JP2005281867A - 加工性と形状凍結性に優れた鋼板とその製造方法 - Google Patents

加工性と形状凍結性に優れた鋼板とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 常温時効性、形状凍結性、耐デント性、加工性を備え、例えば自動車の外装材として利用可能な冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板とその製造方法を提供する。
【解決手段】 質量%で、
C:0.04%以下、Si:0.6%未満、Mn:0.5〜3.0%、P:0.15%以下、S:0.03%以下、Al:0.50%以下、N:0.01%以下、Mo:0.01〜1.0%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物から成る鋼組成を有し、金属組織が、残留オーステナイトを体積率で0.5%以上10%未満を含み、残部がフェライトと、ベイナイトおよび/またはマルテンサイトの硬質相とから成る複合組織であり、降伏点が300MPa以下である高強度冷延鋼板である。

Description

本発明は、自動車のパネルなど良好な外観が要求され、加工性と形状凍結性が要求される部品用に適した高強度冷延鋼板又は高強度亜鉛系めっき鋼板およびそれらの製造方法に関する。
自動車パネル、つまり自動車外装材には優れた外観と耐デント性に代表される強度が要求される。外観の悪化は主にプレス後の弾性回復による面歪みであり、弾性限である降伏強度が低い材料が適している。しかしながら、成形後のパネルで降伏強度が低いと、指で押さえた時にへこみが残存する、いわゆる耐デント性が悪化する。
特許文献1には、成形時には軟質で、成形後の焼付塗装時に鋼板の降伏応力が上昇する鋼板が開示されている。しかしながらこの鋼板では常温時効性の劣化のために、その上昇量には限界があり、不十分であった。
常温時効性が良好で高い焼付け硬化性を有する鋼板として複合組織鋼板が知られており、例えば特許文献2にはその製造方法の記載がある。しかしながら、複合組織を製造するにはCやMnを多量に添加する必要があるため降伏強度が高くなりすぎている。
自動車パネルヘ適用可能な低降伏強度の複合組織鋼板の製造方法として、特許文献3がある。しかしながら複合組織鋼板はr値が低いという問題があり、そのため成形性の改善が必要であった。
特開平2−111841号公報 特開平4−173945号公報 特開平2000−109965号公報
本発明は、常温時効性、形状凍結性、耐デント性、加工性を備え、例えば自動車の外装材として利用可能な冷延鋼板、亜鉛めっき鋼板およびそれらの製造方法を提供することを目的とする。
複合組織鋼板の成形性改善の方法としてこれまでも例えば特開平11−131145号公報にオーステナイトを残留させる方法が示されているが、残留オーステナイトを得るために、多量のSi又はAlを添加する必要がある。またベイナイト量を非常に多くする方法では、降伏強度が高すぎるとともに、ストレッチャストレインが発生しやすく、自動車パネルヘの適用には不適である。またSiが高すぎると溶融亜鉛めっきにおいては製造時の濡れ性や合金化処理性に問題が生じる。
本発明者らは、常温時効性が良好で、焼付塗装時の降伏強度の上昇量が高い複合組織鋼板で自動車パネルに適用可能な、低降伏強度でかつ加工性の良好な亜鉛めっき鋼板を開発すべく鋭意実験を行い、以下の知見を得て、本発明を完成させた。
すなわち、Cを低減した鋼に、Moを適量添加することで、圧延直角方向の引っ張りにおいて、自動車パネルに適用可能な300MPa以下の低降伏点を有する鋼板を実現した。さらにこの鋼を焼鈍後に特定の温度範囲に保持することで、オーステナイトを適量残存させ、実質的にフェライトとベイナイト/ マルテンサイトの硬質相および残留オーステナイトから成る組織とし、これにより、常温時効性を劣化させずに十分な加工性を確保することができた。
ここに、本発明は、
(1)質量%で、
C:0.04%以下、Si:0.6%未満、Mn:0.5〜3.0%、P:0.15%以下、S:0.03%以下、Al:0.50%以下、N:0.01%以下、Mo:0.01〜1.0%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物から成る鋼組成を有し、金属組織が、残留オーステナイトを体積率で0.5%以上10%未満を含み、残部がフェライトと、ベイナイトおよび/またはマルテンサイトの硬質相とから成る複合組織であり、降伏点が300MPa以下であることを特徴とする高強度冷延鋼板、
(2)降伏点が280MPa以下である(1)項記載の高強度冷延鋼板、
(3)降伏点が250MPa以下である(1)項記載の高強度冷延鋼板、
(4)圧延方向に対し直角方向の引張試験によって、2%引張り予歪みの加工硬化量とBH量がそれぞれ30MPa以上で、降伏比が75%以下である(1)〜(3)項のいずれかに記載の高強度冷延鋼板、
(5)鋼組成におけるSi含有量が0.4%以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の高強度冷延鋼板、
(6)鋼組成がさらにCr:1.5%未満を含む、(1)〜(5)項のいずれかに記載の高強度冷延鋼板、
(7)鋼組成がさらにTi:0.05%以下を含む、(1)〜(6)項のいずれかに記載の高強度冷延鋼板、
(8)鋼組成がさらにB:0.01%以下を含む、(1)〜(7)のいずれかに記載の高強度冷延鋼板、
(9)(1)〜(8)項のいずれかに記載の高強度冷延鋼板に亜鉛系めっき皮膜をさらに設けた高強度亜鉛系めっき鋼板、
(10)(1)〜(8)項のいずれかに記載の鋼組成を有する鋼片を鋳造し、直接あるいは1300℃以下に加熱後熱間粗圧延を施し、そのまま又は再加熱あるいは保定後、熱間仕上圧延を開始し、780℃以上で仕上圧延を終了し、平均冷却速度3℃/s以上で750℃以下まで冷却後巻き取り、そのまま又はスケール除去後冷間圧延を施し、焼鈍温度700℃以上に加熱後平均冷却速度3℃/s以上で600℃以下まで冷却してから450 〜600℃の間で10秒以上保持し、さらに冷却して溶融亜鉛めっきを施すことを特徴とする高強度亜鉛系めっき鋼板の製造方法、
(11)(1)〜(8)項のいずれかに記載の鋼組成を有する鋼片を鋳造し、直接あるいは1300℃以下に加熱後熱間粗圧延を施し、そのまま又は再加熱あるいは保定後、熱間仕上圧延を開始し、780℃以上で仕上圧延を終了し、平均冷却速度3℃/s以上で750℃以下まで冷却後巻き取り、そのまま又はスケール除去後冷間圧延を施し、焼鈍温度700℃以上に加熱後平均冷却速度3℃/s以上で600℃以下まで冷却してから450 〜600℃の間で10秒以上保持し、さらに冷却して溶融亜鉛めっきを施し、合金化処理を施すことを特徴とする高強度亜鉛系めっき鋼板の製造方法、
(12)上記(1)〜(8)項のいずれかに記載の鋼組成を有する鋼片を鋳造し、直接あるいは1300℃以下に加熱後、熱間粗圧延を実施し、そのまま又は再加熱あるいは保定後、熱間仕上圧延を開始し、780℃以上で仕上圧延を終了し、平均冷却速度3℃/s以上で750℃以下まで冷却後巻き取り、そのまま又はスケール除去後冷間圧延を施し、焼鈍温度700℃以上に加熱後、平均冷却速度3℃/s以上で600℃以下まで冷却をしてから、250〜600℃の間で10秒以上保持し冷却することを特徴とする高強度鋼板の製造方法、
(13)(12)項に記載の方法により得られた鋼板の表面に亜鉛を主体とした金属または合金の電気めっきを施すことを特徴とする高強度亜鉛系めっき鋼板の製造方法
である。
本発明の高強度亜鉛めっき鋼板は、従来にない加工性と優れた形状凍結性、耐デント性を有しており、今日強くもとめられている自動車外装材の薄肉化に寄与するものであり、本発明の実用上の意義は大きい。
本発明は冷延鋼板および冷延鋼板または熱延鋼板の亜鉛系めっき鋼板であるが、本発明の成分と焼鈍ヒートパターンをとれば、いかなるZn系めっきでも発明の期待効果は発現する。ここに、本発明が対象とする亜鉛系めっき鋼板としては、例えば溶融めっき法、電気めっき法、蒸着めっき法、溶射法などの各種の製造方法によるものがあり、めっき組成としては例えば純Znの他、ZnとFe、ZnとNi、ZnとAl、ZnとMn、ZnとCr、ZnとTi、ZnとMgなどZnを主成分として、あるいは耐食性など諸機能の向上のために、これらの主成分に加えて、Fe、Ni、Co、Al、Pb、Sn、Sb、Cu、Ti、Si、B、P、N、S、O等の1種ないし2種以上の合金元素および不純物元素を含むものであってもよい。まためっき層中にSiO、AlOなどのセラミックス微粒子、TiO、BaCrOなどの酸化物、アクリル樹脂などの有機高分子を分散させたものであってもよく、めっき層の厚み方向で単一組成のもの、連続的あるいは層状に組成が変化するもの(多層めっき鋼板)でもよい。多層めっき鋼板としては、最上層に、めっき組成が純ZnまたはZnとFe、ZnとNi、ZnとAl、ZnとMn、ZnとCr、ZnとTi、ZnとMgなどZnを主成分として、さらに耐食性など諸機能の向上のため1種ないし2種以上の合金元素および不純物元素を含み、また必要によりSiO、AlOなどのセラミックス微粒子、TiO、BaCrOなどの酸化物、アクリル樹脂などの有機高分子をめっき層中に分散させたものであるめっき層を設けたものであってもよい。
本発明が対象とする亜鉛系めっき鋼板としては溶融亜鉛めっき鋼板、蒸着亜鉛めっき鋼板、鉄−亜鉛合金化溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛を主とするアルミニウム、鉄などの合金溶融亜鉛めっき鋼板、めっき層断面方向で下層が合金化されている合金化溶融亜鉛めっき鋼板(一般にハーフアロイと称する)、片面鉄−亜鉛合金化溶融亜鉛めっき層、他面溶融亜鉛めっき層からなるめっき鋼板、これらのめっき層上に電気めっき、蒸着めっき等により亜鉛、または亜鉛を主成分とし、鉄、ニッケルを含有する金属をめっきした鋼板、あるいは電気亜鉛めっき鋼板、亜鉛、ニッケル、クロム等合金電気めっき鋼板等、さらに単一合金層または多層合金電気めっき鋼板、亜鉛および亜鉛含有金属の蒸着めっき鋼板等がある。その他、SiO、AlOなどのセラミックス微粒子、TiO酸化物微粒子および有機高分子などを亜鉛または亜鉛合金めっき中に分散させた分散めっき鋼板がある。
次に、本発明において鋼組成および製造条件を上述のように規定した理由について詳細に説明する。なお、本明細書において鋼組成を示す「%」はいずれも「質量%」を意味する。
(A)鋼組成
C:Cは複合組織および残留オーステナイトを得るのに必要な元素である。しかしながら、その含有量が0.04%を超えると鋼板の降伏強度が高すぎ、自動車パネル用途には適さない。したがってC含有量は0.04%以下と定めた。好ましくは0.001 %以上0.04%以下、さらに好ましくは0.005 %以上0.04%以下、さらに好ましくは0.01%以上0.04%以下である。
Si:Siは高強度化に有利な元素であるが、靱性の低下や表面性状の劣化をもたらす。また、Siはオーステナイトを安定化するため、残留オーステナイト量を増すのに有効である。他方、溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合には、めっきの濡れ性や合金化処理性を妨げ、製造を困難にする。したがって、その上限は0.6%未満と定めた。好ましくは0.4%以下、さらに好ましくは0.2%以下、なお好ましくは0.1%以下である。
Mn:Mnは複合組織を得るのに必要な元素である。そのため0.5%以上含有させる。しかしながら、3.0%を超えて含有させると鋼板の降伏強度が高すぎ、自動車パネルの用途には適さない。したがって、Mn含有量は0.5%以上、3.0%以下と定めた。好ましくは1.0%以上2.0%以下である。
P:Pは高強度化に有利な元素であるが、多量に含有させると溶接性が劣化する。したがって上限を0.15%と定めた。好ましくは0.05%未満である。また溶接性を劣化させるCとの合計で0.08%未満とするのが好ましく、0.05%未満とするのがさらに好ましい。
S:Sは熱間脆性を生じさせ、表面品質を劣化させる好ましくない元素である。そのため少ない方が好ましく、その含有量を0.03%以下と定めた。
N:Nは拡散速度が速いため常温時効劣化を大きくする。したがってその含有量は少ないほうが好ましく、上限を0.01%と定めた。
Al:Alは製鋼時に脱酸調整剤として添加される。多量に添加してもその作用は飽和しコスト上昇を招くだけなので、鋼中の含有量として上限を0.50%と定めた。0.10%以下とするのが好ましい。またAlは窒化物として固溶N量を減少させる働きもあるので0.005%以上含有させるのが好ましい。
Mo:本発明においては鋼にMoを0.01%以上含有させることで自動車パネルの用途に適する低降伏強度で、残留オーステナイトを含む複合組織鋼板を得ることができる。しかしながら、その含有量が1.0 %を超えると鋼板の降伏強度が高くなりすぎる。したがって、Mo含有量は0.01%以上、1.0%以下とする。好ましくは0.1%以上、0.6%以下である。
B:Bは窒化物として固溶N量を減少させる働きがあり、時効劣化をさらに低減するために、含有させても構わない。多量に添加してもその作用は飽和しコスト上昇を招くだけなので、含有させる場合の上限は0.01%とする。
Cr:Crは複合組織化を促進する作用があるので、その目的で含有させても構わない。しかしながら、1.5%以上含有させても上記効果が飽和するため、その含有量は1.5%未満と定めた。好ましくは1.0%未満である。
Ti:Tiは時効劣化を促進するNを固定する働きがあり、時効劣化をさらに低減するために含有させても構わない。しかしながら、0.05%を超えて含有させると析出強化によって降伏点が上がってくる問題がある。したがって、その含有量を0.05%以下と定めた。好ましくは0.03%以下である。
(B)金属組織
金属組織として残留オーステナイトを体積率で (以下、金属組織を表わす「%」は体積率を意味する。)0.5%以上10%未満含有する。複合組織鋼板のr値が低く成形性に劣るという問題は、残留オーステナイトのTRIP効果(歪誘起変態塑性)により、伸びが向上することで改善される。その効果を得るためには残留オーステナイトは0.5%以上必要である。またTRIP効果により高い加工硬化が得られるため、耐デント性に有効な2%引張り予歪みの加工硬化量も高くなる。しかしながら、その体積率が10%以上では高い加工硬化が高い歪みまで過度に得られるため、強度が高くなりすぎて延性が低下するとともに、表面品質を悪化させる降伏点伸び(YPE)が発生しやすくなる。好ましい範囲は0.5%以上、5%以下、さらに好ましくは0.5%以上、4%以下である。
金属組織の残部はフェライトと硬質相の複合組織であることも重要である。硬質相はビッカース硬さが200HV以上のものが好ましい。このような硬質相としては、ベイナイトおよび/またはマルテンサイトがあるが、マルテンサイト主体であることが好ましい。
フェライトと硬質相の複合組織にすることで、圧延方向に対し直角方向の引張りにおいて、降伏点が300MPa以下、2%引張り予歪みの加工硬化(WH)量とBH量がそれぞれ30MPa以上で、降伏比が75%以下で、常温時効性に優れ加工性と形状凍結性に優れた高強度冷廷鋼板又は高強度亜鉛めっき鋼板となる。好ましくは降伏点が280MPa以下、引っ張り強度が510MPa以下、WH量が50MPa以上、BH量は50MPa以上である。さらには降伏点は250MPa以下が好ましい。
ここでBH量とは、JIS5号引張試験片に2%の引張予歪を与えた時の応力と、上記予歪を加えた後170 ℃×20分間の熱処理を施した後の降伏点との差を意味する。
(C)熱間圧延条件
熱間圧延条件は、連続鋳造後直接、またはスラブを1300℃以下に加熱あるい保定後熱間粗圧延を開始し、熱間粗圧延終了後、そのまま直接、または、必要に応じて粗バーに再加熱あるいは温度保定を施して仕上げ圧延を開始し、780 ℃以上で仕上圧延を終了して、平均冷却速度3℃/s以上で750 ℃以下まで冷却後、巻取りを行う。
連続鋳造で製造されたスラブは、高温のまま直接に熱間粗圧延を開始しても良いし、1300℃以下に加熱あるいは保定後圧延を開始しても良い。加熱または保定する場合は、その温度は析出物を粗大化させ、r値を向上させる目的で1300℃以下にする。低温にする方が好ましく1200℃以下、さらには1100℃以下が好ましい。
粗圧延終了後に仕上圧延を開始して仕上温度780℃以上で圧延を終了するが、前述のようにスラブ加熱温度を下げると仕上温度の確保が困難である。これを回避する手段として粗圧延後の仕上圧延に入る前の粗バーの一部または全部を加熱あるいは保温することは極めて有効である。加熱あるいは保温方法として、粗バーをコイル状に巻き取って炉に装入して実現する方法、あるいは粗バーを誘導加熱方法で加熱する粗バーヒータによる加熱、ガスバーナによる加熱、直接粗バーに電流を流す通電加熱方法など、いずれでもよいが、特に粗バーヒータを用いる方法が好適である。
また仕上げ圧延前に粗バーを接合して連続的に圧延する方法も速度をあまり落とさず高速で短時間に仕上圧延を完了できるため、有効である。
仕上温度は780 ℃を下回ると不適正な集合組織の量が熱延鋼板で増えるため最終製品のr値が低下して好ましくない。好ましい仕上温度は、820℃以上、さらに好ましくは850℃以上である。
仕上圧延後、平均冷却速度3℃/s以上で750 ℃以下まで冷却してから巻き取る。3℃/s以上で750℃以下までの急冷はフェライト結晶粒を細かくするためである。結晶粒が粗大だと焼鈍後に炭化物が析出しやすく、残留オーステナイトやベイナイトやマルテンサイトの硬質相が得られない。結晶粒を細かくする、あるいはベイナイト組織にするために、冷却速度は10℃/s以上が好ましく、巻取温度は300℃以上、600℃以下が好ましく、400℃以上、550 ℃以下がさらに好ましい。
(D)焼鈍条件
熱間圧延後スケール除去して必要に応じて冷間圧延を行う。スケール除去は酸洗にて行うのが一般的である。またスケール除去の前、または後でスキンパスやレベラーによる平坦矯正を行っても何ら問題ない。冷間圧延は常法にしたがって実施されるが、圧下率は40%以上が適正な集合組織を得るためには好ましい。
熱間圧延後、またはさらに冷間圧延後、連続焼鈍または連続溶融亜鉛めっきラインにて焼鈍される。焼鈍は700 ℃以上での加熱により、通常Ac点以上である720℃以上に加熱することで実施される。常温時効性の劣化を防ぐ硬質相を十分確保するには、780℃以上が好ましく、さらに好ましくは820℃以上である。
焼鈍後、平均冷却速度3℃/s以上で600℃以下まで冷却してから、250〜600℃の間で10秒以上保持することが重要である。冷却速度が3℃/s未満では冷却過程でオーステナイトがパーライトやセメンタイトに分解してしまうため、常温時効性の良好な複合組織が得られない。好ましくは8〜120℃/sである。冷却後250〜600℃の間で10秒以上保持することでオーステナイトがセメンタイトに分解することなく、Cなどオーステナイト安定化元素の濃縮により安定化するのである。好ましい温度範囲は300℃以上、600℃以下で、保持は10秒以上、180秒以下、さらに好ましくは450℃以上、600℃以下で10秒以上、60秒以下である。
溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合は保持温度が450 ℃未満では、めっき前にめっき温度への再加熱が必要になるので好ましくない。従ってこの場合の保持温度は450℃以上、600℃以下とする。
なお、保持の場合においてはその温度で保定しても構わないし、2℃/s以内の冷却を実施しても構わない。
保持後はそのまま、あるいは溶融亜鉛めっきを施すか、またはさらに鉄−亜鉛の合金化処理を施してから3℃/s以上で冷却するのが好ましい。冷却速度が3℃/s未満では冷却過程でオーステナイトがパーライトやセメンタイトに分解してしまうため、常温時効性の良好な複合組織が得られない。
次いで表面粗さの調整や平坦矯正のため2.0%以下のスキンパスを施すのは何ら問題はない。保持後そのまま冷却した鋼板については、電気めっきにて表面に亜鉛を主体とするめっきを施しても良い。亜鉛めっき鋼板の上にはさらに潤滑皮膜を形成させたり、塗油を施しても何ら問題は生じない。また表面の粗さは摺動性の点より平均表面粗さRaで1.2 μm以下が好ましく、1.0 μm以下がさらに好ましい。
次に、実施例に関連させて本発明の効果をさらに具体的に説明する。
本例では、表1に示す化学組成の鋼を実験室で溶解し、80mm厚のスラブを製造した。
得られたスラブに表2に示す条件で3mm厚まで熱間圧延を行った。この熱間圧延における粗圧延は各パス間で5秒以上あけて4パス圧延し30mm厚の粗バーを製造してシミュレートした。仕上圧延は、各パス間5秒以内3パス圧延にて、熱延鋼板を製造した。一部の条件では粗圧延出側温度より仕上げ圧延入側温度を高くするために、粗バーを誘導加熱により60秒以内加熱した。仕上圧延後、巻取温度に相当する温度まで水スプレーにて冷却してから、その温度の炉に装入し、20℃/ 時で300 ℃以下まで炉冷し、巻き取りをシミュレートした。
さらに表面のスケールを除去後、必要に応じて冷間圧延を施し、さらに表2に示す連続焼鈍パターン又は溶融亜鉛めっきのパターンで焼鈍を行った後、スキンパス圧延を行った。なお、合金化溶融亜鉛めっきのパターンでの合金化処理は500 ℃で30秒実施した。連続焼鈍パターンで焼鈍した場合は、得られた冷延鋼板に電気的に表面に亜鉛めっきを施した。
得られた各試料から試験片を採取して、次のような評価試験を行った。
引張り特性は圧延方向に対して直角方向に採取したJIS 5号引張り試験片で調査した。さらに、2%予歪みでの加工硬化量 (WH量) と2%予歪み後の応力と170 ℃×20分の熱処理を加えた後の降伏点の応力差 (BH量) を測定した。
常温時効劣化は、70℃×14日間熱処理にて評価し、熱処理後のYPおよびYPE と熱処理前後での伸びの低下量で評価した。
金属組織はナイタル液を使って腐食後、光学顕微鏡およびSEM にて試料表面を観察し、特定が困難な場合はTEM にて観察し、金属組織を特定した。また残留オーステナイト量は板厚1/4 の位置でX線にて測定した。
これらの結果は表3に示す。
表3に示すように、本発明鋼は、YPが300MPa以下、70℃×14日の時効においてYPE が0.3 %以下、伸びの低下量が2%以下の良好な常温時効性を示した。またWH量およびBH量とも高い値が得られ、耐デント性に優れることが分かる。
それに対し残留オーステナイトを含有しない試験No.8〜13とNo.28 とはYPが高くWH量が小さい。さらに主金属組織がフェライトとベイナイトやマルテンサイトの硬質相でない試験No.9〜12は常温時効にて大きな伸びの低下とYPE の発生が見られた。C含有量の高い試験No.24 とMnの高い試験No.26 はYPが300MPaを越えた。Si含有量の高い試験No.25 は残留オーステナイト量が多く、強度が高いためYPが高く、また常温時効性も劣る。Pの高い試験No.27 は溶接性の問題があった。
Figure 2005281867
Figure 2005281867
Figure 2005281867

Claims (9)

  1. 質量%で、
    C:0.04%以下、Si:0.6%未満、Mn:0.5〜3.0%、P:0.15%以下、S:0.03%以下、Al:0.50%以下、N:0.01%以下、Mo:0.01〜1.0%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物から成る鋼組成を有し、金属組織が、残留オーステナイトを体積率で0.5%以上10%未満を含み、残部がフェライトと、ベイナイトおよび/またはマルテンサイトの硬質相とから成る複合組織であり、降伏点が300MPa以下であることを特徴とする高強度冷延鋼板。
  2. 前記降伏点が280MPa以下である請求項1記載の高強度冷延鋼板。
  3. 前記降伏点が250MPa以下である請求項1記載の高強度冷延鋼板。
  4. 圧延方向に対し直角方向の引張試験によって、2%引張り予歪みの加工硬化量とBH量がそれぞれ30MPa以上で、降伏比が75%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の高強度冷延鋼板。
  5. 前記鋼組成におけるSi含有量が0.4%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の高強度冷延鋼板。
  6. 前記鋼組成がさらにCr:1.5%未満を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の高強度冷延鋼板。
  7. 前記鋼組成がさらにTi:0.05%以下を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の高強度冷延鋼板。
  8. 前記鋼組成がさらにB:0.01%以下を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の高強度冷延鋼板。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の高強度冷延鋼板に亜鉛系めっき皮膜をさらに設けた高強度亜鉛系めっき鋼板。



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