JP2013209727A - 加工性に優れた冷延鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定して優れた加工性を有する冷延鋼板を、その有利な製造方法と共に提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.010超え〜0.035%、Si:0.1%以下、Mn:0.35%以下、P:0.035%以下、S:0.02%以下、N:0.0060%以下、Al:0.005〜0.1%を含有し、かつ[%Mn]/[%Al]<20の関係を満足し、残部がFe及び不可避不純物の組成からなり、鋼中のフェライト粒径が5μm以上であり、析出セメンタイトの50%以上がフェライト粒界に析出することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車用部品等の構造部材や住居、家具、机、家電製品などの構造体の素材として好適な、加工性に優れた冷延鋼板及びその製造方法に関するものである。
冷延鋼板は、その成形性の良さから、多種多様な構造体の素材として用いられている。通常、冷延鋼板は、プレス成形によって2次元の板形状のものを3次元構造体とし、これらを接合してさらに複雑な3次元の構造体を形成することから、優れた加工性が要求される。
このような鋼板として、例えば特許文献1には、C、Mn、Al、N量を低減し、50%以上の圧延率で冷間圧延した後、焼鈍後の冷却条件及び過時効条件を規定するとともに調質圧延率を規定することで、耐時効性に優れた高加工性冷延鋼板を製造する方法が開示されている。
しかしながら、この方法では耐時効性の良好な鋼板を製造できるものの、調質圧延率が高くすることを回避できず、調質圧延によって加工性が低下することを回避できない。
特許文献2には、C、Mn、S、O、Bを規定した鋼を、規定された条件で連続鋳造した後に熱延、冷延、連続焼鈍することで加工性に優れた冷延鋼板を製造する方法が開示されている。
しかしながら、この方法では、酸化物系介在物でMnSの大きさを制御しているものの、酸素を60ppm以上に含有させなければならず、酸化物系の介在物が多量に発生し、これが起点となってプレス成形において割れが生じるという問題があった。
特許文献3には、C、Si、Mn、P、Al、Nを規定した鋼を、熱延、冷延したのちの連続焼鈍時に急速加熱急速冷却することで、耐時効性と加工性の優れた冷延鋼板の製造技術か開示されている。
しかしながら、この方法では、鋼の熱伝達を鋼板全域に均一とすることができず、鋼板の一部分のみの加工性を良好とするに留まっている。
特開昭61−124533号公報 特開平2−267227号公報 特開平7−216459号公報
上述したとおり、従来の技術では、加工性が良好な冷延鋼板を工業的に安定して提供することは困難であった。
本発明は、上記した従来技術が抱える問題を有利に解決するもので、安定して優れた加工性を有する冷延鋼板を、その有利な製造方法と共に提供することを目的とする。
従来、冷延鋼板の加工性は、固溶C量を低減することに主眼がおかれて開発されてきた。このため、過時効条件や調質圧延条件による加工性の改善が図られてきた。
しかしながら、固溶Cの低減のみでは加工性の向上に限界が見られるようになった。
そこで、発明者らは、固溶Cの低減のみでなく、加工性、主として伸びを向上させる方法を探求した結果、加工性にはフェライト粒径とセメンタイトの析出位置を固溶C量とともに同時に制御しなければならず、これに適した鋼成分は、Mn含有量が低く、かつオーステナイト形成元素のMnとフェライト形成元素のAlとに好適な含有量比が存在することを見いだした。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたもので、その要旨構成は次の通りである。
1.質量%で、C:0.010超え〜0.035%、Si:0.1%以下、Mn:0.35%以下、P:0.035%以下、S:0.02%以下、N :0.0060%以下、Al:0.005〜0.1%を含有し、かつ[%Mn]/[%Al]<20の関係を満足し、残部がFe及び不可避不純物の組成からなり、
鋼中のフェライト粒径が5μm以上であり、析出セメンタイトの50%以上がフェライト粒界に析出することを特徴とする加工性に優れた冷延鋼板。
ここで、[%M]は、M元素の鋼中含有量(質量%)を表す。
2.さらに質量%で、B:0.0035%以下を含有することを特徴とする上記1に記載の加工性に優れた冷延鋼板。
3.さらに質量%で、Cu、Sn、Ni、Ca、Mg、Co、As、Cr、Mo、Sb、W、Ti、Nb、Pb、Ta、REM、V、Cs、Zr、Hfのいずれか1種以上を、合計で1%以下含有することを特徴とする上記1又は2に記載の加工性に優れた冷延鋼板。
4.鋼板表面にめっき皮膜をさらに備えることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の加工性に優れた冷延鋼板。
5.上記1〜3のいずれかに記載の成分組成からなる鋼素材に、熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、コイルに巻き取り、ついで酸洗後、冷間圧延を施したのち、連続焼鈍し、さらに過時効処理を施して冷延鋼板を製造するに際し、
オーステナイト単相域に加熱後、仕上げ圧延温度:820℃以上930℃未満で熱間圧延を終了したのち、540℃以上740℃未満の温度で巻き取り、ついで鋼板表面のスケール除去後、55%以上の圧下率で冷間圧延したのち、680℃以上で焼鈍し、さらに680℃から過時効温度まで冷却速度:20℃/s以上で冷却後、360℃以上の温度域で過時効処理を施すことを特徴とする加工性に優れた冷延鋼板の製造方法。
6.上記1〜3のいずれかに記載の成分組成からなる鋼素材に、熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、コイルに巻き取り、ついで酸洗後、冷間圧延を施したのち、箱焼鈍し、冷延鋼板を製造するに際し、
オーステナイト単相域に加熱後、仕上げ圧延温度:820℃以上930℃未満で熱間圧延を終了したのち、540℃以上740℃未満の温度で巻き取り、ついで鋼板表面のスケール除去後、55%以上の圧延率で冷間圧延したのち、600℃以上750℃以下で焼鈍することを特徴とする加工性に優れた冷延鋼板の製造方法。
7.前記過時効処理後又は前記箱焼鈍後、めっき処理を施すことを特徴とする上記5又は6に記載の加工性に優れた冷延鋼板の製造方法。
本発明によれば、安定して優れた加工性を有する冷延鋼板を、その有利な製造方法と共に提供することが可能となる。
以下、本発明を具体的に説明する。
(加工性に優れた冷延鋼板)
まず、本発明において、冷延鋼板の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、以下の成分組成を表す%、ppmは、特に断らない限り質量%、質量ppmを意味するものとする。
C:0.010超え〜0.035%
Cは、鋼中でセメンタイトを成形するか固溶状態で存在する。C量が0.010%以下では固溶Cの析出駆動力が低くなりセメンタイトとして析出しにくくなることから、C量の下限は0.010%超えとする。好ましくは0.015%以上である。
また、0.035%を超えるとセメンタイト量が多くなることを通じて、加工時におけるセメンタイトとフェライトの界面でのボイド発生サイトが増え、鋼板の伸びが低下する。このため、C量の上限を0.035%以下とする。好ましくは、0.03%以下であり、さらに好ましくは、0.025%以下である。
Si:0.1%以下
Siは、セメンタイトの生成を抑制する元素であり、Cのセメンタイト化も抑制する。そのため、Si含有量が0.1%を超える場合、セメンタイトの析出位置の制御が失われ、セメンタイトがフェライト粒内に出やすくなるおそれがあることから、Si量は0.1%以下とする。好ましくは0.05%以下である。
Mn:0.35%以下
Mnは、Cと化合物は形成しないものの、鋼中で互いに引き合ってCの拡散を抑制する。このため、粒界におけるセメンタイトの生成が抑制されて、加工性が劣化する。従って、本発明では、Siと同様に、Mn量は低減することが望ましい。それ故、Mn含有量は0.35%以下とする。好ましくは0.30%以下である。
P:0.035%以下
Pは、フェライト粒界に偏析してフェライト粒界へのセメンタイトの析出を抑制する結果、加工性を劣化させる。このため、P量は0.035%以下とする。好ましくは0.030%以下である。
S:0.02%以下
Sは、本発明において、Mnと結合してMnSを形成する元素である。このSが多いとMnSが多量に生成してフェライト粒の粒成長を阻害し、結果としてフェライト粒を微細化するため、加工性が劣化する。それ故、本発明では、S量は0.02%以下とする。好ましくは0.015%以下である。
N:0.0060%以下
Nは、Alと結合してAlNを形成したり、B が添加された場合にはBNを形成する。N含有量が多いと窒化物が多量に生じてフェライト粒の粒成長を阻害し、結果としてフェライト粒を微細化してしまい、加工性が劣化する。それ故、本発明では、N量は0.0060%以下とする。好ましくは0.0045%以下である。
Al:0.005〜0.1%
Alは、本発明で重要な元素である。Alはそれ自体では炭化物は生成しないが、フェライト粒内よりCを排出し、粒界にセメンタイトを形成するのを促進する。この効果を得るためには、少なくとも0.005%のAlを含有させる必要がある。好ましくは0.01%以上である。これにより加工性は向上する。しかしながら、0.1%を超える含有は、微細なAlNや不可避不純物であるOと結合して微細酸化物を生成し、フェライト粒を微細化してしまう。そのため上限を0.1%以下とする。
以上、基本成分について説明したが、本発明では、その他にも、以下に述べる元素を必要に応じて適宜含有させることができる。
B:0.0035%以下
Bが添加された場合、Nと結合してBNを形成し、微細AlNの析出を抑制することができる。また、BNはMnSを核として析出するため、微細なMnSの量も低減することができる結果、フェライト粒成長を促進できる。
しかしながら、B含有量が0.0035%を超えると過剰のBがフェライト粒界に偏析し、固溶Bによって炭化物のフェライト粒界への析出が抑制されるため、加工性が劣化する。以上のことから、B添加の上限を0.0035%以下とする。
Cu,Sn,Ni,Ca,Mg,Co,As,Cr,Sb,W,Mo,Pb,Ta,REM,Ti,Nb, V,Cs,Zr及びHfのうちから選んだ一種又は二種以上を合計で1%以下
Cu,Sn,Ni,Ca,Mg,Co,As,Cr,Sb,W,Mo,Pb,Ta,REM,Ti,,Nb, V,Cs,Zr及びHfはいずれも、耐食性向上に有用な元素であるが、合計量が1%を超えると粒界に偏析してセメンタイトの粒界への析出を阻害する。このため、単独添加又は複合添加いずれの場合も1%以下で含有させる。好ましくは0.5%以下である。
なお、上記した以外の成分は、Fe及び不可避的不純物である。
以上、鋼板の成分組成について説明したが、本発明で所期した効果を得るには、成分組成を上記の範囲に調整するだけでは不十分で、Mn量とAl量との比率及びフェライト粒径及びセメンタイトのフェライト粒界への析出割合を制御することが重要である。
すなわち、本発明では、[%Mn]/[%Al]<20(ここで、[%M]は、M元素の鋼中含有量(質量%)を表す。)を満足し、フェライト粒径を5μm以上、析出セメンタイトの粒界割合を50%以上とする必要がある。
[%Mn]/[%Al]<20
(ここで、[%M]は、M元素の鋼中含有量(質量%)を表す。)
本発明で極めて重要な成分規定である。Mnはオーステナイト形成元素であり、またCと互いに引き合ってCの拡散を抑制してセメンタイトのフェライト粒界への析出を妨げるとともに、Mn自身がセメンタイトに溶解することでセメンタイトを微細化する。一方、Alはフェライト形成元素で、セメンタイトのフェライト粒内での形成を阻害する。このため、Mnの上記影響をうち消すため、本発明ではAl添加量を規定する。
[%Mn]/[%Al]が20以上となると、Mnの効果が顕著となるため、セメンタイトの析出位置の制御が失われ、加工性が劣化する。そのため、[%Mn]/[%Al]を20未満に規定した。また、特に本願の効果を制限するものではないが、Alに対してMnが少ないとセメンタイトが粗大化しやすくなり、粒界に球状粗大なセメンタイトが析出して伸びが低下しやすくなる傾向がある。このため、[%Mn]/[%Al]は1以上が好適である。
フェライト粒径:5μm以上
フェライト粒径が5μm未満では、降伏点が高くなり、伸びが低下することで加工性が劣化する。このため、フェライト粒径を5μm以上とした。ただし、フェライト粒径が30μmを超えると、加工時に表面にオレンジピールと呼ばれる凹凸が顕著となり、加工性が劣化したり、外観品質を劣化させることから、30μm以下とすることが好ましい。
析出セメンタイト:50%以上がフェライト粒界に析出
本発明において、セメンタイトの析出位置は重要である。フェライト粒界にセメンタイトを配置することで、粒内の存在する微細セメンタイト量を低減し、フェライト粒の変形を促進できる。フェライト粒界にあるセメンタイト量が全体の50%未満では、フェライト粒内の微細セメンタイトでフェライトの変形が抑制され、加工性が低下する。このため、セメンタイトの析出位置はその50%以上がフェライト粒界であることを必要とする。
なお、フェライト粒界における析出したセメンタイトの量は、断面組織から、次のようにして求めることができる。圧延方向に平行な板厚断面で組織を観察する。鏡面研磨後にピクラール腐食液でセメンタイトを現出した後に、走査型電子顕微鏡(1000倍)でセメンタイトを観察する。このとき、全セメンタイト面積に対するフェライト粒界に存在するセメンタイトの面積の比を粒界に存在するセメンタイトの割合とする。
また、本発明の鋼板は、表面にめっき皮膜を有するものとしてもよい。鋼板表面にめっき皮膜を形成することにより、冷延鋼板の耐食性が向上する。なお、めっき皮膜としては、例えば溶融亜鉛めっき皮膜や合金化溶融亜鉛めっき皮膜の他、電気亜鉛めっき、例えばZn−Ni電気合金めっき等が挙げられる。
(加工性に優れた冷延鋼板の製造方法)
次に、本発明の冷延鋼板の製造方法について説明する。
本発明では、好適には連続鋳造で得られたスラブを鋼素材とし、熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、冷却してコイルに巻き取り、ついで酸洗後、冷間圧延したのち、連続焼鈍または箱焼鈍を施し、さらに過時効処理を施すことによって冷延鋼板とする。
本発明において、鋼素材の溶製方法は特に限定されず、転炉や電気炉、誘導炉等、公知の溶製方法いずれもが適合する。鋳造方法も特に限定はされないが、連続鋳造法が好適である。また、スラブを熱間圧延するに際しては、加熱炉でスラブを再加熱した後に熱間圧延しても良いし、温度補償を目的とした加熱炉での短時間加熱の後に熱間圧延に供しても良い。
上記のようにして得られた鋼素材に、熱間圧延を施すが、粗圧延と仕上げ圧延による熱間圧延でも、粗圧延を省略して仕上げ圧延のみの圧延としてもよいが、いずれにてしも、スラブ加熱温度及び仕上げ圧延温度が重要である。
スラブ加熱温度:オーステナイト単相となる温度域
スラブ加熱温度が、オーステナイト単相域に満たないフェライト−オーステナイト二相域であると、熱間圧延の際にフェライトのみが展伸して粗大なフェライト粒が生じるという不利が生じるので、スラブを加熱する場合にはオーステナイト単相域(Ac3点以上)まで加熱する必要がある。
仕上げ圧延温度:820℃以上930℃未満
仕上げ圧延温度が930℃以上であると、一部に粗大粒が生じ、フェライト粒径がばらつき不安定になる。そのため、仕上げ圧延温度は930℃未満とする。なお、仕上げ圧延温度の下限については、フェライト域圧延で粗大粒が生じないように820℃以上とする。
上記の熱間圧延後、冷却してコイルに巻き取るが、この巻取り温度も重要である。
巻取り温度:540℃以上740℃未満
巻取り温度が740℃以上では、フェライト粒が粗大となり、過時効時にフェライト粒界にCの拡散が間に合わず加工性が劣化する。このため、巻き取り温度は740℃未満とする。好ましくは700℃以下である。なお、巻取温度の下限について、540℃未満では、窒化物の熱延板中への析出が抑制され、冷間圧延後の焼鈍時に微細に析出してフェライト粒成長を抑制してしまう。このため、巻き取り温度の下限を540℃以上とする。
冷間圧延における圧延率:55%以上
冷間圧延における圧下率が55%未満では、熱延板中のフェライト粒界に析出したセメンタイトが冷延後も粗大なまま残留し、冷延焼鈍板中にフェライト粒内セメンタイトとして残留しやすくなる。このため、冷間圧延率の下限を55%以上とした。
焼鈍温度:680℃以上
連続焼鈍における焼鈍温度が680℃未満では、再結晶が完了しないことから焼鈍温度を680℃以上とした。なお、焼鈍温度は900℃以上になるとオーステナイトが発生して混粒となることから、900℃以下が好ましく、850℃以下がより好ましい。
680℃から過時効温度までの冷却速度:20℃/s以上
連続焼鈍では、焼鈍後冷却温度から過時効温度までの冷却速度は20℃/s以上が必要である。20℃/sを下回ると、過時効中にセメンタイトの析出駆動力が低下して、セメンタイトが十分析出しなくなり加工性が劣化する。このため、冷却速度を20℃/s以上とした。好ましくは50℃/s以上である。なお、この冷却速度の上限については特に制限されることはないが、350℃/s程度で十分である。
過時効温度:360℃以上
360℃未満ではセメンタイトはフェライト粒内に析出しやすくなるため、過時効温度を360℃以上とする。一方、550℃を超えるとセメンタイトの析出が困難となるため、上限は550℃以下とすることが好ましい。また、過時効時間が短すぎるとセメンタイトを十分に析出できないため、1分以上行うことが好ましい。また、長い分には効果に問題は生じないが、製造ラインの制約上10分以下が工業的に実現できる長さである。
なお、前記焼鈍については、連続焼鈍以外にも、箱焼鈍を用いることもできる。箱焼鈍は、徐加熱徐冷であることから過時効処理は必要としない。また、箱焼鈍の場合、長時間かけて焼鈍温度から冷却されるため、Cがフェライト粒界に拡散する時間が十分であり、加工性は良好なものとなる。
焼鈍温度: 600℃から750℃
箱焼鈍を行う場合、焼鈍温度が600℃未満では未再結晶部分が残留し、750℃以上では粗大粒が生じることから、焼鈍温度は600℃以上750℃以下とした。
また、特に本願を制約するものではないが、焼鈍時間は1時間未満ではコイル内部の均熱が達成できず、40時間以上では表面にCが析出して表面品質を劣化させることから、1時間以上40時間以下が好適である。
本願の効果に影響を及ぼすものではないが、連続焼鈍の過時効後、又は、箱焼鈍後、調質圧延を行うことができる。調質圧延率は、0.5%未満の場合、降伏点のびが消失せず、1.5%以上の場合、鋼が硬質化することから、0.5%以上1.5%以下とすることがより好適である。
また、本発明では、以上のようにして製造された冷延鋼板に対し、めっき処理を施すことにより、鋼板表面にめっき皮膜を形成してもよい。例えば、めっき処理として、溶融亜鉛めっき処理を施して鋼板表面に溶融亜鉛めっき皮膜を形成しても良いし、溶融亜鉛めっき処理後、合金化処理を施すことにより、合金化溶融亜鉛めっき皮膜を形成してもよい。このとき、溶融亜鉛めっきと焼鈍を一つのライン内で行なってもよい。その他、Zn−Ni電気合金めっき等の電気めっきにより、めっき皮膜を形成してもよい。めっきを施す場合、調質圧延はめっき皮膜生成後に行っても良い。
表1に示す成分組成になる溶鋼を、連続鋳造して、厚み:300mmのスラブ(鋼素材)とした。ついで、得られたスラブを表2に示すように、オーステナイト単相域である加熱温度まで加熱後、表2に示す温度で仕上げ圧延を終了したのち、同じく表2に示す温度で巻取って、種々の板厚の熱延鋼板とした。ついで、酸洗にて鋼板表面のスケールを除去したのち、表2に示す圧延率で板厚:1mmまで冷間圧延した。その後、表2に示す条件で、連続焼鈍し、冷却した後、過時効処理を施した。過時効処理後、圧下率:1.0%の調質圧延を行った。No.15〜17および24の冷延鋼板については、連続焼鈍に代えて箱焼鈍を行なった。箱焼鈍後は過時効処理を行わず、連続焼鈍材と同様に圧延率:1.0%の調質圧延を行った。
また、表2のNo.15〜17の冷延鋼板については、乾燥後付着量:30g/m2(両面)の電気亜鉛めっき皮膜を形成した。また、表2のNo.22及び23については、乾燥後付着量:45g/m2(両面)の溶融亜鉛めっき皮膜を形成した。なお、これらについては、溶融亜鉛めっき後に調質圧延を行なった。
なお、表1及び表2中の下線は、本発明の範囲外であることを示す。
上記のようにして得られた冷延鋼板から試験片を採取して、引張試験を行った。
さらに、得られた冷延鋼板の加工性について調査した。
試験方法及び測定方法については次のとおりである。
(i)組織観察
得られた冷延鋼板の圧延方向に平行な板厚断面を鏡面に研磨して、ナイタール組織現出液で組織を現出させて、フェライト粒径を測定した。光学顕微鏡組織写真を100倍で撮影し、板厚方向、圧延方向にそれぞれ10本の線を実際の長さで100μm以上の間隔で引き、粒界と線との交点の数を数えた。全線長を交点の数で除することで、フェライト粒一つあたりの線分長とし、これに1.13を乗じてASTMフェライト粒径を求めた。
(ii)セメンタイト析出位置
得られた冷延鋼板の圧延方向に平行な板厚断面を鏡面に研磨した後、ピクラール組織現出液で組織を現出させて、セメンタイトの析出位置ごとの割合を測定した。走査型電子顕微鏡組織写真を1000倍で撮影し、10視野についてセメンタイトの析出位置を観察した。全セメンタイトの面積で、フェライト粒界に析出しているセメンタイトの面積を除することで、粒界に析出したセメンタイトの割合を求めた。
(iii)引張試験
得られた冷延鋼板から、圧延方向に対して平行方向を引張方向とするJIS 5号引張試験片(JIS Z 2201)を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験を行って、引張強さを測定した。加工性の指標は、最大荷重時の伸びを均一伸びとし、均一伸びで評価した。これは、軟鋼のプレス成形では、板厚が局所的に薄くなるいわゆるネッキングを起こすとプレス成形不良となるため、板厚の減じる局所的な変形が生じる前までの加工度しか、板には加えられないためである。
表2に示したとおり、本発明に従い得られた冷延鋼板はいずれも均一伸びが20%以上であり、プレス成形性、つまり加工性に優れていることがわかる。
本発明によれば、従来に比べて加工性が大幅に向上した冷延鋼板を提供することが可能となり、産業上、極めて有用である。

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.010超え〜0.035%、Si:0.1%以下、Mn:0.35%以下、P:0.035%以下、S:0.02%以下、N:0.0060%以下、Al:0.005〜0.1%を含有し、かつ[%Mn]/[%Al]<20の関係を満足し、残部がFe及び不可避不純物の組成からなり、
    鋼中のフェライト粒径が5μm以上であり、析出セメンタイトの50%以上がフェライト粒界に析出することを特徴とする加工性に優れた冷延鋼板。
    ここで、[%M]は、M元素の鋼中含有量(質量%)を表す。
  2. さらに質量%で、B:0.0035%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の加工性に優れた冷延鋼板。
  3. さらに質量%で、Cu、Sn、Ni、Ca、Mg、Co、As、Cr、Mo、Sb、W、Ti、Nb、Pb、Ta、REM、V、Cs、Zr、Hfのいずれか1種以上を、合計で1%以下含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の加工性に優れた冷延鋼板。
  4. 鋼板表面にめっき皮膜をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかにに記載の加工性に優れた冷延鋼板。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の成分組成からなる鋼素材に、熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、コイルに巻き取り、ついで酸洗後、冷間圧延を施したのち、連続焼鈍し、さらに過時効処理を施して冷延鋼板を製造するに際し、
    オーステナイト単相域に加熱後、仕上げ圧延温度:820℃以上930℃未満で熱間圧延を終了したのち、540℃以上740℃未満の温度で巻き取り、ついで鋼板表面のスケール除去後、55%以上の圧延率で冷間圧延したのち、680℃以上で焼鈍し、さらに680℃から過時効温度まで冷却速度:20℃/s以上で冷却後、360℃以上の温度域で過時効処理を施すことを特徴とする加工性に優れた冷延鋼板の製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の成分組成からなる鋼素材に、熱間圧延を施し、仕上げ圧延終了後、コイルに巻き取り、ついで酸洗後、冷間圧延を施したのち、箱焼鈍し、冷延鋼板を製造するに際し、
    オーステナイト単相域に加熱後、仕上げ圧延温度:820℃以上930℃未満で熱間圧延を終了したのち、540℃以上740℃未満の温度で巻き取り、ついで鋼板表面のスケール除去後、55%以上の圧延率で冷間圧延したのち、600℃以上750℃以下で焼鈍することを特徴とする加工性に優れた冷延鋼板の製造方法。
  7. 前記過時効処理後又は箱焼鈍後、めっき処理を施すことを特徴とする請求項5又は6に記載の加工性に優れた冷延鋼板の製造方法。


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