JP6594293B2 - 三重らせんタンパク質の精製 - Google Patents

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本明細書で引用したすべての出版物、特許、特許出願、及びその他の参考資料は、出版物、特許、特許出願、又はその他の参考資料のそれぞれが参照により組み入れられると個別具体的に提示されたかのように、参照によりそれらの全体が組み入れられる。
本出願は、2013年3月21日出願の「三重らせんタンパク質の精製」と題するオーストラリア特許出願第2013900990号の優先権を主張する。この出願の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
配列表
本出願は、電子式の配列表と共に申請される。配列表の全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
開示の分野
本発明は、細菌、酵母菌、又は植物の宿主細胞から組換え生産された三重らせん又はコラーゲン様のタンパク質を精製するための方法に関する。
コラーゲンは動物の細胞外マトリックスにおける主要な構造タンパク質であり、(Gly−Xaa−Yaa)反復配列を必要とする特徴的な三重らせん構造により規定される。Xaa及びYaaの位置を占めるアミノ酸は、多くの場合プロリンであり、Yaa位置内のProは、翻訳後に三重らせんの安定性を増強するヒドロキシプロリン(Hyp)に修飾される。ヒトでは少なくとも28種類のコラーゲンからなるファミリーが存在し、それぞれ種類固有の生物学的及び構造的な機能を有する。三重らせんモチーフは、マクロファージスカベンジャー受容体、コレクチン、及びC1q等のその他のタンパク質中にも存在する。
最も豊富なコラーゲンは間質性の原線維コラーゲン、特にI型コラーゲンである。このコラーゲンは、動物において主要な組織構造を形成する。これは、組織に安定性と強度を付与する特異的架橋により安定化した線維束ネットワークの形成による。「主要な」原線維コラーゲン(I型、II型、及びIII型)とは対照的に、「主要でない」コラーゲンがあるが、その分布範囲は一般的にはより小さく、また主要でないコラーゲンが重要で不可欠の成分であり得る組織の特別な場所に一般的に見出され、例えば肥大軟骨内のX型コラーゲン、又は基底膜内のIV型コラーゲンがある。
コラーゲンは、様々な臨床用途を対象とする様々な医薬製品において安全かつ有効であることが明らかにされている(Ramshawら、J Materials Science、Materials in Science、(2009年)、第20巻(1)3〜8頁)。医学的な用途では、コラーゲンは2つの異なる形態で一般的に用いられる。一用途では、未加工の組織、例えば大動脈弁置換で用いられるグルタルアルデヒド固定化ブタ心臓弁等が、化学的安定化後に用いられる。他の例としては、例えば創傷被覆材、半月板修復用の接着バリア又はデバイスに有用な乾燥した安定化シート、又は押し出し成形線維等の様々な製品に再構成される可溶性精製コラーゲンの調製を介する用途が挙げられ、この場合、製品に所望の形状又は形態を付与する処理を伴う。必要な場合には、コラーゲンデバイスは化学的固定、例えばグルタルアルデヒドにより、又は物理的方法、例えば脱水熱架橋により安定化され得る。また、可溶性精製コラーゲンは、軟組織増大、また尿失禁の治療も含め、そのような用途でコラーゲンペーストとして広範に用いられている。再構成された製品は、低免疫原性と関連した生化学的高純度、多くの場合短期間での制御された代謝回転、制御された空隙率、及び組織内の生物学的機能において重要である細胞−マトリックス相互作用の保持を特徴とする。
動物膠原組織からコラーゲンを精製するために、代表的な方法は初期の消化及び組織の可溶化を含むが、この工程は三重らせんをそのままに保ちながら架橋領域を除去する酵素消化工程を用いることによる。可溶化されたコラーゲンは、次に潜在的な免疫原性汚染物質を除去するために精製され得る。例えば米国特許6548077号は、コラーゲンを、第1のタンパク質分解酵素とこれに続く還元剤、及び第2のタンパク質分解酵素と接触させる工程を伴う、組織からのコラーゲン調製について記載する。
Addadら(Mar.Drug(2011年)、第9巻(6)、967〜983頁)は、組織抽出物の酸−ペプシン可溶化法を用いて、クラゲからコラーゲンを精製する工程について記載する。しかし、安定かつ有用な最終産物を得るためには、架橋工程が必要であった。酸、特に酢酸で処理すると、組織の腫脹を引き起こし、またペプシン消化後に可溶性コラーゲンが得られる。得られた可溶性コラーゲン生成物は脆弱な非線維性の物質であり、多くの医学的用途で用いるには、不溶性の形態への再構成が必要な場合がある。
すでに公開された代替的方法は、コラーゲンを豊富に含む天然の動物組織を、有用な医学的材料に処理する前又は後に、不純物の洗浄が可能な非常に微細な粒子に微細化する工程を含む。
市販コラーゲンの大部分はウシ由来等の動物に由来するが、伝染性疾患、特にウシ海綿状脳症(「狂牛病」)の懸念があり、組換え型のコラーゲンの製造に研究努力が払われてきた。さらに抽出されたコラーゲンは、特定の生物学的特性を増強する又は変化させるように設計及び修飾可能ではないという点で、動物由来のコラーゲンは制限を受ける。コラーゲンは、細胞外マトリックス内に堆積する前及び後の両方で広範な翻訳後修飾を受ける。特に原線維性コラーゲンは、細胞外空間において分子の寿命全体を通じて存続する分子内及び分子間架橋の対象となる。したがって、コラーゲン中に存在する架橋の量は、とりわけ、コラーゲンが採取される組織の経過年数及び生理学の影響を受ける。これらの差異は、組織からのコラーゲンの抽出性及びそのようなコラーゲンの生物物理学的特徴の両方に影響を及ぼす。その結果、組織から単離されたコラーゲンは有意なロット間変動を示し、また嵩高な材料のために多くの場合分析が困難である。
したがって、動物コラーゲンの単離から、組換えコラーゲン生産へと関心が向けられるようになった。
さらに、例えば外因性の生物学的活性ドメイン(すなわち追加のタンパク質機能を提供する)、及びその他の有用な特徴(例えば生物適合性(biocompatability)及び安定性を改善する)を含み得る合成コラーゲン及びコラーゲン断片の製造を可能にし得るという点で、組換えDNA技術の使用が望ましい。
ヒトコード化コラーゲンを組換え生産するために、酵母菌等の宿主系が探索されてきた。しかし、酵母菌系は哺乳動物コラーゲンの安定性に必要とされるHyp残基を形成するために、プロリン−4ヒドロキシラーゼ遺伝子を導入する必要があり、これにより複雑化している。一般的に、組換え哺乳動物コード化コラーゲンはピキア属中で発現されるが、ヒドロキシル化を最大化するために酸素添加を必要とし、加えて誘導にメタノール添加を必要とすることから、強化された、潜在的に防火性の技術が必要となる。
翻訳後修飾を必要としないその他のコラーゲン様の材料が、ヒドロキシル化されたヒトコラーゲンに代わるものとして求められてきた。最近の細菌ゲノムに関する研究では、3残基毎にGlyを含み、プロリン含有量が高い多くの推定細菌タンパク質が存在することが示され、コラーゲン様の三重らせん構造が、ある細菌由来タンパク質に存在し得ることが示唆された(Peng Yら(2010年)Biomaterials、第31巻(10):2755〜2761頁;Yoshizumi Aら(2009年)Protein Sci、第18巻:1241〜1251頁)。さらに、いくつかのこのようなタンパク質は、Hypが存在しないにもかかわらず約37℃で安定な三重らせんを形成することが明らかにされた。三重らせん組成物は、いくつかのケースで確認された。例として、ある細菌細胞上の細胞表面タンパク質及び炭疽菌(Bacillus anthracis)芽胞上のフィラメントが挙げられる。病原性大腸菌株中に存在するプロファージにおける、かかるコラーゲン様の構築物の発現は、感染を介した病原力関連遺伝子の拡散に関係しているものと仮定されている(Bella Jら、(2012年)、第7巻(6)PLoS 1 e37872)。
しかし、組換え技術を使用するにしても、同技術はなおも短所及び障害を有する。外来タンパク質生産に宿主細胞を使用すると、所望のタンパク質の最終的な配合物中に汚染性の宿主細胞タンパク質が存在し、有害な毒性反応又は免疫反応を引き起こす可能性があり、そのようなタンパク質の除去等の課題が追加される。組換えタンパク質が細胞内で作成される場合には、精製プロセスの第1の工程は、細胞の溶解又は破砕と関係し、これにより細胞内の内容物がホモジネート内に放出され、さらに細胞内成分の断片が生産される。組換えタンパク質が細胞外に分泌される場合には、細胞の自然死及び細胞内宿主細胞タンパク質の上清への放出は、毒性汚染及び免疫原性汚染も誘発し得る。これらの汚染物質を除去するために、多くの異なる精製工程が一般的に必要とされる。アフィニティークロマトグラフィーは、高純度レベルを達成するために一般的に採用されている。この下流処理工程は、大規模な商業製造にとって、一般的に労働集約的及び資源集約的であり、またコスト上厳しい。
組換えコラーゲン様タンパク質の大規模製造は、まだ成熟していない。プロセスのスケーラビリティ、製造コスト、抽出法の複雑性、GMP要件の順守、規制要件の順守、汚染性宿主細胞タンパク質の除去、精製法の複雑性、宿主細胞の適合性を含め、大規模製造に対処しなければならない所与の試練が存在する。例えば、ヒト細胞系統は中程度の収率しか実現しないことから、コスト効果の優れたより大規模な製造には不適切である。
Ramshawら、J Materials Science、Materials in Science、(2009年)、第20巻(1)3〜8頁 Addadら(Mar.Drug(2011年)、第9巻(6)、967〜983頁) Peng Yら(2010年)Biomaterials、第31巻(10):2755〜2761頁 Yoshizumi Aら(2009年)Protein Sci、第18巻:1241〜1251頁 Bella Jら、(2012年)、第7巻(6)PLoS 1 e37872
したがって、コスト効果に優れ、高収率のコラーゲン製造や様々な用途にとって十分な純度を実現する、組換え生産したコラーゲンを精製するための方法が必要とされる。
本発明者らは、非動物宿主細胞、例えば細菌、酵母菌、又は植物の細胞等により発現された組換え三重らせんタンパク質を精製するための方法を開発した。本方法は、精製方法全体にわたり可溶性の状態を保つ可溶性三重らせんタンパク質(複数可)の精製を提供する。さらに、本方法は、三重らせんタンパク質(複数可)の変性、分解、又は加水分解を引き起こさない。
本開示の方法は組換え三重らせんタンパク質(任意の起源に由来)の精製を提供し、その結果、安定しておりかつ汚染性タンパク質(三重らせんタンパク質の安定性を損なうおそれのある)を含まない、及びプロセス工程が最小限に抑えられることから、高い収率で生産可能である可溶化三重らせんタンパク質(例えばコラーゲン)の生産をもたらす。有利な点として、本方法は、酸性条件下で安定であり、また異なる多様な用途にとって十分な純度で生産される三重らせんタンパク質(例えばコラーゲン)を精製する、コスト効果に優れたアプローチを提供する。
したがって、本開示は、非哺乳動物の宿主細胞培養抽出物又はホモジネート内に含まれる、組換え発現された三重らせんタンパク質を精製するための方法を提供し、当該方法は、
(i)酸性条件下で、かつ三重らせんタンパク質が熱的に安定な状態を保つ温度で、三重らせんタンパク質から宿主細胞物質を沈殿させ、その後に
(ii)沈殿させた宿主細胞培養抽出物又はホモジネート中に存在する宿主細胞物質を、プロテアーゼを添加することにより消化し、ここにおいて、前記三重らせんタンパク質が前記プロテアーゼに対して耐性である、そして、
(iii)精製した三重らせんタンパク質を収集する
工程を含み、さらに所望により、前記沈殿させる工程と前記消化する工程との間に、不溶性宿主細胞物質から前記三重らせんタンパク質を物理的に分離する追加の分離工程を含み、並びに
前記三重らせんタンパク質は、少なくとも工程(i)から(ii)の全体にわたり可溶性の状態を保つ。
1つの例では、三重らせんタンパク質は、工程(i)から(iii)の全体にわたり可溶性の状態を保つ。
1つの例では、宿主細胞物質の消化工程は、酸性プロテアーゼを用いて実施される。
1つの例では、方法は、宿主細胞を採集する工程をさらに含む。好ましくは、宿主細胞は、細菌、酵母菌、又は植物の宿主細胞である。本開示の宿主細胞を培養するための方法は、当業者にとってなじみ深く、また本明細書に別途記載されている。
1つの例では、酸性条件とは、pH7未満、好ましくはpH約6未満である培養抽出物又はホモジネートのpHを意味する。
本開示の方法によれば、三重らせんタンパク質は、有利なことに熱的に安定な状態を保つ。当業者であれば、三重らせんタンパク質の熱安定性を維持するのに役立つ、培養抽出物又はホモジネートに添加され得る所定の薬剤又は添加剤を認識しているものと予想される。例えば、NaCl等の不凍剤が添加される場合もあるし、又は安定性を提供するその他の添加剤、例えばポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール(PEG)又はその誘導体、メチルセルロース、アガロース、デキストリン、ヒドロキシエチルスターチ、トリメチルアミンN−酸化物(TMAO)等が添加される場合もある。1つの例では、三重らせんタンパク質の融解温度未満の温度で沈殿工程が実施される場合には、三重らせんタンパク質の熱安定性は維持される。さらなる例では、三重らせんタンパク質の熱安定性は、三重らせんタンパク質のTよりも少なくとも10℃低い温度、酸性の沈殿条件下で維持される。三重らせんタンパク質の熱安定性を測定する方法は、例えば米国特許第8,280,710号に記載されている。
本開示の方法は、沈殿させた宿主細胞物質、例えば宿主細胞タンパク質及び/又は宿主細胞DNA等から三重らせんタンパク質を分離する任意選択の中間の分離工程を含む。任意の分離プロセス(複数可)が、これらの物質の一方又は両方を除去するために、この任意選択の工程において採用され得る。かかるプロセスは、好ましくは、遠心分離、濾過、クロスフロー濾過、又は沈降等の粗分離又は濃縮技法である。
別の実施形態では、さらなるpH調整が、本方法による消化工程の前に、又はこれと同時に必要となり得る。消化工程で用いられるプロテアーゼに応じて、pHを上下に調整することが必要な場合があるが、但し三重らせんタンパク質が溶液状態に留まることを前提とする。例えば、ペプシンがプロテアーゼとして用いられる場合には、ペプシン添加前に培養抽出物又はホモジネートのpHを下げることが必要な場合がある。かかる調節は、当業者の技能の範疇に十分収まる。
三重らせんタンパク質をコードする配列を含む組換え構築物を用いて形質転換される又はトランスフェクトされる宿主細胞は、三重らせんタンパク質の発現を引き起こすのに適する条件下で培養されることは、当業者により理解されている。いくつかの例では、三重らせんタンパク質は細胞内生産され、この場合、細胞から三重らせんタンパク質を抽出する必要がある。抽出法では、宿主細胞を破壊する必要がある。抽出は、当業者にとって公知の機械的又は化学的(例えば酵素的)手段により達成され得る。機械的抽出プロセスの例として、その後行われる超音波処理、マイクロ流動化(microfluidisation)、フレンチプレス又は類似した装置内での溶解、浸透圧ショック、及びガラス、セラミック、又はスチールビーズとの激しい撹拌/粉砕による破砕のうちの1つ又は複数を挙げることができる。機械的抽出法に代替して又はこれと連携して、酵素的抽出法も採用され得る。酵素的抽出法に適する薬剤の例として、リゾチーム、リソスタフィン、ザイモラーゼ(zymolase)、セルロース、ムタノリシン、グリカナーゼ、プロテアーゼ、マンノース等が挙げられる。
いくつかの例では、三重らせんタンパク質は宿主細胞から分泌される(すなわち、酵母菌系の一部のケースと同様に細胞外に生産される)。そのような状況下では抽出は不要であるが、しかし細胞培養抽出物を濃縮して、当技術分野において公知の方法によりホモジネート又は濾過液を作製することにより、回収された可溶性三重らせんタンパク質を含む溶液を得てもよい。別の例では、細胞培養培地がクロスフロー濾過により、三重らせんタンパク質と共に濃縮される。
したがって、本開示の方法は、三重らせんタンパク質を含有する宿主細胞培養抽出物又はホモジネートを生産する追加工程を含み得る。
細胞培養抽出物又はホモジネートを含有する、組換え三重らせんタンパク質に由来する細胞汚染物質及び死細胞片は、本開示の方法に従い、酸性の沈殿工程により除去される。本発明者らは、三重らせんタンパク質が熱的に安定な状態を保つ温度で、溶液のpHを酸性条件に調整することにより、多くの汚染性(すなわち不溶性)物質が沈殿する一方、組換え三重らせんタンパク質は変性せずに、溶液状態に留まることを見出した。したがって、本発明は、この第1の精製工程において、三重らせんタンパク質のpH安定性に利点を有する。
好ましくは、温度は方法全体にわたり一定である。1つの例では、温度は室温に維持される(すなわち約18℃から24℃の間)。
1つの例では、酸性の沈殿工程期間中、温度は組換え三重らせんタンパク質の融解温度(T)よりも少なくとも10℃以上低い。
組換え三重らせんタンパク質を含有する溶液の酸性化は、強酸又は弱酸を含む任意の適する酸により達成され得る。単一の酸を利用してもよいが、あるいは異なる酸の組み合わせを利用してもよい。本方法に基づく好適な酸の例として、塩酸、硫酸、酢酸、ギ酸、又は乳酸が挙げられるが、当業者にとってなじみ深いその他の酸も適する。したがって、組換えタンパク質のTと、その時の酸性化溶液のpHに応じて、酸性化が生ずる温度は、4℃から30℃の間で変化し得る。
様々な細菌種に関する三重らせん、コラーゲン様(CL)ドメインの融解温度の例を、以下の表に記載する。
酸性の沈殿工程期間中、組換え三重らせんタンパク質を含有する細胞培養抽出物又はホモジネートの調整後のpHは、宿主細胞及び三重らせんタンパク質の配列によって決まる。1つの例では、三重らせんタンパク質を含む細胞培養抽出物又はホモジネートは、pH7未満に調整される。別の例では、細菌宿主細胞の場合、2から4の間のpHが好ましく、また酵母菌宿主細胞の場合には、4から6の間のpHが好ましい。さらなる例では、植物宿主細胞の場合、2から4.5の間のpHが好ましい。
特定の例では、組換え三重らせんタンパク質の植物細胞発現の場合、酸による沈殿工程は2つの異なるpH値で実施され得る。例えば、抽出物中で最も豊富な植物タンパク質が、リブロースビスホスフェートカルボキシラーゼオキシゲナーゼ(Rubisco)である場合、pH約4.5において最も良好に沈殿する。しかし、このpHではすべての汚染性植物タンパク質を除去するのに一般的に不十分であり、この場合、それに続いてpH2.5でのさらなる沈殿を行うことが必要な場合がある。
したがって、酸性の沈殿工程は、抽出物中に存在する持ち込まれた汚染性タンパク質の沈殿を引き起こすpH値の調整を必要とする場合がある。好ましくは、沈殿させたタンパク質は、それに続くpH調整の合間に上記方法に従い除去される。
本開示の方法によれば、消化工程の後、酸による沈殿工程が行われる。本発明者らは、消化工程は、抽出プロセス(培養抽出物又はホモジネートが生産する)において生産された、又は沈殿工程における三重らせんタンパク質の回収期間中に除去されなかった宿主細胞汚染物質を除去することを見出した。一般的に消化工程は、酵素消化を受けやすい汚染性宿主細胞タンパク質、例えば膜タンパク質を除去させる。さらなる例では、消化工程は、プロテアーゼ、好ましくは酸性プロテアーゼを用いて実施される。本開示の方法に従い用いられる好適な酸性プロテアーゼの例として、ペプシン、パパイン、パパイン様酵素、例えばブロメライン、フィシン、若しくはアクチニジン等、又はアスペルギルス・サイトイ(Aspergillus saitoi)酸性プロテアーゼが挙げられる。
非酸性プロテアーゼ、例えばトリプシン及びキモトリプシン等も、本開示の消化工程で利用可能性がある。採用するプロテアーゼに依存して、それほど酸性条件ではないpHに調整することが必要な場合がある(例えばパパイン等のプロテアーゼの場合)。当業者はかかる方策に精通している。
いくつかの例では、プロテアーゼ消化は、培養抽出物又はホモジネートのpHを中性pHに調整することにより終了可能である。
本方法はタンパク質分解作用に対して安定な三重らせんタンパク質の精製を実現するものと認識される。三重らせんタンパク質は、タンパク質分解作用に対して安定な追加の非らせんタンパク質配列、及び/又は宿主タンパク質を除去するために選択された酵素のタンパク質分解作用に対して、自然に又は設計により安定な非三重らせん配列インサートも含み得る。したがって、本開示の方法は、タンパク質分解作用に対して不安定なタンパク質よりも、タンパク質分解作用に対して安定なタンパク質が選択的に精製され、その他の非三重らせんタンパク質よりも三重らせんタンパク質が選択的に精製されるという長所も有する。
プロテアーゼは、多くの汚染性タンパク質をペプチドに消化するが、ペプチドは未処理の可溶性組換え三重らせんタンパク質よりもかなり小さな分子量を有するので、透析濾過又は沈殿により除去され得る。次に得られた精製組換え三重らせんタンパク質は、収集され得る。これらのプロセスはいずれも、組換え三重らせんタンパク質を濃縮するという付加的長所を有する。組換え三重らせんタンパク質の沈殿は、硫酸アンモニウムの添加により、pH及び/若しくは温度の調整により、又はポリマーの使用により(例えばポリエチレングリコール)達成され得る。
別の例では、汚染性の宿主細胞核酸は、当技術分野において公知の方法により、収集された三重らせんタンパク質からも除去され得る。
三重らせんタンパク質の最終用途に応じて、宿主汚染物質が除去されると、組換え三重らせんタンパク質をさらに濃縮及び/又は精製するために、収集された三重らせんタンパク質についてポリッシング工程が採用され得る。クロマトグラフィーは、タンパク質溶液をポリッシングするのに一般的に用いられる1つのかかる技法である。採用され得るクロマトグラフィープロセスの例として、イオン交換クロマトグラフィー、高性能液体クロマトグラフィー、電気泳動、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、及び疎水性相互作用クロマトグラフィーが挙げられる。中性ポリマーにより組換え三重らせんタンパク質が沈殿した場合には、沈殿物の塩含有量は低く、したがって、さらなるポリッシング精製が必要な場合には、イオン交換クロマトグラフィー用として直接利用可能である。
本方法を実施すれば、その結果、精製された三重らせんタンパク質の生産を実現するものと認識される。1つの例では、精製された三重らせんタンパク質は安定化される。別の例では、三重らせんタンパク質は、グルタルアルデヒドにより安定化される;しかし、当技術分野において公知のその他の安定化剤も利用可能である。
組換え三重らせんタンパク質を発現するのに適する宿主細胞として、細菌、酵母菌、又は植物の細胞が挙げられる。これらの細胞内で三重らせんタンパク質を組換え製造する方法は、当業者によく知られている。
細菌宿主細胞は、大腸菌属、バチルス属、エンテロバクター属、アゾトバクター属、エルウイニア属、シュードモナス属、クレブシエラ属、プロテウス属、サルモネラ属、セラシア属、赤痢菌属、根粒菌、ビトレオシラ属、及びパラコッカス属から選択され得るが、但しこれらに限定されない。1つの例では、細菌宿主は、大腸菌(Escherchia coli)である。適する大腸菌宿主として、大腸菌BL21株(Life Sciences)、大腸菌W3110(ATCC27,325)、大腸菌294(ATCC31,446)、及び大腸菌X1776(ATCC31,537)が挙げられる。
酵母菌宿主細胞は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、スクワンニオミセス・オシデンチス(Schwanniomyces occidentis)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizo saccharomyces pombe)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、及びヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)から選択され得る。
植物宿主細胞は、タバコ、トウモロコシ、小麦、大麦、並びに下等植物、例えばクロレラ・ブルガリ(Chlorella vulgaris)等の微細藻類等から選択され得る。
本開示の方法により精製された組換え三重らせんタンパク質をコードする核酸配列を含む発現構築物は、本明細書で規定するような反復モチーフ(Gly−X−Y)をコードする配列を含むものである。発現構築物によりコードされる三重らせんタンパク質は、好ましくは哺乳動物の体温(すなわち35から40℃の間)において熱安定的であり、又は精製後、修飾により安定化させることができる。nの値は5から600の間、又は1から350の間であってもよく、また(Gly−X−Y)は、細菌又は動物(哺乳動物)又は昆虫由来の三重らせん形成ドメインを表し、X及びYは、反復ユニットごとに独立して、任意の天然又は非天然のイミノ酸又はアミノ酸である。1つの例では、XもYもヒドロキシプロリンではない。しかしいくつかの例では、三重らせんドメインはヒドロキシプロリンを含み得る。インサート又はリンカーの配列は、2つ以上のCLドメインを含む構築物内の各三重らせん形成ドメイン(本明細書では「コラーゲン様(CL)形成ドメイン」とも呼ぶ)の間に、又は個々のCLドメイン内に位置し得る。インサートは、約1から50個の任意のイミノ酸又はアミノ酸から構成される。好ましくは、インサートは酵素/プロテアーゼの作用を受けにくい。
1つの例では、三重らせんタンパク質はコラーゲンである。
組換え三重らせん配列は、細菌、酵母菌、植物、昆虫、若しくはカイコに由来するかを問わず、任意の三重らせんタンパク質、又は三重らせん含有タンパク質に由来し得、またヒドロキシル化されても、またヒドロキシル化されなくてもよい。
三重らせんタンパク質がヒドロキシル化された形態である場合には、次にプロリン残基の修飾を必要とする追加工程が、本方法実行前に利用可能である。かかる方法は当業者にとってなじみ深い。
組換え三重らせん様タンパク質をコードし、また本発明の適する構築物を設計するのに使用可能な配列の例として、下記の配列が挙げられる:
(i)病原性又は非病原性の細菌性微生物に由来する配列、但し、例えば三重らせん配列がS.ピオゲネス(S. pyogenes)、メチロバクテリウム種4−46、ソリバクター・ユシタトス(Solibacter usitatus)、ストレプトコッカス・エクイ(Streptococcus equi)SclC、炭疽菌、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Closridium perfringens)、ロドシュードモナス・パルストリス(Rhodopseudomonas palustris)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)Aのうちの1つ又は複数に由来するCLドメインであって、その天然の状態又は化学的架橋による安定化後において所望の熱安定性を示すCLドメインを含み得る場合。配列には、米国特許第6,953,839号において同定された三重らせんコラーゲン様配列も含まれる可能性がある;
(ii)コリネバクテリウム・ジフセリエ(Corynebacterium diphtheria)、アクチノバクテリア(例えばマイコバクテリウム・ギルバム(Mycobacterium gilvum)、結核菌、マイコバクテリウム・バンバアレニイ(Mycobacterium vanbaalenii)、ノカルディオイデス(Nocardioides)種、ルブロバクター・キシラノフィラス(Rubrobacter xylanophilus)、サリニスポラ・アレニコーラ(Salinispora arenicola)、サリニスポラ・トロピカ(Salinispora tropica)、及びストレプトミセス種)、アルファプロテオバクテリア(例えばアナプラスマ種、メチロバクテリウム・ラデイオトレランス(Methylobacterium radiotolerans)、ニトロバクター・ウィノグラドスキイ(Nitrobacter winogradskyi)、パラコッカス・デニトリフィカンス(Paracoccus denitrificans)、リゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドシュードモナス・パルストリス、スフィンゴモナス・ウィッティチイ(Sphingomonas wittichii)、及びボルバキア種(Wolbachia species))、バクテロイデス門(例えばバクテロイデス・シータイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron))、ベータプロテオバクテリア(例えばアゾアルカス(Azoarcus)種、ブルクホルデリア・アンビファリア(Burkholderia ambifaria)、ブルクホルデリア・セノセパシア(Burkholderia cenocepacia)、バークホルデリア・フィマタム(Burkholderia phymatum)、バークホルデリア・ベトナミエンシス(Burkholderia vietnamiensis)、デクロロモナス・アロマチカ(Dechloromonas aromatica)、ポーラロモナス・ナフタレニボランス(Polaromonas naphthalenivorans)、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)、ラルストニア・メタリデュランス(Ralstonia metallidurans)、ラルストニア・ピッケティ(Ralstonia pickettii)、及び ロドフェラックス・フェリレデューセンス(Rhodoferax ferrireducens))、シアノバクテリア(例えばシアノセイス種、シネコシスティス種、トリコデスミウム・エリスラエウム(Trichodesmium erythraeum))、デイノコッカス属(例えばデイノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus radiodurans))、デルタプロテオバクテリア(例えばアナエロミクソバクター・デハロゲナンス(Anaeromyxobacter dehalogenans))、イプシロンプロテオバクテリア(例えばキャンピロバクター・カーブス(Campylobacter curvus))、ファーミキューテス門(例えばバチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)、バチルス・ハロデュランス(Bacillus halodurans)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、枯草菌、ボツリヌス菌、クロストリジウム・フィトフェルメンタンス(Clostridium phytofermentans)、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、ゲオバシルス・カウストフィルス(Geobacillus kaustophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラスラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、リシニバチルス・スフェリカス(Lysinibacillus sphaericus)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(Staphylococcus haemolyticus)、ストレプトコッカス・アガラクティアエ(Streptococcus agalactiae)、及びストレプトコッカス・ニューモニエ)、及びガンマプロテオバクテリア(Gammaproteobacteria)(例えばシトロバクター・コセリ(Citrobacter koseri)、エンテロバクター(Enterobacter)種、大腸菌、肺炎桿菌、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、フォトラブダス・ルミネッセンス(Photorhabdus luminescens)、緑膿菌、シュードモナス・エントモフィラ(Pseudomonas entomophila)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、サイクロバクター・クリオハロレティス(Psychrobacter cryohalolentis)、サッカロファガス・デグラダンス(Saccharophagus degradans)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、セラチア・プロテアマキュランス(Serratia proteamaculans)、シュワネラ・アマゾネンシス(Shewanella amazonensis)、シュワネラ・バルティカ(Shewanella baltica)、シュワネラ・フリギディマリナ(Shewanella frigidimarina)、シュワネラ・ハリファクセンシス(Shewanella halifaxensis)、シュワネラ・ロイヒカ(Shewanella loihica)、シェワネラ・オネイデンシス(Shewanella oneidensis)、シュワネラ・ペアレアナ(Shewanella pealeana)、シェワネラ・プトレファシエンス(Shewanella putrefaciens)、シュワネラ・セディミニス(Shewanella sediminis)、シュワネラ・ウーディイ(Shewanella woodyi)、シゲラ・ボイデイ(Shigella boydii)、シゲラ・ディセンテリアエ(Shigella dysenteriae)、シゲラ・フレクスネリ(Shigella flexneri)、シゲラ・ゾネイ(Shigella sonnei)、及びビブリオ・ハーベイ(Vibrio harveyi))より選択される、但しこれらに限定されない微生物から単離された1つ又は複数のDNA配列;
(iii)C1q、アセチルコリンエステラーゼ、マクロファージスカベンジャー受容体、肺サーファクタントタンパク質、マンノース結合タンパク質、冬眠タンパク質、マイティラス・バイサス(Mytilus byssus)、エクトジスプラシンA、又はグリオメジン(gliomedin)をコードするDNA配列;
(iv)ヘミクロア属(Hemichroa)、プリスチフォラ属(Pristiphora)、パキネマルス属(Pachynemalus)、ピコネマ属(Pikonema)、及びネマトス(Nematus)種(Nematinae亜科)、トモステタス(Tomostethus)及びテチダ(Tethida)種(マルハバチ亜科)において膜翅類、ネマチニ(Nematini)に由来するハバチ絹タンパク質をコードする配列;並びに
(v)I型、II型、III型、IV型、V型、VI型、VII型、VIII型、IX型、X型、XI型、XII型、XIII型、XIV型、XV型、XVI型、XVII型、XVIII型、XIX型、XX型、XXI型、XXII型、XXIII型、XIV型、XXV型、XXVI型、XXVII型、XXVIII型コラーゲンのうちの1つ又は複数を含む、哺乳動物コラーゲンをコードする配列。
インサート配列は、三重らせんタンパク質の伸縮性を改善するために、さもなければ天然の結合ドメイン又は生物学的切断配列として機能するように、組換え構築物内で工学的に作出され得る。利用に適する構築物の例は、国際公開第2010/091251号に開示されている。
1つの例では、発現する三重らせんタンパク質及び/又はその三重らせんドメインはホモ三量体であり、この場合同一の鎖は会合して三重らせんを形成する。
さらなる例では、発現する三重らせんタンパク質及び/又はその三重らせんドメインは、2つ又は3つの異なる鎖からなるヘテロ三量体であり、これらは会合して、例えば哺乳動物のI型コラーゲンに見出されるものと同じ三重らせんを形成する。
さらなる例では、発現する三重らせんタンパク質は、リンカー配列を介して連結した少なくとも2つの三重らせんドメインを含むキメラタンパク質である。例えば、タンパク質をコードするキメラ構築物は、哺乳動物の三重らせん形成ドメイン、及び/又はリンカーにより分離され得る細菌三重らせん配列、又はリンカー配列により分離され得る異なる細菌コラーゲンの三重らせん形成ドメインを2つ以上含み得る。かかるキメラは、発現するとタンパク質鎖の生産を引き起こすが、このタンパク質鎖は三重らせんを形成することができ、例えば三重らせんを形成することができる単一の配列内で共に結合した2つの細菌由来の鎖セグメント、又は1つの細菌由来の鎖セグメントと1つの哺乳動物由来の鎖セグメントから構成され得る。
各三重らせんドメイン配列の反復は、反復、断片、変異体、又は前記配列の組み合わせを含み得る。
一方、これに限定するものではないが、細菌発現ベクターはコールドショックベクターであり得、また組換え三重らせんタンパク質は、微生物(例えば大腸菌)内で、37℃未満の温度、及び特定の例では、約15から23℃の温度において発現可能である。さらなる例では、発現ベクターはpETベクターである(Novagen)。
別の例では、酵母菌発現ベクターが選択される。酵母菌発現ベクターの例は当技術分野において公知であり、また、例えばpHIL−D2、pPIC3.5、pHIL−Sl、pPIC9、pPICZ、pA0815、pBLADE、pBLARG、YepFlag1、pAMH110、又はpBLURAから選択され得る。
別の例では、発現ベクターは植物発現ベクターである。植物発現ベクターの例は当技術分野において公知であり、また例えば、pBI121、pCAmbia2301、pEAQ−HT−DEST、又はPVX発現ベクターを含み得る。
本開示は、本明細書に記載するような方法により精製された、三重らせんタンパク質も提供する。
本開示は、本明細書に記載するような方法により取得された、精製された三重らせんタンパク質も提供する。
1つの例では、三重らせんタンパク質の純度は約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、又は約98%である。
本開示の方法により精製された三重らせんタンパク質は、必要な場合には、様々な用途に役立ち得るゼラチンに変換可能である。三重らせんタンパク質をゼラチンに変換する方法は当業者にとって公知であり、例えば熱的又は化学的変性プロセスによるタンパク質の変性と一般的に関係する。したがって、本開示は、熱的又は化学的変性によりゼラチンに変換され、本開示に基づき精製される三重らせんタンパク質も含む。
本開示の1つの実施形態による精製スキームのフロー図である。 酸抽出及びpH調整及び16時間平衡化後の宿主タンパク質の溶解度を示す図である。(A)細菌の大腸菌、(B)酵母菌のサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、(C)植物のホウレンソウ(Spinacia oleracea)。 酸による沈殿、その後のプロテアーゼ消化に続く三重らせんタンパク質の最終精製を示すSDS PAGEを表す図である;S=タンパク質標準;F=発酵抽出物、及びP=pH2.0での沈殿及びペプシン消化後の生成物。但し、S.ピロゲネス(S. pyrogenes)の初期DNA構築物V−CL、及びV−CL−CLに関連し、沈殿及びタンパク質分解後にCL及びCL−CLの生成物が得られる。 S.ピロゲネスのコラーゲンスポンジ及び細胞評価を示す図であり、(A)安定化シート(上)及びスポンジ(下)(B)3時間における細胞付着、及び(C)16時間後の細胞生存状態を示す。
配列表の解説
配列番号1:トロンビン/トリプシン切断部位
配列番号2:S.ピオゲネス由来の細菌コラーゲンScl2断片のDNA配列
配列番号3:S.ピオゲネス由来の細菌コラーゲンScl2断片のタンパク質配列
配列番号4:インサート配列
配列番号5:フォワードプライマー
配列番号6:リバースプライマー
配列番号7:S.ピオゲネス由来のコラーゲンScl2から得られるCLドメインの細菌コラーゲン二量体をコードするDNA配列
配列番号8:S.ピオゲネス由来のコラーゲンScl2から得られるCLドメインの細菌コラーゲン二量体をコードするタンパク質配列
配列番号9:ヘパリン結合配列
配列番号10:フォワードプライマー
配列番号11:リバースプライマー
配列番号12:フォワードプライマー
配列番号13:リバースプライマー
配列番号14:フォワードプライマー
配列番号15:リバースプライマー
配列番号16:ヘパリン結合に関する置換後の機能的配列を含む、ストレプトコッカス・ピオゲネス由来の細菌コラーゲンScl2をコードするDNA配列
配列番号17:ヘパリン結合に関する置換後の機能的配列を含む、ストレプトコッカス・ピオゲネス由来の細菌コラーゲンScl2をコードするタンパク質配列
配列番号18:インテグリン結合配列
配列番号19:フォワードプライマー
配列番号20:リバースプライマー
配列番号21:フォワードプライマー
配列番号22:リバースプライマー
配列番号23:インテグリン結合に関する置換後の機能的配列を含む、ストレプトコッカス・ピオゲネス由来の細菌コラーゲンScl2をコードするDNA配列
配列番号24:インテグリン結合に関する置換後の機能的配列を含む、ストレプトコッカス・ピオゲネス由来の細菌コラーゲンScl2をコードするタンパク質配列
配列番号25:ヘパリン結合及びインテグリン結合の両方に関する置換後の機能的配列を含む、ストレプトコッカス・ピオゲネス由来の細菌コラーゲンScl2をコードするDNA配列
配列番号26:ヘパリン結合及びインテグリン結合の両方に関する置換後の機能的配列を含む、ストレプトコッカス・ピオゲネス由来の細菌コラーゲンScl2をコードするタンパク質配列
配列番号27:ロドシュードモナス・パルストリス由来のV−ドメインを用いた、ソリバクター・ユシタトス由来の細菌コラーゲンをコードするDNA配列
配列番号28:ロドシュードモナス・パルストリス由来のV−ドメインを用いた、ソリバクター・ユシタトス由来の細菌コラーゲンをコードするタンパク質配列
配列番号29:ハバチのネマトス・オリゴスピルス(Nematus oligospilus)、遺伝子Aに由来する昆虫コラーゲンをコードするDNA配列
配列番号30:ハバチのネマトス・オリゴスピルス、遺伝子Aに由来する昆虫コラーゲンをコードするDNA配列
配列番号31:プライマー
配列番号32:プライマー
配列番号33:プライマー
配列番号34:プライマー
配列番号35:プライマー
配列番号36:プライマー
配列番号37:ヒトIII型コラーゲン断片について、その3回反復部分をコードするDNA配列
配列番号38:ヒトIII型コラーゲン断片について、その3回反復部分をコードするタンパク質配列
配列番号39:ヒトI型のαI鎖CB3断片をコードするDNA配列
配列番号40:ヒトI型のαI鎖CB3断片をコードするタンパク質配列
配列番号41:ヒトコラーゲンI型及びIII型鎖に由来するセグメントから作成されたキメラをコードするDNA配列
配列番号42:異なる細菌コラーゲン鎖からなるキメラをコードするDNA配列であり、この場合、2つの異なるコラーゲン様成分は、メチロバクテリウム種及びS.ユシタトスに由来して存在する
配列番号44:異なる細菌コラーゲン鎖からなるキメラをコードするDNA配列であり、この場合、2つの異なるコラーゲン様成分は、メチロバクテリウム種及びS.ユシタトスに由来して存在する
一般技法及び定義
別途特別に規定されない限り、本明細書で用いられるすべての技術的及び科学的用語は、当業者(例えば、細胞培養、分子遺伝学、組換え生物学、絹技術、免疫学、タンパク質化学、及び生化学における)により一般的に理解される意味と同じ意味を有すると解されるものとする。
別途明示しない限り、本発明で利用される組換えタンパク質、細胞培養、及び免疫学技術は、当業者にとって周知の標準手順である。かかる技術は、J.Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning、John Wiley and Sons(1984年)、J.Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbour Laboratory Press(1989年)、T.A.Brown(編者)、Essential Molecular Biology:A Practical Approach、第1巻及び2巻、IRL Press(1991)、D.M.Glover及びB.D.Hames(編者)、DNA Cloning:A Practical Approach、第1〜4巻、IRL Press(1995年及び1996年)、並びにF.M.Ausubelら(編者)、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub.Associates and Wiley−Interscience(1988年、現在までの全改訂版を含む)、Ed Harlow及びDavid Lane(編者)、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbour Laboratory、(1988年)、及びJ.E.Coliganら(編者)、Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons(現在までの全改訂版を含む)等を出典とする文献全体にわたり記載及び説明されている。
本明細書全体にわたり、特に他の指定がない限り、又は文脈から他の要求がない限り、単一の工程、組成物、工程の群、又は組成物の群について述べる場合、1つ及び複数(すなわち1つ又は複数)のそのような工程、組成物、工程の群、又は組成物の群を含むものと解されるものとする。したがって、本明細書で用いる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」には、文脈より別途明確な指示がない限り、複数形が含まれる。例えば、「a」の意味には、1つと2つ以上とが含まれ、「an」の意味には、1つと2つ以上とが含まれ、「the」の意味には、1つと2つ以上とが含まれる。
本明細書に記載する本開示の例それぞれは、特に他の指定がない限り、例のいずれについても必要な変更を加えて適用される。
当業者は、本明細書の開示は、具体的に記載されたもの以外の変更及び修正を受け入れる余地があることを認識している。開示には、すべてのかかる変更形態及び修正形態が含まれるものと理解される。開示には、本明細書で参照又は提示されるすべての工程、特性、組成物、及び化合物も、個別に又は全体として、並びに前記工程若しくは特徴のあらゆるすべての組み合わせ、又はそれらのうちの任意の2つ以上も含まれる。
本開示は、本明細書に記載する特定の例により範囲が限定されるものではなく、そのような例は、例示目的限定として意図される。機能的に同等の生成物、組成物、及び方法は本明細書に記載する通り、明確に本開示の範囲である。
用語「及び/又は」、例えば「X及び/又はY」は、「X及びY」又は「X又はY」のいずれかを意味するものと理解され、両方の意味又はどちらかの意味の明示的な支持を提供するものと解されるものとする。さらに、特徴の列挙において最後から2番目と最後の特徴との間に慣用句「及び/又は」が含まれる場合は、列挙した特徴のいずれか1つ又は複数が、任意の組み合わせで存在し得ることを意味する。
本明細書全体にわたり、単語「含む(comprise)」、又は変化形、例えば「含む(comprises)」又は「含むこと(comprising)」等は、記載された要素、整数、若しくは工程、又は要素、整数、若しくは工程の群を含むが、任意のその他の要素、整数、若しくは工程、又は要素、整数、若しくは工程の群も除外されないことを意図すると理解される。
用語「非哺乳動物の宿主細胞培養抽出物又はホモジネート内に含まれる」とは、三重らせんタンパク質配列をコードする構築物を用いてトランスフェクト又は形質転換された、本開示に基づく宿主細胞から調製される細胞培養抽出物又はホモジネートを意味するものと理解される。
用語「植物」には、植物全体、植生構造(例えば、葉、幹、根)、花器/構造、種子(胚、胚乳、及び種皮を含む)、植物組織(例えば、管腔組織、基本組織等)、細胞、及びその子孫が含まれる。
「熱的に安定な」とは、三重らせんタンパク質(又はタンパク質の三重らせん部分)が、所与の温度においてその三次元構造を維持する程度を意味する。本方法によれば、許容の程度は三重らせん構造が不安定化するまで許されるが、但し、少なくとも三重らせんタンパク質の70%が三次元三重らせん形態に維持されることが好ましい。
本明細書で用いる場合、用語「三重らせんタンパク質」とは、少なくとも1つの領域(文脈に応じて「三重らせんドメイン」又は「コラーゲン様ドメイン」として本明細書では呼ばれる)を含む、本明細書に記載するようなホモ三量体タンパク質、キメラタンパク質、又はヘテロ三量体タンパク質を意味するものと理解される。用語「三重らせんタンパク質」には、本明細書で引用するような「コラーゲン様(CL)タンパク質」も含まれる。当該用語は、三重らせんタンパク質の変異体及び断片(複数可)、並びにその機能的同等物及び誘導体を含み、これらは、好ましくは、三重らせんタンパク質若しくはコラーゲン様タンパク質、すなわち(Gly X Y)配列の少なくとも1つの構造的若しくは機能的な特徴を保持する。本開示の三重らせんタンパク質は、タンパク質分解作用に対して安定であると理解される。三重らせんタンパク質は、タンパク質分解作用に対して安定な追加の非らせんタンパク質配列、及び/又は宿主タンパク質を除去するために選択されたプロテアーゼ酵素のタンパク質分解作用に対して自然に又は設計により安定である非三重らせん配列インサートも含み得る。
本明細書で用いる場合、用語「コラーゲン様(CL)」とは、Gly−X−Yトリプレットを含むポリペプチドを意味し、X及びYは、任意のアミノ酸であり得る。本開示の絹タンパク質並びに天然の細菌コラーゲンは、用語「コラーゲン様」の範疇にも含まれ得る。本開示のコラーゲン様の絹タンパク質は、ヒドロキシプロリンを全く有さない。1つの例では、コラーゲン様の絹タンパク質は少なくとも約40個、より好ましくは少なくとも約50個のGly−X−Yトリプレットを含む。さらに、別の例では、Gly−X−Yトリプレットは、タンパク質の一次アミノ酸配列のうち、少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約50%を占める。別の例では、コラーゲン様の絹ポリペプチドは三重らせん構造を有する、又は適する条件下でこれを形成する能力を有する。さらに、組換え三重らせんタンパク質に含まれる任意のインサート又はリンカーは、プロテアーゼに対して耐性であると理解される。
用語「三重らせんドメイン」又は「コラーゲン様ドメイン」とは、一般式が(Gly X Y)のペプチドを含むタンパク質を意味し、この場合、Glyはグリシンであり、X及びYは同一の又は異なるアミノ酸を表し(その識別子はGly X Yトリプレット毎に変化し得る)、nは5から600の間であり得る。三重らせんドメインは、三重らせんタンパク質立体構造に折り畳まれる(Gly X Y)の反復モチーフにより特徴付けられる3つの鎖から構成される。
本明細書で用いる場合、用語「三重らせん形成ドメイン」又は「コラーゲン様形成ドメイン」とは、2つのその他の鎖と共に折り畳まれ、又は会合して三重らせんを形成する能力を有する(Gly−X−Y)モチーフを含むアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を意味し、この場合、X及びYは任意のその他のアミノ酸残基である。
用語「ホモ三量体」とは、三重らせんの3本の鎖すべてが同一である、そのような鎖を含有する三重らせんタンパク質及び/又はその三重らせんドメインを意味する。
用語「ヘテロ三量体」とは、三重らせんを形成する鎖のうち少なくとも2本が異なる、そのような鎖を含有する三重らせんタンパク質及び/又はその三重らせんドメインを意味する。
本明細書で用いる場合、用語「培養」とは、宿主細胞の成長及びその結果生じたすべての継代培養物をもたらす、培地内での宿主細胞の増殖を意味する。
本明細書で用いる場合、用語「宿主細胞培養抽出物」とは、三重らせんタンパク質が培養培地内に分泌されるような宿主細胞培養物を意味するように意図されている。宿主細胞培養抽出物は、例えば三重らせんタンパク質で形質転換/トランスフェクト/形質導入された宿主細胞が増殖する濃縮された細胞培養培地を含み得る。未処理の宿主細胞は、本明細書に記載するように、分泌された三重らせんタンパク質から除去又は分離され得る。
本明細書で用いる場合、用語「宿主細胞培養ホモジネート」とは、三重らせんタンパク質が宿主細胞内に保持され、そして破壊プロセス又は抽出プロセスにより放出される宿主細胞培養物を意味するように意図されている。したがって、本明細書の文脈においては、ホモジネートとは、細胞がすでに破砕されており、その結果宿主細胞培養ホモジネートは、破壊した宿主細胞及び破壊した細胞から放出された三重らせんタンパク質を含むことを意味する。
本明細書で用いる場合、用語「構築物」とは、三重らせん形成ドメインをコードするDNA配列を含有する発現カセットを意味する。構築物は、V−ドメイン及びヒスチジンタグをさらに含み得る。当該用語は、発現カセット中に存在するDNAを発現し得るベクターにも及ぶ。DNAは、その発現に影響を及ぼす能力を有するその他の配列、例えばプロモーター配列と機能的に関連する。一般的に、組換えDNA技術で通常用いられる発現ベクターは、「プラスミド」の形態である。
本明細書で用いる場合、用語「断片」とは、天然のアミノ酸又はヌクレオチド遺伝子配列の一部分、及び特に三重らせんタンパク質の機能的誘導体を意味する。
本明細書で用いる場合、用語「変異体」とは、配列に欠損、挿入、又は置換があり、異なるヌクレオチドに該当するが、結果的には同一又は機能的に同等のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドをもたらすような配列を意味する。
用語「精製された」とは、本明細書に記載するタンパク質精製プロセスにより、その他のタンパク質(例えば特定の宿主細胞タンパク質)又は汚染性物質を実質的に含まないようにした三重らせんタンパク質を意味するように意図されている。タンパク質は、その他のタンパク質又は汚染性物質を実質的に含まない、例えばその他のタンパク質又は汚染性物質の少なくとも約70%、又は75%、又は80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は96%、又は97%、又は98%、又は99%を含まないようにすることができる。
発明の詳細な説明
本開示の方法は、非哺乳動物の宿主細胞内の任意の起源から、任意の組換え生産した三重らせんタンパク質を精製するのに利用可能である。
三重らせん配列
本開示の方法で有用な組換え三重らせんタンパク質配列は、バイオマテリアル、製造材料、化粧品又は食品添加物として有用である。三重らせんタンパク質をコードする配列は、1つ又は複数の三重らせん形成ドメイン又はコラーゲン様(CL)形成ドメインから構成され、各CLドメインは、任意選択で非コラーゲン様のプロテアーゼ耐性インサート領域により分離される。インサート領域は、多くのヒトコラーゲン内に見出される、三重らせん構造内に自然に生じた中断部を模倣するように、又は所望の生物学的機能(例えば細胞/組織結合部位(例えばヘパリン又はインテグリン)、プロテアーゼ切断部位等)を提供し得るように構成され得る。インサート領域は、個々のCLドメインの間、又は組換え三重らせん配列のCLドメイン内に生ずる可能性がある。組換えタンパク質の三重らせん領域が適切に折り畳まれるよう保証するために、翻訳後に球形の折り畳みドメインが組換え構築物のN−又はC末端に好ましくは挿入される。この球形の折り畳みドメインは、後続するプロテアーゼ消化工程期間中に除去され得る。
1つの例では、本開示の方法で利用に適する三重らせん配列は、病原性又は非病原性の細菌微生物に見出される天然の三重らせんタンパク質から、組換えにより誘導され得る。例えばストレプトコッカス・ピオゲネス(Scl1又はScl2)由来の細菌コラーゲン様タンパク質は、安定な三重らせん構造を形成し、ヒドロキシプロリンを形成するために翻訳後修飾する必要もないことが明らかにされている。さらなる例では、腸管出血性大腸菌O157:H7株のゲノム配列では、一般的な実験室株K−12には存在しない、コラーゲン様配列を有する複数のオープンリーディングフレームが明らかにされている(Ghosh Nら(2012年)PLoS one e37872)。
組換え生産され得る、天然の細菌コラーゲン様タンパク質に代わる起源は、メチロバクテリウムsp4−46、ソリバクター・ユシタトス、ストレプトコッカス・エクイSclC、炭疽菌、バチルス・セレウス、クロストリジウム・パーフリンジェンス、ロドシュードモナス・パルストリス、レジオネラ・ニューモフィラ、及びストレプトコッカス・ニューモニエAに見出され得る。したがって本開示は、かかる起源から得られる配列又はその断片にも及ぶ。
別の例では、三重らせんタンパク質は、各三重らせんドメインを分離するインサート配列を含む組換えタンパク質であり、この場合、インサート配列はタンパク質分解作用に対して安定な、約1から50個のイミノ酸又はアミノ酸からなる非コラーゲンペプチド配列である。これらの配列は得られたバイオマテリアル、化粧品、食品添加物、又はその他の製品(例えば製造用)にとって有用ないくつかの生物学的機能を提供する。
三重らせんタンパク質の所望の生物学的機能は、三重らせんタンパク質と標的となる細胞型との結合を促進する、あるいは身体内で分解するための天然の切断部位を提供する配列に由来し得る。結合配列は、I型コラーゲン由来のインテグリン結合配列(GERGFPGERGVE)、及び/又はアセチルコリンエステラーゼのコラーゲン尾部由来のヘパリン結合配列(GRPGKRGKQGQK)の1つを含み得る。切断配列はマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)ドメイン、例えばI型、II型、及びIII型コラーゲンを切断するMMP−I、MMP−2、MMP−8、MMP−13、及びMMP−18、並びに変性したコラーゲンを切断するMMP−2及びMMP−9のファミリー内の1つ又は複数の配列を含み得るが、但しこれらに限定されない。インサート配列は、上記結合配列又は切断配列の部分的な配列も含み得る。
かかる機能を達成することが公知の追加配列についても、本開示で検討される。かかる配列は、4個、5個、6個、又は8個のトリペプチド反復ユニットで提供され得るが、5個又は6個のトリペプチド配列に限らず、最適な切断が可能である。
組換え技法を使用すれば、より高い安定性、例えば電荷対の変化等をもたらす特に安定な三重らせんモチーフ配列、又はタンパク質変性温度又はpIに影響を及ぼし、次に薬剤でどのように利用できるか、その利用方法に影響を及ぼす配列を導入することができる。
機能的ドメインが三重らせん形成ドメイン内に、又は連続する三重らせん形成ドメインの間に挿入可能である。また三重らせんドメイン内に、又は同一の若しくは異なる機能を含み得る三重らせんドメインのいくつかの反復にまたがり、複数の反復を含み得る2つ以上の機能的ドメインが追加可能である。同様に、複数の機能的反復が三重らせんドメイン反復間に含まれ得、又はより複雑な組み合わせも配列内及び配列間でインサートを用いて達成可能である。総じて、すべてのこれらのアプローチは、発現された三重らせんタンパク質の設計及び操作を可能にし、強化されたバイオメディカル製品を提供し得る特別な生物学的機能を提供する。
さらなる例では、三重らせんタンパク質のキメラも本開示に含まれる。例えば2つ以上の異なる細菌由来配列の間、2種類以上の動物由来配列の間、又は動物と非動物(例えば細菌)とに由来する配列の間のキメラは、様々なドメインに由来する特定の配列を選択して、キメラ三重らせんタンパク質の発現を引き起こすように、1つのベクター内に共存させることにより、工学的に容易に作製することができる。
本開示で検討され、また組換え発現可能なその他の三重らせんタンパク質として、C1q、アセチルコリンエステラーゼ、マクロファージスカベンジャー受容体、肺サーファクタントタンパク質、マンノース結合タンパク質、冬眠タンパク質、マイティラス・バイサス、エクトジスプラシンA、及びグリオメジン(gliomedin)、又はそれらの断片が挙げられる。
宿主細胞
本開示に基づく宿主細胞は、細菌、酵母菌、及び植物を起源とする細胞を含む、任意の好都合な非動物細胞である。本発明の宿主細胞は、三重らせん又はコラーゲン様のタンパク質を発現する能力を有する天然の微生物又は突然変異した微生物であり得る。1つの例では、宿主微生物は、組換えDNA技法を用いて形質転換した微生物又はその子孫であり、三重らせんタンパク質が生産するようにコード化する非相同的DNA配列を有する。
三重らせん配列の発現
組換え三重らせんタンパク質に関する発現構築物は、任意の当技術分野で公知の好都合な方法により、宿主細胞に導入され得る。
組換え三重らせんタンパク質を発現する方法は、当技術分野において一般的に公知の標準発現法、例えばMolecular Cloning(Sambrook及びRussell(2001年))に記載されている方法等を含む。
三重らせんタンパク質を生産するための発現系は、例えば米国特許第20120116053号に記載されている。
ピキア・パストリスにおける形質転換、陽性形質転換体の選別及び培養方法は、例えば米国特許第4,837,148号、同第4,855,231号、同第4882,279号、同第4929,555号、同第5,122,465号、同第5,324,639号、同第5,593,859号、及び同第6,472,171号に開示されている。
三重らせんタンパク質を生産する方法は当技術分野において公知であり、また例えば米国特許第20120282817号、欧州特許第1809751号、及び国際公開第2012/117406号に記載されている。
三重らせんタンパク質を生産するための発現系は、例えば米国特許第20120116053号に記載されている。
発現された三重らせんタンパク質の回収
発現後、培養された細胞は、当技術分野において公知の技法により採集/収集可能である。1つの例では、細胞は遠心分離により採集され、そして適する媒体中で再懸濁されて、発酵培養液/溶液(すなわち細胞培養抽出物)又はホモジネートが得られる。
発現された組換え三重らせんタンパク質を回収するのにふさわしい方法は、宿主細胞及び発現構築物によって決まる。微生物の宿主細胞では、三重らせんタンパク質は、細胞質外に輸送されたとしても宿主細胞の細胞壁内にトラップされる。この場合、宿主細胞は三重らせんタンパク質を回収するために破砕される。あるいは、細胞壁は、周辺質に局在するタンパク質を放出させるために、除去又は脆弱化され得る。破砕は超音波処理、マイクロ流動化、フレンチプレス又は類似した装置内での溶解、ガラスビーズと共に激しく撹拌/粉砕することによる破砕、浸透圧に対して壊れやすい突然変異体酵母菌株の溶解、又は酵素的処理(複数可)を含む、当技術分野において公知の任意の手段により実施可能である。三重らせんタンパク質が組換え宿主細胞の溶解又は破砕により回収される場合、溶解又は破砕は、三重らせんタンパク質が可溶性の形態に留まることができるように、十分なイオン強度を有するバッファー内で一般的に実施される。かかる機械的及び酵素的破砕法では細胞内断片が生産されるが、同断片はホモジネートを得るために、遠心分離又は濾過により除去され得る。
三重らせんタンパク質が細胞外で、すなわち可溶性の分泌型タンパク質として生産される場合には、細胞もやはり細胞上清から除去される必要がある。清澄化は遠心分離により一般的に実施されるが、但し沈降法及び/又は濾過法によっても実施可能である。
三重らせんタンパク質の精製
可溶性の組換え三重らせんタンパク質を含有する培養液/溶液(例えば細胞培養抽出物)又はホモジネートは、次に本開示の方法によって、酸による沈殿工程で処理される。これは、培養液/溶液又はホモジネートのpHを調整する酸性溶液の添加により達成される。酸性溶液は、任意の弱酸又は強酸、又は両方の混合物であり得る。塩酸、硫酸、酢酸、ギ酸、及び乳酸はすべて適する。これまでの天然コラーゲン含有哺乳動物組織材料の酸性処理法は、コラーゲンを膨潤化及び可溶化するのに用いられるが、これとは異なり、本開示の方法で採用される酸性化工程は、三重らせんタンパク質をなおも溶液状態に保ちつつ、汚染性の宿主細胞タンパク質を沈殿させることが判明した。酸性化工程はさらに、三重らせんタンパク質を変性させない。したがって当該方法は、可溶性の三重らせんタンパク質から宿主細胞の汚染物質を効果的に分離するための好都合な方法を代表する。
酸性溶液は、濃縮溶液として添加され得る。酸性化は4℃の温度で実施され得るが、30℃ほどの高い温度でも構築物によっては可能である。最も適する温度は、選択したヌクレオチド配列から形成された三重らせんタンパク質の融点温度によって決まる。三重らせんタンパク質の融点温度(T)を下回る温度、好ましくはTよりも少なくとも10℃以上低い温度を使用すれば、三重らせんが変性しないことが保証される。例えばpH2.2では、ストレプトコッカス・ピオゲネスは、25.7℃のTを有するGly−Xaa−Yaaモチーフを含む長さ234の構築物を有し、長さがアミノ酸147個の構築物を含むメチロバクテリウム種4−46は28.3℃のTを有し、クロストリジウム・パーフリンジェンスは、長さがアミノ酸189個の構築物及び37.2℃のTを有する。
酸性条件のpHは、どの宿主系を選択するか、またコラーゲン様タンパク質を生産するのにどの配列を用いるかに応じて変化する。大腸菌等の細菌宿主細胞を用いる場合には、2から3の間のpHが好ましい。酵母菌宿主細胞を用いる場合には、4から6のpHが好ましい。植物宿主細胞を用いる場合には、2から5のpHが好ましい。
次に酸による沈殿工程の後、プロテアーゼ消化を受けやすい宿主細胞タンパク質を除去する消化工程が行われる。三重らせんタンパク質は、プロテアーゼに対して耐性のままである。1つの例では、消化工程は酸性プロテアーゼを用いて実施される。本開示の方法に基づき用いられる酸性プロテアーゼの好適な例として、ペプシン、パパイン、パパイン様酵素、例えばブロメライン、フィシン、若しくはアクチニジン等、又はアスペルギルス・サイトイ酸性プロテアーゼが挙げられる。採用したプロテアーゼによっては、pH条件を調整することが必要な場合がある(例えばパパイン等のプロテアーゼの場合)。当業者はかかる方策に精通している。トリプシン又はキモトリプシン等のプロテアーゼを用いる場合には、中性又は塩基性条件のpHに調整することが必要な場合がある。
プロテアーゼは、多くの汚染性タンパク質をペプチドに消化するが、ペプチドは未処理の可溶性組換え三重らせんタンパク質よりかなり小さい分子量を有するので、透析濾過により除去可能である。得られた組換え三重らせんタンパク質は、次に収集可能である。透析濾過による収集は、組換え三重らせんタンパク質の濃縮という追加の長所を有する。さらに特定の状況下では、収集は三重らせんタンパク質を沈殿させることにより促進可能であり、したがって溶液から取り出せるようになる。組換え三重らせんタンパク質の沈殿による収集は、pH調整、温度調整、又はポリマー添加(例えばポリエチレングリコール)によりイオン強度の調整を追加することにより(例えば、硫酸アンモニウム又は塩化ナトリウムを用いて)達成され得る。
本発明の工程(i)で採用した抽出方法に依存して、酸による沈殿工程とプロテアーゼ消化工程の間に中間の分離/精製工程を含めれば有益であり得、かかる精製工程は、沈殿させた宿主細胞物質から三重らせんタンパク質を物理的に分離できるようにする。宿主細胞物質は、タンパク質及び/又はDNAを含み得る。したがって任意の粗分離プロセスが、これらの物質の1つ又は両方を除去するために採用され得る。かかるプロセスは当業者にとってなじみ深い。1つの例では、当該プロセスは遠心分離、(限外)濾過、クロスフロー濾過、及び沈降を含む。
ポリッシング
三重らせんタンパク質が医学的用途で必要とされる場合には、酸性化及びプロテアーゼ処理された生成物は、90%を上回る純度レベルを達成するために、ポリッシング精製工程によりさらに精製されるのが好ましい。あらゆるポリッシング精製が本開示に基づき適しており、これには例えばゲル濾過、疎水性、アフィニティー、又はイオン交換クロマトグラフィーが含まれる。追加の沈殿工程も利用可能であるが、このような工程は一般的に必要とされる高純度レベルを達成しないと予想される。
安定化
精製した三重らせんタンパク質がバイオメディカル材料として用いられる場合には、適する形態への加工が可能でなければならない。三重らせん構築物は、スポンジ及びシートに形成され得る。このような形態の達成に役立つように、精製した三重らせんタンパク質は所望の場合、その長期安定性及び機械強度を改善するために、医学的用途で使用する前に、動物コラーゲンの場合と同様に安定化可能である。いろいろな種類の適する安定化策が可能である。グルタルアルデヒドは架橋に適する試薬であり、またコラーゲン材料のin vivo安定性を改善するのに幅広く用いられる。照射は、別の物理的安定化技法である。
本開示の方法に基づき精製された三重らせんタンパク質は、修復、再生及び美容上の手順、血管手順、骨形成性及び軟骨形成性の手順、軟骨再建、骨グラフト代用品、止血、創傷の治療及び管理、組織の補強及び支持、失禁等を含む様々な用途及び手順で利用可能である。
本発明の組換えタンパク質の凝集から生産され得るバイオメディカル製品、及びその考え得る用途に関する非限定的な例として下記事項が挙げられるが、但しこれらに限定されない:例えば皮膚移植、薬物担体、医療機器用のコーティング、インプラントコーティング(整形外科及び血管用)、形状形成材料、粘弾性液手術、血管シーラント、化粧品等で用いられる可溶性組換えコラーゲン、例えば三次元細胞培養、組織及び臓器エンジニアリング、止血剤、及び創傷治療(人工皮膚及び創傷被覆材)等で用いられるスポンジ様材料;例えば外科用縫合糸及び止血剤等で用いられるファイバー;例えば組織移植、角膜シールド、コンタクトレンズ、及び細胞培養用マトリックス等で用いられるゲル様材料;並びに、例えば抗接着メンブレン、薬物送達システム、人工皮膚等で用いられるメンブレン様材料。
本開示の幅広い一般的範囲から逸脱せずに、上記実施形態に対して非常に多くの変更及び/又は修正を加えることができるものと、当業者には認識される。したがって本実施形態は、あらゆる観点において説明を目的としており、制限的ではないとみなされる。
本発明は、非限定的に以下の態様を含む。
[態様1]
非哺乳動物の宿主細胞培養抽出物又はホモジネートに含まれる、組換え発現された三重らせんタンパク質を精製するための方法であって、
(i)酸性条件下で、かつ三重らせんタンパク質が熱的に安定な状態を保つ温度で、三重らせんタンパク質から宿主細胞物質を沈殿させ、その後に
(ii)沈殿させた宿主細胞培養抽出物又はホモジネート中に存在する宿主細胞物質を、プロテアーゼを添加することにより消化し、ここにおいて、前記三重らせんタンパク質が前記プロテアーゼに対して耐性である、そして、
(iii)精製した三重らせんタンパク質を収集する
工程を含み、前記三重らせんタンパク質が、少なくとも工程(i)から(ii)の全体にわたり可溶性の状態を保つ、方法。
[態様2]
前記三重らせんタンパク質が、工程(i)から(iii)の全体にわたり可溶性の状態を保つ、態様1に記載の方法。
[態様3]
前記消化が、酸性プロテアーゼを用いて実施される、態様1又は2に記載の方法。
[態様4]
前記宿主細胞が、細菌、酵母菌、又は植物の宿主細胞である、態様1〜3のいずれか一項に記載の方法。
[態様5]
酸性条件は、7未満のpHを意味する、態様1〜4のいずれか一項に記載の方法。
[態様6]
前記沈殿させる工程が、前記三重らせんタンパク質の融解温度より低い温度で実施される、態様1〜5のいずれか一項に記載の方法。
[態様7]
前記沈殿させる工程と前記消化する工程との間に、沈殿させた宿主細胞物質から前記三重らせんタンパク質を物理的に分離する追加の分離工程をさらに含む、態様1〜6のいずれか一項に記載の方法。
[態様8]
中間の前記分離工程が、遠心分離、濾過、クロスフロー濾過、又は沈降のうちの1つ又は複数より選択される、態様7に記載の方法。
[態様9]
前記発現された三重らせんタンパク質が、前記宿主細胞中で細胞内生産される、態様1〜8のいずれか一項に記載の方法。
[態様10]
前記発現された三重らせんタンパク質が、前記宿主細胞から分泌される、態様1〜8のいずれか一項に記載の方法。
[態様11]
前記三重らせんタンパク質を含有する宿主細胞培養抽出物又はホモジネートを生産する追加の工程を含む、態様1〜10のいずれか一項に記載の方法。
[態様12]
前記組換え三重らせんタンパク質の融解温度(T)で実施される、態様1〜11のいずれか一項に記載の方法。
[態様13]
前記温度が、前記組換え三重らせんタンパク質のTよりも少なくとも10℃以上低い、態様12に記載の方法。
[態様14]
前記pHが、2から4の間であり、及び前記宿主細胞が、細菌宿主細胞である、態様5に記載の方法。
[態様15]
前記pHが、4から6の間であり、及び前記宿主細胞が、酵母菌宿主細胞である、態様5に記載の方法。
[態様16]
前記pHが、2から4.5の間であり、及び前記宿主細胞が、植物宿主細胞である、態様5に記載の方法。
[態様17]
前記三重らせんタンパク質が、タンパク質分解作用に対して安定である、態様3〜16のいずれか一項に記載の方法。
[態様18]
タンパク質分解作用に対して不安定なタンパク質よりも、タンパク質分解作用に対して安定なタンパク質が選択的に精製される、態様3〜17のいずれか一項に記載の方法。
[態様19]
収集された前記三重らせんタンパク質から、宿主細胞の核酸が除去される、態様1〜18のいずれか一項に記載の方法。
[態様20]
前記三重らせんタンパク質の沈殿が、硫酸アンモニウムの添加により、pH調整又は温度調整により、及び/又はポリマー(例えばポリエチレングリコール)の使用により達成される、態様1〜19のいずれか一項に記載の方法。
[態様21]
収集された前記三重らせんタンパク質が、安定化剤により安定化される、態様1〜20のいずれか一項に記載の方法。
[態様22]
前記三重らせんタンパク質が、(Gly−X−Y)反復モチーフを含み、式中nは、5から600の間である、態様1〜21のいずれか一項に記載の方法。
[態様23]
前記三重らせんタンパク質が、コラーゲンである、態様1〜22のいずれか一項に記載の方法。
[態様24]
前記三重らせんタンパク質の配列が、細菌、酵母菌、植物、昆虫、又はカイコに由来する、態様1〜23のいずれか一項に記載の方法。
[態様25]
態様1〜24のいずれか一項に記載の方法により精製された、三重らせんタンパク質。
[態様26]
態様1〜24のいずれか一項に記載の方法により取得された、精製された三重らせんタンパク質。
[態様27]
熱的又は化学的変性によりゼラチンに変換される、態様25又は26に記載の三重らせんタンパク質。
下記の実施例1〜11は、本明細書に記載する方法に基づき精製され得る様々な三重らせん構築物について記載する。
実施例
S.ピオゲネスに由来する細菌コラーゲンScl2断片のDNA
Scl2.28タンパク質の球形部分とコラーゲン様の部分とが組み合わされた、但しC末端アタッチメントドメインが欠失した部分をコードするscl2.28対立遺伝子(Q8RLX7)の断片に関するDNA配列を、国立生物工学情報センターデータベース(国立衛生研究所、Bethesda、MD 20894、米国)で、記録GenBank:AY069936.1として提供されるデータから得た。この配列に対し、同配列のN末端においてHisタグを導入し、そしてトロンビン/トリプシン切断配列LVPRGSP(配列番号1)をN末端球形ドメイン(V)配列と後続する(Gly−Xaa−Yaa)コラーゲン様ドメイン(CL)配列との間に挿入した。NdeI及びBamHIクローニング部位を用いて、トリプレット配列GKYをCLドメインのC末端に含め、これに終止コドンを後続させた。このデザイン用のDNAは、コドンの最適化を一切行わずに商業的に合成した。配列番号2は最終構築物である。
DNA及びタンパク質配列:(配列番号2及び3)
S.ピオゲネスに由来するコラーゲンScl2から得られたCLドメインの細菌コラーゲン二量体に関するDNA
球形部分とコラーゲン様部分を含むが、C末端アタッチメントドメインが欠失したS.ピオゲネスに由来するscl2.28対立遺伝子の断片に関するDNA配列は、実施例1に記載した通りである。この配列には、追加のN末端Hisタグ配列、N末端球形ドメイン(V)と後続する(Gly−Xaa−Yaa)コラーゲン様ドメイン(CL)配列との間にトロンビン/トリプシン切断配列LVPRGSP(配列番号1)も含まれたが、CLドメインのC末端にトリプレット配列GKYが含まれ、終止コドンがこれに続いた。部位特異的突然変異誘発法を用いて、インサートGAAGVM(配列番号4)を含有する第2の構築物を、CLドメイン開始前にScl2遺伝子に付加したが、その際、下記のオリゴヌクレオチドを用いた:
GAAGVMインサートを含有するこの第2の構築物を、次に5’SmaI(平滑末端化)及び3’SspI(平滑末端化)の箇所で消化した。この消化後のインサートを、次に元の(実施例1)構築物の末端にあるSmaI部位において、元のScl2遺伝子に再びサブクローニングした。最終的な配列構築物を配列番号7に示す。インサートを平滑末端化断片としてクローニングしたので、コロニーを1×YT内で選別、増殖させ、そして追加配列を含み、この第2の配列が正しい方向に向いているクローンを選別するために、ミディプレップを実施した。
DNA及びタンパク質配列:(配列番号7及び8)
ヘパリン結合に関する置換後の機能的配列を含む、S.ピオゲネス由来の細菌コラーゲンScl2から得られたDNA
実施例1に提示するScl2遺伝子を、制限部位5’NdeI及び3’BamHIを用いてシャトルベクターpSL1180にクローニングした。このクローンを、次に部位特異的突然変異誘発法を実施して、配列内の新規結合モチーフを導入するために用いた。ヘパリンインサートは12個のアミノ酸であり、また挿入部位周辺の配列は非常に反復性であったので、ヘパリン結合配列(GRPGKRGKQGQK;配列番号9)を、3回の連続した部位特異的突然変異誘発式PCR反応を用いて、第561番目塩基対においてScl2遺伝子に付加した。最初の反応では、下記のオリゴヌクレオチドを用いた:
第2の反応では、下記のオリゴヌクレオチドを用いた:
3回目の反応では、下記のオリゴヌクレオチドを用いた:
PCR産物を酵素DpnIで処理してすべての親DNAの消化を徹底し、その後、大腸菌宿主株XLI−BLUEに形質転換した。最終的な配列構築物を配列番号16に記載する。コロニーを抗生物質選択培地内で選別、増殖させ、そしてQiagenミニプレップを実施した。導入されたヘパリン部位を含むクローンを同定し、−20℃で保管した。
DNA及びタンパク質配列:(配列番号16及び17)
インテグリン結合に関する置換後の機能的配列を含む、S.ピオゲネス由来の細菌コラーゲンScl2から得られたDNA
実施例1に提示するScl2遺伝子を、制限部位5’NdeI及び3’BamHIを用いてシャトルベクターpSL1180にクローニングした。このクローンを、次に部位特異的突然変異誘発を実施して配列内に新たな結合モチーフを導入するために用いた。インテグリン結合配列(GERGFPGERGVE;配列番号18)をPCR特異的組み込みにより、2回の連続したステップを用いて、第705番目の塩基対においてScl2遺伝子に付加した。ステップ1で用いたオリゴヌクレオチドは次の通りであった。
ステップ2で用いたオリゴヌクレオチドは次の通りであった。
PCR産物を酵素DpnIで処理してすべての親DNAの消化を徹底し、その後、大腸菌宿主株XLI−BLUEに形質転換した。最終的な配列構築物を配列番号23に記載する。コロニーを抗生物質選択培地内で選別、増殖させ、そしてQiagenミニプレップを実施した。導入されたインテグリン部位を含有するクローンを同定し、−20℃で保管した。
DNA及びタンパク質配列:(配列番号23及び24)
ヘパリン結合及びインテグリン結合の両方に関する置換後の機能的配列を含む、S.ピオゲネス由来の細菌コラーゲンScl2から得られたDNA
実施例3に記載する、導入されたヘパリン結合部位を含有するScl2遺伝子を用いた。Scl2遺伝子の第705番目の塩基対において、インテグリン結合ドメイン(GERGFPGERGVE;配列番号18)を導入するために、ヘパリン部位が導入されたことが確認され、その部位を含む選択されたクローンについて、実施例4に記載のオリゴヌクレオチドを用いて、第2ラウンドの部位特異的突然変異誘発を実施した。PCR産物を酵素DpnIで処理してすべての親DNAの消化を徹底し、その後、大腸菌宿主株XLI−BLUEに形質転換した。最終的な配列構築物を配列番号25に記載する。コロニーを抗生物質選択培地内で選別、増殖させ、そしてQiagenミニプレップを実施した。導入されたインテグリン部位並びにヘパリン結合部位を含むクローンを同定し、−20℃で保管した。
DNA及びタンパク質配列:(配列番号25及び26)
ロドシュードモナス・パルストリス由来のV−ドメインを用いて、ソリバクター・ユシタトス由来の細菌コラーゲンから得られたDNA
カンディダトス・ソリバクター・ユシタトスEllin6076に由来する、三重らせん反復部分含有コラーゲンに関するDNA配列を、国立生物工学情報センターデータベース(国立衛生研究所、Bethesda、MD20894、米国)で、記録ABJ82342として提供されるデータから得た。R.パルストリス由来のV−ドメインに関するDNA配列を、国立生物工学情報センターデータベース(国立衛生研究所、Bethesda、MD20894、米国)でYP_001993084として提供されるデータから得た。タンパク質配列を名目DNA配列に翻訳し、そして正しいコーディングフレームワークを維持する複合遺伝子を、Met開始シグナルの後にS.ユシタトス由来のCLドメインが続き、次にR.パルストリス由来のV−ドメインが連なり、最後にC末端His−タグ及び終止コドンが続くように設計した。コーディング配列の外側の末端制限部位を、5’の場合NdeI及びEcoRIとして、また3’の場合SalI及びHindIIIを付加した。この構築物は所望の宿主株、すなわち大腸菌における発現を最適化しつつ、元のアミノ酸配列を保持するDNA配列を用いて合成された(GeneArt(登録商標)Gene Synthesis、Regensburg、ドイツ)。最終的な配列構築物を配列番号27に記載する。
DNA及びタンパク質配列:(配列番号27及び28)
ハバチのネマトス・オリゴスピルス、遺伝子Aに由来する昆虫コラーゲンに関するDNA
N.オリゴスピルスの絹糸腺から得られる三重らせんコラーゲン様物体に関するDNAを、これまでに記載されているように(米国特許第61/615745号)、タイプA鎖(A279)について報告済みの配列から得た。遺伝子構築物を合成したが(GeneArt(登録商標)Gene Synthesis、Regensburg、ドイツ)、同構築物にはNdeI及びEcoRI制限部位が含まれ、また所望の宿主系、すなわち大腸菌における発現を最適化しつつ、元のアミノ酸配列を保持した保存的な塩基置換が導入されている。
最終的な配列構築物を配列番号29に記載する。
DNA及びタンパク質配列:(配列番号29及び30)
SF21(A279)−ハバチコラーゲン、タイプA遺伝子
ヒトIII型コラーゲン断片の3回反復に関するDNA
PCR反応用のテンプレートは、cDNAクローンMGC:39848(画像5405119)(ATCC、Manassa、VA)に基づき、同テンプレートはヒトCOL3A1遺伝子を含有し、アミノ酸配列は変化させないが、二次構造を形成する可能性が低下している限定的な塩基変化が導入されている。
PCR産物を電気泳動により分離し、また切り出したバンドをQIAquickゲル抽出キット(Qiagen)を用いて抽出した。
クローニング用の3つの分離した断片をPCR生産するために用いたオリゴヌクレオチドは下記の通りであった。
PCR断片を、対の制限酵素を用いた消化(EcoRIとXmaI、XmaIとBamHI、BamHIとSacII)で処理し、そして断片を抽出によりアガロースゲルから精製した。ベクターYepFlag1(Eastman Kodak/IBI、New Haven、CT)への逐次的なライゲーションを併用して、3回反復DNAセグメントの生産を達成した。ベクターDNAを、適する酵素を用いて調製した。精製したPCR断片を、それぞれインサート3mol対ベクターが1molの比で、連続するベクター構築物にライゲーションした。ライゲーション混合物を標準手順を用いて、大腸菌を形質転換させるのに用いた。プラスミドの維持、増殖、及び形質転換のために、大腸菌株XL1 Blue(Stratagene、La Jolla、CA)を慣習的に用いた。所望の場合、分離したDNAをこのベクターから単離することができた。最終的な配列構築物を配列番号37に示す。
DNA及びタンパク質配列:(配列番号37及び38)
ヒトI型α1鎖CB3断片に関するDNA
ヒトI型コラーゲンα1鎖のCB3断片に関するDNA配列を、国立生物工学情報センターデータベース(国立衛生研究所、Bethesda、MD20894、米国)で記録番号GenBank:Z74615.1として提供されるデータから得た。当該配列をC末端His−タグ及び終止コドンを付加して修飾し、そして5’NdeI及び3’EcoRI及びHindIII制限部位を付加させて、構築物をpCold IVベクターへの挿入に適するようにした。このDNAから生産された三重らせんタンパク質の安定性は、すべての操作が4℃で実施されなければならないことを意味する。所望の宿主系、すなわち大腸菌における発現を最適化しつつ、元のアミノ酸配列を保持した保存的な置換を有する遺伝子構築物を合成した(GeneArt(登録商標)Gene Synthesis、Regensburg、ドイツ)。
最終的な配列構築物を配列番号39に記載する。
DNA及びタンパク質配列:(配列番号39及び40)
ヒトコラーゲンI型及びIII型鎖に由来するセグメントから作成されたキメラに関するDNA
ATCC受け入れ番号が95498のヒトコラーゲンI型、αIc−DNA、及びATCC受け入れ番号が95502のヒトコラーゲンIII型、αIc−DNAをキメラDNAの生産で用いた。
最初に、コラーゲンI及びIII遺伝子をコードするc−DNA10ngを、ヒートショック法を用いて42℃にて、大腸菌宿主株50μlに形質転換した。アンピシリン耐性コロニーを回収し、そしてYT培地150ml内にて一晩増殖させた。
親クローンの制限消化を実施し、次にこれを1%アガロースゲル電気泳動上で分析し、そしてコラーゲンバンドを単離及び精製した。ベクター及び精製後のインサート調製物を、T4 DNAリガーゼキット(Invitrogen)を用いてライゲーションした。ライゲーション混合物を、次にTop10細胞に形質転換し、そしてアンピシリン選択培地上に播種した。コロニーPCRを、工学的に得られたキメラを含有するクローンを検出するのに用いた。工学的に得られたクローンを含有する可能性のあるPCR産物を、1%アガロース電気泳動上で分析した。4.5kbのコラーゲンI遺伝子インサートを、制限部位XbaI(5’)及びSspI(3’)を用いてその親ベクターpUC19からサブクローニングし、そしてこれを部位XbaI(5’)及びSmaI(3’)を用いて、細菌シャトルベクターpBluescript II KS+(Stratagene)にクローニングした。このクローニングにより、コラーゲンI内の塩基対2929〜2934に存在する内部BamHI部位が、このベクター内の固有の部位として機能することが可能になった。コラーゲンI(N及びC)末端について、2つのトランケーションを構築した。N末端トランケーションは部位XbaI(5’)及びBamHI(3’)において、pBluescript II KS+にクローニングされたコラーゲンの2.7kb断片を含んだが、一方サイズが1.8kbのC末端トランケーションは、制限部位BamHI(5’)及びHindIII(3’)を用いて、シャトルベクターpUC19にサブクローニングした。C末端トランケーションについては、NaeI制限部位(サイレント突然変異)を、QuickChange II部位特異的突然変異誘発キット(Invitrogen)を用いて、Cテロペプチドの塩基対3706〜3711に導入した。ベクター系内への完全長キメラのクローニングを容易にするために、HincII部位(GTCAAC)をコラーゲンI終止コドンの後に直接付加した。N末端トランケーションについては、開始メチオニン残基の上流にkozak配列を導入するのにPCRを用いた。スプライスオーバーラップPCRを、コラーゲンIαらせん領域をコラーゲンIIIαらせん領域と交換するのに用いた。重複部はコラーゲンIαらせんの塩基対3288〜3711に渡り、これをコラーゲンIIIαらせんの残基3283〜3708の重複部と交換した。5’重複オリゴは導入されたのBamHI部位を含有し、また3’オリゴは導入されたNaeI部位を含有した。PCR産物を、Zero Blunt TOPO PCRクローニングキット(Invitrogen)を用いてpTOPOベクターにクローニングした。重複部をBamHI(5’)及びNaeI(3’)にてpTOPOから消化し、そして導入されたNaeI部位をpUC19内に含有するコラーゲンIの野生型(WT)C末端クローンと交換した。N−プロペプチドのコラーゲンIからの除去、すなわち残基193〜609の除去を、N末端でトランケートされた構築物について、欠失突然変異誘発法を用いて実施した。次に、コラーゲンのC末端サブ断片に遺伝子をクローニングして、N−プロペプチドを欠く完全長遺伝子を作成した。最終的な配列を、配列番号41に示す。
DNA配列:配列番号41
2つの異なるコラーゲン様成分がメチロバクテリウム種及びS.ユシタトスに由来して存在する場合の、異なる細菌コラーゲン鎖からなるキメラに関するDNA
カンディダトス・ソリバクター・ユシタトスEllin6076及びメチロバクテリウム種に由来する三重らせん反復部分含有コラーゲンに関するDNA配列を、ソリバクター・ユシタトスについて記録ABJ82342及びメチロバクテリウムについて記録ACA18713.1として、国立生物工学情報センターデータベース(国立衛生研究所、Bethesda、MD 20894、米国)に提供されるデータから取得した。
タンパク質配列を名目DNA配列に翻訳し、そして正しいコーディングフレームワークを維持する複合遺伝子を、Met開始シグナルの後にメチロバクテリウム由来のV及びCLドメインが続き、これにS.ユシタトス由来のCLドメインが連なり、最終的に終止コドンが続くように設計した。コーディング配列の外側の末端制限部位を、5’の場合NdeI及びEcoRIとして、また3’の場合SalI及びHindIIIを付加した。この構築物は、次に宿主系における発現について最適化され、そして所望の宿主株、すなわち大腸菌における発現を最適化しつつ、元のアミノ酸配列を保持するDNA配列により合成された(GeneArt(登録商標)Gene Synthesis、Regensburg、ドイツ)。
最終的な配列を配列番号42に記載する。
DNA配列:配列番号42及び43
実施例12〜17は、いくつかの異なる構築物に関する異なる発現宿主細胞系について記載する。
三重らせんタンパク質に関するDNA構築物の発現
例えば配列番号2、6、14、20、21の上記DNA構造物のどれでも大腸菌にクローニングすることができ、また下記の方法に基づき三重らせんタンパク質を発現させることができる。
DNA配列を、固有の部位5’NdeI及び3’BamHIを用いて大腸菌発現ベクター系pColdIII内にサブクローニングした。次に、PCRコロニースクリーニング技法を陽性クローンを検出するために用いた。このクローンを培養容積100ml内で増殖させ、Qiagenミディプレップを実施してベクター量を増やした。発現用として、選択した陽性クローンを大腸菌宿主BL21−DE3に形質転換した。1リットル当たりトリプトンを16g、酵母菌抽出物を10g、及びNaClを5g含有する2×YT培地内(又は合成培地もいくつかの状況、例えば配列番号2等で利用可能であった)で細胞を増殖させた。用いた合成培地(DM)は、1リットル当たり:KHPO、10.6g;(NHHPO、4g;クエン酸、1.7g;グルコース、25g;MgSO・7HO、1.23g;アンピシリン(50μg/ml)、200mg;塩酸チアミン、4.4mg;及び微量の塩を含む溶液(trace salts solution)5mLを含有した。微量の塩を含む溶液は、1リットル当たり:CuSO・5HO、2.0g;NaI、0.08g;MnSO・HO、3.0g;NaMoO・2HO、0.2g;ホウ酸、0.02g;CoCl・6HO、0.5g;ZnCl、7g;FeSO・7HO、22g;CaSO・2HO、05g、及びHSO、1mLを含有した。必要に応じてグルコース、マグネシウム、微量の塩、チアミン、及びアンピシリンを、濃縮ストック溶液として、滅菌処理後、培地に無菌的に添加した。
細胞を37℃で24時間増殖させ、そしてA600における細胞培養物の光学濃度は約3〜6に到達した。培養物を、次に25℃でインキュベートし、そして1mMイソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加してタンパク質の発現を誘導した。25℃で10時間インキュベートした後、温度を15℃まで下げ、別途14時間インキュベートした。24時間インキュベートした後、細胞を遠心分離により採集した。
CB3断片に関する配列番号31の構築物では、発現後、細胞を4℃で14時間維持し、後続する処理も、すべて15℃ではなく4℃で行った。
大腸菌内でのpETベクターを用いた、三重らせんタンパク質、すなわちR.パルストリス由来のV−ドメインを有するS.ユシタトス由来の細菌コラーゲン断片に関するDNA構築物の発現
DNAを実施例6に記載するように得た。複合遺伝子を、5’EcoRI及び3’HindIII部位を用いて、pET21aベクターにクローニングした。形質転換受容性のある大腸菌宿主細胞系統BL21 DE3に形質転換する前に、クローンの配列決定を実施した。形質転換した細胞をYT+アンピシリンプレート上に播種し、そして37℃、一晩増殖させた。単一コロニーをこのプレートから拾い出し、そしてYT+アンピシリン培地内にて、37℃、一晩増殖させた。
組換え細菌コラーゲンを、Biostat B(Sartorius Stedim Germany)コントロールシステムと連結した2Lの撹拌式タンクバイオリアクター内で生産した。発酵槽内の初期培地容積は1.6Lであり、またグルコースを炭素供給源として用いた。所定容積の二次種培養物を、初期の光学濃度(600nmで測定)が0.25となるようにバイオリアクターに添加した。10%(v/v)ポリプロピレングリコール2025の自動添加により、起泡を管理した;3mLの消泡剤溶液を、植菌前に添加した。pH目標値は7.0であり、10%(v/v)HPO又は10%(v/v)NH溶液の自動添加により管理した。溶存酸素目標値は飽和率20%であり、また2ステップカスケード制御法を、溶存酸素が所定の目標値を上回り維持するのに用いた。撹拌装置のスピードは500rpm〜1200rpmの範囲、また気流(純粋のOを5%補充)は0.3L/分〜1.5L/分の範囲であった。高細胞密度流加プロセスの場合、フィード溶液は、1MのMgSO・7HO、40mLを添加した660g/Lのグルコース溶液400mLから構成された。フィード流速は15mL/時であり、またフィードは、植菌後8.5時間経過して開始した。インキュベーション時間及び温度は、とりわけ構築物、宿主細胞系に応じて、実験毎に異なった。ベクターのコールドショック要素を活性化させるために、植菌後24時間経過して、必要とされる温度まで(20分かけて)培養物を冷却し、そして1mM(培養物内の最終濃度)のIPTGを添加して、タンパク質の発現を誘導した。次に、細胞を遠心分離により採集した。
大腸菌内でpColdベクターを用いた、三重らせんタンパク質、すなわちハバチ絹コラーゲンに関するDNA構築物の発現
制限酵素消化部位を配列番号23のハバチDNA単離物内に導入することにより、ハバチ絹遺伝子及びそのインサートに関するDNAを発現ベクター内に単離可能となった。ハバチのコラーゲン様絹タイプA遺伝子をNdeI及びEcoRI部位を介してpColdIベクターに挿入した。PCRコロニースクリーニング技法を、陽性クローンを検出するために用いた。このクローンを培養容積100ml内で増殖させ、そしてQiagenミディプレップを実施してベクター量を増やした。発現用として、選択した陽性クローンを形質転換受容性のある大腸菌BL21細胞に形質転換した。ハバチ絹タンパク質遺伝子の発現では、細胞の1コロニーを、初発の培養培地2×YT−Amp、100mlに添加し、そして200rpmで振盪させながら、37℃、一晩インキュベートした。次に、この培養物に新鮮な2×YT−2%グルコース−Amp100mlを添加し、そして1mMのIPTGにより25℃で10時間、次に20℃で別途16時間誘導した。細胞ペーストを、遠心分離(3000×g、30分間)により採集した。タンパク質は細胞ペレットと関連付けられた。
サッカロマイセス・セレビシエにおける、三重らせんタンパク質、すなわちIII型コラーゲン由来の断片の反復に関するDNA構築物の発現
実施例8に記載するようなDNA/ベクター(YepFlag1)を用いて、エレクトロポレーションにより、酵母菌をS.セレビシエ酵母菌株BJ5462(α ura3−52 trp1 leu2_1 his3_200 pep4::HIS3 prb_1.6R)(Yeast Genetic Stock Center、Berkeley、CA)に形質転換したが、この場合、DNA構築物は、コラーゲンIII断片のα−因子シグナルα−pro配列/FLAGタグ/3回反復からなるインフレーム融合(in frame fusion)を含んだ。形質転換体をSDahl+Ura培地上、28℃で48時間、通気しながら増殖させた。選別後、各部分を非選択的YPHSM培地(1%デキストロース、1%酵母菌抽出物、8%ペプトン、3%グリセロール、20mM CaCl)で稀釈し、そして激しく振盪させながら28℃で96時間、増殖を継続した。細胞ペレットを12,000×gで20分間、遠心分離して除去した。FLAGの存在は、タンパク質を同定するための選択肢を提供する。
ヒトコラーゲンI型及びIII型鎖に関するDNA構築物の発現も同一の方法で行うことができる。
ピキア・パストリスを用いた、三重らせんタンパク質、すなわちR.パルストリスに由来するV−ドメインを有する、S.ユシタトス由来の細菌コラーゲン断片に関するDNA構築物の発現
細菌コラーゲン遺伝子を、実施例6の記載に従い調製した。任意選択で、当該遺伝子はピキア属発現用としてさらに最適化可能であった。遺伝子構築物を大腸菌内で組み立てた。
コラーゲン遺伝子構築物を適するベクター系、pA0815 HIS4に組み入れ、酵母菌宿主細胞、P.パストリスへの遺伝子構築物の染色体組み込みを可能にした。任意選択で、その他のベクター系、例えばpA0815−SX HIS4、pPIC9 HIS4、pPICZ ZeoR、pPICZa ZeoR、pBLADE−IX ADEI、pBLARG−IX ARG4、pBLARG−SX ARG4、又はpBLURA URA3等も利用可能であった。系は、高強度の構成型プロモーター(GAP)及び高強度の誘導性プロモーター(好ましくはAOXI−アルコールオキシダーゼ)が認められるメチロトローフ発現により特徴付けられる。メタノールは唯一の炭素供給源として利用可能であるが、これを添加することにより、簡便で瑕疵のない導入が可能となる。この系は、挿入された遺伝子の染色体組み込みを利用し、発酵期間中に継続的に選別するニーズ(例えば抗生物質)を不要にする。コラーゲン遺伝子を含むベクターpA0815を、BamHIにて直線状にした。直線状となったプラスミドを、エレクトロポレーションによりP.パストリスに形質転換した。GSl15 his4を含め、様々なピキア属株が適する。形質転換体を、コラーゲン構築物を発現するためのHis+細胞として選別した。選別した細胞を、振盪フラスコ内、グリセロールpH5.0を含む基礎塩培地中で増殖させた。適する湿潤細胞密度に達成したらメタノールを添加し、さらに72時間、発酵を継続した。
ニコチニア(Nicotinia)種内での一過性発現を用いた、三重らせんタンパク質、すなわちR.パルストリス由来のV−ドメインを有する、S.ユシタトスから得られた細菌コラーゲン断片に関するDNA構築物の発現
実施例4に記載するように、S.ユシタトスから得られた細菌コラーゲンCLドメイン及びR.パルストリス由来のV−ドメインをコードする合成遺伝子を用いるが、但し配列がニコチニア種内での発現に最適化され、また制限部位5’AgeI及び3’XhoIが導入される点を除く。遺伝子をPCR増幅し、そしてpENTR DTOPOにクローニングする。配列の完全性を次に確認する。pENTR DTOPO構築物をBspHI消化し、そして精製してカナマイシン耐性遺伝子を除去すれば、バイナリーpEAQ−HT−DEST GATEWAYデスティネーションベクター内へのLR clonase遺伝子組換え後に、カナマイシンによる適切な選別が可能となる(Sainsburyら、(2009年)Plant Biotechnol J、第7巻(7):682〜93頁)。バイナリープラスミドを、A.ツメファシエンス(A. tumefaciens)株LBA4404内に形質転換し、維持した。構築物を、静止期に到達するまで適切な抗生物質を含有するLB培地内で増殖させる。培養物を遠心分離し、そしてペレットを、10mMのMES、10mMのMgCl、20mMのアセトシリンゴンを含むインフィルトレーション培地にOD600が0.5となるまで再懸濁する。培養物をシリンジインフィルトレーション前に、暗所で4時間、室温でインキュベートして(Sainsburyら(2009年)Plant Biotechnol J、第7巻(7):682〜93頁)、5葉期のニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana)まで成長させる。葉をインフィルトレーション後5日目に採集する。
実施例18〜32は、図1のフローシートに示すような、本発明の精製工程について記載する。
超音波処理を用いた、細菌細胞、大腸菌に由来する三重らせんタンパク質の抽出
抽出では、例えば上記実施例12〜17に由来する細胞ペースト各1グラムを、50mMの酢酸/HClバッファー、pH2、20mlに再懸濁し、そしてエンハンスブースター1号プローブを備えるMisonix S4000装置を用いて、30A(装置のスケール)で5分間、超音波処理することにより細胞をバーストさせた。任意選択で、細胞ライセート混合物を、遠心分離(12,000×gで60分間)により清透化し、そして三重らせんタンパク質を含有する透明な上清を保持した。
フレンチプレスを用いた、細菌細胞、大腸菌に由来する三重らせんタンパク質の抽出
例えば、実施例12〜17に由来する凍結した細胞ペーストを解凍し、そして50mMの酢酸、pH2と1:10w/wに混合した。この混合物を、Apv2000フレンチプレスホモジナイザーに700barの圧力で3回、各回間で1時間の冷却期間を追加しながら通過させた。処理後、ペーストを遠心分離により、12,000×gで60分間任意選択で清透化し、そして抽出した三重らせんタンパク質を含有する透明な上清を保持した。
酵母菌細胞、S.セレビシエ(S. cerevisiae)に由来する三重らせんタンパク質の抽出
酵母菌発現系の任意の1つから得られた細胞ペーストを、破砕バッファー(50mMのリン酸ナトリウムバッファー、pH7.4、0.5mMのEDTA、2mMのPMSF、5%のグリセロール、0.1%のトリトンX−100)中に、バッファー20ml当たり細胞ペースト1gの比で再懸濁し、そして同容積のガラスビーズ(Sigma社製ガラスビーズ番号G8772)を添加した。次に混合物を30秒間ボルッテックス処理し(1400rpm)、さらに30秒静置した。ボルテックス処理をさらに10回繰り返す。全抽出プロセスを、全期間にわたり5℃に保った。混合物を、次に10,000×gで1分間、遠心分離して可溶性抽出物を収集する。
ニコチニア種の植物葉に由来する三重らせんタンパク質の抽出
好ましくは−20℃で凍結した、実施例17等に由来する葉材料を20mMの酢酸ナトリウムバッファー、pH4.5に、1:10w/wの葉:バッファーの比で投入し、そしてWaring Blender内にてフルスピードで抽出した。
発現及び分泌又は抽出後の可溶性三重らせんタンパク質の検証
実施例12〜17等における発現、及び実施例18〜21等における抽出後の可溶性三重らせんタンパク質、又は実施例16の場合のように、可溶性生成物として発現された三重らせんタンパク質の存在を、細胞物質の遠心分離とその後のSDS−PAGEにより立証した。発現に用いた構築物上に何らかのタグ、例えばHis−タグ又はFlagタグ等が存在する場合には、次にウェスタンブロッティングが適切な抗体、例えば可溶性タンパク質検出用の、ホースラディッシュペルオキシダーゼに結合したモノクロナール抗ポリヒスチジン等と共に利用可能である。
細胞抽出物に沈殿を行うためのpHの選択
実施例18〜19に記載するように、発現宿主細胞を機械的に抽出し、抽出物をpH2からpH8の間の選択したpHでインキュベートした。次に、任意選択で死細胞片を除去した。抽出した細胞ライセートのサンプルを、次に1pH単位の間隔、又は好ましくは0.5pH単位の間隔で様々なpHを選択しながら沈殿pHに調整し、そしてサンプルを4℃で16時間保持した。次に、沈殿物を遠心分離により除去し、そして上清のタンパク質含有量を280nmにおける吸収により見積もった。三重らせん構築物の溶解性の保持について、実施例22に記載するように再度確認した。
可溶性三重らせんタンパク質を保持した、大腸菌由来の発現細胞宿主タンパク質の沈殿
実施例1に記載するように、S.ピオゲネス由来の可溶性コラーゲン様タンパク質を含有する大腸菌から得られたタンパク質を抽出し、その後遠心分離により清透化した同タンパク質をpH2.2に調整し、4℃で16時間放置して沈殿させた。次に、サンプルを15,000×gで30分間遠心分離し、そして三重らせんタンパク質を含有する上清を保持した。
ヒトIII型コラーゲンの反復断片由来の可溶性三重らせんタンパク質を保持した、S.セレビシエ由来の発現細胞宿主タンパク質の沈殿
可溶性三重らせんタンパク質を含有する清透化後の上清を、酢酸又はNaOH溶液を用いてpH5.0に調整し、そして4℃で16時間放置する。得られた沈殿物を10,000×gで30分間遠心分離して除去し、そして上清を保持する。
S.ユシタトス由来の可溶性三重らせんタンパク質を保持した、ニコチニア種由来の発現細胞宿主タンパク質の沈殿
可溶性三重らせんタンパク質を含有する清透化後の上清を、酢酸又はNaOH溶液を用いてpH4.5に調整し、そして4℃で16時間放置する。得られた沈殿物を、10,000×gで30分間遠心分離して除去する。次に、上清を酢酸及びHClでpH2.5に調整し、そしてさらに20時間放置する。10,000×gで30分間遠心分離して溶液を清透化し、そして上清を保持する。
沈殿後に残留する可溶性宿主細胞汚染物質の消化
上記実験で記載するような、酸による沈殿タンパク質の除去後に得られた上清を、下記の条件のうちの任意の1つに基づき調整した。
・pH2.5及びペプシン(0.01mg/ml)で、4℃にて16時間処理し、次に任意選択で、消化物のpHをpH7に調整して終了した。
・pH6.5及びNa EDTA(50mM)及びシステイン(50mM)、パパイン(0.01mg/ml)で、4℃にて16時間処理し、pH3.0及び真菌酸性プロテアーゼXIII型(0.01mg/ml)で、4℃にて16時間処理し、次に任意選択で、消化物のpHをpH7に調整して終了した。pH8.0のトリプシン及びキモトリプシンの両方を、0.01mg/ml、4℃、16時間処理したものに添加し、次に任意選択で消化物のpHをpH4に調整して終了した。
下記の実施例は、本発明の精製工程に従い、またタンパク質の収集、濃縮、及びおそらくは最終ポリッシング、及び精製の各工程に関連する。
硫酸アンモニウム沈殿による三重らせんタンパク質生成物の単離
これまでの実施例で議論したように、酸による沈殿とその後のプロテアーゼ処理により不純物を除去した後の組換え三重らせんタンパク質を含有する分画をプールし、溶液のpHをpH4.0〜7.0に調整し、そして固体の硫酸アンモニウムを添加して、三重らせんタンパク質を沈殿させた。すべての工程は三重らせんの融解温度未満の温度で、好ましくは4℃で実施した。沈殿に必要とされる固体の硫酸アンモニウムの量を添加後、サンプルの遠心分離、沈殿物の目視検査、及びSDS−PAGEによる分析が続いた。S.ピオゲネス等に由来する小型の非動物コラーゲンの場合、35%の飽和硫酸アンモニウムが必要である。
ポリマー沈殿による三重らせんタンパク質生成物の単離
これまでの実験で議論したように、酸による沈殿とその後のプロテアーゼ処理により不純物を除去した後の組換え三重らせんタンパク質を含有する分画をプールし、溶液のpHをpH7.0±1.0に調整し、そしてポリエチレングリコール−4000を添加して、三重らせんタンパク質を40%のストック水溶液から沈殿させた。すべての工程は三重らせんの融解温度未満の温度で、好ましくは4℃で実施した。沈殿に必要とされるポリエチレングリコールの量を添加後、サンプルの遠心分離、沈殿物の目視検査、及びSDS−PAGEによる分析が続いた。S.ピオゲネス等に由来する小型の非動物コラーゲンの場合、10%w/vのポリエチレングリコール−4000が必要である。
得られたタンパク質の純度を図3に示す。
限外濾過による三重らせんタンパク質生成物の単離
これまでの実施例で議論したように、酸による沈殿とその後のプロテアーゼ処理により不純物を除去した後の組換え三重らせんタンパク質を含有する分画をプールし、次に濃縮し、そして10kDaクロスフロー濾過メンブレン装置(Pall Life Sciences)を用いて、20mMのリン酸ナトリウムバッファー、pH8.0に置換した。すべての工程は三重らせんの融解温度未満の温度で、好ましくは4℃で実施した。
吸着による三重らせんタンパク質生成物の単離
これまでの実施例で議論したように、酸による沈殿とその後のプロテアーゼ処理により不純物を除去した後の組換え三重らせんタンパク質を含有する分画をプールし、そして溶液のpHをトリスでpH8.0±0.5に調整した。S.ピロゲネスに由来する三重らせんタンパク質では、次にプールしたサンプルを、荷電基として−CH−N(CHを有する、50mMのトリス/HClバッファー、pH8.0内で事前平衡化したモノ−Qカラム(GE Healthcare)に吸着させた。ローディング後、カラムを5カラムボリュームの平衡化バッファーで洗浄し、次に同一のバッファー内で、NaClを0〜1Mにリニアグラジエントすることにより溶離した。タンパク質を214nmにおける吸収により検出し、そしてSDS−PAGEにより確認した。
下記の実施例は、精製された三重らせんタンパク質が、臨床用途でどのように利用可能であるか、その方法について説明する。
製作−in vivo用途のための細菌コラーゲン様サンプルの調製
精製したコラーゲンタンパク質をバイオメディカル材料として用いる場合には、ほぼ間違いなく、当業者にとって公知の方法を用いて、さらに「ポリッシング」する必要がある。また動物コラーゲンの場合と同様に、医学的用途で使用する前にタンパク質を安定化する必要もあり得る。
この実施例では、20℃で18時間、グルタルアルデヒド蒸気で安定化したS.ピオゲネスのコラーゲンを密閉容器内で凍結乾燥することにより、スポンジを調製する。このアプローチにより、>37℃でも安定なタンパク質スポンジが得られた。収縮温度の上昇は、安定化の程度に依存したが、最高約25℃まで、さらなる安定性を獲得することができた。安定化サンプルの熱安定性を、PBS内のサンプルを用いて、示差走査熱量測定(DSC)により求めた。
細胞付着を評価する場合、安定化したPBS洗浄済みのCLサンプルを、MEM中に溶解した120μg/mlのペニシリン及び200μg/mlのストレプトマイシンで2時間処理し、次に1%のNEAA及び10%のFCSで補充されたMEMに溶解したサンプル毎に、1×10個のL929細胞を96ウェルプレートに播種した。サンプルをPBSで2回リンスした後、3時間及び16時間経過時点で付着を評価した。細胞生存率を、Live/Dead(登録商標)生存率/細胞毒性キット(Molecular Probes)アッセイを用いて16時間後に37℃で試験した。
これらのデータからコラーゲンスポンジ材料は、小型の繊維とより大型の凝集物との混合物であることが明らかとなった。より小型の繊維及び凝集物のいずれに対しても、3時間の時点でL929細胞について良好な付着が認められた。16時間後、L929細胞はLive/Dead(商標)アッセイにおいて優秀な生存率を示す。拡散範囲はこの時点では非常に限定されており、「白紙状態」の観察所見と一致する。GA安定化マトリックスは、わずかに自己蛍光的である(図4)。

Claims (17)

  1. 非哺乳動物の宿主細胞培養抽出物又はホモジネートに含まれる、組換え発現されたヒドロキシル化されていない三重らせんタンパク質を精製するための方法であって、
    (i)酸性条件下で、かつ三重らせんタンパク質が熱的に安定な状態を保つ温度で、三重らせんタンパク質から宿主細胞物質を沈殿させ、その後に
    (ii)沈殿させた宿主細胞培養抽出物又はホモジネート中に存在する宿主細胞物質を、プロテアーゼを添加することにより消化し、ここにおいて、前記三重らせんタンパク質が前記消化に対して耐性である、そして、
    (iii)精製した三重らせんタンパク質を収集する
    工程を含み、
    ここにおいて、前記三重らせんタンパク質が、コラーゲン又はコラーゲン様タンパク質であり;そして、
    ここにおいて、前記三重らせんタンパク質が、少なくとも工程(i)から(ii)の全体にわたり可溶性の状態を保つ、
    方法。
  2. 前記三重らせんタンパク質が、工程(i)から(iii)の全体にわたり可溶性の状態を保つ、請求項1に記載の方法。
  3. 前記三重らせんタンパク質が、少なくとも80%、90%、95%、97%又は98%の純度である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記消化が、酸性プロテアーゼを用いて実施される、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記宿主細胞が、細菌、酵母菌、又は植物の宿主細胞である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 酸性条件は、7未満のpHを意味する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記沈殿させる工程が、前記組換え三重らせんタンパク質の融解温度(TM)よりも少なくとも10℃低い温度で実施される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記沈殿させる工程と前記消化する工程との間に、沈殿させた宿主細胞物質から前記三重らせんタンパク質を物理的に分離する追加の中間の分離工程をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 中間の前記分離工程が、遠心分離、濾過、クロスフロー濾過、又は沈降のうちの1つ又は複数より選択される、請求項8に記載の方法。
  10. (i) 前記pHが2から4の間であり、及び前記宿主細胞が細菌宿主細胞である;
    (ii)前記pHが4から6の間であり、及び前記宿主細胞が酵母菌宿主細胞である;あるいは、
    (iii)前記pHが2から4.5の間であり、及び前記宿主細胞が植物宿主細胞である、
    請求項6に記載の方法。
  11. タンパク質分解作用に対して不安定なタンパク質よりも、タンパク質分解作用に対して安定なタンパク質が選択的に精製される、請求項4〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 精製した三重らせんタンパク質を収集する工程が、透析濾過又は沈殿によって前記三重らせんタンパク質を濃縮する、というさらなる工程を含む、請求項1に記載の方法。
  13. 前記三重らせんタンパク質の沈殿が、硫酸アンモニウムの添加により、pH調整又は温度調整により、及び/又はポリマー(例えばポリエチレングリコール)の使用により達成される、請求項12に記載の方法。
  14. 収集された前記三重らせんタンパク質が、安定化剤により安定化される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記三重らせんタンパク質が、(Gly−X−Y)反復モチーフを含み、式中nは、5から600の間であり、そして、X及びYは独立して、任意の天然又は非天然のイミノ酸又はアミノ酸である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記三重らせんタンパク質が、ヒトコラーゲンである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記三重らせんタンパク質の配列が、細菌、酵母菌、植物又は昆虫に由来のコラーゲン様タンパク質である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
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