本発明に関する冷蔵庫の実施例1について説明する。図1は実施例1に係わる冷蔵庫の正面図、図2は図1のA−A断面図である。冷蔵庫1の箱体10は、上方から冷蔵室2、左右に併設された製氷室3と上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の順番で貯蔵室を有している。冷蔵庫1はそれぞれの貯蔵室の開口を開閉するドアを備えている。これらのドアは、冷蔵室2の開口を開閉する、左右に分割された回転式の冷蔵室ドア2a、2bと、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6の開口をそれぞれ開閉する引き出し式の製氷室ドア3a、上段冷凍室ドア4a、下段冷凍室ドア5a、野菜室ドア6aである。以下では、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5は、まとめて冷凍室7と呼ぶ。
ドア2aには庫内の温度設定の操作を行う操作部26を設けている。冷蔵庫1とドア2a、2bを固定するためにドアヒンジ(図示せず)が冷蔵室2上部及び下部に設けてあり、上部のドアヒンジはドアヒンジカバー16で覆われている。
図2に示すように、外箱10aと内箱10bとの間に発泡断熱材を充填して形成される箱体10により、冷蔵庫1の庫外と庫内は隔てられている。箱体10には発泡断熱材に加えて複数の真空断熱材25を、鋼板製の外箱10aと合成樹脂製の内箱10bとの間に実装している。各貯蔵室は断熱仕切壁28によって、冷蔵室2と上段冷凍室4、及び製氷室3が隔てられ、また、同様に断熱仕切壁29によって下段冷凍室5と野菜室6が隔てられている。また、製氷室3、上段冷凍室4、及び下段冷凍室5の各貯蔵室の前面側には、ドア3a、4a、5aの隙間から冷凍室7内の空気が庫外へ漏れないように、断熱仕切壁30を設けている。
冷蔵室2にはドア2a、2bの庫内側には複数のドアポケット33a、33b、33cと、複数の棚34a、34b、34c、34dを設け、複数の貯蔵スペースに区画されている。冷凍室7及び野菜室6には、それぞれドア3a、4a、5a、6aと一体に引き出される製氷室容器(図示せず)、上段冷凍室容器4b、下段冷凍室容器5b、野菜室容器6bを備えている
断熱仕切壁28の上方には、貯蔵室35を設けている。一般に、貯蔵室35は冷蔵室2の温度帯よりも低めに設定されたチルドルームを設けていることが多い。貯蔵室35内の温度調整は、例えば、貯蔵室35の後方部の冷蔵室冷気ダクト11の途中に設けた専用の風量調整装置(図示せず)によって行なわれ、貯蔵室35が冷え過ぎた場合は、貯蔵室35の下部に設けた温度調整用のヒータ19によって加熱する場合もある。
冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6間を仕切る断熱仕切壁28、30、29の前方端部には、それぞれ鋼板製の仕切カバー36a、36b、36cを設けてある。箱体10のうち、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6aが閉状態で当接する仕切カバー36a、36b、36c及び外箱10aを開口縁と呼ぶ。開口縁の一部を構成する仕切カバー36a、36b、36cを、以下で仕切部200と呼ぶ。すなわち、仕切部200は冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6間を仕切るとともに、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6aが閉状態で当接する箇所である。この仕切部200は、各ドア2a、3b、3a、4a、5a、6a間の隙間や、ドア2a、3b、3a、4a、5a、6aと箱体10との隙間等により庫外の空気と接触し、結露が生じるおそれがある。このため、これらのドア近くの開口には、冷媒が流れる配管(結露抑制器53、図3等参照)を設けている。後述する圧縮機24から吐出する高温の冷媒を結露抑制器53に供給することで、仕切部200の結露を抑制できる。結露抑制器53は、仕切部200を構成する仕切カバー36a、36b、36cにより覆われている。
冷却器14は下段冷凍室5の略背部に備えた冷却器収納室8内に設けてあり、冷却器14の上方に設けた庫内ファン9により、冷却器14と熱交換した冷気が冷蔵室冷気ダクト11、上段冷凍室冷気ダクト12、下段冷凍室送風ダクト13、及び製氷室送風ダクト(図示せず)を介して、冷蔵室2、上段冷凍室4、下段冷凍室5、製氷室3の各貯蔵室へ吐出口11a、11b、11c、及び12a、13a、13bからそれぞれ送られる。冷蔵室2、及び冷凍室7への冷気の送風は、冷蔵室ダンパ20と冷凍室ダンパ21の開閉により制御される。
冷却器14の下部にはラジアントヒータ22を設けている。除霜時に発生したドレン水(融解水)は樋23に一旦落下し、ドレン孔27を介して圧縮機24の上部に設けた蒸発皿32に排出される。冷蔵庫1の背面下部に設けた機械室39内には、圧縮機24の他に図5に記載の第一の放熱器50と機械室ファン54が配置されている。
冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、野菜室温度センサ43を設け、冷却器14の上部には冷却器温度センサ40を設け、これらのセンサにより、冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6、及び冷却器14の温度を検知している。また、冷蔵庫1の天井部のドアヒンジカバー16の内部には、外気(庫外空気)の温度、湿度を検知する外気温度センサ37、外気湿度センサ38を設けている。その他のセンサとして、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知するドアセンサ(図示せず)や、後述する仕切部温度検知手段である仕切部温度センサ100等も設けている。
冷蔵庫1の上部には、制御装置の一部であるCPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御基板31を配置している。制御基板31は、冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42、野菜室温度センサ43、冷却器温度センサ40等と接続され、前述のCPUは、これらの出力値や操作部26の設定、前述のROMに予め記録されたプログラム等を基に、圧縮機24や庫内ファン9、冷蔵室ダンパ20、冷凍室ダンパ21、後述する冷媒制御弁47の制御等を行っている。
冷蔵室2を冷却する冷蔵室冷却運転の場合には、冷蔵室ダンパ20を開、冷凍室ダンパ21を閉にし、冷蔵室冷気ダクト11に設けた吐出口11a、11b、11cから冷蔵室2に冷気が送られる。冷蔵室2を冷却した後の冷気は、冷蔵室2下部に設けた冷気戻り口(図示せず)に流入し、その後、冷却器14に戻る。
冷凍室7を冷却する冷凍室冷却運転の場合には、冷蔵室ダンパ20を閉、冷凍室ダンパ21を開にし、上段冷凍室冷気ダクト12、及び下段冷凍室冷気ダクト13のそれぞれに設けた複数の吐出口12a、13a、13bから冷気が吐出されて、上段冷凍室4、下段冷凍室5、及び製氷室3を冷却した後、冷凍室冷気戻り部17から冷却器14に戻る。
冷蔵室2、及び冷凍室7の温度は、庫内に設けた冷蔵室温度センサ41、冷凍室温度センサ42で検知され、庫内の温度に応じて冷蔵室2と冷凍室7を同時に冷却する運転もあり、その場合には冷蔵室ダンパ20と冷凍室ダンパ21をいずれも開にして各貯蔵室に冷気を送風する。
野菜室6の冷却手段については種々の方法があるが、例えば、冷蔵室2を冷却した後に野菜室6に冷気を送る方法や、野菜室6専用の風量調整装置(図示せず)を用いて、冷却器14で熱交換して発生した冷気を直接野菜室6に送る方法がある。本実施例においては、野菜室6への冷気の供給方法についてはいずれの場合でも良い。図2の記載例では、野菜室6に流入した冷気は、断熱仕切壁29の下部前方に設けた野菜室側の冷気戻り部18aから野菜室冷気戻りダクト18を介して、野菜室冷気戻り部18bから冷却器14下部に流入する。
図3は実施例1の冷蔵庫1に設けた放熱器の配置を示す図である。実施例1では、放熱手段として、第一の放熱器50(図5参照)と、第二の放熱器51、第三の放熱器52とを備え、また仕切部200の加熱手段として結露抑制器53を備えている。第一の放熱器50は、冷蔵庫1の背面側下部に設けた機械室39内に設置してある。なお、本実施の形態例の第一の放熱器50はフィンチューブ式熱交換器で、機械室ファン54(図5参照)により放熱能力を調整することができる。第二の放熱器51と第三の放熱器52は鋼板製の外箱10aを放熱面とする熱交換器であり、外箱10aの内側(箱体10内)の面に冷媒配管をテープ等で固定し略接触させることで形成される。なお、第二の放熱器51、第三の放熱器52は、冷蔵庫1の側面に代えて天面や背面に沿って配置してもよい。また、第一の放熱器50、第二の放熱器51及び第三の放熱器52を全部備えることが好ましいが、何れか一つ以上を備えていればよい。
結露抑制器53は、冷凍室7及び野菜室6周辺の仕切部200及び外箱10aの内側に設けられた冷媒配管で、冷媒からの放熱によって仕切部200を加熱する加熱手段である。図3に示す冷媒の流れ方向は、後述する弱第一モード又は強第一モード時の冷媒の流れで、冷媒は機械室39側から野菜室6下方から野菜室6上方の領域Aに向かって流れ、領域Aから順に冷凍室7の中央付近の領域B、冷凍室7の上部の領域Cを経た後に、冷凍室7及び野菜室6側方を経てから機械室39側へ向かって流れる構成としている。領域A、領域B、領域Cは、それぞれ図1、図2に示す断熱仕切壁29(仕切カバー36c)、断熱仕切壁30(仕切カバー36b)、断熱仕切壁28(仕切カバー36a)内の結露抑制器53を表す。ここで、結露抑制器53と配管57との接続部を接続部d、結露抑制器53と配管58との接続部を接続部fとする。なお、結露抑制器53は、仕切部200を含むように冷凍室ドア3a、4a、5a、及び野菜室ドア6aの周囲の開口縁に設けているが、冷蔵室2の周囲の開口縁を含んで設けても良い。また、冷蔵庫1の冷蔵室2や冷凍室7の室数は特に限定されない。また、各貯蔵室のドアタイプは引き出し式と回転式の何れでも良い。
図4は断熱仕切壁28の断面模式図である。仕切部200の一部を構成する仕切カバー36aと略接触するように、断熱仕切壁28内に結露抑制器53の配管を設けている。断熱仕切壁28は上下を冷蔵室2と冷凍室7により冷却され、外気と接する仕切カバー36aは低温になり易い。そのため、仕切カバー36aの表面が露点温度以上になるよう、結露抑制器53に冷媒を流し、熱流44により仕切カバー36aを加熱して結露を抑制している。一方、結露抑制器53の熱は庫内(主に冷凍室7)にも流入する(熱流45)。
断熱仕切壁28と同様に、仕切部を構成する仕切カバー36b、36cを備える断熱仕切壁29、30内にも、それぞれ仕切カバー36b、36cに略接触するように結露抑制器53を配設している。
なお、本実施の形態例では、図3で示したように冷凍室7、野菜室6の側方、及び野菜室6の下部の開口縁も結露抑制器53により加熱している。これら仕切部200以外の開口縁は、一方を冷凍室7又は野菜室6により冷却されるが、他方は外気に接しているため、図4で示した上下を貯蔵室(冷蔵室2、冷凍室7、又は野菜室6)により冷却される仕切部200に比べて低温になり難い。すなわち、仕切部200を除く開口縁は、仕切部200(仕切カバー36a、36b、36c)に比べて結露抑制器53による加熱量が少なくてもよい。或いは結露抑制器53による加熱を行わなくてもよい。
図5は、実施例1の冷蔵庫が備える6つのモードの各冷凍サイクル構成の概略図である。実施例1では、結露抑制器53の温度制御手段である冷媒制御弁47により、6つのモードを切換えることが可能である。なお、本実施の形態例の冷媒はイソブタンであり、冷媒量は85gである。
冷蔵庫1は、冷凍サイクルによる冷媒の循環を利用して冷気を生成している。冷媒を圧縮する圧縮機24の吐出側の配管55には第一の放熱器50が接続されている。第一の放熱器50から順に、第二の放熱器51、第三の放熱器52、冷媒制御弁47の入口側の開口82が接続されている。冷媒制御弁47の内部には、弁座90と弁体89を備えている。弁座90には配管56、57、58、91、92にそれぞれ接続される開口82、83、85、86、84が備えられている。冷媒制御弁47は、例えばステッピングモータ(図示せず)などで弁体89を回転させることで、入口側の開口82と連通させる開口83〜86、及び開口83〜86間で連通させる開口を切換えることで冷媒流路を制御する五方弁である。また、実施例1では、冷媒の減圧手段として第一のキャピラリチューブ67aと第二のキャピラリチューブ67bを備えている。第一のキャピラリチューブ67aに比べ、第二のキャピラリチューブ67bの方が流路抵抗を小さくしている。以降、第一のキャピラリチューブ67aと第二のキャピラリチューブ67bの総称としてキャピラリチューブ67と呼ぶことがある。
図5中(a)に示した弱第一モードでは、開口82、83を連通させ、開口85、86を連通させている。この時の冷媒の流れを説明する。圧縮機24により圧縮され高温高圧となった冷媒は、圧縮機24の吐出側の配管55から、第一の放熱器50、第二の放熱器51、第三の放熱器52を流れて配管56に至る。弱第一モードでは、配管56に流れた冷媒は開口82から冷媒制御弁47に入り、開口83を通過して冷媒制御弁47から配管57に流れる。冷媒は配管57に接続した結露抑制器53の接続部dから、図3に示した領域A、領域B、領域Cの順に流れた後、結露抑制器53の接続部fに接続した配管58に流れ、配管58と接続されている開口85から再び冷媒制御弁47に入る。冷媒制御弁47に流入した冷媒は、溝87によって開口85と開口86が連通されることで、配管91に流れ、ドライヤ66、減圧手段である第一のキャピラリチューブ67aに向かう。
第一のキャピラリチューブ67aにより減圧されて低温低圧となった冷媒は、配管68を経て冷却器14に流れ、庫内の空気と熱交換する。冷却器14の出口側には、第一のキャピラリチューブ67aの近傍に配されることで第一のキャピラリチューブ67aを流れる冷媒と熱交換可能な熱交換部69を有する配管70が接続されている。なお、熱交換部69は第二のキャピラリチューブ67bと配管70の熱交換も可能である。冷却器14を通過した冷媒は、配管70を経て圧縮機24の吸込側に流れる。
なお、詳細は図9等を用いて後述するが、結露抑制器53にて液相域となり、結露抑制器53下流側の配管58、92、及びドライヤ66は、外気温(外気の温度)よりも低温の冷媒が流れることがある。従って、外気から冷媒が吸熱を行わないように、また結露が生じないように、外気との熱交換を抑制する構造をとっている。具体的には、配管58、92は外箱10aの側面、天面、背面へのテープ等による固定は行わず、側面、天面、背面を介した外気との熱交換を抑えている。さらに、配管58、92、及びドライヤ66の合計配管長さも、放熱側(圧縮機24の吐出口から第一のキャピラリチューブ67aまで)の配管長さの10%以下、本実施の形態例では約5%と短くすることで、結露抑制器53より下流の配管58、92、及びドライヤ66の外気との熱交換を抑えている。
次に、図5中(b)に示す弱第二モードについて説明する。弱第二モードでは、開口82と86を連通させ、開口83、84、85を閉塞させている。したがって、パイプ56を経て開口82から冷媒制御弁47に流入した冷媒が、結露抑制器53をバイパスし、開口86から配管91へ流れる構成となる。以降の冷媒の流れは弱第一モードと同様である。
図5中(c)で示す弱第三モードは、弱第一モードに対し、結露抑制器53の流れ方向が逆になるものである。配管56を流れた冷媒は、開口82から冷媒制御弁47に入り、開口85、配管58と流れ、配管58に接続した接続部fから結露抑制器53の領域C側(図3参照)に向かう。その後、冷媒は結露抑制器53の接続部dから、配管57、開口83、冷媒制御弁47の溝88、開口86、配管91の順に流れる。以降の冷媒の流れは弱第一モード、弱第二モードと同様である。
図5中(d)、(e)、(f)で示す強第一モード、強第二モード、強第三モードは、それぞれ図5中(a)、(b)、(c)で示す弱第一モード、弱第二モード、弱第三モードに対し、冷媒が流れるキャピラリチューブが異なる。以下で、流路抵抗が大きい第一のキャピラリチューブ67aを用いる弱第一モード、弱第二モード、弱第三モードを弱モード、流路抵抗が小さい第二のキャピラリチューブ67bを用いる強第一モード、強第二モード、強第三モードを強モードと呼ぶ。
図5中(d)で示す強第一モードでは、弱第一モードと同様に、配管56を流れた冷媒は、開口82、開口83、配管57、結露抑制器53、配管58の順に流れる。その後、冷媒は開口85から溝87を経て開口84に流れ、開口84に接続された配管92に向かう。配管92を流れた冷媒は、第二のキャピラリチューブ67bを流れた後、配管68、冷却器14に流れていく。
図5中(e)で示す強第二モードは、弱第二モード同様に結露抑制器53をバイパスして流れる。配管56を流れた冷媒は、順に開口82、開口84を経て、配管92に向かう。以降の冷媒の流れは強第一モードと同様である。
図5中(f)で示す強第三モードは、弱第三モード同様に、配管56を流れた冷媒は、開口82から冷媒制御弁47に入り、順に開口85、配管58と流れ、配管58に接続した接続部fから結露抑制器53の領域C側(図3参照)に向かう。その後、冷媒は結露抑制器53の接続部fに接続した配管57から、開口83、冷媒制御弁47の溝88、開口84、配管92の順に流れる。以降の冷媒の流れは強第一モード、強第二モードと同様である。
次に、結露抑制器53の基本的な加熱制御について説明する。ここで、結露抑制器53に冷媒を流し、仕切部200を加熱する弱第一モード、強第一モードを加熱運転と呼び、結露抑制器53をバイパスさせる弱第二モード、強第二モードを非加熱運転と呼ぶ。弱第三モード、強第三モード、及び弱モードと強モードの切換え等の詳細については後述する。
図6は仕切カバー36aの経時温度変化の一例である。図4を用いて示したように、結露抑制器53は庫内(主に冷凍室7)を加熱する熱流45を伴うため、実施例1の冷蔵庫は、図6に示すように加熱運転と非加熱運転を切換え、結露が発生しない範囲で結露抑制器53の加熱を抑えることで、冷凍室7への熱流45を抑えている。庫内に熱が侵入すると、冷凍サイクルにより冷却する熱負荷が増加するため、熱流45を抑え、冷凍サイクルにより冷却する熱負荷の増加を抑制することで、圧縮機24の消費電力量を低減して省エネルギー性能を向上させることができる。
ここで、加熱運転と非加熱運転の割合を制御し、仕切カバー36aを含む仕切部200全体の温度が、周囲の温度、湿度に応じて決まる、所定の温度(例えば露点温度)を上回るように調整することで、仕切部200の結露を抑制しながら、結露抑制器53の加熱を抑える。この仕切部200の温度制御に用いる、仕切部温度センサ100について以下で示す。
図7は断熱仕切壁28の正面図で、(a)は仕切カバー36aを設けた状態、(b)は取り外した状態を示している。断熱仕切壁28の前面に設けた仕切カバー36aには、仕切カバー36aの略中央付近に、低温度部110を備えている。この低温度部110に、仕切部温度センサ100を設けている。
図8は低温度部110の詳細図で、(a)は低温度部110の全体、(b)は低温度部110内部の基板112の詳細を示している。低温度部110は、合成樹脂製の収納ケース111と、これに収納される基板112から構成されている。前述の仕切部温度センサ100は基板112に設けられている。基板112が収納ケース111の内部に収納されて、低温度部110が構成され、この低温度部110が仕切カバー36aに形成した取付孔を介して組み込まれるものである。仕切部温度センサ100は、サーミスタ等の検出素子101やこの出力信号の増幅回路102等から構成されている。基板112には、その他にホール素子(図示せず)やこの出力信号の増幅回路等からなるドア開閉検出部113も実装されている。ドア開閉検出部113は、各ドアのパッキンに設けた磁石の接近を検出して、ドアの開閉を検出するものである。
次に、仕切部温度センサ100を設ける低温度部110を仕切カバー36aに配設した理由と、その効果について以下で説明する。
図9は、弱第一モードの放熱側配管(圧縮機24の吐出口から第一のキャピラリチューブ67aまで)内部における冷媒の状態を模式的に表したものである。第一の放熱器50(区間ac)、第二の放熱器51及び第三の放熱器52(区間cd)、結露抑制器53(区間df)内部の冷媒状態を説明する。図9に示した記号a〜fは、図5(a)中に示した冷凍サイクルでの各位置に対応しており、記号aは圧縮機24の吐出側、記号bは冷媒が気相域から気液二相域に変わる点、記号cは第一の放熱器50と第二の放熱器51の間、記号dは結露抑制器53の接続部d、記号eは冷媒が気液二相域から液相域に変わる点、記号fは結露抑制器53の接続部fを表している。
圧縮機24で圧縮されて高温高圧になったガス冷媒71は、放熱器50〜52を通過して庫外に熱を放出し、結露抑制器53の接続部dに至るまでに、ガス冷媒71と液冷媒72の混合状態(気液二相域)を経て液冷媒72のみの液相域に至る。ここでは、第一の放熱器50における放熱過程で気液二相域になり、その後、第二の放熱器51、第三の放熱器52を経て、結露抑制器53の放熱過程で液相域になる。液相域での放熱は冷媒温度の低下を伴うため、図5(a)の冷媒の流れにおいて、結露抑制器53の流入側である接続部dに対し、流出側の接続部fの方が温度が低くなる。その後、冷媒は液相域の状態でドライヤ66を経て、キャピラリチューブ67aへと流れる。
従って、下流側の結露抑制器53で加熱している仕切部200は、気相域及び気液二相域の冷媒よりも温度が低い液相域の冷媒で加熱することになるため、加熱量が少なく低温になり易い箇所である。
これに対し、本実施の形態例では、図3、図7(a)で示したように低温度部110を領域C、すなわち結露抑制器53の下流側の冷媒で加熱する断熱仕切壁28の仕切カバー36aに設けた。図3で示したように、冷媒は結露抑制器53の接続部dから順に、仕切部200の領域A(仕切カバー36c)、領域B(仕切カバー36b)、領域C(仕切カバー36a)の順に流れ、冷凍室7及び野菜室6側方を経てから結露抑制器53の接続部fへと向かう。仕切部温度センサ100を設ける低温度部110は領域Cに設けられ、領域Cは結露抑制器53の下流側に位置するため、特に液相域になり易い箇所である。また、より上流で液相域になっていた場合は冷媒温度が特に低温になり易い箇所である。すなわち、仕切部200のうち、特に結露抑制器53による加熱を行い難く、低温になり易い箇所である。
なお、本実施の形態例では、領域Cの下流側、すなわち冷凍室7及び野菜室6側方の開口縁を流れる結露抑制器53内の冷媒も液相域になり易いが、図4を用いて説明したように、これら仕切部200以外の開口縁は、仕切部200に比べて結露抑制器53の加熱が少なくてもよいため、液相域の冷媒でも十分に加熱することができる。 以上のように、貯蔵室である冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6間を仕切るとともに、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6aが閉状態で当接する仕切部200のうち、結露抑制器53の最も下流に位置する領域C(仕切カバー36c)は、仕切部200の上側を冷蔵室2、下側を冷凍室7により冷却され、かつ結露抑制器53内の冷媒が液相域で加熱し難いため、低温になり易い箇所である。従って、この領域Cに仕切部温度センサ100を設けた低温度部110を配設し、低温度部110において結露が生じないように制御する。これにより、仕切部200全体に渡って結露を抑制しつつ、図6を用いて説明したように、結露抑制器53の加熱を抑えることで、冷凍室7への熱の侵入を抑制し、圧縮機24の消費電力量を低減して省エネルギー性能を向上させる冷蔵庫が得られる。
なお、仕切部温度センサ100は、結露抑制器53のうち最も下流の冷媒が流れる仕切部200に設けることが好ましいが、少なくとも結露抑制器53の液相域の冷媒が流れる部分で加熱している仕切部200に仕切部温度センサ100に設けるとよい。
ここで、例えば外気温が低い場合は、一般的に液相域の範囲が拡大(図9のeが左に移動)し、結露抑制器53内の上流側まで液相域になり易くなる。従って、液相域になる範囲は、外気や庫内の条件により変化するが、キャピラリチューブ67から上流側に液冷媒が全て集まった場合を考えると、キャピラリチューブ67から上流の配管内容積が冷媒封入量を満たせる範囲を考えれば十分である。具体的に求めると、冷媒封入量をG[kg]、配管の内径をd[m]、長さをL[m]とし、液冷媒の密度を550[kg/m3]と考え、「L=(G/550)/(d2×円周率/4)」として求めたLを用い、キャピラリチューブ67から上流側に距離L[m]までの配管が液相域になる可能性がある範囲と考えればよい。なお、液冷媒の密度は温度で変化するが、530〜570kg/m3(放熱側の冷媒凝縮温度;10〜40℃を想定)である。
また、前述したように液相域の冷媒は気液二相域に比べて低温となるため、より詳細には、仕切部温度センサ100に近接する結露抑制器53の配管表面の温度T53と、配管56、又は配管57(第三の放熱器52から結露抑制器53の間)の表面温度T56を測定することで判断することができる。具体的には、T56に比べてT53が2℃以上低温になることがあった場合、仕切部温度センサ100を設けた箇所は、結露抑制器53の液相域の冷媒が流れる部分で加熱していると考えることができる。
なお、図5で示した本実施の形態例の(c)弱第三モード及び(f)強第三モードのように、結露抑制器53の冷媒流れ方向を逆向きにすることができる冷蔵庫では、冷媒流れ方向によって液相域の範囲が変化するが、この場合は主に使用するモードの冷媒流れ方向を考えればよい。主に使用するモードの冷媒流れ方向とは、本実施の形態例では[(a)弱第一モード時間+(d)強第一モード時間]>[(c)弱第三モード時間+(f)強第三モード時間]となっているため、(a)弱第一モード及び(d)強第一モードの冷媒流れ方向である。もし、(c)弱第三モード及び(f)強第三モードのように、主に領域C、B、Aの順に流れる冷蔵庫であれば、領域Aに仕切部温度センサ100を設けた低温度部110を配設することで同様の効果が得られる。
加えて、本実施の形態例の低温度部110は、鋼板製の仕切カバー36aに比べて熱伝導率が低い、合成樹脂製の収納ケース111により外表面を構成している。結露抑制器53により加熱される仕切部200のうち、結露抑制器53の温度が伝導し難い箇所のため、低温度部110の表面は低温になり易い箇所となる。従って、結露抑制器53により加熱する仕切カバー36aよりも熱伝導率の低い低温度部110の温度を検知し、低温度部110の結露を抑制することで、仕切部200全体に渡って結露を抑制することができる。
以上のように、本実施の形態例は、仕切部200を加熱する結露抑制器53内の冷媒が液相域の範囲で、特に貯蔵室である冷蔵室2、冷凍室7、野菜室6間を仕切るとともに、ドア2a、2b、3a、4a、5a、6aが閉状態で当接する仕切部200のうち、結露抑制器53の最も下流に位置する領域C(断熱仕切壁28)に、断熱仕切壁28前面の仕切カバー36aに比べて熱伝導率の低い収納ケース111を設けている。これにより、仕切部200の中で特に低温になり易い低温度部110を構成している。この低温度部110内に仕切部温度センサ100を設け、低温度部110の結露を抑制する結露抑制器53の加熱を制御することで、仕切部200全体が低温度部110よりも高い温度となり、仕切部200全体に渡って結露を抑制することができる。すなわち、仕切部200の加熱量を制御することが可能な冷蔵庫において、仕切部200全体に渡って結露を抑制しつつ、結露抑制器53の加熱を抑えることで、冷凍室7への熱の侵入を抑制し、圧縮機24の消費電力量を低減して省エネルギー性能を向上させる冷蔵庫が得られる。
また、図8で示したように、仕切部温度センサ100を低温度部110内の基板112に設けることで、以下の効果も得られる。基板112には、仕切部温度センサ100の他にドア開閉検出部113も実装している。1つの基板で複数の機能(仕切部200の温度検知とドアの開閉検知)を設けることで、実装し易くなり、低コスト化、省スペース化等に有利である。またドア開閉検出部113にホール素子(図示せず)を使っている本実施の形態例では、収納ケース111を介して、各ドアのパッキンに設けた磁石を検知することでドアの開閉状態を検知するため、収納ケース111を鋼板に比べて磁石への影響が少ない合成樹脂製にすることで、ドア開閉の検出も行い易くなっている。
次に、この仕切部温度センサ100を用いた本実施例の制御を示す。図10は、結露抑制器53に関連する制御フローチャートである。各モードに記す記号(a)〜(f)は図5と同様である。
電源を投入すると、冷蔵庫1は(d)強第一モードで圧縮機24をONにして冷却を開始する(S0)。電源投入直後は庫内の温度が高く、高い冷却能力が必要となるため、冷媒が循環し易いよう流路抵抗の小さい第二のキャピラリチューブ67bを用いて冷却する。また、運転中に仕切部200に結露が生じないよう加熱運転(第一モード)にしている。
この状態で圧縮機24がOFFとなるまで冷却を行う(S1)。なお、本実施の形態例では、冷凍室温度センサ42の出力である冷凍室温度が所定の温度(TOFF)よりも低温になると圧縮機24をOFFにする。
圧縮機24がOFFした後(S2)、再びONすると(S3、S4)、弱モードと強モードの何れを使うかの判定を行う(S5)。なお、本実施の形態例では、制御S3において冷凍室温度が所定の温度(TON)以上になると圧縮機24をONにし、外気温が所定の範囲(To1からTo2の範囲)の場合は弱モード、それ以外の場合は強モードにする。外気温が低い場合(To1以下)に強モードにする理由は図11を用いて後述するが、外気温が高い場合(To2以上)に強モードにするのは、制御S0と同様、高い冷却能力が必要となり、冷媒を循環し易くするためである。
ここではまず、弱モードと判定した場合(S5;Yes)について説明する。弱モードと判定すると、(a)弱第一モードで運転を行う(S6)。圧縮機24がOFF中は冷媒が流れず結露抑制器53による加熱が行えないため、圧縮機24のON直後は加熱運転の(a)弱第一モードにしている。その状態で暫く冷却した後、弱モードを継続するか、強モードに変更するかの判定を行う(S7)。本制御を行う理由は図11を用いて後述するが、本実施の形態例では、圧縮機24ON(S4)後t1分経過した際に、仕切部温度センサ100により検知する温度TopがT1以上となっている場合は弱モードを継続し、T1未満の場合は強モードに切換える。T1は、外気温度センサ37と外気湿度センサ38から算出される露点温度に基づいて決定し、T1は露点温度+1℃としている。
ここでは引き続き弱モードを継続した場合(S7;Yes)について説明する。制御S8〜S11は、加熱運転と非加熱運転を切換える制御である。詳細は図12を用いて後述する。加熱運転により仕切部200の温度が露点温度よりも十分に高くなると(S8;Yes)、加熱を抑えるため(b)弱第二モードに切換える(S9)。本実施の形態例では、TopがT1+2℃のT2以上をt2分継続した場合、(b)弱第二モードに切換え、図4で示した冷凍室7に侵入する熱流45を低減する。図6を用いて説明したように、熱流45を抑えることで、冷凍サイクルにより冷却する熱負荷の増加を抑え、省エネルギー性能を高めることができる。次に非加熱運転から加熱運転に切換える判定を行う(S10)。本実施の形態例では、TopがT1−2℃のT3以下になるか、非加熱運転状態がt3分以上続いた場合、仕切部200に結露が生じないよう、加熱運転の(a)弱第一モードに戻す(S11)。なお、T3はT1と同等としてもよいが、T1よりも低温にすることで、結露抑制器53による熱流45をさらに抑えられ、省エネルギー性能向上の効果もさらに高めることができるため、本実施の形態例ではT3=T1−2℃としている。
この制御S8〜S11の判断を、圧縮機24のOFF前条件(S12)を満たすまで繰り返す。圧縮機24のOFF前条件とは、圧縮機24をOFFする所定の温度(TOFF)より少々高い温度(TOFF_0)に冷凍室温度が到達した状態で、本実施の形態例ではTOFF_0=TOFF+0.5℃である。
圧縮機24のOFF前条件を満たす(S12;Yes)と、(c)弱第三モードに移行する(S13)。圧縮機24がOFFすると冷媒が流れなくなり結露抑制器53により加熱できなくなるため、圧縮機24がOFFする直前は、(c)弱第三モードで結露抑制器53に冷媒を流して仕切部200を加熱することで、圧縮機24OFF中の結露を抑制する。加えて、制御S8〜S11中の加熱運転である(a)弱第一モードと、冷媒流れが逆の(c)弱第三モードにすることで、仕切部200に生じる温度分布を抑えている。前述したように結露抑制器53の冷媒流路下流側である図3の領域Cは液相域となり、上流側の領域Aに比べて低温になり易いが、逆向きに流すことで領域Cが冷媒流路の上流側となり、領域Aと領域Cの温度分布が抑えられる。その結果、仕切部200全体に渡って結露を抑制することができる。 そして、再び制御S2に戻り、圧縮機24のOFF条件を満たすまでこの運転を行う。
次に制御S5、またはS7において強モードに移行した場合について説明する。本実施の形態例では、強モードに切換える制御S7’以外は、弱モードと同じ制御を行う。制御S5、及び制御S7でNoと判断した場合、(d)強第一モードに移行する(S7’)。強モードにおいても制御S8’〜S11’で、加熱運転と非加熱運転を切換える制御を行う。加熱運転により仕切部200の温度が露点温度よりも十分に高くなると(S8’;Yes)、加熱を抑えるため(e)強第二モードに切換え(S9’)、図4の熱流45を低減し、冷凍サイクルにより冷却する熱負荷の増加を抑えて省エネルギー性能を高める。非加熱運転を続け、仕切部200の温度が低くなる、或いは所定の時間経過すると(S10’;Yes)、加熱運転の(d)強第一モードに戻す。なお本実施の形態例では制御S8’、S10’の判断は制御S8、S10と等しくし、また各判断に用いる温度、時間は、弱モードと同じT2、T3、t2、t3とするが、弱モードと異なる制御としてもよい。
強モードにおいても、圧縮機24OFF前条件を満たす(S12’;Yes)と、(d)強第一モードと冷媒流れが逆の(f)強第三モードに移行する(S13’)ことで、圧縮機24OFF中の結露を抑制し、加えて仕切部200に生じる温度分布を抑えて、仕切部200全体に渡って結露を抑制する。その後、制御S2に戻り、圧縮機24のOFF条件を満たすまでこの運転を行う。
以上が本実施例における結露抑制器53に関する基本的な制御である。次に制御S5、S7と、制御S8〜S12の詳細と、その効果を図11及び図12を用いて説明する。
図11は各運転状態における冷媒状態を説明するモリエル線図で、それぞれ(a)は弱モードの場合、(b)は強モードの場合であり、(c)は外気温が低温の場合である。各記号は図5(a)、図9と同じである。
冷凍サイクルでは、減圧手段(キャピラリチューブ67a。67b)の流路抵抗が大きくなると、液相域が拡大する(図11中e−f間の比エンタルピ差を大きくなる)。すなわち、流路抵抗の大きい第一のキャピラリチューブ67aを用いる弱モードの図11(a)は、強モードの図11(b)に比べてe−f間の比エンタルピの低下が大きくなる。液相域の比エンタルピの低下は、冷媒の温度低下を表すため、液相域の比エンタルピの低下が大きい図11(a)の方が、結露抑制器53の下流側の温度低下が大きく、すなわち仕切部200、特に仕切部温度センサ100を設けた冷媒流路下流側の加熱量が低下する。
従って、湿度が高い場合などでは第一のキャピラリチューブ67aを用いた図11(a)の冷凍サイクルでは仕切部温度センサ100付近の加熱量が不足して結露することが考えられるため、制御S7で仕切部温度センサ100の温度上昇が十分でない(圧縮機24ON後t1分経過してもTopがT1未満)場合、強モードに移行する。これにより、図11(b)に示す液相域の比エンタルピ低下が少ない冷凍サイクルとし、結露抑制器53下流側の冷媒温度を上げることで、仕切部200の加熱量を多くして結露を抑制する。
次に、図11(c)を用いて、制御S5において外気温が低い(To1以下)場合に強モードにする理由について説明する。外気温が低い場合、放熱側(放熱器50〜52及び結露抑制器53)の冷媒の凝縮温度が低くなり、圧力が低くなるため、図11(c)に示すように、放熱側と吸熱側の圧力差が小さくなる。従って、外気温が低温の場合(S5;No)、第二のキャピラリチューブ67bを用いる強モードにし、圧力差に合わせて流路抵抗を小さくし、第二のキャピラリチューブ67bの圧力損失を抑えることで効率的な運転を行うことができる。
次に仕切部200の加熱運転と非加熱運転の切換え制御について説明する。図12は仕切部温度センサ100の経時変化の一例である。図10中の制御S8〜S12に示す弱モード中の制御を示す。外気の温度条件は一定とし、外気の湿度は左側が低湿(例えば相対湿度50%)、右側が高湿(例えば相対湿度70%)とする。湿度が高いため、図中破線で示す露点温度も右側の方が高くなっている。
まず図12左側の低湿時の状態で、本実施の形態例の制御を説明する。まず加熱運転である(a)弱第一モードで仕切部200を加熱することで、時刻taにおいて仕切部200の温度TopがT2に到達し、時刻taのt2分後の時刻tbまで温度TopがT2以上を継続すると、制御S8、S9により非加熱運転の(b)弱第二モードに切換える。次に時刻tcにおいて温度TopがT3となると、制御S10、S11により(a)弱第一モードに戻る。その後、加熱運転で温度Topが上昇し、再度T2に到達し(時刻td)、時刻tdのt2分後に時刻teにおいて温度TopがT2以上となっていると、制御S8、S9により再び(b)弱第二モードに切換える。この運転を、圧縮機24OFF前条件を満たす(図10の制御S12がYesの判定を行う)まで続ける。
次に図12右側に示す高湿時について説明する。露点温度が高くなっているため、T1(本実施の形態例では露点温度+1℃)、T2(同T1+2℃)、T3(同T1−2℃)も、それぞれ低湿の場合に比べて高くなっているが、基本的な制御は低湿時と同様である。加熱運転である(a)弱第一モードで仕切部200を加熱し、仕切部200の温度TopがT2に到達し、その時刻tfのt2分後の時刻tgまで温度TopがT2以上であると、制御S8、S9より非加熱運転の(b)弱第二モードに切換える。次に時刻thにおいて温度TopがT3となると、制御S10、S11より(a)弱第一モードに戻る。同様に、制御S8、S9により、温度TopがT2に到達した時刻tiのt2分後の時刻tjにおいて再び(b)弱第二モードに切換える。なお、本実施の形態例では時間t2は一定としているが、温度T2、T3と同様に、時間t2も外気の温度や湿度によって変化する関数としてもよい。
ここで、図12中左側の低湿時と、右側の高湿時を比べると、高湿時の方がT2、T3が高温で、温度TopがT2に到達し難くなり、T3に到達し易くなるため、非加熱運転に対する加熱運転の割合が多くなる。すなわち、仕切部200の加熱量が多くなり、仕切部200の温度を高くすることで結露を抑制している。このように、露点温度に応じて自動的に加熱量を調節することで、低湿時も高湿時も仕切部200の結露を抑えられる。加えて低湿時には高湿時よりもさらに結露抑制器53の加熱を抑えられるため、図4の熱流45を低減し、冷凍サイクルにより冷却する熱負荷の増加を抑えることで得られる省エネルギー性能向上効果をさらに高めることができる。
なお、本実施の形態例では、温度TopがT3の際は、温度Topが露点温度を下回り一時的に微小な結露が生じる場合もあるが、加熱運転で露点温度よりも高い温度にして露を気化させ、結露の成長は生じないようにしている。従って、本実施の形態例では、温度Topを露点温度よりも低温にし、一時的な結露の発生を許容することで、常に露点温度以上を維持させる場合に比べて結露抑制器53による仕切部200の加熱量が抑えられ、前述した省エネルギー性能向上効果を高めている。
また、本実施の形態例では、例えば図12の時刻taにおいて、仕切部200の温度TopがT2に到達してもt2分間は非加熱運転に切換えないようにしている。これは、図12で図示したように仕切部200の温度Topの温度上昇速度が一定でなく、加熱運転切換え直後が、最も仕切部200の温度Topの温度上昇が早いためであり、温度TopがT2に到達した直後に非加熱運転に切換えると、加熱運転の時間が極端に短くなり、仕切部200の加熱量が不足して結露が生じる可能性があるためである。従って、仕切部200の温度TopがT2到達後もt2分間加熱運転を継続させることで、少なくともt2分以上加熱運転を行うことができ、仕切部200の加熱量不足による結露を抑制することができる。
なお、図9までに示した効果は、図10以降で示した制御に限定されるものではなく、例えば仕切温度センサ100の平均温度が露点温度を上回るように制御してもよい。
また、仕切部200の同一の箇所に結露抑制器53の配管を複数這わせて加熱する場合において、下流側の配管に対して本発明を適用することで、本発明の奏する効果が得られる。