JP6602896B2 - エレベータ装置 - Google Patents
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Description
乗りかごの気密性を高める技術として、特許文献1に記載される技術が知られている。特許文献1には、前面に出入口用の開口部を有するかご室、このかご室の上記開口部を開閉するドアパネル、及び上記かご室内の気圧を制御する気圧制御装置と、を備えるエレベータの乗りかごが開示されている。そして幕板及び入口柱に、断面コ字状のホルダを設け、このホルダ内に対向するよう配される一対のシール部材を配し、ドアパネルに上記ホルダに対応するよう接合部材を設け、少なくともドアパネルの閉合時に上記接合部材を上記ホルダ内に介在させ、上記かご室内の気圧の負荷に応じて接合部材を一対のシール部材の何れか一方に密着させ、乗りかごの開口部とドアパネル間を密閉する構成が記載されている。
そこで、本発明は、乗りかご内の気圧変動に対し応答性良く乗りかご内の密閉性を確保し得ると共に簡易な構成にて実現可能とするエレベータ装置を提供する。
なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
図2は、本発明が適用されるエレベータ装置を示す概略構成図である。
図2において、エレベータ装置1は、昇降路21の頂部部分に形成した機械室22内に巻上機23が載置され、ボルト等の固定具によって機械室22の床面に固定されている。巻上機23は、本図では詳細に記載していないが、複数本の主ロープ24を懸架するためのシーブを有する。シーブから延びる主ロープ24の一端は、反らせプーリ25を介してつり合いおもり26の上端に連結されており、他端は乗りかご2の上端に連結されている。
巻上機23が稼働し、シーブが回転すると、その際の主ロープ24とシーブとの間の摩擦によって、シーブに懸架された主ロープ24がシーブの回転方向に沿って移動する。そして、主ロープ24の動きに従って、つり合いおもり26及び乗りかご2が上下に互いに反対方向に移動する。なお、図2では省略しているが、乗りかご2の昇降を円滑にするため、実際のエレベータ装置1では、乗りかご2及びつり合いおもり26の側面をガイドレールと呼ばれる案内部品で案内する構成となっている。
このようなエレベータ装置1においては、図示しない制御器によって運行指令が、巻上機23を構成する電動機や制動機構等に与えられ、この運行指令によって乗りかご2が建築物の所定の階層に向けて昇降動作するものである。以上においてはエレベータ装置1を簡略化して説明してあるが、実際は更に種々の構成要素が付加されているものである。
乗りかご2は、前面側に出入口用のかご戸3を有し、その上部には気圧制御装置としての吸気ブロア4a及び排気ブロア4bが設けられている。気圧制御装置は、乗りかご2が昇降路21内を昇降するときに、吸気ブロア4a及び排気ブロア4bなどを制御して乗りかご2内の加圧及び減圧を行い、単位時間あたりの気圧の変化量を一定に保ち、乗客に与える不快感を緩和するものである。
可撓性部材13は、ブラケット14の水平片14aと対向すると共に、少なくとも通常時に水平片14aとの間にくさび状の間隙19を有して配置される上部薄板材13b(第1の平板状部)と、上部薄板材13b(第1の平板状部)の一端から延設されると共に、少なくとも通常時に上部薄板材13b(第1の平板状部)との間にくさび状の間隙20を有し、かつ通常時にかごシル7との間に略水平の間隙11aを有して配置される下部薄板材13c(第2の平板状部)とを備える。換言すれば、可撓性部材13は、少なくとも通常時において、縦断面形状が乗りかご2の内側へと向かい下方へ傾斜する上部薄板材13b(第1の平板状部)と、上部薄板材13b(第1の平板状部)の乗りかご2の内側端部である連結部13eにて折り返され、乗りかご2の外側へと向かう下部薄板材13c(第2の平板状部)を備える。なお、下部薄板材13c(第2の平板状部)の連結部13eと反対側の端部、すなわち、乗りかご2の外側へと向かう端部は、特に、固定されることなく自由端13fを構成している。ここで通常時とは、上述の吸気ブロア4a及び排気ブロア4bを有する気圧制御装置による乗りかご2内の加圧及び減圧の何れの状態ともされておらず、乗りかご2内の圧力調整がなされていない状態を意味する。例えば、乗りかご2がホール呼びのあった所望の階床へ到達し停止した状態、或いは、乗りかご2が昇降路21内において比較的低階層を昇降中などが通常時に相当する。
図5は、図3におけるかご戸下部の拡大図であって、乗りかご内加圧時の拡大図である。
乗りかご2内を加圧すると、可撓性部材13の下部薄板材13c(第2の平板状部)とかごシル7間の間隙11aにあっては、乗りかご2内から外側に向かって空気が通過し、流速により減圧される。この減圧及び上部薄板材13b(第1の平板状部)とブラケット14の水平片14a間に存在するくさび状の間隙19に掛かる風圧により、まず上部薄板材13b(第1の平板状部)と下部薄板材13c(第2の平板状部)の連結部13eが押し下げられてかごシル7に当接する。この連結部13eのかごシル7への当接により間隙11aが塞がれて空気の流れが止まった後は、乗りかご2内と外側の差圧により、上部薄板材13b(第1の平板状部)の上面に圧力が掛かり、連結部13eはさらにかごシル7に押し付けられ、確実に気密性が保持される。
乗りかご2内を減圧すると、可撓性部材13の下部薄板材13c(第2の平板状部)とかごシル7間の間隙11aにあっては、外側から乗りかご2内に向かって空気が通過し、流速により減圧される。この減圧及び上部薄板材13b(第1の平板状部)と下部薄板材13c(第2の平板状部)間に存在するくさび状の間隙20に掛かる風圧により、まず下部薄板材13c(第2の平板状部)の自由端13fが押し下げられてかごシル7に当接する。この自由端13fのかごシル7への当接により間隙11aが塞がれて空気の流れが止まった後は、乗りかご2内と外側の差圧により、下部薄板材13c(第2の平板状部)の上面及び上部薄板材13b(第1の平板状部)の下面に圧力が掛かり、自由端13fはさらにかごシル7に押し付けられ、確実に気密性が保持される。このとき、図6では、上部薄板材13b(第1の平板状部)の上面がブラケット14の水平片14aの下面に当接する状態を示しているが、必ずしもこれに限られるものではない。すなわち、上部薄板材13b(第1の平板状部)の上面とブラケット14の水平片14aの下面との間に僅かに間隙が形成されても良い。
なお、図5又は図6に示した乗りかご2内の加圧又は乗りかご2内の減圧は、例えば、吸気ブロア4a及び排気ブロア4bを有する気圧制御装置により、乗りかご2内を数hPaずつ段階的にステップ状に乗りかご2の高さに応じて変化させるものである。
また、本実施例に係るエレベータ装置1は、気密装置12として、かご戸3下端の幅方向全体に渡って延在し、気圧制御装置による乗りかご2内の加圧及び減圧に応じて弾性変形し、間隙11を密閉する可撓性部材13を備えている。このような構成とすることで、かご戸3の戸閉力に影響を与えることなく、かご戸3によって存在してしまう間隙11を乗りかご2内の気圧変動に応じて密閉する気密装置12を簡易な構成にて実現することができる。しかも、気密性を得るために、従来のようにかご戸3を開閉方向とは異なる方向に動かす構造ではないため、可撓性部材13のみが弾性変形することにより気密性を得ることができ、極めて簡易な構成とすることができる。
気圧制御装置により、乗りかご2内が加圧されると、可撓性部材33の下部薄板材33c(第2の平板状部)とかごシル7間に存在する間隙を介して、空気が乗りかご2内から外側へ向かって通過し、そのときの流速により減圧される。この減圧及び上部薄板材33b(第1の平板状部)と下部薄板材33c(第2の平板状部)間に存在するくさび状の間隙19に掛かる風圧により、下部薄板材33c(第2の平板状部)の自由端33eが押し下げられてかごシル7に当接する。この自由端33eのかごシル7への当接により、それまで下部薄板材33c(第2の平板状部)とかごシル7間に存在していた略水平の間隙は塞がれ、乗りかご2内から外側へと流れる空気流は止まり、乗りかご2と外側との間に差圧が生じる。この差圧により下部薄板材33c(第2の平板状部)の上面に圧力が掛かり、自由端33eはさらにかごシル7に押し付けられ、確実に気密性が保持される。
また、本実施例によれば、上述の実施例1におけるような、可撓性部材33を構成する下部薄板材33c(第2の平板状部)とかごシル7との間隙を調整することはできないものの、可撓性部材33を構成する上部水平材33a、上部薄板材33b(第1の平板状部)、及び下部薄板材33c(第2の平板状部)の厚さは略同一であることから、実施例1に比較し可撓性部材33の成型がより容易となる。
また、本実施例では、気密装置12を、可撓性部材33、ブラケット14,34、及びボルト35のみにより構成できることから、実施例1に比較し気密装置を更に簡易な構成にて実現できる。また、気密装置12を、可撓性部材33、ブラケット14、断面コ字状部材36、ジャッキボルト37、及びボルト38のみにより構成できることから、実施例1に比較し気密装置を更に簡易な構成にて実現することが可能となる。
なお、上述の通り本実施例における可撓性部材33は、上部薄板材33b(第1の平板状部)と下部薄板材33c’(第2の平板状部)により成す角度(開き角)が、上部水平材33aと上部薄板材33b(第1の平板状部)との成す角度(開き角)よりも大きくなるよう構成されることから、特に、気圧制御装置による乗りかご2内の減圧時において、実施例2の構成に比較し更に応答性を向上させることが可能となる。すなわち、上部薄板材33b(第1の平板状部)と下部薄板材33c’(第2の平板状部)間に存在するくさび状の間隙20に掛かる風圧により、下部薄板材33c(第2の平板状部)の自由端33eを、実施例2と比較しより効果的に押し下げ、かごシル7に当接させることが可能となる。
本実施例における気密装置12は、上述の可撓性部材43及びブラケット14のみにより構成される。従って、上述の実施例1から実施例3に示した気密装置より簡易な構成を実現できる。
吸気ブロア4a及び排気ブロア4bを有する気圧制御装置により、乗りかご2内が加圧されると、可撓性部材43の第1薄板材43a(第1の平板状部)のかごシル7に対向する端部及び第2薄板材43b(第2の平板状部)のかごシル7に対向する端部と、かごシル7との間に存在する間隙を介して、空気が乗りかご2内から外側へ向かって通過し、そのときの流速により減圧される。この減圧及び第1薄板材43a(第1の平板状部)に掛かる風圧(図11において、白抜き矢印にて示す)により、第1薄板材43a(第1の平板状部)は上記連結部を支点として回動又は、第1薄板材43a(第1の平板状部)全体が押し下げられて、第1薄板材43a(第1の平板状部)のかごシル7に対向する端部(上記連結部と反対側の端部)がかごシル7に当接する。この第1薄板材43a(第1の平板状部)の上記連結部と反対側の端部がかごシル7に当接することにより、それまで第1薄板材43a(第1の平板状部)の上記連結部と反対側の端部とかごシル7との間に存在していた間隙は塞がれ、乗りかご2内から外側へと流れる空気流は止まり、乗りかご2内と外側との間に差圧が生じる。この差圧により第1薄板材43a(第1の平板状部)の上面に圧力が掛かり、第1薄板材43a(第1の平板状部)の上記連結部と反対側の端部はさらにかごシル7に押し付けられ、確実に気密性が保持される。
なお、本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。
Claims (11)
- 昇降路内を昇降する乗りかご及びつり合いおもりを吊持する主ロープと、前記主ロープを巻き上げる巻上機と、前記乗りかご内の気圧を制御する気圧制御装置を有するエレベータ装置であって、
前記乗りかごは、出入口を開閉するかご戸と、かご床に設けられ前記かご戸の移動を案内するかごシルと、前記かご戸の下端に設けられ前記気圧制御装置による加圧及び/又は減圧に応じて弾性変形する可撓性部材により、前記かご戸の下端と前記かごシル間の間隙を密閉する気密装置と、を有し、
前記可撓性部材は、前記かご戸の幅方向全体に渡り前記かご戸の下端部に設けられると共に、縦断面形状が前記乗りかごの内側へと向かい下方へ傾斜する第1の平板状部と、前記第1の平板状部の端部にて折り返され前記乗りかごの外側へと向かう第2の平板状部と、を有することを特徴とするエレベータ装置。 - 昇降路内を昇降する乗りかご及びつり合いおもりを吊持する主ロープと、前記主ロープを巻き上げる巻上機と、前記乗りかご内の気圧を制御する気圧制御装置を有するエレベータ装置であって、
前記乗りかごは、出入口を開閉するかご戸と、かご床に設けられ前記かご戸の移動を案内するかごシルと、前記かご戸の下端に設けられ前記気圧制御装置による加圧及び/又は減圧に応じて弾性変形する可撓性部材により、前記かご戸の下端と前記かごシル間の間隙を密閉する気密装置と、を有し、
前記可撓性部材は、前記かご戸の幅方向全体に渡り前記かご戸の下端部に設けられると共に、縦断面形状が前記乗りかごの内側から外側へと向かい下方へ傾斜する第1の平板状部と、前記第1の平板状部の端部にて折り返され前記乗りかごの内側へと向かう第2の平板状部と、を有することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項1に記載のエレベータ装置において、
前記第2の平板状部が、前記気圧制御装置による加圧及び/又は減圧に応じて前記かごシルと当接し、前記かご戸の下端と前記かごシル間の間隙を密閉することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項2に記載のエレベータ装置において、
前記第2の平板状部が、前記気圧制御装置による加圧及び/又は減圧に応じて前記かごシルと当接し、前記かご戸の下端と前記かごシル間の間隙を密閉することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項3又は請求項4に記載のエレベータ装置において、
前記乗りかご停止時を含む通常時において、前記第2の平板状部は、前記かごシルと離間することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項5に記載のエレベータ装置において、
前記第2の平板状部は、前記かごシルと略平行に位置することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項1又は請求項3に記載のエレベータ装置において、
前記第2の平板状部は、前記乗りかごの外側へと向かい下方へ傾斜することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項2又は請求項4に記載のエレベータ装置において、
前記第2の平板状部は、前記乗りかごの内側へと向かい下方へ傾斜することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項6に記載のエレベータ装置において、
前記第1の平板状部は、少なくとも通常時において前記かご戸の下端との間にくさび状の間隙を有し、
前記第2の平板状部は、少なくとも通常時において、前記第1の平板状部との間にくさび状の間隙を有することを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項9に記載のエレベータ装置において、
前記かご戸は一対のパネル材で構成され、
前記気密装置は、前記乗りかごの内側に配されるパネル材の内側下端に固設されるL字状の断面形状を有するブラケットと、前記ブラケットの内側に配され、ロッド材を挿通可能な長穴を備えると共にL字状の断面形状を有する可動押さえ具と、前記可動押さえ具の内側に配されると共に前記可動押さえ具との間に前記可撓性部材の前記第1の平板状部と連続する上部水平材を挟持する押さえ具と、を備え、前記長穴の直径は前記ロッド材の直径よりも大きいことを特徴とするエレベータ装置。 - 請求項3又は請求項4に記載のエレベータ装置において、
前記可撓性部材は、天然ゴム、合成ゴム、樹脂、及び薄板状の金属部材のうち、いずれか一つにて成型されることを特徴とするエレベータ装置。
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