以下、図面に基づいて本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態の冷蔵庫10は、図1及び図2に示すように、前面に開口する断熱箱体11の内部に貯蔵空間が形成されている。断熱箱体11は、左側壁12、右側壁13、天井壁14、底壁15、及び後壁16を有する縦長矩形箱状に構成されている。断熱箱体11には、その前面に、左側壁12、右側壁13、天井壁14、及び底壁15によって囲まれた開口111が形成されている。
断熱箱体11は、図1に示すように、例えば外箱17及び合成樹脂製の内箱18の間に断熱部材19を設けて構成されている。この例では、外箱17は、断熱箱体11の左側壁12、右側壁13及び天井壁14の外面を構成する下方に開口するコ字状に折り曲げられた鋼板に底壁15及び後壁16の外面を構成する鋼板が組み付けられ予め箱状に構成されている。
なお、断熱箱体11は、複数に分割された壁を組み合わせて箱状に構成してもよい。例えば、左側壁12、右側壁13、天井壁14、底壁15、及び後壁16をそれぞれ個別に構成した後、組み合わせることで箱状してもよい。断熱部材19は、例えば発泡ウレタンなど充填式のものや、真空断熱パネルなど予め成形されたもの、又はこれらを併用したものが用いられる。
断熱箱体11の前面に形成された開口111には、複数の枠部材、この場合、上段横枠部材20、中段横枠部材21、下段横枠部材22、及び縦枠部材23が設けられている。これら枠部材20〜23は、例えば鋼板などを折り曲げることにより、背面が閉塞又は開放された角管状に構成されている。
枠部材20〜23の内部には、例えば発泡スチロールやスポンジ、発泡ウレタンなどの断熱性を有する部材が設けられている。上段横枠部材20は、断熱箱体11の上下方向のほぼ中央部分に設けられ、左側壁12と右側壁13とを接続している。中段横枠部材21は、上段横枠部材20の下方にあって左側壁12と右側壁13とを接続している。下段横枠部材は、中段横枠部材21の下方にあって左側壁12と右側壁13とを接続している。縦枠部材23は、中段横枠部材21及び下段横枠部材22の左右方向のほぼ中央部分にあって、中段横枠部材21と下段横枠部材22とを接続している。
中段横枠部材21の後方には、断熱材を有する断熱仕切板25が設けられており、断熱箱体11の内部を上下に異なる温度帯の貯蔵室に仕切っている。この場合、断熱仕切板25の上方は冷蔵温度帯の貯蔵室に設定され、断熱仕切板25の下方は冷凍温度帯の貯蔵室に設定されている。
具体的には、断熱箱体11の内部にあって断熱仕切板25の上方には、冷蔵温度帯(例えば、1〜6℃)の冷蔵貯蔵室として、上から順に冷蔵室30、野菜室31が設けられている。冷蔵室30と野菜室31とは、上段横枠部材20の後方に設けられた樹脂製の仕切板26によって仕切られている。仕切板26の後部には、図1に示すように通気口261が形成されており、この通気口261を介して冷蔵室30と野菜室31とが連通している。
冷蔵室30の背面には、冷蔵室30の庫内温度を検出する冷蔵室温度センサ48が設けられており、このセンサ48の検出温度に基づいて冷蔵室30及び野菜室31内の温度が制御される。冷蔵室30及び野菜室31は、通常、異なる冷蔵温度帯の温度に設定されている。例えば、冷蔵室30の維持温度は1〜5℃に設定されており、野菜室31の維持温度はそれよりやや高い2〜6℃に設定されている。
断熱仕切板25の下方には、冷凍温度帯(例えば、−10〜−20℃)の冷凍貯蔵室として製氷室32、上段冷凍室33、及び下段冷凍室34が設けられている。製氷室32及び上段冷凍室33は、断熱仕切板25の下方に左右に並べて設けられている。下段冷凍室34は、製氷室32及び上段冷凍室33の下方、つまり断熱箱体11の最下段に位置している。
下段冷凍室34の背面には、下段冷凍室34の庫内温度を検出する冷凍室温度センサ49が設けられており、このセンサ49の検出温度に基づいて製氷室32、上段冷凍室33、および下段冷凍室34内の温度が制御される。製氷室32、上段冷凍室33、および下段冷凍室34は、いずれも冷凍温度帯、例えば−10〜−20℃のマイナス温度帯に設定されている。
本実施形態では、冷蔵室30の前面には、左側壁12の前端部、右側壁13の前端部、天井壁14の前端部、及び上段横枠部材20に囲まれた前面開口部301が形成されている。野菜室31の前面は、左側壁12の前端部、右側壁13の前端部、上段横枠部材20、及び中段横枠部材21に囲まれた前面開口部311が形成されている。
冷蔵室30の前面開口部301は、ヒンジ開閉式の冷蔵室扉35によって閉塞されている。冷蔵室扉35には、冷蔵庫10の設置雰囲気の湿度を検出する湿度センサ27と、冷蔵庫10の設置雰囲気の温度(庫外温度)を検出する庫外温度センサ28とが設けられている。
野菜室31の前面開口部311は、引出し式の野菜室扉36によって開閉可能に閉塞されている。野菜室扉36の背面部には、上下二段に構成された収納容器37が取付けられている。収納容器37には、野菜や果物などが収納される。
製氷室32の前面には、左側壁12の前端部、中段横枠部材21、下段横枠部材22、及び縦枠部材23に囲まれた前面開口部321が形成されている。上段冷凍室33の前面には、右側壁13の前端部、中段横枠部材21、下段横枠部材22、及び縦枠部材23に囲まれた前面開口部331が形成されている。そして、下段冷凍室34の前面は、左側壁12の前端部、右側壁13の前端部、底壁15の前端部、及び下段横枠部材22に囲まれた前面開口部341が形成されている。
上段冷凍室33の前面開口部331は、収納容器38が連結された引出し式の上段冷凍室扉39によって開閉可能に閉塞されている。下段冷凍室34の前面開口部341は、上下二段の収納容器40が連結された引出し式の下段冷凍室扉41によって開閉可能に閉塞されている。また、詳細は図示しないが、製氷室32の前面開口部321も、収納容器が連結された引出し式の製氷室扉によって開閉可能に閉塞されている。
冷蔵庫10には、図3に示す冷凍サイクル60が組込まれ断熱箱体11内に区画された貯蔵室30,31,32,33,34の内部を冷却する。
冷凍サイクル60は、圧縮機61、凝縮器62、冷却器63を有し、これらを配管接続して構成されている。圧縮機61は、回転数を変えることができる能力可変型の圧縮機であって、図1に示すように、冷蔵庫10の背面下端部に形成された機械室42内に設けられている。また、機械室42には、圧縮機61以外にも凝縮器62や、圧縮機61及び凝縮器62を冷却する放熱ファン64や、制御装置50などが設けられている。
冷却器63は、断熱箱体11に設けられた貯蔵室、つまり、冷蔵室30、野菜室31、製氷室32、上段冷凍室33、および下段冷凍室34を冷却するための冷気を生成する。
製氷室32及び上段冷凍室33の背部には、冷却器63と、冷却器63で冷却された空気を貯蔵室30,31,32,33,34に送風する冷却器ファン45とを収納する冷却器室43が配設されている。
冷却器室43は、冷蔵ダクト44によって冷蔵温度帯の貯蔵室30、31と接続されるとともに、冷凍ダクト47によって冷凍温度帯の貯蔵室32,33,34と接続されている。
具体的には、冷蔵ダクト44は、野菜室31側に設けられた不図示の吸入口と、冷蔵室30側に設けられた複数の供給口442と、冷蔵ダクト44を開閉する冷蔵ダンパ443を有している。冷蔵ダクト44は、吸入口を介して野菜室31内に連通するとともに、供給口442を介して冷蔵室30内に連通している。
冷蔵ダンパ443が冷蔵ダクト44を開放した状態で冷却器ファン45が駆動すると、該冷却器ファン45の送風作用によって、野菜室31内の空気が吸入口から冷蔵ダクト44内へ吸い込まれ、冷却器63を通過している間に冷却され、冷気となって供給口442から冷蔵室30内へ供給される。冷蔵室30内へ供給された冷気は、冷蔵室30内を冷却した後、通気口261を通って野菜室31内に流入する。野菜室31に流入した冷気は、野菜室31を冷却した後、再び吸入口から冷蔵ダクト44内へ吸い込まれる。このようにして冷気が循環し、冷蔵室30および野菜室31が冷却される。
冷凍ダクト47は、製氷室32、上段冷凍室33、および下段冷凍室34に対応した複数の供給口471と、下段冷凍室34の後部に位置する吸入口472と、冷凍ダクト47を開閉する冷凍ダンパ473を有している。冷凍ダクト47は、供給口471を介して冷凍温度帯の各貯蔵室32、33、34内に連通するとともに、吸入口472を介して下段冷凍室34内に連通している。
冷凍ダンパ473が冷凍ダクト47を開放した状態で冷却器ファン45が駆動すると、該冷却器ファン45の送風作用によって、下段冷凍室34内の空気が吸入口472から冷凍ダクト47内へ吸い込まれる。そして、その空気は、冷却器63を通過して冷却され、冷気となって各供給口471から冷凍温度帯の各貯蔵室32、33、34へ供給される。そして、その冷気は、各貯蔵室32、33、34を冷却した後、再び吸入口472から冷凍ダクト47内へ吸い込まれる。このようにして冷気が循環し、製氷室32、上段冷凍室33、および下段冷凍室34が冷却される。
次に、冷凍サイクル60の構成について説明する。冷凍サイクル60では、図3に示すように、圧縮機61の吐出側に凝縮器62が接続され、凝縮器62には放熱パイプ73が接続され、さらにその下流側に三方弁からなる切替弁65が接続されている。この切替弁65から二股に分かれた出口側(下流側)の冷媒流路の一方に冷蔵防露パイプ77及び逆止弁79が接続され、他方の冷媒流路にバイパスパイプ80が接続されている。逆止弁79とバイパスパイプ80の下流側は、1つに合流した後、冷凍防露パイプ78、減圧装置66、冷却器63、及び圧縮機61の吸込側に順次接続されている。
圧縮機61の吐出側から減圧装置66までに設けられた凝縮器62、放熱パイプ73、切替弁65、冷蔵防露パイプ77、及び冷凍防露パイプ78は、圧縮機61で吐出された後、減圧装置66で減圧される前の高温の液体冷媒が流通する高温側冷媒流路の一部を構成する。
凝縮器62は、例えば多数の放熱用フィンを有するフィンチューブで構成され、断熱箱体11の背面側に設けられている。放熱パイプ73は、例えば鉄製や銅製など金属製の管からなり、上流側の端部が機械室42から後壁16へ進入し外箱17と接触した状態で後壁16の内部を引き回されて設けられ、その後、天井壁14へ進入し外箱17と接触した状態で天井壁14の内部を引き回されて設けられている。放熱パイプ73は、外箱17を介して庫外の空気と熱交換することで減圧装置66によって減圧される前の高温の液体冷媒を冷却する。放熱パイプ73は、天井壁14の内部を引き回された後、機械室42に進入し切替弁65に接続される。
切替弁65は、制御装置50に接続されている。切替弁65は、制御装置50からの制御指令を受けて駆動し、二つの出口のうち入口と連通する一の出口を択一的に切替える。これにより、圧縮機61から圧送された冷媒は、バイパスパイプ80によって冷蔵防露パイプ77を迂回し冷凍防露パイプ78のみに流通させる第一流路と、冷蔵防露パイプ77及び冷凍防露パイプ78に流通させる第二流路のいずれか一方へ供給される。つまり、この例では、圧縮機61の動作時は常に冷凍防露パイプ78に冷媒が流通するようになっている。
なお、本実施形態では、切替弁65が冷蔵防露パイプ77に冷媒を流通させるか否かを切り替える三方弁の場合について説明するが、例えば、冷蔵防露パイプ77へ供給する冷媒量を変更する流量調整弁で切替弁65を構成したり、あるいは、図6に例示すように、冷蔵防露パイプ77と並列な冷媒流路90を開閉する切替弁91を設け、切替弁91の開放時、圧縮機61から圧送された冷媒の大半を冷媒流路90を介して冷凍防露パイプ78へ流通させ、切替弁91の閉塞時に冷蔵防露パイプ77及び冷凍防露パイプ78に冷媒を流通させることで、冷蔵防露パイプ77に流れる冷媒量を変更してもよい。
また、本実施形態では、冷蔵防露パイプ77とバイパスパイプ80とを並列に設け、冷蔵防露パイプ77及びバイパスパイプ80の下流側に冷凍防露パイプ78を設けることで、圧縮機61の動作時は常に冷凍防露パイプ78に冷媒が流通するように構成したが、
例えば、図7に例示するように、冷蔵防露パイプ77と冷凍防露パイプ78を並列に設け、圧縮機61から圧送された冷媒を、切替弁65によって冷蔵防露パイプ77と冷凍防露パイプ78に切り替えて流通させてもよい。
冷蔵防露パイプ77は、機械室42内において、上流側の端部が切替弁65の一方の出口側流路に接続されている。その後、冷蔵防露パイプ77は、図4に示すように、機械室42から左側壁12内へ進入した後、中段横枠部材21を除く冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室30及び野菜室31)の前面開口部の周囲に沿って外箱17の内側に接触状態で設けられ、これにより、冷蔵室30及び野菜室31の前面開口部の周縁部において冷蔵防露パイプ77の内部を流れる冷媒の熱を外箱17に伝達する。
具体的には、冷蔵防露パイプ77は、機械室42から左側壁12の下端内部に入り、左側壁12の下端縁部に沿って前方へ延びる。その後、冷蔵防露パイプ77は、左側壁12の前端部つまり断熱箱体11の開口111付近で上方へ向って折れ曲がる。そして、冷蔵防露パイプ77は、左側壁12の前端内部を該左側壁12の前端縁部に沿って上方へ向って直線的に延びる。このとき、冷蔵防露パイプ77は、左側壁12の前縁部よりもやや後方に位置し、外箱17の内側に接している。
その後、冷蔵防露パイプ77は、中段横枠部材21の高さ位置に至ると、前方へ向けて折れ曲がり左側壁12の前縁部まで進出すると、外箱17の内側に接しつつ再び垂直上方へ向って延びる。
そして、冷蔵防露パイプ77は、上段横枠部材20の高さ位置に至ると、右方へ向って折れ曲がり、上段横枠部材20の内部へ進入した後、上段横枠部材20の前端部内を右方へ向って延び、右側壁13の手前で折り返して、上段横枠部材20の前端部内を左方へ向って延び、再び左側壁12の前端部内に再び進入する。
そして、冷蔵防露パイプ77は、上方へ向って折れ曲がり、外箱17の内側に接しつつ左側壁12の前端縁部に沿って上方へ延び、天井壁14に達すると、右方へ向って折れ曲がり水平となって外箱17の内側に接しつつ天井壁14の前端縁部に沿って右側壁13まで延び、その後、下方へ向って折れ曲がり、外箱17の内側に接しつつ右側壁13の前端縁部に沿って中段横枠部材21の高さ位置に至るまで垂直下方へ向って延びる。
そして、冷蔵防露パイプ77は、中段横枠部材21に至ると、後方へ向けて折れ曲がった後、外箱17の内側に接しつつ再び垂直下方へ向けて延び、底壁15付近に達した後、右側壁13の下端部内を延びて、右側壁13の下後端部から機械室42内へ進入する。
そして、機械室42内に入った冷蔵防露パイプ77の下流側の端部は、逆止弁79に接続された後、逆止弁79を介在させて冷凍防露パイプ78の上流側の端部に接続される。また、冷凍防露パイプ78の上流側の端部には、機械室42内においてバイパスパイプ80の下流側の端部が接続されている。
冷凍防露パイプ78は、機械室42から左側壁12内へ進入した後、冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室32、上段冷凍室33及び下段冷凍室34)の前面開口部の周囲に沿って外箱17の内側に接触状態で設けられ、これにより、製氷室32、上段冷凍室33及び下段冷凍室34の前面開口部の周縁部において冷凍防露パイプ78の内部を流れる冷媒の熱を外箱17に伝達する。また、本実施形態では、冷凍防露パイプ78は、製氷室32、上段冷凍室33及び下段冷凍室34の前面開口部の周縁部だけでなく、左側壁12及び右側壁13の内部にも引き回されて設けられている。
具体的には、冷凍防露パイプ78は、逆止弁79やバイパスパイプ80に接続された上段冷凍防露パイプ781と、上段冷凍防露パイプ781の下流側に接続された下段冷凍防露パイプ782とから構成されている。上段冷凍防露パイプ781及び下段冷凍防露パイプ782は、機械室42においてロウ付けなどによって接続されており、断熱箱体11の内部で2つの防露パイプ781、782が分離している。
上段冷凍防露パイプ781は、機械室42から左側壁12の下端内部に進入した後、上方へ向けて折れ曲がり外箱17の内側に接しつつ天井壁14付近に至るまで上方へ向かって延びる。そして、上段冷凍防露パイプ781は、左側壁12の上端部に至ると、前方へ向けて折れ曲がり左側壁12の上端縁部に沿って前方へ延び、断熱箱体11の開口111付近で下方へ向って折れ曲がる。そして、上段冷凍防露パイプ781は、左側壁12の前端内部を該左側壁12の前端縁部に沿って下方へ向って直線的に延びる。このとき、上段冷凍防露パイプ781は、左側壁12の前縁部よりもやや後方に位置している。
そして、上段冷凍防露パイプ781は、中段横枠部材21の高さ位置に至ると、前方へ向けて折れ曲がり左側壁12の前縁部まで進出すると、外箱17の内側に接しつつ再び垂直下方へ向って延び、底壁15付近に達すると後方へ向けて折れ曲がり左側壁12の下端部に沿って後方へ延びて、左側壁12の下後端部から機械室42内へ進入する。
以上のように上段冷凍防露パイプ781は、製氷室32及び下段冷凍室34の前面開口部の左縁部に設けられるとともに、左側壁12にも引き回されて設けられる。そして、上段冷凍防露パイプ781は、再び機械室42に戻って下段冷凍防露パイプ782の上流側の端部にロウ付けなどによって接続されている。
下段冷凍防露パイプ782は、機械室42から右側壁13の下端内部に進入した後、上方へ向けて折れ曲がり外箱17の内側に接しつつ天井壁14付近に至るまで上方へ向かって延びる。そして、下段冷凍防露パイプ782は、右側壁13の上端部に至ると、前方へ向けて折れ曲がり右側壁13の上端縁部に沿って前方へ延び、断熱箱体11の開口111付近で下方へ向って折れ曲がる。そして、下段冷凍防露パイプ782は、右側壁13の前端内部を該右側壁13の前端縁部に沿って下方へ向って直線的に延びる。このとき、下段冷凍防露パイプ782は、右側壁13の前縁部よりもやや後方に位置している。
そして、下段冷凍防露パイプ782は、中段横枠部材21の高さ位置に至ると、前方へ向けて折れ曲がり右側壁13の前縁部まで進出すると、右方へ向って折れ曲がり中段横枠部材21の内部へ入る。その後、下段冷凍防露パイプ782は、中段横枠部材21の内部を左方へ向って延び、左側壁12の手前で折り返し、途中で縦枠部材23の内部を引き回された後、再び右側壁13の前端部内に入る。その後、下段冷凍防露パイプ782は、下方へ向って折れ曲がり、該右側壁13の前端部内を下方へ延び、下段横枠部材22の高さ位置に達すると、右方へ向って折れ曲がり、下段横枠部材22の内部へ入る。その後、下段冷凍防露パイプ782は、下段横枠部材22の内部を左方へ向って延び、左側壁12の手前で折り返した後、下段横枠部材22の内部を右方へ向って延び、再び右側壁13の前端部内に入る。
その後、下段冷凍防露パイプ782は、下方へ向って折れ曲がり、該右側壁13の前端縁部に沿って下方へ延びる。そして、下段冷凍防露パイプ782は、底壁15付近に達すると、左方へ向って折れ曲がり、底壁15の前端部内に入り、底壁15の前端部内を左方へ向って延び、左側壁12の手前で折り返した後、底壁15の前端部内を右方へ向って延び、再び右側壁13の前端部内に入る。そして、下段冷凍防露パイプ782は、左側壁12の下端部内を該左側壁12の下端縁部に沿って後方へ延び、左側壁12の下後端部か機械室42へ進入する。機械室42内に入った下段冷凍防露パイプ782は、下流側の端部が、減圧装置66に接続される。
冷凍防露パイプ78を流れた冷媒は、キャピラリチューブからなる減圧装置66によって減圧され、その後、冷却器63で気化することにより冷却器63の温度を低下させる。冷却器63で低温となった冷媒は、サクションパイプ67を通る間にキャピラリチューブ等と熱交換され、ある程度昇温された状態で圧縮機61に取り込まれる。
以上のように下段冷凍防露パイプ782は、製氷室32及び下段冷凍室34の前面開口部の左側縁を除く製氷室32及び下段冷凍室34の前面開口部の周囲に沿って外箱17の内側に接触状態で設けられるとともに、右側壁13にも引き回されて設けられている。そして、下段冷凍防露パイプ782は、製氷室32及び下段冷凍室34の前面開口部の左縁部に設けられた上段冷凍防露パイプ781と機械室42において接続され、製氷室32、上段冷凍室33及び下段冷凍室34の前面開口部の周囲において上段冷凍防露パイプ781と分離している。
制御装置50は、機械室42の上方に断熱箱体11の後壁16の外側に沿わせて設けられている。制御装置50は、マイコン、メモリ等を備え、図5に示すように、湿度センサ27、庫外温度センサ28、冷蔵室温度センサ48、冷凍室温度センサ49、冷蔵ダンパ443、冷却器ファン45、冷凍ダンパ473、圧縮機61、放熱ファン64及び切替弁65が接続されており、各種センサ27、28、48、49から入力される検出信号と予めメモリに記憶された制御プログラムに基づいて、冷蔵ダンパ443及び冷凍ダンパ473の開閉や、冷却器ファン45及び放熱ファン64の回転速度や、圧縮機61の運転周波数や、切替弁65を制御して冷蔵庫10の動作全般を制御する。
このような構成の冷蔵庫10では、制御装置50が、冷蔵室温度センサ48及び冷凍室温度センサ49によって検出された庫内温度に基づいて、圧縮機61及び冷却器ファン45の駆動と、冷蔵ダンパ443及び冷凍ダンパ473の開閉とを制御することで、冷蔵温度帯の貯蔵室30,31の冷却と、冷凍温度帯の貯蔵室32,33,34の冷却を実行する。
そして、貯蔵室30,31,32,33,34の冷却に伴って圧縮機61が駆動することで冷凍サイクル60内を冷媒が循環するため、冷蔵防露パイプ77や冷凍防露パイプ78を流通する高温の冷媒の熱により、貯蔵室30,31,32,33,34の前面開口部の周縁部が加熱され、当該周縁部における結露を抑制する。その際、制御装置50は、湿度センサ27や、庫外温度センサ28や、冷蔵室温度センサ48や、冷凍室温度センサ49の検出値に基づいて切替弁65を制御する。
具体的には、制御装置50は、圧縮機61の駆動中において、湿度センサ27で検出される冷蔵庫10の設置雰囲気の湿度が所定値以上の場合、庫外温度センサ28で検出される冷蔵庫10の設置雰囲気の温度が所定値以上の場合、冷蔵室温度センサ48で検出される冷蔵室30の温度が所定値以下の場合、及び冷凍室温度センサ49で検出される下段冷凍室34の温度が所定値以下の場合のいずれかの場合に該当すると、貯蔵室30,31,32,33,34の前面開口部の周縁部に結露が生じやすい状況下にあると判断し、上記のいずれの場合にも該当しないと、貯蔵室30,31,32,33,34の前面開口部の周縁部に結露が生じにくい状況下にあると判断する。
そして、制御装置50は、結露が生じやすい状況下にあると判断すると、圧縮機61から圧送された冷媒を冷蔵防露パイプ77及び冷凍防露パイプ78に流通させるように切替弁65を制御し、結露が生じにくい状況下にあると判断すると、バイパスパイプ80によって冷蔵防露パイプ77を迂回し冷凍防露パイプ78のみに冷媒を流通させるように切替弁65を制御する。
以上のような本実施形態の冷蔵庫10では、切替弁65によって冷蔵防露パイプ77に流れる冷媒量を変更することができるため、結露が生じやすい状況下では、冷蔵防露パイプ77を流通する冷媒量を増加して冷蔵防露パイプ77及び冷凍防露パイプ78に冷媒を流通させて全ての貯蔵室30,31、32,33,34の前面開口部の周縁部を加熱することができ、結露を防止することができる。また、結露が生じにくい状況下では、冷蔵防露パイプ77及び冷凍防露パイプ78のうち冷凍用防露パイプ78のみに冷媒を流通させる、あるいは、冷蔵防露パイプ77を流通する冷媒量を低下させることで、冷凍温度帯の貯蔵室32,33,34に比べて庫内温度が高い冷蔵温度帯の貯蔵室30,31の前面開口部の周縁部が不必要に加熱されるのを抑えることができる。これにより、冷蔵庫10では、冷蔵防露パイプ77からの熱流入による冷蔵温度帯の貯蔵室30,31の温度上昇を抑制して冷却に要する消費電力を低減させることができ、高い省エネ効果を得ることができる。
また、本実施形態の冷蔵庫10では、冷凍防露パイプ78が、製氷室32、上段冷凍室33及び下段冷凍室34の前面開口部の周縁部だけでなく、左側壁12及び右側壁13の内部にも引き回されて設けられ、冷凍防露パイプ78の一部が、外箱17を介して庫外の空気と熱交換することで減圧装置66によって減圧される前の高温の液体冷媒を冷却する放熱パイプを兼ねている。そのため、冷凍防露パイプ78と放熱パイプの一部を同時に配設することができ組み立て作業工数を削減することができる。
また、本実施形態の冷蔵庫10では、冷凍防露パイプ78が、断熱箱体11の最下段に位置する下段冷凍室34の前面開口部の左縁部に設けられた上段冷凍防露パイプ781と、下段冷凍室34の前面開口部の右縁部に設けられた下段冷凍防露パイプ782とに分割され、上段冷凍防露パイプ781及び下段冷凍防露パイプ782が下段冷凍室34の前面開口部において左右に分離している。そのため、外箱17が、左側壁12、右側壁13及び天井壁14の外面を構成する下方に開口するコ字状に折り曲げられた鋼板で形成されたり、あるいは、左側壁12及び右側壁13の外面が別個の鋼板で形成されている場合に、外箱17の内側(庫内側)に冷凍防露パイプ78を固定してから外箱17を内箱18に組み付けることができ、断熱箱体11を製造が容易となる。
なお、上記した実施形態では、冷凍防露パイプ78の一部が左側壁12及び右側壁13の内部に引き回されて設けられている場合について説明したが、断熱箱体11の天井壁14の内部にも冷凍防露パイプ78の一部を設けてもよく、また、冷蔵防露パイプ77の一部を左側壁12や右側壁13や天井壁14の内部に引き回して設けてもよい。
また、制御装置50は、上記のように湿度センサ27、庫外温度センサ28、冷蔵室温度センサ48及び冷凍室温度センサ49のいずれか1つ又は2つ以上のセンサの検出値に基づいて貯蔵室30,31,32,33,34の前面開口部の周縁部に結露が生じやすい状況下にあるか否か判断して切替弁65を制御しても良い。
また、制御装置50は、上記のような湿度センサ27、庫外温度センサ28、冷蔵室温度センサ48及び冷凍室温度センサ49の検出値に基づいて切替弁65を制御することに換えて、例えば、圧縮機61の運転周波数が所定値以上であれば、結露が生じやすい状況下にあると判断して冷蔵防露パイプ77及び冷凍防露パイプ78に冷媒を流通させるように切替弁65を制御し、圧縮機61の運転周波数が所定値未満であれば、結露が生じにくい状況下にあると判断してバイパスパイプ80によって冷蔵防露パイプ77を迂回し冷凍防露パイプ78のみに冷媒を流通させるように切替弁65を制御してもよい。このような場合、センサを用いることなく簡便な構成によって圧縮機61の運転状況から結露が生じやすい状況下にあるか否か判断することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。