以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
本発明の具体的な実施例を説明する前に、本発明が適用される冷蔵庫の構成を図1及び図2に基づいて説明する。図1は冷蔵庫の正面外観図であり、図2は図1の縦断面を示す断面図である。尚、図2においては製氷室の断面は示されていない。
図1、及び図2において、冷蔵庫1は、上方から冷蔵室2、製氷室3及び上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6を有する。ここで、製氷室3と上部冷凍室4は、冷蔵室2と下部冷凍室5との間に左右に並べて設けている。尚、上部冷凍室4は下部冷凍室5より容積が小さく形成されており、少量の食品が冷凍、貯蔵されるものである。そして、各貯蔵室の温度は、一例として、冷蔵室2はおよそ+3℃、野菜室6はおよそ+3℃〜+7℃の冷蔵温度帯の貯蔵室である。また、製氷室3、上部冷凍室4及び下部冷凍室5は、およそ−18℃の冷凍温度帯の貯蔵室である。
冷蔵室2は前方側に、左右に分割された観音開き式(いわゆるフレンチ型)の冷蔵室扉(貯蔵室扉)2a、2bを備えている。製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6は夫々引き出し式の製氷室扉3a、上部冷凍室扉4a、下部冷凍室扉5a、野菜室扉6aを備えている。
また、各扉の貯蔵室の前面開口部に向かい合う側の面には、各扉の外縁に沿うように磁石が内蔵されたパッキング(図示せず)を設けており、各扉の閉鎖時、鉄板で形成された冷蔵庫外箱のフランジや後述の前板に密着し、貯蔵室内への外気の侵入、及び貯蔵室からの冷気の漏れを抑制する構成とされている。
ここで、図2に示すように冷蔵庫本体8の下部には機械室9が形成され、この中に圧縮機10が内蔵されている。冷却器収納室11と機械室10には水抜き通路12によって連通され、冷却器26の除霜水が排出できるようになっている。
図2に示すように、冷蔵庫本体8の庫外と庫内は、内箱と外箱との間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体13により隔てられている。また冷蔵庫本体8の断熱箱体13は複数の真空断熱材14を実装している。冷蔵庫本体8は、上側断熱仕切壁部15により冷蔵室2と上部冷凍室4及び製氷室3(図1参照、図2中で製氷室3は図示されていない)とが区画され、下側断熱仕切壁部16により下部冷凍室5と野菜室6とが区画されている。
冷蔵室2の最下端で上側断熱仕切壁部15の上面には減圧貯蔵室17が形成されており、この減圧貯蔵室17内の食品を取り出すために減圧貯蔵室扉を引き出す時に大気圧に戻され、減圧貯蔵室扉を元に戻すと真空ポンプが作動して減圧貯蔵室17を減圧するものである。また、下部冷凍室5の上部には横仕切部39を設けている。横仕切部39は、製氷室3及び上部冷凍室4と下部冷凍室5とを上下方向に仕切っている。また、横仕切部39の上部には、製氷室3と上部冷凍室4との間を左右方向に仕切る縦仕切部を設けている。
横仕切部39は、下側断熱仕切壁部16の前面及び左右側壁前面と共に、下部冷凍室扉5aの貯蔵室側の面に設けたパッキング(図示せず)と接触する。製氷室扉3aと上部冷凍室扉4aの貯蔵室側の面に設けたパッキング(図示せず)は、横仕切部39、縦仕切部、上側断熱仕切壁部15及び冷蔵庫本体8の左右側壁前面と接することで、各貯蔵室と各扉との間での冷気の移動をそれぞれ抑制している。
図2に示すように、上部冷凍室4、下部冷凍室5及び野菜室6は、それぞれの貯蔵室の前方に備えられた扉4a、5a、6aが取り付けられている。また、上部冷凍室4には上部冷凍貯蔵容器18が収納、配置され、下部冷凍室5には上段冷凍貯蔵容器19、下段冷凍貯蔵容器20が収納、配置されている。更に、野菜室6には上段野菜貯蔵容器21、下段野菜貯蔵容器22が収納、配置されている。
そして、製氷室扉3a、上部冷凍室扉4a、下部冷凍室扉5a及び野菜室扉6aは、それぞれ図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、製氷貯蔵容器3b(図示せず)、上部冷凍貯蔵容器18、下段冷凍貯蔵容器20、下段野菜貯蔵容器22が引き出せるようになっている。
詳しくは、下段冷凍貯蔵容器20は冷凍室扉内壁に取り付けられた支持アーム23に下段冷凍貯蔵容器20の側面上部のフランジ部が懸架されており、冷凍室扉5aを引き出すと同時に下段冷凍貯蔵容器20のみが引き出される。上段冷凍貯蔵容器19は冷凍室5の側面壁に形成された凹凸部(図示しない)に載置されており前後方向にスライド可能になっている。
下段野菜貯蔵容器22も同様にフランジ部が野菜室扉6aの内壁に取り付けられた支持アーム24に懸架され、上段野菜貯蔵容器21は野菜室側面壁の凹凸部に載置されている。また、この野菜室6には断熱箱体13に固定された電熱ヒータ6cが設けられており、この電熱ヒータ6cによって野菜室6が冷やし過ぎにならないように、野菜の貯蔵に適した温度になるようにしている。尚、この電熱ヒータ6cは必要に応じて設けられれば良いものであるが、本実施例では野菜の貯蔵がより適した雰囲気で行えるように電熱ヒータ6cを設けるようにしている。
次に冷蔵庫の冷却方法について説明する。冷蔵庫本体1には冷却器収納室11が形成され、この中に冷却手段として冷却器26を備えている。冷却器26(一例として、フィンチューブ熱交換器)は、下部冷凍室5の背部に備えられた冷却器収納室11内に設けられている。また、冷却器収納室11内であって冷却器26の上方には送風手段として送風ファン27(一例として、プロペラファン)が設けられている。
冷却器26で熱交換して冷やされた空気(以下、冷却器26で熱交換した低温の空気を「冷気」と称する)は、送風ファン27によって冷蔵室送風ダクト28、冷凍室送風ダクト29、及び図示しない製氷室送風ダクトを介して、冷蔵室2、製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、野菜室6の各貯蔵室へそれぞれ送られる。
各貯蔵室への送風は、冷蔵温度帯の冷蔵室2への送風量を制御する冷蔵室ダンパ30と、冷凍温度帯の冷凍室4、5への送風量を制御する冷凍室ダンパ31とにより制御される。ちなみに、冷蔵室2、製氷室3、上部冷凍室4、下部冷凍室5、及び野菜室6への各送風ダクトは、冷蔵庫本体8の各貯蔵室の背面側に設けられている。具体的には、冷蔵室ダンパ30が開状態、冷凍室ダンパ31が閉状態のときには、冷気は、冷蔵室送風ダクト28を経て多段に設けられた吹き出し口32から冷蔵室2に送られる。
また、冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室2の下部に設けられた冷蔵室戻り口から冷蔵室−野菜室連通ダクトを経て、下側断熱仕切壁部16の下部右奥側に設けた野菜室吹き出し口から野菜室6へ送風される。野菜室6からの戻り冷気は、下側断熱仕切壁部16の下部前方に設けられた野菜室戻りダクト入口から野菜室戻りダクト33を経て、野菜室戻りダクト出口から冷却器収納室13の下部に戻る。
図2に示すように、冷却器収納室11の前方には、各貯蔵室と冷却器収納室11との間を仕切る仕切部材34が設けられている。仕切部材34には、上下に一対の吹き出し口が形成されており、冷凍室ダンパ31が開状態のとき、冷却器126で熱交換された冷気が送風ファン27により、図示を省略した製氷室送風ダクトや上段冷凍室送風ダクトを経て吹き出し口35からそれぞれ製氷室3、上部冷凍室4へ送風される。また、下段冷凍室送風ダクトを経て吹き出し口36から下部冷凍室5へ送風される。
また、冷蔵庫本体10の天井壁上面側にCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御装置(図示せず)が設けられており、外気温度センサー(図示せず)、外気湿度センサー(図示せず)、冷却器温度センサー(図示せず)、冷蔵室温度センサー(図示せず)、野菜室温度センサー(図示せず)、冷凍室温度センサー(図示せず)、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの各扉の開閉状態をそれぞれ検知する扉センサー(図示せず)、冷蔵室2内壁に設けられた図示しない温度設定器等と接続されている。
そして、ROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機10のON、OFF等の制御、冷蔵室ダンパ30及び冷凍室ダンパ31を個別に駆動するそれぞれのアクチュエータの制御、送風ファン27のON/OFF制御や回転速度制御、扉開放状態を報知するアラームのON/OFF制御等を行うようになっている。また、本実施形態になる、機械室冷却ファンの速度制御や、キャピラリチューブの切り換え制御も行うようになっている。これの詳細は後述する。
図1に戻って、冷蔵室扉2aには入力制御部36が設けられており、この入力制御部36は上述した制御装置に接続されている。したがって、入力制御部36からの入力によって冷蔵庫1の各貯蔵室の温度を設定できるようになっている。例えば圧縮機10の回転数、送風ファン27の回転数、冷蔵室ダンパ30及び冷凍室ダンパ31の開閉や開閉量等を制御することで各貯蔵室の温度を制御するものである。本実施例では2つの温度設定部37、38が設けられており、温度設定部37は減圧貯蔵室に供給される冷気の制御を行い、温度設定部38は下部冷凍室4に設けられた下部貯蔵容器(図示せず)に供給される冷気の制御を行うものである。
冷蔵室扉2a、2b、製氷室扉3a、上部冷凍室扉4a、下部冷凍室扉5a及び野菜室扉6aが接する断熱箱体13の断熱仕切壁部15、16、横仕切部39の前方端部には、それぞれ鉄板で作られた前板40a、40b、40cを設けてある。また、冷蔵庫1の底面部に設けた断熱仕切壁部41の前方にも、前板40dを設けている。なお、断熱箱体13のうち、冷蔵室扉2a、2b、製氷室扉3a、上部冷凍室扉4a、下部冷凍室扉5a及び野菜室扉6aが閉状態で接する箇所を開口縁と称し、前板40a、40b、40c、40dはこの開口縁に設けられている。
製氷室扉3a、上部冷凍室扉4a、下部冷凍室扉5a及び野菜室扉6aを開くと、庫外の空気が開口に接触するため結露が生じるおそれがある。このため、これらの扉近くの開口には、冷媒が流れる結露抑制パイプを設けている。結露抑制パイプに高温冷媒を供給することで、開口縁の結露を抑制できる。結露抑制パイプは、前板40a、40b、40cで覆われている。この結露抑制パイプの構成は図4に示している通りであるが、これの詳細については図4において後述する。
図3は冷蔵庫1に設けた凝縮パイプの配置を示す図である。凝縮パイプとしては、例えば断熱箱体13の表面近傍に配した冷媒が流れる配管を採用できる。第1の凝縮パイプ42は、冷蔵庫1の背面側下部に設けた機械室9内に設置してある。この第1の凝縮パイプ42は、機械室9内に設けた機械室冷却ファン(図示せず)によって冷却されている。
第2の凝縮パイプ43と第3の凝縮パイプ44は冷蔵庫1の側面断熱壁内に埋設している。結露抑制パイプ45は、開口縁の一部又は全部に配設されている。第2の凝縮パイプ43、第3の凝縮パイプ44は、冷蔵庫1の側面に代えて天面や背面に沿って配置してもよい。また、第1の凝縮パイプ42、第2の凝縮パイプ43及び第3の凝縮パイプ44を全部備えることが好ましいが、何れか一つ以上を備えていれば良いものである。
結露抑制パイプ45は、野菜室6付近(領域A)、下部冷凍室5の中間(領域B)、上部冷凍室4の上部付近(領域C)に設けられており、高温の冷媒からの放熱によって開口縁を加熱している。この結露抑制パイプ45の端部は、冷媒が流れる配管が開口縁から離間する部分と考えてもよい。
図3では、冷媒が機械室9側から野菜室6下方の開口縁に向かって流れ、冷凍室7の開口縁を経た後に、下部冷凍室5及び野菜室6側方の開口縁を経てから機械室9側へ向かって流れる場合を例示している。この場合、結露抑制パイプ45は、後述するパイプ46から野菜室6下方の開口縁に至った点dを一端と、野菜室6側方の開口縁からパイプ47を経て後述する流路切換弁(図示せず)へ向かい始める点fを他端と考えることができる。
結露抑制パイプ45は、冷凍室扉3a、4a、5aに接する開口縁を含んで設けているが、野菜室6の野菜室扉6aに接する開口縁や観音式の冷蔵室の扉2a、2bに接する開口縁を含んで設けても良い。なお、冷蔵庫1の冷蔵室や冷凍室の室数は特に限定されないものであり、また、各貯蔵室の扉タイプは引き出し式と観音式の何れでも良いものである。
図4は開口縁の一例であり、上側断熱仕切壁部15、横仕切部39、下側断熱仕切壁部16の断面図である。冷蔵室扉2a、2b、製氷室扉3a、上部冷凍室扉4a、下部冷凍室扉5aが接する又は近傍に位置する前板40a、40b、40cと接触するように、結露抑制パイプ45を設けている。上側断熱仕切壁部15、横仕切部39、下側断熱仕切壁部16の内部には、発泡断熱材69が充填されている。同様に、上側断熱仕切壁部15、横仕切部39、下側断熱仕切壁部16と前板40a、40b、40cと協働して形成された空間にも発泡断熱材69が充填されており、この内部に結露抑制パイプ45が設けられている。各前板40a、40b、40c、発泡断熱材69、結露抑制パイプ45によって、扉仕切部68が形成されている。
結露抑制パイプ45に高温の冷媒を流すと、冷媒の熱により各前板40a、40b、40cを加熱して結露を抑制できる。また、上側断熱仕切壁部15、横仕切部39、断熱仕切壁16と同様に、野菜室扉6aが接する又は近傍に位置する断熱仕切壁部41の前板40dにも、結露抑制パイプ45を配設している。
図5は冷凍サイクルの構成を示す概略図である。冷蔵庫1は、冷凍サイクルによる冷媒の循環を利用して冷気を生成している。冷媒を圧縮する圧縮機10の吐出側のパイプ48には第1の凝縮パイプ42を接続している。第1の凝縮パイプ42から順番に、第2の凝縮パイプ43及び第3の凝縮パイプ44、流路切換弁49の開口50に接続されている。機械室9には第1の凝縮パイプ42を冷却する機械室冷却ファン51が設けられている。
流路切換弁49の内部には、流路52、53を設けた弁体54を備えている。流路切換弁49は4つの開口50、55、56、57と弁体54とを有している。例えばステッピングモータ(図示なし)などで弁体54を回転させることで、流路52、53と連通させる開口50、55、56、57を切換できる。
図5に例示した状態において、開口50、55は流路52とで連通し、開口56、57は流路53と連通している。次にこの状態における冷凍サイクルを説明する。
まず、パイプ58を通過して開口50から流路切換弁49の内部に流入した冷媒は、流路52、開口55を通過して、結露抑制パイプ45の一端及び流路切換弁49に接続するパイプ46へ流出する。冷媒はその後、結露抑制パイプ43の一端dから他端fに流れ、結露抑制パイプ45の他端及び流路切換弁49に接続するパイプ47を経て、開口57から流路切換弁49の内部に流入する。流路切換弁49の内部に流入した冷媒は、流路53、開口56を通過してパイプ59に流出する。
パイプ59に流出した冷媒は、ドライヤ60、減圧部61、パイプ62を経て冷却器63に流れる。冷却器63の出口側には、減圧部61の近傍に配されることで減圧部61を流れる冷媒と熱交換可能な熱交換部64を有するパイプ765が接続している。冷却器63を通過した冷媒は、パイプ65を経て圧縮機10の吸込側に流れる。
減圧部61は冷媒を減圧させるものであり、キャピラリチューブや膨張弁など、種々公知の構成を採用できるが、本実施形態ではキャピラリチューブを採用している。結露抑制パイプ45は、凝縮パイプ42、43、44及び結露抑制パイプ45の中で、最下流側に設けてあり、これらの中では減圧部61に最も近い位置に設けられている。
図6は結露抑制パイプ45を含む凝縮パイプ内部における冷媒の状態を模式的に表したものである。これに基づき、第1の凝縮パイプ42(区間a〜c)、第2の凝縮パイプ43及び第3の凝縮パイプ44(区間c〜d)、結露抑制パイプ45(区間d〜f)内部の冷媒状態を説明する。
図6に示した記号a〜fは、図5中に示した冷凍サイクルでの各位置に対応しており、符号aは圧縮機10の吐出側、記号bは冷媒が気相域から気液二相域になる点、記号cは第1の凝縮パイプ42と第2の凝縮パイプ43の間、記号dは結露抑制パイプ45の入口側の一端、記号eは冷媒が気液二相域から液相域になる点、記号fは結露抑制パイプ45の出口側の他端を表している。記号d、fは図3にも示している。ここでは、冷媒が結露抑制パイプ45の一端d側から他端f側に流れている場合を説明する。
圧縮機10で圧縮されて高温、高圧になった冷媒は、気相成分66から成る気相域である。冷媒は第1乃至第3の凝縮パイプ42〜44を通過して庫外に熱を放出し、結露抑制パイプ45の一端dに至るまでに、気相成分66と液相成分67の混合である気液二相域又は液相成分67から成る液相域のうち、エンタルピが大きい状態に変化するように、配管長さや機械室冷却ファン51の回転数などが調整されている。
結露の効果的な抑制の観点からは、結露抑制パイプ45の一端dを流れる冷媒は気液二相域が好ましい。また、結露抑制パイプ45の他端fを流れる冷媒が液相域になるように調整すると好ましい。ここでは、第1の凝縮パイプ42の途中まで(区間ab)が気相域になり、第1の凝縮パイプ42の途中から結露抑制パイプ45の途中まで(区間be)が気液二相域になり、結露抑制パイプ45の途中から他端まで(区間ef)が液相域になるように調整している。そのため、図5の冷媒の流れにおいて、結露抑制パイプ45の流入側である端部dに対し、流出側の端部fの方が温度は低くなる。
また、流路切換弁49を切換えることで、パイプ46、結露抑制パイプ45、及びパイプ47を冷媒が流れる順番を変更することができる。すなわち、第1状態では、冷媒はパイプ46、結露抑制パイプ45、パイプ47の順番に流れ、かつ、結露抑制パイプ45については一端dから他端fに向けて流れる。一方、第2状態ではパイプ47、結露抑制パイプ45、パイプ46の順番に流れ、かつ、結露抑制パイプ45については他端fから一端dに向けて流れる。
以上のような構成の冷蔵庫において、上述した通り、冷媒の量が減少したり、結露抑制パイプ45の冷媒が液相状態の割合が多くなると冷媒の温度は低いものとなり、結露抑制パイプ45が熱を断熱仕切壁部15、16、横仕切部39に充分なだけ与えることが難しくなり、断熱仕切壁部15、16、横仕切部39に結露が発生するようになる。
したがって、結露抑制パイプ45を流れる冷媒の量が減少したことや、冷媒の液相状態の割合が多くなったかどうかを判断することが重要である。更に、結露抑制パイプ45で冷媒が液相状態の割合が多くなった時に、これを気液二相状態、或いは気相状態にどのようにして戻すかという対策が必要である。次に本発明の実施形態について図7乃至図14を用いて説明する。
以下に説明する実施形態は、結露抑制パイプ45を流れる冷媒の量が減少したことや、冷媒の液相状態の割合が多くなったかどうかを簡単な構成で判断することができる、具体的な温度センサーの配置位置と組み付け構造を提案するものである。
このため、本実施形態では、温度センサーを結露抑制パイプに近接して配置したものである。更に好ましくは、温度センサーを結露抑制パイプの全長の約70%より下流側に配置したものである。これによれば、結露抑制パイプを流れる冷媒の量が減少したことや、冷媒の液相状態の割合が多くなったかどうかを簡単に判断することができる。
図7においては、上側断熱仕切壁部15付近の構成を示している。上側断熱仕切壁部15の上側には冷蔵室2が形成され、下側には上部冷凍室4が形成されている。そして、上側断熱仕切壁部15の前側に扉仕切部68を構成する前板40aが固定されており、この前板40aに冷蔵室扉2a、2b、製氷室扉3a、上部冷凍室扉4aが密着して閉じられるものである。
図8Aは扉仕切部68の前面を示しており、図8Bは前板40aを取り外した状態を示している。図8Aにある通り、扉仕切部68の前板40aには扉開閉検出組立体70が設けられている。この扉開閉検出組立体70はホール素子等の磁気センサーを利用したものであり、各扉のパッキングに設けた磁石の接近を検出して、扉の開閉を検出するものである。扉開閉検出組立体70は前板40aのほぼ中央付近に配置されている。
また、図8Bにある通り、前板40aを取り外すと結露抑制パイプ45が露出しており、結露抑制パイプ45と前板40aは実質的に接触状態となっている。これによって結露抑制パイプ45を流れる冷媒の熱は伝熱によって前板40aに効率よく伝えられるようになっている。そして、前板40aと結露抑制パイプ45の間の空間は、結露抑制パイプ45を流れる冷媒の温度をほぼ正確に表しているものである。
本実施形態では、この前板40aと結露抑制パイプ45の間の空間の温度を測定することで、結露抑制パイプ45を流れる冷媒の量が減少したことや、冷媒の液相状態の割合が多くなったかどうかを判断するようにしている。
図9に扉開閉検出組立体70の詳細を示している。この扉開閉検出組立体70は、冷蔵室扉2a、2b、製氷室扉3a、上部冷凍室扉4aを仕切る上側断熱仕切壁部15の扉仕切部68に取り付けられるものである。扉開閉検出組立体70は、合成樹脂製の収納ケース71と、これに収納される扉開閉検出基板72とから構成されている。そして、扉開閉検出基板72が収納ケース71の内部に収納されて、扉開閉検出組立体70が構成され、この扉開閉検出組立体70が前板40aに形成した取付孔を介して組み込まれるものである。
扉開閉検出基板72の一部には、ホール素子やこれの出力信号の増幅回路等からなる扉開閉検出部73と、結露抑制パイプ45を流れる冷媒の温度を検出する冷媒温度検出部74とが実装されている。冷媒温度検出部74は、サーミスタ等の検出素子75やこれの出力信号の増幅回路76等から構成されている。
そして、扉開閉検出組立体70は、前板40aに設けた取付孔に対して着脱可能になっている。更に、冷媒温度検出部74を備えた扉開閉検出基板72は、前板40aと結露抑制パイプ45の間の空間に配置されることになるので、結露抑制パイプ45を流れる冷媒の温度をほぼ正確に検出することができる。
また、既存の扉開閉検出組立体70を利用して冷媒温度検出部74を設けるようにしているので、温度センサーを配置する充分な空間を確保でき、更に保守、修理のサービス性の観点から、扉開閉検出組立体70、或いは扉開閉検出基板72を交換すれば良いので、製品化する観点から利便性を向上できるものである。
次に、上述した温度センサーの冷媒が流れる結露抑制パイプ45、及び結露抑制パイプ45を含めた凝縮パイプ42、43、44に関しての最適な配置位置について説明する。
図11は結露抑制パイプ45を流れる冷媒の相と温度の関係を示している。結露抑制パイプ45の下流側に向けて冷媒が進行するにつれて、冷媒は気液二相状態から液相が多くなる状態に変化していき、その平均温度は、結露抑制パイプ45を進行するにつれて低下していくようになる。そして、露点温度付近まで温度が低下すると結露を発生するようになる。したがって、この液相の割合が多くなる状態の結露抑制パイプ45の位置に温度センサーを設ければ、正確に結露を生じる温度を推定できる。
本発明者等の検討によれば、温度センサー75は、結露抑制パイプ45の入口dから結露抑制パイプ45の出口fまでの全長の約70%よりも下流に設ければ良いことが判明した。したがって、図9に示した扉開閉検出組立体70がこの範囲内に入るように、結露抑制パイプ45の長さを調整すれば、図9、図10に示した構成による上述した効果と合わせ、更に正確な温度を測定することができる。
また、結露抑制パイプ45を含めた凝縮パイプ42、43、44に関しての配置位置についても説明する。図6に示しているように、圧縮機10を出た気相の冷媒は、第1の凝縮パイプ42、第2の凝縮パイプ43及び第3の凝縮パイプ44を通って結露抑制パイプ45を進行する。そして、冷媒は気相状態から気液二相状態に変わり、更に気液二相状態から液相の割合が多くなる状態に変化していく。その平均温度は、冷媒が気液二相状態の凝縮パイプ42、43、44ではほぼ一定の温度であるが、結露防止パイプ45の途中で液相のみの状態となり低下していくようになる。そして、露点温度付近まで温度が低下すると結露を発生するようになる。
本発明者等の検討によれば、温度センサー75は、第1の凝縮パイプ42の入口aから結露抑制パイプ45の出口fまでの全長の約80%よりも下流に設ければ良いことが判明した。この場合も、図9に示した扉開閉検出組立体70がこの範囲内に入るように、凝縮パイプ42、43、44、45の長さを調整すれば、図9、図10に示した構成による上述した効果と合わせ、更に正確な温度を測定することができる。
次に、温度センサー75によって結露が発生することが検出された場合の対策について説明する。以下に説明する実施形態は、結露抑制パイプ45で冷媒が液相状態の割合が多くなった時に、これを気液二相状態、或いは気相状態に素早く戻すことができる具体的な制御装置を提案するものである。
このため、本実施形態では、温度センサー75を結露抑制パイプ45に近接して配置すると共、結露抑制パイプ45の温度が所定の判定温度閾値より低い場合は、凝縮パイプ42を冷却する機械室冷却ファン51の回転数を低下させるものである。これによれば、結露抑制パイプ45で冷媒が液相状態の割合が多くなった時に、これを気液二相状態、或いは気相状態に素早く戻すことができる。また、これに加えてキャピラリチューブを抵抗の小さいものに切り換えている。
ここで、本実施形態ではキャピラリチューブ60を2系統備える冷凍システムを利用している。図12において、第1のドライヤ60と第1のキャピラリチューブ61の他に、第2のドライヤ77と第2のキャピラリチューブ78が設けられ、第1のドライヤ60、第1のキャピラリチューブ61と、第2のドライヤ77、第2のキャピラリチューブ78は、電気的に制御される三方弁79によってパイプ59との接続状態が切り換えられる。
第2のキャピラリチューブ78は、第1のキャピラリチューブ61より抵抗が小さい大径のキャピラリチューブである。ここで、第1のキャピラリチューブ61は低負荷用の小径のキャピラリチューブであり、第2のキャピラリチューブ77は高負荷用の大径のキャピラリチューブである。
次に、図13において結露を抑制するための制御方法を実施した時のタイムチャートについて説明する。
制御装置には、外気温度センサー、湿度温度センサー、仕切温度センサー(本実施形態の温度センサー75であり、以下温度センサー75と表記する)の検出信号が入力されている。また、制御装置からは機械室冷却ファン51の制御信号、圧縮機10の制御信号、及びキャピラリチューブ61、78の切り換え制御信号が出力されている。
そして、時刻t1までは機械室冷却ファン51は高速回転されると共に圧縮機10も運転され、小径側のキャピラリチューブ61に冷媒が流れている。そして、時刻t1に達すると、機械室冷却ファン51の回転が停止され、同様に圧縮機10の運転が停止される。この時は冷媒が圧縮機10から吐出されないので、キャピラリチューブ61には冷媒が流れない。したがって、結露抑制パイプ45にも冷媒が流れないので、温度センサー75によって検出された温度(以下、扉仕切部68の温度を表している)は徐々に低下している。
この状態で、外気温度が上昇すると仕切温度判定閾値Tpthもこれに連動して上昇している。ここで冷蔵庫庫内の温度が上昇、または温度センサー75の検出温度が所定下限温度に達すると、時刻t2で機械室冷却ファン51は再び高速回転されると共に圧縮機10も運転再開され、小径側のキャピラリチューブ61に冷媒が流れ始める。
このため、結露抑制パイプ45にも冷媒が流れ温度が上昇していくが、何らかの原因で結露抑制パイプ45を流れる冷媒が液相の状態の割合が多くなると、結露抑制パイプ45での温度上昇が充分でなくなる。このため、図4に示す扉仕切部68の前板40aに結露を生じる恐れが出てくるようになる。
この結露の発生を抑制するため、時刻t2での圧縮機10、及び機械室冷却ファン51の運転を再開すると共に、この再開を起点として所定の判定待ち時間Tfが経過した時刻t3で、温度センサー75で検出された温度と仕切温度判定閾値Tpthを比較する。この判定待ち時間Tfは、圧縮機10、及び機械室冷却ファン51の運転による冷媒によって、結露抑制パイプ45の温度が上昇したことを検出するための時間である。
この時、温度センサー75で検出された温度に対して、仕切温度判定閾値Tpthの方が高いと結露を生じ易く、仕切温度判定閾値Tpthの方が低いと結露を生じにくくなる。したがって、時刻t3では、温度センサー75で検出された温度に対して、仕切温度判定閾値Tpthの方が高くなっているので、結露を生じ易いと判断されている。
時刻t3においては、先ず機械室冷却ファン51の回転数を高速回転から低速回転に移行させている。これは制御装置による冷媒の温度を高める制御機能に相当する。これによって、第1の凝縮パイプ42を流れる冷媒の放熱量を減少させて、冷媒温度の低下を抑制している。これによって、結露抑制パイプ45に至る冷媒の温度が高くなるので、時刻t3から扉仕切部68の温度が更に高くなる。
次に、機械室冷却ファン51の回転数が低下されたことを起点としてTcが経過した時刻t4で、温度センサー75で検出された温度と仕切温度判定閾値Tpthを比較する。この判定待ち時間Tcは、機械室冷却ファン51を低速にしたことによる冷媒の温度上昇によって、結露抑制パイプ45の温度が上昇したことを検出するための時間である。
時刻t4では、機械室冷却ファン51の回転数を低下して冷媒の温度を高めたことが奏功して、扉仕切部68の温度が高くなり温度センサー75の検出温度が高くなっている。したがって、時刻t4では、温度センサー75で検出された温度に対して仕切温度判定閾値Tpthの方が低いので、この状態を維持している。
次に、この状態から時刻t5に達した時の状態を説明する。時刻t5においては、使用者がお湯を沸かしたりして室内の湿度が上昇した場合を示している。このように湿度が高くなると結露が発生しやすくなるので、仕切温度判定閾値Tpthは高くなる方向に設定される。
時刻t5に達すると、機械室冷却ファン51の回転が停止され、同様に圧縮機10の運転が停止される。この時は冷媒が圧縮機10から吐出されないので、キャピラリチューブ61には冷媒が流れない。したがって、結露抑制パイプ45にも冷媒が流れないので、温度センサー75の温度は徐々に低下している。
そして、この状態で、湿度が上昇すると仕切温度判定閾値Tpthもこれに連動して上昇している。ここで冷蔵庫庫内の温度が上昇、または温度センサー75の検出温度が所定下限温度に達すると、時刻t6で機械室冷却ファン51は再び高速回転されると共に圧縮機10も運転再開され、小径側のキャピラリチューブ61に冷媒が流れ始める。このため、結露抑制パイプ45にも冷媒が流れて温度が上昇していくが、上述したように結露抑制パイプ45を流れる冷媒が液相の状態の割合が多くなると、温度上昇が充分でなくなる。このため、図4に示す扉仕切部68の前板40aに結露を生じるようになる。
この結露の発生を抑制するため、時刻t6での圧縮機10、及び機械室冷却ファン51の運転を再開し、この再開を起点として所定の判定待ち時間Tfが経過した時刻t7で、温度センサー75で検出された温度と仕切温度判定閾値Tpthを比較する。時刻t7では、温度センサー75で検出された温度に対して、仕切温度判定閾値Tpthの方が高いと判断されているので、結露を生じ易いと判断される。
したがって、時刻t7においては、先ず機械室冷却ファン51の回転数を高速回転から低速回転に移行させている。これによって、第1の凝縮パイプ42を流れる冷媒の放熱量を減少させて、冷媒温度の低下を抑制している。これによって、結露抑制パイプ45に至る冷媒の温度が高くなるので、時刻t7から扉仕切部68の温度が高くなる。
次に、機械室冷却ファン51の回転数が低下されたことを起点として所定の判定待ち時間Tcが経過した時刻t8で、温度センサー75で検出された温度と仕切温度判定閾値Tpthを比較する。この時、機械室冷却ファン51の回転数を低下して冷媒の温度を高めているが、湿度の上昇によって仕切温度判定閾値Tpthが高くなっている。このため、温度センサー75の検出温度が高くなっても、時刻t8では、温度センサー75で検出された温度に対して仕切温度判定閾値Tpthの方が高くなる。したがって、仕切温度判定閾値Tpthの方が高いので、結露を生じ易いと判断される。
この状態では、既に機械室冷却ファン51の回転数を低回転としているため、冷媒の温度を高めることができなくなっている。そこで、本実施形態では時刻t8において、三方弁79を切り換えて抵抗の大きい第1のキャピラリチューブ61から、抵抗の小さい第2のキャピラリチューブ78に切り換えている。これは制御装置による冷媒の流量を増加する制御機能に相当する。これによって第2のキャピラリチューブ78を流れる冷媒の量が多くなり、これに伴って結露抑制パイプ45に流れる高温の冷媒の量も多くなり、扉仕切部68の温度が高くなって結露の発生を抑制することができるようになる。
尚、上述した所定の判定待ち時間Tf、Tcは任意の時間であるが、外気温度、外気湿度、圧縮機能力、冷却ファン能力等によって適切に設定することができる。また、所定下限温度についても適切に設定することができる。また、本実施形態では、機械室冷却ファンの速度制御とキャピラリチューブの切り換え制御を行なっているが、どちらか一方の制御であっても差し支えないものである。冷蔵庫のシステムによって、機械室冷却ファンの速度制御だけを行うか、キャピラリチューブの切り換え制御だけを行なうか、或いは、機械室冷却ファンの速度制御とキャピラリチューブの切り換え制御の両方を行うか、適切に選択すれば良いものである。
次に、上述したタイムチャートを実行する制御フローについて説明する。図14においては、機械室冷却ファンの速度制御とキャピラリチューブの切り換え制御の両方を行う場合を示している。尚、このフローは時刻t1〜時刻t4、或いは時刻t5〜時刻t8までの制御について示している。
ステップS10で圧縮機10の運転を再開し、ステップS11で同様に機械室冷却ファン51の高速運転を再開する。この状態で、ステップS12で三方弁79によって低負荷用キャピラリチューブ61を選択する。
次に、ステップS13で図13に示すように所定の判定待ち時間Tfが経過したかどうかを判定し、判定待ち時間Tfが経過すると、ステップS14に移行する。ステップS14では、扉仕切部68の温度を温度センサー75で検出し、仕切温度判定閾値Tpthより高いかどうかを判断する。扉仕切部68の温度の方が高いと判断されると、再びステップS11に戻り、機械室冷却ファン51の高速運転を継続する。
一方、扉仕切部68の温度の方が仕切温度判定閾値Tpthより低いと判断されるとステップS15に移行して、機械室冷却ファン51を低速運転に変更する。そして、ステップS16で図13に示すように所定の判定待ち時間Tcが経過したかどうかを判定し、判定待ち時間Tcが経過すると、ステップS117に移行する。ステップS17では、再び扉仕切部68の温度を温度センサー75で検出し、仕切温度判定閾値Tpthより高いかどうかを判断する。扉仕切部68の温度の方が高いと判断されると、再びステップS12に戻り、低負荷用キャピラリチューブ61の選択を継続し、更に機械室冷却ファン51の低速運転を継続する。
一方、扉仕切部68の温度の方が仕切温度判定閾値Tpthより低いと判断されるとステップS18に移行して、低負荷用キャピラリチューブ61から高負荷用キャピラリチューブ77を選択してステップS16に戻る。尚、この場合も機械室冷却ファン51は低速運転を継続されている。
このような制御フローを実行して、扉仕切部68に結露が発生するのを抑制することが可能となる。
次に、図5に示した冷凍サイクルとは異なった冷凍サイクルについても本発明は適用できるものである。
図15において、冷凍サイクルは、冷媒切換弁80に加えて、圧縮機10、凝縮器81(凝縮パイプ42、43、44に対応)、結露抑制パイプ82、第1キャピラリチューブ83、第2キャピラリチューブ84、冷却器85、配管86、87、88、89を有している。
冷媒切換弁80の冷媒流入口Aには、冷媒流入口A側から順に、配管86、凝縮器81、圧縮機10、冷却器85が接続されている。冷媒は、圧縮機12で高温、高圧となって凝縮器81と配管86を流れて冷媒流入口Aに到達する。
開口B-1、B-3には、それぞれ結露抑制パイプ82の一端及び他端が接続している。また、開口B-2には第1キャピラリチューブ83の一端が接続し、開口B-4には第2キャピラリチューブ84の一端が接続している。第1キャピラリチューブ83及び第2キャピラリチューブ84の他端は、それぞれ合流部90で接続している。第1キャピラリチューブ83又は第2キャピラリチューブ84を通過した冷媒は、合流部90を通過した後、冷却器85に流入して再び圧縮機10に戻る。第1キャピラリチューブ83と第2キャピラリチューブ84では、通過する冷媒の減圧量が異なっており、例えば、第1キャピラリチューブ83は低負荷用であり、第2キャピラリチューブ84は高負荷用である。それぞれのキャピラリチューブの直径を上述したように異なるものに構成すれば良いものである。
そして、圧縮機12により圧縮された高温、高圧の冷媒は、凝縮器81に流入し、凝縮器81で空気(庫外空気)と熱交換することにより冷却される。凝縮器81から流出した冷媒は、冷媒配管86を経て、流体切換弁80の冷媒流入口Aに流入する。冷媒は各モードに応じて流通した後、開口B-2又は開口B-4によって流体切換弁80の下流に流れる。
更に冷媒は、第1キャピラリチューブ83又は第2キャピラリチューブ84によって減圧されて低温、低圧となり、合流部90に至る。その後、冷媒は冷却器85に流入し、周囲空気と熱交換して圧縮機10に戻る。冷却器85で冷やされた空気は冷気となって冷蔵庫1の各貯蔵室に分配、供給される。
次に冷媒切換弁80の切り換え動作に基づき実行される各モードについて簡単に説明する。
第1モードは、結露抑制パイプ82及び第1キャピラリチューブ83に冷媒を流通させるモードである。冷媒は、冷媒流入口A、開口B-1を通り、結露抑制パイプ82を通過して開口B-3及び開口B-2を通って第1キャピラリチューブ83に流れる。
第2モードは、第1キャピラリチューブ83だけに冷媒を流通させるモードである。冷媒は、冷媒流入口Aから直接的に開口B-2を通り、第1キャピラリチューブ83に流れる。このモードでは、冷媒は結露抑制パイプ82には送り出されない。
第3モードは、結露抑制パイプ82及び第1キャピラリチューブ83に冷媒を流通させるモードである。冷媒は、冷媒流入口Aから開口B-3を通り、結露抑制パイプ82を通過して開口B-1及び開口B-2を通って第1キャピラリチューブ83に流れる。この場合は、第1モードに比べて結露抑制パイプ82を流れる冷媒の流れ方向は逆方向である。
第4モードは、開口B-2、B-4を共に閉塞し、冷媒の流通を遮断しているモードである。本実施形態ではこのとき、圧縮機10を停止させている。
第5モードは、結露抑制パイプ82及び第2キャピラリチューブ84に冷媒を流通させるモードである。冷媒は、冷媒流入口Aから開口B-3を通り、結露抑制パイプ82を通過して開口B-1及び開口B-4を通って第2キャピラリチューブ84に流れる。この場合も、第1モードに比べて結露抑制パイプ82を流れる冷媒の流れ方向は逆方向である。
第6モードは、第2キャピラリチューブ84だけに冷媒を流通させるモードである。冷媒は、冷媒流入口Aから直接的に開口B-4を通り、第2キャピラリチューブ84に流れる。このモードでは、冷媒は結露抑制パイプ82には送り出されない。
第7モードは、結露抑制パイプ82及び第2キャピラリチューブ84に冷媒を流通させるモードである。冷媒は、冷媒流入口Aから開口B-1を通り、結露抑制パイプ82を通過して開口B-3及び開口B-4を通って第2キャピラリチューブ84に流れる。この場合は、結露抑制パイプ82を流れる冷媒の流れ方向は第1モードと同じ方向である。
このような構成の冷凍サイクルであっても、上述したように機械室冷却ファンの速度制御だけを行うか、キャピラリチューブの切り換え制御を行なうか、或いは、機械室冷却ファンの速度制御とキャピラリチューブの切り換え制御の両方を行うか、適切に選択すれば良いものである。
以上述べた通り、本発明では温度センサーを結露抑制パイプに近接して配置した構成としている。更に好ましくは、温度センサーを結露抑制パイプの全長の約70%より下流側に配置した構成としている。これによれば、結露抑制パイプを流れる冷媒の量が減少したことや、冷媒の液相状態の割合が多くなったかどうかを簡単に判断することができる。
また、本発明では温度センサーを結露抑制パイプに近接して配置すると共、結露抑制パイプの温度が所定の判定温度閾値より低い場合は、凝縮パイプを流れる冷媒の温度を高める、或いは冷媒の流量を増加する構成としている。これによれば結露抑制パイプで冷媒が液相状態の割合が多くなった時に、これを気液二相状態、或いは気相状態に素早く戻すことができる。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。