JP2009174019A - 焼き付け硬化特性と常温遅時効性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板とその製造方法 - Google Patents

焼き付け硬化特性と常温遅時効性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明では、60MPa以上のBH量と常温遅時効性をもち、60%以下の低降伏比である高強度冷延鋼板を低コストで提供することを課題とする。
【解決手段】質量%で、C:0.03〜0.09%、Mn:1.0〜2.0%、Si:1.0%以下、P:0.05%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.005〜0.1%、N:0.01%以下、B:0.001〜0.003%、0.005%≧(14/48)Ti+(14/93)Nb−N≧0を満たす分のTiとNbのうち1種以上を含み、かつ、C+(Mn/20)≧0.12%を満たし、固溶C:1〜7ppmであり、残部はFeおよび不可避的不純物から成り、体積率で、80%以上のフェライトと3〜10%のマルテンサイトから成り、マルテンサイトのうち2%以上は2μm以下の微細マルテンサイトである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車の外板及び内板に使用可能な、優れた焼付硬化性と常温遅時効性を有する低降伏比型高強度冷延鋼板及びその製造方法に関するものである。
近年、自動車用鋼板においては、地球環境問題に端を発する燃費向上の有力手段である車体軽量化と衝突時の乗員保護を目的とした衝突安全性の確保の両立を主な背景として、高強度化が進められている。一般に、鋼板の高強度化は成形性の劣化を招くが、この課題を克服するために、プレス成形時には軟質で成形し易く、プレス後の焼き付け塗装工程において降伏強度が上昇する焼き付け硬化(BH)性を有する鋼板が開発されてきた。このBH鋼板は、固溶Cおよび固溶Nを活用した歪時効現象により、鋼板を強化する技術であるが、一方で、この固溶Cおよび固溶Nは常温においても時効が進行するため、長期間保持された場合には降伏点伸びが生じるようになり、プレス成形時にストレッチャーストレインが発生して外観を損なうことがある。よって、BH鋼板においては、常温遅時効性を保ちつつ、BH量を上げることが課題となる。
常温遅時効性を保ちつつ、高いBH量を確保するための有効な手段として、いわゆるDPハイテンのような、フェライトと低温変態生成相の混合組織を活用するという方法がある。低温変態生成相として重要なのはマルテンサイト相であり、変態時に導入される可動転位が、固溶C、Nにより固着することで高いBH性を確保することができる。また、このような組織の鋼板は、常温遅時効性にも優れる上、低降伏比で形状凍結性に優れ、加工性も良いという特徴をもっている。
フェライトと低温変態生成相の混合組織を活用したBH鋼板として、特許文献1や特許文献2の方法が提案されている。これらの方法によれば、常温遅時効性と、少なくとも60MPa以上の優れたBH量を両立することが可能である。また、低降伏比のため、形状凍結性も良好である。しかしながら、成分として、近年価格が高騰しているMoやCrを添加することが必須となっており、製造コストが上がることは避けられない。
特開2006−233294号公報 特開2006−52465号公報
本発明では、かかる事情を鑑みてなされたものであり、60MPa以上のBH量と常温遅時効性をもち、60%以下の低降伏比である高強度冷延鋼板を低コストで提供することを課題とする。強度としては、ハイテン化の効果が十分に発揮しつつ、ユーザーでの生産コストを抑制することが可能な440MPa以上590MPa未満を目標とする。
本発明者らは、上記課題を解決するための手段を鋭意検討した結果、固溶Nは析出物として完全固定した上で、適量の固溶Cを活用し、組織としては、2μm以下の微細マルテンサイトを適量確保することが最も重要であることを見出した。微細マルテンサイトにより、常温遅時効性と低降伏比を確保することができ、また、適量の固溶Cにより優れた焼付け硬化性をも具備することが可能となる。更に、それらを得るための成分、組織、製造条件を詳細に検討した。その結果、特に、CとMnのバランスが重要であり、C+(Mn/20)≧0.12%の場合に、優れた特性を発揮できることが判明した。以上の知見を総合し、本発明は完成した。
本発明の要旨は、次の通りである。
本発明は、質量%で、C:0.03〜0.09%、Mn:1.0〜2.0%、Si:1.0%以下、P:0.05%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.005〜0.1%、N:0.01%以下、B:0.001〜0.003%、0.005%≧(14/48)Ti+(14/93)Nb−N≧0を満たす分のTiとNbのうち1種以上を含み、かつ、C+(Mn/20)≧0.12%を満たし、固溶C:1〜7ppmであり、残部はFeおよび不可避的不純物から成り、体積率で、80%以上のフェライトと3〜10%のマルテンサイトから成り、マルテンサイトのうち2%以上は2μm以下の微細マルテンサイトであることを特徴とする焼き付け硬化特性と常温遅時効性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板を提供する。
また、上記鋼板において、さらに、Ca、REMのうちの1種または2種を、合計で0.01質量%以下含有することを特徴とする焼き付け硬化特性と常温遅時効性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板を提供する。
また、本発明は、質量%で、C:0.03〜0.09%、Mn:1.0〜2.0%、Si:1.0%以下、P:0.05%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.005〜0.1%、N:0.01%以下、B:0.001〜0.003%、0.005%≧(14/48)Ti+(14/93)Nb−N≧0を満たす分のTiとNbのうち1種以上を含み、かつ、C+(Mn/20)≧0.12%を満たし、残部はFeおよび不可避的不純物から成る鋼片を仕上圧延後、450〜600℃にて巻き取り、酸洗、冷間圧延後、連続焼鈍を行うに際し、(Ac1変態温度+20℃)〜(Ac1変態温度+100℃)にて焼鈍後、2〜10℃/秒で550〜700℃まで一次冷却し、50℃/秒以上で350℃以下まで二次冷却し、250〜350℃で100秒以上の過時効処理を行った後、室温まで冷却することを特徴とする焼き付け硬化特性と常温遅時効性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板の製造方法を提供する。
また、上記鋼板の製造方法において、さらに、鋼片がCa、REMのうちの1種または2種を、合計で0.01質量%以下含有することを特徴とする焼き付け硬化特性と常温遅時効性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板の製造方法を提供する。
本発明によれば、60MPa以上のBH量と常温遅時効性をもち、60%以下の低降伏比である高強度冷延鋼板を低コストで提供することが可能であり、自動車の外板用及び内板用などとしての用途は広く、産業上のメリットは大きい。
先ず、本発明が対象とする鋼板の成分及び成分範囲を限定した理由を述べる。なお、以下、組成における質量%は単に%と記す。
Cは、硬化元素であり、マルテンサイトの生成に効果がある。0.03%未満では十分な量のマルテンサイトが得られず、0.09%を超えると成形性や溶接性の劣化を招く。したがって、C量を0.03〜0.09%とした。好ましくは、0.05〜0.07%である。
Mnは、固溶強化により鋼を強化すると共に、焼き入れ性を上げてマルテンサイトの生成を促進する。このような作用を発揮するには1.0%以上必要である。また、2.0%を超えると、スラブコストの著しい上昇と共に、外観不良や成形性の劣化を招く。したがって、Mn量を1.0〜2.0%とした。好ましくは、1.2〜1.8%である。
Siはフェライト安定化元素であり、セメンタイトの析出を阻害し、延性を向上させるので、添加することが望ましい。しかし、1.0%を超えると表面性状及び化成処理性が顕著に劣化する。したがって、Si量を1.0%以下とした。好ましくは、0.5%以下である。
Pは、不純物として不可避的に含有され伸びに悪影響を与えるので、上限を0.05%とした。好ましくは、0.03%以下である。
Sは、多くなると熱間脆性の原因となり、また、加工性を劣化させるので、その上限を0.03%とした。好ましくは、0.01%以下である。
Alは、鋼の脱酸剤として添加され鋼中に含有されsol.Alで0.005%以上必要である。しかし、sol.Alで0.1%を超えると鋼板中に介在物が多くなりすぎ延性を劣化させる。したがって、sol.Alで0.005〜0.1%とした。
Nは不可避的不純物として含有されるが、N量が多いと加工性の劣化を招くので、上限を0.01%とする。好ましくは、0.05%以下である。
Bは、焼入れ性向上元素であり、マルテンサイトの生成を促進する。極少量で効果があり、低コスト化に有効である。その効果を十分に発揮させるには、0.001%以上必要である。しかし、0.003%を超えると効果が飽和する。よって、B量を0.001〜0.003%とした。好ましくは、0.0015〜0.0025%である。
Ti及びNbは、Nを析出物として固定するために必要である。しかし、過剰に添加すると、再結晶を遅延させることにより加工性の劣化を招く。よって、0.005%≧(14/48)Ti+(14/93)Nb−N≧0を満たす分のTiとNbのうち1種以上を含むこととした。(14/48)Ti+(14/93)Nb−Nという式は、TiNまたはNbNとして析出可能なN量から実際のN量を引いた値を示す。これが0ならばNが全て析出可能であり、この値が正の値であれば、NよりもTiとNbの方が過剰であることを示す。
更に、本発明においては、CとMnのバランスが重要である。種々の成分での試験を実施した結果、C+(Mn/20)≧0.12%を満たす場合、製造条件を調整することにより、優れた焼付硬化性と常温遅時効性、加工性を具備することが可能となる判明した。マルテンサイトが十分に効果を発揮するためには、上記の成分条件を満たす必要があるものと推定される。よって、C+(Mn/20)≧0.12%を満たすことを本発明の必須条件とした。C+(Mn/20)という式はいわゆるC当量であるが、ここでは、マルテンサイトの生じ易さ及び周囲に生じる転位量の多さを示す指標である。マルテンサイトの周囲の転位が多い方が、常温非時効性はよくなる。
さらに、必要に応じ、上記の化学成分に加え、Ca、REMのうちの1種または2種を、合計で0.01%以下含有することができる。Ca、REMは、硫化物系介在物の形態を制御し、鋼板の伸びフランジ性を向上させる効果を有する。このような作用は、合計で0.01%を超えても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できない。したがって、Ca、REMのうちの1種または2種を合計で、0.01%以下とする。なお、ここでいうREMとは、Sc、Yおよびランタノイドの合計17元素の総称であり、REMの含有量は、上記元素の合計含有量をさす。
次に、本発明が対象とする鋼板の組織と固溶C量について詳細に説明する。
本発明では、良好な成形性を得るため軟質なフェライトを主体とし、従来のDP鋼と比較してマルテンサイト分率を抑えた組織を得ることが重要である。しかも、マルテンサイトは、変態時に導入される可動転位が固溶Cにより固着されることで高いBH性を得ることができるため、一定量以上のマルテンサイトが必要である。また、その可動転位は、マルテンサイト相周囲のフェライトに生成するため、同じ体積率であっても、マルテンサイトがより微細な方が、より多くの可動転位を確保できる。よって、微細なマルテンサイトを適量確保することにより、上記の高いBH性の他、常温遅時効性や低降伏比も確保することができる。以上のような考え方と実際の実験結果を元に、80%以上のフェライトと3〜10%のマルテンサイトから成り、マルテンサイトのうち2%以上は2μm以下の微細マルテンサイトを含むことを本発明が対象とする鋼板の組織の要件とした。フェライトの体積率は、好ましくは、85%以上である。
なお、その他の組織として、残留オーステナイト、ベイナイト、炭化物が含まれても良い。特に、残留オーステナイトは、成形性向上や降伏比低下に有効である。
製造後の鋼板段階での固溶C量については、BH量及び常温遅時効性を左右する重要な要素である。上記の成分及び組織の要件を満たし、60MPa以上のBH量と常温遅時効性を兼ね備えた鋼板の固溶C量を横振動法の内部摩擦測定装置により測定したところ、1〜7ppmであった。よって、本発明が対象とする鋼板の固溶C量を1〜7ppmとした。固溶Cが少なければBH量が確保できず、多すぎると常温遅時効性が損なわれる。ただし、横振動法の場合、200℃程度までの昇温中に固溶Cが可動転位にトラップされることが推定され、昇温前の固溶C量はもっと多いと考えられる。よって、ここでいう固溶C量は、横振動法で測定した値とする。
次に、本発明が対象とする鋼板の製造方法について詳細に説明する。
溶鋼は通常の高炉法で溶製されたものの他、電炉法のようにスクラップを多量に使用したものでもよい。スクラップ使用によるCu、Ni、Sn、Crなどのいわゆるトランプエレメントの混入は、本鋼板の特性上、特に問題はない。スラブは、通常の連続鋳造プロセスで製造されたものでもよいし、薄スラブ鋳造で製造されたものでもよい。スラブは一旦冷却してから、熱延前の加熱炉で加熱しても良いし、冷却途中で高温まま加熱炉に入れる所謂HCRやDRでも良い。
熱延においては、仕上圧延後に450〜600℃で巻き取ることにより、熱延後の組織をベイニティックフェライトにすることが重要である。ベイニティックフェライトにすることにより、熱延板段階でのCの分布が均一化し、冷延後の焼鈍の際、微細マルテンサイトの生成と固溶Cの確保が容易になるものと考えられる。巻き取り温度が600℃を超えると、フェライトとパーライトの混合組織となり、Cの分布が局所化するため、焼鈍時のオーステナイトの生成も局所化し、微細マルテンサイトが得にくくなる。巻き取り温度が450℃を下回ると組織が硬くなるだけで、冷間圧延時の圧下力が多大に必要となるだけであり、水の膜沸騰と核沸騰の遷移領域に入るため、巻き取り温度の制御も困難となる。よって、巻き取り温度は、450〜600℃とした。また、熱延は粗圧延後に粗バーを巻き取って保持するコイルボックスを使用しても良い。更に巻き取った粗バーを巻き戻す際に先行する粗バーと接合して圧延する、いわゆる熱延連続化プロセスでも良い。
酸洗、冷延については、冷延鋼板における通常の製造条件にて実施される。冷延後の連続焼鈍プロセスでは、まず、(Ac1変態温度+20℃)〜(Ac1変態温度+100℃)にて焼鈍し、フェライトを再結晶させると共に、オーステナイトを生成させる。(Ac1変態温度+20℃)未満では、十分にオーステナイトが生じず、所定の特性を得ることができない。また、(Ac1変態温度+100℃)を超えるとオーステナイトが増えすぎてオーステナイト中のC濃度が低下するため、周囲に十分な可動転位をもったマルテンサイトを得ることが困難となり、所定の特性を得ることができなくなる。逆にいえば、焼鈍時のオーステナイト中のC濃度を上げるため、(Ac1変態温度+20℃)以上の範囲で焼鈍温度が低い方が望ましい。また、焼鈍時の保持時間は、30〜200秒程度が望ましい。
焼鈍後は、2〜10℃/秒で550〜700℃まで一次冷却し、50℃/秒以上で350℃以下まで二次冷却し、250〜350℃で100秒以上の過時効処理を行った後、室温まで冷却することが必要である。一次冷却は、パーライトを回避しつつフェライト分率を増加させてオーステナイト中にCを濃化させる効果がある。2℃/秒未満ではパーライト変態が生じて成形性が劣化し、10℃/秒を超えると、フェライトとオーステナイトの2相分離が進み難くなり、オーステナイト中へのC濃化が十分に進まず、硬質なマルテンサイトが得にくくなる。一次冷却停止温度については、700℃を超えるとフェライトとオーステナイトの2相分離が進みにくくなり、550℃未満ではベイナイト変態が起こりやすく、所望のマルテンサイト体積率を得ることが困難となる。よって、550〜700℃とする。二次冷却にて、マルテンサイトが生成される。350℃超までの冷却や50℃/秒未満の冷却では、十分にマルテンサイトが生成されず、強度低下や加工性劣化を招く。望ましくは、300℃以下まで冷却すべきである。急冷後は、セメンタイト析出により固溶C量を適切に制御しつつ、マルテンサイトの硬度を保つため、250〜350℃で100秒以上の過時効処理を施す必要がある。
連続焼鈍の後の調質圧延は、成形性の観点からはかけない方が望ましいが、形状矯正のためにかけても良い。ただし、最小限とすべきであり、伸び率は1%以下とするのが望ましい。
以上のような熱延の後の各工程、酸洗、冷延、連続焼鈍、調質圧延は、各々独立した工程であってもかまわないし、部分的に連続している工程でもかまわない。生産効率から考えれば、全て連続化していることが理想である。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
表1に示した1番〜15番の成分の鋼を溶製後、連続鋳造によりスラブを製造した。これらのうち、1番〜5番は本発明の範囲内であり、6番〜15番は本発明の範囲外のものである。
これらのスラブを、実機連続熱延ラインにおいて、1200℃に再加熱後、粗圧延し、850℃で仕上圧延を終了して板厚3.0mmとし、550℃にて巻き取りコイルとした。この熱延コイルを酸洗−冷延−連続焼鈍−調質圧延まで連続した実機ラインで冷延鋼板とした。板厚1.6mmまで冷延し、760℃で50秒焼鈍後、650℃まで5℃/秒にて一次冷却し、300℃まで100℃/秒で冷却し、300℃にて200秒保持した後、室温まで冷却後酸洗し、伸び率0.5%で調質圧延をかけた。その冷延鋼板の性能を評価した。
機械的特性は、幅方向からJIS5号引張試験片を採取し、引張試験にて評価した。引張試験の応力−歪曲線より、降伏強度(YP)、引張強度(TS)、全伸び(T−EL)、降伏点伸び(時効前YP−EL)を求め、更に、降伏比(YR=YP/TS×100)、加工性の指標であるTS×T−ELをもとめた。時効前YP−ELは0%を合格とし、YRは60%以下を合格とし、TS×T−ELは17000MPa・%以上を合格とした。
焼き付け硬化性は、幅方向から切り出したJIS5号引張試験片に2%の予歪を付加後、170℃で20分間の熱処理を施し、再度引張試験を行った時のYP増加量で評価した。そのYPの測定については、JISの規定に従った。このYP増加量をBH量とし、60MPa以上を合格とした。
常温遅時効性は、幅方向から切り出したJIS5号引張試験片を、100℃で1時間熱処理した後、引張試験に供し、降伏点伸びを測定することにより評価した。その時効後YP−ELが0.2%以下を合格とした。
成形試験では、ブランク角160mmのサンプルを採取後、800mmR円筒面のポンチでプレス成形を行って評価した。割れ、しわ、ストレッチャーストレインが発生した場合は×、発生しない場合は○とし、○を合格とした。
固溶C量を、横振動法の内部摩擦測定装置により測定した。また、試験片の圧延方向断面を研磨した後、レペラー腐食し、全厚の1/4の位置におげる灰色のフェライトと白色のマルテンサイトの組織分率を測定した。マルテンサイトについては、2μm以下の微細マルテンサイトの組織分率も測定した。
表2に性能の評価結果及び組織等の観察結果を示した。評価項目については不合格の場合を網掛けし、組織等観察結果については、請求項1の範囲から外れる場合を網掛けした。
本発明の範囲内の成分である1番〜5番は、いずれの特性も合格となり、目標とする特性の鋼板が得られている。しかし、本発明の範囲から外れた成分である6番〜15番については、いずれかの特性が不合格となっている。
また、1番〜8番につき、式のC+(Mn/20)と時効後YP−ELの関係をグラフにすると、図1のようになる。このように、時効後YP−ELを0.2%以下とし、常温遅時効性を確保するには、C+(Mn/20)≧0.12%を満たす必要がある。
Figure 2009174019
Figure 2009174019
(実施例2)
表1の2番の成分のスラブにつき、表3の製造条件に従って冷延鋼板を製造した。なお、過時効処理については、表3に記載の二次冷却停止温度から過時効処理終了温度まで、直線的に温度変化するものとする。表3に記載した以外の条件は、実施例1と同じとした。また、評価についても実施例1と同じとした。
表4に性能の評価結果及び組織等の観察結果を示した。網掛けに関しては、表2と同様である。本発明の範囲内の製造条件であるNo.1〜5は、いずれの特性も合格となり、目標とする特性の鋼板が得られている。各々の組織分率または固溶Cが、全て請求項1の要件を満たしている。しかし、本発明の範囲から外れた製造条件であるNo.6〜17については、いずれかの特性が不合格となっている。また、これらの場合、各々の組織分率または固溶Cのうち、いずれかが請求項1の要件を満たしていない。
Figure 2009174019
Figure 2009174019
(実施例1)において、各種鋼板のC+(Mn/20)に対して、時効後YP−ELをプロットしたグラフである。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.03〜0.09%、Mn:1.0〜2.0%、Si:1.0%以下、P:0.05%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.005〜0.1%、N:0.01%以下、B:0.001〜0.003%、0.005%≧(14/48)Ti+(14/93)Nb−N≧0を満たす分のTiとNbのうち1種以上を含み、かつ、C+(Mn/20)≧0.12%を満たし、固溶C:1〜7ppmであり、残部はFeおよび不可避的不純物から成り、体積率で、80%以上のフェライトと3〜10%のマルテンサイトから成り、マルテンサイトのうち2%以上は2μm以下の微細マルテンサイトであることを特徴とする焼き付け硬化特性と常温遅時効性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板。
  2. さらに、Ca、REMのうちの1種または2種を、合計で0.01質量%以下含有することを特徴とする請求項1に記載の焼き付け硬化特性と常温遅時効性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板。
  3. 質量%で、C:0.03〜0.09%、Mn:1.0〜2.0%、Si:1.0%以下、P:0.05%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.005〜0.1%、N:0.01%以下、B:0.001〜0.003%、0.005%≧(14/48)Ti+(14/93)Nb−N≧0を満たす分のTiとNbのうち1種以上を含み、かつ、C+(Mn/20)≧0.12%を満たし、残部はFeおよび不可避的不純物から成る鋼片を仕上圧延後、450〜600℃にて巻き取り、酸洗、冷間圧延後、連続焼鈍を行うに際し、(Ac1変態温度+20℃)〜(Ac1変態温度+100℃)にて焼鈍後、2〜10℃/秒で550〜700℃まで一次冷却し、50℃/秒以上で350℃以下まで二次冷却し、250〜350℃で100秒以上の過時効処理を行った後、室温まで冷却することを特徴とする焼き付け硬化特性と常温遅時効性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板の製造方法。
  4. さらに、鋼片がCa、REMのうちの1種または2種を、合計で0.01質量%以下含有することを特徴とする請求項3に記載の焼き付け硬化特性と常温遅時効性に優れた低降伏比型高強度冷延鋼板の製造方法。
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