JP6204189B2 - 粘着剤組成物、及び導電性粘着シート - Google Patents

粘着剤組成物、及び導電性粘着シート Download PDF

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Description

本発明は、粘着剤組成物、及び当該粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する導電性粘着シートに関する。
従来から、コンピューター、通信機器等の電子機器を収納する容器の電磁遮蔽材、電気部品等の接地線、更には摩擦電気等の静電気から生ずる火花による発火防止材等の各種接合には、簡易接着性を有する導電性粘着シートが使用されている。
導電性粘着シートが有する粘着剤層に用いられる粘着剤組成物には、帯電防止性及び導電性を付与するために、銅粉、銀粉、ニッケル粉、アルミニウム粉等の金属粉等の導電性物質を、粘着性樹脂中に分散させたものが多用されている。
例えば、特許文献1には、導電性物質としてカーボンナノチューブ及びカーボンマイクロコイルの少なくとも一方を粘着剤中に分散させた導電性粘着剤が開示されている。
また、特許文献2には、帯電防止性、粘着特性及び防塵性の向上を図った帯電防止性粘着テープが開示されており、具体的な構成として、基材の片面又は両面に導電性材料を分散させた第1の粘着剤層と、更に当該第1の粘着剤層上に導電性材料を含有しない所定の厚さの第2の粘着剤層を有する帯電防止性粘着テープが開示されている。
特開2001−172582号公報 特開2008−55710号公報
ところで、上記の導電性粘着シートが有する粘着剤層の導電性を向上させるためには、粘着剤層の形成材料である粘着剤組成物中に導電性物質を多量に配合して、導電性物質粒子の相互の接触が密になるようにする必要がある。
しかしながら、粘着剤組成物中に、多量の導電性物質を配合すると、粘着力が低下する傾向にある。一方で、粘着力を高めるために導電性物質の含有量を低減させると、導電性が低下するという、二律背反の問題がある。
特許文献1に開示の導電性粘着剤を用いた粘着シートや、特許文献2に開示の帯電防止性粘着テープは、粘着力及び導電性を共に向上させるという点において未だ不十分である。加えて、特許文献2記載の帯電防止性粘着テープは、2層の粘着剤層を形成する必要があるため、工程数が多くなり、生産性が劣るという問題も有する。
本発明は、優れた粘着力を有し、且つ粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率が低く、帯電防止性及び導電性に優れた導電性粘着シートの粘着剤層の形成材料となり得る粘着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、ウレタン系ポリマー、粘着付与樹脂、及びカーボンナノ材料を含む粘着剤組成物であって、粘着付与樹脂として、特定の軟化点を有するテルペン系フェノール系粘着付与樹脂を所定の範囲で含有した粘着剤組成物が、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記〔1〕〜〔8〕を提供するものである。
〔1〕ウレタン系ポリマー(A)、粘着付与樹脂(B)、及びカーボンナノ材料(C)を含む粘着剤組成物であって、(B)成分が、軟化点が110℃以上のテルペンフェノール系粘着付与樹脂を含み、(B)成分の含有量が、(A)成分100質量部に対して、30〜180質量部である、粘着剤組成物。
〔2〕前記粘着剤組成物中の有効成分の全量に対する(C)成分の含有量が、0.05〜15質量%である、上記〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔3〕(A)成分が、シリル基含有ウレタン系ポリマーを含む、上記〔1〕又は〔2〕に記載の粘着剤組成物。
〔4〕上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の粘着剤組成物よりなる粘着剤層を有する、導電性粘着シート。
〔5〕2枚の剥離シートにより前記粘着剤層が挟持された構造を有する、上記〔4〕に記載の導電性粘着シート。
〔6〕基材の少なくとも片面に、前記粘着剤層を有する、上記〔4〕に記載の導電性粘着シート。
〔7〕前記基材が、絶縁性基材である、上記〔6〕に記載の導電性粘着シート。
〔8〕前記基材が、導電性基材である、上記〔6〕に記載の導電性粘着シート。
本発明の粘着剤組成物よりなる粘着剤層を有する導電性粘着シートは、優れた粘着力を有し、且つ粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率が低いため、帯電防止性及び導電性にも優れる。
本発明の導電性粘着シートの構成の一例を示す導電性粘着シートの断面図である。 シリル基含有ウレタン系ポリマーの合成法及び構造を示す図である。
以下の記載において、「質量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
また、本発明において、樹脂成分とは、質量平均分子量(Mw)が1万以上の重合体を示す。
さらに、粘着剤組成物中の「有効成分」とは、粘着剤組成物中に含まれる溶媒を除いた成分を意味し、具体的には、以下に示す(A)〜(C)成分、架橋剤、硬化促進剤、架橋助剤、(A)成分以外の樹脂成分、その他の添加剤を指す。
〔粘着剤組成物〕
本発明の粘着剤組成物は、ウレタン系ポリマー(A)、粘着付与樹脂(B)、及びカーボンナノ材料(C)を含むものであり、より高い粘着物性を発現させる観点から、架橋剤、もしくは硬化促進剤及び架橋助剤を含むことが好ましい。
なお、本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、上記(A)成分以外の樹脂成分や、上記以外のその他の添加剤を含有してもよい。
以下、本発明の粘着剤組成物に含まれる各成分について説明する。
<(A)成分:ウレタン系ポリマー>
本発明で用いるウレタン系ポリマー(A)としては、主鎖及び/又は側鎖に、ウレタン結合及び尿素結合の少なくとも一方を有する重合体であれば、特に制限されず、例えば、ポリオール(a1)と多価イソシアネート化合物(a2)とを反応して得られるウレタン系プレポリマー(α)や、当該ウレタン系プレポリマー(α)に対して、更に鎖延長剤(a3)を用いた鎖延長反応を行い得られるウレタン系ポリマー(β)等が挙げられる。
これらの中でも、(A)成分として、ポリオキシアルキレン骨格を有するウレタン系ポリマーを含むことが好ましい。
なお、本発明において、(A)成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオール(a1)としては、例えば、アルキレンジオール、ポリエーテル型ポリオール、ポリエステル型ポリオール、ポリカーボネート型ポリオール等のポリオール化合物が挙げられるが、ポリオールであれば特に限定はされず、2官能のジオール、3官能のトリオールであってもよい。これらのポリオール(a1)の中でも、入手の容易性、反応性等の観点から、ジオールが好ましい。
ジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール等のアルカンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリアルキレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール等が挙げられる。なお、これらのジオールは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらのジオールの中でも、さらに鎖延長剤(a3)との反応を行う場合、当該反応においてゲル化を抑制する観点から、質量平均分子量1000〜3000のグリコールが好ましい。
多価イソシアネート化合物(a2)としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
なお、これらの多価イソシアネート化合物(a2)は、上記ポリイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含有させたイソシアヌレート型変性体であってもよい。
これらの多価イソシアネート化合物(a2)の中でも、粘着物性に優れたウレタン系ポリマーを得る観点から、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)及びこれらの変性体から選ばれる1種以上が好ましく、耐候性の観点から、HMDI、IPDI及びこれらの変性体から選ばれる1種以上がより好ましい。
鎖延長剤(a3)としては、水酸基及びアミノ基の少なくとも一方を2つ有する化合物、又は、水酸基及びアミノ基の少なくとも一方を3つ以上有する化合物が好ましい。
水酸基及びアミノ基の少なくとも一方を2つ有する化合物としては、脂肪族ジオール、脂肪族ジアミン、アルカノールアミン、ビスフェノール、芳香族ジアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。
脂肪族ジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール等のアルカンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレングリコールが挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン等が挙げられる。
ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールA等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、例えば、ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン等が挙げられる。
水酸基及びアミノ基の少なくとも一方を3つ以上有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等のポリオール、1−アミノ−2,3−プロパンジオール、1−メチルアミノ−2,3−プロパンジオール、N−(2−ヒドロキシプロピルエタノールアミン)等のアミノアルコール、テトラメチルキシリレンジアミンのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物等が挙げられる。
ウレタン系プレポリマー(α)の合成方法としては特に制限されず、例えば、ポリオール(a1)及び多価イソシアネート化合物(a2)と、必要に応じて添加される触媒と、溶剤とを反応器に仕込んで反応させる方法等が挙げられる。
使用する触媒としては、特に制限はないが、3級アミン系化合物、有機金属系化合物等が挙げられる。
(a1)成分と(a2)成分の配合比については、NCO基とOH基とのモル比(〔NCO基〕/〔OH基〕)が、好ましくは1.1〜3.0、より好ましくは1.2〜2.5となるように反応させることが好ましい。
また、得られるウレタン系プレポリマー(α)中のイソシアネート基含有量(NCO%)は、JIS K 1603に準じて測定された値において、好ましくは0.5〜12質量%、より好ましくは1〜4質量%である。
上記のウレタン系プレポリマー(α)に対して、更に鎖延長剤(a3)を用いた鎖延長反応を行い得られるウレタン系ポリマー(β)の合成方法としては、特に制限されず、例えば、下記の方法が挙げられる。
・ウレタン系プレポリマー(α)の溶液を反応器に仕込み、その反応器に鎖延長剤(a3)を滴下して反応させる方法。
・鎖延長剤(a3)を反応器に仕込み、そこにウレタン系プレポリマー(α)の溶液を滴下して反応させる方法
・ウレタン系プレポリマー(α)を溶剤で希釈した溶液を反応器に仕込み、そこに鎖延長剤を所定量一括投入して反応させる方法。
なお、鎖延長反応の停止のために、イソシアネート基と反応可能な活性水素を1つだけ有する化合物や、アミノ基を1つだけ有する化合物等の末端停止剤を用いてもよい。
イソシアネート基と反応可能な活性水素を1つだけ有する化合物としては、例えば、メタノール、エタノール等のモノオール化合物等が挙げられる。
アミノ基を1つだけ有する化合物としては、例えば、ジエチルアミン、モルホリン等が挙げられる。
(シリル基含有ウレタン系ポリマー)
本発明において、(A)成分として、シリル基含有ウレタン系ポリマーを含有してもよい。
シリル基含有ウレタン系ポリマーとしては、主鎖及び/又は側鎖に、ウレタン結合及び尿素結合の少なくとも一方を有し、且つ、主鎖の両末端に下記一般式(1)で表される加水分解性シリル基を有するポリマーが好ましい。
上記一般式(1)中、X1、X2は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基又は置換基を有してもよいアルコキシ基を示し、R1は、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基を示す。
上記一般式(1)中のX1、X2がアルコキシ基である場合の当該アルコキシ基の炭素数は、加水分解脱水縮合の反応性の観点から、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜3、より更に好ましくは1〜2である。
また、一般式(1)中、R1で示されるアルキル基の炭素数は、加水分解脱水縮合の反応性の観点から、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜6、更に好ましくは1〜3、より更に好ましくは1〜2である。
1、X2、R1が置換基を有する場合の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基及びアミノ基等が挙げられる。
次いで、図2を用いて、シリル基含有ウレタン系ポリマーが有する分子構造について説明する。
図2(a)には、シリル基含有ウレタン系ポリマー30の合成例が示してある。
まず、ポリマーの主鎖12の末端又は側鎖(図示せず)に、イソシアネート基14a、14bを有するウレタン系プレポリマー10を用意する。
ウレタン系プレポリマー10は、上述のポリオール(a1)と多価イソシアネート化合物(a2)とを反応して得られるウレタン系プレポリマー(α)であって、合成方法も上述のとおりである。
次に、分子の主鎖26の一方の末端に、ウレタン系プレポリマー10のイソシアネート基14a、14bと反応可能な活性水素基22を有すると共に、分子の主鎖26の他方の末端に、上記一般式(1)で表される加水分解性シリル基24を有するシリル化剤20を用意する。(なお、図2では、一般式(1)中のX1及びX2がメトキシ基、R1がメチル基とした場合を示している。)
そして、ウレタン系プレポリマー10及びシリル化剤20を混合した後、例えば、窒素雰囲気下、80℃で1時間反応させることで、シリル基含有ウレタン系ポリマー30を合成することができる。なお、当該反応は、赤外分光法(IR)にて測定したイソシアネート基の吸収ピーク(2265cm-1)の消失を確認するまで行うことが好ましい。
また、図2(b)に示すように、シリル基含有ウレタン系ポリマー30は、上記一般式(1)で表わされる加水分解性シリル基の加水分解を経由した架橋反応により硬化して3次元網目構造をとる、いわゆる、湿気硬化型のポリマーである。
なお、図2(a)においては、主鎖の両末端のみに所定のシリル基を有する両末端シリル基含有ウレタン系ポリマーを例に挙げて説明したが、本発明で用いるシリル基含有ウレタン系ポリマーとしては、側鎖の末端に、一般式(1)で表される加水分解性シリル基を有する末端シリル基含有ウレタン系ポリマーであってもよい。
また、図2(a)の場合とは逆に、イソシアネート基を有するシリル化剤と、活性水素基を有するポリマーとを反応させて、シリル基含有ウレタン系ポリマーを合成してもよい。
さらに、シリル基含有ウレタン系ポリマーは、主鎖又は側鎖に導入されているウレタン結合あるいは尿素結合における活性水素は、以下に例を示すように有機基で置換されていてもよい。
したがって、アロファネート結合もウレタン結合の範疇に含まれ、ビュレット結合も尿素結合の範疇に含まれることになる。
図2(a)に示す、シリル基含有ウレタン系ポリマーの末端部分32a、32bの具体的な構造としては、下記一般式(2)〜(8)(末端部分−A〜G)に表される構造を有することが好ましく、下記一般式(2)で表される構造を有することがより好ましい。
上記一般式(2)〜(8)中、X1、X2及びR1は上記一般式(1)と同様であり、R2、R3は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基を示し、当該アルキル基の炭素数としては、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜8、更に好ましくは1〜6、より更に好ましくは1〜3である。
また、上記一般式(8)中、Aはアルキレン基を示し、当該アルキレン基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜12、更に好ましくは1〜6である。
一方、上記一般式(8)中、Bは炭素数1〜20の有機基を示し、そのような有機基としては、例えば、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキルアミノ基、置換基を有してもよい炭素数6〜20のアリールアミノ基、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有してもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、置換基を有してもよい炭素数2〜20の複素環基、置換基を有してもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有してもよい炭素数2〜20のアルキニル基、置換基を有してもよい炭素数3〜20のシクロアルキル基等が挙げられる。
なお、上記一般式(2)〜(8)中のR2、R3、A、Bが有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、及びニトロ基等が挙げられる。
また、図2(a)に示す、シリル基含有ウレタン系ポリマー30の主鎖12又は側鎖(図示せず)の骨格としては、適宜選択し得る。
ただし、得られる粘着剤組成物に対して、適度な柔軟性を付与し、被着体に対する密着性を向上させる観点から、本発明で用いるシリル基含有ウレタン系ポリマーは、主鎖としてポリオキシアルキレン骨格を有するシリル基含有ウレタン系ポリマーであることが好ましい。
当該ポリオキシアルキレンとしては、上記観点から、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンが好ましく、ポリオキシプロピレンがより好ましい。
また、以上のようなシリル基含有ウレタン系ポリマーの中でも、図2(a)に示されたシリル基含有ウレタン系ポリマー30のように、側鎖に上記一般式(1)で表される加水分解性シリル基を有さず、主鎖の両末端のみに上記一般式(1)で表される加水分解性シリル基を有するシリル基含有ウレタン系ポリマーであることが好ましい。
このような構造を有する当該シリル基含有ウレタン系ポリマーであれば、ポリマー同士の架橋密度が好適な範囲に調節され、架橋後の粘着剤組成物における粘着力と凝集力とを共に向上させることができる。
(A)成分の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは1万〜20万、より好ましくは1.2万〜15万、更に好ましくは1.5万〜10万、より更に好ましくは2万〜7万である。
(A)成分のMwが1万以上であれば、分子構造が密になり過ぎることを防ぎ、得られる粘着剤組成物の粘着物性を良好とすることができる。また、当該粘着剤組成物の粘度が低くなり過ぎることによる加工性(塗布性)の低下を避けることができる。
一方、(A)成分のMwが20万以下であれば、得られる粘着剤組成物の加工性(塗布性)を良好とすることができる。また、架橋密度を過度な範囲とすることができ、当該粘着剤組成物からなる粘着剤層の耐ブリスター性を良好にすることができる。
本発明の粘着剤組成物中の有効成分の全量(100質量%)に対する(A)成分の含有量は、得られる粘着剤組成物の粘着物性を向上させる観点から、好ましくは20〜85質量%、より好ましくは25〜80質量%、更に好ましくは30〜75質量%、より更に好ましくは35〜70質量%である。
<(A)成分以外の他の樹脂成分>
本発明で用いる粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、上記(A)成分以外の樹脂成分を1種以上含有してもよい。
(A)成分以外の樹脂成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは10質量部以下、より更に好ましくは3質量部以下である。
<(B)成分:粘着付与樹脂>
本発明で用いる粘着付与樹脂は、ウレタン系ポリマー(A)と混合することが可能な粘着性を向上させる樹脂を意味する。当該粘着付与樹脂の質量平均分子量(Mw)は、通常1万未満であり、樹脂成分とは区別されるものである。
なお、粘着付与樹脂(B)の質量平均分子量(Mw)は、得られる粘着剤組成物の粘着物性を向上させる観点から、好ましくは400〜4000、より好ましくは800〜1500である。
本発明の粘着剤組成物では、粘着付与樹脂(B)として、軟化点が110℃以上のテルペンフェノール系粘着付与樹脂を含有する。
本発明で用いるテルペンフェノール系粘着付与樹脂とは、松ヤニやオレンジの皮等の天然物から得られる精油成分であるテルペン系樹脂とフェノールとの共重合体であって、当該共重合体の少なくとも一部又は完全に水素化した水素化テルペンフェノール系樹脂も含まれる。
テルペンフェノール系粘着付与樹脂としては、水素化テルペンフェノール系粘着付与樹脂が好ましい。
なお、水素化テルペンフェノール系樹脂の水素化の割合は、本発明の粘着剤組成物の粘着物性を向上させる観点、並びに当該粘着剤組成物からなる粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率を低下させる観点から、テルペンフェノール系樹脂の不飽和結合100モル%に対して、好ましくは50モル%以上、より好ましくは65モル%以上、更に好ましくは80モル%以上である。
本発明においては、上述の(A)成分と組み合わせて使用した際に、カーボンナノ材料(C)を配合した粘着剤組成物であっても優れた粘着物性を発現させると共に、得られる粘着剤組成物からなる粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率を低下させる観点から、使用するテルペンフェノール系粘着付与樹脂の軟化点が110℃以上である必要がある。
当該軟化点が110℃未満であると、得られる粘着剤組成物からなる粘着剤層の粘着力を十分に向上させることが難しく、また、当該粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率が上昇する傾向にある。
テルペンフェノール系粘着付与樹脂の軟化点は、110℃以上であるが、上記観点から、好ましくは110〜180℃、より好ましくは115〜175℃、更に好ましくは120〜170℃、より更に好ましくは125〜165℃である。
なお、本発明において、粘着付与樹脂の「軟化点」は、JIS K 2531に準拠して測定した値を意味する。
また、この軟化点が110℃以上のテルペンフェノール系粘着付与樹脂は、単独で又は軟化点や構造が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分としては、上記の軟化点が110℃以上のテルペンフェノール系粘着付与樹脂以外の他の粘着付与樹脂を1種以上含んでもよい。
他の粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン樹脂、ロジンフェノール樹脂、及びそのエステル化合物等のロジン系樹脂;これらロジン系樹脂を水素化した水素化ロジン系樹脂;テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂等のテルペンフェノール系樹脂以外のテルペン系樹脂;これらテルペン系樹脂を水素化した水素化テルペン樹脂;石油ナフサの熱分解で生成するペンテン、イソプレン、ピペリン、1.3−ペンタジエン等のC5留分を共重合して得られるC5系石油樹脂及びこのC5系石油樹脂の水素化樹脂;石油ナフサの熱分解で生成するインデン、ビニルトルエン、α−又はβ−メチルスチレン等のC9留分を共重合して得られるC9系石油樹脂及びこのC9系石油樹脂を水素化した樹脂;等が挙げられる。
(B)成分中の軟化点が110℃以上のテルペンフェノール系粘着付与樹脂の含有量は、得られる粘着剤組成物からなる粘着剤層の粘着力を向上させると共に、当該粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率を低下させる観点から、(B)成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは80〜100質量%、より好ましくは90〜100質量%、更に好ましくは95〜100質量%、より更に好ましくは98〜100質量%である。
なお、本発明の効果を損なわない範囲において、軟化点が110℃未満のテルペンフェノール系粘着付与樹脂を含んでもよいが、得られる粘着剤組成物からなる粘着剤層の粘着力を向上させると共に、当該粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率を低下させる観点から、軟化点が110℃未満の粘着付与樹脂を含まないことが好ましい。
(B)成分中の軟化点が110℃未満の粘着付与樹脂の含有量は、上記観点から、(B)成分の全量(100質量%)に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.1質量%以下である。
(B)成分の含有量は、得られる粘着剤組成物からなる粘着剤層の粘着力を向上させると共に、当該粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率を低下させる観点から、(A)成分100質量部に対して、30〜180質量部であり、好ましくは40〜175質量部、より好ましくは50〜170質量部、更に好ましくは70〜165質量部、より更に好ましくは90〜160質量部である。また、さらに粘着剤層の粘着力をより向上させる観点から、(B)成分の含有量は、より更に好ましくは100〜135質量部であり、さらに粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率をより低下させる観点から、より更に好ましくは140〜160質量部である。
(B)成分の含有量が30質量部未満であると、得られる粘着剤組成物の粘着物性を十分に向上させることが難しい。また、当該粘着剤組成物からなる粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率も上昇する傾向にある。
一方、(B)成分の含有量が180質量部を超えると、得られる粘着剤組成物からなる粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率は低下させることができるが、当該粘着剤組成物の粘着物性が著しく低下し、粘着シートとしての使用が難しくなる。
粘着剤組成物中の有効成分の全量(100質量%)に対する、(B)成分の含有量としては、上記観点から、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは15〜67質量%、更に好ましくは20〜63質量%、より更に好ましくは25〜60質量%である。
<(C)成分:カーボンナノ材料>
本発明で用いるカーボンナノ材料(C)は、六員環配列構造を主構造とするグラファイトシートを含む物質からなるものであるが、グラファイト構造中にホウ素や窒素等の炭素以外の元素を含有していてもよく、カーボンナノ材料が他の物質を内包している形態であってもよく、さらに、カーボンナノ材料が他の導電性物質に修飾されている形態であってもよい。
本発明の粘着剤組成物中にカーボンナノ材料(C)を含むことで、得られる粘着剤組成物からなる粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率を効率的に低下させることができる。
カーボンナノ材料(C)としては、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、カーボンナノコーン、フラーレン等が挙げられる。
これらのカーボンナノ材料(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、カーボンナノチューブは、炭素6員環構造を主構造とするグラファイト(黒鉛)シートが円筒状に閉じた構造を有する筒状の炭素多面体である。
カーボンナノチューブには、1層の黒鉛シートが円筒状に閉じた構造を有する単層カーボンナノチューブと、2層の黒鉛シートが円筒状に閉じた構造を有する二層カーボンナノチューブと、黒鉛シートが3層以上同心筒状に閉じた多層構造を有する多層カーボンナノチューブとがあり、これらのうちのいずれか2つ以上を併用することもできる。
カーボンナノ材料(C)の長辺の長さは、得られる粘着剤組成物からなる粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率を効率的に低下させる観点から、好ましくは10nm〜200μm、より好ましくは50nm〜100μm、更に好ましくは100nm〜50μmである。
カーボンナノ材料(C)の短辺の長さは、得られる粘着剤組成物からなる粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率を効率的に低下させる観点から、好ましくは1〜1000nm、より好ましくは3〜500nm、更に好ましくは5〜100nmである。
なお、カーボンナノ材料(C)の長辺の長さとは、カーボンナノ材料の高さ方向(長手方向)の長さを意味し、例えば、カーボンナノチューブでは「繊維長」に該当する。
また、カーボンナノ材料(C)の短辺の長さとは、カーボンナノ材料の高さ方向(長手方向)と直交する切断面のうち面積が最大となる断面において、当該断面が円又は楕円であれば、直径又は長径であり、当該断面が多角形であれば、当該多角形の辺のうち最長の辺の長さを意味し、例えば、カーボンナノチューブでは「繊維径(直径)」に該当する。
カーボンナノ材料(C)のアスペクト比〔長辺の長さ/短辺の長さ〕は、粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率を効率的に低下させる観点から、好ましくは10〜10000、より好ましくは50〜2000、更に好ましくは100〜500である。
なお、上記のカーボンナノ材料(C)の長辺の長さ、短辺の長さ、アスペクト比の値は、実施例に記載の方法に基づいて測定した値を意味する。
なお、カーボンナノ材料(C)は、粘着剤層中で(C)成分同士が近接した状態を維持させ、粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率を効果的に低下させる観点から、カーボンナノ材料(C)を含む分散液の形態で、粘着剤組成物中に配合されることが好ましい。
当該分散液の溶媒としては、水又は有機溶媒が挙げられるが、有機溶媒が好ましい。
有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、n−プロパノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
カーボンナノ材料(C)を含む分散液の調製方法としては、例えば、上記溶媒中にカーボンナノ材料(C)を添加し、超音波等により振動を与えて、カーボンナノ材料(C)を溶媒中に分散させて得る方法等が挙げられる。
カーボンナノ材料(C)を含む分散液の固形分濃度としては、好ましくは0.01〜60質量%、より好ましくは0.05〜10質量%、更に好ましくは0.1〜3質量%である。
粘着剤組成物中の有効成分の全量(100質量%)に対する(C)成分の含有量としては、好ましくは0.05〜15質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、更に好ましくは0.2〜8.0質量%、より更に好ましくは0.5〜6.0質量%である。
(C)成分の含有量が0.05質量%以上であれば、得られる粘着剤組成物から形成する粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率を効果的に低下させることができる。
一方、(C)成分の含有量が15質量%以下であれば、得られる粘着剤組成物の粘着物性を良好とすることができる。
<架橋剤>
本発明の粘着剤組成物は、より高い粘着物性を発現させる観点から、更に架橋剤を含有することが好ましい。
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、アミン系架橋剤、アミノ樹脂系架橋剤等が挙げられる。これらの架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、得られる粘着剤組成物の粘着物性をより向上させる観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等の多価イソシアネート化合物が挙げられる。
また、多価イソシアネート化合物は、上記化合物のトリメチロールプロパンアダクト型変性体、水と反応させたビュウレット型変性体、イソシアヌレート環を含むイソシアヌレート型変性体であってもよい。
架橋剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜20質量部、より好ましくは0.05〜15質量部、更に好ましくは0.1〜10質量部である。
<硬化促進剤>
本発明の粘着剤組成物は、(A)成分として、シリル基含有ウレタン系ポリマーを含有する場合、当該シリル基含有ウレタン系ポリマーのシリル基同士の架橋反応を促進させ、架橋後の粘着剤組成物の粘着物性をより向上させる観点から、さらに硬化促進剤を含むことが好ましい。この硬化促進剤は、触媒として機能する。
硬化促進剤としては、(A)成分して含有するシリル基含有ウレタン系ポリマーのシリル基同士の架橋反応を促進させ、架橋密度の制御が容易であり、架橋後の粘着剤組成物の粘着物性をより向上させる観点から、アルミ系触媒、チタン系触媒、ジルコニウム系触媒、及び三フッ化ホウ素系触媒からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
アルミ系触媒としては、アルミニウムのアルコキシド、アルミニウムキレート、塩化アルミニウム(III)が好ましい。
チタン系触媒としては、チタンのアルコキシド、チタンキレート、塩化チタン(IV)が好ましい。
ジルコニウム系触媒としては、ジルコニウムのアルコキシド、ジルコニウムキレート、塩化ジルコニウム(IV)が好ましい。
三フッ化ホウ素系触媒としては、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体や、アルコール錯体が好ましい。
硬化促進剤の含有量としては、触媒作用の観点から、(A)成分として含有するシリル基含有ウレタン系ポリマー100質量部に対して、好ましくは0.001〜20質量部、より好ましくは0.01〜10質量部、更に好ましくは0.03〜5質量部である。
<架橋助剤>
また、本発明の粘着剤組成物は、(A)成分として、シリル基含有ウレタン系ポリマーを含有する場合、上記の硬化促進剤と共に、架橋助剤を組み合わせて含有することが好ましい。
架橋助剤としては、アミノ基含有アルコキシシランが好ましい。
アミノ基含有アルコキシシランとしては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
架橋助剤の含有量は、(A)成分として含有するシリル基含有ウレタン系ポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.05〜6質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部である。
<その他の添加剤>
本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、導電性粘着シートの用途に応じて、その他の添加剤を含有させてもよい。
その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填剤、防錆剤、顔料、染料等が挙げられる。
これらの添加剤を配合する場合、添加剤のそれぞれの配合量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜6質量部、より好ましくは0.01〜2質量部である。
〔導電性粘着シート〕
本発明の導電性粘着シートは、上述の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有するものであれば、その構成は特に限定されず、2枚の剥離シートにより粘着剤層が挟持された構造を有する導電性粘着シートであってもよく、基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する導電性粘着シートであってもよい。
図1は、本発明の導電性粘着シートの構成の示す導電性粘着シートの断面図である。
本発明の導電性粘着シートの具体的な構成として、例えば、図1(a)に示されたような、基材2の片面上に、粘着剤層3を有する、基材付き導電性粘着シート1aが挙げられる。
また、図1(b)に示されたような、基材2の両面上に粘着剤層3及び粘着剤層3’を有する基材付き導電性粘着シート1bや、図1(c)に示されたような、基材2の片面に形成した粘着剤層3上に、さらに剥離シート4が積層された基材付き導電性粘着シート1c等も挙げられる。なお、導電性粘着シート1bは、粘着剤層3及び3’上に、さらに剥離シートが設けられていてもよい。
また、図1(d)に示されたような、基材を用いずに、剥離シート4と別の剥離シート4’により粘着剤層3が挟持された構造を有する基材無し導電性粘着シート1dとしてもよい。
この導電性粘着シート1dの剥離シート4、4’の素材は、同じものでもよく、異なるものでもよいが、剥離シート4と剥離シート4’との剥離力が異なるように調整された素材であることが好ましい。
他にも、表面が剥離処理された剥離シートの片面に粘着剤層を設けたものをロール状に巻いた構成を有する導電性粘着シート等も挙げられる。
本発明の導電性粘着シートの粘着剤層の厚さは、用途等に応じて適宜調整されるが、好ましくは0.5〜100μm、より好ましくは1〜60μm、更に好ましくは3〜40μmである。
当該粘着剤層の厚さが0.5μm以上であれば、被着体の種類に依らずに、良好な粘着力を発現させることができる。
一方、当該粘着剤層の厚さが100μm以下であれば、生産性の面で利点があると共に、シートを巻回体とした際に、粘着剤層が変形することによる巻きずれや、粘着剤層の端部からのはみ出しを抑制することができるため取扱性の面でも良好な導電性粘着シートとなり得る。
〔基材〕
本発明の導電性粘着シートに用いる基材としては、導電性粘着シートの使用目的に応じて適宜選択されるが、絶縁性材料を含む絶縁性基材であってもよく、金属等の導電性材料を含む導電性基材であってもよい。
本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層は、表面抵抗率及び体積抵抗率が低いため、単独でも優れた帯電防止性及び導電性を有している。そのため、当該粘着剤層を有する本発明の導電性粘着シートは、基材として、絶縁性基材を用いる場合でも、優れた帯電防止性及び導電性を有する。
本発明の導電性粘着シートを、粘着剤層の表面の導電性は必要とされるが、厚み方向の導電性が求められていない用途に使用する場合、基材として絶縁性基材を用いてもよい。
絶縁性基材としては、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、グラシン紙等やこれらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙等の各種紙類;不織布等の多孔質材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、アセテート樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂等からなるプラスチックフィルム又はシート;これらの樹脂の混合物からなるプラスチックフィルム又はシート;これらのプラスチックフィルム又はシートの積層体からなるプラスチックフィルム又はシート等が挙げられる。
なお、プラスチックフィルム又はシート等の基材シートは、未延伸でもよいし、縦又は横等の一軸方向あるいは二軸方向に延伸されていてもよい。
また、本発明で用いる基材は、さらに紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が含有されていてもよい。
また、本発明の導電性粘着シートを、粘着剤層の表面の導電性が必要とされ、且つ基材の厚み方向もしくは基材の片側または両面の面方向の導電性が求められている用途に使用する場合、基材として導電性基材を用いることが好ましい。
導電性基材としては、例えば、金属箔、金属箔を上述の絶縁性基材を形成する樹脂等でラミネートしたフィルム又はシート、上述の絶縁性基材の表面に金属蒸着処理を行ったフィルム又はシート、上述の絶縁性基材の表面に帯電防止処理を行ったフィルム又はシート、メッシュ状に金属線を編んだシート、導電性材料を練り込んだ樹脂フィルム又はシート等が挙げられる。
なお、導電性基材に用いられる金属としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金等が挙げられる。
基材の厚さは、特に制限はないが、取り扱い易さの観点から、好ましくは10〜250μm、より好ましくは15〜200μm、更に好ましくは20〜150μmである。
基材がプラスチックフィルム又はシートである場合、基材と粘着剤層との密着性を向上させる観点から、必要に応じて、基材の表面に対し酸化法や凹凸化法等の表面処理を施すことが好ましい。
酸化法としては、特に限定されず、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、クロム酸酸化(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。また、凹凸化法としては、特には限定されず、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選定されるが、粘着剤層との密着性の向上効果や操作性の観点から、コロナ放電処理法が好ましい。また、プライマー処理を施すこともできる。
〔剥離シート〕
また、本発明の導電性粘着シートは、上述のとおり、基材を有さない導電性粘着シートであってもよい。つまり、本発明の導電性粘着シートが有する粘着剤層が単独でも優れた帯電防止性及び導電性を有しているため、金属等の導電性材料からなる基材を用いなくても、基材無しの導電性粘着シートでも、優れた帯電防止性及び導電性を有する。
基材無し導電性粘着シートは、上述の基材の代わりに剥離シートが用いられ、導電性粘着シートの使用時には、当該剥離シートは除去される。
剥離シートとしては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離シート用の基材上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
剥離シート用の基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材、これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、又はポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
剥離シートの厚さは、特に制限ないが、好ましくは10〜200μm、より好ましくは25〜150μmである。
〔導電性粘着シートの製造方法〕
本発明の導電性粘着シートの製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。例えば、上記の粘着剤組成物に、有機溶媒を添加して、粘着剤組成物の溶液の形態とした後、当該溶液を上述の基材又は剥離シート上に公知の塗布方法により塗布して製造することができる。
粘着剤組成物に添加される有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、n−プロパノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
なお、これらの有機溶媒は、(A)成分の合成時に使用した有機溶媒や、カーボンナノ材料(C)を含む分散液の調製に際に用いた有機溶媒をそのまま用いてもよいし、該粘着剤溶液を均一に塗布できるように、(A)成分の合成時や(C)成分の分散液に使用している有機溶媒以外の1種以上の有機溶媒を加えてもよい。
粘着剤組成物の溶液の固形分濃度としては、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは10〜60質量%、更に好ましくは15〜45質量%である。当該固形分濃度が5質量%以上であれば、溶媒の使用量としては十分であり、基材や剥離シート上に塗布する際、塗布及び乾燥の効率が向上し、生産性が良好となる。一方、当該固形分濃度が80質量%以下であれば、適度な粘度となり、塗布作業が容易となり、生産性が良好となる。
基材や剥離シート上への粘着剤組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
具体的な製造方法としては、導電性粘着シートの構成により以下の方法が挙げられる。
図1(a)のような基材2の片面に粘着剤層3を有する導電性粘着シート1aは、例えば、基材2の一方の面上に、上述の粘着剤組成物の溶液を直接塗布して粘着剤層3を形成して作製することができる。また、基材2の一方の面上に、図1(d)のような導電性粘着シート1dの両方の剥離シートを除去して表出した粘着剤層を貼り合わせて作製することもできる。
図1(b)のような基材2の両面に粘着剤層3、3’を有する導電性粘着シート1bは、例えば、基材2の両面に粘着剤組成物の溶液を直接塗布して粘着剤層3、3’を形成して作製することができる。また、基材2の一方の面上に、図1(d)のような導電性粘着シート1dの一方の剥離シートを除去して表出した粘着剤層を貼り合わせ、基材2の他方の面上に、粘着剤組成物の溶液を直接塗布して作製することもできる。
図1(c)のような基材2上に、粘着剤層3及び剥離シート4をこの順で有する導電性粘着シート1cは、例えば、上述のようにして得られた導電性粘着シート1aの粘着剤面に剥離シート4をラミネートして作製することができる。また、剥離シート4の剥離処理面に上述の粘着剤組成物の溶液を直接塗布して形成した粘着剤層3と基材2とを貼り合わせて作製することができる。
図1(d)のような、基材を用いずに、2つの剥離シート4、4’により粘着剤層3が挟持された構成を有する導電性粘着シート1dは、例えば、剥離シート4の剥離処理面に上述の粘着剤組成物の溶液を直接塗布して形成した粘着剤層3と剥離シート4’とを貼り合わせて作製することができる。なお、前述のように、剥離シート4と剥離シート4’とは、剥離力が異なるように調整することが好ましい。
また、基材や剥離シート上に粘着剤組成物の溶液を塗布し塗布膜を形成した後、乾燥処理をし、塗布膜中に含まれる溶媒を除去することが好ましい。
さらに、粘着力を向上させるために、当該乾燥処理の後、例えば、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で7日間〜30日程度放置して、粘着剤組成物からなる粘着剤層(塗布膜)を十分に架橋させることが好ましい。
〔導電性粘着シートの物性〕
本発明の導電性粘着シートは、優れた粘着力を有すると共に、粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率が低く、帯電防止性及び導電性に優れる。
被着体がステンレスである場合、粘着剤層の厚さが25μmである本発明の導電性粘着シートの粘着力は、好ましくは7.0N/25mm以上、より好ましくは10.0N/25mm以上、更に好ましくは15.0N/25mm以上、より更に好ましくは18.0N/25mm以上である。
なお、導電性粘着シートが、図1(d)の導電性粘着シート1dのような、基材を有しない構成である場合は、厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムで裏打ちした導電性粘着シートの粘着力が、上記範囲となるように調整することが好ましい。また、上記の導電性粘着シートの粘着力は、実施例に記載の方法により測定した値を意味する。
本発明の導電性粘着シートの粘着剤層の表面抵抗率は、好ましくは9.0×105Ω/□以下、より好ましくは5.0×105Ω/□以下、更に好ましくは1.0×105Ω/□以下、より更に好ましくは8.0×104Ω/□以下である。
なお、上記導電性粘着シートの粘着剤層の表面抵抗率の値は、実施例に記載の方法により測定した値を意味する。
また、本発明の導電性粘着シートの体積抵抗率は、好ましくは9.0×104Ω・cm以下、より好ましくは5.0×104Ω・cm以下、更に好ましくは1.0×104Ω・cm以下、より更に好ましくは8.0×103Ω・cm以下である。
なお、上記導電性粘着シートの体積抵抗率の値は、実施例に記載の方法により測定した値を意味する。
以下の実施例及び比較例で用いた各成分の物性については、以下に記載の方法により測定した値を使用した。
<カーボンナノ材料の長辺の長さ、短辺の長さ、アスペクト比>
走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、製品名「S−4700」)を用いて、無作為に抽出したカーボンナノ材料の粒子10個を観察して、それぞれの長辺の長さ及び短辺の長さを測定し、粒子10個の平均値を、そのカーボンナノ材料の「長辺の長さ」及び「短辺の長さ」とした。また、そのカーボンナノ材料のアスペクト比は、「長辺の長さ/短辺の長さ」より算出した。
<質量平均分子量(Mw)>
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC−8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL−H」「TSK gel GMHXL(×2)」「TSK gel G2000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
<軟化点>
JIS K 2531に準拠して測定した値を用いた。
また、以下の実施例及び比較例で作製した導電性粘着シートの粘着力、及び粘着剤層の表面抵抗率は以下の方法により測定した。
(1)導電性粘着シートの粘着力
基材が絶縁性基材(ポリエチレンテレフタレート)である導電性粘着シートを25mm×300mmにカットしたものを試験片として使用した。
当該試験片を23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、ステンレス板(SUS304、360番研磨)に貼付し、同じ環境下で24時間放置し、貼付後24時間後に、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引っ張り速度300mm/分にて、導電性粘着シートの粘着力を測定した。
(2)粘着剤層の表面抵抗率
基材が絶縁性基材(ポリエチレンテレフタレート)である導電性粘着シートを20mm×40mmにカットしたものを試験片として使用した。
当該試験片を23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で24時間放置後、低抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、製品名「ロレスタGP MCP−T610型」)を用いて、JIS−K7194に準拠して、導電性粘着シートの粘着剤層の表面抵抗率を測定した。
なお、当該測定は3回行い、その3回の測定値の平均値を表1には記載している。
(3)導電性粘着シートの体積抵抗率
基材が絶縁性基材(ポリエチレンテレフタレート)である導電性粘着シートを20mm×40mmにカットしたものを試験片として使用した。
当該試験片を23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で24時間放置後、低抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、製品名「ロレスタGP MCP−T610型」)を用いて、JIS−K7194に準拠して、導電性粘着シートの体積抵抗率を測定した。
なお、当該測定は3回行い、その3回の測定値の平均値を表1には記載している。
製造例1(シリル基含有ウレタン系ポリマーの合成)
(1)シリル化剤の合成
反応容器内に、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン100質量部、アクリル酸メチル83.5質量部を仕込み、窒素雰囲気下にて、80℃で10時間撹拌し、シリル化剤となるシラン化合物を得た。
(2)ウレタンプレポリマーの合成
上記(1)で使用したものとは別の反応容器内に、ポリオキシプロピレンジオール(旭硝子(株)製、製品名「PML S4015」、質量平均分子量:15,000)100質量部、イソホロンジイソシアネート2.46質量部(NCO/OH比=1.7)、ジブチルスズジラウレート0.005質量部を仕込み、窒素雰囲気下にて、85℃で7時間反応させ、ウレタンプレポリマーを得た。
(3)シリル基含有ウレタン系ポリマーの合成
上記(2)で得たウレタンプレポリマー100質量部に対し、シリル化剤として、上記(1)で得たシラン化合物4.21質量部を添加し、窒素雰囲気下にて、80℃で1時間反応させた。IRにて、イソシアネート基の吸収(2265cm-1)の消失を確認した後、反応を終了し、ポリマーを得た。
得られた当該ポリマーは、主鎖であるポリオキシプロピレンの両末端に、下記式(9)で表される末端部分を有し、質量平均分子量(Mw)が40,000のシリル基含有ウレタン系ポリマーであった。
なお、当該シリル基含有ウレタン系ポリマーは、合成の際に、シリル化剤の原料として、N−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランを用いたため、末端には、下記式(9)で表されるように、2官能のシリル基が導入されている。
製造例2(カーボンナノチューブ分散液の調製)
多層カーボンナノチューブ(ナノシル社製、製品名「NC 7000」、アスペクト比:150、長辺の長さ(繊維長):1.5μm、短辺の長さ(繊維径):10nm)を酢酸エチルに添加し、超音波洗浄機(42kHz、125W)で超音波による振動を1時間与えて、当該多層カーボンナノチューブを酢酸エチル中に分散させ、多層カーボンナノチューブ濃度が0.3質量%のカーボンナノチューブ分散液を調製した。
実施例1〜15、比較例1〜5(導電性粘着シートの作製)
(1)粘着剤組成物の調製
表1に示す種類のウレタン系ポリマー100質量部(固形分)に対し、表1に示す種類及び配合量(固形分比)の粘着付与樹脂、製造例3で得たカーボンナノチューブ分散液(溶媒:酢酸エチル)、及び各種添加剤(架橋剤、硬化促進剤、架橋助剤)を添加し、均一になるまで攪拌して、粘着剤組成物の酢酸エチル溶液を調製した。
なお、実施例及び比較例の粘着剤組成物の調製で使用した、各成分は以下のとおりである。
<(A)成分>
・「US−902A」:一方社油脂工業(株)製、ウレタン系ポリマー、質量平均分子量=56,000。
・「シリル基含有ウレタン系ポリマー」:製造例1で得たシリル基含有ウレタン系ポリマー。
<(B)成分又は類似成分>
・「YSポリスターNH」:ヤスハラケミカル(株)製、完全水素化テルペンフェノール系樹脂、軟化点125℃、質量平均分子量=820。
・「YSポリスターT130」:ヤスハラケミカル(株)製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点130℃、質量平均分子量=1100。
・「YSポリスターS145」:ヤスハラケミカル(株)製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点145℃、質量平均分子量=970。
・「YSポリスターT160」:ヤスハラケミカル(株)製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点160℃、質量平均分子量=1100。
・「YSポリスターN125」:ヤスハラケミカル(株)製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点125℃、質量平均分子量=820。
・「YSポリスターT80」:ヤスハラケミカル(株)製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点80℃、質量平均分子量=1070。
・「YSポリスターT100」:ヤスハラケミカル(株)製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点100℃、質量平均分子量=970。
<(C)成分>
・「カーボンナノチューブ」:製造例2で調製したカーボンナノチューブ分散液。
<その他の添加剤>
・「架橋剤」:日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHX」、イソシアネート系架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型変性体)。
・「硬化促進剤」:三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体。
・「架橋助剤」:3−アミノプロピルトリメトキシシラン。
(2)導電性粘着シートの作製
調製した粘着剤組成物の酢酸エチル溶液を、乾燥後の膜厚が25μmになるように塗布して塗布膜を形成し、当該塗布膜を乾燥させ、積層体を作製した。次いで、当該積層体を、さらに23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で14日間放置して、粘着剤組成物からなる塗布膜を十分に架橋させ、基材上に粘着剤層を形成した導電性粘着シートを作製した。
なお、実施例及び比較例の導電性粘着シートの作製で使用した基材は、以下のとおりである。
・「PET50」:東レ(株)製、ポリエチレンテレフタレートフィルム、製品名「ルミラー」、厚み50μm、絶縁性基材。
作製した導電性粘着シートの粘着力、及び粘着剤層の表面抵抗率を上記方法により測定した。その測定した結果を表1に示す。
表1より、実施例1〜19の導電性粘着シートは、粘着力に優れると共に、粘着剤層の表面抵抗率も低く、体積抵抗率も低いため、帯電防止性及び導電性に優れる。
一方、比較例1〜8の導電性粘着シートは、粘着力が劣る結果となった。
なお、比較例3及び5の導電性粘着シートは、粘着力が低いだけでなく、ジッピングの発生が見られ、比較例6及び8の導電性粘着シートは、粘着力が極端に低く、粘着力の測定自体を行うことができなかった。
また、比較例7〜9の導電性粘着シートは、粘着剤層の表面抵抗率が高く、体積抵抗率も実施例1〜19に比べて、高い値となった。
本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する導電性粘着シートは、優れた粘着力を有すると共に、粘着剤層の表面抵抗率及び体積抵抗率が低いため、帯電防止性及び導電性に優れる。
そのため、本発明の導電性粘着シートは、例えば、コンピューター、通信機器等の電子機器を収納する容器の電磁遮蔽材、電気部品等の接地線、更には摩擦電気等の静電気から生ずる火花による発火防止材等の部材に用いられる接合部材として好適である。
1a、1b、1c、1d 導電性粘着シート
2 基材
3、3’ 粘着剤層
4、4’ 剥離シート
10 ウレタン系プレポリマー
12 ポリマーの主鎖
14a、14b イソシアネート基
20 シリル化剤
22 活性水素基
24 加水分解性シリル基
26 分子の主鎖
30 シリル基含有ウレタン系ポリマー
32a、32b シリル基含有ウレタン系ポリマーの末端部分

Claims (8)

  1. ウレタン系ポリマー(A)、粘着付与樹脂(B)、及びカーボンナノ材料(C)を含む粘着剤組成物であって、(B)成分が、軟化点が110℃以上のテルペンフェノール系粘着付与樹脂を含み、(B)成分の含有量が、(A)成分100質量部に対して、30〜180質量部である、粘着剤組成物。
  2. 前記粘着剤組成物中の有効成分の全量に対する(C)成分の含有量が、0.05〜15質量%である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. (A)成分が、シリル基含有ウレタン系ポリマーを含む、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物よりなる粘着剤層を有する、導電性粘着シート。
  5. 2枚の剥離シートにより前記粘着剤層が挟持された構造を有する、請求項4に記載の導電性粘着シート。
  6. 基材の少なくとも片面に、前記粘着剤層を有する、請求項4に記載の導電性粘着シート。
  7. 前記基材が、絶縁性基材である、請求項6に記載の導電性粘着シート。
  8. 前記基材が、導電性基材である、請求項6に記載の導電性粘着シート。
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