JP6596905B2 - 加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の製造方法 - Google Patents

加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の製造方法に関する。
高炭素鋼帯は、自動車駆動系部品、その他の機械部品などの素材として用いられる。
これらの部品は、高炭素鋼帯を素材として、打ち抜き、曲げ、プレス加工、切削等の加工工程と、焼入れ、焼戻し、その他の熱処理工程を経て製造される。部品の品質向上、部品製造の効率化、低コスト化のためには、軟質で良好な加工性と、熱処理後の強度が容易に得られる熱処理特性が求められている。
ここで、良好な加工性、すなわち軟質な鋼帯を得るため、熱間圧延終了後にコイル状に巻き取られた鋼帯は、通常は箱焼鈍が施されることが多い。
高炭素鋼帯は、炭素を高濃度に含んでいるので、熱間圧延終了後の鋼帯は、一般にフェライトとパーライトからなる硬質な組織を有している。そのため、軟質で加工性の良好な鋼帯を製造するために、通常、セメンタイトを球状化させて軟質にする球状化焼鈍が施されることが多い。
この球状化焼鈍には長時間の加熱処理が必要とされるため、連続焼鈍方式では対応が困難であり、依然として、コイル箱焼鈍が採用されている。
また、連続焼鈍炉は設備費が高額であり、連続操業することが前提であるため、小ロットの生産品にも、コイル箱焼鈍が採用されている。
このような球状化を目的としたコイル箱焼鈍は、コイルを伝熱によって加熱する輻射加熱、すなわちコイルの外部から間接的に加熱されるため、コイル内部まで加熱するのに長時間を要する上、加熱コストが高く、また、コイル内の温度が不均一となりやすい欠点がある。
ここで、高炭素鋼に対して箱焼鈍を施す技術は、例えば特許文献1,2に開示されているように、加工性を向上させることを目的に数多くの開発がされてきた。
特開2011−012317号公報 特開平09−157758号公報
上記のとおり、高炭素鋼帯に対して良好な加工性の付与(軟質化)を目的とした箱焼鈍の技術に関しては、これまで多岐にわたり開発されてきた。
しかし近年では、自動車用部品や機械部品等の素材である高炭素鋼帯を製造するに際し、さらなる高強度化および製造性の向上が望まれているが、これらをすべて満たす技術は未だ開発されていないのが現状である。
すなわち、これまで、熱処理後の強度が容易に得られる熱処理性については、鋼成分の観点からの検討は多くされてきているものの、鋼帯の製造方法によって熱処理性を向上させる技術に関しては未だ検討されておらず、加工性と熱処理性を両立しうる高炭素鋼帯を効率よく製造できる技術の開発が望まれている。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯を、高い生産性で製造することができる技術を提供するものである。
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 質量%で、C:0.15〜1.0%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.2〜3.0%、P:0.005〜0.10%、S:0.0005〜0.010%、Al:0.005〜0.50%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼を、オーステナイト域で熱間圧延して鋼帯とした後、この鋼帯を550℃以下の温度で巻き取りコイルとし、次いで、このコイルを巻き解きながら、巻き解かれた前記鋼帯を50℃/s以上の平均加熱速度で380℃以上、700℃以下まで再加熱処理し、再度、前記鋼帯を巻き取る高炭素鋼帯の製造方法であって、 前記再加熱処理を行う際には、前記再加熱処理後に巻き取ったコイルの外周側が内周側よりも高温になる温度分布を持つように、前記鋼帯の長手方向に再加熱温度の分布を設けることを特徴とする加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の製造方法。
[2] 前記鋼は、前記Feに代えて、質量%で、B:0.0003〜0.0050%及びTi:0.027%以下の1種又は2種を含む、上記[1]に記載の加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の製造方法。
[] 前記再加熱処理を行う際、前記再加熱処理後の前記鋼帯をコイル状に巻き取ったときに、前記鋼帯の幅方向の両端の温度が前記鋼帯の幅中央の温度よりも高くなる温度分布を持つように、前記鋼帯の幅方向に再加熱温度の分布を設けることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の製造方法。
[] 質量%で、C:0.15〜1.0%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.2〜3.0%、P:0.005〜0.10%、S:0.0005〜0.010%、Al:0.005〜0.50%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼を、オーステナイト域で熱間圧延して鋼帯とした後、この鋼帯を550℃以下の温度で巻き取りコイルとし、次いで、このコイルを巻き解きながら、巻き解かれた前記鋼帯を50℃/s以上の平均加熱速度で380℃以上、700℃以下まで再加熱処理し、再度、前記鋼帯を巻き取る高炭素鋼帯の製造方法であって、 前記再加熱処理を行う際、前記再加熱処理後の前記鋼帯をコイル状に巻き取ったときに、前記鋼帯の幅方向の両端の温度が前記鋼帯の幅中央の温度よりも高くなる温度分布を持つように、前記鋼帯の幅方向に再加熱温度の分布を設けることを特徴とする加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の製造方法。
[] 前記鋼は、前記Feに代えて、質量%で、B:0.0003〜0.0050%及びTi:0.027%以下の1種又は2種を含む、上記[4]に記載の加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の製造方法。
[] 前記再加熱処理をし、再度、前記鋼帯を巻き取った後に、箱焼鈍することを特徴とする上記[1]〜[]の何れか一項に記載の加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の熱処理方法。
本発明によれば、従来の焼鈍方法に比較して、熱処理に要する時間が短時間且つ低コストとなる上、加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯を高い生産性で製造することができる。
図1は、本発明において、鋼帯を再加熱する実施の態様を示す概念模式図である。 図2は、本発明において、鋼帯を再加熱した後に箱焼鈍する実施の態様を示す概念模式図である。
以下、本発明の高炭素鋼帯の製造方法の一実施形態について図面を用いて説明するが、当該図面においては、図示される部材の形状や大きさ、寸法等は、実際の部材の寸法等とは異なる場合がある。
図1は、熱延工程終了後、鋼帯を一旦巻き取り、その後改めて鋼帯コイルを展開して、加熱装置1にて所定条件で再加熱し、再度巻き取る場合の本実施形態の工程を示す概念模式図である。
図1に示すように、本実施形態では、C含有鋼を、オーステナイト域で熱間圧延して鋼帯Sとし、550℃以下の温度でこの鋼帯Sを巻き取りコイル2とした後、このコイル2を巻きほどき装置3によって巻き解きながら、巻き解かれた鋼帯Sを加熱装置1によって50℃/s以上の平均加熱速度で700℃以下まで再加熱し、再度鋼帯Sを巻取装置4によってコイル状に巻き取ってコイル2´とする。
熱間圧延は、オーステナイト域で行い、熱延圧延工程終了後、鋼帯をコイル状に巻き取るに際しては、巻取温度が550℃以下となるよう鋼帯を冷却しておく。
オーステナイト域で熱間圧延を行うのは、巻取後にベイナイトまたはマルテンサイトを主体とする組織を得るための条件である。熱間圧延温度が低くてフェライトが析出すると、炭素がオーステナイトに濃縮され、炭素が均一に分散した組織(ベイナイトまたはマルテンサイト組織)を得ることができない。
巻取温度を550℃以下とするのは、フェライトとパーライトからなる炭素の分散が不均一な組織の形成を防止し、ベイナイトまたはマルテンサイトを主体とする炭素が均一に分散した組織(均一組織)を得るためである。
均一組織の観点から巻取温度は低温ほど好ましい。炭素が均一に分散した組織は、炭化物中への合金元素の濃化がなく、部品とした後の熱処理の加熱の際に炭化物の溶解が迅速である。特に、高周波焼入のような加熱時間が短い熱処理において、優れた熱処理性を示す。
550℃以下で巻取った後、このコイルを巻き解いて再度加熱するまでの放置時間は特に制限しないが、高温で未変態オーステナイトが多く残っている状態から再加熱しても軟質化が薄れるので、コイルが300℃以下まで冷却されてから、巻き解き・再加熱することが好ましい。
鋼帯コイルの再加熱に際しては、コイル2を巻きほどき装置3によって巻き解して、巻き解かれた鋼帯Sを加熱装置1によって50℃/s以上の平均加熱速度で、700℃以下の温度まで再加熱し、巻取装置4によって再度コイル状に巻き取りコイル2´とする。
加熱装置(再加熱設備)1をコンパクトにし、かつ再加熱の生産性を高めるため、再加熱する際の平均加熱速度は速い方が好ましい。平均加熱速度が50℃/s未満であると、加熱帯長が長くなる、もしくは生産性が低下して経済的でなくなるので、平均加熱速度は50℃/s以上とする。なお平均加熱速度の上限は特に限定せず、用いる加熱設備によって適宜決定してよいが、設備能力上、500℃/s以下とすることができる。
加熱装置1としては、急速加熱および均一加熱が可能な通電加熱或いは誘導加熱等の電気加熱手段が好ましい。
この再加熱工程によって、ベイナイトおよびマルテンサイト主体の組織は焼き戻され、鋼帯は軟化され、プレス成形や鍛造に適した硬さの鋼材となる。
再加熱温度が700℃を超えると、オーステナイトが出現し、その後の冷却によりパーライトが析出し、炭素の不均一が生じて熱処理性が低下するため、再加熱温度の上限は700℃とする。再加熱温度の下限は特に限定しないが、十分軟化させるための観点から、380℃以上とすることが望ましい。
再加熱温度が高い場合(上限温度に近い場合)には、再度巻取るまでに十分焼戻しが進行するので、再度巻取る前に冷却を行ってもよい。再度巻取る前に積極的に冷却してから巻取るほうが、耐熱性の観点から巻取装置4を簡素化できる。
また、再度巻き取った後の鋼帯コイル2´の温度が低いと、鋼帯コイル2´が冷えるのを待つことなく、酸洗などの次工程に回すことができ、工程間のコイルの滞留量を減らすことができ生産性が向上する。
このように、再度巻き取り後の鋼帯コイル2´の温度を下げることで生産性が向上する上、再加熱温度を高くすることは加熱設備が大型化することから、再加熱温度を低く抑えてもよいが、再加熱温度が低い場合には軟化に時間がかかるので、再度巻取った後にコイル2´が自然に冷却されると焼戻量が少なくなりすぎる。
その場合は、再加熱工程して再度巻取りコイル2´とした後に、コイル2´が高温のまま、箱焼鈍を行い(図2参照)、焼戻し時間を長くすることが好ましい。
箱焼鈍を行う場合であっても、鋼帯コイル2´はあらかじめ予加熱されているので、通常の箱焼鈍とは異なり、箱焼鈍炉内での昇温が不要であり、箱焼鈍時間を短縮できる。
また、本発明においては、再加熱後、コイル状に巻き取った状態で冷却されるので、コイルの外周部がより迅速に冷却されることとなり、鋼帯長手方向において焼き戻しのムラが発生するおそれがある。
そのため、必要に応じて、鋼帯の長手方向に再加熱温度の分布を設けて、巻き終えた状態における鋼帯の冷却条件をコイル内外周で、均一化することもできる。
すなわち、コイル2を巻き解きながら加熱装置1にて再加熱する際、鋼帯の先端側よりも尾端側の方の再加熱温度が高くなるよう温度分布を付与することが好ましい。このような温度分布を付与した鋼帯を再度巻き取りコイル2´とすることで、このコイル2´の外周側と内周側との温度偏差を解消させることができる。
また、コイル2´にした時に鋼帯の両端は冷却されやすく、鋼帯幅方向において焼き戻しのムラが発生するおそれがあるので、必要に応じて、鋼帯の幅方向に再加熱温度の分布を設けて、コイル2´とした後の鋼帯幅方向の冷却条件を均一化することもできる。
すなわち、コイル2を巻き解きながら加熱装置1にて再加熱する際、鋼帯の幅方向の両端の再加熱温度が、鋼帯の幅方向中央の再加熱温度よりも高くなるよう温度分布を付与することが好ましい。このような温度分布を付与した鋼帯を再度巻き取りコイル2´とすることで、このコイル2´の幅方向での冷却条件を均一とすることができる。
従来の箱焼鈍による球状化焼鈍の場合でも、コイル長手、幅方向の加熱分布、冷却分布は軟質化に影響を及ぼすが、本発明における焼戻し(再加熱工程)による軟質化の場合は、特に温度履歴の影響を受けやすいので、再加熱温度分布を調整することは均一な焼き戻し強度を得るために重要である。
熱間圧延後の鋼帯は、一般に酸洗によって酸化スケールの除去が行われる。本発明では、再加熱工程で表面の酸化やブルーイングが生じるので、熱間圧延後に酸洗を行わず、再加熱後に酸洗を行うことが好ましい。
板厚の薄い鋼帯を製造する場合には、本発明により製造した鋼帯をさらに冷間圧延してもよい。また、部品製造時の熱処理における酸化スケールを防止するため、再度巻き取った後の鋼帯に、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、溶融アルミニウムめっきなどの各種溶融めっきや、Zn、Zn−Ni、Zn−Feなどの電気めっきを施してもよい。溶融めっきにおいて加熱を伴う場合は、最高加熱温度を700℃以下にすることが好ましい。
ここで、本発明が対象とする鋼帯は、Cを0.15〜1%含有するものとする。炭素量が多い場合は、熱間圧延後に巻取温度である550℃以下に冷却すると硬くなりすぎ、巻き取りが困難になったり、鋼帯が破断したりするので、C量の上限を1%とする。一方、炭素量が少ないと炭化物量も少なくなり、部品熱処理の加熱における炭化物溶解は迅速であるので、本発明の効果が小さい。本発明が対象とするC量の下限は、0.15%とする。
本発明が対象とする鋼帯の他の成分元素は特に限定せず、本発明の効果を損なわない範囲内であれば適宜決定してよいが、加工性および熱処理性を確保する観点から、以下のような成分組成を例示できる。
なお、以下の説明においては、特に指定の無い限り、「%」は質量%を表すものとする。
Si:0.05〜1.0%
Siは、脱酸剤として作用し、スケール密着性を向上させ、また、焼入れ性の向上に有効な元素である。0.05%未満では、熱延時にスケールが剥離しやすくなるので、下限を0.05%とすることが好ましい。一方1.0%を超えると、Ac3変態点が上昇し、熱処理性が劣化のおそれがあるので、上限を1.0%とすることが好ましい。
Mn:0.2〜3.0%
Mnは、脱酸剤として作用し、また、焼入れ性の向上に有効な元素である。0.2%未満では、添加効果が得られないので、下限を0.2%とすることが好ましい。一方、3.0%を超えると、熱間圧延荷重が増加し、焼入れ性が飽和するおそれがあるので、上限を3.0%とすることが好ましい。
P:0.005〜0.10%以下
Pは、固溶強化元素であり、鋼帯の強度に有効な元素である。過剰な含有は、靭性を阻害するので、上限を0.10%とすることが好ましい。0.005%未満に低減することは、精錬コストの上昇を招くので、下限を0.005%とすることが好ましい。
S:0.0005〜0.010%
Sは、非金属介在物を形成し、加工性や、熱処理後の靭性を阻害する原因となるので、上限を0.010%とすることが好ましい。0.0005%未満に低減することは、精錬コストの大幅な上昇を招くので、下限を0.0005%とすることが好ましい。
Al:0.005〜0.50%
Alは、脱酸剤として作用する元素である。0.005%未満では、添加効果が十分に得られないので、下限を0.005%とすることが好ましい。一方、0.50%を超えると、Ac3変態点が上昇し、熱処理性が劣化するので、上限を0.50%とすることが好ましい。
B:0.0003〜0.0050%
Bは、焼入れ性を向上させる元素であり、部品の用途に応じて必要により添加してよいが、0.0003%以下ではその効果が十分でないため、下限を0.0003%とすることが好ましい。一方、0.0050%を超えると、添加効果は飽和し、析出物を形成して靭性を劣化させるさらに、スラブの表面割れが生じるおそれがあるので、上限を0.0050%とすることが好ましい。
本実施形態においては、鋼帯の機械特性を強化するため、Cr、Ni、Cu、及び、Moの1種又は2種以上、Nb、V、Ti、及び、Wの1種又は2種以上、Ca,REMを添加してもよい。
また、鋼帯の原料としてスクラップを用いた場合、不可避的にSn、Sb、及び、Asの1種又は2種以上が混入する場合があるが、いずれも、極微量であれば本発明の効果を阻害しない。
また、鋼帯の溶製原料としてスクラップを用いた場合、Zn、Zr等の元素が、不可避的不純物として混入するが、本実施形態に係る鋼帯においては、本発明の効果、特性を阻害しない範囲で、上記元素の混入を許容する。なお、Zn、Zr等以外の元素でも、本発明鋼板の特性を阻害しない範囲で、混入を許容する。
本実施形態においては、上記した元素以外の残部は実質的にFeからなり、不可避不純物をはじめ、本発明の作用効果を害さない元素を微量に添加することができる。
以上説明した、本発明に係る高炭素鋼帯の製造方法によれば、従来の焼鈍方法(例えば、箱焼鈍)に比較して、熱処理に要する時間が短時間且つ低コストとなる上、加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯を高い生産性で製造することができる。その結果、本発明の高炭素鋼帯を加工する際において、プレス成形や鍛造などの二次加工が容易に実施できる上、その後の焼入れなどの熱処理性にもすぐれており、成形性と高強度が要求される自動車用部品等に適した鋼材を提供することができる。
次に、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、質量%で、C:0.20%、Si:0.25、Mn:1.3%、P:0.017、S:0.003、Al:0.04%、Ti:0.027、B:0.002%を含有する鋼を実験室で溶解し、熱間圧延により板厚2.0mmの鋼板となし、その後、再加熱処理を施した。
熱間圧延は、オーステナイト域である850℃で仕上圧延を完了し、その後、水スプレーにより表1に示す巻取温度まで冷却し、巻取温度に保持された炉の中で徐冷却した。熱延鋼板の冷却においては、実際の生産ラインにおいて鋼帯コイルとしたのちに大気中で冷却されることを想定して、この徐冷却の冷却速度は20℃/hとし、実生産における鋼帯コイルが大気中で冷却される速度を模擬した。
前述の徐冷却後の再加熱処理は、通電加熱装置を用いて、模擬した。具体的には、切板に直接通電することによって、100℃/sの平均加熱速度で表1に示す再加熱温度まで加熱し、その後、再加熱温度に保持された炉の中で徐冷却した。徐冷却の冷却速度は、20℃/hとした。なお、試験番号1−1は再加熱処理を行わなかった。
得られた鋼板の熱処理性を評価した。
熱処理性の評価は、通電加熱式の加熱装置で再加熱処理を行い徐冷却した後の鋼板の板厚中心のビッカース硬さを用いて評価した。具体的に、熱処理性評価の温度履歴は、昇温速度100℃/sで850℃まで昇温した後、冷却速度30℃/sで室温までガス冷却を行い、ビッカース硬さを測定した。
以上の試験を行った巻取温度、再加熱温度の組み合わせと、熱処理性評価試験の前(熱処理評価前)と後(熱処理評価後)のビッカース硬さを表1に示す。
なお、熱処理性の評価は以下のように判定した。
<熱処理評価前>
◎:HV<200
○:200≦HV<300
△:300≦HV<400
×:400<HV
<熱処理評価後>
○:HV≧400
×:400>HV
再加熱処理を行わなかった試験番号1−1は、熱処理評価前が硬すぎて加工用途に適さないが、再加熱処理を行ったものはいずれも、熱処理評価前のビッカース硬さが400未満に軟化している。
熱処理評価後の硬さは、巻取温度が本発明範囲より高い試験番号1−7,1−8および再加熱温度が本発明範囲より高い試験番号1−4では、熱処理評価後のビッカース硬さが400未満と低くなり熱処理性の向上が不十分となっている。
巻取温度および再加熱温度を本発明の条件範囲とした、試験番号1−2,1−3,1−5,1−6は、熱処理評価前の硬さが低く、熱処理評価後の硬さが高くなっており、加工性と熱処理性に優れている。
Figure 0006596905
(実施例2)
まず、質量%で、C:0.20%、Si:0.25、Mn:1.3%、P:0.017、S:0.003、Al:0.04%、Ti:0.027、B:0.002%を含有する鋼を実験室で溶解し、熱間圧延により板厚2.0mmの鋼板となし、その後、再加熱処理を施した。
熱間圧延は、オーステナイト域である850℃で仕上圧延を完了し、その後、水スプレーにより表2に示す巻取温度まで冷却し、巻取温度に保持された炉の中で徐冷却した。熱延鋼板の冷却においては、実際の生産ラインにおいて鋼帯コイルとしたのちに大気中で冷却されることを想定して、この徐冷却の冷却速度は20℃/hとし、実生産における鋼帯コイルが大気中で冷却される速度を模擬した。
前述の徐冷却後の再加熱処理は、通電加熱装置を用いて、模擬した。具体的には、切板に直接通電することによって、100℃/sの平均加熱速度で表2に示す再加熱温度まで加熱した。その後、再加熱温度に保持された炉へ鋼板を移動させ、再加熱温度に24h保持した後に徐冷却した。24hの保持は実生産における箱焼鈍を模擬したものであり、24h保持後の徐冷却の冷却速度は、20℃/hとした。
得られた鋼板の熱処理性を評価した。
熱処理性の評価は、通電加熱式の加熱装置で箱焼鈍を模擬した熱処理を行った後の鋼板の板厚中心のビッカース硬さを用いて評価した。具体的に、熱処理性評価の温度履歴は、昇温速度100℃/sで850℃まで昇温した後、冷却速度30℃/sで室温までガス冷却を行い、ビッカース硬さを測定した。
以上の試験を行った巻取温度、再加熱温度の組み合わせと、熱処理性評価試験の前(熱処理評価前)と後(熱処理評価後)のビッカース硬さを表2に示す。
なお、熱処理性の評価は実施例1と同様にして行った。
再加熱処理後に24hの保持を行った本実施例は、いずれも、熱処理評価前のビッカース硬さが300未満に軟化しており、24hの保持を行わない実施例1よりも軟質な鋼板が製造できている。
熱処理評価後の硬さは、巻取温度が本発明範囲より高い試験番号2−7および再加熱温度が本発明範囲より高い試験番号2−3、2−6では、熱処理評価後のビッカース硬さが400未満と低くなり熱処理性の向上が不十分となっている。
巻取温度および再加熱温度を本発明の条件範囲とした、試験番号2−1、2−2、2−4,2−5は、熱処理評価前の硬さが低く、熱処理評価後の硬さが高くなっており、加工性と熱処理性に優れている。
Figure 0006596905
本発明によれば、加工性に優れた高炭素鋼帯を高い生産性で製造することができ、プレス成形や鍛造などの二次加工が容易に実施できる上、その後の焼入れなどの熱処理性にもすぐれており、成形性と高強度が要求される自動車用部品等に適した鋼材を提供することができる。
1:加熱装置
2、2´:コイル(鋼帯コイル)
3:巻きほどき装置
4:巻取装置
S:鋼帯

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.15〜1.0%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.2〜3.0%、P:0.005〜0.10%、S:0.0005〜0.010%、Al:0.005〜0.50%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼を、オーステナイト域で熱間圧延して鋼帯とした後、この鋼帯を550℃以下の温度で巻き取りコイルとし、次いで、このコイルを巻き解きながら、巻き解かれた前記鋼帯を50℃/s以上の平均加熱速度で380℃以上、700℃以下まで再加熱処理し、再度、前記鋼帯を巻き取る高炭素鋼帯の製造方法であって、
    前記再加熱処理を行う際には、前記再加熱処理後に巻き取ったコイルの外周側が内周側よりも高温になる温度分布を持つように、前記鋼帯の長手方向に再加熱温度の分布を設けることを特徴とする加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の製造方法。
  2. 前記鋼は、前記Feに代えて、質量%で、B:0.0003〜0.0050%及びTi:0.027%以下の1種又は2種を含む、請求項1に記載の加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の製造方法。
  3. 前記再加熱処理を行う際、前記再加熱処理後の前記鋼帯をコイル状に巻き取ったときに、前記鋼帯の幅方向の両端の温度が前記鋼帯の幅中央の温度よりも高くなる温度分布を持つように、前記鋼帯の幅方向に再加熱温度の分布を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の製造方法。
  4. 質量%で、C:0.15〜1.0%、Si:0.05〜1.0%、Mn:0.2〜3.0%、P:0.005〜0.10%、S:0.0005〜0.010%、Al:0.005〜0.50%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼を、オーステナイト域で熱間圧延して鋼帯とした後、この鋼帯を550℃以下の温度で巻き取りコイルとし、次いで、このコイルを巻き解きながら、巻き解かれた前記鋼帯を50℃/s以上の平均加熱速度で380℃以上、700℃以下まで再加熱処理し、再度、前記鋼帯を巻き取る高炭素鋼帯の製造方法であって、
    前記再加熱処理を行う際、前記再加熱処理後の前記鋼帯をコイル状に巻き取ったときに、前記鋼帯の幅方向の両端の温度が前記鋼帯の幅中央の温度よりも高くなる温度分布を持つように、前記鋼帯の幅方向に再加熱温度の分布を設けることを特徴とする加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の製造方法。
  5. 前記鋼は、前記Feに代えて、質量%で、B:0.0003〜0.0050%及びTi:0.027%以下の1種又は2種を含む、請求項4に記載の加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の製造方法。
  6. 前記再加熱処理をし、再度、前記鋼帯を巻き取った後に、箱焼鈍することを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の加工性と熱処理性に優れた高炭素鋼帯の熱処理方法。
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