JP2003049243A - 焼付硬化性および延性に優れた高張力熱延鋼板および高張力めっき鋼板ならびにそれらの製造方法 - Google Patents
焼付硬化性および延性に優れた高張力熱延鋼板および高張力めっき鋼板ならびにそれらの製造方法Info
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Abstract
増大などの必要なしに、焼付硬化性および延性を一層向
上させ、しかも耐常温時効性にも優れた高張力熱延鋼板
および高張力めっき鋼板を提供する。 【解決手段】 質量%で、C:0.05〜0.12%、Si:0.5
%以下、Mn:1.2 〜3.0%、P:0.05%以下、Al:0.001
〜0.1 %およびN:0.005 〜0.02%を含有し、残部はF
eおよび不可避的不純物の組成とし、低温変態フェライ
ト相を面積率で10〜50%で含み、残部は実質的にポリゴ
ナルフェライト相からなる鋼組織とし、さらに上記の低
温変態フェライト相とポリゴナルフェライト相の2相の
平均結晶粒径を8μm 以下とする。
Description
や足周り部材等の使途に供して好適な高張力熱延鋼板お
よび高張力めっき鋼板ならびにそれらの製造方法に関
し、特に焼付硬化性および延性の有利な向上を図ろうと
するものである。なお、本発明でいう焼付硬化性の向上
とは、加工−焼付塗装後の降伏強さだけでなく、引張り
強さの向上をも意味する。また、延性の向上とは、同一
強度レベルで見た時の伸びの向上、すなわちいわゆる強
度−延性バランス(TS×El)の向上を意味する。
に含有した鋼を、熱間圧延したのち、350 ℃以下まで急
冷して巻き取ることからなる焼付硬化型高張力熱延鋼板
の製造方法が提案されている。しかしながら、上記の技
術で製造された熱延鋼板は、フェライトとマルテンサイ
トを主体とする複合組織を有し、N添加により焼付硬化
性を付与する技術であり、加工−塗装焼付処理後の引張
強さは増加するものの、耐常温時効性への配慮がないた
め、耐常温時効性が劣化するという問題を残していた。
粒の微細化および固溶Nの量、存在形態を制御すること
によって、焼付硬化性と耐常温時効性を改善した熱延鋼
板が提案されている。しかしながら、この技術を用いて
焼付硬化性のさらなる向上を図ろうとすると、結晶粒を
一層微細化するか、固溶N量をさらに増大させる必要が
あるが、結晶粒をさらに微細化することは現実的ではな
く、また固溶Nを増加させることは常温時効による延性
の劣化を招くことから、この技術による改善には限界が
あった。
開2000−297350号公報に開示の技術の改良に係わり、結
晶粒を一層の微細化や固溶N量のさらなる増大などの必
要なしに、焼付硬化性および延性を一層向上させ、しか
も耐常温時効性にも優れた高張力熱延鋼板および高張力
めっき鋼板を、それらの有利な製造方法と共に提案する
ことを目的とする。
の目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、鋼の成分組
成を所定の範囲に調整した上で、鋼板の製造工程を厳密
に管理し、熱延鋼板の組織を適正な組成に制御すること
によって、耐常温時効性の劣化なしに、焼付硬化性およ
び延性の著しい向上が達成されることの知見を得た。本
発明は、上記の知見に立脚するものである。
である。 1.質量%でC:0.05〜0.12%、Si:0.5 %以下、Mn:
1.2 〜3.0 %、P:0.05%以下、Al:0.001 〜0.1 %お
よびN:0.005 〜0.02%を含有し、残部はFeおよび不可
避的不純物の組成になり、低温変態フェライト相が面積
率で10〜50%で、かつ残部が主にポリゴナルフェライト
相の鋼組織を有し、しかも上記の低温変態フェライト相
とポリゴナルフェライト相の2相の平均結晶粒径が8μ
m 以下であることを特徴とする焼付硬化性および延性に
優れた高張力熱延鋼板。
%でCr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下およびNi:1.0 %
以下のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組
成になることを特徴とする焼付硬化性および延性に優れ
た高張力熱延鋼板。
らに質量%でTi:0.1 %以下およびNb:0.1 %以下のう
ちから選んだ1種または2種を含有する組成になること
を特徴とする焼付硬化性および延性に優れた高張力熱延
鋼板。
表面に、めっき層を形成したことを特徴とする焼付硬化
性および延性に優れた高張力めっき鋼板。
%以下、Mn:1.2 〜3.0 %、P:0.05%以下、Al:0.00
1 〜0.1 %およびN:0.005 〜0.02%を含有する組成に
なる鋼素材を、1000〜1300℃に加熱し、ついで粗圧延
後、仕上圧延出側温度:(Ar3+10℃)〜(Ar3+100
℃)の条件で仕上圧延を終了したのち、0.5 秒以内に50
℃/s以上の速度で 700〜600 ℃の温度域まで冷却し、こ
の温度域に3〜15秒間保持したのち、20℃/s以上の速度
で冷却し、 500〜250 ℃の温度で巻き取ることを特徴と
する焼付硬化性および延性に優れた高張力熱延鋼板の製
造方法。なお、この製造方法に用いる鋼素材としては、
上記したC:0.05〜0.12%、Si:0.5 %以下、Mn:1.2
〜3.0 %、P:0.05%以下、Al:0.001 〜0.1 %および
N:0.005 〜0.02%を含有し、残部はFeおよび不可避的
不純物の組成になるものであっても、鋼中にさらに、C
r:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下およびNi:1.0 %以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有し、残部は
Feおよび不可避的不純物の組成になるもの、またさらに
鋼中に、Ti:0.1 %以下およびNb:0.1 %以下のうちか
ら選んだ1種または2種を含有し、残部はFeおよび不可
避的不純物の組成になるものであっても良い。
にめっき処理を施すことを特徴とする焼付硬化性および
延性に優れた高張力めっき鋼板の製造方法。
る。また、本発明において、鋼板の成分組成を上記の範
囲に限定した理由について説明する。なお、成分に関す
る「%」表示は特に断らない限り質量%(mass%)を意
味するものとする。 C:0.05〜0.12% Cは、鋼の強度を増加させるだけでなく、結晶粒の粗大
化を抑制するためにも有用な元素であるが、含有量が0.
05%に満たないとその添加効果に乏しく、一方0.12%を
超えると溶接性が劣化するので、C量は0.05〜0.12%の
範囲に限定した。
り、必要な強度に応じて適宜含有量を調整する。しかし
ながら、含有量が 0.5%を超えると加工性を劣化させる
だけでなく、低温変態フェライトの生成を阻害するの
で、Si量は 0.5%以下に限定した。
本的構成元素である。また、低温変態フェライトの生成
にも有効に寄与する。しかしながら、含有量が1.2 %に
満たないとその添加効果に乏しく、一方 3.0%を超える
と加工性が劣化するだけでなく、溶接性にも悪影響を与
えるので、Mn量は 1.2〜3.0 %の範囲に限定した。
適宜含有量を調整する。しかしながら、含有量が0.05%
を超えると溶接性が劣化し、またPが粒界に偏析して粒
界割れを発生するおそれが生じ、さらには低温変態フェ
ライトの生成をも阻害するので、P量は0.05%以下に限
定した。
には少なくとも 0.001%の含有を必要とするが 0.1%を
超えると表面性状が劣化するだけでなく、所定量の固溶
Nの確保が難しくなるので、Alは 0.001〜0.1 %の範囲
で含有させるものとした。
溶して加工−塗装焼付処理後の降伏強さおよび引張強さ
を増加させるのに有効に作用する。この目的のために
は、0.005 %以上のNの含有を必要とするが、0.02%を
超えると内部欠陥の発生率が高くなるだけでなく、連続
鋳造時にスラブ割れなどが多発するようになる。そこ
で、N量は 0.005〜0.02%の範囲に限定した。より好ま
しくは 0.007〜0.02%の範囲である。
明では、その他にも以下に述べる元素を適宜含有させる
ことができる。 Cr:1.0 %以下、Mo:1.0 %以下およびNi:1.0 %以下
のうちから選んだ1種または2種以上 Cr,MoおよびNiはいずれも、固溶強化により鋼の強度上
昇に有効に寄与するだけでなく、オーステナイトを安定
化する作用により、熱間圧延において低温変態フェライ
ト相を形成し易くする効果がある。この効果を得るため
には、Cr,Mo,Niの含有量はそれぞれ 0.1%以上とする
ことが好ましい。しかしながら、いずれも含有量が 1.0
%を超えるとかえって低温変態フェライト相の生成を阻
害するので、それぞれ 1.0%以下で含有させるものとし
た。
ちから選んだ1種または2種 TiおよびNbはそれぞれ、炭化物、窒化物を形成すること
によって、強度および靱性の向上に有効に寄与する。こ
の効果を得るためには、Ti, Nbの含有量はそれぞれ0.01
%以上とすることが好ましい。しかしながら、いずれも
含有量が 0.1%を超えると固溶Nを窒化物として固定し
てしまい、却って焼付硬化性を低下させるので、それぞ
れ 0.1%以下で含有させるものとした。以上、必須成分
および選択成分について説明したが、上記した成分以外
の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
範囲に調整するだけでは不十分で、その組織および粒径
も併せて規定する必要がある。 低温変態フェライト相の面積率V(αB ) :10〜50% ここでいう低温変態フェライトαB は、通常の意味のフ
ェライト(ポリゴナルフェライト:αP )とは区別さ
れ、低温域(概ね 500℃以下)において生成するフェラ
イトで、ベイニティックフェライトあるいは上部ベイナ
イトのことを意味する。この組織は、本発明において特
に重要で、高い焼付硬化性を担うものである。焼付硬化
は、鋼中の侵入型固溶元素(C,N)が鋼中の転位を固
着し、転位の運動に対する抵抗力が高くなることにより
強度が高くなる現象である。低温変態フェライト組織内
では、元々転位密度が高くなっているためにその効果が
促進され、固着された転位が塑性変形時の転位の運動の
抵抗として働くために、極めて高い焼付硬化性を示すよ
うになる。そして、この組織により、焼付け硬化の向上
を効果的に生ぜしめるためには、面積率V(αB ) で少
なくとも10%の低温変態フェライトを必要とする。しか
しながら、50%を超えると相対的にポリゴナルフェライ
トの量が低減して延性が劣化するので、本発明では低温
変態フェライト相の量は面積率V(αB ) で10〜50%の
範囲に限定した。
リゴナルフェライト相からなる。このように、低温変態
フェライト以外をポリゴナルフェライトとすることによ
り、延性の著しい向上を図ることができる。なお、上記
した低温変態フェライト相、ポリゴナルフェライト相以
外の相としては、マルテンサイト相やパーライト相が生
成する場合があるが、これらの相があまりに多くなると
所期した効果を得ることが難しくなるので、これらの相
は面積率で10%以下に抑制することが好ましい。すなわ
ち、上記した低温変態フェライト相とポリゴナルフェラ
イト相の2相の面積率の合計を90%以上とすることが好
ましい。
イト相の2相の平均結晶粒径が8μm以下 ここでいう平均結晶粒径とは、低温変態フェライト相
(αB ) とポリゴナルフェライト相(αP ) の2相の平
均結晶粒径のことであり、この平均結晶粒径を8μm 以
下に制限することが重要である。図1に、後述する表1
中の鋼種Aについて、平均結晶粒径が8μm 以下のもの
と10〜15μm のものについて、低温変態フェライト相の
面積率と製品板の焼付け硬化量(ΔTS)との関係につい
て調べた結果を示すが、同図に示したとおり、平均結晶
粒径が8μm を超える10〜15μm の場合には、さほどの
引張強さの上昇は望めない。なお、結晶粒を微細にする
ことによって固溶Nの存在位置としての粒界面積が増大
するが、粒界中に存在する固溶Nは室温においては安定
で拡散できないため、常温時効性の劣化が抑制される。
この点、平均結晶粒径が8μm を超えるとこの効果は著
しく減少する。
焼付硬化性が得られる理由については、以下のように考
えられる。焼付硬化は、予加工されたときに生じる可動
転位と固溶Nとの相互作用により、可動転位が固溶Nに
よって固着されるために生じるものであるが、その際、
結晶粒が微細化され、結晶粒界が増加すると、同一歪み
量だけ加工されても、可動転位は高密度に分布するよう
になる。また、低温変態フェライト組織は予加工を加え
る前からあらかじめ多量の可動転位を含んでおり、予加
工後の転位密度も高密度になるため、高い焼付硬化性を
呈するようになるものと考えられる。
定した理由について説明する。 スラブ加熱温度:1000〜1300℃ 熱延板で所望の固溶Nを確保するためには、加熱時に窒
化物を溶解させておく必要がある。しかしながら、加熱
温度が1000℃に満たないと熱延板中に固溶状態で所望量
のNを残存させるのが難しく、一方1300℃を超えると加
熱時のオーステナイト粒が粗大化し、平均結晶粒径を8
μm 以下にすることが困難となる。従って、スラブ加熱
温度は1000〜1300℃の範囲に限定した。より好ましく
は、1100〜1250℃の範囲である。なお、加熱後のスラブ
をシートバーとする粗圧延は、常法に従って行えば良
い。
r3+100 ℃) 仕上圧延では、鋼板の組織を均一かつ微細に整えるため
に、仕上圧延出側温度(FDT と記す)を(Ar3+10℃)
〜(Ar3+100 ℃)の範囲に制御する必要がある。とい
うのは、FDT が(Ar3+10℃)を下回ると仕上圧延温度
が低くなりすぎて組織が不均一となり、一部に加工組織
が残留したりして、プレス成形時に種々の不具合を発生
する危険性が高まり、一方 FDTが(Ar3+100 ℃)を超
えると結晶粒の微細化が困難になる。
内に50℃/s以上の速度で 700〜600 ℃の温度域まで冷却
し、この温度域に3〜15秒間保持したのち、20℃/s以上
の速度で巻取り温度まで冷却する 仕上圧延を行ったのち、 0.5秒以内に冷却を開始しない
と、結晶粒が粗大になるだけでなく、Nが析出して固溶
Nの確保が困難となるので、冷却開始時間は仕上圧延終
了後 0.5秒以内とした。またその時の、冷却速度が50℃
/s未満では、冷却中に結晶粒が成長し微細化が困難にな
ると共に、Nが析出し固溶Nの確保が難しくなるので、
冷却速度は50℃/s以上の強冷却とした。そして、 700〜
600 ℃の温度域まで冷却するが、この理由は、この温度
域で特にポリゴナルフェライト変態が促進され、著しい
延性の向上が期待できるからである。しかしながら、こ
の温度域での保持時間が3秒未満ではポリゴナルフェラ
イトの生成量が不足してその効果が望めず、一方15秒を
超えるとフェライト粒が粗大化するだけでなく、ポリゴ
ナルフェライトの量が多くなりすぎて、その後に十分な
量の低温変態フェライトを確保することが難しくなり、
所期したほどの焼付硬化量が得られなくなるので、 700
〜600 ℃の温度域での保持時間は3〜15秒の範囲に限定
した。
度に維持するいわゆる保定処理でも、また20℃/s未満程
度の速度で冷却するいわゆる徐冷処理でも、いずれでも
よい。さらに、その後、巻取り温度までの冷却速度を20
℃/s以上としたのは、冷却速度が20℃/sに満たないと、
さらなるポリゴナルフェライトの成長により、所定の低
温変態フェライト相分率の確保が困難になるからであ
る。
る。というのは、巻取り温度が 500℃より高い場合に
は、所定量の低温変態フェライト相を得るのが難しくな
るだけでなく、結晶粒径の微細化が達成されず、一方巻
取り温度が 250℃より低い場合には、マルテンサイトな
どのより低温の変態相が支配的となり、やはり所望の低
温変態フェライト相を得るのが困難になるからである。
を示す。同図に示したとおり、本発明では、ポリゴナル
フェライト相のノーズの近傍まで急冷したのち、ポリゴ
ナルフェライト相の誠意瀬度域に一定時間保持して、所
定量のポリゴナルフェライト相を生成させたのち、低温
変態フェライト相の生成温度域まで冷却し、この温度域
で巻き取ることによって所定量の低温変態フェライト相
を生成させるのである。
種めっき用原板として好適であるので、必要に応じて各
種のめっき処理を施すことができる。ここに、めっさの
種類としては、電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっき、電気
錫めっき、電気クロムめっきおよび電気ニッケルめっき
等が挙げられるが、本発明ではいずれのめっき処理も有
利に適用することができる。
製し、連続鋳造によりスラブとしたのち、表2に示す条
件で熱間圧延を施して、板厚:2.0 mmの熱延鋼板とし
た。なお、一部については溶融亜鉛めっき処理を施し
た。得られた熱延鋼板およびめっき鋼板について、組織
試験、引張試験、焼付硬化性試験および常温時効性試験
を行った。
角な方向の断面のナイタールによる腐食現出組織の拡大
像によって調査した。引張試験は、熱延鋼板の圧延方向
と直角の方向からJIS 5号引張試験片を採取し、歪速
度:10-3/sの条件で実施した。焼付硬化性試験は、引
張試験と同じく、熱延鋼板の圧延方向と直角な方向から
JIS 5号引張試験片を採取し、予歪付与後時効処理を施
し、歪速度:10-3/sの条件で実施した。なお、焼付処
理条件は、予歪量:5%、時効処理条件:170 ℃×20分
とした。そして、焼付け硬化量BHおよび引張り強さの
増加代ΔTSはそれぞれ、次式 BH=(時効後の降伏応力)−(時効処理前の予変形応
力) ΔTS=(時効後の引張強さ)−(熱延ままの引張強
さ) によって求めた。常温時効性試験は、50℃,400 hの時
効処理を施したのち、圧延方向と直角の方向からJIS 5
号引張試験片を採取し、歪速度:10-3/sで引張試験を
実施し、伸びEIA を測定し、時効処理前の伸びEIとの
差、ΔEl=El−EIA で評価した。なお、得られたΔElが
2.0%以下であれば、常温時効性は問題ないといえる。
得られた結果を表3に示す。
所定の成分調整をした上で、鋼組織を低温変態フェライ
ト相が面積率で10〜50%含有する組織とすることによ
り、強度−延性バランスが 16000 MPa・%以上と、同一
強度レベルで見た時の延性に優れ、またBH 100 MPa以
上、ΔTS 90 MPa 以上、ΔEl 1.5%以下と、焼付硬化
性および耐常温時効性に優れた高張力熱延鋼板および高
張力めっき鋼板を得ることができた。
板部品に使用して好適な、焼付硬化性および延性に優
れ、また耐常温時効性も良好な高張力熱延鋼板および高
張力めっき鋼板を安定して得ることができる。
変態フェライト相の影響を、鋼板の平均結晶粒径をパラ
メータとして示した図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 質量%で C:0.05〜0.12%、 Si:0.5 %以下、 Mn:1.2 〜3.0 %、 P:0.05%以下、 Al:0.001 〜0.1 %および N:0.005 〜0.02% を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成にな
り、低温変態フェライト相が面積率で10〜50%で、かつ
残部が実質的にポリゴナルフェライト相の鋼組織を有
し、しかも上記の低温変態フェライト相とポリゴナルフ
ェライト相の2相の平均結晶粒径が8μm 以下であるこ
とを特徴とする焼付硬化性および延性に優れた高張力熱
延鋼板。 - 【請求項2】 請求項1において、鋼板が、さらに質量
%で Cr:1.0 %以下、 Mo:1.0 %以下および Ni:1.0 %以下 のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成に
なることを特徴とする焼付硬化性および延性に優れた高
張力熱延鋼板。 - 【請求項3】 請求項1または2において、鋼板が、さ
らに質量%で Ti:0.1 %以下および Nb:0.1 %以下 のうちから選んだ1種または2種を含有する組成になる
ことを特徴とする焼付硬化性および延性に優れた高張力
熱延鋼板。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、鋼板
表面に、めっき層を形成したことを特徴とする焼付硬化
性および延性に優れた高張力めっき鋼板。 - 【請求項5】 質量%で C:0.05〜0.12%、 Si:0.5 %以下、 Mn:1.2 〜3.0 %、 P:0.05%以下、 Al:0.001 〜0.1 %および N:0.005 〜0.02% を含有する組成になる鋼素材を、1000〜1300℃に加熱
し、ついで粗圧延後、仕上圧延出側温度:(Ar3+10
℃)〜(Ar3+100 ℃)の条件で仕上圧延を終了したの
ち、0.5 秒以内に50℃/s以上の速度で 700〜600 ℃の温
度域まで冷却し、この温度域に3〜15秒間保持したの
ち、20℃/s以上の速度で冷却し、 500〜250 ℃の温度で
巻き取ることを特徴とする焼付硬化性および延性に優れ
た高張力熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項6】 請求項5において、巻取り後、鋼板表面
にめっき処理を施すことを特徴とする焼付硬化性および
延性に優れた高張力めっき鋼板の製造方法。
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