JP4714574B2 - 高強度鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、建材、家電製品及び自動車等に好適な高強度鋼板並びにその製造方法に関する。
近年、特に自動車車体においては、燃費向上及び耐久性向上の観点から、加工性が優れた高強度鋼板の需要が高まっている。また、衝突安全性及びキャビンスペースの拡大のニーズから、高強度鋼板の中でも、特に、引張り強度にして590MPa級クラス以上の鋼板が多用されつつある。
このような高強度材を用いて部材を組みあげる時には、特に延性が必要となる場合が多い。従来、強度及び延性の双方を改善するための方法としては、オーステナイトを鋼板組織中に安定な形で残留させる方法が一般に知られている。また、この残留オーステナイトの存在状態を制御することにより、衝突時のエネルギー吸収能を改善した高強度冷延鋼板も提案されている(例えば特許文献1)。この特許文献1に記載の高強度冷延鋼板では、衝撃エネルギー吸収能に影響を及ぼす残留オーステナイト中の固溶炭素量[C]と、鋼材の平均Mn等量(Mneq=Mn+(Ni+Cr+Cu+Mo)/2)とにより求められる値(M=678−428×[C]−33×Mneq)を、70〜250の範囲に規定している。
特開平11−100635号公報
しかしながら、特許文献1に記載の高強度冷延鋼板のような残留オーステナイトを含む鋼板には、比較的多量のSiが添加されている。Siは、フェライト変態を促進してオーステナイトを安定化させること、及びフェライト自身の固溶強化に有効であり、高強度且つ高延性を達成するためには不可欠な元素である。その一方で、鋼板におけるSi含有量が1質量%を超えると、熱延時にSiに起因する不均一なスケール疵又は模様が発生したり、焼鈍後の化成処理性(以下、化成性ともいう)が著しく劣化し、特別な処理無しでは塗装後の耐食性が低下したりする。このため、前述した残留オーステナイトを含む従来の鋼板には、外観不良の発生及び化成性の劣化に伴う耐食性の低下という問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、外観、化成性及び延性が優れた高強度薄鋼板並びにその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上述した問題点を解決するために種々検討を行った結果、各成分の含有量のバランス、鋼材の金属ミクロ組織及び各工程の条件を組み合わせて適正化することにより、高強度薄鋼板の外観、化成性及び延性を同時に改善できることを見出した。即ち、本発明者等は、外観及び化成性・塗装後耐食性を確保するためには、Si及びAlの含有量を最適化すると共に、熱間圧延工程における仕上げ後の高速冷却化、焼鈍時の低温加熱、加熱後の高速冷却及び低温保持等を実施することにより、酸化皮膜形成を抑制することが有効であることを見出した。また、本発明者等は、延性を確保するためには、熱間圧延工程においてオーステナイトの再結晶を促進すると共に有害な酸化皮膜形成を抑制し、更に、熱間圧延工程における仕上げ温度を高温化して、製品(鋼板)において安定した残留オーステナイトを確保することが有効であることを見出した。更に、本発明者等は、残留オーステナイトを確保して延性向上を図る方法として、C、Si、Mn、Al及びNの各成分の含有量のバランスを最適化すると共に、焼鈍後に低温保持することによって、残留オーステナイト中にCを濃化させて残留オーステナイトを安定化する方法を見出した。
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、その要旨とするところは以下の通りである。即ち、本発明に係る高強度鋼板は、質量%で、C:0.01〜0.3%、Si:0.05〜0.48%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.0010〜0.1%、S:0.0010〜0.05%、Al:1.05〜1.45%、N:0.0010〜0.010%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、Si及びAlの総含有量が0.8〜2.0%であり、C含有量(%)を[C]、N含有量(%)を[N]、Al含有量(%)を[Al]、Mn含有量(%)を[Mn]、Si含有量(%)を[Si]としたとき、下記数式(1)及び数式(2)を満たす組成を有し、ミクロ組織における主相が、フェライト単独の相、又はフェライトに加えてベイナイト若しくはベイティックフェライトを含んでいる相であり、第2相が炭素を平均で1.0質量%以上含有したオーステナイトからなり、前記主相を合計で50〜97体積%含有し、前記第2相を3〜50体積%含有することを特徴とする。
Figure 0004714574
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本発明の高強度鋼板は、更に、質量%で、Mo:0.01〜5%を含有していてもよい。
更に、質量%で、Zr、Hf、Ta、Vからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を合計で0.001〜1%含有することもできる。
更にまた、質量%で、Remを0.001〜0.5%含有することもできる。
本発明に係る高強度鋼板の製造方法は、質量%で、C:0.01〜0.3%、Si:0.05〜0.48%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.0010〜0.1%、S:0.0010〜0.05%、Al:1.05〜1.45%、N:0.0010〜0.010%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、Si及びAlの総含有量が0.8〜2.0%であり、C含有量(%)を[C]、N含有量(%)を[N]、Al含有量(%)を[Al]、Mn含有量(%)を[Mn]、Si含有量(%)を[Si]としたとき、上記数式(1)及び数式(2)を満たす組成を有する鋳造スラブを直接又は一旦冷却した後に再度加熱して、仕上げ温度を970〜900℃とし、仕上げ後に650℃以下の温度域まで10〜100℃/秒の平均冷却速度で冷却する熱間圧延を行って熱延鋼板を得る工程と、前記熱延鋼板を、650℃以下で巻取り、更に酸洗した後、冷間圧延して冷延鋼板を得る工程と、前記冷延鋼板を、最高温度を{0.1×(Ac3−Ac1)+Ac1}〜(Ac3+30)℃の範囲にして焼鈍した後、1〜20℃/秒の平均冷却速度で600〜700℃の第1の温度域に冷却し、引き続き3〜150℃/秒の平均冷却速度で300〜500℃の第2の温度域に冷却した後、この第2の温度域で1〜600秒間保持する工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、各成分の含有量、ミクロ組織の主相と第2相との割合、及び強度と残留オーステナイトとの関係を適正化しているため、従来の高強度鋼板に比べて、外観、塗装後の耐食性及び延性の全てが改善された高強度鋼板を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、詳細に説明する。
本発明者等は、C:0.01〜0.3%、Si:0.001〜2.0%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.0010〜0.1%、S:0.0010〜0.05%、Al:0.005〜2.0%、N:0.0010〜0.010%を含有し、残部がFe及び不可避不純物からなる組成の鋼をベースにして、これに各種合金成分を添加して溶製したスラブを、鋳造後直接又は一旦冷却した後で再度加熱し、熱延条件を変化させて作製した熱延鋼板を、酸洗後冷延した後、条件を変化させて焼鈍して、冷延焼鈍板を作製した。この冷延鋼板について、ミクロ組織観察、JISに準拠した引張り試験、外観評価及び化成性評価を行った。その結果、成分、ミクロ組織及び製造条件を制御することにより、外観、化成性及び延性に優れた高強度鋼板が製造可能なことを見出した。
先ず、本発明の高強度鋼板のミクロ組織について説明する。本発明の高強度鋼板のミクロ組織は、主相が、フェライト単独の相、又はフェライトに加えてベイナイト若しくはベイティックフェライトを含んでいる相であり、その割合は合計で50〜97体積%である。また、第2相は、炭素を平均で1.0質量%以上含有したオーステナイトからなり、その割合は3〜50体積%である。
鋼板の主組織(主相)をフェライト単独の相にすることにより、延性を十分に確保することができる。また、目標とする強度が高い場合には、主組織(主相)を、フェライトに加えて、ベイナイト又はベイニティックフェライトを含んだ相とする。なお、ここで言うベイナイトは、ラス境界に炭化物が生成しているいわゆる上部ベイナイトと、ラス内に微細炭化物が生成している下部ベイナイトの双方を含む。また、ベイニティックフェライトは、炭化物を含まないベイナイトであり、例えばアキュラーフェライトがその1例である。主相に、このような炭化物を含まないベイニティックフェライトを含有させることにより、鋼板の延性を向上させることができる。しかしながら、主相の割合が50体積%未満の場合、これらの組織により主相を構成しても、十分な延性及び強度が得られない。よって、本発明の高強度鋼板においては、ミクロ組織における主相の割合を50体積%以上とする。また、後述するように、本発明の高強度鋼板は、第2相を少なくとも3体積%含有するため、主相の上限は97体積%とする。
鋼板の高延性化を指向する場合には、第2相として、安定なオーステナイト相を3体積%以上残留させることが有効である。この第2相の割合が3体積%未満の場合、鋼板を高延性化する効果が得られない。また、オーステナイトの安定性は、その炭素含有量によりほぼ決まるため、第2相を構成するオーステナイトにおける平均炭素量は1.0質量%以上とする。一方、鋼板中に過剰にオーステナイトが含まれていると、局部延性が劣化する等の問題が発生するため、この第2相の割合は50体積%以下とする。
また、鋼板を上述のようなミクロ組織とした上で、狙い強度において十分な延性を確保するためには、下記数式(4)を満たすことが重要となる。なお、下記数式(4)におけるTSは強度(MPa)、Cγは残留オーステナイト中の炭素量(質量%)、Vγは残留オーステナイトの含有率(体積%)である。鋼板の強度TS、残留オーステナイトの炭素量Cγ及び含有量Vγの関係が、下記数式(4)を満たさない場合には、その強度において十分な高延性を確保することができない。
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更に、本発明の高強度鋼板においては、上述した組織以外に、ミクロ組織の残部組織として、炭化物、窒化物、硫化物及び酸化物からなる群から選択された1又は2以上の組織を、1体積%以下の割合で含有していてもよい。
なお、本発明の高強度鋼板におけるミクロ組織の各相、フェライト(ベイニティックフェライト)、ベイナイト、オーステナイト、マルテンサイト、界面酸化相及び残部組織の同定、存在位置の観察並びに占積率の測定は、ナイタール試薬及び特開昭59−219473号公報に開示された試薬により、鋼板圧延方向断面又は圧延直角方向断面を腐食し、500〜1000倍の光学顕微鏡観察及び1000〜100000倍の電子顕微鏡(走査型電子顕微鏡及び透過型電子顕微鏡)観察により定量化が可能である。その場合、例えば、各組織の体積率は、夫々20視野以上の観察を行い、ポイントカウント法又は画像解析により求めることができる。また、各組織の体積率は、X線回折法を用いて求めても良い。更に、残留オーステナイト中の炭素濃度は、X線解析又はメスバウアー分光により実験的に求めることができ、例えば、MoのKα線を用いたX線解析によりフェライトの(200)面、(211)面及びオーステナイトの(200)面、(220)面、(311)面の積分反射強度を測定し、“Journal of The Iron and Steel Institute,1968年,第206号,p.60”に示された方法にて算出することができる。なお、本発明においては、ミクロ組織の各相の割合は合計で100%となるが、炭化物相、酸化物相及び硫化物相等のように光学顕微鏡では観察・同定ができない相については主相に含めている。
次に、本発明の高強度鋼板における各成分の数値限定理由について説明する。なお、以下の説明においては、各成分の含有量を示す質量%は、単に%と記載する。
C:0.01〜0.3%
Cは、良好な強度延性バランスを確保するため、ミクロ組織の主相及び第2相の割合を制御する目的で添加する元素である。Cは、第2相のオーステナイトの体積分率のみならず、その安定性向上にも寄与するため、鋼板の延性を大きく向上させる効果がある。また、Cは、素地の微細均一化についても影響を与える。しかしながら、C含有量が0.01%未満の場合、高強度鋼板として必要な強度が確保できなくなると共に、第2相の割合が3体積%未満となる。また、C含有量が0.3%を超えると、溶接性及び穴拡げ性を良好な状態に維持することができなくなる。よって、C含有量は0.01〜0.3%とする。
Si:0.001〜2.0%
Siは、強度延性バランスを劣化させる比較的粗大な炭化物の生成を抑制する目的で添加する元素である。しかしながら、Si添加量が0.001%未満の場合、その効果が得られない。一方、Siを過剰に添加すると、具体的には、Si含有量が2.0%を超えると、本発明の目的とする外観品位及び化成性・塗装後耐食性に悪影響を及ぼすと共に、溶接性にも悪影響を及ぼす。よって、Si含有量は0.001〜2.0%とする。
Mn:0.01〜3.0%
Mnは、鋼板を高強度化に効果がある元素である。また、Mnは、鋼板の強度低下及び延性劣化の1つの原因である炭化物析出、及びパーライト生成を抑制する目的で添加する。しかしながら、Mn含有量が0.01%未満の場合、これらの効果が得られない。一方、Mn含有量が3.0%を越えると、延性向上に寄与するベイナイト変態の遅滞及び溶接性の劣化が発生する。よって、Mn含有量は0.01〜3.0%とする。
P:0.0010〜0.1%
Pは、鋼材の高強度化及び残留オーステナイトの確保に有効な元素である。しかしながら、Pを多量に添加すると、溶接性に悪影響を及ぼすと共に、鋳造時及び熱延時の製造性に悪影響を及ぼす。具体的には、P含有量が0.1%を超えると、溶接性及び製造性が劣化する。一方、P含有量を、0.0010%未満に極低化することは、経済的に不利である。よって、P含有量は0.0010〜0.1%とする。
S:0.0010〜0.05%
Sは、介在物を形成して、溶接性に悪影響を及ぼすと共に、鋳造時及び熱延時の製造性に悪影響を及ぼす元素である。具体的には、S含有量が0.05%を超えると、溶接性及び製造性が劣化する。一方、S含有量を0.0010%未満に極低化することは、経済的に不利である。よって、S含有量は0.0010〜0.05%とする。
Al:0.005〜2.0%
Alは、脱酸元素として添加する。また、Alは、延性向上に寄与する元素であり、特に、ベイナイト変態を促進して、第2相のオーステナイトの安定度を高める効果がある。このため、Alを添加することにより、強度延性バランスを向上させることができる。更に、Alは、ベイナイト変態を促進させるため、焼鈍工程における熱処理時間を短縮する効果もある。しかしながら、Al含有量が0.005%未満ではこれらの効果が得られない。一方、Alを過剰に添加すると、具体的には、Al含有量が2.0%を超えると、前述のSiと同様に、本発明の目的とする外観品位及び化成性・塗装後耐食性に悪影響を及ぼすと共に、溶接性にも悪影響を及ぼす。よって、Al含有量は0.005〜2.0%とする。
N:0.0010〜0.010%
Nは、前述のC及びMnと同様にオーステナイトの生成を促進する元素であり、第2相であるオーステナイトの体積分率のみならず、その安定性向上にも寄与して延性を改善する効果がある。しかしながら、N含有量が0.0010%未満では、これらの効果が得られない。一方、Nを過剰に添加すると、具体的には、N含有量が0.010%を超えると、溶接性が劣化する。よって、N含有量は0.0010〜0.010%とする。
Si及びAl:合計で0.8〜2.0%
上述したように、Si及びAlは高い強度レベルにおける高延性化に寄与する元素であり、特に、Alは製造工程において均一な酸化物を形成して外観及び化成性・塗装後耐食性を改善する効果もある。その一方で、これらの元素を過剰に添加すると、外観及び化成性を劣化させてしまう。具体的には、Si及びAlの総含有量が2.0%を超えると、外観及び化成性・塗装後耐食性が劣化する。更に、焼鈍時にフェライト変態が促進されるため、安定オーステナイトを確保するためには、焼鈍工程において所定の温度条件下で長時間保持しなければならず、化成性・塗装後耐食性をより劣化させることとなる。一方、Si及びAlの総含有量が0.8%未満の場合には、酸化皮膜生成が抑制されるため、外観及び化成性は問題ないが、熱延仕上げの際に高温化をしても製品板で安定オーステナイトを確保することができず、延性低下及び強度低下を招く。よって、Si及びAlの総含有量は、0.8〜2.0%とする。
また、本発明の高強度鋼板においては、[N]≧0.5+[Al]の場合は下記数式(5)により表されるAが8.0〜2.0となり、[N]<0.5+[Al]の場合は下記数式(6)により表されるBが2.0〜8.0になるようにしている。なお、下記数式(5)及び数式(6)における[C]はC含有量(%)、[N]はN含有量(%)、[Al]はAl含有量(%)、[Mn]はMn含有量(%)、[Si]はSi含有量(%)である。このように、各成分の含有量を上述した範囲とし、更に、下記数式(5)及び数式(6)を満たすようにすることで、高い強度レベルにおいても、高延性化を実現することができ、外観及び特性が共に優れた高強度鋼板が得られる。
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上記数式(5)により表されるA及び上記数式(6)により表されるBの値が8.0未満であると、フェライト変態が過度に助長されてベイナイト変態が遅滞されるか、又はパーライトが生成してしまうため、安定オーステナイトを確保するために焼鈍工程において長時間の保持が必要となり、従来の冷却過程では十分なオーステナイト量を確保できなくなる。例えば、0.4C鋼において残留オーステナイト中の炭素量を最大にするためには、概ね10分程度かかることが報告されており(鉄と鋼、1991年、第77号、p.1312)、また、0.2C鋼では1000秒間保持することにより、残留オーステナイト中の炭素量が1.1倍以上となることが報告されている(鉄と鋼、1992年、第77号、p.148)。その結果、Si及びAlの総含有量が上述の範囲にすることにより、化成性・塗装後耐食性を確保することができても、高延性の確保が困難となる。一方、上記数式(5)により表されるA及び上記数式(6)により表されるB値が20.0を越えると、フェライト変態は抑制されるもののオーステナイト中のC含有量及びMn含有量が過度に高くなるため、やはりベイナイト変態を遅滞させてしまい、焼鈍工程において短時間でオーステナイトを安定化させることが困難となる。その結果、マルテンサイトとフェライトとを主体とした複合組織鋼となってしまい、焼鈍工程における保持時間が短時間である場合は、延性が低下する。
更に、本発明の高強度鋼板は、Cr、Mo、W、Ni、Cu、Co、W及びBからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を含有していてもよい。これらの元素を添加することにより、強度及び延性を更に向上させることができる。
Cr:0.01〜5%
Crは、鋼板の強度向上、炭化物生成の抑制、並びにベイナイト及びベイニティックフェライトの生成を目的として添加する元素である。しかしながら、Cr含有量が0.01%未満ではこれらの効果が得られない。一方、Cr含有量が5%を超えると、加工性に悪影響を及ぼす。よって、Crを添加する場合は、その含有量が0.1〜5%となるようにする。
Mo:0.01〜5%
Moは、強度延性バランスを劣化させる炭化物及びパーライトの生成を抑制する目的で添加する元素であり、Moを添加することにより、強度延性バランスを良好にすることができる。また、Moは、溶接熱影響部の軟化防止にも効果的である。しかしながら、Mo含有量が0.01%未満ではこれらの効果が得られない。一方、Moを過剰に添加すると、具体的には、Mo含有量が5%を超えると、延性の劣化を招く。Moを添加する場合は、その含有量が0.01〜5%となるようにする。
Ni:0.01〜5%
Niは、焼き入れ性を向上して、鋼板を強化する目的で添加する元素である。しかしながら、Ni含有量が0.01%未満ではその効果が得られない。一方、Ni含有量が5%を超えると、マルテンサイトによる硬度上昇に寄与するため、加工性が劣化する。よって、Niを添加する場合は、その含有量が0.01〜5%となるようにする。なお、Niは高価であるため、鋼板の強化に必須の場合にのみ添加することが望ましい。
Cu:0.01〜5%
Cuは、鋼板を強化する目的で添加する元素である。しかしながら、Cu含有量が0.01%未満ではその効果が得られない。一方、Cu含有量が5%を超えると、加工性及び製造性に悪影響を及ぼす。よって、Cuを添加する場合は、その含有量が0.01〜5%となるようにする。なお、Cuは熱間圧延により脆化(圧延割れ)を引き起こす懸念があるため、Niと共に添加することが望ましい。
Co:0.01〜5%
Coは、ベイナイト変態を制御して、鋼板の強度延性バランスを向上させるために添加する。しかしながら、Co含有量が0.01%未満では、その効果が得られない。一方、Co含有量の上限は特に限定する必要はないが、Coは高価な元素であり、多量に添加すると経済性が損なわれるため、Co含有量は5%以下とすることが好ましい。よって、Coを添加する場合は、その含有量が0.01〜5%となるようにする。また、Coは高価であるため、鋼板の強化に必須の場合にのみ添加することが望ましい。
W:0.01〜5%
Wは、鋼板を強化する効果がある。しかしながら、W含有量が0.01%未満では、その効果が得られない。一方、W含有量が5%を超えると、加工性に悪影響を及ぼす。よって、Wを添加する場合は、その含有量が0.01〜5%となるようにする。
B:0.0001〜0.1%
Bは粒界の強化及び鋼材の高強度化に有効な元素である。しかしながら、B含有量が0.0001%未満ではその効果が得られない。一方、B含有量が0.1%を超えると、その効果が飽和するばかりでなく、加工性が低下する。よって、Bを添加する場合は、その含有量が0.0001〜0.1%となるようにする。
更にまた、本発明の高強度鋼板には、必要に応じてZr、Hf、Ta、Ti、V及びNbからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を添加することができる。これらの元素は、強炭化物形成元素であり、微細な炭化物、窒化物又は炭窒化物を形成するため、鋼板の強化にとって極めて有効な元素である。しかしながら、これらの元素の総含有量が0.001%未満の場合、その効果が得られない。一方、これらの元素の総含有量が1%を超えると、延性が劣化したり、残留オーステナイト中へのCの濃化が阻害されたりする。よって、Zr、Hf、Ta、Ti、V及びNbを添加する場合は、その総含有量が0.001〜1%となるようにする。これにより、強度を更に向上することができる。なお、Ti及びZr等の比較的酸化物を作りやすい元素は、化成性及び塗装後耐食性を劣化させる虞があるため、鋼板の強化に必須の場合にのみ添加することが望ましい。
更にまた、本発明の高強度鋼板は、Ca、Y及びRemからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を合計で0.001〜0.5%含有していてもよい。Ca、Y及びRemは、適量を添加することにより、介在物の形態制御に効果があり、特に介在物を微細分散化する効果がある。しかしながら、これらの含有量が合計で0.001%未満では、このような効果は得られない。一方、これらの元素を過剰に添加すると、具体的には、Ca、Y及びRemの総含有量が0.5%を超えると、鋳造性、熱間加工性等の製造性並びに鋼板製品の延性が低下する。よって、Ca、Y及びRemを添加する場合は、その総含有量が0.001〜0.5%となるようにする。
なお、本発明の高強度鋼板における残部は、Fe及び不可避的不純物である。本発明における不可避的不純物としては、例えばSn等が挙げられるが、このような元素を0.02%以下の範囲で含有しても本発明の効果は損なわれない。
次に、本発明の高強度鋼板の製造方法について説明する。本発明の高強度鋼板の製造方法においては、先ず、所定の成分に調整されたスラブ、即ち、C:0.01〜0.3%、Si:0.001〜2.0%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.0010〜0.1%、S:0.0010〜0.05%、Al:0.005〜2.0%、N:0.0010〜0.010%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、Si及びAlの総含有量が0.8〜2.0%であり、且つ[N]≧0.5+[Al]の場合は上記数式(5)により表されるAが8.0〜2.0となり、[N]<0.5+[Al]の場合は上記数式(6)により表されるBが2.0〜8.0になるように組成が調整されたスラブ、又は、これらに上述した元素を所定量添加した鋳造スラブを、鋳造後直接又は一旦冷却した後で再加熱し、熱間圧延を行う。なお、熱間圧延前にスラブを再加熱する場合は、その再加熱温度を1100〜1300℃とすることが望ましい。スラブの再加熱温度が高温であると、具体的には、1300℃を超えると、粗粒化したり、厚い酸化スケールが形成したりすることがある。特にスケールは、表面疵の発生及び製品板での化成性の劣化を招く虞があり、このような問題点の発生を防止するためには、スラブの再加熱温度を1220℃以下にすることがより望ましい。一方、スラブの再加熱温度が低いと、具体的には、再加熱温度が1100℃未満の場合、熱間圧延時の圧延抵抗が高くなってしまうことがある。
また、熱間圧延工程における仕上げ温度は、970〜900℃とする。これにより、オーステナイトの再結晶を促進させて、製品(高強度鋼板)に安定オーステナイトを確保することができる。仕上げ温度が900℃未満の場合には、焼鈍工程において比較的長時間の過時効処理が必須となるため、本発明の趣旨である焼鈍工程において比較的短時間で材質制御することが困難となる。一方、仕上げ温度が970℃を越えると、スケール形成を助長し、製品の表面品位及び耐食性等に悪影響を及ぼす。なお、熱間圧延工程における仕上げ温度は、920〜950℃とすることが望ましい。
更に、仕上げ後には、スケール形成・成長を抑制するため、平均速度を10℃〜100℃/秒として650℃以下の温度域にまで冷却する。冷却温度が650℃を超えた温度域であると、スケール形成・成長が促進され、製品の外観及び化成性・塗装後耐食性が劣化する。また、平均冷却速度が10℃/秒未満の場合もスケール形成・成長が促進され、製品外観及び化成性・塗装後耐食性が劣化する。一方、100℃/秒を超える平均速度で冷却しても格段のスケール形成抑制効果はない。なお、製品の外観及び化成性を確保するためには、仕上げからの平均冷却速度を50℃/秒以上として500℃以下まで冷却することがより好ましい条件である。そして、500℃以下で捲取り、更には高圧デスケーリング装置及び強酸洗等により、表面のスケール削除を行うと、製品での表面清浄が良好になり、化成性確保及びスケール疵軽減に有利である。また、表面に、電気めっき、溶融亜鉛めっき及び溶融合金亜鉛めっき等を施しても本発明を阻害することはない。
次に、上述のした熱間圧延工程により得られた熱延鋼板を、冷間圧延する。その際、製品表面の疵を目立たなくさせために、できるだけ小径のロールで圧延することが望ましい。また、全圧下率は、最終板厚と冷延荷重との関係から設定されるが、再結晶させるには50%以上であれば十分であり、この範囲内であれば最終的な鋼板の特性を劣化させることはない。
次に、この冷間圧延工程により得られた冷延鋼板を焼鈍する。その際、焼鈍温度が{0.1×(Ac−Ac)+Ac}℃未満の場合には、焼鈍により得られるオーステナイト量が少なくなり、最終的な製品(鋼板)中に十分な量の残留オーステナイトを確保することができない。なお、上述のAcはAc変態の温度であり、AcはAc変態の温度であり、共に鋼の化学成分によって決まる温度である(W.C.Leslie著,幸田成康監訳、「鉄鋼材料学」、丸善、p.273 参照)。また、焼鈍温度は、高温となる程結晶粒が粗大化すると共に、表面酸化が促進されて外観品位が劣化する上、製造コストの上昇を招く。このため、焼鈍温度の上限は(Ac+30)℃とする。なお、外観品位の観点から、焼鈍温度は850℃以下とすることが望ましい。更に、この温度域での焼鈍時間は、10秒間以上で、且つ10分間以内とすることが望ましい。焼鈍温度が10秒間よりも短い場合、鋼板の温度の均一化及びオーステナイトの確保を実現することができない。また、焼鈍温度が10分間を超えると、粒界酸化相生成が促進されたり、外観品位に問題が生じたりする懸念がある上に、コストの上昇を招くこともある。
焼鈍後の一次冷却は、オーステナイト相からフェライト相への変態を制御し、未変態のオーステナイト相中にCを濃化させて、オーステナイトの安定化をはかるために重要な工程である。この一次冷却における平均冷却速度を1℃/秒未満にすると、フェライトが過剰に生成し、その後のオーステナイト安定化を阻害する懸念がある。一方、平均冷却速度が20℃/秒を超えると、十分なフェライト量を確保できない。よって、一次冷却の平均冷却速度は、1〜20℃/秒とする。また、この一次冷却が600℃未満の温度まで行われると、冷却中にパーライトが生成して、十分な量のオーステナイトを残留させることが困難になる。一方、冷却停止温度が700℃を超えると、フェライト量確保が困難となる。よって、一次冷却における冷却停止温度は600〜700℃とする。即ち、一次冷却は、平均冷却速度を1〜20℃/秒として、600〜700℃になるまで冷却する。
また、一次冷却後の二次冷却は、パーライトの生成を避けて、オーステナイト相を確保するために重要な工程である。この二次冷却の条件は、平均冷却速度を3〜150℃/秒とし、停止温度域を300〜500℃とする。平均冷却速度が3℃/秒未満であるとパーライトの生成が懸念され、平均冷却速度が150℃/秒を超えると、停止温度及び板形状の制御性が悪くなる。また、この二次冷却が300℃未満まで行われると、冷却中にマルテンサイトが多量に生成して、十分な量のオーステナイトを残留させることが困難になる。よって、二次冷却における冷却停止温度は300℃以上とする。一方、冷却停止温度が500℃を超えると、その後の保持時に炭化物が短時間で生成してしまい、強度低下を招いたり、酸化皮膜の形成により化成性に悪影響を及ぼしたりする懸念がある。よって、二次冷却における冷却停止温度は500℃以下とする。
次に、オーステナイトの安定化のため、鋼板を二次冷却の冷却停止温度で、所定時間保持する。この保持時間が長時間になると、酸化皮膜が形成して化成性に悪影響を及ぼす懸念がある。また、この保持時間が長いと、生産性上好ましくない上、鋼板中に炭化物が生成してしまう。このため、二次冷却の冷却停止温度での保持時間は600秒間以内とする。また、鋼板中に残留しているオーステナイト相を室温で安定にするためには、その一部をベイナイト相へ変態させて、オーステナイト中の炭素濃度を更に高めることが必須である。このため、二次冷却の冷却停止温度での保持時間は、1秒以上とする。なお、二次冷却の冷却停止温度での保持時間は60〜300秒とすることが望ましく、また、オーステナイトをより効率的に安定化するためには、保持温度を350〜450℃とすることが望ましい。
以下、本発明の実施例について説明する。本実施例においては、下記表1に示す組成の鋳造スラブを冷却したものを、1100〜1300℃の温度範囲にまで再加熱し、下記表2に示す条件で熱間圧延を完了した後、下記表2に示す条件で冷間圧延して厚さが1.2mmの冷延鋼板を作製した。なお、下記表1に示す組成の残部は、Fe及び不可避的不純物である。また、下記表1における下線は、本発明の範囲外であることを示す。従って、下記表1に示す各鋼のうち、A〜C、E〜G、Kは本発明の範囲内の実施例であり、それ以外は本発明の範囲から外れる比較例である。
Figure 0004714574
Figure 0004714574
次に、各鋼のAc変態温度及びAc変態温度を、その成分組成から、下記数式7及び数式8により計算で求めた。そして、これらのAc変態温度及びAc変態温度に基づいて焼鈍温度を設定し、上述の方法で作製した冷延鋼板をH−N雰囲気中で且つ上記表2に示す条件で焼鈍し、実施例及び比較例の鋼板を作製した。なお、下記数式7及び数式8における[Mn]はMn含有量(%)、[Ni]はNi含有量(%)、[Si]はSi含有量、[Cr]はCr含有量(%)、[W]はW含有量(%)、[C]はC含有量(%)、[V]はV含有量(%)、[Mo]はMo含有量(%)、[Cu]はCu含有量(%)、[P]はP含有量(%)、[Al]はAl含有量(%)、[Ti]はTi含有量(%)を示す。
Figure 0004714574
Figure 0004714574
次に、各鋼板からJIS5号に規定されている引張り試験片を採取して、その機械的性質を測定した。また、各鋼板の外観は、目視によりスケール疵等の発生状態を確認し、評価した。その評価指標は以下の通りである。
評点5:疵及び模様がほとんど無い(面積率で1%以下)
評点4:疵及び模様は微小(面積率で1%超10%以下)
評点3:疵及び模様は小(面積率で10%超50%未満)
評点2:疵及び模様は多数(面積率で50%超)
評点1:疵及び模様が全面に出現
更に、化成性については後述する方法で塗装後耐食性を確認することにより評価した。先ず、各鋼板を化成処理した後、電着焼付け塗装を施した。次に、試料表面にカッターナイフで長さ1cmのキズをつけて、乾・湿繰り返しのサイクル試験を100サイクルまで行い、外観を評価した。その際の評価指標は、以下の通りである。
評点5:発錆及び皮膜剥離・膨れの発生はキズまわりがほとんどでその程度も微小
(面積率で5%以下)
評点4:発錆及び皮膜剥離・膨れがキズまわりを中心に発生しているがその程度は小(面積率で5%超10%以下)
評点3:発錆及び皮膜剥離・膨れがキズまわりから進展している
(面積率で10%超50%未満)
評点2:発錆及び皮膜剥離・膨れが多量に発生
(面積率で50%超)
評点1:発錆及び皮膜剥離・膨れが全面に出現
更にまた、上述した方法により各鋼板のミクロ組織を調べた。以上の結果を下記表3にまとめて示す。
Figure 0004714574
上記表3に示すように、本発明の範囲から外れる比較例であるNo.4、5、7、11〜14、17、20、23〜2931〜41の鋼板は、残留オーステナイトが本発明の範囲から外れているか、又は残留オーステナイトと強度との関係が上記数式(4)を満たしていないため、外観、塗装後耐食性又は強度・延性バランス(TS×El.)が不良であった。これに対して、本発明の要綱を満たす実施例であるNo.1〜3、6、8〜10、15、16、18、19、21、22、30の鋼板は、外観、塗装後耐食性、延性及び強度のいずれの特性も優れていた。
また、図1は横軸にSi及びAlの総含有量([Al]+[Si])をとり、縦軸に上記数式(5)により表されるA又は上記数式(6)により表されるBの値をとり、各成分のバランスと鋼板の特性との関係を示す図である。なお、図1には、製造条件が本発明の範囲内である鋼板のみを示している。また、図1においては、外観及び塗装後耐食性の評点が4点以上で且つ強度・延性バランス(TS×El.)が21000MPa%以上であったものを○、外観及び塗装後耐食性の評点は4点以上であるが、強度・延性バランス(TS×El.)が21000MPa%未満であったものを*、外観又は塗装後耐食が不良で且つ強度・延性バランス(TS×El.)が21000MPa%未満であった場合を×としている。図1に示すように、Si及びAlの総含有量を0.8〜2.0%とし、且つ上記数式(5)により表されるA及び上記数式(6)により表されるBの値を0.8〜2.0としたものは、外観、塗装後耐食性及び強度延性のバランスが両立していた。
横軸にSi及びAlの総含有量([Al]+[Si])をとり、A又はBの値をとり、各成分のバランスと鋼板の特性との関係を示す図である。

Claims (8)

  1. 質量%で、
    C:0.01〜0.3%、
    Si:0.05〜0.48%、
    Mn:0.01〜3.0%、
    P:0.0010〜0.1%、
    S:0.0010〜0.05%、
    Al:1.05〜1.45%、
    N:0.0010〜0.010%を含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、
    Si及びAlの総含有量が0.8〜2.0%であり、
    C含有量(%)を[C]、N含有量(%)を[N]、Al含有量(%)を[Al]、Mn含有量(%)を[Mn]、Si含有量(%)を[Si]としたとき、下記数式(1)及び数式(2)を満たす組成を有し、
    ミクロ組織における主相が、フェライト単独の相、又はフェライトに加えてベイナイト若しくはベイティックフェライトを含んでいる相であり、第2相が炭素を平均で1.0質量%以上含有したオーステナイトからなり、前記主相を合計で50〜97体積%含有し、前記第2相を3〜50体積%含有することを特徴とする高強度鋼板。
  2. 更に、質量%で、
    Mo:0.01〜5%を含有することを特徴とする請求項1に記載の高強度鋼板。
  3. 更に、質量%で、
    Zr、Hf、Ta、Vからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を合計で0.001〜1%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高強度鋼板。
  4. 更に、質量%で、
    Remを0.001〜0.5%含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高強度鋼板。
  5. 質量%で、C:0.01〜0.3%、Si:0.05〜0.48%、Mn:0.01〜3.0%、P:0.0010〜0.1%、S:0.0010〜0.05%、Al:1.05〜1.45%、N:0.0010〜0.010%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、Si及びAlの総含有量が0.8〜2.0%であり、C含有量(%)を[C]、N含有量(%)を[N]、Al含有量(%)を[Al]、Mn含有量(%)を[Mn]、Si含有量(%)を[Si]としたとき、下記数式(1)及び数式(2)を満たす組成を有する鋳造スラブを直接又は一旦冷却した後に再度加熱して、仕上げ温度を970〜900℃とし、仕上げ後に650℃以下の温度域まで10〜100℃/秒の平均冷却速度で冷却する熱間圧延を行って熱延鋼板を得る工程と、
    前記熱延鋼板を、650℃以下で巻取り、更に酸洗した後、冷間圧延して冷延鋼板を得る工程と、
    前記冷延鋼板を、最高温度を{0.1×(Ac3−Ac1)+Ac1}〜(Ac3+30)℃の範囲にして焼鈍した後、1〜20℃/秒の平均冷却速度で600〜700℃の第1の温度域に冷却し、引き続き3〜150℃/秒の平均冷却速度で300〜500℃の第2の温度域に冷却した後、この第2の温度域で1〜600秒間保持する工程と、
    を有することを特徴とする高強度鋼板の製造方法。
  6. 前記鋳造スラブは、更に、質量%で、
    Mo:0.01〜5%を含有することを特徴とする請求項5に記載の高強度鋼板の製造方法。
  7. 前記鋳造スラブは、更に、質量%で、
    Zr、Hf、Ta、Vからなる群から選択された1種又は2種以上の元素を合計で0.001〜1%含有することを特徴とする請求項5又は6に記載の高強度鋼板の製造方法。
  8. 前記鋳造スラブは、更に、質量%で、
    Remを0.001〜0.5%含有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の高強度鋼板の製造方法。
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