JP2017025397A - 熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】高い穴拡げ性と焼付け硬化性とを併せ持つ強度780MPa以上の熱延鋼板を提供する。【解決手段】C:0.01〜0.08%、Si:0.03〜1.5%、Mn:0.5〜2.5%、P:0.03%以下、S:0.010%以下、Ti:0.05〜0.2%、Al:0.001〜0.1%、N:0.005%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、面積率で、フェライトが60〜80%、フェライトとベイナイトとの合計が90%以上であるとともに、残部がセメンタイトおよびマルテンサイトからなる鋼組織を有するとともに、焼付け硬化量BHが30MPa超であり、引張強度が780MPa以上であり、かつ引張強度TS(MPa)と穴広げ率λ(%)との積TS×λが66300(MPa・%)以上である機械特性を有することを特徴とする熱延鋼板である。【選択図】図1

Description

本発明は、熱延鋼板およびその製造方法に関し、具体的には、主としてプレス加工される自動車の足廻り部品等を対象とし、1.0〜6.0mm程度の板厚で780MPa以上の引張強度を有する穴拡げ性と焼付け硬化性に優れた高強度の熱延鋼板およびその製造方法に関する。
近年、自動車の環境問題を契機に燃費改善対策としての車体軽量化や部品の一体成形化によるコストダウンのニーズが強まり、プレス加工性に優れた高強度の熱延鋼板の開発が進められてきた。
従来、このような加工用高強度熱延鋼板としては、フェライトおよびマルテンサイト組織やフェライトおよびベイナイト組織からなる混合組織を有する熱延鋼板、あるいはベイナイトまたはフェライト主体の略単相組織を有する熱延鋼板が広く知られている。また、熱延鋼板に焼付け硬化性を付与することによりプレス成形および塗装焼付け後の降伏強度が上昇する。このため、熱延鋼板の板厚を減少させることにより車体の軽量化が可能になり、環境保全に有効であることが知られている。
このような現状を背景に、これまでにも種々の高強度熱延鋼板が開発されている。例えば、特許文献1には、主相のフェライトと残部のベイナイトよりなる二相組織を有する高成形性高強度熱延鋼板が開示されている。この高成形性高強度熱延鋼板は、延性を高めるフェライト粒径を拡大して穴拡げ性を低下させずに延性を確保するために成形性と伸びは確かに良好であるものの、塗装焼付け後における高強度化を保証していない。
特許文献2には、主相のフェライトと残部(第二相)の針状のフェライト、ベイナイト、マルテンサイトおよび残留オーステナイトからなり、第二相の分散性を向上させた高焼付け硬化性高強度熱延鋼板が開示され、強度と延性・焼付け硬化量が具体的に開示されている。しかし、特許文献2には、穴拡げ性は開示されていない。また、特許文献2では、熱間圧延および巻取り後の冷却速度は10〜100℃/hと記載されているものの(特許文献2の2頁34行参照)、コイル内周から巻き厚1/3の位置の冷却速度は30〜60℃/hが一般的である(特許文献2の8頁の図5参照)。
特開2002−180188号公報 特開平11−80891号公報
本発明は、従来の技術が有するこのような課題に鑑みてなされたものであり、高い穴拡げ性と焼付け硬化性とを併せ持つ引張強度780MPa以上の熱延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、引張強度780MPa以上の高強度の熱延鋼板において焼付け硬化性の改善を図るには、熱間圧延終了後に550〜700℃の温度域で0.5〜3.0時間保持してフェライトを生成することにより穴拡げ性を確保できるとともに、この温度域に保持した後に全長にわたり200℃/h超の冷却速度で室温まで冷却することでTiCの析出量を制御して固溶Cを確保することにより焼付け硬化性を高めることができることを知見し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。本発明は、以下に列記の通りである。
(1)質量%で、C:0.01〜0.08%、Si:0.03〜1.5%、Mn:0.5〜2.5%、P:0.03%以下、S:0.010%以下、Ti:0.05〜0.2%、Al:0.001〜0.1%、N:0.005%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、面積率で、フェライトが60〜80%であり、フェライトとベイナイトとの合計が90%以上であるとともに、残部がセメンタイトおよびマルテンサイトからなる鋼組織を有し、かつ、焼付け硬化量BHが30MPa超であり、引張強度が780MPa以上であるとともに、引張強度TS(MPa)と穴広げ率λ(%)との積TS×λが66300(MPa・%)以上である機械特性を有することを特徴とする高強度熱延鋼板。
(2)前記化学組成が、さらに、質量%で、Nb:0.03%以下、およびCr:0.4%以下からなる群から選ばれた1種または2種を有する1項に記載された熱延鋼板。
(3)スラブを1100〜1250℃に加熱し、粗圧延と仕上げ温度がAr点以上950℃以下である仕上圧延とからなる熱間圧延を施し、引き続いて30〜80℃/secの冷却速度で仕上げ温度から550〜700℃まで冷却し、550〜700℃の温度域で0.5〜3時間保持した後に当該温度から室温までの平均冷却速度を200℃/h超として室温まで冷却することを特徴とする、焼付け硬化性と穴広げ性に優れる1項または2項に記載された高強度熱延鋼板の製造方法。
本発明により、高い穴拡げ性と焼付け硬化性とを併せ持つ強度780MPa以上の熱延鋼板およびその製造方法を提供できる。
自動車の足廻り部品には安全性確保の観点から大きな負荷がかかった場合でも塑性変形することを避ける必要がある部品が多いため、高い降伏比が要求される。また、部品をプレス成形する際には穴拡げ性を求められる場合が多い。この加工性と高い降伏比を両立するために高い穴拡げ性と焼付け硬化性(BH性)を両立した本発明に係る熱延鋼板を適用することにより、自動車の足回り部品に優れた安全性および加工性を高次元で両立することができる。
図1は、表2に示した試験結果のうち、TS×λとBH値との関係を示すグラフである。 図2は、表2に示した試験結果のうち、温度保持後の冷却速度とBH値との関係を示すグラフである。
本発明を実施するための形態を説明する。なお、以降の説明では、化学組成に関する「%」は特に断りがない限り「質量%」を意味する。
1.本発明に係る熱延鋼板
(1)化学組成
はじめに必須元素を説明する。
(1−1)C:0.01〜0.08%
Cは、炭化物を析出して強度を確保することに有効な元素であり、C含有量が0.01%未満では熱延鋼板が所望の強度を確保することが困難になる。一方、C含有量が0.08%を超えると熱延鋼板の穴拡げ性が低下する。そこで、C含有量は0.01%以上0.08%以下とする。
(1−2)Si:0.03〜1.5%
Siは、鋼の脱酸のために0.03%以上含有する。しかし、Si含有量が増加すると熱延鋼板の化成処理性が低下するとともに、熱延鋼板の点溶接性も劣化するため、Si含有量は1.5%以下とする。このため、Si含有量は0.03%以上1.5%以下とする。
(1−3)Mn:0.5〜2.5%
Mnは、熱延鋼板の強度の確保に有効な元素であるので、0.5%以上含有する。しかし、Mn含有量が2.5%を超えて多量になると、ミクロ偏析やマクロ偏析が起こり易くなり、熱延鋼板の穴拡げ性を劣化させる。このため、Mn含有量は0.5%以上2.5%以下とする。
(1−4)P:0.03%以下
Pは、不純物であり、多量に含有すると熱延鋼板の穴拡げ性、焼付け硬化性を劣化させる。そこで、P含有量は0.03%以下とする。
(1−5)S:0.010%以下
Sは、MnSを形成して破壊の起点として作用し、熱延鋼板の穴拡げ性を著しく低下させる。このため、S含有量は0.010%以下とする。
(1−6)Ti:0.05〜0.2%
Tiは、微細な炭化物であるTiCを析出させて熱延鋼板の強度を確保するに有効な元素であるが、Ti含有量が0.05%未満では熱延鋼板が所望の強度を確保することが困難である。このため、Ti含有量は0.05%以上とする。一方、Ti含有量が0.2%を超えるとその効果が飽和し、熱延鋼板のコストが上昇する。そこで、Ti含有量は0.05%以上0.2%以下とする。
(1−7)Al:0.001〜0.1%
Alは、鋼の脱酸剤として少なくとも0.001%含有することが有効であるが、Al含有量が0.1%を超えると介在物が増加し、熱延鋼板の加工性を劣化させる。このため、Al含有量は0.001%以上0.1%以下とする。
(1−8)N:0.005%以下
N含有量が0.005%を超えると、Cよりも高温でTiと析出物を形成し、熱延鋼板の穴拡げ性を低下させる。そこで、N含有量は0.005%以下とする。このような観点からはN含有量の下限を設ける必要はないが、N含有量を0.001%未満に低減するには製鋼コストが嵩む。このため、N含有量は0.001%以上であることが好ましい。
次に、任意添加元素を説明する。
(1−9)Nb:0.03%以下、およびCr:0.4%以下からなる群から選ばれた1種または2種
Nbは熱延鋼板の強度の向上に寄与し、また、Crは熱延鋼板の強度および靭性の向上に寄与するため、NbおよびCrは、これら1種を単独でまたは2種を複合して、含有してもよい。しかし、Nb含有量が0.03%を超え、またCr含有量が0.4%を超えると、多量の炭化物が生成し、熱延鋼板の穴拡げ性を低下させる。このため、Nb,Crを含有する場合には、Nb含有量は0.03%以下であり、Cr含有量は0.4%以下であることが好ましい。上記効果を確実に得るためには、Nb含有量は0.001%以上であり、Cr含有量は0.001%以上であることが好ましい。
上記以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
(2)鋼組織
鋼組織は、面積率で、フェライトが60%以上80%以下であり、かつフェライトとベイナイトとの合計が90%以上であるとともに、残部はセメンタイトおよびマルテンサイトよりなる混合組織である。なお、ベイナイトには1面積%以下の残留オーステナイトが含まれていてもよい。
優れたプレス加工性を有する高強度の熱延鋼板は、フェライトとベイナイトの混合組織であることが有効である。しかし、フェライトが面積率で60%未満であると焼付け硬化性が低く、一方、フェライトが面積率で80%を超えると所望の引張強度が得られない。
また、フェライトとベイナイトの合計が面積率で90%未満であると、所望の穴拡げ性が確保できない。ベイナイトは、強度が高く、所望の引張強度を確保する役割を有するため、フェライトの残部がベイナイト主体でなければ、所望の引張強度が確保できない。
熱延鋼板は、このような鋼組織を有することにより、所望の高強度と、優れた穴拡げ性と、焼付け硬化性を有する。
(3)機械特性
熱延鋼板の機械特性は、焼付け硬化量BH:30MPa超、引張強度:780MPa以上、かつ引張強度TS(MPa)と×穴広げ率λ(%)との積TS×λ:66300(MPa・%)以上である。
このため、本発明に係る熱延鋼板は、780MPa以上の高強度と、高い穴拡げ性と、焼付け硬化性とを高次元で併せ持っている。
2.本発明に係る熱延鋼板の製造方法
本発明は、略述すると、上述した化学組成を有する鋼片に熱間圧延を行うことにより熱延鋼板を製造する際に、熱間圧延工程に着目し、フェライトおよびベイナイト鋼において焼付け硬化性を高める固溶Cと、引張強度を確保するTiCからなる析出物の生成を両立することによって、高い穴拡げ性と焼付け硬化性とを併せ持つ強度780MPa以上の熱延鋼板を製造するものである。この製造方法を詳しく説明する。
(2−1)熱間圧延
本発明に係る熱延鋼板を製造するには、上述した化学組成を有するスラブなどの鋼片を1100℃以上1250℃以下に加熱し、加熱した鋼片に、粗圧延と仕上げ温度がAr以上950℃以下である仕上圧延とからなる熱間圧延を施す。
Ar点は、下記(1)式により規定される。
Ar3点=979.8-450.7×C含有量(%)-125.7×Mn含有量(%)+191.5×Nb含有量(%)+340×Ti含有量(%)+254×Al含有量(%)-32.42×Cr含有量(%) ・・・・・(1)
スラブ加熱温度が1100℃未満であるとTiCが溶態化しないため、結晶粒を微細化できない。このため、スラブ加熱温度は1100℃以上とする。一方、スラブ加熱温度が1250℃超であると、鋼の結晶粒が粗大化し、材質の均質性が劣化するおそれがあるので、スラブ加熱温度は1250℃以下とする。
仕上げ温度(圧延終了温度)がAr点未満であると、組織が不均一となる。このため、仕上げ温度はAr点以上とする。一方、仕上げ温度が950℃超になると組織の粗大化による引張強度の低下を招くため、仕上げ温度は950℃以下とする。
(2−2)一次冷却、保持、二次冷却
穴拡げ性を良好にするため、引き続き30〜80℃/secの冷却速度で仕上げ温度から550〜700℃まで一次冷却する。その後、550〜700℃の温度域で0.5〜3時間保持する。さらにその後、高い焼付け硬化性を確保するために、鋼板を水槽に浸漬させることで冷却速度を200℃/h超として室温まで二次冷却する。
熱間圧延終了後に鋼板を急速に一次冷却する。一次冷却は、熱間圧延終了後10秒間以内に開始することが好ましく、これにより、組織の粗大化を抑制することができる。急速な一次冷却を行うことは、熱延鋼板に高い穴拡げ性を与えるために重要である。一次冷却の冷却速度が30℃/sec未満では穴拡げ性に有害な炭化物の形成を抑制することが困難であり、一次冷却の冷却速度が80℃/sec超では所望の面積率のフェライトを生成することができないからである。このため、一次冷却の冷却速度は30℃/sec以上80℃/sec以下とする。
(2−3)保持
次に、鋼板の一次冷却を停止して所定温度域で温度保持することは、フェライトを析出させてその占有率を増加させ、穴拡げ性を向上させるために重要である。
しかしながら、冷却停止温度および温度保持の開始温度が550℃未満であると、穴拡げ性に有害なパーライトが早期より生成する。一方、冷却停止温度および温度保持の開始温度が700℃を超えると、フェライトの生成が遅く空冷の効果を得難いばかりでなく、その後の二次冷却中におけるパーライトの生成が起こり易くなる。したがって、一次冷却の冷却停止温度と温度保持の開始温度は550℃以上700℃以下とする。
550℃以上700℃以下で一次冷却を停止した後、この温度域の±10℃の温度域に0.5時間以上3.0時間以下保持することにより、TiCを析出させる。温度保持の時間が0.5時間未満であると、TiCが十分に析出せず、熱延鋼板の引張強度の低下の原因になる。また、温度保持の時間が3時間を超えると、TiCが過剰に析出して固溶Cの確保が困難になり、所望の焼付け硬化性を得られない。したがって、温度保持の時間は0.5時間以上3.0時間以下とする。
(2−4)二次冷却
上記の温度保持を行った後、鋼板を二次冷却する。この二次冷却では、温度保持を行った温度から室温までの平均冷却速度を200℃/h超として、冷却する。この平均冷却速度が200℃/h以下であると、冷却中にTiCが過剰に析出してしまい固溶Cが減少することにより所望の焼付け硬化性を得られない。このため、二次冷却における上記平均冷却速度200℃/h超として室温まで冷却する。このような冷却速度を確保する冷却方法は特に規定するものではないが、コイルを巻き戻してガスまたは水で冷却する方法、もしくはコイルを水槽に浸漬させる方法などがある。
このようして、本発明に係る製造方法、すなわち、上述の化学成分および製造条件の組み合わせにより、面積率で、フェライトが60%以上80%以下であり、かつフェライトとベイナイトとの合計が90%以上であるとともに、残部セメンタイトおよびマルテンサイトよりなる混合組織と、焼付け硬化量BH:30MPa超、引張強度:780MPa以上、かつ引張強度TS(MPa)と×穴広げ率λ(%)との積TS×λ:66300(MPa・%)以上である機械特性とを有する、優れた穴拡げ性と高い焼付け硬化性とを有する高強度の熱延鋼板を製造できる。
表1に示す化学組成を有する鋼を転炉で溶製し、連続鋳造によりスラブとし、表2に示す熱延条件で熱間圧延、一次冷却、温度保持および二次冷却を行うことにより、板厚2.6〜3.2mmの熱延鋼板を製造した。なお、表1に示す化学成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
このようにして熱延鋼板について、JIS5号試験片による引張試験、JIS Z2256に基づく穴拡げ試験、組織観察を行った。
BH試験では、焼き付け硬化量の測定は、圧延方向に垂直な方向にJIS5号試験片を切り出し、JIS G3135の付属書に記載された塗装焼付硬化試験方法に基づき、実施した。ただし、予歪量は自動車の足回り部品を成形する際に入る歪量を想定して8%とし、加熱処理条件は170℃×20分間とした。
フェライト占有率は、試験片の圧延方向と平行な断面(L断面)を研磨し、ナイタールで腐食した後、光学顕微鏡(倍率:400倍)にて撮影した組織写真を用い、画像解析装置により求めた。これらの結果を表2にあわせて示す。表2における下線は、本発明の範囲を逸脱することを示す。また、表2における組織の欄のFはフェライトを示し、Bはベイナイトを示し、Cはセメンタイトを示す。
表2における番号1,3,5,7,9,11,13,15,17,19,21,23,25,27の発明例は、化学組成および製造条件(スラブ加熱温度、仕上げ圧延温度、一次冷却速度、一次冷却停止温度、保持時間、保持温度、二次冷却速度)のいずれも本発明の範囲内であって、引張強度が780MPa以上であるとともに、85%以上の優れた穴拡げ性と、TS×λ:66300(MPa・%)以上と、30MPa以上80MPa以下の高いBH値とをいずれも有する焼付け硬化性に優れた高強度熱延鋼板である。
これに対し、本発明の範囲を外れた、表2における番号2,4,6,8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,28〜32の比較例は、強度、穴拡げ性および焼付け硬化性のバランスに劣る。
具体的には、番号2,4,6,8,10,14,18,20,26はTS×λとBH値が低い値である。すなわち、番号2は加熱温度が不足しており、析出物が細粒化しなかった。番号4は加熱温度が上限より高く、番号8は仕上げ温度が高いため組織が粗大化した。番号6は仕上げ温度が下限を下回っていたため、組織が不均一となった。番号10は冷却速度が下限を下回っており、番号14は冷却停止温度が下限を下回り、番号20は温度保持時間が上限より長いことからパーライトが生成した。さらに、番号18は温度保持時間が不足し、番号26は温度保持後の冷却速度が不足したことからTiCの析出が不足した。このため、TS×λとBH値が低い値となった。
番号12,16,24は、BH値のみ低い値となった。番号12は冷却速度が上限を上回り、番号16は冷却停止温度が高く、番号22,24は保持温度が低いため、フェライトの生成が困難となった。このため、BH値が低い値となった。
番号28は、冷却速度が遅いためフェライト率が低い値となり、引張強度と伸びが低い値となった。
番号29〜32は、化学組成が本発明の範囲外である。番号29はMn含有量が上限を超えていることから焼入れ性が上昇し、フェライト生成が抑制されたためTS×λとBH値が低い値となった。番号30,31はSi,C含有量が上限を超えていることから引張強度が大きく上昇し、それに伴って穴拡げ性が劣ることからTS×λが低くなった。さらに、番号32はTi含有量が下限を下回っていることから引張強度の確保が困難となり、TS×λが低くなった。
図1は、表2に示した試験結果のうち、TS×λとBH値との関係を示すグラフである。
図1のグラフに示すように、発明例は比較例に対して高い穴拡げ性と焼付け硬化性を有していることがわかる。
図2は、表2に示した試験結果のうち、温度保持後の冷却速度とBH値との関係を示すグラフである。
図2のグラフに示すように、発明例の冷却速度の発明範囲では、冷却速度が上昇するにしたがって焼付け硬化性が高まることが分かる。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.08%、Si:0.03〜1.5%、Mn:0.5〜2.5%、P:0.03%以下、S:0.010%以下、Ti:0.05〜0.2%、Al:0.001〜0.1%、N:0.005%以下を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、面積率で、フェライトが60〜80%であり、フェライトとベイナイトとの合計が90%以上であるとともに、残部がセメンタイトおよびマルテンサイトからなる鋼組織を有し、かつ、焼付け硬化量BHが30MPa超であり、引張強度が780MPa以上であるとともに、引張強度TS(MPa)と穴広げ率λ(%)との積TS×λが66300(MPa・%)以上である機械特性を有することを特徴とする熱延鋼板。
  2. 前記化学組成が、さらに、質量%で、Nb:0.03%以下、およびCr:0.4%以下からなる群から選ばれた1種または2種を有する請求項1に記載された熱延鋼板。
  3. スラブを1100〜1250℃に加熱し、粗圧延と仕上げ温度がAr点以上950℃以下である仕上圧延とからなる熱間圧延を施し、引き続いて30〜80℃/secの冷却速度で仕上げ温度から550〜700℃まで冷却し、550〜700℃の温度域で0.5〜3時間保持した後に、当該温度から室温までの平均冷却速度を200℃/h超として冷却することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された熱延鋼板の製造方法。
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