JP6119928B1 - 冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

優れた曲げ加工性を有する冷延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。質量%で、C:0.010%以上0.035%以下、Si:0.1%以下、Mn:0.35%以下、 P:0.035%以下、S:0.02%以下、N:0.010%以下、Al:0.005以上0.03%以下、およびB:0.0001%以上0.005%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、フェライト平均粒径が20μm以下である組織を有し、下記式(1)の条件を満たすようにBNとAlNが析出しており、ひずみ域5〜10%におけるn値が0.15以上である、冷延鋼板。記0<[BN]/[AlN]≦0.5 ・・・ (1)(ここで、[BN]および[AlN]は、それぞれ同じ単位で表したBNおよびAlNの個数密度である)

Description

本発明は、冷延鋼板に関するものであり、特に、自動車用部品等の構造部材、住居、家具、机、家電製品等の構造体の素材として好適な、加工性に優れた冷延鋼板に関するものである。また、本発明は、前記冷延鋼板の製造方法に関するものである。
冷延鋼板は、その成形性の良さから、多種多様な構造体の素材として用いられている。冷延鋼板を用いて複雑な形状の構造体を製造する場合、一般的に、平坦な冷延鋼板をプレスして複雑な3次元形状に加工し、得られた加工品同士をさらに接合するといった方法が用いられる。そのため、構造体の素材として用いられる冷延鋼板には、加工性に優れることが求められる。
そこで、加工性に優れた冷延鋼板の開発が、様々な観点で行われている。例えば、特許文献1には、加工性の良好な非時効性冷延鋼板を、連続焼鈍およびそれに続く調質圧延によって製造する方法が開示されている。特許文献1に記載された前記方法では、鋼のC、Mn、Al、N量を低減するとともに、50%以上の圧延率で冷間圧延した後、所定の条件で焼鈍後の冷却、過時効処理、および調質圧延を行うことによって、冷延鋼板の耐時効性を向上させている。
また、特許文献2には、C、Mn、S、O、およびBを所定の量含有する鋼を、所定の条件で連続鋳造した後に熱延、冷延、連続焼鈍することにより、加工性に優れた冷延鋼板を製造する方法が開示されている。特許文献3には、C、Si、Mn、P、Al、Nを所定の量含有する鋼を、熱延、冷延したのちの連続焼鈍時に急速加熱、急速冷却することによって、耐時効性と加工性に優れた冷延鋼板を製造する方法が開示されている。特許文献4には、鋼中のSiとMnの含有量の比を所定の範囲とすることで、フェライト粒径とセメンタイトの析出状態を制御して、曲げ加工性に優れた冷延鋼板を製造する方法が開示されている。
特開昭61−124533号公報 特開平02−267227号公報 特開平07−216459号公報 特開2013−209725号公報
しかし、特許文献1に記載された方法では、調質圧延条件を調整することによって耐時効性の良好な鋼板を製造できるものの、調質圧延条件を調整するだけでは、現在求められている加工性の水準を達成することができない。
また、特許文献2に記載された方法では、酸化物系介在物を形成することによってMnSの大きさを制御しているため、鋼に酸素を60ppm以上含有させる必要がある。その結果、酸化物系の介在物が多量に発生するため、前記介在物が起点となってプレス成形の際に割れが生じるという問題があった。
特許文献3に記載された方法では、急速加熱と急速冷却が行われるため、熱処理条件を鋼板の、特に板厚方向全体にわたって均一とすることが困難である。そして、その結果、鋼板の組織が不均一となり、鋼板全体の曲げ加工性を良好とすることができないという問題があった。
特許文献4に記載された方法では、セメンタイトをフェライト粒内に析出させるため、降伏強さが上昇して、n値が低下する。その結果、曲げ加工部の歪分布が不均一になりやすいため、十分な曲げ加工性が得られないばかりか、曲げ加工性のばらつきが大きいという問題があった。
このように、従来の技術では曲げ加工性の良好な冷延鋼板を工業的に安定して提供することは困難であった。本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、優れた曲げ加工性を有する冷延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨構成は、次のとおりである。
1.質量%で、
C :0.010%以上0.035%以下、
Si:0.10%以下、
Mn:0.35%以下、
P :0.035%以下、
S :0.020%以下、
N :0.010%以下、
Al:0.005%以上0.030%以下、および
B :0.0001%以上0.005%以下を含有し、
残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
フェライト平均粒径が20μm以下である組織を有し、
下記式(1)の条件を満たすようにBNとAlNが析出しており、
ひずみ域5〜10%におけるn値が0.15以上である、冷延鋼板。

0<[BN]/[AlN]≦0.5 ・・・ (1)
(ここで、[BN]および[AlN]は、それぞれ同じ単位で表したBNおよびAlNの個数密度である)
2.板幅方向における端部、1/4部、および中央部の各位置で、鋼板表面からの深さが10μmの位置における板面{111}のX線ランダム方位強度比が5.0以下である、上記1に記載の冷延鋼板。
3.前記成分組成が、
Cu、Sn、Ni、Ca、Mg、Co、As、Cr、Mo、Sb、W、Ti、Nb、Pb、Ta、REM、V、Cs、Zr、およびHfからなる群より選択される1以上を、合計で1質量%以下さらに含有する、上記1または2に記載の冷延鋼板。
4.前記冷延鋼板の表面に形成されためっき皮膜をさらに備える、上記1〜3のいずれか一項に記載の冷延鋼板。
5.冷延鋼板の製造方法であって、
上記1または3に記載の成分組成を有する鋼素材を用意し、
前記鋼素材に対し、仕上げ圧延終了温度:800℃以上950℃以下の条件での仕上げ圧延を含む熱間圧延を施して熱延鋼板を得、
前記熱延鋼板を平均冷却速度:30℃/s以上110℃/s以下で水冷し、
前記水冷後の熱延鋼板を、巻取温度:600℃以上780℃以下で巻取り、
前記熱延鋼板表面のスケールを除去し、
前記スケール除去後の熱延鋼板を、50%以上の圧延率で冷間圧延して冷延鋼板を得、
前記冷延鋼板を、焼鈍温度:650℃以上の条件で焼鈍する、ことを含み、
前記水冷が、前記熱間圧延の終了から0.5秒以上3.0秒以内に開始される、冷延鋼板の製造方法。
6.前記仕上げ圧延に先だって、前記鋼素材をシートバーヒーターで加熱する、上記5に記載の冷延鋼板の製造方法。
本発明によれば、優れた曲げ加工性を有する冷延鋼板を得ることができる。
[成分組成]
次に、本発明を実施する方法について具体的に説明する。
本発明においては、冷延鋼板が上記成分組成を有することが重要である。そこで、まず本発明において鋼材の成分組成を上記のように限定する理由を説明する。なお、成分組成に関する「%」表示は、特に断らない限り「質量%」を意味するものとする。
C:0.010〜0.035%
C含有量が少ないと固溶Cの析出駆動力が低くなるため、固溶Cが増加する。固溶Cが増加すると歪時効が生じやすくなり、その結果、曲げ加工性が低下する。そのため、本発明ではC含有量を0.010%以上とする。C含有量は、0.015%以上とすることがより好ましい。一方、C含有量が0.035%を超えると、フェライト粒内にセメンタイトが過剰に生成するため、降伏強さが上昇し、n値が低下するばかりか、フェライトとセメンタイトの界面でのボイド発生サイトが増えるため、曲げ加工性が顕著に劣化する。そのため、C含有量は0.035%以下とする。C含有量は、0.030%以下とすることがより好ましく、0.025%以下とすることがさらに好ましい。
Si:0.10%以下
Siはセメンタイトの生成を抑制する元素であり、固溶Cのセメンタイト化を抑制する。したがって、Siを添加することによって固溶C量を増加させ、その結果、鋼板表層におけるフェライト集合組織の板面{111}のX線ランダム方位強度比を低下させることができる。一方、Si含有量が0.10%を超えると、セメンタイトの生成が過剰に抑制され、固溶C量が増し、延性が低下するとともに曲げ性が劣化する。そのため、Si含有量は0.10%以下とする。Si含有量は、0.05%以下とすることが好ましく、0.03%以下とすることがより好ましい。なお、Si含有量の下限は特に限定されないが、Si含有量を0.001%以上とすることが好ましく、0.005%以上とすることがより好ましい。
Mn:0.35%以下
Mnは、セメンタイト中に溶解し、粗大セメンタイトの生成を抑制する効果を有する元素である。前記効果を得るために、Mn含有量は0.01%以上とすることが好ましく、0.10%以上とすることがより好ましい。一方、Mn含有量が0.35%を超えるとMnの偏析に伴って、MnSが偏析する結果、曲げ加工性が劣化する。そのため、Mn含有量は0.35%以下とする。Mn含有量は0.30%以下とすることが好ましく、0.25%以下とすることがより好ましい。
P:0.035%以下
Pはフェライト粒界に偏析して曲げ加工時にフェライト粒界でのボイドの発生を助長することから、含有量は低い方が望ましい。そのため、P含有量を0.035%以下とする。P含有量は0.025%以下とすることが好ましい。一方、P含有量の下限は特に限定されず、0%以上であればよく、工業的には0%超とすることができる。しかし、過度にP含有量を低下させると精錬時間の増加やコストの上昇を招くため、P含有量は0.001%以上とすることが好ましい。
S:0.020%以下
Sは本発明において、Mnと結合してMnSを形成する元素である。S含有量が高いとMnSが多量に生成して曲げ加工時にフェライト粒界での破壊を助長する。そのため、本発明では、S含有量を0.020%以下とする。S含有量は0.015%以下とすることが好ましい。一方、S含有量の下限は特に限定されず、0%以上であればよく、工業的には0%超とすることができる。しかし、過度にS含有量を低下させると精錬時間の増加やコストの上昇を招くため、S含有量は0.0005%以上とすることが好ましい。
N:0.010%以下
Nは、AlやBと結合してAlNやBNを形成する。N含有量が高いと微細なAlNが過剰に析出するため、n値が低下する。それに加えて、微細なAlNは転位発生源となって、冷間圧延時に結晶粒の多重すべりを容易にし、微細で均一な焼鈍前組織を形成させる。その結果、冷間圧延後に行われる焼鈍再結晶時に、板面{111}のX線ランダム方位強度比が増大し、曲げ加工性が劣化する。そのため、N含有量は低い方がよく、本発明では、N含有量を0.010%以下とする。N含有量は0.004%以下とすることが好ましい。一方、N含有量の下限は特に限定されず、0%以上であればよく、工業的には0%超とすることができる。しかし、過度にN含有量を低下させると精錬時間の増加やコストの上昇を招くため、N含有量は0.0005%以上とすることが好ましく、0.0010%以上とすることがより好ましい。
Al:0.005%以上0.03%以下
Alはフェライト粒内より固溶Cを排出し、粒界にセメンタイトを形成するのを促進する。その結果、降伏強さが低下し、n値が増加する。前記効果を十分に得るために、Al含有量を0.005%以上とする。一方、Al含有量が過度に高くなると、微細なAlNや、Alが不可避不純物であるOと結合して生じる酸化物が析出し、曲げ加工性が低下する。そのため、Al含有量は0.030%以下とする。Al含有量は0.020%以下とすることが好ましい。
B:0.0001%以上0.005%以下
Bは、Nと結合してBNを形成し、微細AlNの析出を抑制する。また、BNはMnSを核として析出するため、微細なMnSの量を低減することができる。これらの析出物は、フェライト粒内に取り込まれ、その結果、曲げ加工時のボイドの発生源となるフェライト粒界の窒化物数が減るため、曲げ加工性が向上する。前記効果を得るために、B含有量を0.0001%以上とする。一方、B含有量が0.005%を超えると微細なFe23(CB)が粒界に生じるようになり、曲げ加工性が低下する。そのため、B含有量は0.005%以下とする。B含有量は0.001%以下とすることが好ましく、0.0007%以下とすることがより好ましい。
本発明の冷延鋼板は、以上の成分と、残部Feおよび不可避不純物とからなる。なお、「残部Feおよび不可避不純物からなる」とは、本発明の作用・効果を損なわない限りにおいて、不可避不純物をはじめ、他の微量元素を含有するものが本発明の範囲に含まれることを意味する。
本発明の冷延鋼板は、上記元素に加えて、さらに以下に述べる元素を任意に含有することができる。
Cu、Sn、Ni、Ca、Mg、Co、As、Cr、Mo、Sb、W、Ti、Nb、Pb、Ta、REM、V、Cs、Zr、およびHfからなる群より選択される1以上:合計で1%以下
Cu、Sn、Ni、Ca、Mg、Co、As、Cr、Mo、Sb、W、Ti、Nb、Pb、Ta、REM、V、Cs、Zr、およびHfは、いずれも、耐食性向上に有用な元素である。そこで、これらの元素を1または2以上組み合わせて添加することによって、鋼板の耐食性を向上させることができる。一方、これらの元素の合計含有量が1%を超えると、これらの元素が粒界に偏析して曲げ加工時に粒界からのボイド発生を促進してしまう。そのため、これらの元素を添加する場合、合計含有量を1%以下とする。なお、前記合計含有量は0.5%以下とすることが好ましい。一方、上記元素は任意に添加されるものであるため、前記合計含有量の下限は特に限定されず0%であってよい。しかし、上記元素を添加する場合、耐食性向上効果を得るという観点からは、前記合計含有量を0.05%以上とすることが好ましく、0.1%以上とすることがより好ましい。
以上、鋼板の成分組成について説明したが、本発明で所期した効果を得るには、成分組成を上記の範囲に調整するだけでは不十分であり、フェライト粒径、BNおよびAlNの析出形態、ならびにひずみ域5〜10%におけるn値を上記の範囲とする必要がある。これにより、冷延鋼板の曲げ加工性を著しく向上させることができる。以下、前記各項目の限定理由について説明する。
[フェライト平均粒径]
フェライト平均粒径:20μm以下
フェライト平均粒径が20μmを超えると、曲げ加工での歪みがフェライト粒界に集中して、フェライト粒界より亀裂が発生しやすくなるため、曲げ加工性が低下する。そのため、本発明においては、フェライト平均粒径を20μm以下とする。フェライト平均粒径は15μm以下とすることが好ましい。一方、前記フェライト平均粒径の下限は特に限定されないが、フェライト平均粒径が小さすぎると過度に強度が上昇し、延性が低下するおそれがある。そのため、フェライト平均粒径は4μm以上とすることが好ましく、8μm以上とすることがより好ましい。前記フェライト平均粒径は、実施例に記載の方法で測定することができる。
なお、本発明においては、冷延鋼板の金属組織をフェライト単相とすることが好ましい。ここでいう「フェライト単相」とは、フェライト相が面積分率で100%の場合だけでなく、面積分率が95%以上の、実質的にフェライト単相である場合も含むものとする。
[析出物]
0<[BN]/[AlN]≦0.5
本発明の冷延鋼板においては、下記式(1)の条件を満たすようにBNとAlNが析出していることが重要である。
0<[BN]/[AlN]≦0.5 ・・・ (1)
(ここで、[BN]および[AlN]は、それぞれ同じ単位で表したBNおよびAlNの個数密度である)
BNとAlNの生成自由エネルギーを比較すると、AlNの方が生成しやすいと考えられるが、実際の熱延工程では、粒状MnSを核としてBNが優先的に生成する。そしてその際に、粗大なBNを形成させることで、曲げ加工に伴う亀裂の進展を抑制することができる。また、Nの固定をBで行うことで、生成したBNの周囲にAlNが析出するため、AlNの析出強化による降伏強度の上昇を抑制できる。本発明においては、これらの効果を得るために、BNの分散形態を、式(1)の条件を満たすように制御する。
式(1)は、鋼中に析出したBNとAlNの個数密度の関係を限定するものである。例えば、BNの析出量を一定とすると、BNの個数密度[BN]が小さいほど、析出した個々のBNは粗大となる。そして、BNとAlNの個数密度を、式(1)の条件を満たすように制御することにより、BNを起点としたAlNの析出を促進させ、降伏強さを低下させることができる。また、上記のようにBNを析出させることにより、BNを核として析出したAlNの周囲にセメンタイトが優先的に析出するため、粒内セメンタイトを低減し、さらに降伏強さを低減することができる。[BN]および[AlN]の値は、上記式(1)の関係を満たしていれば、特に限定されず任意の値とすることができ、例えば、[BN]は、0.0005〜0.01個/μmとすることができる。なお、ここで前記[BN]と[AlN]の値は、鋼板の板幅方向中央、板厚1/4t位置における値であり、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
[n値]
ひずみ域5〜10%におけるn値:0.15以上
張り出し成形などの歪量の小さい成形とは異なり、曲げ変形では表層に大きな歪が付与されるため、比較的高歪域において加工硬化量が高いことが要求される。そのため、本発明においては、冷延鋼板のひずみ域5〜10%におけるn値(加工硬化指数)を0.15以上とする。一方、前記n値の上限は特に限定されず、任意の値とすることができるが、一般的には0.4以下である。なお、ここで前記n値は、鋼板の板幅方向における中央の値とする。
[集合組織]
板面{111}のX線ランダム方位強度比:5.0以下
さらに本発明の冷延鋼板においては、板幅方向における端部、1/4部、および中央部の全ての位置で、鋼板表面からの深さが10μmの位置における板面{111}のX線ランダム方位強度比を5.0以下とすることが好ましい。
鋼板の集合組織に関しては、板面に{111}//NDを配向させることでr値(Lankford値)を向上させる再結晶集合組織制御技術が既に知られている。深絞り成形においては、板面と平行な方向に対する高い変形能を有する一方で、板厚方向に対しては変形し難いことが要求されるため、高いr値を有する鋼板が有利である。これに対し、曲げ成形においては、曲げ稜線に平行な方向には変形拘束がある。そのため、鋼板が曲げ稜線に対して垂直な方向(曲げ方向)に変形するためには、体積が一定と考えると、該鋼板が板厚方向に高い変形能を有することが望ましい。そこで、鋼板表層におけるフェライト集合組織の板面の{111}のX線ランダム方位強度比を5.0以下に制御することにより、板厚方向に変形するために必要なすべり系を、より十分に得ることができる。なお、後述するように、熱間圧延工程において、仕上げ圧延に供される鋼素材の表層部および幅端部をシートバーヒーターで加熱することにより、前記条件を満たす集合組織を幅方向全体にわたって得ることができる。一方、前記X線ランダム方位強度比の下限は特に限定されることなく、任意の値とすることができるが、理論上の下限は1であり、製造上の観点からは、前記X線ランダム方位強度比は1.2以上であってよい。
なお、上記X線ランダム方位強度比は、3次元結晶方位分布関数(ODF:orientation distribution function)より求めることができる。ODFは、化学研磨で鋼板表面の残留応力を除去した後、X線回折(Schultz法)により正極点図(pole figure)を5°間隔で測定し、測定した3つの極点図({110}、{200}、{211})より得ることができる。なお、ランダム方位強度比とは、結晶方位がランダムである標準試料のX線回折強度に対する、測定対象試料のX線回折強度の比である。
[めっき皮膜]
本発明の冷延鋼板は、その表面にさらにめっき皮膜を有することができる。鋼板表面にめっき皮膜を形成することにより、冷延鋼板の耐食性を向上させることができる。なお、前記めっき皮膜としては、任意のめっき方法で形成された皮膜を用いることができ、例えば、溶融めっき皮膜、合金化溶融めっき皮膜、電気めっき皮膜などを使用できる。また、前記めっき皮膜の材質は、亜鉛、亜鉛系合金など、各種の材質とすることができる。好適に使用できるめっき皮膜の例としては、溶融亜鉛めっき皮膜、合金化溶融亜鉛めっき皮膜、電気亜鉛めっき皮膜、Zn−Ni電気合金めっき皮膜等が挙げられる。
[製造方法]
次に、本発明の冷延鋼板を製造する方法について説明する。本発明の冷延鋼板は、以下の手順により製造することができる。
(1)上記成分組成を有する鋼素材を用意し、
(2)前記鋼素材に対し、仕上げ圧延温度:800℃以上950℃以下の条件での仕上げ圧延を含む熱間圧延を施して熱延鋼板を得、
(3)前記熱延鋼板を、平均冷却速度:30℃/s以上110℃/s以下で水冷し、
(4)前記水冷後の熱延鋼板を、巻取温度:600℃以上780℃以下で巻取り、
(5)前記熱延鋼板表面のスケールを除去し、
(6)前記スケール除去後の熱延鋼板を、50%以上の圧延率で冷間圧延して冷延鋼板を得、
(7)前記冷延鋼板を、焼鈍温度:650℃以上の条件で焼鈍する。
以下、上記各工程について具体的に説明する。
[鋼素材]
本発明において、上記鋼素材(鋼スラブ)は、常法により鋼を溶製し、鋳造して製造することができる。前記溶製は、転炉、電気炉、誘導炉等、任意の方法により行うことができる。また、前記鋳造は、生産性の観点から連続鋳造法とすることが好ましい。上述した成分組成を有する冷延鋼板を得るために、前記鋼素材の成分組成は、上述の冷延鋼板の成分組成と同じものとする。
[熱間圧延]
次いで、上記鋼素材を熱間圧延する。前記熱間圧延は、加熱炉でスラブを再加熱した後に行ってもよく、また、温度補償を目的とした加熱炉での短時間加熱の後に行ってもよい。前記熱間圧延は、粗圧延と仕上げ圧延とを含む熱間圧延であってもよく、また、粗圧延を行わずに仕上げ圧延のみを行う熱間圧延であってもよい。
仕上げ圧延温度:800℃以上950℃以下
仕上げ圧延温度が950℃を超えると、一部にフェライトの粗大粒が生じ、フェライト粒径がばらつく。そのため、仕上げ圧延温度は950℃以下とする。一方、フェライト域(Ar点以下)で圧延が行われると、粗大なフェライト粒が生じる。そのため、本発明では仕上げ圧延温度を800℃以上とする。なお、ここで仕上圧延温度とは、仕上圧延出側温度を指すものとする。
シートバーヒーターによる加熱
なお、本発明においては、上記熱間圧延における仕上げ圧延に先だって、仕上げ圧延に供される鋼素材をシートバーヒーターで加熱することが好ましい。これにより、板幅方向における温度分布を均一化し、その結果、板幅方向全体にわたって、板面{111}のX線ランダム方位強度比が5.0以下である集合組織を得ることができる。なお、仕上げ圧延に先立って粗圧延が行われる場合には、前記加熱は、粗圧延後のシートバー(粗バー)等に対して行われる。
上記シートバーヒーターとしては、上記加熱を行えるものであれば任意のヒーターを使用することができる。前記シートバーヒーターは、鋼素材(または粗バー)の幅方向全体を加熱するものであってもよく、また、幅方向端部のみを加熱するもの(エッジヒーター)であってもよい。しかし、板幅方向における温度分布を均一化するという観点からは、鋼素材の幅方向全体を加熱できるヒーターを用いることが好ましい。鋼素材の幅方向全体を加熱できるヒーターとしては、例えば、加熱用のコイルが筒状に巻かれており、その中を通すことによって鋼素材が誘導加熱されるソレノイド型誘導加熱装置を用いることが好ましい。ソレノイド型誘導加熱装置を用いた場合には、鋼板の表層部と幅方向端部のいずれもが加熱される。
[水冷]
熱間圧延終了から水冷開始までの時間:0.5秒以上3.0秒以内
上記熱間圧延後、得られた熱延鋼板の水冷を開始する。前記熱間圧延終了から前記水冷開始までの時間が0.5秒未満であると、十分な量のBNが析出せず、その結果、微細なAlNが多量に生成して降伏強さが増大する。そのため、本発明では熱間圧延終了から水冷開始までの時間を0.5秒以上とする。熱間圧延終了から水冷開始までの時間は、0.8秒以上とすることがより好ましい。一方、前記水冷開始までの時間が3.0秒を超えると、生成するBNの数が増大し、BNを起点とした亀裂やボイドが生じやすくなる。そのため熱間圧延終了から水冷開始までの時間を3.0秒以内とする。熱間圧延終了から水冷開始までの時間は、2.5秒以内とすることがより好ましい。
平均冷却速度:30℃/s以上110℃/s以下
前記水冷における冷却速度は、BNの析出形態に大きく影響する。そのため、本発明においては、前記水冷における平均冷却速度を制御することが重要である。平均冷却速度が30℃/s未満であると、BNの生成量が過多となり、曲げ加工性が劣化する。そのため、平均冷却速度を30℃/s以上とする。前記平均冷却速度は、50℃/s以上とすることが好ましく、70℃/sとすることがより好ましい。一方、平均冷却速度が110℃/sを超えると、所期した巻取り温度を安定して確保できないおそれがある。そのため、前記平均冷却速度を110℃/s以下とする。
[巻取り]
巻取り温度:600℃以上780℃以下
上記水冷の終了後、熱延鋼板をコイルに巻き取る。本発明では、その際の巻取り温度を600℃以上780℃以下とすることが重要である。巻取り温度が600℃未満であると、窒化物を十分に粗大化させることができず、本発明で規定するBN、AlNの析出形態を得ることができない。そのため、巻取り温度は600℃以上とする。前記巻取温度は、630℃以上とすることが好ましい。一方、巻取り温度が780℃を超えると、粗大化なAlNが生成し、曲げ加工の際に亀裂の進展を助長する。そのため、巻取り温度は780℃以下とする。前記巻取温度は、750℃以下とすることが好ましく、720℃以下とすることがより好ましい。
[スケール除去]
次いで、上記熱延鋼板の表面に形成されているスケールを除去する。スケール除去の方法は特に限定されることなく任意の方法で行うことができるが、一般的には酸洗で行われる。前記酸洗は、連続酸洗ラインを用いて行うことが好ましい。連続酸洗ラインを用いてスケール除去を行う場合、コイルを巻き戻しながら、連続的に酸洗を行うことができる。
[冷間圧延]
圧延率:50%以上
次に、前記スケール除去後の熱延鋼板を冷間圧延して冷延鋼板を得る。前記冷間圧延における前記圧延率が50%未満であると、鋼板表層の加工度が足りず、圧延によって導入される歪が少ないために後の焼鈍における転位の再配列・再結晶が抑制される。そして、その結果、フェライト粒径が粗大になってしまう。そのため、本発明においては、前記冷間圧延における圧延率を50%以上とする。前記圧延率は、55%以上とすることが好ましい。一方、前記圧延率の上限は特に限定されないが、圧延率が過度に高いと板形状が劣化する場合があるため、98%以下とすることが好ましく、95%以下とすることがより好ましい。
[焼鈍]
焼鈍温度:650℃以上
次いで、上記冷間圧延を行って得た冷延鋼板を焼鈍する。本発明では、前記焼鈍の際の温度を650℃以上とすることが重要である。焼鈍温度が650℃未満であると、再結晶が完了しないため、焼鈍温度を650℃以上とする。前記焼鈍温度は、680℃以上とすることが好ましく、700℃以上とすることがより好ましい。一方、焼鈍温度が900℃を超えるとオーステナイトが発生して混粒となることから、焼鈍温度は900℃以下とすることが好ましく、850℃以下とすることがより好ましく、800℃以下とすることがさらに好ましい。なお、前記焼鈍は、連続焼鈍と箱焼鈍(バッチ焼鈍)のいずれの方法で行ってもよい。前記焼鈍を連続焼鈍で行う場合には、連続焼鈍ラインにおいて過時効処理を行うこともできる。
[調質圧延]
本発明の効果に影響を及ぼすものではないが、上記焼鈍後に、任意に調質圧延を行うこともできる。前記調質圧延における圧延率が0.5%未満であると降伏点のびが消失せず、また、圧延率が1.5%を超えると鋼が硬質化することから、前記調質圧延における圧延率は0.5%以上1.5%以下とすることが好ましい。
[板厚]
本発明の冷延鋼板の板厚は、特に限定されず、任意の厚さとすることができる。しかし、建材に使用するという観点からは、過度に薄くすると剛性が低下するおそれがあるため、板厚を0.1mm以上とすることが好ましい。一方、過度に厚くすると曲げ加工性に劣る恐れがあるため、板厚を4.0mm以下とすることが好ましく、3.0mm以下とすることがより好ましい。
また、本発明では、以上のようにして製造された冷延鋼板に対し、めっき処理を施すことにより、鋼板表面にめっき皮膜を形成してもよい。例えば、めっき処理として、溶融亜鉛めっき処理を施して鋼板表面に溶融亜鉛めっき皮膜を形成してもよいし、溶融亜鉛めっき処理後、合金化処理を施すことにより、合金化溶融亜鉛めっき皮膜を形成してもよい。このとき、溶融亜鉛めっきと焼鈍を一つのライン内で行なってもよい。その他、Zn−Ni電気合金めっき等の電気めっきにより、めっき皮膜を形成してもよい。めっきを施す場合、前記調質圧延はめっき皮膜生成後に行ってもよい。
次に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例は、本発明の好適な一例を示すものであり、本発明は、該実施例によって何ら限定されるものではない。
表1に記載の成分組成を有する供試鋼A〜Xを真空溶製し、スラブを得た。前記スラブを熱間圧延した後、水冷し、巻取りを模擬した処理を施した。得られた熱延鋼板を酸洗処理して表面スケールを除去した後、最終板厚1.0mmとなるように冷間圧延した。次いで、連続焼鈍を施し、酸洗を行った。前記各処理は、表2に示す条件で実施した。なお、一部の例においては、熱間圧延工程における仕上げ圧延に先だって、粗バーをシートバーヒーターで加熱した。前記シートバーヒーターとしては、ソレノイド型誘導加熱装置を用いた。
以上のようにして得られた冷延鋼板のそれぞれから試験片を採取し、以下の方法により金属組織の観察、引張試験、および曲げ試験を実施した。
[フェライト平均粒径]
得られた冷延鋼板の圧延方向に平行な板厚断面を鏡面に研磨し、ナイタール液を用いて組織を現出させた後、倍率100倍で光学顕微鏡組織写真を撮影した。得られた写真中に、板厚方向、圧延方向にそれぞれ15本の線を実際の長さで50μm以上の間隔で引き、粒界と線との交点の数を数えた。全線長を交点の数で除することで、フェライト粒一つあたりの線分長とし、これに1.13を乗じてASTM(American Society for Testing and Materials)フェライト平均粒径を求めた。
[BNとAlNの個数密度]
鋼板の板幅方向中央、板厚1/4t位置におけるBNとAlNの個数密度を、次の手順で測定した。まず、得られた冷延鋼板の圧延方向に平行な板厚断面を、ブチルセルソルブを少量添加した過塩素酸アルコール溶液を使用して電解研磨した。次いで、カーボン抽出レプリカ法によってカーボン膜上に析出物を抽出して試料を作成し、該試料を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。400μmあたりのBNおよびAlNの個数を測定し、5視野で測定された値の平均を各析出物の個数密度とした。
[集合組織]
得られた冷延鋼板の、板幅方向における端部、1/4部、および中央部の各位置より、観察用サンプルを採取した。各サンプルの板面を化学研磨で10μm除去後、X線回折(Schultz法)により正極点図(pole figure)を5°間隔で測定した。測定した3つの極点図({110}、{200}、{211})より3次元結晶方位分布関数(ODF)を求め、ランダム方位強度比で示した{111}集積量を得た。
[n値]
得られた冷延鋼板の板幅方向中央から、圧延方向に対して平行方向を引張方向とするJIS 5号引張試験片(JIS Z 2201)を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠した引張試験を行って、5〜10%のひずみ域におけるn値を算出した。
[限界曲げ半径]
得られた冷延鋼板の板幅方向における端部、1/4部、および中央部の各位置より、100mm×35mmのサイズの短冊状の試験片を採取した。前記試験片の長手方向中央を曲げの稜線が圧延直角方向に曲がるように曲げ試験を行って、冷延鋼板の曲げ加工性を評価した。前記曲げ試験においては、頂角90°の曲げ試験治具を使用した。曲げ試験治具の頂角の曲率半径を変化させ、試験片表面に割れが認められない最小の試験治具先端半径(R)を求め、得られた半径(R)を板厚(t)で除することで限界曲げ半径(R/t)を算出した。この値が小さい程、優れた曲げ加工性を有することになる。また、90°曲げで割れが生じなかった試験片については、90°曲げした試験片を万力で挟んで180°完全密着曲げをさらに行い、前記密着曲げにおいても割れが生じなかった試験片の限界曲げ半径は0とした。
以上の方法で得られた各測定値を表3に示す。表3に示した結果より、本発明の条件を満たす冷延鋼板は、いずれも限界曲げ半径(R/t)が0.5以下であり、曲げ成形性に優れていることがわかる。なお、限界曲げ半径の値は、幅中央部よりも幅端部で劣っている傾向が見られるが、これは、温度が低下しやすい幅端部においてBNの析出量が低下したためである。
Figure 0006119928
Figure 0006119928
Figure 0006119928

Claims (6)

  1. 質量%で、
    C :0.010%以上0.035%以下、
    Si:0.10%以下、
    Mn:0.35%以下、
    P :0.035%以下、
    S :0.020%以下、
    N :0.010%以下、
    Al:0.005%以上0.030%以下、および
    B :0.0001%以上0.005%以下を含有し、
    残部がFeおよび不可避不純物からなる成分組成を有し、
    フェライト平均粒径が20μm以下であるフェライト単相組織を有し、
    下記式(1)の条件を満たすようにBNとAlNが析出しており、
    ひずみ域5〜10%におけるn値が0.15以上である、冷延鋼板。

    0<[BN]/[AlN]≦0.5 ・・・ (1)
    (ここで、[BN]および[AlN]は、それぞれ同じ単位で表したBNおよびAlNの個数密度である)
  2. 板幅方向における端部、1/4部、および中央部の各位置で、鋼板表面からの深さが10μmの位置における板面{111}のX線ランダム方位強度比が5.0以下である、請求項1に記載の冷延鋼板。
  3. 前記成分組成が、
    Cu、Sn、Ni、Ca、Mg、Co、As、Cr、Mo、Sb、W、Ti、Nb、Pb、Ta、REM、V、Cs、Zr、およびHfからなる群より選択される1以上を、合計で1質量%以下さらに含有する、請求項1または2に記載の冷延鋼板。
  4. 前記冷延鋼板の表面に形成されためっき皮膜をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の冷延鋼板。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷延鋼板の製造方法であって、
    請求項1または3に記載の成分組成を有する鋼素材を用意し、
    前記鋼素材に対し、仕上げ圧延温度:800℃以上950℃以下の条件での仕上げ圧延を含む熱間圧延を施して熱延鋼板を得、
    前記熱延鋼板を平均冷却速度:30℃/s以上110℃/s以下で巻取温度まで水冷し、
    前記水冷後の熱延鋼板を、巻取温度:600℃以上780℃以下で巻取り、
    前記熱延鋼板表面のスケールを除去し、
    前記スケール除去後の熱延鋼板を、50%以上の圧延率で冷間圧延して冷延鋼板を得、
    前記冷延鋼板を、焼鈍温度:650℃以上の条件で焼鈍する、ことを含み、
    前記水冷が、前記熱間圧延の終了から0.5秒以上3.0秒以内に開始される、冷延鋼板の製造方法。
  6. 前記仕上げ圧延に先だって、前記鋼素材をシートバーヒーターで加熱する、請求項5に記載の冷延鋼板の製造方法。
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