JP3800902B2 - 面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板およびその製造方法 - Google Patents

面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、引張特性の面内異方性が小さい加工用高炭素鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から高炭素鋼板は、ワッシャー、チェーン部品をはじめとした機械構造用部品などに使用されている。しかし、高炭素冷延鋼板は、低炭素鋼に比べて一般に硬質なため成形性に劣るだけでなく、熱間圧延、焼鈍および冷間圧延に起因して、機械的性質の面内異方性を生じるため、従来から鋳造、鍛造で製造されている高い寸法精度が要求されるギア部品への適用は困難であった。そのため、成形に対する機械的性質の面内異方性を小さくすることが大きな課題であった。
【0003】
そこで、これまでに、高炭素鋼板に関して、以下の技術が提案されている。
(1)材料とプロセス、Vol.1(1988)、p.1729(以下、従来技術1という)
一般に0.65%もの高濃度の炭素を含有し、組織がフェライト/セメンタイト組織を呈する鋼板(S65C)では、低炭素鋼板に比べて成形性が低く、面内異方性も大きい。この文献には、熱間圧延後、冷間圧延(冷延率50%)および650℃で24hrのバッチ焼鈍を施し、さらに二次冷間圧延(冷延率65%)および680℃で24hrのバッチ焼鈍を行うことにより、加工性に優れた高炭素冷延鋼板を製造することが記載されている。また、セメンタイトを黒鉛化することを目的として、S65C中の化学成分を調整し、熱間圧延後、冷間圧延(冷延率50%)および650℃で24hrのバッチ焼鈍を施し、さらに二次冷間圧延(冷延率65%)および680℃で24hrの二次バッチ焼鈍を行うことにより、引張強度が低下し、r値と伸びが向上し、かつr値の面内異方性も低炭素鋼板と同等となる高炭素冷延鋼板の製造方法についても示されている。
【0004】
(2)特開平10−152757号公報(以下、従来技術2という)
この公報には、高炭素鋼板の機械的性質の異方性の原因は圧延方向に細長く展伸した硫化物系非金属介在物の存在であるとし、C、Si、Mn、P、Cr、Ni、Mo、V、Ti、Alを規制するとともに、S含有量を重量で0.002%以下まで低減させ、介在物の圧延方向の平均長さを6μm以下とし、圧延方向の長さが4μm以下の介在物の個数が、全介在物個数の80%以上とすることにより、衝撃値と全伸びについて圧延方向に直交する方向の機械的性質に対する圧延方向の機械的性質の比で0.9〜1.0の範囲になるように面内異方性を小さくした高炭素鋼板を製造することが記載されている。
【0005】
(3)特開平6−271935号公報(以下、従来技術3という)
この公報には、C、Si、Mn、Cr、Mo、Ni、B、Alを特定した高炭素鋼板を熱間圧延する際に、熱間仕上げ温度をAr変態点以上とし、熱間圧延終了から巻取りまでを30℃/sec以上で冷却し、550〜700℃の温度域で巻取るとともに、脱スケールし、その後、600〜680℃の温度で焼鈍し、40%以上の圧下率で冷間圧延し、さらに600〜680℃の温度で焼鈍した後、調圧することにより、焼入れ、焼戻し等の熱処理時に寸法変化の小さい高炭素冷延鋼板を製造することが記載されている。
【0006】
しかしながら、上述した従来技術は以下のような問題点を有している。
すなわち、従来技術1では、フェライト/セメンタイト組織を有するS65Cについては、r値の平均値は1.3程度と高いものの、圧延方向に対し0°方向(L方向)、45°方向(S方向)、90°方向(C方向)のそれぞれの方向についてのr値であるr0、r45、r90からΔr=(r0+r90−2×r45)/4で規定されるr値の面内異方性指数Δrが−0.47であり、また、前記r値の最大格差であるΔmaxが1.17であって、r値の面内の異方性は非常に大きい。また、冷間圧延−焼鈍プロセスを2回も行うため、製造コストが高くなるという問題点を有している。一方、黒鉛化した高炭素鋼板については、r値がさらに向上し、Δrが0.34、Δmaxが0.85といずれも小さくなってはいるが、依然としてr値の面内異方性は大きい。
【0007】
また、従来技術2では、衝撃値と全伸びに対する面内異方性について考慮しているのみで、鋼板の成形性の重要な指標となるr値やn値等に対する面内異方性については検討されていない。
【0008】
さらに、従来技術3は、焼入れ焼戻し等の熱処理時に寸法変化が小さい高炭素鋼板の製造方法が記載されているが、成形性に対する面内異方性に関しては検討されていない。
【0009】
ところで、近年、高炭素鋼板のユーザーにおいては、低コスト化のために成形工程の簡略化が検討されるようになっており、それにともない素材としての高炭素鋼板には、上述のような成形性の面内異方性が小さいことに加え、複雑形状を少ない工程でも成形できる優れた成形性が強く要求されている。
【0010】
高炭素鋼板の成形性を向上させるための技術として以下の技術が提案されている。
(4)特開平5−9588号公報(以下、従来技術4という)
この公報には、熱間圧延後の鋼帯を10℃/sec以上の冷却速度で20〜500℃の温度範囲に冷却し、その後500℃以上(Ac変態点+30℃)の温度範囲に再加熱して、その温度で巻取り、さらに冷間圧延後650℃以上(Ac変態点+30℃)の温度範囲で1時間以上熱処理することによりセメンタイトの球状化を促進させ、軟質・高延性化して成形性を向上させる方法が記載されている。
【0011】
しかし、本発明者等が上記従来技術4に記載された方法と同様の方法を用いて高炭素鋼板の延性について検討したところ、S35C相当材で、せいぜい伸びが35%程度であり、ユーザーにおける成形工程の簡略化に対応できる程度の優れた延性を有する高炭素鋼板が必ずしも得られなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情に鑑みてなされるものであって、引張特性に対する面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。さらに、面内異方性の小さいことに加え延性に優れた加工用高炭素鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2%以上の成分系を有する高炭素冷延鋼板について、引張特性の面内異方性、またはこれに加えて延性が良好になる条件について検討を重ねた結果、熱延後の巻取り温度、一次焼鈍温度、冷間圧延率および二次焼鈍温度を適正に制御することが有効であることを見出した。
【0014】
また、熱間粗圧延後に粗バーまたは圧延材をAr変態点以上の温度で誘導加熱した上で、これら熱延後の巻取り温度、一次焼鈍温度、冷間圧延率および二次焼鈍温度を適正に制御することにより、板厚方向の組織が均一であり、引張特性に対する異方性が一層小さい高炭素鋼板を得ることができることを見出した。
【0015】
さらに、仕上圧延後、巻取りまでの冷却条件、巻取温度、一次焼鈍温度、冷間圧延率および二次焼鈍温度を適正に制御することにより、引張特性に対する異方性が極めて小さいのみならず、延性に優れた高炭素鋼板を得ることができることを見出した。
【0016】
また、以上により得られる高炭素鋼板は、Δrが−0.15超〜0.15未満、さらにはr値のΔmaxが0.2未満という極めて小さい値となることが確認された。
【0017】
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、第1発明は、JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2質量%以上の成分系を有し、脱酸剤としてのAl以外の残部がFeおよび不可避的不純物からなる高炭素鋼板であって、以下に示す、r値の面内異方性指数Δrが−0.15超〜0.15未満であることを特徴とする面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板を提供する。
Δr=(r0+r90−2×r45)/4
ただし、r0、r45、r90は、それぞれ、圧延方向に対し、0°方向(L方向)、45°方向(S方向)、90°方向(C方向)のr値を示す。
【0018】
第2発明は、JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2質量%以上の成分系を有し、脱酸剤としてのAl以外の残部がFeおよび不可避的不純物からなる熱間仕上圧延後の鋼板を500〜650℃で巻取り、
次いで巻取り後の鋼板を脱スケールした後、630〜700℃で20hr以上の一次焼鈍を施し、
50%以上の圧下率で冷間圧延し、
その後600〜710℃で二次焼鈍し、上記第1発明の高炭素鋼板を得ることを特徴とする面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板の製造方法を提供する。
【0019】
第3発明は、JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2質量%以上の成分系を有し、脱酸剤としてのAl以外の残部がFeおよび不可避的不純物からなる高炭素鋼板であって、圧延方向に対し、0°方向(L方向)のr値と、45°方向(S方向)のr値と、90°方向(C方向)のr値のうち最大のものと最小のものとの差である最大格差が0.2未満であることを特徴とする面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板を提供する。
【0020】
第4発明は、JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2質量%以上の成分系を有し、脱酸剤としてのAl以外の残部がFeおよび不可避的不純物からなる熱間仕上圧延後の鋼板を500〜650℃で巻取り、
次いで巻取り後の鋼板を脱スケールした後、630〜700℃で20hr以上の一次焼鈍を施し、
50%以上の圧下率で冷間圧延し、
その後以下の(1)式を満足する温度で二次焼鈍し、上記第3発明の高炭素鋼板を得ることを特徴とする面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板の製造方法を提供する。
960−0.5×T≦T≦1153−0.72×T …(1)
ただし、T:一次焼鈍温度(℃)、T:二次焼鈍温度(℃)
【0021】
第5発明は、JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2質量%以上の成分系を有し、脱酸剤としてのAl以外の残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋳造スラブを連続鋳造まま、または冷却後所定の温度に加熱した後、粗圧延機によって粗圧延して、粗バーとし、
引き続いて、連続熱間仕上げ圧延機によって仕上圧延するに際して、仕上げ圧延機の入り側、あるいは仕上げ圧延機のスタンド間で、上記粗バーまたは、圧延材をAr変態点以上の温度に誘導加熱し、
熱間仕上圧延後の鋼板を500〜650℃の温度で巻取り、
次いで巻取り後の鋼板を脱スケールした後、630〜700℃で20hr以上の一次焼鈍を施し、
次いで焼鈍後の鋼板を50%以上の圧下率で冷間圧延し、
その後以下の(2)式を満足する温度で二次焼鈍し、上記第3発明の高炭素鋼板を得ることを特徴とする面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板の製造方法を提供する。
950−0.49×T≦T≦1160−0.72×T …(2)
ただし、T:一次焼鈍温度(℃)、T:二次焼鈍温度(℃)
【0022】
第6発明は、JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2質量%以上の成分系を有し、脱酸剤としてのAl以外の残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延工程にてAr変態点以上の仕上温度で圧延し、仕上圧延された鋼板を7℃/s以上の冷却速度でAr−100℃まで冷却し、冷却した後の鋼板を560〜640℃の温度域で2〜10秒保持し、
その後熱間仕上圧延後の鋼板を500〜630℃で巻取り、
次いで巻取り後の鋼板を脱スケールした後、640〜700℃で20hr以上の一次焼鈍を施し、
次いで焼鈍後の鋼板を50%以上の圧下率で冷間圧延し、
その後以下の(3)式を満足する温度で二次焼鈍し、上記第3発明の高炭素鋼板を得ることを特徴とする延性に優れた面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板の製造方法を提供する。
1015−0.58×T≦T≦1230−0.83×T …(3)
ただし、T:一次焼鈍温度(℃)、T:二次焼鈍温度(℃)
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
まず、本発明の第1の高炭素鋼板について説明する。
第1の高炭素鋼板は、JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2質量%以上の成分系を有し、脱酸剤としてのAl以外の残部がFeおよび不可避的不純物からなる高炭素鋼板であって、以下に示す、r値の面内異方性指数Δrが−0.15超〜0.15未満である。
Δr=(r0+r90−2×r45)/4
ただし、r0、r45、r90は、それぞれ、圧延方向に対し、0°方向(L方向)、45°方向(S方向)、90°方向(C方向)のr値を示す。
【0024】
このようにΔrを−0.15超〜0.15未満と極めて小さくすることにより、従来から鍛造、鋳造で製造されている高い寸法精度が要求されるギア部品への適用が可能となる。
【0025】
このような第1の高炭素鋼板を製造するに際しては、上記成分系を有する熱間仕上圧延後の鋼板を500〜650℃で巻取り、次いで巻取り後の鋼板を脱スケールした後、630〜700℃で20hr以上の一次焼鈍を施し、50%以上の圧下率で冷間圧延し、その後600〜710℃で二次焼鈍する。
以下限定理由について説明する。
【0026】
(1)熱延巻取温度:500〜650℃
巻取温度が500℃未満になるとパーライト組織が極めて微細になるため、一次焼鈍でカーバイトが著しく微細となり、二次焼鈍時の粒成長性が抑制されr値の面内異方性が小さくなる集合組織が形成されないことから、500℃を下限とした。一方、温度が高くなりすぎると粗大パーライトが生成してしまい、二次焼鈍後もラメラー状のカーバイトが残留し、加工性が低下するため、650℃を上限とした。
【0027】
(2)一次焼鈍条件:630〜700℃、20hr以上
巻取り後の熱延板に対しては、酸洗等の脱スケール後に炭化物の球状化を目的とした一次焼鈍を行う。一次焼鈍温度が700℃よりも高くなると再結晶、粒成長が顕著に生じて、S方向のr値がLおよびC方向のr値の平均値より小さくなる、いわゆるV型のr値の異方性が増大してしまうため、700℃を上限とした。一方、一次焼鈍温度が630℃未満になると炭化物の球状化が困難となり、二次焼鈍後もラメラー状のカーバイトが残留し、加工性が低下するため、630℃を下限とした。なお、焼鈍時間は球状化を促進するために20hr以上とした。
【0028】
(3)冷間圧延率:50%以上
冷延率が高くなるほどr値の面内異方性が小さくなる集合組織が形成されるが、r値の面内異方性を十分に小さくするためには少なくとも50%以上の冷間圧延率が必要である。なお、上限は特に限定しないが、80%超えるような高い冷延率では、通板性が著しく低下するので、80%以下であることが好ましい。
【0029】
(4)二次焼鈍条件:600〜710℃
冷延板に対しては、再結晶を目的とした二次焼鈍を行う。二次焼鈍温度が710℃よりも高くなると再結晶、粒成長が顕著に生じて、C方向のr値がLおよびS方向のr値よりも著しく大きくなり、r値の異方性が増大してしまうため、710℃を上限とした。一方、二次焼鈍温度が600℃未満になると未再結晶部が残留し、加工性が低下するため、600℃を下限とした。なお、焼鈍は連続焼鈍および箱焼鈍のいずれでもよい。
【0030】
次に、本発明の第2の高炭素鋼板について説明する。
第2の高炭素鋼板は、JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2質量%以上の成分系を有し、脱酸剤としてのAl以外の残部がFeおよび不可避的不純物からなる高炭素鋼板であって、圧延方向に対し、0°方向(L方向)のr値と、45°方向(S方向)のr値と、90°方向(C方向)のr値のうち最大のものと最小のものとの差である最大格差が0.2未満である(以下、この最大格差をr値のΔ max という)
【0031】
このようにr値のΔmaxを0.2未満と極めて小さくすることにより、従来から鍛造、鋳造で製造されている極めて高い寸法精度が要求されるギア部品への適用が可能となる。
【0032】
このような第2の高炭素鋼板を製造するに際しては、以下の第1、第2および第3の方法を適用することができる。
【0033】
まず、第1の方法について説明する。
第1の方法においては、上記成分系を有する熱間仕上圧延後の鋼板を500〜650℃で巻取り、次いで巻取り後の鋼板を脱スケールした後、630〜700℃で20hr以上の一次焼鈍を施し、50%以上の圧下率で冷間圧延し、その後以下の(1)式を満足する温度で二次焼鈍する。
960−0.5×T≦T≦1153−0.72×T …(1)
(ただし、T:一次焼鈍温度(℃)、T:二次焼鈍温度。以下同じ。)
以下限定理由について説明する。
【0034】
(1)熱延巻取温度:500〜650℃
前記第1の高炭素鋼板を製造する方法と同様、巻取温度が500℃未満になるとr値の面内異方性が小さくなる集合組織が形成されないことから、500℃を下限とした。一方、650℃を超えると加工性が低下するため、650℃を上限とした。
【0035】
(2)一次焼鈍条件:630〜700℃、20hr以上
巻取り後の熱延板に対しては、酸洗等の脱スケール後に炭化物の球状化を目的とした一次焼鈍を行うが、前記第1の高炭素鋼板の製造方法と同様、一次焼鈍温度が700℃よりも高くなると、いわゆるV型のr値の異方性が増大してしまうため、700℃を上限とした。一方、一時焼鈍温度が630℃未満になると加工性が低下するため、630℃を下限とした。なお、焼鈍時間は球状化を促進するために20hr以上とした。
【0036】
(3)冷間圧延率:50%以上
前記第1の高炭素鋼板の製造方法と同様、r値の面内異方性を十分に小さくするためには50%以上とする。なお、上限は特に限定しないが、前記第1の高炭素鋼板の製造方法と同様に、通板性を良好に保つ観点からは80%以下であることが好ましい。
【0037】
(4)二次焼鈍条件:
960−0.5×T≦T≦1153−0.72×T
二次焼鈍条件は、r値の面内異方性を小さくするために一次焼鈍温度に対して適正に制御すべき必須条件である。そこで、面内異方性に及ぼす一次焼鈍条件と二次焼鈍条件の影響について調査した。その調査結果について、以下に説明する。
【0038】
質量%で、C:0.34%、Si:0.19%、Mn:0.73%、P:0.012%、S:0.001%、Al:0.021%の鋼を溶解後、仕上温度:850℃、巻取温度:580℃で熱間圧延し、酸洗後、一次焼鈍を630〜700℃で40hr行い、冷間圧延の圧下率を60%とし、二次焼鈍を610〜710℃で40hr行った鋼板について、引張試験にて面内異方性を調査した。その結果を図1に示す。図1はr値の面内異方性に関する一次焼鈍温度Tと二次焼鈍温度Tの関係示す図である。図1に示すように二次焼鈍温度Tが(960−0.5×T)以上、(1153−0.72×T)以下の範囲でΔrmaxが0.2未満となり、面内異方性が小さくなることが明らかになった。したがって、二次焼鈍温度Tを960−0.5×T≦T≦1153−0.72×Tの範囲とする。なお、上記Δrmaxは、L、S、C方向のr値の最大格差を示す。また、焼鈍は連続焼鈍および箱焼鈍のいずれでもよい。
【0039】
次に、第2の方法について説明する。
第2の方法においては、上記成分系を有する鋳造スラブを連続鋳造まま、または冷却後所定の温度に加熱した後、粗圧延機によって粗圧延して、粗バーとし、引き続いて、連続熱間仕上げ圧延機によって仕上圧延するに際して、仕上げ圧延機の入り側、あるいは仕上げ圧延機のスタンド間で、上記粗バーまたは、圧延材をAr変態点以上の温度に誘導加熱し、熱間仕上圧延後の鋼板を500〜650℃の温度で巻取り、次いで巻取り後の鋼板を脱スケールした後、630〜700℃で20hr以上の一次焼鈍を施し、次いで焼鈍後の鋼板を50%以上の圧下率で冷間圧延し、その後以下の(2)式を満足する温度で二次焼鈍する。
950−0.49×T≦T≦1160−0.72×T …(2)
これにより、板厚方向の組織が均一であり、引張特性の面内異方性が第1の方法よりも一層小さい高炭素鋼板を得ることができる。
以下限定理由について説明する。
【0040】
(1)誘導加熱
誘導加熱処理は、熱間圧延中のγ粒径および組織を板厚方向に均一化させ、巻取後の鋼板の組織の均一化を図り、二次焼鈍後に引張特性に対する面内異方性が小さくなる集合組織を板厚方向に均一に形成させる。具体的には、粗圧延後、続熱間仕上げ圧延機によって仕上圧延するに際し、仕上圧延前に仕上げ圧延機の入り側で粗バーに対して、あるいは仕上圧延中に仕上げ圧延機のスタンド間で圧延材に対して、Ar変態点以上の温度の誘導加熱を少なくとも1回以上行う。加熱温度をAr変態点以上としたのは、γ粒径および組織の均一化のためである。また、加熱時間は少なくとも3秒以上とするのが望ましい。なお、加熱処理は、昇温および降温保持も含む。
【0041】
(2)熱延巻取温度:500〜650℃
前記第1の高炭素鋼板を製造する方法と同様、巻取温度が500℃未満になるとr値の面内異方性が小さい集合組織が形成されず、650℃を超えると加工性が低下するため、巻取温度を500〜650℃の範囲とする。
【0042】
(3)一次焼鈍条件:630〜700℃、20hr以上
脱スケール後の熱延板に対し、炭化物の球状化を目的とした一次焼鈍を行うが、前記第1の高炭素鋼板を製造する方法と同様、一次焼鈍温度が700℃よりも高くなるといわゆるV型のr値の異方性が増大してしまい、一方630℃未満になると加工性が低下するため、一次焼鈍温度を630〜700℃とし、球状化の促進の観点から焼鈍時間を20hr以上とする。
【0043】
(4)冷間圧延率:50%以上
前記第1の高炭素鋼板を製造する方法と同様、r値の面内異方性を十分に小さくするために冷間圧延率を50%以上とする。また、前記第1の高炭素鋼板を製造する方法と同様、通板性を良好に保つ観点からは80%以下であることが好ましい。
【0044】
(5)二次焼鈍条件:
950−0.49×T≦T≦1160−0.72×T
前記第1の方法と同様、二次焼鈍条件は、r値の面内異方性を小さくするために一次焼鈍温度に対して適正に制御すべき必須要件である。そこで、面内異方性に及ぼす一次焼鈍条件と二次焼鈍条件の影響について調査した。その調査結果について以下に説明する。
【0045】
重量%で、C:0.35%、Si:0.18%、Mn:0.72%、P:0.011%、S:0.001%、Al:0.022%の鋼を溶解後、スラブを仕上圧延前に、粗バーを誘導加熱により1010℃で15秒の加熱処理を行い、850℃の仕上温度で仕上圧延し、仕上圧延後、580℃の巻取温度で巻取り、酸洗後、一次焼鈍を630〜700℃で40hr行い、冷間圧延の圧下率を60%とし、二次焼鈍を610〜710℃で40hr行った鋼板について、引張試験にて引張特性の面内異方性を測定し、X線回折にて鋼板表面、板厚1/4、板厚1/2の各位置の圧延面に平行な面について積分反射強度を調査した。表1は、積分反射強度の板厚方向の測定結果を示す。粗バーの誘導加熱を行うことにより、(222)積分反射強度の最大格差が減少しており、組織が板厚方向に均一化して形成されている。図2は本方法に従って粗バーを誘導加熱した場合のr値の面内異方性に関する一次焼鈍温度Tと二次焼鈍温度Tの関係を示す。上記第1の方法に従って誘導加熱しない場合、図1に示すように、二次焼鈍温度が(960−0.5×T)以上でかつ(1153−0.72×T)以下の範囲で、Δrmaxが0.2未満となるが、粗バーの誘導加熱を行うことにより、二次焼鈍温度Tが(950−0.49×T)以上でかつ(1160−0.72×T)以下の範囲に広がるとともに、Δrmaxが0.2未満から0.15未満へ減少し、より広い範囲で面内異方性が一層小さくなることが明らかになった。このため、第2の方法では二次焼鈍温度Tを950−0.49×T≦T≦1160−0.72×Tと第1の方法よりも広い範囲に規定している。なお、上記Δrmaxは、L、S、C方向のr値の最大格差を示す。また、焼鈍は連続焼鈍および箱焼鈍のいずれでもよい。
【0046】
【表1】
Figure 0003800902
【0047】
次に、第3の方法について説明する。
第3の方法においては、上記成分系を有する鋼を熱間圧延工程にてAr変態点以上の仕上温度で圧延し、仕上圧延された鋼板を7℃/s以上の冷却速度でAr−100℃まで冷却し、冷却した後の鋼板を560〜640℃の温度域で2〜10秒保持し、その後熱間仕上圧延後の鋼板を500〜630℃で巻取り、次いで巻取り後の鋼板を脱スケールした後、640〜700℃で20hr以上の一次焼鈍を施し、次いで焼鈍後の鋼板を50%以上の圧下率で冷間圧延し、その後以下の(3)式を満足する温度で二次焼鈍する。
1015−0.58×T≦T≦1230−0.83×T …(3)
これにより、上述のように引張特性に対する面内異方性が極めて小さいのみならず、延性に優れた高炭素鋼板を得ることができる。
以下限定理由について説明する。
【0048】
(1)熱延仕上温度:Ar変態点以上
熱間圧延において、Ar変態点未満のα域圧延が行われると、板厚方向で不均一なパーライト組織となり、その後の冷間圧延、焼鈍工程を経ても組織は均一化されず、延性が低下する。したがって、仕上温度はAr変態点以上とする。
【0049】
(2)熱間圧延後Ar変態点−100℃までの冷却速度:7℃/sec以上熱間圧延後の鋼板は、その後行われる球状化焼鈍(一次焼鈍)で、延性に好ましい組織を形成させるためにポリゴナルフェライトの生成を抑制し、均一なパーライトを有することが必要である。そのためには、パーライト変態のノーズ近傍の温度範囲に保持して、短時間でパーライト変態を終了させればよい。しかし、熱間圧延後のAr変態点−100℃までの冷却速度が7℃/sec未満の場合、冷却中の初析ポリゴナルフェライトが生成し、熱延板組織がポリゴナルフェライト+パーライトの混合組織となり、二次焼鈍後はフェライト粒径が不均一な混粒組織となるため延性が低下する。したがって、熱間圧延後Ar変態点−100℃までの冷却速度を7℃/sec以上とする。
【0050】
(3)冷却保持温度および保持時間:560〜640℃、2秒〜10秒
冷却後の保持温度が、560℃未満の場合、ポリゴナルフェライトの生成は生じないが、パーライトのコロニーサイズが小さくなり、球状化焼鈍時にコロニー境界部のカーバイトが著しく粗大化し、延性が低下する。一方、640℃を超える場合、一部ポリゴナルフェライトが生成するとともにパーライトも粗大化し、延性が低下する。また、保持時間が2秒未満の場合ではパーライト変態が終了せず、10秒を超える場合ではパーライトの粗大化を招き、均一なパーライトが得られない。したがって、冷却保持温度を560〜640℃とし、保持時間を2秒〜10秒とする。
【0051】
なお、560〜640℃の温度範囲における保持は、必ずしもこの温度範囲の一定温度で行われる必要はなく、温度傾斜があってもこの温度範囲に2〜10秒保持されていればよい。実際に、この温度範囲で短時間保持するには、例えば、熱間圧延後の散水による冷却をこの温度範囲で短時間中止し、または水量を低減し温度制御を行えばよい。
【0052】
(4)熱延巻取温度:500〜630℃
前記第1の高炭素鋼板を製造する方法と同様、巻取温度が500℃未満になるとr値の面内異方性が小さい集合組織が形成されず、650℃を超えると加工性が低下するため、巻取温度を500〜650℃の範囲とする。
【0053】
(5)一次焼鈍条件:640〜700℃、20hr以上
脱スケール後の熱延板に対し、炭化物の球状化を目的とした一次焼鈍を行うが、前記第1の高炭素鋼板を製造する方法と同様、一次焼鈍温度が700℃よりも高くなるといわゆるV型のr値の異方性が増大してしまう。一方640℃未満になると炭化物の球状化が不十分となり、二次焼鈍後の組織が一部混粒となり、延性が低下する。したがって、一次焼鈍温度を640〜700℃とする。また、前記第1の高炭素鋼板を製造する方法と同様、球状化の促進の観点から焼鈍時間を20hr以上とする。
【0054】
(6)冷間圧延率:50%以上
前記第1の高炭素鋼板を製造する方法と同様、r値の面内異方性を十分に小さくするために冷間圧延率を50%以上とする。また、前記第1の高炭素鋼板を製造する方法と同様、通板性を良好に保つ観点から80%以下であることが好ましい。
【0055】
(7)二次焼鈍条件:
1015−0.58×T≦T≦1230−0.83×T
前記第1の方法と同様、二次焼鈍条件は、r値の面内異方性を小さくするために一次焼鈍温度に対して適正に制御すべき必須要件である。そこで、面内異方性に及ぼす一次焼鈍条件と二次焼鈍条件の影響について調査した。その調査結果について以下に説明する。
【0056】
質量%で、C:0.34%、Si:0.19%、Mn:0.73%、P:0.012%、S:0.001%、Al:0.021%の鋼を溶解後、850℃の仕上温度で仕上圧延し、仕上圧延後、冷却速度を7℃/sec以上でAr変態点−100℃まで冷却し、冷却後560〜640℃の温度域で2〜10秒の保持し、580℃の巻取温度で巻取り、酸洗後、一次焼鈍を640〜700℃で40hr行い、冷間圧延の圧下率を60%とし、二次焼鈍を610〜710℃で40hr行った鋼板について、引張試験にて面内異方性を調査した。その結果を図3に示す。図3はr値の面内異方性に関する一次焼鈍温度Tと二次焼鈍温度Tの関係を示す。図3に示すように、二次焼鈍温度Tが(1015−0.58×T)以上、(1230−0.83×T)以下の範囲で、Δrmaxが0.2未満となり、面内異方性が小さくなることが明らかになった。したがって、二次焼鈍温度Tを、1015−0.58×T≦T≦1230−0.83×Tの範囲とする。なお、上記Δrmaxは、L、S、C方向のr値の最大格差を示す。また、焼鈍は連続焼鈍および箱焼鈍のいずれでもよい。
【0057】
なお、本発明においては、鋼板を製造する際に、スラブを加熱した後に圧延する方法としては、連続鋳造後短時間の加熱処理を施す方法、またはこの加熱工程を省略して、直ちに圧延する方法のいずれの方法を採用してもよいが、特にスラブを室温まで冷却せずに再加熱する方法は、省エネルギーの観点からより好ましい。また、熱間圧延中において、均熱を目的として、バーヒーター等により加熱しても何ら問題はない。バーヒーターによる加熱は、コイルbox等を用いた連続熱延プロセスに対しても効果的に使用することができる。この際、粗圧延バーの加熱は上記以外に、コイルboxの前後や粗圧延機の間または後に行ってもよい。またコイルboxの後で溶接機の前後で粗圧延バーの加熱を行っても本発明の効果は十分に発揮される。さらに、このようにして製造された鋼板の表面に対し摺動性向上のため、亜鉛めっき後、りん酸塩処理を施してもよい。亜鉛めっきは、電気亜鉛めっき法、溶融亜鉛めっき法等によって施すことができる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例について、比較例と比較しつつ説明する。
(実施例1)
この実施例では第1の高炭素鋼板を製造する方法の例について示す。
JIS G4051のS35C相当の成分系(質量で、C:0.35%、Si:0.20%、Mn:0.76%、P:0.016%、S:0.003%、Al:0.026%)のスラブを連続鋳造により製造し、このスラブを1100℃に加熱し、熱間圧延し、冷却した後、表2に示す条件で巻取り、一次焼鈍、冷間圧延、二次焼鈍を順次行い、その後、1.5%の調質圧延を施して、板厚1.0mmの鋼板を作製した。なお、サンプルNo.Iは、従来材である。
【0059】
【表2】
Figure 0003800902
【0060】
これらの試料について、圧延方向に対し0°方向(L方向)、45°方向(S方向)、90°(C方向)に沿ってJIS5号試験片を採取し、引張速度10mm/minで引張試験を行い、各方向の引張特性を測定し、面内異方性について評価した。結果を表3に示す。なお、表3中の降伏強度、引張強度および全伸びの各欄に記載したΔmaxとは、それぞれの引張特性値のL、S、C方向における最大格差を示している。また、表3中のr値の欄に記載したΔrとは、Δr=(r0+r90−2×r45)/4により規定される値である。ここで、前記r0、r45、r90は、それぞれ圧延方向に対し、0°方向(L方向)、45°方向(S方向)、90°方向(C方向)におけるr値を示す。
【0061】
【表3】
Figure 0003800902
【0062】
表3に示すように本発明例であるNo.A〜No.Cは、降伏強度および引張強度のΔmaxが10MPa以下、伸びのΔmaxが1.5%以下、r値のΔrが−0.15超〜0.15未満であり、面内での引張特性の異方性が小さいことが確認された。
【0063】
一方、比較例では、Δrが大きくなっており、面内異方性に劣っていることが確認された。例えば、巻取り温度が低い場合(No.D)には、伸びのΔmaxが2.0%、r値のΔrが0.18となり、一時焼鈍温度が高い場合(No.E)にはr値のΔrが0.20となり、冷間圧延率が40%と低い場合(No.F)には降伏強度のΔmaxが14、引張強度のΔmaxが16、r値のΔrが0.19とそれぞれ大きくなり、二次焼鈍温度が高い場合(No.G)にはr値のΔrが0.23と大きくなり、二次焼鈍温度が低い場合(No.H)にはr値のΔrが−0.29と大きくなり、いずれの場合も面内異方性が大きかった。また、従来材のNo.Iも、r値のΔrが0.18と高く、面内異方性が大きかった。
(実施例2)
この実施例では第2の高炭素鋼板を製造する第1の方法の例について示す。
JIS G4051のS35C相当の成分系(質量で、C:0.34%、Si:0.19%、Mn:0.73%、P:0.012%、S:0.001%、Al:0.021%)のスラブを連続鋳造により製造し、このスラブを1100℃に加熱し、熱間圧延し、冷却した後、表4に示す条件で巻取り、一次焼鈍、冷間圧延、二次焼鈍を順次行い、その後、1.5%の調質圧延を施して、板厚2.5mmの16種類の鋼板を作製した。なお、サンプルNo.16は、従来材である。
【0064】
【表4】
Figure 0003800902
【0065】
これらの試料について、圧延方向に対し0°方向(L方向)、45°方向(S方向)、90°(C方向)に沿ってJIS5号試験片を採取し、引張速度10mm/minで引張試験を行い、各方向の引張特性を測定し、面内異方性について評価した。結果を表5に示す。なお、表5中の降伏強度、引張強度、全伸び、およびr値の各欄に記載したΔmaxとは、それぞれの引張特性値のL、S、C方向における最大格差を示している。
【0066】
【表5】
Figure 0003800902
【0067】
表5に示すように本発明例であるNo.1〜No.7は、降伏強度および引張強度のΔmaxが10MPa以下、伸びのΔmaxが1.5%以下、r値のΔmaxが0.2未満であり、面内での引張特性の異方性が極めて小さいことが確認された。
【0068】
一方、比較例では、引張特性のいずれかについてΔmaxが大きくなり、面内異方性に劣っていることが確認された。例えば、一次焼鈍温度が高い場合(No.11)には、r値のΔmaxが0.30となり、冷延率が30%と低い場合(No.13)には、降伏強度、引張強度およびr値のΔmaxがそれぞれ18、13および0.59と大きくなり、いずれも面内異方性が大きかった。また、従来材のNo.16も、r値のΔmaxが0.42と高く、面内異方性が大きかった。
【0069】
(実施例3)
この実施例も第2の高炭素鋼板を製造する第1の方法の例について示す。
JIS G4802のS65C−CSP相当の成分系(質量で、C:0.64%、Si:0.20%、Mn:0.75%、P:0.010%、S:0.003%、Al:0.019%)のスラブを連続鋳造により製造し、このスラブを1100℃に加熱し、熱間圧延し、冷却した後、表6に示す条件で巻取り、一次焼鈍、冷間圧延、二次焼鈍を順次行い、板厚2.5mmの16種類の鋼板を作製した。なお、サンプルNo.32は従来材である。
【0070】
【表6】
Figure 0003800902
【0071】
これらの試料について、圧延方向に対し0°方向(L方向)、45°方向(S方向)、90°(C方向)に沿ってJIS5号試験片を採取し、引張速度10mm/minで引張試験を行い、各方向の引張特性を測定し、面内異方性について評価した。その結果を表7に示す。なお、表7中の降伏強度、引張強度、全伸び、およびr値の各欄に記載したΔmaxとは、それぞれの引張特性値のL、S、C方向における最大格差を示している。
【0072】
【表7】
Figure 0003800902
【0073】
表7に示すように本発明例であるNo.17〜No.23は、降伏強度および引張強度のΔmaxが20MPa以下、伸びのΔmaxが2.0%以下、r値のΔmaxが0.2未満であり、面内での引張特性の異方性が極めて小さいことが確認された。
【0074】
一方、比較例では、引張特性のいずれかについてΔmaxが大きくなり、面内異方性に劣っていることが確認された。例えば、一次焼鈍温度が高い場合(No.27)には、r値のΔmaxが0.31となり、冷延率が30%と低い場合(No.29)には、降伏強度、引張強度およびr値のΔmaxがそれぞれ22、15および0.32と大きくなり、いずれも面内異方性が大きかった。また、従来材のNo.32も、r値のΔmaxが0.44と高く、面内異方性が大きかった。
【0075】
(実施例4)
この実施例では第2の高炭素鋼板を製造する第2の方法の例について示す。
JIS G4051のS35C相当の成分系(質量で、C:0.35%、Si:0.18%、Mn:0.72%、P:0.011%、S:0.001%、Al:0.022%)のスラブを連続鋳造により製造し、このスラブを1100℃に加熱した後、表8に示す条件で熱間圧延、一次焼鈍、冷間圧延、二次焼鈍を順次行い、その後、1.5%の調質圧延を施して、板厚2.5mmの23種類の鋼板を作製した。なお、サンプルNo.55は従来材である。
【0076】
【表8】
Figure 0003800902
【0077】
これらの試料について、引張試験にて面内異方性を、X線回折にて板厚方向の組織の均一性を調査した。引張試験は、圧延方向に対し0°方向(L方向)、45°方向(S方向)、90°(C方向)に沿ってJIS5号試験片を採取し、引張速度10mm/minで引張試験を行い、各方向の引張特性を測定した。その結果を表9に示す。なお、表9中の降伏強度、引張強度、全伸び、およびr値の各欄に記載したΔmaxとは、それぞれの引張特性値のL、S、C方向における最大格差を示している。また、表9には、板厚方向の組織の均一性について、鋼板表面、板厚1/4、板厚1/2の各位置の圧延面に平行な面についてそれぞれ積分反射強度を調査した結果を併せて示す。
【0078】
【表9】
Figure 0003800902
【0079】
表9に示すように本発明例であるNo.33〜No.46は、降伏強度および引張強度のΔmaxが10MPa以下、伸びのΔmaxが1.5%以下、r値のΔmaxが0.2未満であり、面内での引張特性の異方性が極めて小さいことが確認された。さらに、粗圧延前に誘導加熱を施す方法は、引張特性の面内異方性の低減だけでなく、板厚方向の組織の均一性の向上の観点からより好ましいことが確認された。
【0080】
一方、比較例では、引張特性のいずれかについてΔmaxが大きくなり、面内異方性に劣っていることが確認された。例えば、一次焼鈍温度が高い場合(No.50)には、r値のΔmaxが0.28となり、冷延率が30%と低い場合(No.52)には、降伏強度、引張強度およびr値のΔmaxがそれぞれ16、11および0.34と大きくなり、いずれも面内異方性が大きかった。また、従来材のNo.55も、r値のΔmaxが0.40と高く、面内異方性が大きかった。
【0081】
(実施例5)
この実施例も第2の高炭素鋼板を製造する第2の方法の例について示す。
JIS G4802のS65C−CSP相当の成分系(質量で、C:0.64%、Si:0.20%、Mn:0.75%、P:0.010%、S:0.003%、Al:0.019%)のスラブを連続鋳造により製造し、このスラブを1100℃に加熱した後、表10に示す条件で熱間圧延、冷却、巻取り、一次焼鈍、冷間圧延、二次焼鈍を順次行い、板厚2.5mmの23種類の鋼板を作製した。なお、サンプルNo.78は従来材である。
【0082】
【表10】
Figure 0003800902
【0083】
これらの試料について、引張試験にて面内異方性を、X線回折にて板厚方向の組織の均一性を調査した。引張試験は、圧延方向に対し0°方向(L方向)、45°方向(S方向)、90°(C方向)に沿ってJIS5号試験片を採取し、引張速度10mm/minで引張試験を行い、各方向の引張特性を測定した。その結果を表11に示す。なお、表11中の降伏強度、引張強度、全伸び、およびr値の各欄に記載したΔmaxとは、それぞれの引張特性値のL、S、C方向における最大格差を示している。また、表11には、板厚方向の組織の均一性について、鋼板表面、板厚1/4、板厚1/2の各位置の圧延面に平行な面についてそれぞれ積分反射強度を調査した結果を併せて示す。
【0084】
【表11】
Figure 0003800902
【0085】
表11に示すように本発明例であるNo.56〜No.69は、降伏強度および引張強度のΔmaxが20MPa以下、伸びのΔmaxが1.5%以下、r値のΔmaxが0.2未満であり、面内での引張特性の異方性が極めて小さいことが確認された。さらに粗圧延前に誘導加熱を施す方法は、引張特性の面内異方性の低減だけでなく、板厚方向の組織の均一性の向上の観点からより好ましいことが確認された。
【0086】
一方、比較例では、引張特性のいずれかについてΔmaxが大きくなり、面内異方性に劣っていることが確認された。例えば、一次焼鈍温度が高い場合(No.73)には、r値のΔmaxが0.34となり、冷延率が30%と低い場合(No.75)には、降伏強度、引張強度およびr値のΔmaxがそれぞれ19、13および0.41と大きくなり、いずれも面内異方性が大きかった。また、従来材のNo.78も、r値のΔmaxが0.42と高く、面内異方性が大きかった。
【0087】
(実施例6)
この実施例では第2の高炭素鋼板を製造する第3の方法の例について示す。
JIS G4051のS35C相当の成分系(質量で、C:0.34%、Si:0.19%、Mn:0.73%、P:0.012%、S:0.001%、Al:0.021%)のスラブを連続鋳造により製造し、このスラブを1100℃に加熱し、熱間圧延した後、表12に示す条件で仕上圧延、冷却、巻取り、一次焼鈍、冷間圧延、二次焼鈍を順次行い、その後、1.5%の調質圧延を施して、板厚2.5mmの22種類の鋼板を作製した。なお、サンプルNo.100は従来材である。
【0088】
【表12】
Figure 0003800902
【0089】
これらの試料について、圧延方向に対し0°方向(L方向)、45°方向(S方向)、90°(C方向)に沿ってJIS5号試験片を採取し、引張速度10mm/minで引張試験を行い、各方向の引張特性を測定し、面内異方性について評価した。その結果を表13に示す。なお、表13中の降伏強度、引張強度、全伸び、およびr値の各欄に記載したΔmaxとは、それぞれの引張特性値のL、S、C方向における最大格差を示している。
【0090】
【表13】
Figure 0003800902
【0091】
表13に示すように本発明例であるNo.79〜No.92は、降伏強度および引張強度のΔmaxが10MPa以下、伸びのΔmaxが1.5%以下、r値のΔmaxが0.2未満であり、面内での引張特性の異方性が極めて小さいことが確認された。さらに、仕上圧延された鋼板を7℃/s以上の冷却速度でAr−100℃まで冷却し、冷却した後の鋼板を560〜640℃の温度域で2〜10秒保持し、その後熱間仕上圧延後の鋼板を500〜630℃で巻きとることは、延性の向上の観点から、より好ましいことが確認された。
【0092】
一方、比較例では、延性が低くなっていること、または、引張特性のいずれかについてΔmaxが大きくなり、面内異方性に劣っていることが確認された。例えば、一次焼鈍温度が高い場合(No.96)には、r値のΔmaxが0.37となり、冷延率が40%と低い場合(No.99)には、降伏強度、引張強度およびr値のΔmaxがそれぞれ14、18および0.36と大きくなり、いずれも面内異方性が大きかった。また、従来材のNo.100も、伸びが約36%程度であり、r値のΔmaxが0.42と高く、面内異方性が大きかった。このように、本発明例は、同様な成分系および板厚の比較例より、高い伸びを示し、引張特性の異方性も低減していることが確認された。
【0093】
(実施例7)
この実施例も第2の高炭素鋼板を製造する第3の方法の例について示す。
JIS G4802のS65C−CSP相当の成分系(質量で、C:0.64%、Si:0.20%、Mn:0.75%、P:0.010%、S:0.003%、Al:0.019%)のスラブを連続鋳造により製造し、このスラブを1100℃に加熱し、熱間圧延した後、表14に示す条件で仕上圧延、冷却、巻取り、一次焼鈍、冷間圧延、二次焼鈍を順次行い、板厚2.5mmの22種類の鋼板を作製した。この際に、熱間圧延後の冷却速度はラインアウトテーブル上の水量および水圧を調整し変化させた。なお、サンプルNo.122は従来材である。
【0094】
【表14】
Figure 0003800902
【0095】
これらの試料について、圧延方向に対し0°方向(L方向)、45°方向(S方向)、90°(C方向)に沿ってJIS5号試験片を採取し、引張速度10mm/minで引張試験を行い、各方向の引張特性を測定し、面内異方性について評価した。その結果を表15に示す。なお、表15中の降伏強度、引張強度、全伸び、およびr値の各欄に記載したΔmaxとは、それぞれの引張特性値のL、S、C方向における最大格差を示している。
【0096】
【表15】
Figure 0003800902
【0097】
表15に示すように本発明例であるNo.101〜No.114は、降伏強度および引張強度のΔmaxが20MPa以下、伸びのΔmaxが2.0%以下、r値のΔmaxが0.2未満であり、面内での引張特性の異方性が極めて小さいことが確認された。さらに、仕上圧延された鋼板を7℃/s以上の冷却速度でAr−100℃まで冷却し、冷却した後の鋼板を560〜640℃の温度域で2〜10秒保持し、その後熱間仕上圧延後の鋼板を500〜630℃で巻きとることは、延性の向上の観点から、より好ましいことが確認された。
【0098】
一方、比較例では、引張特性のいずれかについてΔmaxが大きくなり、面内異方性に劣っていることが確認された。例えば、一次焼鈍温度が高い場合(No.118)には、r値のΔmaxが0.44となり、冷延率が40%と低い場合(No.121)には、降伏強度、引張強度およびr値のΔmaxがそれぞれ18、18および0.32と大きくなり、いずれも面内異方性が大きかった。また、従来材のNo.122も、r値のΔmaxが0.44と高く、面内異方性が大きかった。
【0099】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、引張特性の面内異方性が小さい加工用高炭素鋼板を得ることができる。また、引張特性の面内異方性の小さいことに加え延性に優れた加工用高炭素鋼板を得ることができる。したがって、本発明によって得られた高炭素鋼板は、高い寸法精度が要求されるギア部品等に供することにより、このギア部品等を、鋼板の一体成形より製造することができ、従来の鋳造鍛造プロセスに比べて、安価に製造することが可能となる。また、ギアの歯部に高周波焼入れする場合、高周波コイルと円周部の距離が一定に保たれることにより、歯部特性をも円周方向で均質化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第2の高炭素鋼板を製造する第1の方法において、r値の面内異方性に及ぼす、一次焼鈍温度および二次焼鈍温度の影響を示す図。
【図2】本発明の第2の高炭素鋼板を製造する第2の方法において、r値の面内異方性に及ぼす、一次焼鈍温度および二次焼鈍温度の影響を示す図。
【図3】本発明の第2の高炭素鋼板を製造する第3の方法において、r値の面内異方性に及ぼす、一次焼鈍温度および二次焼鈍温度の関係を示す図。

Claims (6)

  1. JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2質量%以上の成分系を有し、脱酸剤としてのAl以外の残部がFeおよび不可避的不純物からなる高炭素鋼板であって、以下に示す、r値の面内異方性指数Δrが−0.15超〜0.15未満であることを特徴とする面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板。
    Δr=(r0+r90−2×r45)/4
    ただし、r0、r45、r90は、それぞれ、圧延方向に対し、0°方向(L方向)、45°方向(S方向)、90°方向(C方向)のr値を示す。
  2. JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2質量%以上の成分系を有し、脱酸剤としてのAl以外の残部がFeおよび不可避的不純物からなる熱間仕上圧延後の鋼板を500〜650℃で巻取り、
    次いで巻取り後の鋼板を脱スケールした後、630〜700℃で20hr以上の一次焼鈍を施し、
    50%以上の圧下率で冷間圧延し、
    その後600〜710℃で二次焼鈍し、請求項1に記載の高炭素鋼板を得ることを特徴とする面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板の製造方法。
  3. JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2質量%以上の成分系を有し、脱酸剤としてのAl以外の残部がFeおよび不可避的不純物からなる高炭素鋼板であって、圧延方向に対し、0°方向(L方向)のr値と、45°方向(S方向)のr値と、90°方向(C方向)のr値のうち最大のものと最小のものとの差である最大格差が0.2未満であることを特徴とする面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板。
  4. JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2質量%以上の成分系を有し、脱酸剤としてのAl以外の残部がFeおよび不可避的不純物からなる熱間仕上圧延後の鋼板を500〜650℃で巻取り、
    次いで巻取り後の鋼板を脱スケールした後、630〜700℃で20hr以上の一次焼鈍を施し、
    50%以上の圧下率で冷間圧延し、
    その後以下の(1)式を満足する温度で二次焼鈍し、請求項3に記載の高炭素鋼板を得ることを特徴とする面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板の製造方法。
    960−0.5×T≦T≦1153−0.72×T …(1)
    ただし、T:一次焼鈍温度(℃)、T:二次焼鈍温度(℃)
  5. JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2質量%以上の成分系を有し、脱酸剤としてのAl以外の残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋳造スラブを連続鋳造まま、または冷却後所定の温度に加熱した後、粗圧延機によって粗圧延して、粗バーとし、
    引き続いて、連続熱間仕上げ圧延機によって仕上圧延するに際して、仕上げ圧延機の入り側、あるいは仕上げ圧延機のスタンド間で、上記粗バーまたは、圧延材をAr変態点以上の温度に誘導加熱し、
    熱間仕上圧延後の鋼板を500〜650℃の温度で巻取り、
    次いで巻取り後の鋼板を脱スケールした後、630〜700℃で20hr以上の一次焼鈍を施し、
    次いで焼鈍後の鋼板を50%以上の圧下率で冷間圧延し、
    その後以下の(2)式を満足する温度で二次焼鈍し、請求項3に記載の高炭素鋼板を得ることを特徴とする面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板の製造方法。
    950−0.49×T≦T≦1160−0.72×T …(2)
    ただし、T:一次焼鈍温度(℃)、T:二次焼鈍温度(℃)
  6. JIS G 4051(機械構造用炭素鋼)、JIS G 4401(炭素工具鋼鋼材)、JIS G 4802(ばね用冷間圧延鋼帯)で規定されるC量が0.2質量%以上の成分系を有し、脱酸剤としてのAl以外の残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延工程にてAr変態点以上の仕上温度で圧延し、仕上圧延された鋼板を7℃/s以上の冷却速度でAr−100℃まで冷却し、冷却した後の鋼板を560〜640℃の温度域で2〜10秒保持し、
    その後熱間仕上圧延後の鋼板を500〜630℃で巻取り、
    次いで巻取り後の鋼板を脱スケールした後、640〜700℃で20hr以上の一次焼鈍を施し、
    次いで焼鈍後の鋼板を50%以上の圧下率で冷間圧延し、
    その後以下の(3)式を満足する温度で二次焼鈍し、請求項3に記載の高炭素鋼板を得ることを特徴とする延性に優れた面内異方性の小さい加工用高炭素鋼板の製造方法。
    1015−0.58×T≦T≦1230−0.83×T …(3)
    ただし、T:一次焼鈍温度(℃)、T:二次焼鈍温度(℃)
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