JP5499956B2 - 熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献3には、(Ar1+50℃)から(Ar3+100℃)の温度域で1秒間以内に一回もしくは二回以上の合計圧下率が50%以上の加工を加え、加工終了後の600℃以上の温度域で20℃/秒以上の冷却速度の強制冷却を行う方法が開示されている。
その結果、鋼組織を微細化することにより塗装焼付硬化型熱延鋼板のBH性を高めることが可能であり、これにより従来技術のような多量のN添加に頼ることなくBH性を高めることができ、従来技術におけるブローホール欠陥の発生による溶接性や靭性の低下という問題を解消することができることを新たに見出した。
フェライトの結晶粒径は小さくなるほどBH性が向上する。しかし、結晶粒径が小さくなり過ぎると粒界エネルギーによる粒成長の駆動力が増加するため、熱的安定性が低下して、溶接や熱処理によって高温に曝されると粒成長が促進されてしまい、その後のBH性が低下してしまう。具体的には、鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径が1.2μmを下回るようになると、熱的安定性の低下が著しくなる。一方、上記フェライトの平均結晶粒径が3.1+5000/(5+350・C+40・Mn)2μm及び7μmのいずれかの値を上回ると、鋼組織の微細化によるBH性の向上が十分に期待できなくなる。したがって、BH性および熱的安定性を両立させるには、上記フェライトの平均結晶粒径を1.2μm以上とし、3.1+5000/(5+350・C+40・Mn)2μm以下かつ7μm以下とする必要がある。
固溶Cおよび固溶Nの合計量(以下、単に「SCN」ともいう。)が高いほどBH性は高くなるが、ブローホール欠陥の発生による溶接性や靭性の低下という問題が生じやすくなる。一方、上述したように、鋼組織を微細化することにより塗装焼付硬化型熱延鋼板のBH性を高めることが可能であることが本発明者らの検討により判明した。したがって、鋼組織を微細化することによって少ないSCNでも高いBH性を得ることができる。そこで、必要とするBH性に応じてSCNを制限することがブローホール欠陥の発生による溶接性や靭性の低下を抑制するうえで重要となる。具体的には、歪時効硬化による引張強度の上昇量(以下、「BHTS」ともいう。)を、SCNとの関係において、SCN×1.25以上および12.1×ln(SCN)+3.5以上の何れも満たすようにすることが重要である。ここで、SCNは、内部摩擦法によって求めた値(単位:質量ppm)であり、BHTSは、鋼板の引張強度(TS)に対する、該鋼板に常温で一軸引張変形により6%の予歪を加え、170℃で20分間の熱処理を施した後の引張強度の増加分(単位:MPa)である。
しかし、これらの方法で微細な結晶組織の鋼板を得ても、その鋼組織の熱的安定性は低く、溶接や熱処理によって高温に曝されると粒成長が促進されてしまい、その後のBH性が低下してしまう。
鋼板の熱的安定性を高めるには、フェライトの結晶粒径の分布を一定の範囲にとどめることが好ましい。高温での粒成長が生じる一因は、粒界のエネルギーに基づく駆動力であり、微細なフェライト組織の中に比較的大きなフェライト結晶粒が混在していると、大きなフェライト結晶粒が粒界を駆動力として周囲の微細なフェライト結晶粒と一体化し易く、粒成長が急速に進展し易い。このため、高温でのフェライト結晶粒の粒成長速度を抑制するには、上記(a)に加えて、鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトのうち、面積割合でフェライト結晶粒の80%以上が、平均結晶粒径D(μm)の1/3倍から3倍までの範囲に収まるような粒径分布とすることが好ましい。換言すれば、フェライトの結晶粒径d(μm)が、D/3と3Dとの間に存在する結晶粒の占める面積割合が80%以上である粒径分布を有することが好ましい。なお、より好ましくは、面積割合で90%以上のフェライト結晶粒が平均結晶粒径D(μm)の1/3倍から3倍までの範囲に収まるような粒径分布とすることである。
高温におけるフェライト結晶粒の粒成長速度は、温度の上昇とともに増加する。一般に、溶接や溶融めっき工程等の熱処理においてフェライトの粒成長という問題が生じる温度域はA1点(730℃近傍)直下からA3点近傍までの温度域であり、この温度範囲でフェライトの粒成長速度は大きく変化する。しかし、フェライトの平均結晶粒径が上記(a)の範囲内にある鋼板の粒成長速度の温度特性は700℃近傍の温度におけるフェライトの粒成長速度によって決定されることが本発明者らの検討により判明した。そこで、700℃におけるフェライトの粒成長速度、すなわち、フェライトの平均結晶粒径の増加速度X(μm/min)と平均結晶粒径D(μm)との積D・X(μm2/min)に上限を設ければ、溶接や溶融めっき工程等の熱処理により高温に曝された場合においても、問題が発生しないことを見出した。そして、さらなる詳細な実験の結果、上記積D・Xを0.1μm2/min以下に設定することが必要であることが判明した。なお、上記積D・Xは0.07μm2/min以下とすることが好ましく、0.05μm2/min以下とすることがさらに好ましい。
さらに、本発明者らは、このような熱延鋼板を製造するための好適な方法についても種々検討を行い、次の(e)に示すとおり、工業的実施が容易な製造方法を提供することができることを見出した。
(A)化学組成について
[C:0.01%以上0.2%以下]
Cは、固溶することによって歪時効硬化性を向上させる作用を有する。また、Cは、オーステナイトからフェライトへの変態温度を低下させる作用を有し、熱間圧延の仕上温度を低下させることを可能にするので、フェライト結晶粒の微細化を促進するのに有用である。さらに、Cは、強度を高める作用も有する。C含有量が0.01%未満では上記作用による効果を得ることが困難となる。したがって、C含有量は0.01%以上とする。フェライト結晶粒の微細化をより一層促進させるには、C含有量を0.03%以上とすることが好ましい。一方、C含有量が0.2%超では、熱間圧延後のフェライト変態の遅延が著しくなり、50面積%以上のフェライトを確保することが困難となるとともに、溶接性の劣化が著しくなる。したがって、C含有量は0.2%以下とする。溶接部の加工性を確保する観点からは、C含有量を0.17%以下とすることが好ましく、0.15%以下とすることがさらに好ましく、0.13%以下とすることが特に好ましい。
Siは、フェライトの強化と延性の向上とに寄与し、脱酸作用も有する。Si含有量が0.01%未満では上記作用による効果を得ることが困難である。したがって、Si含有量は0.01%以上とする。一方、Si含有量が2.0%超では、熱間圧延時の表面酸化の問題が顕在化してくる。したがって、Si含有量は2.0%以下とする。好ましくは1.5%以下、さらに好ましくは1.3%以下、特に好ましくは1.0%以下である。
Mnは、強度を高める作用を有する。また、Mnは、オーステナイトからフェライトへの変態温度を低下させる作用を有し、熱間圧延の仕上温度を低下させることを可能にするので、フェライト結晶粒の微細化を促進するのに有用である。Mn含有量が0.1%未満では上記作用による効果を得ることが困難となる。したがって、Mn含有量は0.1%以上とする。好ましくは0.3%以上である。一方、Mn含有量が3.0%超では、熱間圧延後のフェライト変態の遅延が著しくなり、50面積%以上のフェライトを確保することが困難となる。したがって、Mn含有量は3.0%以下とする。好ましくは2.7%以下である。
Pは、一般に不純物として含有される元素であるが、強度を高める作用を有するので、積極的に含有させてもよい。しかし、P含有量が0.2%超では、粒界偏析による脆化が著しくなる。したがって、P含有量は0.2%以下とする。好ましくは、0.1%以下、さらに好ましくは0.05%以下である。
Sは、不純物として含有される元素であり、鋼中に硫化物系介在物を形成して加工性を低下させる作用を有する。S含有量が0.05%超では加工性の低下が著しくなるので、S含有量は0.05%以下とする。一層優れた加工性を確保したい場合には、S含有量を0.008%以下とすることが好ましく、0.003%以下とすることがさらに好ましい。
Alは鋼を脱酸する作用を有し、鋼を健全化するのに有効な元素である。sol.Al含有量が0.001%未満では、上記作用による効果を得ることが困難となる。したがって、sol.Al含有量は0.001%以上とする。好ましくは0.010%以上、さらに好ましくは0.015%以上である。一方、sol.Al含有量が0.5%超では、オーステナイトからフェライトへの変態温度の上昇が著しくなり、熱間圧延の仕上温度を上昇させざるを得なくなり、フェライト結晶粒の微細化が困難となる。また、連続鋳造法を適用する場合には、安定した操業が困難となる。したがって、sol.Al含有量は0.5%以下とする。好ましくは0.45%以下、さらに好ましくは0.35%以下である。
Nは、不純物として含有され、固溶することによって歪時効硬化特性を向上させる作用を有する。N含有量が0.001%未満では上記作用による効果を得ることが困難となる。したがってN含有量は0.001%以上とする。一方、N含有量が0.0200%超では、延性や常温時効性の劣化が著しくなる。したがって、N含有量は0.0200%以下とする。好ましくは0.015%以下、さらに好ましくは0.01%以下、特に好ましくは0.0070%以下、最も好ましくは0.0050%未満である。
Oは、不純物として含有される元素であり、鋼の清浄度を低下させて機械特性を劣化させる作用を有する。O含有量が0.01%超では機械特性の低下が著しくなるので、O含有量は0.01%以下とする。好ましくは0.005%以下である。
固溶Cおよび固溶Nは、歪時効硬化特性を向上させる作用を有する。固溶Cおよび固溶Nの合計量SCNが2質量ppm未満では上記作用による効果を得ることが困難となる。したがって、固溶Cおよび固溶Nの合計量SCNは2質量ppm以上とする。一方、固溶Cおよび固溶Nの合計量SCNが80質量ppm超では、加工性、常温時効性および靭性の劣化が著しくなる。したがって、固溶Cおよび固溶Nの合計量SCNは80質量ppm以下とする。好ましくは70質量ppm以下、さらに好ましくは60質量ppm以下、特に好ましくは50質量ppm以下である。
Q−1 C(N)Npeak:CまたはNのQ−1ピーク値
Ti、Nb、VおよびMoは、炭化物または窒化物として析出し、鋼板の強度を高める作用を有する。また、これらの析出物は、オーステナイトやフェライトの粗大化を抑制し、フェライト結晶粒の微細化を促進する作用も有する。さらに、高温の熱処理を施す場合には粒成長を抑制する作用も有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかしながら、Tiについては0.1%を超えて含有させると、Nbについては0.1%を超えて含有させると、Vについては0.5%を超えて含有させると、Moについては0.5%を超えて含有させると、熱間圧延に供する前の段階において粗大な炭化物または窒化物が鋼中に多量に析出してしまい、熱延鋼板の加工性の劣化を招く。また、多量の炭化物や窒化物の析出によりSCNが減少するため歪時効硬化特性が低下する。したがって、それぞれの元素の含有量は、Ti:0.1%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびMo:0.5%以下とする。Tiについては0.03%以下とすることが好ましく、0.01%以下とすることがさらに好ましい。Nbについては0.03%以下とすることが好ましく、0.01%以下とすることがさらに好ましい。Vについては0.3%以下とすることが好ましい。Moについては0.3%以下とすることが好ましい。さらに、フェライトの生成を容易にする観点からは、TiおよびNbの合計含有量を0.1%以下とすることが好ましく、0.03%以下とすることがさらに好ましく、0.01%以下とすることが特に好ましい。なお、上記作用による効果をより確実に得るには、Ti:0.001%以上、Nb:0.001%以上、V:0.01%以上およびMo:0.001%以上のいずれか満足させることが好ましい。
Cu、NiおよびCrは、析出強化や固溶強化により鋼板の強度を一層向上させる作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかし、いずれかの元素の含有量が1.0%超となると、加工性の低下が著しくなる。したがって、これらの元素を含有させる場合には、各元素の含有量をそれぞれ1.0%以下とする。なお、上記作用による効果をより確実に得るには、Cu:0.02%以上、Ni:0.02%以上およびCr:0.02%以上のいずれか満足させることが好ましい。
Ca、Mg、REM(希土類元素)およびBは、凝固中に析出する酸化物や窒化物を微細化して、鋼塊または鋼片の健全性を向上させる作用を有する。したがって、これらの元素の1種または2種以上を含有させてもよい。しかしながら、Caの場合には0.01%を超えて含有させても、Mgの場合には0.01%を超えて含有させても、REMの場合には0.01%を超えて含有させても、Bの場合には0.005%を超えて含有させても、それぞれ上記作用による効果は飽和してしまい、徒にコスト上昇を招く。したがって、それぞれの含有量は、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、REM:0.01%以下、B:0.005%以下とする。なお、上記作用による効果をより確実に得るには、Ca:0.0002%以上、Mg:0.0002%以上、REM:0.0002%以上およびB:0.0001%以上のいずれか満足させることが好ましい。ここで、REMとは、ランタノイドの15元素とYおよびScを合わせた17元素を意味する。
本発明に係る熱延鋼板は、フェライト面積率が50%以上、鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均粒径D(μm)が下記式(1)および式(2)を満足する鋼組織を有する。
D≦3.1+5000/(5+350・C+40・Mn)2 ・・・・・・(2)
フェライトの面積率が50%未満では、鋼板の加工性が損なわれる場合がある。したがって、フェライトを面積率は50%以上とする。好ましくは60%以上である。
結晶粒径d(μm)が上記式(6)を満足するフェライト結晶粒の前記位置におけるフェライトの占める面積割合が85%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
D≦0.95Dc ・・・・・・(9)
Ds≦D ・・・・・・(10)
この場合、Ds≦0.8DcおよびD≦0.9Dcを満足することがさらに好ましい。
フェライトの平均結晶粒径が上記式(1)および(2)を満足する一定の範囲内にある鋼板の粒成長速度は、700℃近傍の温度におけるフェライトの粒成長速度によって決定される。したがって、鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径Dの700℃における増加速度X(μm/min)と前記平均結晶粒径D(μm)とが下記式(7)を満足することが好ましい。
すなわち、鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径D(μm)の700℃における増加速度(μm/min)と平均結晶粒径D(μm)の積D・X(μm2/min)を、0.1μm2/min以下とすることで、溶接や溶融めっき工程等の熱処理により高温に曝された場合においても微細な鋼組織をより確実に維持することが可能となる。より優れた熱安定性を得るには、上記積D・Xを0.07μm2/min以下にすることが好ましく、0.05μm2/min以下にすることがさらに好ましい。なお、本発明に係る鋼板のフェライトの結晶粒径(直径)は、時間の平方根に比例する通常の粒成長とは異なり、700℃ではほぼ時間に比例して増加する。したがって、フェライトの平均結晶粒径の増加速度X(μm/min)は、700℃で1時間程度の間の粒径変化を測定して、その変化率を平均することによって、求めることとする。
歪時効硬化量BHTSが大きいほど、成形加工時には軟質で加工性に優れ、成形加工後に塗装焼付処理を施すことにより強度を高めることがより容易となるのであるから、成型加工時の加工性と成形部品の高強度化を両立することが可能となる。実用上有意な効果を得るには、少なくとも歪時効硬化量BHTSは10MPa以上であることが必要である。好ましくは、20MPa以上、より好ましくは40MPa以上である。
BHTS≧12.1×ln(SCN)+3.5 ・・・・・・・(5)
なお、歪時効硬化量BHTSは、鋼板の引張強度TSと、この鋼板に常温で一軸引張変形により6%の予歪を付与して170℃で20分間の熱処理を施した後に引張試験を行い、予歪を付与する前の原断面積により最高荷重を除して求められる最大応力TSaとの差(TSa−TS)である。この際、均一伸びが6%以下の鋼板では、予歪を付与する際にくびれ変形を生じるためBH性を評価できない。換言すれば、本発明の鋼板は均一伸びが6%以上であることが必要である。
上記化学組成を有する鋼材に多パス熱間圧延を施して熱延鋼板とする際に、多パス熱間圧延における最終直前圧延パスと最終圧延パスとの圧延パス間時間を0.3秒間以上4.0秒間以下とし、最終圧延パスの圧延完了温度を、Ar3点以上かつ780℃以上とする。
熱間圧延完了から720℃までの冷却が0.4秒間を超えると、オーステナイトからフェライトへの変態が活発化する720℃以下の温度域に到達する前に、オーステナイトに導入された加工歪が解放されてしまうのでフェライトの核生成密度が低下し、フェライト結晶粒が粗大化してしまう。したがって、熱間圧延完了後、オーステナイトに導入された加工歪の解放を抑制してフェライト変態が活発化する温度域まで冷却し、前記加工歪を駆動力としてオーステナイトからフェライトへの変態を一気に進行させることにより鋼組織の微細化を図るために、熱間圧延完了から720℃までの冷却時間を0.4秒間以内とする。圧延完了から720℃以下までの冷却時間は0.3秒間以内とすることが好ましく、0.2秒間以内とすることがさらに好ましい。冷却は、水冷を用いるのが好ましく、その冷却速度は、空冷期間を除外した強制冷却を行っている期間の平均冷却速度で400℃/秒以上とすることが好ましい。好ましくは600℃/秒以上、さらに好ましくは800℃/秒以上、特に好ましくは1000℃/秒以上である。上記の冷却を行う設備は特に限定されない。工業的には、水量密度の高い水スプレー装置を用いることが好適である。例えば、圧延板搬送ローラーの間に水スプレーヘッダーを配置し、板の上下から十分な水量密度の高圧水を噴射することで冷却することができる。
表1に示す化学組成を有する鋼種A〜Jの鋼を溶製し、熱間鍛造によって30mm厚さにした。その後、1050℃以上に加熱した後、試験用小型タンデムミルにて圧延を実施し、1.7mm厚に仕上げた。
フェライトの結晶粒径およびその粒径分布については、板表面から板厚の1/4の深さ位置にて、EBSP(Electron Back Scattering Pattern)法を用いて結晶方位解析を行うことで求めた。
熱的安定性については、700℃の塩浴に10、30または60分間浸した後、急冷し、上記と同じ方法で粒径を測定し、焼鈍前粒径d0(μm)と焼鈍後粒径d1(μm)の差を、焼鈍時間(min)で割り算をすることによって、平均結晶粒径の増加速度X(μm/min)を算出した。
Q−1 C(N)Npeak:CまたはNのQ−1ピーク値
なお、本実施例で作成した全ての本発明に係る鋼板に関し、100μmの深さ位置における結晶粒径は板厚中心における粒径の60%以下であり、板厚の1/4の深さ位置における粒径は板厚中心における粒径の85%以下であった。
試番1は巻取温度が650℃と高いため、SCNが少なくなりBHTSが10MPa未満となった。
Claims (8)
- 質量%で、C:0.01%以上0.2%以下、Si:0.01%以上2.0%以下、Mn:0.1%以上3.0%以下、P:0.2%以下、S:0.05%以下、sol.Al:0.001%以上0.5%以下、N:0.0010%以上0.0200%以下およびO:0.01%以下を含有し、残部Feおよび不純物からなる化学組成を有し、
フェライト面積率が50%以上、鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均粒径D(μm)が下記式(1)および式(2)を満足する鋼組織を有し、
固溶Cおよび固溶Nの合計量SCNが2質量ppm以上80質量ppm以下であり、
6%の予歪付与後に170℃で20分間の熱処理を施した場合における歪時効硬化による引張強度の上昇量BHTS(MPa)が下記式(3)〜式(5)を満足すること
を特徴とする熱延鋼板。
1.2≦D≦7 ・・・・・・(1)
D≦3.1+5000/(5+350・C+40・Mn)2・・・・・・(2)
BHTS≧10 ・・・・・・(3)
BHTS≧SCN×1.25 ・・・・・・(4)
BHTS≧12.1×ln(SCN)+3.5 ・・・・・・(5) - 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Ti:0.1%以下、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下およびMo:0.5%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板。
- 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下およびCr:1.0%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱延鋼板。
- 前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下、REM:0.01%以下およびB:0.005%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の熱延鋼板。
- 鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置において、結晶粒径d(μm)が下記式(6)を満足するフェライト結晶粒の前記位置におけるフェライトの占める面積割合が80%以上であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の熱延鋼板。
D/3≦d≦3D ・・・・・・(6)
ここで、Dは鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径(μm)を示す。 - 鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径の700℃における増加速度X(μm/min)と前記平均結晶粒径D(μm)とが下記式(7)を満足することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の熱延鋼板。
D・X≦0.1 ・・・・・・(7) - 鋼板表面から100μmの深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径Ds(μm)、鋼板表面から板厚の1/4の深さ位置におけるフェライトの平均結晶粒径D(μm)および板厚の中心位置におけるフェライトの平均結晶粒径Dc(μm)が、下記式(8)〜(10)を満足することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の熱延鋼板。
Ds≦0.85Dc ・・・・・・(8)
D≦0.95Dc ・・・・・・(9)
Ds≦D ・・・・・・(10) - 鋼材に多パス熱間圧延を施して熱延鋼板とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の熱延鋼板の製造方法であって、
前記多パス熱間圧延における最終直前圧延パスと最終圧延パスとの圧延パス間時間が0.3秒間以上1.2秒間以下であり、
前記最終圧延パスの圧延完了温度がAr3点以上かつ780℃以上であるとともに、
前記多パス熱間圧延完了後に720℃までの冷却時間を0.4秒間以内として冷却し、600℃以上720℃以下の温度域で1秒間以上保持し、150℃/秒以下の平均冷却速度で600℃以下の温度域まで冷却して巻き取ること
を特徴とする熱延鋼板の製造方法。
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