JP6601286B2 - 熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱延鋼板およびその製造方法に関する。
近年、CO排出量の削減を目的とした車体軽量化による燃費向上や衝突安全基準の厳格化の観点から、自動車の車体部品の高強度化が推進されている。また、省資源の観点から、車体部品の素材である鋼板には少ない合金含有量で高強度を得ることが望まれている。
このような背景の中、車体部品の形状は多様化している。このため、高強度だけでなくプレス成形性に優れる熱延鋼板への要求が増加している。特に足回り部品や構造部材には優れた伸びフランジ性が不可欠であり、このような用途に供される場合には所望の穴広げ性が求められる。また、部品の成形に際しては形状凍結性が良好であることも望まれる。形状凍結性は、材料の降伏応力と引張強さの比で表わされる降伏比が低いほど、優れることが知られている。
特許文献1には、C:0.04〜0.1%(本明細書においては化学組成に関する「%」は特に断りがない限り「質量%」を意味する)、Si:0.3〜1.3%、Mn:0.8〜1.8%、P:0.03%以下、S:0.005%以下、N:0.005%以下、Al:0.005〜0.1%を含有し、かつTi:0.002%以上0.03%未満、V:0.002%以上0.03%未満、Nb:0.002%以上0.02%未満から選択される一種以上を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有し、組織全体に占めるフェライト相の面積率が85%以上、ベイナイト相の面積率が10%以下、フェライト相とベイナイト相以外の他の相の面積率が5%以下であり、かつフェライト相全体に占めるアシキュラーフェライト相の面積率が30%以上80%未満である金属組織を有するとともに、125%以上の穴拡げ率λを有し、引張強さTSが490MPa以上590MPa未満の機械特性を有する、加工性に優れた高強度熱延鋼板が開示されている。
特許文献1により開示された高強度熱延鋼板では、軟質相のフェライトと硬質相のベイナイトからなる金属組織において、フェライト中にアシキュラーフェライトを所定量含ませることにより、フェライトとベイナイトの相間硬度差を低減して穴広げ性を向上させている。
特許文献2には、C:0.05〜0.18%、Si:0.10〜0.60%、Mn:0.90〜2.0%、P:0.025%以下、S:0.015%以下、Al:0.001〜0.1%、N:0.002〜0.01%、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有する鋼材を、950〜1250℃に加熱して熱間圧延を開始し、820℃以上で熱間圧延を終了した後、20℃/秒以上の冷却速度で600〜700℃まで冷却し、この温度域で10〜200秒間温度保持および/または緩冷却した後、5℃/秒以上の冷却速度で300℃以下まで冷却することによって、フェライトとベイナイトに加え、マルテンサイトあるいはマルテンサイトとオーステナイトの混合相とベイナイトの硬質相とを有する金属組織として低降伏比を発現させることにより、建築物や橋梁等の各種構造物に最適な引張強度が490N/mm以上、降伏比が70%以下の機械特性を有する高靭性鋼材を、合金元素を多量に含有することなく製造する方法が開示されている。
特開2012−57250号公報 特開2005−241281号公報
鋼の強化機構には、固溶強化、析出強化(粒子分散強化)、転位強化、結晶粒微細化強化があり、これら各種の強化法を適宜組み合わせることにより鋼の高強度化を図ることができる。一方、高強度化により鋼の延性や形状凍結性は劣化することが知られている。
これに対し、延性と強度を両立したDP鋼やTRIP鋼等の複相組織を有する各種高強度鋼が開発されてきた。なかでもDP鋼は、降伏強度と引張強さの比で表わされる降伏比が低く、形状凍結性に優れる。
他方、材料の延性は、均一伸びと局部伸びの加算で成り立っており、材料の伸びフランジ性は特に局部伸びと強い相関があるとされている。また、材料の伸びフランジ性は穴広げ試験によって評価される穴広げ性との相関が高いとされ、伸びフランジ性の簡易的な評価手法としてよく用いられている。
複相組織を有するDP鋼は局部伸びが低いことから、この穴広げ性が良好でないことが知られている。これは、軟質相と硬質相が混在するために、その異相界面で打抜き時あるいは伸びフランジ変形中にボイドが形成され易いためである。
このため、これまで軟質相と硬質相の硬さ差(硬さ比)を低減することにより金属組織の均質化を図り、穴広げ性を向上させた各種高強度鋼板が開発されている。しかし、このような異相間の硬さ差の低減は、同時に降伏比を上昇させるため、形状凍結性と穴広げ性の両立は困難なものとされてきた。
特許文献1,2に開示されるように、上述した穴広げ性向上のための具体的な改善手法としては、(i)ベイナイトや焼戻しマルテンサイトを主相とした組織均質化、(ii)複相組織鋼で軟質相の硬度を上昇させるために、MC系炭化物の析出強化元素活用や、(iii)SiやMn等の置換型元素による固溶強化等の技術等が知られている。これらの技術では、所望の強度や成形性を確保するために多量の合金元素を含有する必要があり、合金コストが高いという問題がある。
特に、特許文献2により開示された発明では、所定のフェライト変態量を得るために、仕上げ圧延後の中間空冷時間が長い(600〜700℃で10秒間以上の保持が必要)ために、通板速度を落とす必要もあり、製造能率が低い。
本発明は、従来の技術が有するこのような課題に鑑みてなされたものであり、低コストで高強度かつ優れた穴広げ性や形状凍結性(低降伏比)を兼ね備える熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とし、具体的には、自動車のサスペンション,ホイール等の足回り部品や、フレームやメンバー等の構造部材等に好適に用いられる自動車用高張力熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とし、さらに具体的には、引張強さTS:440〜590MPa、全伸びEl:25%以上、穴広げ率λ:70%以上、降伏比YR:85%未満の機械特性を有するプレス成形性に優れた熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような背景に鑑み、高強度に加え高い穴広げ性や全伸び、さらには優れた形状凍結性(低降伏比)を兼備させる手法を鋭意検討した。
従来のDP鋼は、所望のマルテンサイト量を確保するため、オーステナイトを安定化させ焼入れ性を高めることにより、未変態オーステナイトのマルテンサイト化を促進させる。本発明者らは、未変態オーステナイトを安定化する手法について検討した結果、仕上圧延した後、セメンタイトの析出が生じないような温度域で鋼を一定時間保持し、フェライト変態を急速に進めて、未変態オーステナイト中へのC濃縮を促進させることが重要であることを知見した。これにより、オーステナイトを安定化させることができ、結果としてベイナイトやマルテンサイトが得られ、鋼板の加工硬化能が高まることにより降伏比の上昇を抑制することができる。
ただし、仕上圧延直後は、鋼に加工オーステナイトの歪が残留した状態になる。仕上圧延直後の温度に鋼を保持すると、歪が解放されて、フェライト変態の駆動力が低下する。そこで、仕上圧延直後に水冷を行うことにより、加工オーステナイトの歪の解放を抑制し、フェライト変態の駆動力を高める。
その後、セメンタイトの析出が生じない温度域内で一旦水冷を停止し、空冷によってフェライト変態を促進させるとともに未変態オーステナイトへのC濃縮を行い、続く二次冷却過程で急速冷却を行い、200℃以下の温度域で巻き取ってマルテンサイトまたはベイナイトを所定量に制御することにより、高い穴広げ性と低降伏比を兼備することができる。
そして、このような製法で熱延鋼板を製造すれば、高強度、穴広げ性および形状凍結性の確保のために従来含有させていた合金元素の含有量を削減できる。
本発明は、以上の知見に基づいて完成したものであり、以下に列記の通りである。
(1)化学組成が、C:0.06〜0.15%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜0.6%、P:0.05%以下、S:0.02%以下、sol.Al:0.001〜0.3%、N:0.010%以下、Ti:0〜0.02%、Nb:0〜0.02%、V:0〜0.02%、Cr:0〜0.03%、Mo:0〜0.03%、B:0〜0.005%、REM:0〜0.01%、Mg:0〜0.01%、Ca:0〜0.01%、残部Feおよび不純物であり、
金属組織が、面積率で、フェライト70%以上であり、該フェライトに占めるアシキュラーフェライトの割合が0.5%以上10%未満であり、残部組織が合計5%以上のマルテンサイトおよびベイナイトであるとともに、フェライトの平均粒径が5.0〜20μmであり、
機械特性が、引張強さ(TS)が440MPa以上590MPa未満であり、全伸び(El)が25%以上であり、穴広げ率(λ)が70%以上であるとともに、引張強さと0.2%耐力との比である降伏比(YR)が85%未満である、熱延鋼板。
(2)Ti:0.0005〜0.02%以下、Nb:0.0005〜0.02%以下およびV:0.0005〜0.02%以下から選択された1種以上を含有する、1項に記載の熱延鋼板。
(3)Cr:0.01〜0.03%以下、Mo:0.01〜0.03%以下およびB:0.001〜0.005%以下から選択された1種以上を含有する、1または2項に記載の熱延鋼板。
(4)REM:0.0001〜0.01%以下、Mg:0.0001〜0.01%以下およびCa:0.0001〜0.01%以下から選択された1種以上を含有する、1〜3項のいずれかに記載の熱延鋼板。
(5)鋼片を仕上熱間圧延に供し、Ar−10℃以上で圧延を完了した後、0.2秒間以内に100℃/秒以上の冷却速度で740℃超850℃以下の温度域に冷却し、該温度域で1.0秒間以上20秒間以下の空冷を行い、さらに100℃/秒以上の冷却速度で200℃以下の温度域まで冷却した後に巻取る、1〜4項のいずれか1項に記載の熱延鋼板の製造方法。
ただし、Ar(℃)=905−455[%C]−38[%Si]−62[%Mn]+472[%P]であり、[%C],[%Si],[%Mn],[%P]は、それぞれ、C,Si,Mn,Pの含有量(質量%)を示す。
本発明に係る熱延鋼板は、引張強度440MPa以上590MPa未満の高強度を有するとともに、穴広げ率が70%以上、全伸び25%以上を示すとともに降伏比(YR)が85%未満という低降伏比を示すため、成形性の厳しい自動車部材、例えばホイールやリム等の足回り部材やシャシーやメンバー等の部材へ適用できる。
さらに、本発明に係る熱延鋼板は、TiやNbといったMC系炭化物による析出強化元素やSiやMn等の固溶強化元素を多量に含有せずに、安定した強度および強度−延性バランスを達成でき、環境負荷を効果的に低減できる。
特に、本発明に係る熱延鋼板は、アシキュラーフェライトの面積率を特許文献1により開示された発明よりも低く制御することにより、低降伏比を実現する。また、特許文献1により開示された発明では所望の引張強度を確保するためにMnを多量に含有することによる固溶強化やベイナイト変態強化を利用するが、本発明に係る熱延鋼板では、少ないMn含有量であっても、仕上げ圧延後の冷却条件を制御することにより同等の引張強度を得ることができる。
また、本発明に係る熱延鋼板は、特許文献2により開示された発明よりもさらに低いMn含有量の場合でも同等の引張強度を確保するとともに、低降伏比材で課題とされる穴広げ率も高い水準にある。
さらに、本発明に係る熱延鋼板は、仕上げ圧延後の冷却開始を顕著に短くすることにより、フェライト変態(オーステナイト安定化)が早期に進行することから、特許文献2により開示された発明とは異なり、仕上げ圧延後の中間空冷(750〜860℃)が10秒間以下の短時間であっても、機械特性が損なわれない。
本発明を実施するための形態を説明する。
1.本発明に係る熱延鋼板
(1)化学組成
はじめに必須元素を説明する。
(1−1)C:0.06〜0.15%
Cは、鋼の強度を高める元素であり、本発明では440MPa以上590MPa未満の引張強さを確保するために重要な元素である。C含有量が0.06%未満では440MPa以上の引張強度を確保することができないことに加え、脱炭工程での処理時間が長くなって製造コストが上昇し、工業的に好ましくない。このため、C含有量は、0.06%以上であり、好ましくは0.08%以上である。
一方、C含有量が0.15%を超えると、パーライト量が増加するために穴広げ時の亀裂の起点が増加するために穴広げ性を劣化させるとともに、充分な量のフェライトを得られず全伸びが低下する。このため、C含有量は、0.15%以下であり、好ましくは0.12%以下である。
(1−2)Si:0.01〜0.5%
Siは、フェライト生成元素であり、仕上げ圧延後のフェライト生成を促すとともに、固溶強化によりフェライトを強化するため、良好な全伸びや穴広げ性を確保するために有効な元素である。Si含有量が0.01%未満ではこの作用を得られないため全伸びや穴広げ性が劣化する。このため、Si含有量は、0.01%以上であり、好ましくは0.02%以上である。
一方、Si含有量が0.5%を超えるとファイアライトの融点の上昇が顕著になり、熱間圧延工程におけるスケール剥離性が悪化し、表面の外観が劣化する。このため、Si含有量は、0.5%以下であり、好ましくは0.2%以下である。
(1−3)Mn:0.1〜0.6%
Mnは、オーステナイト生成元素であり、仕上げ圧延工程でのオーステナイトを安定化させる。また、鋼中のSをMnSとして固定し、FeSの生成による鋼の赤熱脆性を抑制する。これらの効果を得るために、Mn含有量は、0.1%以上であり、好ましくは0.2%以上である。
一方、Mn含有量が0.6%を超えるとオーステナイトが安定化するために充分なフェライト量を確保できなくなり、全伸びが低下するとともに降伏比も上昇する。このため、Mn含有量は、0.6%以下であり、好ましくは0.5%以下である。
(1−4)P:0.05%以下
Pは、不純物として存在し、溶接性を劣化させる。したがって、P含有量は少ないほど好ましい。P含有量が0.05%を超えると、溶接性の劣化が顕著になる。このため、P含有量は、0.05%以下であり、好ましくは0.03%以下である。
(1−5)S:0.02%以下
Sは、不純物として存在し、鋼中に硫化物を形成し易く、穴広げ性を劣化させるため、S含有量は少ないほど好ましい。S含有量が0.02%を超えるとこの悪影響が顕著になる。このため、S含有量は、0.02%以下であり、好ましくは0.01%以下である。
(1−6)sol.Al:0.001〜0.3%
Alは、Siと同様にフェライト生成元素であり、延性を向上させる。sol.Al含有量が0.001%未満では上記効果を得ることができない。このため、sol.Al含有量は、0.001%以上であり、好ましくは0.01%以上である。
一方、sol.Al含有量が0.3%を超えると非金属介在物を増大させ、穴広げ性を劣化させる。このため、sol.Al含有量は、0.3%以下であり、好ましくは0.2%以下である。
(1−7)N:0.010%以下
Nは、不純物として存在し、Alと結合してAlN等の非金属介在物を形成し、穴広げ性を劣化させる。このため、N含有量は、0.010%以下であり、好ましくは0.005%以下である。
次に、任意元素を説明する。
(1−8)Ti:0〜0.02%、Nb:0〜0.02%およびV:0〜0.02%
Ti,Nb,Vは、CやN等の侵入型元素と結合し、炭化物や窒化物あるいは炭窒化物として微細に析出し、熱間圧延過程でオーステナイト粒の粗大化や再結晶を抑制する元素であり、熱延鋼板を高強度化する。このため、これらの元素の1種以上を必要に応じて含有してもよい。
他方、Ti,Nb,Vのそれぞれを、0.02%を超えて含有すると、フェライトがこれら炭化物、窒化物あるいは炭窒化物の析出により著しく強化されることにより、降伏比が上昇し、形状凍結性を劣化させるおそれがある。
したがって、Ti,Nb,Vの含有量はそれぞれ0.02%以下である。上記作用による効果をより確実に得るためには、Tiを0.0005%以上、Nbを0.0005%以上、Vを0.0005%以上含有することが好ましい。
(1−9)Cr:0〜0.03%、Mo:0〜0.03%およびB:0〜0.005%
Cr,Mo,Bは、いずれも、鋼の焼入れ性を高める作用を奏し、高強度化に有用な元素である。したがって、これらの元素の1種以上を必要に応じて含有してもよい。しかし、Crは0.03%を超えて,Moは0.03%を超えて、Bは0.005%を超えて含有すると、全伸びの低下が著しくなるとともにコストの上昇を招くため省資源の観点から好ましくない。したがって、これら各元素の含有量は上記範囲とする。この作用による効果をより確実に得るには、Crは0.01%以上、Moは0.01%以上、Bは0.001%以上含有することが好ましい。
(1−10)REM:0〜0.01%、Mg:0〜0.01%およびCa:0〜0.01%
REM,Mg,Caは、いずれも、酸化物や硫化物を微細に球状化することにより延性や穴広げ性を向上させる。したがって、これらの元素の1種以上を必要に応じて含有してもよい。
しかし、REM、Mg、Caは、それぞれ0.01%を超えて含有すると、鋼中に酸化物や硫化物が多量に形成され、全伸びや穴広げ性の低下が著しくなる。したがって、これらの元素の含有量は上記範囲とする。上記作用による効果をより確実に得るには、これらの元素のいずれかを0.0001%以上含有することが好ましい。
ここで、REMとは、Sc、Y及びランタノイドの合計17元素を指し、ランタノイドの場合、工業的にはミッシュメタルの形で添加される。なお、本発明では、REMの含有量はこれらの元素の合計含有量を意味する。
(1−11)残部
Feおよび不純物である。ここで、不純物としては、鉱石やスクラップ等の原材料に含まれるものや製造工程において含まれるものが例示される。
(2)金属組織
(2−1)フェライト:面積率で70%以上
本発明に係る熱延鋼板におけるフェライトは、軟質なポリゴナルフェライトならびに比較的硬質なアシキュラーフェライトの双方を意味する。フェライトを金属組織中に面積率で70%以上有することにより、熱延鋼板の加工硬化能を高め、高い全伸び(El)および低降伏比を発現させることができる。
アシキュラーフェライトとは、フェライト粒の長軸と単軸の比(アスペクト比)が3以上のフェライトを意味するのに対し、ポリゴナルフェライトとは、アスペクト比が3未満のフェライトを意味する。
フェライトの面積率が70%未満になると、必要な加工硬化能が得られず全伸び(El)および穴広げ性(λ)がいずれも低下し、さらに降伏比が上昇する。低降伏比に重点を置く場合には、フェライトの面積率は好ましくは80%以上である。
(2−2)フェライトに占めるアシキュラーフェライトの割合:0.5%以上10%未満
アシキュラーフェライトは、仕上げ圧延後の冷却過程で生成するが、ポリゴナルフェライトよりも変態温度が低いことが知られている。したがって、導入される転位密度がポリゴナルフェライトよりも高いため、フェライト自身が強化されることにより材料の高強度化に寄与する。一方、軟質部として存在するポリゴナルフェライトの割合が相対的に減少するため降伏比が上昇する。このため、フェライトに占めるアシキュラーフェライトの割合は、0.5%以上であり、好ましくは1.0%以上である。
一方、フェライトに占めるアシキュラーフェライトの割合が10%以上になると、本発明で規定する降伏比(YR)を上回るため、充分な形状凍結性を得られない。したがって、熱延鋼板の金属組織を構成するフェライトに占めるアシキュラーフェライトの割合は、10%未満であり、さらに全伸びに重点を置く場合には好ましくは5%以下である。
(2−3)残部組織:面積率で合計5%以上のマルテンサイトおよびベイナイト
残部組織のうち、マルテンサイトおよびベイナイトの合計を面積率で5%以上とすることにより、加工硬化能が増加し、本発明で規定する低降伏比を満たすことができる。ベイナイトとマルテンサイトの合計が面積率で5%を下回ると加工硬化能が低く、本発明で規定する降伏比を超え、形状凍結性が劣化する。
本発明ではフェライトの面積率が70%以上であるため、マルテンサイトおよびベイナイトの合計の面積率は最大でも30%未満となるが、フェライト、マルテンサイト、ベイナイト以外の相が存在してもよく、例えばパーライトが鋼中に存在していてもよい。
(2−4)フェライトの平均粒径:5.0〜20μm
結晶粒径は鋼の強度に影響する。このため、鋼の強度を高めるにはフェライト粒径は小さいほど好ましいが、過剰な結晶粒微細化は引張強さよりも降伏応力の増加割合が大きくなるために降伏比を上昇させる。フェライトの平均粒径が20μmを超えると、結晶粒微細化強化の寄与が少なくなり、所定の引張強度を下回る場合がある。このため、フェライトの平均粒径は、20μm以下であり、好ましくは15μm以下である。
一方、フェライトの平均粒径が5.0μm未満であると、降伏比が顕著に増大して形状凍結性が劣化する。このため、フェライトの平均粒径は、5.0μm以上であり、好ましくは7μm以上である。
(3)機械特性
本発明に係る熱延鋼板は、引張強さ(TS)が440MPa以上590MPa未満であり、全伸び(El)が25%以上であり、穴広げ率(λ)が70%以上であるとともに、引張強さと0.2%耐力との比である降伏比(YR)が85%未満である機械特性を有する。本発明に係る熱延鋼板は、この機械特性を有することにより、自動車のサスペンション,ホイール等の足回り部品や、フレームやメンバー等の構造部材を始めとする様々な自動車部材への適用が可能である。
2.本発明に係る製造方法
(1)熱間圧延:Ar−10℃以上で完了
鋼片を仕上熱間圧延に供し、Ar−10℃以上で熱間圧延を完了する。ただし、Ar(℃)=905−455[%C]−38[%Si]−62[%Mn]+472[%P]であり、[%C],[%Si],[%Mn],[%P]は、それぞれ、C,Si,Mn,Pの含有量(質量%)を示す。
熱間圧延に供する鋼片は、コスト面から連続鋳造により製造された鋼塊から製造したものを用いることが好ましい。鋼片は、一旦冷却されたものを再加熱して熱間圧延に供してもよく、または分解圧延後の高温状態の鋼片をそのまま、あるいは保温して、あるいは補助的な加熱を行って、熱間圧延に供してもよい。
熱間圧延はレバースミルまたはタンデムミルを用いることが好ましく、特に工業的生産性の観点からは、少なくとも最終の数パスはタンデムミルを用いることがより好ましい。
本発明に係る熱延鋼板は、このような鋼片を仕上熱間圧延に供することにより製造される。
仕上熱間圧延の開始温度は、特に限定しない。所望の仕上熱間圧延温度を確保するために仕上熱間圧延の開始温度は、1060℃以上であることが好ましく、スケールロス抑制の観点から1300℃以下であることが好ましい。なお、仕上熱間圧延の終了温度(熱間圧延完了温度または仕上温度ともいう)は金属組織を制御するために重要である。
熱間圧延の仕上温度はAr−10℃以上とする。ここでいうAr点とは、上記式により示される鋼中の化学成分(C,Si,Mn,P)の含有量から算出される温度である。
Ar点以下の温度域で熱間圧延を完了する場合、圧延中にフェライト変態が生じ、加工フェライトが混在した組織が生じるため、全伸びが劣化する。また、熱延鋼板の圧延集合組織が過度に発達するため、穴広げ性が劣化することがある。
しかし、熱間圧延温度の仕上温度が、Ar点以下の温度域であってもAr−10℃以上であれば、加工フェライトが多くなることはなく、全伸びに影響しない。したがって、熱間圧延の仕上温度はAr−10℃以上とする。穴広げを重視する場合には、熱間圧延の仕上温度はAr点以上であることが好ましい。
(2)仕上圧延後の冷却開始時間:0.2秒間以内、中間空冷温度までの冷却速度:100℃/秒以上、中間空冷温度:740℃超850℃以下、中間空冷時間:1.0〜20秒間
熱間圧延完了後0.2秒間以内に100℃/秒以上の冷却速度で740℃超850℃以下の温度域に冷却し、この温度域で1.0秒間以上20秒間以下の空冷を行う。
このように熱間圧延された鋼板を冷却(例えば水冷)することにより、熱間圧延により導入された歪の開放が抑制され、その後放冷することにより上記歪を駆動力としたフェライト変態が生じるとともにオーステナイトへのC濃縮を促進することにより、目的とする鋼組織を得ることができる。
熱間圧延後0.2秒間超経過してから冷却開始するか、または冷却速度が100℃/秒を下回ると、オーステナイトに加わった加工歪の開放が促進され、フェライト変態の駆動力が下がるために、その後の未変態オーステナイトへのC濃縮が進行せず所定量のベイナイトやマルテンサイトが得られないため、降伏比が上昇する。加工歪の開放は冷却速度が大きくなるほど抑制されるため、上記効果をより発現させるために、冷却速度は、より好ましくは600℃/秒以上であり、さらに好ましくは800℃/秒以上である。
また、冷却開始時間および冷却速度が本発明の規定する上記範囲を満足していても、冷却する温度域が850℃を超えると、フェライト変態の駆動力が低下するため、充分な量のフェライトを確保することができず、全伸びが劣化するとともに降伏比が上昇し、本発明で規定する25%以上の全伸び(El)や85%以下の降伏比(YR)を満足できなくなる。全伸びを重点に置く場合には、冷却する温度域は好ましくは820℃以下である。
一方、冷却する温度域が740℃以下であると、フェライト粒径が規定する粒径よりも小さくなることや、アシキュラーフェライトの割合が規定する量よりも多くなるために、本発明で規定する降伏比を超えるために形状凍結性が低下する。このため、冷却する温度域は、740℃超であり、低降伏比を重点に置く場合には好ましくは770℃以上である。
また、この温度域で1.0秒間以上20秒間以下の空冷を行うことにより、フェライト変態を促進させ、本発明で規定する全伸びや降伏比を確保する。この温度域での空冷時間が、1.0秒間を下回るとフェライト量が不足し全伸びが劣化し、一方、20秒間を超えるとフェライト変態が過剰に促進し、ベイナイトやマルテンサイト量が不足するために降伏比が高くなる。
なお、本発明における「空冷」の冷却速度は、5〜15℃/秒である。
(3)二次冷却および巻取り
100℃/秒以上の冷却速度で200℃以下の温度域まで冷却した後に巻取る。
中間空冷後の二次冷却は、硬質第2相の量や性質を制御するために重要である。鋼板の冷却速度が100℃/秒を下回ると、マルテンサイトとベイナイトの量が不足し、本発明で規定する降伏比を超過するために形状凍結性が劣化する。このため、二次冷却の冷却速度は、100℃/秒以上であり、好ましくは200℃/秒以上である。
金属組織中のマルテンサイト量を確保するために200℃以下の温度域まで二次冷却した後に、巻取る。200℃を超過する温度で巻取りを行うと、充分なマルテンサイト量およびベイナイト量を得られないために所望の低降伏比を得られない場合がある。
表1に示す鋼種A〜T(表1における下線は本発明で規定する範囲外であることを示す)の化学組成を有するスラブに熱間圧延を行い、表2に示す「熱間圧延完了温度」で熱間圧延を完了した後、「冷却開始までの時間」が経過した時点で「中間空冷までの冷却速度」で「中間空冷温度」までの冷却(水冷)を開始し、水冷後に「中間空冷時間」の空冷を行った。
Figure 0006601286
この後、表2に示す「巻取温度までの冷却速度」で「巻取温度」に冷却(水冷)して巻取ることにより、供試材No.1〜37の熱延鋼板を製造した。なお、表2における下線は、製造条件が本発明の範囲を外れていることを示し、表2の巻取温度の欄におけるRTは室温(25℃)を意味する。
Figure 0006601286
得られた供試材No.1〜37の熱延鋼板に対して下記の試験を行った。
(1)鋼組織の評価
フェライトおよび硬質第2相(パーライト、ベイナイト、マルテンサイト)の面積率は、光学顕微鏡組織観察で得られた写真について、画像処理方法を用いて測定した。具体的には、供試材No.1〜37の熱延鋼板の圧延方向に平行な断面についてバフ仕上げの研磨を行った後、4%ナイタール腐食溶液により金属組織を現出し、光学顕微鏡を用いて板厚の1/4t位置について500,1000倍の観察を各々10視野で行った。なお、マルテンサイトの面積率については、レペラ腐食用液によりマルテンサイト相を白色に着色してベイナイトと区別した。
得られた観察像からフェライトと硬質第2相を特定した後、二次元粒子解析ソフトを用いて各々の相の面積率を測定した。また、フェライト粒径は同ソフトで得られた円相当径の平均値とした。アシキュラーフェライトの割合は同粒子解析ソフトを用い、フェライト粒個々のアスペクト比を測定し、フェライト粒全体に占める割合を算出した。
(2)機械特性の評価
供試材No.1〜37の熱延鋼板を用い、以下に示す試験を行い、引張特性、穴広げ性を評価した。
(2−1)引張特性の評価
供試材No.1〜37の熱延鋼板の圧延平行方向からJIS5号B引張試験を採取した。試験方法はJIS Z2241に準じて行い、降伏点YP、引張強さTS、および伸びElを測定した
(2−2)穴広げ率の評価
供試材No.1〜37の熱延鋼板より100mm角の素板を切り出し、万能試験機によって素板の中央部に10mmφの打抜き加工を行った。打抜きのクリアランスは日本鉄鋼連盟規格(JFST1001−1996)に準拠して約12%とした。
この素板に穴広げ試験を行った。穴広げ試験は、日本鉄鋼連盟規格(JFST1001−1996)に準じた方法で行い、各試料ともに同一条件で3回の測定を行い、その平均値を穴広げ率λとした。
結果を表3に示す。なお、表3における下線は、機械特性が良好でないことを示す。
Figure 0006601286
表3における供試材No.1〜16は、本発明が規定する条件を全て満足する本発明例であり、供試材No.17〜37は、本発明が規定する条件を満足しない比較例である。
供試材No.1〜16の熱延鋼板は、引張強さ(TS):445〜546MPa、全伸び(El):26〜35%、穴広げ率(λ):72〜130、降伏比(YR)84〜78%であり、成形性の厳しい自動車部材、例えばホイールやリム等の足回り部材用やシャシーやメンバー等の部材用として好適であることがわかる。
さらに、供試材No.1〜16の熱延鋼板は、TiやNbといったMC系炭化物による析出強化元素やSiやMn等の固溶強化元素を多量に含有しなくても安定した強度および強度−延性バランスを実現でき、環境負荷を効果的に低減できることがわかる。
これに対し、供試材No.17,18は、いずれも、熱間圧延完了温度(仕上げ温度)が本発明の範囲の下限であるAr−10℃を下回ったために、加工フェライトが残存するとともに、フェライト粒径が5.0μmを下回ったため、充分な加工硬化能が得られず、降伏比が上昇するとともに全伸びが低下した。また、圧延集合組織の過度な発達により、穴広げ性も低下した。
供試材No.19は、仕上げ圧延後の冷却開始までの時間が本発明の範囲の上限よりも長くなったため、未変態オーステナイト中の加工ひずみの開放が促進されてフェライト変態の駆動力が低下し、オーステナイトの安定度が低下したためにマルテンサイトおよびベイナイトの合計量が本発明の範囲の下限を下回り、降伏比が上昇した。
供試材No.20は、仕上げ後の中間空冷までの冷却速度が本発明の範囲の下限を下回ったために、未変態オーステナイト中の加工ひずみの開放が促進されてフェライト変態の駆動力が低下し、オーステナイトの安定度が低下したためにマルテンサイトおよびベイナイトの合計量が本発明の範囲の下限を下回り、降伏比が上昇した。
供試材No.21は、中間空冷温度が本発明の範囲の下限を下回ったため、フェライト粒径が本発明の範囲の下限を下回り、アシキュラーフェライトの量が本発明の範囲の上限を上回るとともに、マルテンサイトおよびベイナイトの合計量が本発明の範囲を満たすことができず、さらにフェライト粒径も小さくなったことから、加工硬化能が小さくなり、降伏比が上昇した。
供試材No.22は、中間空冷温度が本発明の範囲の上限を上回ったため、フェライト変態の駆動力が低く、充分な量のフェライトを得られず、全伸びが低下するとともに降伏比が上昇した。
供試材No.23は、中間空冷時間が本発明の範囲の下限を下回ったため、フェライト量が充分に確保できず、全伸びが低下するとともに降伏比が上昇した。
供試材No.24は、中間空冷時間が本発明の範囲の上限を上回ったため、フェライト量が過剰となってベイナイトとマルテンサイトの合計量が本発明の範囲の下限を下回り、降伏比が上昇した。
供試材No.25は、中間空冷後の巻取温度までの冷却速度が本発明の範囲の下限を下回ったため、マルテンサイトおよびベイナイトの合計量が本発明の範囲の下限を下回り、降伏比が上昇した。
供試材No.26は、中間空冷後の巻取温度までの冷却速度が本発明の範囲の下限を下回ったため、マルテンサイトおよびベイナイトの合計量が本発明の範囲の下限を下回り、降伏比が上昇した。
試材No.27は、巻取温度が本発明の範囲の上限を上回ったため、マルテンサイトおよびベイナイトの合計量が本発明の範囲の下限を下回り、降伏比が上昇した。
供試材No.28は、中間空冷温度が本発明の範囲の上限を上回るとともに中間空冷時間が本発明の範囲の下限を下回ったため、ベイナイトが過剰に生成してフェライト量が不足して全伸びが低下し、降伏比が上昇した。
供試材No.29,30は、巻取温度が本発明の範囲の上限を上回ったため、マルテンサイトおよびベイナイトの合計量が本発明の範囲の下限を下回り、降伏比が上昇した。
供試材No.31は、仕上げ圧延後の冷却開始までの時間が本発明の範囲の上限よりも長いとともに中間空冷温度までの冷却速度が本発明の範囲の下限よりも低いため、フェライト変態の駆動力が低下し、マルテンサイトおよびベイナイトの合計量が本発明の範囲の下限を下回り、降伏比が上昇した。
供試材No.32は、中間空冷温度が本発明の範囲の下限を下回ったため、フェライト粒径が本発明の範囲の下限よりも小さくなるとともに、アシキュラーフェライトの量が本発明の範囲の上限を上回り、降伏比が上昇した。
供試材No.33は、C含有量が本発明の範囲の上限を上回ったため、パーライトが過剰に生成し、穴広げ性が低下した。また、フェライト量が不足し、全伸びも低下した。
供試材No.34は、Si含有量が本発明の範囲の上限を上回ったため、ファイアライト融点の上昇が生じてスケール剥離性が悪化し、表面の外観が低下した。
供試材No.35は、Mn含有量が本発明の範囲の上限を上回ったため、フェライト量が本発明の範囲の下限を下回り、全伸びが低下するとともに降伏比が上昇した。
供試材No.36は、Al含有量が本発明の範囲の上限を上回ったため、Al系の非金属介在物が増加し、穴広げ性が低下した。
さらに、供試材No.37は、N含有量が本発明の範囲の上限を上回ったため、AlN等の非金属介在物が過剰に生成し、穴広げ性が低下した。

Claims (5)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:0.06〜0.15%、
    Si:0.01〜0.5%、
    Mn:0.1〜0.6%、
    P:0.05%以下、
    S:0.02%以下、
    sol.Al:0.001〜0.3%、
    N:0.010%以下、
    Ti:0〜0.02%、
    Nb:0〜0.02%、
    V:0〜0.02%、
    Cr:0〜0.03%、
    Mo:0〜0.03%、
    B:0〜0.005%、
    REM:0〜0.01%、
    Mg:0〜0.01%、
    Ca:0〜0.01%、
    残部Feおよび不純物であり、
    金属組織が、面積率で、
    フェライト70%以上であり、該フェライトに占めるアシキュラーフェライトの割合が0.5%以上10%未満であり、
    残部組織が合計5%以上のマルテンサイトおよびベイナイトであるとともに、
    フェライトの平均粒径が5.0〜20μmであり、
    機械特性が、
    引張強さが440MPa以上590MPa未満であり、
    全伸びが25%以上であり、
    穴広げ率が70%以上であるとともに、
    引張強さと0.2%耐力との比である降伏比が85%未満である、熱延鋼板。
  2. 質量%で、
    Ti:0.0005〜0.02%以下、
    Nb:0.0005〜0.02%以下および
    V:0.0005〜0.02%以下
    から選択された1種以上を含有する、請求項1に記載の熱延鋼板。
  3. 質量%で、
    Cr:0.01〜0.03%以下、
    Mo:0.01〜0.03%以下および
    B:0.001〜0.005%以下
    から選択された1種以上を含有する、請求項1または2に記載の熱延鋼板。
  4. 質量%で、
    REM:0.0001〜0.01%以下、
    Mg:0.0001〜0.01%以下および
    Ca:0.0001〜0.01%以下
    から選択された1種以上を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の熱延鋼板。
  5. 鋼片を仕上熱間圧延に供し、Ar−10℃以上で圧延を完了した後、0.2秒間以内に100℃/秒以上の冷却速度で740℃超850℃以下の温度域に冷却し、該温度域で1.0秒間以上20秒間以下の空冷を行い、さらに100℃/秒以上の冷却速度で200℃以下の温度域まで冷却した後に巻取る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱延鋼板の製造方法。
    ただし、Ar(℃)=905−455[%C]−38[%Si]−62[%Mn]+472[%P]であり、[%C],[%Si],[%Mn],[%P]は、それぞれ、C,Si,Mn,Pの含有量(質量%)を示す。
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