体100は,密閉空間161を加圧状態とし,フィルム160に張力を掛けることによって遮音状態をとることができる。さらに,枠体120,130,外壁140や枠体接続部150は,フィルム160の張力を支持できる程度の剛性を有していればよい。よって,遮音構造体100は,軽量で厚みの薄いものですむ。
また,本形態の遮音構造体100において,フィルム160は,袋状のものでなくてもよい。すなわち,枠体120,130のそれぞれの対面している面122,132に可撓性のフィルムを貼り付けた構成としてもよい。このような構成であっても,フィルムによって外部と区画された枠体120,130の間の密閉空間161を加圧することにより,本形態の遮音構造体100と同様,遮音状態をとることができるからである。
また,遮音構造体100の枠体120,130,外壁140や枠体接続部150の材質としては,粘弾性を有するものが好ましい。すなわち,外力が付与されたときにはその外力によってある程度変形し,外力が除去されたときには元の形状に戻る性質を有することが好ましい。枠体120,130が粘弾性を有することにより,加圧状態におけるフィルム160との密着性を良好なものとすることができるからである。また,本形態の遮音構造体100では,第1面Aおよび第2面Bの一方への入射音は,外壁140や枠体接続部150を伝達して他方の面の側へ透過することがある。このような透過音に対して,外壁140や枠体接続部150が粘弾性を有していることにより,透過損失を大きくすることができるからである。すなわち,枠体120,130,外壁140や枠体接続部150には,高分子材料などを好ましく用いることができる。また,枠体接続部150については,金属製のバネを用いることもできる。
さらに,少なくともフィルム160は,透明あるいは半透明であることが好ましい。遮音構造体100の第1面Aおよび第2面Bの一方の側からの,遮音構造体100を隔てた他方の側の視認性を確保できるからである。また,枠体120,130等についても,透明あるいは半透明であることが好ましい。遮音構造体100を隔てた他方の側の視認性をより向上させることができるからである。
また,本形態の遮音構造体100では,圧力調整部170によって密閉空間161の圧力を調整することにより,透過損失を調整することができる。図4は,遮音構造体100の密閉空間161の圧力ごとに透過損失を測定した結果を示すものである。
図4において,横軸は周波数を,縦軸は透過損失を示している。また,図4中,密閉空間161の圧力が大気圧のときのものを二点鎖線により,弱正圧のときのものを破線により,強正圧のときのものを実線により示している。つまり,図4において,二点鎖線は加圧解除状態の遮音構造体100の透過損失を示しており,破線および実線は加圧状態の遮音構造体100の透過損失を示している。
図4に示すように,密閉空間161の圧力を大気圧とした加圧解除状態の遮音構造体100の透過損失は,入射音の周波数に関わらず小さい。つまり,加圧解除状態の遮音構造体100は,ほとんど遮音していないことがわかる。また,図4より,密閉空間161の圧力を正圧とした加圧状態の遮音構造体100の透過損失は,加圧解除状態の遮音構造体100の透過損失よりも,すべての周波数帯において大きいことがわかる。
さらに,図4より,遮音構造体100は,密閉空間161の圧力が弱正圧であるときよりも強正圧であるときの方が,透過損失が大きく,遮音効果が高いことがわかる。すなわち,遮音構造体100は,密閉空間161の圧力を調整することにより,透過損失を調整することができることがわかる。なお,図4の結果では,弱正圧,強正圧においてともに,図中Yで示す周波数帯で遮音構造体100の透過損失が低下している。しかし,Yで示す周波数帯においても,加圧解除状態のときよりも加圧状態において透過損失が大きく,遮音効果は高く維持されている。
また,本形態の密閉空間161は,袋状のフィルム160よりなる1つの空間であるため,圧力調整のための構成が簡素である。すなわち,密閉空間161が複数ある場合のように,圧力調整部を複数の密閉空間161ごとに設ける必要がない。あるいは,複数の密閉空間161を圧力調整部へ接続するための配管などを設ける必要はない。
また,上記では,フィルム160は環状部162が形成された袋状のものとして説明したが,その他の形状を用いることもできる。その他の形状の第1の例として,図5に示すものが考えられる。図5は,上記のフィルム160とは異なる形状のフィルム180を有する遮音構造体101を示す図である。図5は,遮音構造体101の正面図であり,遮音構造体101を第1面Aおよび第2面Bと平行な面で切断した断面図である。遮音構造体101においても,枠体120,130などの構成については,上記の遮音構造体100と同様である。図5に示すフィルム180は,袋状のものであり,細長いチューブ状をしている。また,フィルム180は,フレーム110の内側に図中上下に蛇行した形で収容されている。フィルム180は,屈曲,あるいは湾曲しているターン部により蛇行している。遮音構造体101においては,蛇行によりターン部を介して隣り合っているフィルム180同士の間に,枠体接続部150が設けられている。枠体接続部150が設けられている箇所は,外縁よりも内側の貫通孔123,133が形成されている中央の領域内である。また,図5に示す遮音構造体101は,加圧解除状態のものであり,細長いフィルム180の蛇行していることによって隣り合わせとなっている区間同士の間には隙間が形成されている。しかし,その隙間は,加圧状態では袋状のフィルム180が膨張することで密着し,なくなるようにされている。また,加圧状態では,フィルム180は貫通孔123,133より外部に向かって突出することとなる。よって,図5に示すような遮音構造体101においても,加圧状態とすることにより,遮音状態をとることができる。
また例えば,第2の例として図6に示すものが考えられる。図6に示す遮音構造体102は,袋状のフィルム181を有している。また,フィルム181は,細長いチューブ状のものであり,フレーム110の内側に渦巻き状に巻いた形で収容されている。そして,遮音構造体102においては,渦巻き状に巻かれているフィルム181同士の間に,枠体接続部150が設けられている。枠体接続部150が設けられている箇所は,外縁よりも内側の貫通孔123,133が形成されている中央の領域内である。また,図6に示す遮音構造体102についても加圧解除状態のものであり,フィルム181のターン部を介して隣り合っている区間同士の箇所での隙間は,加圧状態ではフィルム181が膨張することでなくなるようにされている。また,加圧状態では,フィルム181は貫通孔123,133より外部に向かって突出することとなる。よって,図6に示すような遮音構造体102においても,加圧状態とすることにより,遮音状態をとることができる。
また例えば,第3の例として図7に示すものが考えられる。図7に示す遮音構造体103は,図中下側の部分が3つに枝分かれした袋状のフィルム182を有している。そして,遮音構造体103においては,フィルム182の3つに分かれている枝同士の間に,枠体接続部150が設けられている。枠体接続部150が設けられている箇所は,外縁よりも内側の貫通孔123,133が形成されている中央の領域内である。また,図7に示す遮音構造体103についても加圧解除状態のものであり,フィルム182の枝同士が隣り合っている箇所での隙間は,加圧状態ではフィルム182が膨張することでなくなるようにされている。また,加圧状態では,フィルム182は貫通孔123,133より外部に向かって突出することとなる。よって,図7に示すような遮音構造体103においても,加圧状態とすることにより,遮音状態をとることができる。
以上詳細に説明したように,遮音構造体は,第1面A側と第2面B側に枠体を有するフレームと,枠体の間の空間を外部から区画して密閉空間を形成しているフィルムとを有する。また,2枚の枠体は,中央において,枠体接続部により接続されている。そして,加圧状態のとき,フィルムは枠体の貫通孔より外部に突出する。このとき,フィルムには張力が掛かる。このため,加圧状態においては,遮音構造体の透過損失は大きくなる。よって,軽量で厚みの薄い遮音構造体が実現されている。また,加圧状態における枠体の中央での変形は,枠体接続部を設けた簡素な構成によって抑制されている。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,常時,遮音状態で使用するものである場合には,密閉空間161を加圧状態として封入して製造し,圧力調整部170はなくてもよい。この場合,フィルム160に密閉空間161へと空気を注入するための弁などを設けておけばよい。さらに,密閉空間161の加圧状態を維持するため,空気を注入するための弁を逆止弁としておけばよい。
また例えば,フレーム110の内側にフィルム160へ向けて突出している凸部を設けることにより,密閉空間161を常時,加圧状態に維持することもできる。製造時において,袋状のフィルム160をフレーム110内へと収容する際に,フィルム160はその一部が凸部によって圧迫される。そして,その圧迫により,密閉空間161を加圧状態にすることができるからである。この場合には,凸部の存在により,密閉空間161を加圧状態に維持することができる。また,フレーム110に設けた凸部は,その突出量を,例えばモーターによる制御や使用者の操作等によって調整できるものであってもよい。密閉空間161の圧力を調整することができるからである。すなわち,加圧状態と加圧解除状態との間での切り替えや,透過損失の調整をすることができるからである。さらには,袋状のフィルム160として,自由状態で,フレーム110の内側の体積よりも大きいものを用いることにより,密閉空間161を常時,加圧状態に維持することもできる。製造時において,袋状のフィルム160をフレーム110内へと収容する際に,フィルム160はフレーム110の枠体120,130や外壁140によって圧迫される。そして,その圧迫により,密閉空間161が加圧されるからである。
[第2の形態]
第2の形態について説明する。本形態に係る遮音構造体は,第1の形態とフィルムの形状が異なる。そして,本形態の遮音構造体において,枠体接続部は,対面して設けられた2つの枠体を,袋状のフィルムの密閉空間を通って接続している。
第2の形態に係る遮音構造体200の断面図を,図8に示す。また,図9は,遮音構造体200の正面図である。図8は,図9に示すZ−Z位置での断面図である。本形態に係る遮音構造体200も第1の形態と同様,図8における左側の第1面Aおよび右側の第2面Bの一方の面への入射音の,他方の面側への透過を遮断することができるものである。また,図8および図9に示す遮音構造体200は,非遮音状態のときのものである。図8に示すように,遮音構造体200は,フレーム210と,フレーム210の内部に配置されているフィルム260とを有している。
本形態のフレーム210についても,第1の形態のフレーム110と同じ構成である。すなわち,図8に示すように,いずれも平板状の第1面A側の枠体220と第2面B側の枠体230とを有している。また,枠体220および枠体230はそれぞれ,第1面A側の面221および第2面B側の面231とは反対の,面222および面232において互いに対面するように配置されている。また,枠体220と枠体230とは,図8および図9に示すように,外縁部分において外壁240により接続されている。さらに,枠体220,230にはそれぞれ,外縁よりも内側の中央の領域内に,厚み方向に貫通している正方形の貫通孔223,233が複数形成されている。なお,本形態においても,貫通孔223,233の形状は正方形に限らず,長方形や菱形,平行四辺形であってもよい。あるいは,三角形や六角形などであってもよい。
また,遮音構造体200においても,フィルム260は,図8に示すように,枠体220,230および外壁240で囲われたフレーム210の内側の空間に配置されている。本形態のフィルム260についても,可撓性を有する薄膜よりなる袋状のものである。また,袋状のフィルム260の内部には,密閉された1つの密閉空間261が形成されている。また,袋状のフィルム260には,図9に示すように,密閉空間261内の圧力を調整するための圧力調整部270が接続されている。なお,本形態においても,図8および図9に示すように,外壁240の内側の面とフィルム260との間には隙間が形成されている。つまり,非遮音状態において,フィルム260は,外壁240の内側の面に接触していない。
また,遮音構造体200においても,枠体220と枠体230とをこれらの中央にて接続している枠体接続部250が設けられている。本形態の枠体接続部250は,袋状のフィルム260の第1面A側および第2面B側をそれぞれ貫通して枠体220,230を接続している。すなわち,枠体接続部250は,密閉空間261内を通って枠体220,230を接続している。
図10は,枠体接続部250と,その箇所でのフィルム260とを説明するための拡大断面図である。図10に示すように,枠体接続部250は,左右のフィルム260を貫通し,密閉空間261を通って枠体220,230を接続している。また,フィルム260の枠体接続部250が貫通している箇所では,表裏がともにシール部材251によって挟み込まれている。シール部材251は,枠体接続部250が貫通しているフィルム260の穴と,枠体接続部250の外周面との隙間を空気が通らないようにシールするためのものである。これにより,密閉空間261の気密性は保たれており,密閉空間261を大気圧よりも高い圧力とした場合にも空気が漏れることはない。
そして,図8および図9に示す非遮音状態では,本形態においても,密閉空間261の圧力をほぼ大気圧と同じ圧力とした加圧解除状態とされている。このため,フィルム260は,これを囲っているフレーム210の内側の面へと押し付けられることがない。つまり,加圧解除状態の遮音構造体200は,フィルム260に特段の張力が掛かっていないことにより,非遮音状態とされている。そして,遮音構造体200においても,圧力調整部270によって密閉空間261の圧力を大気圧よりも高い圧力とした加圧状態とすることで,遮音状態をとることができる。
図11に,加圧状態の遮音構造体200の断面図を示す。加圧状態では,遮音構造体200においても,フィルム260の枠体220,230の貫通孔223,233の部分は,フレーム210の内側より外側に向かって突出したドーム状をしている。そして,加圧状態の遮音構造体200においても,第1の形態の遮音構造体100と同様,フィルム260に張力が掛かっていることにより,遮音状態をとることができる。
また,図11に示す加圧状態では,袋状のフィルム260は,膨張していることにより,外壁240の内側の面に密着している。すなわち,フィルム260と外壁240の内側の面との間には隙間がない状態である。さらに,本形態の遮音構造体200では,枠体接続部250が貫通しているフィルム260の箇所はシール部材251によってシールされているため,加圧解除状態および加圧状態のいずれの状態においても隙間がない。このため,遮音状態において,第1面Aまたは第2面Bへの入射音が隙間を通って他方の面側へと透過してしまうことはない。
そして,本形態においても,枠体220,230は,外縁部分において外壁240により,中央部分において枠体接続部250によりそれぞれ接続されている。このため,例えば,加圧状態で膨張する袋状のフィルム260により,枠体220,230の中央部分のみが大きく変形してしまうようなことはない。
また,図8から図11においては,枠体接続部250を遮音構造体200の中央にのみ設けているが,中央以外の位置,あるいは,この他にも複数設けることができる。その場合,フィルム260に枠体接続部250を通すための穴を空けておき,その部分にシール部材251を設けてシールすればよい。よって,図8から図11に示す本形態の遮音構造体200よりも第1面Aおよび第2面Bの面積が大きい遮音構造体であっても,簡素な構成で枠体220,230の変形を抑制することができる。また,遮音構造体200においても,圧力調整部270によって密閉空間261の圧力を調整することで,透過損失を調整することができる。
以上詳細に説明したように,遮音構造体200は,枠体220,230を有するフレーム210と,枠体220,230の間の空間を外部から区画して密閉空間261を形成しているフィルム260とを有する。また,本形態においても,枠体220,230は,中央において,枠体接続部250により接続されている。よって,遮音対象の面積によらず,簡素な構成で,かつ軽量で厚みの薄い遮音構造体が実現されている。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。従って本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,常時,遮音状態で使用するものである場合には,密閉空間261を加圧状態として製造し,圧力調整部270はなくてもよい。また例えば,フィルム260の枠体接続部250が貫通している箇所のシールは,シール部材251に限らず,溶着やシール剤を用いたものであってもよい。
100…遮音構造体
160…フィルム
120,130…枠体
150…枠体接続部
160…フィルム
161…密閉空間
A…第1面
B…第2面

Claims (10)

  1. 第1面と,前記第1面の反対側の第2面とを有し,前記第1面から前記第2面への音の伝播を遮断する遮音構造体において,
    前記第1面の側に位置する第1面部と,前記第2面の側に前記第1面部と間隔を置いて位置する第2面部とを有し,前記第1面部と前記第2面部とのいずれにも,外縁よりも内側の中央領域内に複数の貫通孔が形成されているフレームと,
    前記フレームの前記第1面部と前記第2面部とを,前記中央領域内にて接続する接続部材と,
    前記第1面部と前記第2面部との間に位置し,前記第1面部と前記第2面部との間の空間を外部の空間から区画して密閉空間を形成している可撓性のフィルムと,
    前記密閉空間を大気圧より高い圧力に維持する圧力維持部とを有し,
    前記フィルムは,前記密閉空間が大気圧よりも高い圧力に加圧されることで,前記第1面部および前記第2面部の貫通孔より前記密閉空間から外部へ向けて湾曲状に突出しつつ張力が掛かった加圧状態をとることにより,音の透過を遮るものであり,
    前記フィルムには,前記接続部材を囲み,前記フィルムの前記第1面側と前記第2面側とがつながって形成されている環状部が設けられていることを特徴とする遮音構造体。
  2. 第1面と,前記第1面の反対側の第2面とを有し,前記第1面から前記第2面への音の伝播を遮断する遮音構造体において,
    前記第1面の側に位置する第1面部と,前記第2面の側に前記第1面部と間隔を置いて位置する第2面部とを有し,前記第1面部と前記第2面部とのいずれにも,外縁よりも内側の中央領域内に複数の貫通孔が形成されているフレームと,
    前記フレームの前記第1面部と前記第2面部とを,前記中央領域内にて接続する接続部材と,
    前記第1面部と前記第2面部との間に位置し,前記第1面部と前記第2面部との間の空間を外部の空間から区画して密閉空間を形成している可撓性のフィルムと,
    前記密閉空間を大気圧より高い圧力に維持する圧力維持部とを有し,
    前記フィルムは,前記密閉空間が大気圧よりも高い圧力に加圧されることで,前記第1面部および前記第2面部の貫通孔より前記密閉空間から外部へ向けて湾曲状に突出しつつ張力が掛かった加圧状態をとることにより,音の透過を遮るものであり,
    前記フィルムは袋状のものであり,
    前記フィルムには,前記接続部材を囲み,前記フィルムの前記第1面側と前記第2面側とがつながって形成されている環状部が設けられていることを特徴とする遮音構造体。
  3. 第1面と,前記第1面の反対側の第2面とを有し,前記第1面から前記第2面への音の伝播を遮断する遮音構造体において,
    前記第1面の側に位置する第1面部と,前記第2面の側に前記第1面部と間隔を置いて位置する第2面部とを有し,前記第1面部と前記第2面部とのいずれにも,外縁よりも内側の中央領域内に複数の貫通孔が形成されているフレームと,
    前記フレームの前記第1面部と前記第2面部とを,前記中央領域内にて接続する接続部材と,
    前記第1面部と前記第2面部との間に位置し,前記第1面部と前記第2面部との間の空間を外部の空間から区画して密閉空間を形成している可撓性のフィルムと,
    前記密閉空間を大気圧より高い圧力に維持する圧力維持部とを有し,
    前記フィルムは,前記密閉空間が大気圧よりも高い圧力に加圧されることで,前記第1面部および前記第2面部の貫通孔より前記密閉空間から外部へ向けて湾曲状に突出しつつ張力が掛かった加圧状態をとることにより,音の透過を遮るものであり,
    前記フィルムは袋状のものであり,
    前記フィルムは細長いチューブ状であるとともに,その一端と他端との間に前記第1面と直交しない面内で屈曲または湾曲しているターン部が設けられており,
    前記接続部材は,前記フィルムの一端側と他端側とが前記ターン部を介して隣接している区間同士の間を通って前記第1面部と前記第2面部とを接続しているものであることを特徴とする遮音構造体。
  4. 第1面と,前記第1面の反対側の第2面とを有し,前記第1面から前記第2面への音の伝播を遮断する遮音構造体において,
    前記第1面の側に位置する第1面部と,前記第2面の側に前記第1面部と間隔を置いて位置する第2面部とを有し,前記第1面部と前記第2面部とのいずれにも,外縁よりも内側の中央領域内に複数の貫通孔が形成されているフレームと,
    前記フレームの前記第1面部と前記第2面部とを,前記中央領域内にて接続する接続部材と,
    前記第1面部と前記第2面部との間に位置し,前記第1面部と前記第2面部との間の空間を外部の空間から区画して密閉空間を形成している可撓性のフィルムと,
    前記密閉空間を大気圧より高い圧力に維持する圧力維持部とを有し,
    前記フィルムは,前記密閉空間が大気圧よりも高い圧力に加圧されることで,前記第1面部および前記第2面部の貫通孔より前記密閉空間から外部へ向けて湾曲状に突出しつつ張力が掛かった加圧状態をとることにより,音の透過を遮るものであり,
    前記フィルムは袋状のものであり,
    前記フィルムには枝分かれした枝部が2つ以上形成されており,
    前記接続部材は,前記枝部同士の間を通って前記第1面部と前記第2面部とを接続しているものであることを特徴とする遮音構造体。
  5. 請求項から請求項のいずれかに記載の遮音構造体において,
    前記フィルムは,前記加圧状態では,前記接続部材に押圧された状態をとるものであることを特徴とする遮音構造体。
  6. 第1面と,前記第1面の反対側の第2面とを有し,前記第1面から前記第2面への音の伝播を遮断する遮音構造体において,
    前記第1面の側に位置する第1面部と,前記第2面の側に前記第1面部と間隔を置いて位置する第2面部とを有し,前記第1面部と前記第2面部とのいずれにも,外縁よりも内側の中央領域内に複数の貫通孔が形成されているフレームと,
    前記フレームの前記第1面部と前記第2面部とを,前記中央領域内にて接続する接続部材と,
    前記第1面部と前記第2面部との間に位置し,前記第1面部と前記第2面部との間の空間を外部の空間から区画して密閉空間を形成している可撓性のフィルムと,
    前記密閉空間を大気圧より高い圧力に維持する圧力維持部とを有し,
    前記フィルムは,前記密閉空間が大気圧よりも高い圧力に加圧されることで,前記第1面部および前記第2面部の貫通孔より前記密閉空間から外部へ向けて湾曲状に突出しつつ張力が掛かった加圧状態をとることにより,音の透過を遮るものであり,
    前記接続部材は,前記フィルムを貫通し,前記密閉空間を通って前記第1面部と前記第2面部とを接続しているものであることを特徴とする遮音構造体。
  7. 第1面と,前記第1面の反対側の第2面とを有し,前記第1面から前記第2面への音の伝播を遮断する遮音構造体において,
    前記第1面の側に位置する第1面部と,前記第2面の側に前記第1面部と間隔を置いて位置する第2面部とを有し,前記第1面部と前記第2面部とのいずれにも,外縁よりも内側の中央領域内に複数の貫通孔が形成されているフレームと,
    前記フレームの前記第1面部と前記第2面部とを,前記中央領域内にて接続する接続部材と,
    前記第1面部と前記第2面部との間に位置し,前記第1面部と前記第2面部との間の空間を外部の空間から区画して密閉空間を形成している可撓性のフィルムと,
    前記密閉空間を大気圧より高い圧力に維持する圧力維持部とを有し,
    前記フィルムは,前記密閉空間が大気圧よりも高い圧力に加圧されることで,前記第1面部および前記第2面部の貫通孔より前記密閉空間から外部へ向けて湾曲状に突出しつつ張力が掛かった加圧状態をとることにより,音の透過を遮るものであり,
    前記フィルムは袋状のものであり,
    前記接続部材は,前記フィルムを貫通し,前記密閉空間を通って前記第1面部と前記第2面部とを接続しているものであることを特徴とする遮音構造体。
  8. 第1面と,前記第1面の反対側の第2面とを有し,前記第1面から前記第2面への音の伝播を遮断する遮音構造体において,
    前記第1面の側に位置する第1面部と,前記第2面の側に前記第1面部と間隔を置いて位置する第2面部とを有し,前記第1面部と前記第2面部とのいずれにも,外縁よりも内側の中央領域内に複数の貫通孔が形成されているフレームと,
    前記フレームの前記第1面部と前記第2面部とを,前記中央領域内にて接続する接続部材と,
    前記第1面部と前記第2面部との間に位置し,前記第1面部と前記第2面部との間の空間を外部の空間から区画して密閉空間を形成している可撓性のフィルムと,
    前記密閉空間を大気圧より高い圧力に維持する圧力維持部とを有し,
    前記フィルムは,前記密閉空間が大気圧よりも高い圧力に加圧されることで,前記第1面部および前記第2面部の貫通孔より前記密閉空間から外部へ向けて湾曲状に突出しつつ張力が掛かった加圧状態をとることにより,音の透過を遮るものであり,
    前記接続部材は,粘弾性を有する材質により構成されているものであることを特徴とする遮音構造体。
  9. 請求項1から請求項8のいずれかに記載の遮音構造体において,
    前記圧力維持部は,前記密閉空間と外部との間で空気を移動させて前記密閉空間の圧力を調整する圧力調整部を有し,
    前記圧力調整部により外部から前記密閉空間に空気が吸入されることで前記加圧状態をとり,前記圧力調整部により前記密閉空間から外部に空気が排出されることで前記加圧状態が解除された加圧解除状態をとることができるものであることを特徴とする遮音構造体。
  10. 請求項1から請求項9のいずれかに記載の遮音構造体において,
    前記フィルム,前記フレーム,前記接続部材からなる群のうちの少なくとも前記フィルムは,透明または半透明のものであることを特徴とする遮音構造体。
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