JP6589253B2 - 粘着シート - Google Patents
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Description
この電子部品貼付用アースラベルの具体的な構成としては、粘着性組成物からなる粘着剤層に、帯電防止性及び導電性を付与するため、銅粉、銀粉、ニッケル粉、アルミニウム粉等の金属粉等の導電性物質を分散させた構成が採用されている。
例えば、特許文献1には、導電性支持体層上に、カーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルから選ばれる一種以上の導電性物質を分散させた導電性粘着剤からなる導電性粘着剤層を設けた導電性複合材が開示されている。
また、特許文献2には、樹脂フィルムの一面に網目状の金属蒸着膜を設け、この金属蒸着膜上に、金属粒子を分散させた導電性粘着剤からなる導電性粘着剤層を有する導電性粘着テープが開示されている。
〔1〕基材と、粘着性組成物から形成された粘着剤層と、がこの順で積層され、
更に前記粘着剤層上に、カーボンナノチューブを含む材料から形成され、且つ複数の間隙を有する導電層が積層した構成を有し、
前記導電層側の表面を被着体に貼付して測定した粘着力が4.5N/25mm以上である、粘着シート。
〔2〕前記導電層が有する複数の間隙に、前記粘着剤層が形成された構成を有する、上記〔1〕に記載の粘着シート。
〔3〕前記導電層の表面内において、カーボンナノチューブが一方向に優先的に整列した構造を有する、上記〔1〕又は〔2〕に記載の粘着シート。
〔4〕前記導電層が、複数のカーボンナノチューブが集合した繊維状物によって形成された層である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の粘着シート。
〔5〕前記繊維状物の太さの平均が1〜300μmである、上記〔4〕に記載の粘着シート。
〔6〕前記導電層の全光線透過率が70〜100%である、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の粘着シート。
〔7〕前記粘着性組成物の酸価が6.0mgKOH/g以上である、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の粘着シート。
〔8〕前記基材の前記粘着剤層側の面とは反対側に、印刷又は印字が可能な表面を有する、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の粘着シート。
〔9〕電子部品貼付用アースラベルとして用いる、上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の粘着シート。
また、例えば「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の双方を示す語として用いており、他の類似用語についても同様である。
本発明の粘着シートは、基材と、粘着性組成物から形成された粘着剤層と、がこの順で積層され、更に前記粘着剤層上に、カーボンナノチューブを含む材料から形成され、且つ複数の間隙を有する導電層が積層した構成を有する。
図1は、本発明の粘着シートの構成の一例を示す断面模式図である。
図1(a)に示された粘着シート1は、基材11、粘着剤層12、及び導電層13の順で積層した構成を有する。図1(a)に示すように、導電層13は、複数の間隙13aを有する層である。
図1(b)に示す粘着シート2のような構成であれば、被着体と粘着剤層との接着面積が大きく、より高い粘着力を発現することができる。また、導電層13が粘着剤層12に埋め込まれた構成であるため、導電層13を設けたことによる粘着シートの厚さの増加が少ない。
そのため、図1(a)に示す粘着シート1のような構成であっても、被着体との貼付時には、高い粘着力を発現させることができる。
当該剥離シートは、導電層13、及び導電層13が有する複数の間隙13aに形成された粘着剤層12aと剥離可能となるように貼付され、導電層13及び間隙13aに形成された粘着剤層12aを保護する機能を有する。
以下、本発明の粘着シートの各構成について説明する。
本発明の粘着シートが有する基材としては、本発明の効果を奏する範囲で、用途に応じて、各種材料から構成された基材を適宜選択することができる。
具体的な基材としては、例えば、金属等の導電性材料から構成された導電性基材を用いてもよく、絶縁性材料から構成された絶縁性基材を用いてもよい。
なお、本発明の一態様で用いる基材は、さらに紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が含有されていてもよい。
また、本発明の一態様で用いる基材は、単層の基材であってもよく、異なる2層以上を積層した複層の基材であってもよい。
なお、プラスチックフィルム又はシートは、未延伸でもよいし、縦又は横等の一軸方向あるいは二軸方向に延伸されていてもよい。
また、プラスチックフィルム又はシートは、単層フィルム又はシートであってもよく、2層以上の積層体である複層フィルム又はシートであってもよい。
また、上記導電性基材を構成する金属としては、例えば、白金、金、銀、銅、パラジウム、タングステン、アルミニウム、ニッケル、クロム、鉄、マグネシウム、亜鉛、スズ等の単一の金属又は2種以上の金属を組み合わせた合金が挙げられる。
なお、本発明の一態様で用いる基材としては、粘着剤層側の面とは反対側に、印刷又は印字が可能な表面(以下、「印刷印字表面」ともいう)を有する基材が好ましく、印刷印字表面を有するプラスチックフィルム又はシートがより好ましい。
印刷印字表面を有する基材を用いることで、この印刷印字表面上に、電子部品の製造番号の情報等を印字又は印刷することができ、電子部品の管理に役立つ。
なお、印刷又は印字が可能な表面を形成可能な形成材料から構成された基材を用いる場合には、当該基材の表面上に、印刷印字コート膜を形成しなくてもよいが、より印刷印字適性を向上させる観点から、印刷印字コート膜を形成してもよい。
また、印字印刷コート膜形成用組成物は、さらに顔料、着色剤、制震剤、可塑剤、界面活性剤、分散剤、凍結溶融安定剤、中和剤、増粘剤、濡れ剤、消泡剤、滑り剤、防錆剤、帯電防止剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の汎用添加剤が含まれていてもよい。
酸化法としては、特に限定されず、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、クロム酸酸化(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。
また、凹凸化法としては、特には限定されず、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選定されるが、粘着剤層との密着性の向上効果や操作性の観点から、コロナ放電処理法が好ましい。
本発明の粘着シートが有する粘着剤層は、粘着性組成物から形成された層である。
粘着剤層の厚さは、用途等に応じて適宜調整されるが、好ましくは1〜100μm、より好ましくは3〜60μm、更に好ましくは5〜40μmである。
粘着剤層の厚さが1μm以上であれば、被着体に対し良好な粘着力が得られる。
一方、粘着剤層の厚さが100μm以下であれば、生産性の面で有利であり、取扱い易い粘着シートとなる。
粘着性組成物の酸価が6.0mgKOH/g以上であれば、当該粘着性組成物から形成される粘着剤層は高い粘着力が発現し易くなるため好ましい。また、形成される粘着剤層の厚さを薄くしても、高い粘着力を発現させることができる。さらに、粘着力を補う粘着付与剤を使用しない又は粘着付与剤の配合量を減らしても、高い粘着力が発現できると共に、粘着付与剤の配合量を減らすことで、形成される粘着剤層において、粘着付与剤に起因したブリードアウトの発生を抑制し、被着体の汚染を防止することができる。
なお、粘着性組成物の酸価としては、上限値の制限は特に無いが、好ましくは100mgKOH/g以下、より好ましくは90mgKOH/g以下、更に好ましくは85mgKOH/g以下である。
本明細書において、上記の粘着性組成物の酸価は、実施例に記載の方法により測定された値である。
金属粒子を分散させた粘着剤層を有する粘着シートや、粘着剤層の表面上に金属層を設けた粘着シートにおいては、粘着剤層の形成材料である粘着性組成物は、酸価が低くなるように、当該粘着性組成物中に含まれる樹脂成分や添加剤の種類を選択する必要がある。しかし、酸価が低い粘着性組成物から形成された粘着剤層は、粘着力が低い傾向にある。
一方、本発明の粘着シートは、粘着剤層上に、酸化しにくいカーボンナノチューブから形成された導電層を積層しており、導電層と接触する粘着剤層の変色の問題は生じ難い。
そのため、本発明の粘着シートが有する粘着剤層は、形成材料の選択に制限は無く、酸価が高い粘着性組成物も選択することができる。その結果、高い粘着力を有する粘着シートとすることができる。
また、本発明においては、粘着性に優れる、酸価の高い粘着性組成物を使用することができるため、形成される粘着剤層の厚さを薄くしても、高い粘着力を発現させることができる。
以下、粘着剤層の形成材料である粘着性組成物に含まれる各成分について説明する。
本発明において、樹脂成分とは、所定の繰り返し単位を有し、質量平均分子量(Mw)が1万以上の樹脂を意味する。
粘着性組成物に含まれる樹脂の含有量は、当該粘着性組成物中の有効成分の全量(100質量%)に対して、通常40〜100質量%、好ましくは45〜99.9質量%、より好ましくは50〜99.5質量%、更に好ましくは60〜99.0質量%、より更に好ましくは70〜98.0質量%である。
これらの中でも、樹脂成分が、アクリル系樹脂、ポリイソブチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、及びシリル化ウレタン樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を含むことが好ましい。
本発明の一態様で用いるアクリル系樹脂としては、例えば、直鎖、分岐鎖のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体、環状構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む重合体等が挙げられる。
また、これらの重合体が共重合体である場合、共重合の形態としては、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
なお、モノマー(p1’)のアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。
なお、これらのモノマー(p1’)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、粘着特性が良好な粘着性組成物とする観点から、モノマー(p1’)としては、ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、n−ブチル(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。
具体的な当該官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
これらのモノマー(p2’)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、モノマー(p2’)としては、優れた粘着特性を有する粘着性組成物とする観点から、水酸基含有モノマー及びカルボキシ基含有モノマーを含むことが好ましく、得られる粘着性組成物の酸価を増加させ、粘着特性をより向上させた粘着性組成物とする観点から、カルボキシ基含有モノマーを含むことがより好ましい。
そのため、粘着性組成物の酸価の増加の原因ともなり得る、カルボキシ基含有モノマーに由来の構成単位を有するアクリル系樹脂も使用することができる。当該アクリル系樹脂を用いることで、粘着性組成物の粘着性をより向上させることができる。
本発明の一態様で用いるポリイソブチレン系樹脂(以下、「PIB系樹脂」ともいう)としては、主鎖又は側鎖にポリイソブチレン骨格を有する樹脂であり、具体的には、下記構成単位(a)を有する樹脂である
PIB系樹脂の質量平均分子量が2万以上であれば、粘着性組成物の凝集力が十分に得られ、粘着力を十分に向上させることができる。一方、PIB系樹脂の質量平均分子量が100万以下であれば、得られる粘着性組成物及び当該粘着性組成物から形成された粘着剤層の一部が導電層の間隙に侵入し易くなる。
イソブチレンからなる構成単位の含有量は、PIB系樹脂の全構成単位(100質量%)に対して、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%である。
これらのPIB系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
より具体的には、質量平均分子量が27万〜60万のPIB系樹脂(a1)(以下、「PIB系樹脂(a1)」ともいう)と、質量平均分子量が5万〜25万のPIB系樹脂(a2)(以下、「PIB系樹脂(a2)」ともいう)とを併用することが好ましい。
質量平均分子量の高いPIB系樹脂(a1)を用いることで、得られる粘着性組成物から形成される粘着剤層の耐久性及び耐候性を向上させると共に、粘着力を向上させることもできる。
また、質量平均分子量の低いPIB系樹脂(a2)を用いることで、PIB系樹脂(a1)と良好に相溶して、適度にPIB系樹脂(a1)を可塑化させることができ、粘着剤層の被着体に対する濡れ性を高め、粘着物性、柔軟性等を向上させることができる。
PIB系樹脂(a1)の質量平均分子量が27万以上であれば、粘着性組成物の凝集力を十分に向上させることができ、粘着力を向上させることができる。また、被着体への汚染の懸念も解消し得る。
一方、PIB系樹脂(a1)の質量平均分子量が60万以下であれば、粘着性組成物の凝集力が高くなりすぎることにより柔軟性や流動性の低下という弊害を避けることができ、得られる粘着性組成物からなる粘着剤層の被着体との濡れを良好にすることができる。また、粘着性組成物を調製する際、溶媒に対する溶解性を良好とすることができる。さらに、得られる粘着性組成物及び当該粘着性組成物から形成された粘着剤層の一部が導電層の間隙に侵入し易くなる。
PIB系樹脂(a2)の質量平均分子量が5万以上であれば、粘着性組成物から形成した粘着剤層において、PIB系樹脂(a2)が低分子成分として分離して、被着体を汚染する弊害を防ぐことができる。また、高温下におけるアウトガス発生量を低下させることができる。
一方、PIB系樹脂(a2)の質量平均分子量が25万以下であれば、PIB系樹脂(a1)を十分に可塑化させることができ、被着体との濡れを良好にすることができる。
PIB系樹脂の全量(100質量%)に対するPIB系樹脂(a1)及び(a2)の合計含有量は、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは85〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%、より更に好ましくは100質量%である。
PIB系樹脂(a2)の含有割合が5質量部以上であれば、PIB系樹脂(a1)を十分に可塑化させることができ、得られる粘着性組成物から形成された粘着剤層の被着体との濡れを良好とすることができ、粘着力も向上させることができる。
また、PIB系樹脂(a2)の含有割合が55質量部以下であれば、凝集力を十分に向上させることができるため、形成される粘着剤層に対して優れた粘着力、保持力、及び耐久性を付与することができる。
本発明の一態様で用いるウレタン系樹脂としては、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に、ウレタン結合及び尿素結合の1つ以上を有する重合体であれば、特に制限されない。
具体的なウレタン系樹脂としては、例えば、ポリオールと多価イソシアネート化合物とを反応して得られるウレタン系プレポリマー(U1)や、当該ウレタン系プレポリマー(U1)に対して、更に鎖延長剤を用いた鎖延長反応を行い得られるウレタン系ポリマー(U2)等が挙げられる。
これらのポリオールの中でも、入手の容易性、反応性等の観点から、ジオールが好ましい。
これらのジオールの中でも、さらに鎖延長剤との反応を行う場合、当該反応においてゲル化を抑制する観点から、質量平均分子量1000〜3000のグリコールが好ましい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
なお、これらの多価イソシアネート化合物は、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含有させたイソシアヌレート型変性体であってもよい。
脂肪族ジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール等のアルカンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコールが挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン等が挙げられる。
ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、例えば、ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン等が挙げられる。
本発明の一態様で用いるシリル化ウレタン樹脂としては、主鎖又は側鎖にウレタン結合及び/又は尿素結合を有するウレタン樹脂の主鎖の両末端に下記一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基を有する樹脂が好ましい。
なお、シリル化ウレタン樹脂の主鎖としては、上述のウレタン樹脂と同じ構造のものが挙げられる。
X1、X2、R1が置換基を有する場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、及びアミノ基等が挙げられる。
また、一般式(1)中、X1、X2がアルコキシ基である場合、当該アルコキシ基の炭素数は、粘着力の向上の観点から、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜3である。
本発明の一態様で用いる粘着性組成物は、粘着性をより向上させる観点から、さらに粘着付与剤を含有してもよい。
なお、本発明において、「粘着付与剤」とは、上述の樹脂成分と混合することが可能で、当該樹脂成分の粘着性能を向上させる機能を有する、質量平均分子量(Mw)が1万未満のオリゴマー領域の化合物を意味する。
なお、粘着付与剤の軟化点の値は、JIS K 2531に準拠して測定した値である。
なお、粘着付与剤の含有量が多くなる程、得られる粘着性組成物の粘着特性は向上する。一方、粘着付与剤の含有量が少なくなる程、形成される粘着剤層において、粘着付与剤に起因したブリードアウトの発生を抑制し、被着体の汚染を防止することができる。
当該含有量が5質量部以上であれば、得られる粘着性組成物に対して更に粘着力を向上させることができる。また、当該含有量が60質量部以下であれば得られる粘着性組成物から形成される粘着剤層に十分な柔軟性を付与することができる。
樹脂成分として、官能基を有する樹脂成分(例えば、官能基含有モノマー(p2’)に由来する構成単位(p2)を有するアクリル系樹脂等)を用いる場合、粘着力の向上の観点から、粘着性組成物中に、さらに架橋剤を配合することが好ましい。
架橋剤は、当該樹脂成分が有する官能基と反応して、樹脂同士を架橋するものである。
樹脂成分として、シリル化ウレタン樹脂を用いる場合、シリル化ウレタン樹脂のシリル基同士の架橋反応を促進させ、粘着力を向上させる観点から、シリル化ウレタン樹脂と共に、硬化促進剤を配合することが好ましい。
本発明の一態様で用いる粘着性組成物は、表面抵抗率をより低くした粘着シートを得る観点から、さらにカーボンナノ材料を含有してもよい。
本発明で用いるカーボンナノ材料は、六員環配列構造を主構造とするグラファイトシートを含む物質からなるものであるが、グラファイト構造中にホウ素や窒素等の炭素以外の元素を含有していてもよく、カーボンナノ材料が他の物質を内包している形態であってもよく、さらに、カーボンナノ材料が他の導電性物質に修飾されている形態であってもよい。
これらのカーボンナノ材料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、カーボンナノ材料としては、カーボンナノチューブが好ましい。
好適に使用し得るカーボンナノチューブについては、後述の導電層の形成材料として用いられるカーボンナノチューブの態様と同じである。
当該分散液の溶媒としては、水又は有機溶媒が挙げられる。
カーボンナノ材料を含む分散液の調製方法としては、例えば、上記溶媒中にカーボンナノ材料を添加し、超音波等により振動を与えて、カーボンナノ材料を溶媒中に分散させて得る方法等が挙げられる。
カーボンナノ材料の含有量が0.01質量部以上であれば、得られる粘着性組成物から形成する粘着剤層の表面抵抗率をより効果的に低下させることができる。
一方、カーボンナノ材料の含有量が15質量部以下であれば、得られる粘着性組成物の粘着特性を良好に保つことができる。
本発明の一態様で用いる粘着性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらにその他の添加剤を含有してもよい。
その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、樹脂安定剤、充填剤、顔料、増量剤、赤外線吸収剤、近赤外線吸収剤、防腐・防かび剤、防錆剤、可塑剤、高沸点溶剤等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の粘着シートが有する導電層は、カーボンナノチューブを含む材料から形成され、且つ複数の間隙を有する層である。
本発明で用いる「カーボンナノチューブ」とは、炭素六員環構造を主構造とするグラファイト(黒鉛)シートが円筒状に閉じた構造を有する炭素構造体であって、マクロ的には針状の素材であるが、ミクロ的には中空円筒形状を呈する炭素多面体を指し、導電性を有するものである。
本発明の粘着シートは、導電材料としてカーボンナノチューブを使用しているため、従来の金属を用いた粘着シートに比べて、軽量化を図ることができる。
導電層中に含まれるカーボンナノチューブの含有量は、当該導電層の全量(100質量%)に対して、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%、より更に好ましくは98〜100質量%である。
一方、本発明の粘着シートは、被着体に貼付する際の圧力によって、粘着剤層の一部が導電層の複数の間隙を介して被着体と密着する態様であるため、優れた粘着力及び導電性をバランス良く維持することができ、特にアースラベルとしての役割を担うこともできる。
なお、本明細書において、全光線透過率は、JIS K7361に準拠して測定された値を意味し、より具体的には、実施例に記載の方法で準拠して測定された値を意味する。
この導電層の全光線透過率の値は、導電層が有する間隙の割合を間接的に示しており、当該値が大きい程、間隙の割合が多いと判断することができる。
そのため、全光線透過率が70%以上であれば、導電層の単位面積当たりのカーボンナノチューブが占める面積が減少するために、多くの間隙が形成された導電層となる。その結果、被着体との貼付時には、この間隙を介して粘着剤層が被着体と密着するため、多くの間隙が形成された導電層を用いることで、粘着力をより向上させた粘着シートとすることができる。
一方、全光線透過率が98%以下であれば、導電性に優れた粘着シートとすることができる。
式(F1):[導電層の積層による質量増加分]=([粘着シートの質量]−[標準粘着シートの質量])×100
なお、上記式(F1)中、「粘着シートの質量」及び「標準粘着シートの質量」は、対象となる「粘着シート」及び「標準粘着シート」を、それぞれ100mm×100mmの正方形に切断したシートの質量を指す。
式(F2):[導電層の積層による厚さ増加分]=[粘着シートの厚さ]−[標準粘着シートの厚さ]
このような構造を有する導電層の表面内には、複数の間隙が偏り無く存在するため、貼付面の全面において均一に優れた粘着力を有する粘着シートとすることができる。
本明細書において、「カーボンナノチューブが一方向に優先的に整列した」状態とは、カーボンナノチューブが、導電層の表面内の一方向と略平行となるように整列した状態を意味する。例えば、カーボンナノチューブの長軸が、導電層の表面内の一方向に略平行となるように整列した状態が該当する。
また、「優先的に整列した」状態とは、当該整列した状態が主流であることを意味する。例えば、上記のように、カーボンナノチューブの長軸が、導電層の表面内の一方向(P)と略平行になるように整列した状態が主流である場合、導電層の表面内の一部のカーボンナノチューブの長軸が、導電層の表面内の一方向(P)とは略平行ではない状態で整列していてもよい。
・工程(1):化学気相成長法(CVD法)によって、表面に触媒を塗布したシリコンウエハ等の基板上に、カーボンナノチューブのフォレストを作製する。
・工程(2):工程(1)で得たカーボンナノチューブのフォレストの端部をよじり、一方向に引き出して、基板から引き離し、シート状のカーボンナノチューブシートを得る。
当該方法により、基板の触媒上に、基板の水平面に対して垂直方向に配向するように成長したカーボンナノチューブのフォレストを形成することができる。
なお、当該カーボンナノチューブシートは、一方向に引き出されて得られたものであるため、表面内においてカーボンナノチューブが一方向に優先的に整列した構造を有する。
このような繊維状物によって導電層が構成されることで、単位面積当たりのカーボンナノチューブが占める面積が減少するために、多くの間隙が形成された導電層となる。被着体との貼付時において、この間隙を介して粘着剤層が被着体と密着するため、多くの間隙が形成された導電層を用いることで、粘着力をより向上させた粘着シートとすることができる。
なお、本明細書において、「繊維状物の太さ」とは、当該繊維状物の外側の円周の直径(もしくは長径)のことを指す。
また、「繊維状物の太さの平均」の値は、任意に選択した10本の繊維状物の太さを測定し、これら10本の平均値を「繊維状物の太さの平均」とみなすこともできる。
本明細書において、「バンドリング処理」とは、近接する複数のカーボンナノチューブが束の状態となるようにする処理のことを指す。このバンドリング処理を施すことで、上述の繊維状物を容易に形成することができる。
バンドリング処理で用いる常温で液体の物質としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類;等が挙げられる。
これらの物質は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
常温で液体の物質の粒子によりバンドリング処理を行う場合、当該粒子の平均粒径としては、好ましくは5nm〜200μm、より好ましくは7.5nm〜100μm、更に好ましくは10nm〜50μmである。
導電層の厚さとしては、用途等に応じて適宜調整されるが、好ましくは0.01〜100μm、より好ましくは0.05〜75μmである。
本発明の粘着シートは、導電層上に、さらに剥離シートを積層した構成としてもよい。
剥離シートとしては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離シート用の基材上に剥離剤を塗布した剥離シート等が挙げられる。
なお、本発明の粘着シートをハードディスクドライブ(HDD)の部品に貼付するためのアースラベルとしての用途に使用する場合には、剥離剤としては、非シリコーン系樹脂を用いることが好ましい。
本発明の粘着シートは、基材と粘着剤層との密着性を向上させる観点から、基材と粘着剤層との間に、さらにプライマー層を設けてもよい。
プライマー層は、樹脂成分を含むプライマー層形成用組成物から形成することができる。
当該樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン系樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられる。
また、プライマー層形成用組成物には、さらに充填材、可塑剤、架橋剤、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の汎用添加剤が含まれていてもよい。
次に、本発明の粘着シートの製造方法について説明する。
本発明の粘着シートの製造方法としては、特に制限はなく、例えば、基材の一方の面上に、樹脂成分等の各成分を含有する粘着性組成物を直接塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を加熱乾燥して粘着剤層を形成した後、形成した粘着剤層上に、別に作製した導電層を積層する方法が挙げられる。
また、本発明の粘着シートの別の製造方法としては、基材の一方の面上に粘着性組成物の溶液を直接塗布して塗膜を形成した後、導電層のシートを当該塗膜上に積層して、導電層が積層した状態で塗膜を加熱乾燥して粘着剤層を形成する方法であってもよい。
当該有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、n−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
なお、これらの有機溶媒は、樹脂成分の合成時に使用された有機溶媒をそのまま用いてもよいし、該粘着剤溶液を均一に塗布できるように、樹脂成分の合成時に使用された以外の有機溶媒を用いてもよい。
本発明の一態様の粘着シートについて、導電層側の表面を被着体に貼付して測定した粘着力としては、4.5N/25mm以上であり、好ましくは6.0N/25mm以上、より好ましくは8.0N/25mm以上、更に好ましくは10.0N/25mm以上であり、また、好ましくは50N/25mm以下、より好ましくは40N/25mm以下である。
なお、本明細書において、上記粘着力の値は、実施例に記載の方法で測定された値を意味する。
なお、本明細書において、粘着シートの表面抵抗率の値は、実施例に記載の方法で測定された値を意味する。
なお、本明細書において、粘着シートの全光線透過率の値は、剥離シートを取り除いた、被着体に貼付する構成の粘着シートに対して、JIS K7361に準拠して測定した値であって、具体的には実施例に記載の方法で測定された値を意味する。
本発明の粘着シートが有する基材、粘着剤層、及び導電層からなる積層体について、当該積層体の被着体に貼付する側の被着面の面積1m2当たりの質量としては、好ましくは8〜150g/m2、より好ましくは10〜120g/m2、更に好ましくは15〜100g/m2である。
本発明の粘着シートを薄膜化が要求される用途に使用する場合における、当該粘着シートの被着体に貼付時の総厚としては、好ましくは120μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは85μm以下である。
なお、「当該粘着シートの被着体に貼付時の総厚」とは、剥離シートを取り除いた、被着体に貼付する構成の粘着シートの総厚を意味する。
本発明の一態様の粘着シートは、例えば、コンピューター、通信機器等の電子機器や、収納容器の電磁遮蔽材、電気部品等の接地線、発火防止材等の接合に用いられる電子部品貼付用アースラベル;電極、導通材、電子部品の保護、保持又は搬送用粘着シート;光学用部品の保護用粘着シート又は構成部材;被着体への帯電防止性の付与のための粘着シート;塵芥除去用粘着シート;印刷ラベル;封緘用粘着テープ;固定用粘着テープ;気密用粘着テープ;建築物又は輸送機器の部材の保護用粘着シート;意匠性付与用粘着シート;等として用いることができる。
なお、本発明の粘着シートは、優れた粘着力を有すると共に、表面抵抗率が低く導電性に優れ、さらに耐変色性も良好である。
そのため、本発明の粘着シートは、電子部品貼付用アースラベルとして好適に用いることができる。
図2では、本発明のアースラベル3を、アース対象である導電体の電子部品15と、アース先である筺体16との双方にまたがるように貼付して使用する態様が示されている。アース対象の電子部品15に帯電した静電気等は、導電層13を介して、アース先の筺体16へ放電され、電子部品15に帯電した静電気等を除去することができる。
なお、図2に示されるように、アースラベル3を貼付後において、導電層13が有する複数の間隙13aには粘着剤層12が存在し被着体である電子部品15及び筺体16と接触する。そのため、アースラベル3は、電子部品15及び筺体16と十分な保持力で接着される。
アースラベルを構成する各層中にシリコーン系化合物が含まれていると、当該シリコーン系化合物は、徐々に気化し、当該アースラベルを貼付した電気部品の電気接点部付近で発生するアーク等により、電気接点部の表面等に堆積し、微小なシリコーン化合物層を形成する。
このシリコーン化合物層の堆積は、電気部品の導電不良等の発生原因ともなり、特に、当該シリコーン化合物層が、HDD内の磁気ヘッドやディスク表面等にも堆積すると、ハードディスクの読み取りや書き込み不良を引き起こし易くなる。
そのため、本発明のアースラベルを、HDD内の部品の貼付用途に使用する場合には、当該アースラベルを構成する各層におけるシリコーン系化合物の含有量は、極力少ない程好ましい。
下記の装置及び条件にて測定し、標準ポリスチレン換算にて求めた値である。
装置名:「HLC−8220GPC」(東ソー株式会社製)
カラム:「TSKgelGMHXL」、「TSKgelGMHXL」、及び「TSKgel2000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
展開溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:80μl
測定温度:40℃
流速:1.0mL/min
検出器:示差屈折計
対象となる粘着性組成物から形成した粘着剤層を0.3g(固形分)を正確に秤量しながら採取し、トルエンを加えて、固形分濃度1質量%の粘着性組成物の溶液を調製した。
次いで、調製した当該粘着性組成物の溶液に対して、指示薬として、フェノールフタレインのアルコール溶液を2〜3滴加えた後、0.1N水酸化カリウムのアルコール溶液で滴定した。溶液が赤色となった時を終点とし、このときの滴定量と試料質量から、対象となる粘着性組成物の酸価(mgKOH/g)を算出した。
導電層を設けなかった以外は、対象となる粘着シートと同様の方法で、基材/粘着剤層/剥離シートから構成された標準粘着シートを別途作製した。
そして、対象となる、基材/粘着剤層/導電層/剥離シートから構成された粘着シートと、上記標準粘着シートとを、それぞれ100mm×100mmの正方形に切断し、質量を測定した。
そして、下記式(F1)より、導電層による質量増加分(単位:g/m2)を算出した。
式(F1):[導電層の積層による質量増加分]=([粘着シートの質量]−[標準粘着シートの質量])×100
導電層を設けなかった以外は、対象となる粘着シートと同様の方法で、基材/粘着剤層/剥離シートから構成された標準粘着シートを別途作製した。
そして、対象となる、基材/粘着剤層/導電層/剥離シートから構成された粘着シートの厚さと、上記標準粘着シートの厚さとを、定圧厚さ測定器(株式会社テクロック製、製品名「PG20J」)を用いて測定した。
その上で、下記式(F2)より、導電層の積層による厚さ増加分を算出した。
式(F2):[導電層の積層による厚さ増加分]=[粘着シートの厚さ]−[標準粘着シートの厚さ]
粘着剤層に積層する前のカーボンナノチューブ(以下、「CNT」ともいう)から構成された導電層を光学顕微鏡で観察し、当該導電層を構成する複数のCNTが集合した繊維状物を無作為に10本抽出した。抽出した10本の繊維状物の太さをそれぞれ測定し、その平均値を算出した。
ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、製品名「NDH2000」)を用いて、JIS K7361に準拠して、導電層及び粘着シートの全光線透過率を測定した。
なお、粘着シートの全光線透過率は、剥離シートを除去した、基材/粘着剤層/導電層からなる積層体(比較例1では、基材/粘着剤層からなる積層体)を試験片として測定した。
対象となる粘着シートを5mm×300mmの大きさに切断したものを試験片とし、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、当該試験片から剥離シートを除去し、表出した導電層側の表面を、被着体であるステンレス鋼板(SUS304、360番研磨)に貼付し、同じ環境下で24時間静置した。
24時間静置後に、JIS Z0237:2000に準拠して180°引き剥がし法により、引っ張り速度300mm/分にて、対象となる粘着シートの粘着力を測定した。
対象となる粘着シートを20mm×40mmの大きさに切断したものを試験片とし、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、1週間静置した。
静置後に、低抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、製品名「ロレスタGP MCP−T610型」)を用いて、JIS−K7194に準拠し、試験片から剥離シートを除去した際に、表出した粘着剤層及び導電層側の表面に対して、表面抵抗率を測定した。表面抵抗率は3回測定し、この平均値を対象となる粘着シートの表面抵抗率とした。
対象となる粘着シートを20mm×40mmの大きさに切断したものを試験片とし、60℃の環境下で、1週間静置した。静置後に導電層の変色を目視で観察し、以下の基準で粘着シートの耐変色性を評価した。
A:変色は無く、耐変色性に優れる。
F:変色が見られ、耐変色性が劣る。
表1に示す種類及び配合量(固形分比)の樹脂成分及び各種添加剤を添加し、希釈溶媒として、酢酸エチル又はトルエンを加えて、撹拌し、表1に記載の固形分濃度の粘着性組成物(I)〜(VI)をそれぞれ調製した。なお、粘着性組成物(I)〜(VI)の酸価についても、それぞれ測定し、結果を表1に示す。
粘着性組成物(I)〜(VI)の調製に使用した表1に記載の樹脂成分及び各種添加剤の詳細は以下のとおりである。
・アクリル系樹脂(1):n−ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AAc)に由来する構成単位を有するアクリル系共重合体(BA/AAc=90.0/10.0(質量比)、Mw=60万)を含む、固形分濃度33.6質量%の酢酸エチル溶液。
・アクリル系樹脂(2):n−ブチルアクリレート(BA)、メチルアクリレート(MA)、アクリロイルモルホリン(ACMO)、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)に由来する構成単位を有するアクリル系共重合体(BA/MA/ACMO/HEA=80.0/5.0/14.0/1.0(質量比)、Mw=100万)を含む、固形分濃度30質量%の酢酸エチル溶液。
・アクリル系樹脂(3):n−ブチルアクリレート(BA)、メチルメタクリレート(MMA)、酢酸ビニル(VAc)、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)に由来する構成単位を有するアクリル系共重合体(BA/MMA/VAc/HEA=80.0/10.0/9.0/1.0(質量比)、Mw=100万)を含む、固形分濃度15質量%の酢酸エチル溶液。
・PIB系樹脂(1):Mwが34万のポリイソブチレン系樹脂(BASF社製、製品名「オパノールB50」)。
・PIB系樹脂(2):Mwが20万のポリイソブチレン系樹脂(BASF社製、製品名「オパノールB30」)。
・ウレタン系樹脂:シリル化ウレタン樹脂(ポリオキシプロピレンジオール/N−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン/メチルアクリレート=96.0/2.5/1.5(質量比)、Mw=5万)を含む、固形分濃度70質量%の酢酸エチル溶液。
・架橋剤(1):東ソー株式会社製、製品名「コロネートL」、イソシアネート系架橋剤、固形分濃度=75質量%。
・架橋剤(2):三井化学株式会社製、製品名「タケネートD−110N」、イソシアネート系架橋剤、固形分濃度=75質量%。
・粘着付与剤(1):荒川化学工業株式会社製、製品名「KE−359」、ロジン系樹脂、軟化点=94〜104℃。
・粘着付与剤(2):荒川化学工業株式会社製、製品名「アルコンP−125」、水素化石油樹脂、軟化点=125℃。
・粘着付与剤(3):ヤスハラケミカル株式会社製、製品名「YSポリスターNH125」、テルペンフェノール系樹脂、軟化点:130℃。
・硬化促進剤:マツモトファインケミカル株式会社製、製品名「オルガチックスTC−100」、チタンキレート系触媒。
・CNT:ナノシル社製、製品名「NC7000」、円筒状の多層カーボンナノチューブ。
(1)カーボンナノチューブフォレストの形成
キャリアガスとしてアルゴンガス、炭素源としてアセチレンを用いた3つの炉を備える熱CVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いて、触媒化学気相成長法により、シリコンウエハ上に、カーボンナノチューブフォレストを形成した。なお、カーボンナノチューブフォレストの高さは300μmであった。
上記(1)で形成したカーボンナノチューブフォレストの端部をよじり、ピンセットで引き出すことにより、シート状のCNTシート(x)を作製した。
そして、CNTシート(x)を、パターン化された隆起構造を含む表面を有する構造体である金属メッシュ(開口サイズ:700μm×600μm、線幅:40μm、厚さ:50μm)に付着させた。
そして、金属メッシュに付着したCNTシート(x)に、イソプロピルアルコールをスプレーで噴射することにより、CNTシート(x)のうち、金属メッシュのパターン化された隆起構造に接していない領域に対して、バンドリング処理した。
以上の過程を経て、バンドリング処理を施したシート状の単層CNTシートを得た。
なお、得られた単層CNTシートは、複数のCNTが集合した繊維状物によって形成されており、複数の間隙を有し、表面内においてはCNTが一方向に優先的に整列した構造を有するものであった。
基材である、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの一方の表面上に、製造例1で調製した粘着性組成物(I)を塗布して塗布膜を形成し、当該塗布膜を乾燥させて、厚さ25μmの粘着剤層を形成した。
そして、形成した粘着剤層の表面に、導電層として、上記(2)で形成したバンドリング処理を施した単層CNTシートを加圧圧着して貼り合わせ、さらに表出している導電層の表面と、剥離シートである、厚さ38μmのPETフィルムのシリコーン剥離処理した剥離処理面とを貼り合わせ、粘着シート(a)を作製した。
なお、導電層が有する複数の間隙は、粘着剤層の一部が充填され、粘着剤層が形成されていることを確認した。
実施例1の上記(2)と同じ方法で、CNTシート(x)を別々に2枚作製した。そして、上述の金属メッシュに、作製したCNTシート(x)を2枚重ね合わせて付着させた。
次に、実施例1の上記(2)と同じ方法で、CNTシート(x)を2枚重ね合わせた状態でバンドリング処理を施し、二層CNTシートを得た。
なお、得られた二層CNTシートは、複数のCNTが集合した繊維状物によって形成されており、複数の間隙を有し、表面内においてはCNTが一方向に優先的に整列した構造を有するものであった。
そして、実施例1の上記(3)において、導電層として、この二層CNTシートを用いた以外は、実施例1と同様にして、粘着シート(b)を作製した。
実施例1の上記(2)と同じ方法で、CNTシート(x)を別々に3枚作製した。そして、上述の金属メッシュに、作製したCNTシート(x)を3枚重ね合わせて付着させた。
次に、実施例1の上記(2)と同じ方法で、CNTシート(x)を3枚重ね合わせた状態でバンドリング処理を施し、三層CNTシートを得た。
なお、得られた三層CNTシートは、複数のCNTが集合した繊維状物によって形成されており、複数の間隙を有し、表面内においてはCNTが一方向に優先的に整列した構造を有するものであった。
そして、実施例1の上記(3)において、導電層として、この三層CNTシートを用いた以外は、実施例1と同様にして、粘着シート(c)を作製した。
実施例1の上記(3)において、製造例2で調製した粘着性組成物(II)を用いて粘着剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして、粘着シート(d)を作製した。
実施例1の上記(3)において、製造例3で調製した粘着性組成物(III)を用いて粘着剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして、粘着シート(e)を作製した。
実施例1の上記(3)において、製造例4で調製した粘着性組成物(IV)を用いて粘着剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして、粘着シート(f)を作製した。
実施例1の上記(3)において、製造例5で調製した粘着性組成物(V)を用いて粘着剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして、粘着シート(g)を作製した。
実施例1の上記(3)において、製造例6で調製した粘着性組成物(VI)を用いて粘着剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして、粘着シート(h)を作製した。
実施例1の上記(1)と同じ方法で形成したカーボンナノチューブフォレストの端部の一部をつまみ、幅5mmのカーボンナノチューブシート(以下、「CNTシート(y)」ともいう)を引き出した。このCNTシート(y)を直径5mmの金属製の輪に通して、CNTシート(y)を束ね、束ねたCNTシート(y)をゴムリング(内径:3cm、外径:4cm、断面形状:円)の内側面上に接触させ、ゴムリングを当該ゴムリングの円周方向に回転運動させて、束ねられたシートがゴムリング上を摺動するようにした。この摺動において発生する摩擦により、束ねられたCNTシート(y)が糸に撚られるようにした。そして、この状態で、CNTシート(y)を撚って形成した糸をボビンに巻き付けた。なお、カーボンナノチューブフォレストから当該糸の巻取りまでの工程は連続して行った。
次に、実施例1の上記(3)と同じ方法で得た、粘着剤層が形成された基材を、粘着剤層が外側を向くように、直径3cmのゴムロールの外側面にしわが生じないように巻きつけ、固定した。
そして、CNTシート(y)を撚って形成した糸を、上記のゴムロールに巻きつけた粘着剤層の端部付近に付着させた上で、糸を繰り出しながら、少しずつゴムロールの回転軸と平行な方向に等速移動させながら、糸が等間隔でらせんを描きながら、外側面に粘着剤層が固定されたゴムロールに巻きつくようにした。当該糸をゴムロールに巻きつけた後、当該ゴムロールの回転軸と平行に、巻きつけられた糸ごと基材及び粘着剤層を切断して、ゴムロールに巻きつけた基材を取り出し、基材上に形成された粘着剤層の表面に、さらにCNTからなる糸が等間隔で整列した導電層を形成した。なお、CNTから構成された糸の太さの平均値は10μmであり、当該糸の間隔の平均値は0.5mmであった。
さらに、導電層が形成された表面に、剥離シートである、厚さ38μmのPETフィルムのシリコーン剥離処理した剥離処理面とを貼り合わせ、粘着シート(i)を得た。
導電層を設けなかった以外は、実施例1と同様にして、粘着シート(j)を作製した。
銅をエッチングして形成した厚さ20μmの銅メッシュ(網目パターン:正方格子状、1つあたりの間隙の面積:0.4mm2、網目の太さ:8μm)を導電層とした以外は、実施例1と同様にして、粘着シート(k)を作製した。
一方、比較例1で作製した粘着シート(j)は、用いた低抵抗率計で測定可能範囲の上限値を超えてしまう程、表面抵抗率が高い結果であった。
また、比較例2で作製した粘着シート(k)は、導電層である銅メッシュが酸化し易く、粘着力の低下を引き起こすと共に、銅メッシュに変色が見られ、耐変色性も劣る結果となった。
3 電子部品貼付用アースラベル
11 基材
12、12a 粘着剤層
13 導電層
13a 間隙
15 電子部品(アース対象)
16 筺体(アース先)
Claims (8)
- 基材と、粘着性組成物から形成された粘着剤層と、がこの順で積層され、
更に前記粘着剤層上に、カーボンナノチューブを含む材料から形成され、且つ複数の間隙を有する導電層が積層した構成を有し、
前記導電層側の表面を被着体に貼付して測定した粘着力が4.5N/25mm以上であり、
前記導電層の表面内において、カーボンナノチューブが一方向に優先的に整列した構造を有する、粘着シート。 - 前記導電層が有する複数の間隙に、前記粘着剤層が形成された構成を有する、請求項1に記載の粘着シート。
- 前記導電層が、複数のカーボンナノチューブが集合した繊維状物によって形成された層である、請求項1又は2に記載の粘着シート。
- 前記繊維状物の太さの平均が1〜300μmである、請求項3に記載の粘着シート。
- 前記導電層の全光線透過率が70〜100%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着性組成物の酸価が6.0mgKOH/g以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記基材の前記粘着剤層側の面とは反対側に、印刷又は印字が可能な表面を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 電子部品貼付用アースラベルとして用いる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の粘着シート。
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