JP5821861B2 - 外観に優れ、伸びと穴拡げ性のバランスに優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

外観に優れ、伸びと穴拡げ性のバランスに優れた高強度熱延鋼板及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、外観に優れ、伸びと穴拡げ性のバランスに優れた引張強度590MPa以上の高強度熱延鋼板及びその製造方法に関するものである。
近年、自動車の燃費および衝突安全性の向上を目的に、高強度鋼板適用による車体軽量化が盛んに取り組まれている。高強度鋼板の適用に際してはプレス成型性を確保することが重要となる。例えば自動車用ホイールディスクでは表面意匠性向上のため、Siスケール模様を極力なくすことや、伸び加工、バーリング加工が施されるため、素材となる鋼板は外観が優れ、高い伸びと穴拡げ性が必要となる。
特許文献1ではマルテンサイトの組織分率を3%以上、10%未満にし、その強度代替としてフェライトをTiとNbで析出強化させることで伸びと穴拡げ性のバランスに優れた熱延鋼板が提案されている。
特許文献2では化成処理性の劣化原因となるSiスケールの発生を防ぐためにAlを添加し、フェライトの割合が40%以上となるフェライトとマルテンサイトの複合組織鋼が提案されている。
特開2011−184788号公報 特開2005−120438号公報
特許文献1に記載の発明は、フェライトの析出強化のためにTiやNbを添加しているため熱間圧延時に集合組織が発達し、フェライトの塑性異方性が強いため穴拡げ性が十分でなかった。また、Siが0.5%以上添加されているため、熱間圧延時に生成したスケールによって鋼板に筋模様(以下、スケール模様という)が生成し、外観を劣化させていた。
特許文献2に記載の発明は、Siの代替としてAlを添加することで、外観や化成処理性を向上させている。しかしながら、Alを添加することでフェライト変態開始温度が高温化され、粗大なフェライトとマルテンサイトが形成され、フェライトとマルテンサイトの界面で割れが起きやすく、伸びと穴拡げ性が十分ではなかった。
本発明は、外観に優れるとともに、伸びと穴拡げ性のバランスに優れた引張強度590MPa以上の高強度熱延鋼板及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するための手段について種々検討した結果、マルテンサイトの強度代替として添加したTiやNbによって熱間圧延中に形成される集合組織の改善とAl添加によって形成される粗大なマルテンサイトによる穴拡げ性劣化の2つの課題を解決させるためには変態直前のオーステナイト組織を制御することが重要であることを見出した。具体的には、最終段の仕上圧下率を20%以上とし、仕上圧延温度を880℃以上、1000℃以下とすることでオーステナイトの再結晶を促進させ、集合組織の改善を図る。さらに、圧延終了後は0.01秒以上、1.0秒以内に冷却を開始することで、短時間での再結晶が可能となり微細な再結晶オーステナイトを作りこむ。微細な再結晶オーステナイトからの変態は、フェライトの核生成サイトが多く、かつ素早く変態が進むため、細かいフェライトが空冷中に形成される。その結果、空冷中に残留するオーステナイトも微細に残存するため、変態後のマルテンサイトを微細化することが可能となることを見出した。
即ち、本発明の要旨するところは以下の通りである。
(1)質量%で
C :0.02%以上、0.10%以下,
Si:0.1%以下,
Mn:0.5%以上、2.0%以下,
P :0.1%以下,
S :0.01%以下,
Al:0.2%以上、1.0%以下,
N :0.01%以下,
Ti:0.01%以上、0.11%以下
を含有し,残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学成分組成を有し、組織の割合が、フェライトの組織分率90%以上、かつマルテンサイトの粒径が2μm以上10μm以下で、その組織分率が1%以上10%以下であり、圧延面に平行で、圧延方向に平行な{211}<011>方位のX線ランダム比が3.0以下であることを特徴とする外観に優れ、伸びと穴拡げ性のバランスに優れた高強度熱延鋼板。
(2)さらに、質量%で
Nb:0.01%以上,0.10%以下,
Ca:0.0005%以上、0.0030%以下
Mo:0.02%以上,0.5%以下,
Cr:0.02%以上,1.0%以下,
の1種以上を含有することを特徴とする(1)に記載の外観に優れ、伸びと穴拡げ性のバランスに優れた高強度熱延鋼板。
(3)圧延面に平行で、圧延方向に平行な{211}<011>方位のX線ランダム比が2.0以上3.0以下であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の外観に優れ、伸びと穴拡げ性のバランスに優れた高強度熱延鋼板。
)上記(1)又は(2)に記載の化学成分組成の鋼を連続鋳造にてスラブとし、1200℃以上の温度域まで再加熱を行い、粗圧延後、圧延機を直列に複数配置してなる仕上圧延機列で連続仕上圧延するに際し、最終の仕上圧延の圧下率を20%以上とし、最終の仕上圧延の仕上温度を880〜1000℃として仕上圧延を行い、仕上圧延終了後0.01秒以上、1.0秒以内に冷却を開始し、30℃/秒以上の冷却速度で600〜750℃まで冷却し、3〜10秒空冷したのち、30℃/秒以上の冷却速度で200℃以下まで冷却し、巻き取ることを特徴とする(1)から(3)までのいずれかに記載の外観に優れ、伸びと穴拡げ性のバランスに優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
本発明は、所定の化学成分組成を有し、組織の割合が、フェライトの組織分率90%以上、かつマルテンサイトの粒径が10μm以下で、その組織分率が1%以上10%以下であり、圧延面に平行で、圧延方向に平行な{211}<011>方位のX線ランダム比が3.0以下であることにより、引張強度590MPa以上の高強度熱延鋼板において、外観に優れ、優れた伸びと穴拡げ性のバランスを実現することが可能となる。
上記所定の化学成分組成を有するスラブを熱間圧延するに際し、仕上圧延温度を880℃以上、1000℃以下とすることでオーステナイトの再結晶を促進させ、集合組織の改善を図る。さらに、仕上圧下率を20%以上とし、圧延終了後は0.01秒以上、1.0秒以内に冷却を開始することで、短時間での再結晶が可能となり微細な再結晶オーステナイトを作りこむ。微細な再結晶オーステナイトからの変態は、フェライトの核生成サイトが多く、かつ素早く変態が進むため、細かいフェライトが空冷中に形成される。その結果、空冷中に残留するオーステナイトも微細に残存するため、変態後のマルテンサイトを微細化することが可能となり、上記本発明の結晶組織とX線ランダム比を有する鋼板を製造することができる。
本発明は、引張強度590MPa以上の高強度熱延鋼板を対象とする。このような高強度鋼板において穴拡げ性の向上を実現するためには、フェライトの組織分率を90%以上、マルテンサイトの組織分率を10%以下にすることが効果的である。これらを得る手段として、特許文献1に示すように、Siを添加した鋼板で、熱間圧延工程のランアウトテーブル(以下、ROTという)中で中間空冷を施し、フェライト変態を促進させることが必要となる。一方で、SiはSiスケールを起因としたスケール模様が発生するため、鋼板使用時の外観不良が課題となる。Siを添加しない場合はフェライト変態を促進させるために仕上圧延温度を低温化させることが有効となるが、低温化すると、鋼板集合組織の圧延面に平行で、圧延方向に平行な{211}<110>が発達し、塑性変形の異方性が強くなり穴拡げ性を劣化させるため、Si無添加で伸びと穴拡げ性のバランスを向上させることはできなかった。
本発明においては、Siの代替として、Alでフェライト変態を促進させ、Al添加によって粗大化するフェライトを微細なオーステナイトから変態させることで回避することが可能となる。仕上温度を880℃〜1000℃の範囲で圧下率を20%以上とし、仕上圧延終了後0.01秒以上、1.0秒以内に冷却を開始し、30℃/秒以上の冷却速度で600℃〜750℃まで冷却し、3〜10秒空冷したのち、30℃/秒以上の冷却速度で200℃以下まで冷却し、巻き取ることにより、表面外観に優れ、フェライトの組織分率が90%以上、マルテンサイトの粒径が10μm以下で、その組織分率が1%以上10%以下であり、鋼板集合組織が圧延面に平行で、圧延方向に平行な{211}<011>方位のX線ランダム比が3.0以下にすることで優れた伸びと穴拡げ性のバランスを得ることが可能となった。
以下に本発明の個々の構成要件について詳細に説明する。
まず、本発明の成分の限定理由について述べる。
Cは本発明の強度を決める重要な元素である。目的の強度を得るためには0.02%以上含有する必要がある。好ましくは0.04%以上とする。しかし、0.10%超含有していると靭性を劣化させるため、上限を0.10%とする。
Siは予備脱酸に必要な元素であるが、外観不良を引き起こすため、0.1%以下とする。好ましくは0.07%以下である。
Mnは焼入れ性及び固溶強化元素として強度上昇に有効である。目的の強度を得るためには0.5%以上必要である。過度に添加すると靭性の等方性に有害なMnSを生成するため、その上限を2.0%以下とする。
Pは低いほど望ましく、0.1%超含有すると加工性や溶接性に悪影響を及ぼすとともに、疲労特性も低下させるので、0.1%以下とする。
Sは低いほど望ましく、多すぎると靭性の等方性に有害なMnS等の介在物を生成させるため、0.01%以下とする必要がある。厳しい低温靭性が要求される場合には、0.006%以下とすることが好ましい。
Alは本発明の特性を得るために重要な元素である。仕上圧延後のROT冷却中でフェライト変態を促進させるためには0.2%以上添加する必要がある。しかし、過剰に添加すると、クラスタ状に析出したアルミナを生成し、靭性を劣化させるため、その上限は1.0%とする。
NはSよりも高温にてTiと析出物を形成し、Sを固定するのに有効なTiを減少させるばかりでなく、粗大なTi窒化物を形成し、靭性を劣化させる。したがって0.01%以下とする。
Tiは本発明における強度を得るために必要な元素である。フェライトを析出強化させ、優れた伸びと穴拡げ性のバランスを得るためには0.01%以上添加することが必要である。しかしながら、0.11%超添加するとTiNを起因とした介在物が生成し、穴拡げ性が劣化するため、Tiの含有量は0.01%以上、0.11%以下とする。
要求特性を満たすために必須ではないが、製造ばらつきを低減させたり、強度をより向上させるために下記の元素を添加することが好ましい。
Nbは熱延鋼板の結晶粒径を小さくすることと、NbCにより強度を高めることができる。Nbの含有量が0.01%以上でその効果が得られる。一方、0.10%超ではその効果は飽和するため、その上限を0.10%とする。
Caは溶鋼脱酸に微細な酸化物を多数分散させ、組織微細化のために好適な元素であるとともに、溶鋼の脱硫のために鋼中Sを球形のCaSとして固定し、MnSなどの延伸介在物の生成を抑制して穴拡げ性を向上させる元素である。これらの効果は添加量が0.0005%から得られるが、0.0030%で飽和するため、Caの含有量は0.0005%以上、0.0030%以下とする。
Moはフェライトの析出強化として有効な元素である。この効果を得るためには0.02%以上の添加が望ましい。ただし、多量の添加はスラブの割れ感受性が高まりスラブの取り扱いが困難になるため、その上限を0.5%とする。
Crは鋼板強度を向上させるのに有効な元素である。この効果を得るためには0.02%以上の添加が必要である。ただし、多量の添加は延性が低下するため上限を1.0%とする。
次に、本発明の鋼板の結晶組織について説明する。
複合組織鋼は軟質で伸びに優れたフェライト中に、マルテンサイトなどの硬質組織を分散させた鋼板であり、高強度でありながら高い伸びを実現している。しかしながら、硬質組織近傍に高いひずみが集中し、亀裂伝搬速度が速くなるため穴拡げ性が低くなる欠点がある。
マルテンサイトによる穴拡げ性劣化を抑制するためには、マルテンサイトの粒径を10μm以下にし、その組織分率を特許文献1に示すように10%以下にする必要がある。疲労特性や伸びと強度のバランスを確保するため1%以上は必要である。また、伸びを確保しつつ鋼板強度を担保しているマルテンサイトの低減を代替する手段としては、Tiにより析出強化したフェライトの組織分率が90%以上必要となる。しかしながら、Tiを添加すると仕上圧延中のオーステナイトの再結晶が抑制されるため、仕上圧延による強い加工集合組織が形成される。そのため、変態後の鋼板集合組織は強い集積度を示し、穴拡げ性が劣位となることを見出した。そこで、上記組織分率の最適化に加え、鋼板の集合組織を圧延面に平行で、圧延方向に平行な{211}<011>方位のX線ランダム比が3.0以下にすることで、高い伸びと穴拡げ性を両立することが可能となる。
次に製造方法について説明する。
上記本発明の化学成分組成を有する連続鋳造スラブ(以下、スラブという)を熱間圧延するに際し、まずスラブを1200℃以上に加熱する。1200℃未満でスラブを加熱した場合ではTiCがスラブ中に十分に溶解せず、フェライトの析出強化に必要なTiが不足する。
加熱したスラブは粗圧延を行い、さらに圧延機を直列に複数配置してなる仕上圧延機列で連続仕上圧延を行う。この時、最終の仕上圧延の圧下率(仕上圧延の最終段圧下率)は20%以上とし、最終の仕上圧延の仕上温度FTは880〜1000℃とする。オーステナイトの再結晶を高温で起こすためには20%以上の圧下率が必要となる。20%未満では再結晶に必要な駆動力が十分でなく、最終仕上圧延から冷却開始までに粒成長を引き起こし、マルテンサイトが粗大化するため穴拡げ性が劣位となる。仕上圧延温度が880℃未満ではオーステナイトの再結晶が進行せず、鋼板集合組織が圧延面に平行で、圧延方向に平行な{211}<011>方位のX線ランダム比が3.0超となり、穴拡げ性が劣位となる。1000℃超ではオーステナイトの結晶粒径が粗大化するとともに、転位密度が急激に低下するためフェライト変態が大幅に遅延し、フェライトの組織分率90%以上が得られなくなる。
仕上圧延後の一次冷却は0.01秒以上、1.0秒以内に開始する。圧延後にオーステナイトの再結晶を完了させるためには0.01秒以上仕上圧延後に空冷する必要がある。しかしながら、空冷時間が長いと再結晶したオーステナイトの結晶粒の粗大化が起き、フェライト変態が大幅に遅延され、粗大なマルテンサイトが形成される。フェライトとマルテンサイトの界面に生じるボイドを抑制し、優れた穴拡げ性を得るためにはマルテンサイトの粒径を10μm以下にすることが重要である。そのためにはオーステナイトの結晶粒粗大化を抑制しておく必要があるため、一次冷却は1.0秒以内に開始する。
仕上圧延後の一次冷却は30℃/秒以上で600〜750℃まで行い、3〜10秒の中間空冷を行う。微細なオーステナイトは結晶粒の成長速度が速いため30℃/秒未満では冷却中にも粒成長し、粗大組織となる。中間空冷温度が600℃未満ではフェライト変態が遅延し、高いフェライト分率が得られず、伸びが劣化する。750℃超ではフェライト中にTiCが粗大析出するためフェライトの析出強化が十分に得られず、引張強度590MPaを得られない。また中間空冷はフェライト変態のため3秒以上必要となるが、10秒超の空冷ではベイナイトの析出が進行するため伸びと穴拡げ性が劣位となる。
中間空冷の後は、二次冷却を30℃/秒以上で200℃以下まで行い、巻き取る。30℃/秒未満ではベイナイト変態が進み、マルテンサイトが得られなくなるため引張強度が低下し、伸びが劣位となる。冷却温度が200℃超ではマルテンサイトの自己焼戻し効果が発生するため、引張強度が低下し、伸びが劣位となる。
表1に示す成分を含有する鋼を転炉にて溶製し、連続鋳造にて厚み230mmのスラブとした。その後、スラブを1200℃〜1250℃の温度に加熱し、連続熱間圧延装置によって粗圧延、仕上圧延を行い、ROT冷却後に巻取りを行い、熱延鋼板を製造した。表2には、用いた鋼種記号と熱間圧延条件、鋼板の板厚を示す。表2において、「FT6」は最終仕上圧延終了温度、「冷却開始時間」は仕上圧延から一次冷却までの時間、「一次冷却」は仕上圧延を終了してから中間空冷温度までの平均冷却速度、「中間温度」は一次冷却後の中間空冷温度、「中間時間」は一次冷却後の中間空冷保持時間、「二次冷却」は中間空冷後から巻き取るまでの平均冷却速度、「巻取温度」は二次冷却終了後の温度である。
Figure 0005821861
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このようにして得られた鋼板について光学顕微鏡を用いてフェライト、ベイナイト、マルテンサイトの組織分率と集合組織解析を行った。またマルテンサイトの粒径を調査した。
鋼板のフェライト、ベイナイトの組織分率については、ナイタール腐食後に光学顕微鏡を用いて500×500μmの視野で画像解析を用いて面積率を求めた。マルテンサイトの組織分率及び粒径はレペラー腐食後に光学顕微鏡を用いて500×500μmの視野で画像解析を用いて面積率及び粒径を求めた。
集合組織解析は、板厚の1/4部において圧延面に平行で、圧延方向に平行な{211}<011>方位のX線ランダム強度比を評価した。EBSD(Electron Back Scattering Diffraction Pattern)法を用いて、ピクセルの測定間隔が平均粒径の1/5以下で、結晶粒が5000個以上測定できる領域で測定し、ODF(Orientation Distribution Function)の分布からランダム強度比3.0以下を合格とした。
鋼板の引張試験については、鋼板の圧延幅方向(C方向)にJIS5号試験片を採取し、降伏強度:YP(MPa)、引張強度:TS(MPa)、伸び:EL(%)を評価した。
穴拡げ率:λ(%)については、ISO16630で規定する方法によって評価を行った。
鋼板外観の評価は、熱延コイルの外周10m位置で鋼板を長手方向に500mm切断し、スケール模様の面積率を測定した。スケール模様の面積率が10%以下だったものを「○」とした。一方、スケール模様の面積率が10%超だったものを「×」とした。
表3に組織分率、マルテンサイト粒径、集合組織と材質、外観の評価結果を示す。
表3に示すように本発明例は引張強度が590MPa以上で、フェライトの組織分率90%以上、かつマルテンサイトの粒径が10μm以下で、その組織分率が1%以上10%以下であり、圧延面に平行で、圧延方向に平行な{211}<011>方位のX線ランダム比が3.0以下であり、外観と伸びと穴拡げ性のバランスに優れている。
これに対して、比較例2は中間空冷温度が高く、Tiがフェライト中に粗大析出し、十分な析出強化が得られなかったために、引張強度が590MPa未満である。
比較例5は仕上温度880℃未満のため、鋼板集合組織の異方性が強く、穴拡げ性が劣位である。
比較例8は仕上圧延後の冷却開始時間が1.0秒超のため、オーステナイト組織の粗大化が進み、フェライト変態が大幅に遅れたため、伸びと穴拡げ性が劣位である。
比較例12は中間空冷時間が3秒未満のため、フェライト変態が十分に進まなかったため、伸びと穴拡げ性が劣位である。
比較例16は中間空冷時間が10秒超のため、ベイナイト変態が進み、マルテンサイトの組織分率が得られなかったため、伸びが劣位である。
比較例17は中間空冷温度が650℃未満のため、フェライトの組織分率が得られず、伸びと穴拡げ性が劣位である。
比較例20は仕上温度が1000℃超のため、オーステナイト組織の粗大化によりフェライト変態が遅れ、伸びと穴拡げ性が劣位である。
比較例22は巻取温度が200℃超であり、ベイナイトが生成したため、引張強度が590MPa未満であり、かつ伸びと穴拡げ性が劣位である。
比較例24は最終段圧下率が20%未満のため、マルテンサイトが粗大化し、10μm超になっているため穴拡げ性が劣位であるとともに、オーステナイトの再結晶も十分でなかったために鋼板集合組織の異方性も強く、穴拡げ性が劣位である。
比較例29は鋼板の成分組成でAlの質量%が0.2%未満のため、フェライト変態が進まず、伸びと穴拡げ性が劣位である。
比較例30は鋼板の成分組成でSiの質量%が0.1%超のため、外観にスケール模様が多数見られ、全体の10%超となった。

Claims (4)

  1. 質量%で
    C :0.02%以上、0.10%以下,
    Si:0.1%以下,
    Mn:0.5%以上、2.0%以下,
    P :0.1%以下,
    S :0.01%以下,
    Al:0.2%以上、1.0%以下,
    N :0.01%以下,
    Ti:0.01%以上、0.11%以下
    残部Feおよび不可避的不純物からなる化学成分組成を有し、組織の割合が、フェライトの組織分率90%以上、かつマルテンサイトの粒径が2μm以上10μm以下で、その組織分率が1%以上10%以下であり、圧延面に平行で、圧延方向に平行な{211}<011>方位のX線ランダム比が3.0以下であることを特徴とする外観に優れ、伸びと穴拡げ性のバランスに優れた高強度熱延鋼板。
  2. 更に,質量%で
    Nb:0.01%以上,0.10%以下,
    Ca:0.0005%以上、0.0030%以下
    Mo:0.02%以上,0.5%以下,
    Cr:0.02%以上,1.0%以下,
    の1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の外観に優れ、伸びと穴拡げ性のバランスに優れた高強度熱延鋼板。
  3. 圧延面に平行で、圧延方向に平行な{211}<011>方位のX線ランダム比が2.0以上3.0以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の外観に優れ、伸びと穴拡げ性のバランスに優れた高強度熱延鋼板。
  4. 請求項1又は2に記載の化学成分組成の鋼を連続鋳造にてスラブとし、1200℃以上の温度域まで再加熱を行い、粗圧延後、圧延機を直列に複数配置してなる仕上圧延機列で連続仕上圧延するに際し、最終の仕上圧延の圧下率を20%以上とし、最終の仕上圧延の仕上温度を880〜1000℃として仕上圧延を行い、仕上圧延終了後0.01秒以上、1.0秒以内に冷却を開始し、30℃/秒以上の冷却速度で600〜750℃まで冷却し、3〜10秒空冷したのち、30℃/秒以上の冷却速度で200℃以下まで冷却し、巻き取ることを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の外観に優れ、伸びと穴拡げ性のバランスに優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
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