本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る力覚センサを示す模式図である。力覚センサ1は、加えられた外力を検出することができる装置である。力覚センサ1は、例えば、ロボットの動きを規制するモータ等の回転機械に接続される。力覚センサ1は、加えられた外力の大きさおよび方向を検出し、加えられた外力の大きさおよび方向に応じた当該モータ等を制御する制御部に送る制御信号を送出することができる。
力覚センサ1は、基部10と、第1可動部21と、第2可動部22と、支持体30と、ジョイント2(図2参照)と、を有する。例えば、基部10は、円筒状の筐体100の底面に固定された円盤状の部材であり、支持体30を備える。なお、基部10は、筐体100の底面と一体になっていてもよい。以下の説明において、基部10の中心軸Zrに平行なZ軸と、Z軸に対して直交するX軸、Z軸およびX軸に対して直交するY軸と、からなる直交座標系が用いられる。
支持体30は、基部10に支持されており、第1可動部21および第2可動部22を揺動可能に支持する。支持体30は、図1に示すように円筒状の部材であって、支持体30には螺旋状のスリット33rが形成されている。支持体30は、基部10と一体の構造となっている。
図2は、第1の実施形態に係る基部、支持体および第2可動部を示す模式図である。図3は、第1の実施形態に係る支持体および第1可動部を示す平面図である。図4は、第1の実施形態に係るシャフトおよび第2可動部を示す平面図である。図2に示すように、支持体30は、弾性部33と、上部固定部32と、を有している。支持体30の一端は基部10と一体となっており、基部10および支持体30はアルミニウム等の金属で形成されている。
弾性部33は円筒状であり、弾性部33には図2に示すように螺旋状のスリット33rが形成されている。弾性部33は、外力が加わっていない場合、中心軸Zrを中心とした周方向でZ軸方向の高さが一定である。これに対して、外力が加わった場合、弾性部33は、変形することで中心軸Zrに対して一方側のZ軸方向の高さが高くなり、他方側のZ軸方向の高さが低くなる。このため、外力が加わった場合、上部固定部32は、弾性部33の変形に応じて傾くことができる。
また、図3に示すように、上部固定部32は円筒状の部材である。上部固定部32は、弾性部33の基部10とは反対側に配置されており、弾性部33と一体となっている。上部固定部32の端面は、Z軸に対して垂直になるように形成されている。上部固定部32は、Z軸方向に貫通する貫通孔32hと、Z軸に対して直交方向の開口部であるスリット32sと、を有する。このため、上部固定部32は、Z軸方向から見てC字形状となっている。また、上部固定部32は、スリット32sを挟んで対向する端面321および端面322を接続するボルト32cを有する。ボルト32cが締め付けられると、端面321から端面322までの距離が小さくなる。その結果、貫通孔32hの直径が小さくなる。これにより、ボルト32cは、貫通孔32hの直径を調節することができる。
第2可動部22は、ジョイント2によってZ軸廻りに回転可能に支持体30に支持されている。ジョイント2は、例えば、深溝玉軸受35と、シャフト11と、スラストころ軸受12と、を有する。図2に示すように、上部固定部32の貫通孔32hには、深溝玉軸受35が嵌め込まれている。深溝玉軸受35は、ボルト32cを緩めた状態で貫通孔32hに挿入された後、ボルト32cを締め付けて貫通孔32hの直径を小さくすることで固定されている。深溝玉軸受35の内輪の内側には、円柱状のシャフト11が圧入によって固定されている。シャフト11の一方側の端部は、貫通孔32hの内側に位置しており、他方側の端部は、上部固定部32の端面よりもZ軸方向に突出している。
上部固定部32およびシャフト11に外力が加わると、上部固定部32およびシャフト11は、弾性部33の根元(基部10に近い端部)を支点としてシャフト11の中心軸が基部10の中心軸Zrに対して角度をなすように揺れ動く。以下の説明において、揺動するとの記載は、弾性部33の根元を支点としてシャフト11の中心軸が基部10の中心軸Zrに対して角度をなすように揺れ動くことを示す。なお、基部10が円盤状でない場合、揺動するとの記載は、弾性部33の根元を支点としてシャフト11の中心軸が基部10の表面に対して垂直な直線に対して角度をなすように揺れ動くことを意味する。
第2可動部22は、図2に示すようにシャフト11の上部固定部32から突出している部分に固定されている。第2可動部22は、例えば、Z軸方向に貫通する貫通孔22hを有する円盤状の部材である。第2可動部22は、貫通孔22hにシャフト11が圧入されることによって、基部10と平行になるように固定されている。また、例えば、スラストころ軸受12が、上部固定部32と第2可動部22との間に配置されている。第2可動部22は、深溝玉軸受35およびシャフト11によってZ軸廻りに回転可能に支持体30に支持されており、スラストころ軸受12によってより滑らかに回転可能に支持されている。一方、第2可動部22がZ軸廻りに回転しているとき、第1可動部21および基部10は、Z軸廻りに回転しない。なお、ジョイント2は、スラストころ軸受12を有していなくてもよい。
図3に示すように、第1可動部21は、全体が円筒状の部材であり、上部固定部32の外周を囲むように固定されている。また、第1可動部21は、第2可動部22と平行になるように固定されている。例えば、第1可動部21は、半円筒状の第1可動部片21pを2つ含み、上部固定部32を挟むように配置された2つの第1可動部片21pをボルト21cで連結することにより上部固定部32に固定されている。なお、第1可動部21を固定する方法は、上述した方法に限らない。
以上により、図1に示すように、第1可動部21は、基部10に対向するように配置されており、第2可動部22は、第1可動部21に対向するように配置されている。力覚センサ1に外力が加わっていない状態においては、基部10、第1可動部21および第2可動部22は、互いに平行な状態を保っている。また、第1可動部21および第2可動部22は、弾性部33を有する支持体30によって揺動可能に支持されている。また、第2可動部22は、ジョイント2によってZ軸廻りに回転可能に支持されている。また、第1の実施形態において、第1可動部21および第2可動部22は、基部10に対して鉛直方向で上側に配置されている。
図1に示すように、基部10は、第1センサ15を有する。第1センサ15は、例えばフォトリフレクタであり、基部10の表面にセンサ台15bを介して固定されている。第1センサ15は、例えば、支持体30の外側に、中心軸Zrを中心とした周方向で等間隔に4つ配置されている。また、4つの第1センサ15のうち2つの第1センサ15は、X軸に平行な直線上に配置されており、残りの2つの第1センサ15は、Y軸に平行な直線上に配置されている。
図1に示すように、基部10はストッパー19を有する。ストッパー19は、第1センサ15よりもZ軸方向に突出する突出部である。例えば、ストッパー19は、第1センサ15の外側に、Z軸を中心とした周方向で等間隔に4つ配置されている。なお、ストッパー19は、第1センサ15の内側に配置されていてもよい。例えば、ストッパー19のZ軸方向の高さは、支持体30が弾性変形可能な荷重を超える荷重が力覚センサ1に加えられた場合に、先端が第1可動部21に接触するように調節されている。このため、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる過大な外力が力覚センサ1に加えられた場合、ストッパー19は、支持体30に永久変形が生ずる事態を抑制することができる。
また、力覚センサ1に対して第1可動部21及び第2可動部22を上方(Z軸の正方向)に引っ張る外力が作用した場合でも支持体30に過大な変形を生じないようにするため、力覚センサ1はストッパー20を備えている。ストッパー20は筐体100の上端に設けられており、中心に向かってフランジ状に突出した部分である。ストッパー20は筐体100の全周にわたって設けられても良く、または周方向に幅の狭い突出部が複数箇所に設けられてもよい。
さらに、図1に示すように、第1可動部21は、第2可動部22と対向する表面に永久磁石24を有し、第2可動部22は、第1可動部21と対向する表面に2つの永久磁石25を有する。永久磁石24は、第1可動部21の表面から第2可動部22に向かって突出しており、永久磁石25は、第2可動部22の表面から第1可動部21に向かって突出している。また、Z軸方向から見て、永久磁石24および2つの永久磁石25が、中心軸Zrを中心とした同一円周上に配置されている。2つの永久磁石25は、永久磁石24に対して周方向の両側に等間隔で配置されている。
図5は、図4におけるA矢視図を示す。永久磁石24は、例えば、接着剤によってベース24bを介して第1可動部21に固定されている。永久磁石24は、Z軸方向にN極およびS極が並ぶように配置されている。永久磁石25は、例えば、接着剤によってベース25bを介して第2可動部22に固定されている。永久磁石25は、Z軸方向にN極およびS極が並ぶように配置されている。また、永久磁石24および永久磁石25は、互いのS極同士およびN極同士が周方向に対向するように配置されている。これにより、力覚センサ1に外力が加わっていない場合、永久磁石24および永久磁石25の反発力の釣り合いによって、第1可動部21に対する第2可動部22のZ軸廻りの相対回転角度が固定される。また、外力によって第2可動部22がZ軸廻りに回転した場合、永久磁石24および永久磁石25は、互いの距離が近づくことで反発力を増大させ、外力に対する反力を生じさせる。そして、外力が取り除かれると、第1可動部21に対する第2可動部22のZ軸廻りの相対回転角度は、外力が加わっていないときの角度に戻る。なお、永久磁石24および永久磁石25によって生じる反発力は、永久磁石24および永久磁石25の磁力の調節、ベース24bおよびベース25bのZ軸方向の高さの調節、等によって調節することができる。
また、図1に示すように、第1可動部21は、第2可動部22と対向する表面にストッパー26を有し、第2可動部22は、第1可動部21と対向する表面にストッパー27を有する。ストッパー26は、第1可動部21の表面から第2可動部22に向かって突出している。ストッパー27は、第2可動部22の表面から第1可動部21に向かって突出している。また、Z軸方向から見て、ストッパー26およびストッパー27が、中心軸Zrを中心とした同一円周上に配置されている。ストッパー26とストッパー27との周方向の距離Dlは、永久磁石24と永久磁石25との周方向の距離Dmよりも小さくなっている。これにより、外力によって第2可動部22がZ軸廻りに回転した場合、永久磁石24と永久磁石25とが接触する前にストッパー26とストッパー27とが接触する。このため、ストッパー26およびストッパー27は、永久磁石24と永久磁石25とが衝突して破損する事態を抑制することができる。
図1に示すように、第1可動部21は、基部10に対向する表面に反射板16を有する。反射板16は、4つの第1センサ15のそれぞれに対向する位置に配置されている。例えば、反射板16の表面の光に対する反射率は、一様であり、4つの反射板16の反射率は、互いに等しい。フォトリフレクタである第1センサ15は、受光部と発光部を有し、光を発することができ且つ当該光の反射光強度を検出することができる。第1センサ15は、受光部と発光部が第1可動部21の方向を向くように固定されている。第1センサ15の発光部が発した光は、反射板16で反射して第1センサ15の受光部に入射する。第1センサ15は、検出した反射光強度の大きさに応じて、センサ出力を変化させる。
第1センサ15が検出する反射光強度は、第1センサ15から反射板16までの距離および反射板16の反射率に応じて変化する。力覚センサ1に外力が加わっていない場合、基部10、第1可動部21および第2可動部22が互いに平行であるため、4つの第1センサ15とそれぞれの第1センサ15に対向する反射板16との距離は、互いに等しい距離Dzとなっている。4つの反射板16の反射率が互いに等しいため、力覚センサ1に外力が加わっていない場合、4つの第1センサ15が検出する反射光強度は、互いに等しくなっている。
図6は、第1の実施形態に係る力覚センサにY軸廻りのモーメントが加えられた場合を示す模式図である。なお、図面上で変形をわかりやすくするため、図6では、ストッパー19の記載が省略されている。Y軸廻りのモーメントMyは、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力である。力覚センサ1にY軸廻りのモーメントMyが加えられた場合、支持体30の弾性部33が変形することで、第1可動部21および第2可動部22は、揺動しYZ平面に対して所定の角度θだけ傾斜する。このため、第1可動部21は、XY平面に対して角度θだけ傾斜する。第1可動部21および第2可動部22が一緒に揺動するので、第1可動部21および第2可動部22は、平行な状態を保っている。また、第1可動部21は、基部10に対して傾斜している。その結果、X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15のうち一方の第1センサ15から当該第1センサ15に対向する反射板16までの距離Dz1は、距離Dzよりも大きくなる。X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15のうち他方の第1センサ15から当該第1センサ15に対向する反射板16までの距離Dz2は、距離Dzよりも小さくなる。具体的には、中心軸Zrから各第1センサ15までの距離Dsを用いて、距離Dz1は、距離DzよりもDs×tanθだけ大きくなり、距離Dz2は、距離DzよりもDs×tanθだけ小さくなる。これにより、X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15が検出する反射光強度に差が生じる。力覚センサ1は、当該反射光強度の差によって、加えられたY軸廻りのモーメントMyの大きさおよび方向を検出する。
力覚センサ1にX軸廻りのモーメントが加えられた場合、力覚センサ1は、Y軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15が検出する反射光強度の差によって、加えられたX軸廻りのモーメントの大きさおよび方向を検出する。第1センサ15と反射板16との距離の説明は、力覚センサ1にY軸廻りのモーメントMyが加えられた場合と同様であるため省略する。
図1に示すように、第1可動部21は、第2可動部22に対向する表面に第2センサ28を有し、第2可動部22は、第1可動部21に対向する表面に反射板29を有する、第2センサ28は、例えば、フォトリフレクタであり、発光部および受光部が第2可動部22の方向を向くように固定されている。反射板29は、第2センサ28に対向する位置に配置されている。
図7は、第1の実施形態に係る第2センサおよび反射板を示す模式図である。反射板29は例えば、紙製の板状部材であって、高反射率領域29wと、高反射率領域29wよりも、光の反射率が小さい低反射率領域29bと、を有する。高反射率領域29wは、例えば、白色に塗装された扇形の領域である。低反射率領域29bは、例えば、黒色に塗装された扇形の領域である。高反射率領域29wおよび低反射率領域29bは、径方向に平行な境界線29lで区切られている。例えば、第2センサ28は、高反射率領域29wおよび低反射率領域29bの両方に対向するように配置されている。また、例えば、第2センサ28の発光部は、Z軸方向から見て、境界線29lに重なるように配置されている。
図8は、図7におけるB矢視図を示す。図8中の二点鎖線で示すように、第2センサ28の発光部は、反射板29に向かって放射状に光を発する。力覚センサ1に外力が加わっていない場合、第2センサ28の発光部は、高反射率領域29wおよび低反射率領域29bを等しい面積ずつ光を照射する。すなわち、図8に示すように、高反射率領域29wのうち光が照射される領域Aw1は、低反射率領域29bのうち光が照射される領域Ab1に等しい。
図9は、第1の実施形態に係る力覚センサにZ軸廻りのモーメントが加えられた場合を示す模式図である。図10は、図9におけるC矢視図を示す。Z軸廻りのモーメントMzは、第2可動部22を回転させる第2の分力である。力覚センサ1にZ軸廻りのモーメントMzが加えられた場合、第2可動部22は、Z軸廻りに回転する。第2可動部22のZ軸廻りの回転にしたがって、第2センサ28に対する反射板29の相対位置が変化する。このため、図10に示すように、高反射率領域29wのうち光が照射される領域Aw2は、低反射率領域29bのうち光が照射される領域Ab2よりも大きくなる。高反射率領域29wは低反射率領域29bに比べて光の反射率が大きいため、第2センサ28の受光部が検出する反射光強度が大きくなる。力覚センサ1は、当該反射光強度の変化によって、加えられたZ軸廻りのモーメントMzの大きさおよび方向を検出する。
なお、上述した説明とは逆方向にZ軸廻りのモーメントが力覚センサ1に加えられた場合、高反射率領域29wのうち光が照射される領域は、低反射率領域29bのうち光が照射される領域よりも小さくなる。低反射率領域29bは高反射率領域29wに比べて光の反射率が小さいため、第2センサ28の受光部が検出する反射光強度が小さくなる。
図11は、第1の実施形態に係る第1検出部および第2検出部の構成を示す模式図である。力覚センサ1は、第1検出部91と、第2検出部92と、を有している。第1検出部91および第2検出部92は、モータ等の回転機械の制御部41と接続されている。第1検出部91および第2検出部92は、力覚センサ1に加えられた外力の情報である外力データP1、P2を制御部41へ出力する。第1検出部91は、第1センサ15と、AD変換部51と、距離演算部61と、力演算部71と、を有する。第2検出部92は、第2センサ28と、AD変換部52と、角度演算部62と、力演算部72と、を有する。4つの第1センサ15は、それぞれが検出した反射光強度に応じてセンサ出力S11、S12、S13、S14をAD変換部51に送る。第2センサ28は、検出した反射光強度に応じてセンサ出力S2をAD変換部52に送る。AD変換部51、52、距離演算部61、角度演算部62および力演算部71、72は、例えば、1つの演算処理部42に備えられる。なお、AD変換部51、距離演算部61および力演算部71が1つの演算処理部に備えられ、AD変換部52、角度演算部62および力演算部72が異なる演算処理部に備えられてもよい。
図12は、第1の実施形態に係る演算処理部の構成図である。演算処理部42は、マイクロコンピュータ(マイコン)等のコンピュータであり、入力インターフェース42aと、出力インターフェース42bと、CPU(Central Processing Unit)42cと、ROM(Read Only Memory)42dと、RAM(Random Access Memory)42eと、内部記憶装置42fと、を含んでいる。入力インターフェース42a、出力インターフェース42b、CPU42c、ROM42d、RAM42eおよび内部記憶装置42fは、内部バスに接続されている。
入力インターフェース42aは、第1センサ15からのセンサ出力S11および第2センサ28からのセンサ出力S2を受け取り、CPU42cに出力する。出力インターフェース42bは、CPU42cから外力データP1、P2を受け取り、制御部41に出力する。
ROM42dには、BIOS(Basic Input/Output System)等のプログラムが記憶されている。内部記憶装置42fは、例えばHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等であり、オペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラムを記憶している。CPU42cは、RAM42eをワークエリアとして使用しながらROM42dや内部記憶装置42fに記憶されているプログラムを実行することにより、種々の機能を実現する。
内部記憶装置42fは、4つのセンサ出力S11、S12、S13、S14と4つの第1センサ15から反射板16までの距離とを対応付けた距離データベースと、センサ出力S2と第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度とを対応付けた角度データベースとを記憶している。また、内部記憶装置42fは、4つの第1センサ15から反射板16までの距離と第1の分力の大きさおよび方向とを対応付けた第1の分力データベースと、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度と第2の分力の大きさおよび方向とを対応付けた第2の分力データベースと、が記憶されている。
AD変換部51、52は、入力インターフェース42aを用いてアナログデータであるセンサ出力S11、S12、S13、S14、S2をデジタルデータに変換する。距離演算部61は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された距離データベースにセンサ出力S11、S12、S13、S14を与えて、4つの第1センサ15から反射板16までの距離を導出する演算処理を行う。角度演算部62は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された角度データベースにセンサ出力S2を与えて、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度を導出する演算処理を行う。力演算部71は、CPU42cがRAM42bを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された第1の分力データベースに距離演算部61の出力を与えて、第1の分力の大きさおよび方向を導出する演算処理を行う。力演算部72は、CPU42cがRAM42eを一時記憶のワークエリアとして使用しながら、内部記憶装置42fに記憶された第2の分力データベースに角度演算部62の出力を与えて、第2の分力の大きさおよび方向を導出する演算処理を行う。また、力演算部71、72は、出力インターフェース42bを介して制御部41へ外力データP1、P2を出力する。外力データP1は、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる外力の大きさおよび方向のデータである。外力データP2は、第2可動部22を回転させる外力の大きさおよび方向のデータである。
力覚センサ1は、第1検出部91を用いて、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力である図6に示したモーメントMyを検出することができる。力覚センサ1にモーメントMyが加えられたとき、図6で示した距離Dz1が距離Dzよりも大きくなるため、反射板16と距離Dz1だけ離れた第1センサ15が検出する反射光強度は、力覚センサ1に外力が加えられていない場合に比して、小さくなる。このため、当該第1センサ15のセンサ出力S11が小さくなる。一方、図6で示した距離Dz2が距離Dzよりも小さくなるため、反射板16と距離Dz2だけ離れた第1センサ15が検出する反射光強度は、力覚センサ1に外力が加えられていない場合に比較して、大きくなる。このため、当該第1センサ15が出力するセンサ出力S12が大きくなる。そして、X軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15から、2つのセンサ出力S11、S12がAD変換部51へ送られる。
アナログデータである2つのセンサ出力S11、S12は、AD変換部51によりデジタルデータに変換され、距離演算部61へ送られる。距離演算部61は、デジタル変換された2つのセンサ出力S11、S12を、距離データベースに与え、距離Dz1、Dz2のデータを得たのち、距離Dz1、Dz2のデータを力演算部71に送る。力演算部71は、距離Dz1および距離Dz2の差とモーメントMyの大きさおよび方向とを対応付けた第1の分力データベースに距離Dz1、Dz2のデータを与え、モーメントMyのデータを得たのち、モーメントMyの大きさおよび方向のデータを外力データP1として制御部41に送る。以上の方法により、力覚センサ1は、第1検出部91により、モーメントMyを検出することができる。なお、力覚センサ1にX軸廻りのモーメントが加えられた場合も、Y軸に平行な直線上に配置された2つの第1センサ15のセンサ出力S13、S14に基づいて、同様の方法で検出できる。
力覚センサ1は、第2検出部92を用いて、第2可動部22を回転させる第2の分力である図9に示したモーメントMzを検出することができる。力覚センサ1にモーメントMzが加えられた場合、第2可動部22のZ軸廻りの回転にしたがって第2センサ28に対する反射板29の相対位置が変化する。これにより、第2センサ28の受光部が検出する反射光強度が変化する。このため、第2センサ28のセンサ出力S2が変化する。当該センサ出力S2は、AD変換部52へ送られる。
アナログデータであるセンサ出力S2は、AD変換部52によりデジタルデータに変換され、角度演算部62へ送られる。角度演算部62は、デジタル変換されたセンサ出力S2を、角度データベースに与え、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度のデータを得たのち、当該相対回転角度のデータを力演算部72に送る。力演算部72は、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度とモーメントMzの大きさおよび方向とを対応付けた第2の分力データベースに当該相対回転角度のデータを与え、モーメントMzのデータを得たのち、モーメントMzのデータを外力データP2として制御部41へ送る。以上の方法により、力覚センサ1は、第2検出部92により、モーメントMzを検出することができる。
よって、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力が加わった場合、力覚センサ1は、第1可動部21および第2可動部22の基部10に対する相対的な変位に基づいた演算を行う第1検出部91により、第1の分力を検出することができる。また、第2可動部22を回転させる第2の分力が加わった場合、力覚センサ1は、第2可動部22の第1可動部21に対する相対的な変位に基づいた演算を行う第2検出部92により、第2の分力を検出することができる。すなわち、力覚センサ1は、第1検出部91により、X軸廻りのモーメントおよびY軸廻りのモーメントを検出することができ、第2検出部92により、Z軸廻りのモーメントを検出することができる。
力覚センサ1に外力が加えられたとき、センサ出力S11、S12、S13、S14は、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力に関する情報を有している。一方、センサ出力S2は、第2可動部22を回転させる第2の分力に関する情報を有している。このように、センサ出力S11、S12、S13、S14とセンサ出力S2とは、同じ外力に含まれる多方向の分力のうち互いに異なる方向の分力に関する情報を有している。このため、センサ出力S11、S12、S13、S14およびセンサ出力S2のそれぞれが有する分力の方向に関する情報は、従来技術に比べ少ない。力覚センサ1は、互いに異なる方向の分力に関する情報を有するセンサ出力S11、S12、S13、S14およびセンサ出力S2をそれぞれ個別に演算することで、互いに異なる方向の分力である第1の分力と第2の分力とを検出する。このため、力覚センサ1は、外力を検出するための演算処理を容易にすることで検出の応答性を向上させることができる。
上述したように、第1の実施形態に係る力覚センサ1は、基部10と、基部10に対向するように配置される第1可動部21と、第1可動部21に対向するように配置される第2可動部22と、基部10に設けられ、第1可動部21および第2可動部22を揺動可能に支持する支持体30と、支持体30に設けられ、第2可動部22を回転可能に支持するジョイント2と、を有する。また、力覚センサ1は、第1可動部21および第2可動部22の少なくとも一方に外力が加わった場合に、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる外力を検出できる第1検出部91と、第2可動部22を回転させる外力を検出できる第2検出部92と、を含むことを特徴とする。
これにより、力覚センサ1に外力が加えられたとき、第1検出部91は、第1可動部21および第2可動部22を揺動させる第1の分力に関する情報を処理している。第2検出部92は、第2可動部22を回転させる方向の第2の分力に関する情報を処理している。このように、第1検出部91と第2検出部92とは、同じ外力に含まれる多方向の分力のうち互いに異なる方向の分力に関する情報を処理している。このため、第1検出部91および第2検出部92のそれぞれが処理する分力の方向に関する情報は、従来技術に比べ少ない。このように、力覚センサ1は、互いに異なる方向の分力に関する情報を処理する第1検出部91および第2検出部92を有することで、互いに異なる方向の分力である第1の分力と第2の分力とを検出する。このため、力覚センサ1は、外力を検出するための演算処理を容易にすることで検出の応答性を向上させることができる。
また、第1の実施形態に係る力覚センサ1において、第1可動部21および第2可動部22は、基部10に対して鉛直方向で上側に配置される。これにより、第2可動部22を支持するジョイント2に加わる荷重は、主に第2可動部22の重量および外力となる。このため、第2可動部22を支持するジョイント2に加わる荷重は、第1可動部21および第2可動部22が基部10に対して鉛直方向で下側に配置される場合に比較して、小さくなる。よって、第1の実施形態に係る力覚センサ1は、第2可動部22を支持するジョイント2に加わる荷重を小さくすることで、ジョイント2が破損する可能性を抑制することができる。
また、第1の実施形態に係る力覚センサ1において、第1検出部91は、3つ以上の第1センサ15を含み、第1センサ15は、光を発することができ且つ当該光の反射光を検出することができることを特徴とする。これにより、第1センサ15は、第1可動部21に光を照射して、当該光の反射光強度を検出することができる。このため、力覚センサ1は、発光部と受光部が対向配置される場合に必要となるような、精度の高い位置決めを必要としない。よって、力覚センサ1は、第1センサ15の配置に起因する検出精度の低下を抑制することができる。
また、第1の実施形態に係る力覚センサ1において、第1検出部91は、4つの第1センサ15を含み、4つの第1センサ15のうち2つの第1センサ15がX軸に平行な同一直線上に配置され、残りの2つの第1センサ15がY軸に平行な同一直線上に配置されている。これにより、力覚センサ1は、X軸に平行な同一直線上に配置された2つの第1センサ15のセンサ出力S11、S12に基づいてY軸廻りのモーメントを検出し、Y軸に平行な同一直線上に配置された2つの第1センサ15のセンサ出力S13、S14に基づいてX軸廻りのモーメントを検出することができる。このため力覚センサ1は、外力を検出するための演算処理をより容易にすることができる。
なお、力覚センサ1は、永久磁石24、25に代えて、コイルばね等の弾性体を有していてもよい。例えば、力覚センサ1がコイルばねを有する場合、コイルばねの一方の端部が第1可動部21に固定され、他方の端部が第2可動部22に固定されていればよい。これにより、第1可動部21に対する第2可動部22の相対回転角度が変化すると、コイルばねが伸縮して弾性力を生じるため、当該相対回転角度が規制される。
また、反射板16は、光に対する反射率が一様であればよく、材質、表面性状、色等の制限はない。また、第1可動部21の基部10側の表面の反射率が一様である場合、反射板16は、なくてもよい。
また、反射板29は、高反射率領域29wおよび低反射率領域29bに代えて、光を多方向に拡散させる拡散領域および光を入射方向に反射する再帰性反射領域を有していてもよい。再帰性反射領域の光の反射率は、拡散領域の光の反射率よりも大きいため、力覚センサ1にZ軸廻りのモーメントが加えられた場合、第2センサ28が検出する反射光強度が変化する。また、反射板29は、高反射率領域29wおよび低反射率領域29bに代えて、Z軸に対する周方向で段階的に反射率が異なるグラデーション領域を有していてもよい。
また、第2可動部22は、反射板29に代えて、第1可動部21側の表面の一部を段階的に突出させるまたは段階的に窪ませることによって傾斜面を有していてもよい。このようにした場合、力覚センサ1にZ軸廻りのモーメントが加えられたとき、第2センサ28と当該傾斜面との距離が変化するため、第2センサ28が検出する反射光強度が変化する。
また、第1センサ15は、第1センサ15から反射板16までの距離を検出できるものであればよく、必ずしもフォトリフレクタでなくてもよい。例えば、超音波センサや静電容量センサでもよい。また第1センサ15は、基部10および第1可動部21に固定される加速度センサであってもよい。このようにする場合、第1検出部91は、基部10に固定された加速度センサと第1可動部21に固定された加速度センサの出力の差から基部10に対する第1可動部21の傾斜角度を演算し、当該傾斜角度に基づいて第1センサ15から反射板16までの距離を検出すればよい。また、力覚センサ1は、例えば、フォトリフレクタと加速度センサを組み合わせた第1センサ15を有していてもよい。
また、力覚センサ1においては、第1検出部91は、必ずしも4つの第1センサ15を備える必要はない。第1検出部91は、少なくとも3つ以上の第1センサ15を備えていればよい。第1センサ15が3つ以上設けられていれば第1可動部21の傾斜角度を特定することができる。
第2センサ28は2個以上配置されるのが望ましい。一つの反射板29に対して第2センサ28が2個以上配置されてもよい。また反射板29が複数箇所に設けられて、それぞれの反射板29に第2センサ28が配置されてもよい。このような構成とすることで、一つの第2センサ28が故障した場合でも力覚センサ1の使用を継続することができる。
さらに、弾性部33に形成されるスリット33rのZ軸方向の間隔が調整されることで、使用目的に合わせて適切な剛性を設定することが可能である。また、弾性部33は基部10と一体の構造となっているので、基部10に近い部分からスリット33rの形成が可能である。これにより、力覚センサ1のZ軸方向の高さが小さくなる。なお、高い剛性が必要な場合はスリット33rが形成されない構成とすることも可能である。
所謂2条ねじや3条ねじと同様に、複数の螺旋状のスリット33rを弾性部33に形成することが可能である。このような構成とすることにより、力覚センサ1の使用目的に適した剛性を弾性部33に対して設定することが可能である。
(第1の実施形態の第1の変形例)
図13は、第1の実施形態の第1の変形例に係る力覚センサを示す模式図である。図14は、図13におけるD−D断面を示す模式図である。図15は、図13におけるE−E断面を示す模式図である。なお、上述した第1の実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
力覚センサ1Aにおいては、図15に示すように、3つの第1センサ15が円周方向に略等間隔に配置されている。以下において、外力が加えられていないときの3つの反射板16を含む平面と中心軸Zrとの交点を原点としたXYZ直交座標系を用いて説明する。3つの第1センサ15をそれぞれ第1センサ151、第1センサ152、第1センサ153とし、X−Y平面上における座標をそれぞれ(x151、y151)、(x152、y152)、(x153、y153)とする。力覚センサ1Aに外力が加えられていない状態において、第1センサ151、第1センサ152および第1センサ153の出力を0に合わせると、第1可動部21の第1センサ15が測定している点PA、点PBおよび点PC(図14参照)の座標はそれぞれ(x151、y151、0)(x152、y152、0)(x153、y153、0)となる。第1センサ151、第1センサ152および第1センサ153の出力を0に合わせることは、0点セットと呼ばれる。
力覚センサ1Aに外力が加えられると第1可動部21および第2可動部22が傾斜し、第1センサ151、第1センサ152および第1センサ153の出力が変化する。その結果、点PA、点PBおよび点PCの座標は(x151、y151、z151)(x152、y152、z152)、(x153、y153、z153)に変わる。ここで、下記(1)式に示す点PAから点PBへのベクトルは、下記(2)式となる。また、下記(3)式に示す点PAから点PCへのベクトルは、下記(4)式となる。したがって第1可動部21における点PA、点PBおよび点PCを含む平面の法線ベクトルHは2つのベクトルの外積である下記(5)式のように表せる。法線ベクトルHの(x、y、z)成分をそれぞれ(hx、hy、hz)と記述すると、第1可動部21のX軸廻りの傾きθx、Y軸廻りの傾きθyはそれぞれ下記(6)式および下記(7)式のように表すことができる。
第1センサ151、第1センサ152および第1センサ153は必ずしも周方向に等間隔である必要はなく、位置が固定されていればよい。ただし、傾きθx、θyの検出精度を向上させるためには第1センサ151、第1センサ152および第1センサ153の各々の間隔は可能な限り長く設定される方がよい。したがって、第1センサ151、第1センサ152および第1センサ153は、周方向に120°ずつずらして配置されるのが好ましい。
(第1の実施形態の第2の変形例)
図16は、第1の実施形態の第2の変形例に係る力覚センサを、中心軸を含む平面で切った断面図である。なお、上述した第1の実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図16に示すように、第1の実施形態の第2の変形例に係る力覚センサ1Bは、基部10Bと、支持体30Bと、ジョイント2Bと、を備える。例えば、基部10Bは、円盤状の部材であり、Z軸方向に貫通する孔である第1内部通路10hと、センサ配線通路10aと、を備える。支持体30Bは、円筒状の部材であって、Z軸方向に貫通する孔である第2内部通路30hを備える。ジョイント2Bは、円筒状の部材であるシャフト11Bを備える。シャフト11Bは、深溝玉軸受35を介して第2内部通路30hの内壁に支持されており、Z軸方向に貫通する孔である第3内部通路11hを備える。
図16に示すように、第1内部通路10h、第2内部通路30hおよび第3内部通路11hは、例えば円柱状の孔であって、同一直線状に配置されている。連続する第1内部通路10hおよび第2内部通路30hによって、一つ孔が形成されている。第3内部通路11hの一端は、第2内部通路30hの内部で開口しており、第3内部通路11hの他端は、第2可動部22のうち第1可動部21とは反対側の表面から突出した位置で開口している。
センサ配線通路10aは、基部10Bおよび第1可動部21の間の空間と、第1内部通路10hとを繋ぐ孔である。センサ配線通路10aは基部10Bを貫通している。センサ配線通路10aの一端は基部10Bおよび第1可動部21の間の空間で開口しており、センサ配線通路10aの他端は第1内部通路10hで開口している。センサ配線通路10aは、例えば直線状の孔であって、XY平面に対して傾斜している。
力覚センサ1Bは例えばロボットハンドに取り付けられるので、力覚センサ1Bの周辺にはロボットハンドに取り付けられる他の装置の配線および配管が配置される。仮に他の装置の配線および配管が力覚センサ1Bの外側を通過する場合、配線および配管の分だけロボットハンドが大きくなる。これに対して、力覚センサ1Bにおいては、配線または配管は、第1内部通路10h、第2内部通路30hおよび第3内部通路11hを通過することができる。すなわち、配線または配管が力覚センサ1Bの内部に収納される。このため、配線または配管が力覚センサ1Bの外側を通過する場合に比べて、力覚センサ1Bは、力覚センサ1Bが取り付けられる装置全体を小型化することができる。
また、力覚センサ1Bには、第1センサ15および第2センサ28の出力配線が設けられる。仮に第1センサ15および第2センサ28の出力配線が力覚センサ1Bの側面から引き出される場合、出力配線がロボットハンドに取り付けられる他の装置に干渉する可能性がある。これに対して、力覚センサ1Bにおいては、第1センサ15および第2センサ28の出力配線は、センサ配線通路10aを介して第1内部通路10hへ引き出される。これにより、第1センサ15および第2センサ28の出力配線が力覚センサ1Bの内部を通過するので、出力配線と他の装置との干渉が抑制される。また、センサ配線通路10aがXY平面に対して傾斜していることにより、センサ配線通路10aがXY平面に平行な孔である場合に比較して、スリット33rの近傍での断面欠損が生じにくい。このため、センサ配線通路10aが支持体30Bのばね定数に与える影響が小さくなる。
なお、センサ配線通路10aは、必ずしもXY平面に対して傾斜した孔でなくてもよい。例えば、センサ配線通路10aは、XY平面に平行な孔であってもよいし、XY平面に対して垂直な孔であってもよい。すなわち、少なくともセンサ配線通路10aの一端が基部10Bおよび第1可動部21の間の空間で開口し、他端が第1内部通路10h又は基部10Bを挟んだ反対側の空間に開口していればよい。
(第2の実施形態)
図17は、第2の実施形態に係る力覚センサを示す模式図である。図18は、第2の実施形態に係る基部、支持体および第2可動部を示す模式図である。図19は、第2の実施形態の変形例に係る力覚センサを示す模式図である。なお、上述した第1の実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図17に示すように、第2の実施形態に係る力覚センサ1Cは、上述した支持体30とは異なる支持体30Cを備える。支持体30Cは、第1可動部21および第2可動部22を揺動可能に支持する。支持体30Cは、円筒状の部材である。支持体30Cは、基部10と一体の構造となっている。
図18に示すように、支持体30Cは弾性部33Cを備える。弾性部33Cは円筒状であり、弾性部33CにはZ軸に対して略直交するスリット33hが形成されている。例えば、スリット33hは複数設けられており、複数のスリット33hはZ軸方向に沿って並んでいる。1つのスリット33hは、Z軸方向から見て、当該スリット33hの隣りのスリット33hの一部と重なる。例えば、スリット33hは、Z軸方向から見て略C字状である。
より具体的には、スリット33hは、X軸方向のうち一方側に開口する第1のスリット331hと、X軸方向のうち他方側に開口する第2のスリット332hと、を含む。第1のスリット331hおよび第2のスリット332hは、それぞれ偶数個ずつ設けられている。Z軸方向から見て、第2のスリット332hは、中心軸Zrを中心として第1のスリット331hと点対称である位置に配置されている。すなわち、第1のスリット331hおよび第2のスリット332hは、Z軸方向に沿って互い違いに並べられている。
なお、弾性部33Cに形成されるスリット33hのZ軸方向の間隔が調整されることで、使用目的に合わせて適切な剛性を設定することが可能である。また、弾性部33Cは基部10と一体の構造となっているので、基部10に近い部分からスリット33rの形成が可能である。これにより、力覚センサ1CのZ軸方向の高さが小さくなる。なお、高い剛性が必要な場合はスリット33hが形成されない構成とすることも可能である。
なお、支持体30Cは、必ずしも複数のスリット33hを備えていなくてもよく、少なくとも1つのスリット33hを備えていればよい。また、スリット33hは、必ずしも偶数個でなくてもよく、奇数個であってもよい。すなわち、第2のスリット332hの数が第1のスリット331hの数と異なっていてもよい。
なお、第2の実施形態に係る力覚センサ1Cに対して、上述した第1の実施形態の第2の変形例の構成が適用されてもよい。すなわち、力覚センサ1Cにおける基部10が、図16に示した第1内部通路10h、第2内部通路30h、第3内部通路11hおよびセンサ配線通路10aを備えていてもよい。
(第2の実施形態の変形例)
図19は、第2の実施形態の変形例に係る力覚センサを示す模式図である。なお、上述した第2の実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図19に示すように、第2の実施形態の変形例に係る力覚センサ1Dは、上述した支持体30とは異なる支持体30Dを備える。支持体30Dは、第1可動部21および第2可動部22を揺動可能に支持する。支持体30Dは、円筒状の部材である。支持体30Dは、基部10と一体の構造となっている。
図19に示すように、支持体30Dは弾性部33Dを備える。弾性部33Dは円筒状であり、弾性部33DにはZ軸に対して略直交するスリット33hDが形成されている。例えば、スリット33hDは複数設けられており、複数のスリット33hDはZ軸方向に沿って並んでいる。1つのスリット33hDは、Z軸方向から見て、当該スリット33hDの隣りのスリット33hDの一部と重なる。例えば、スリット33hDは、Z軸方向から見て略C字状である。
より具体的には、スリット33hは、複数の第1のスリット331hDと、複数の第2のスリット332hDと、を含む。YZ平面に対して面対称に配置された2つの第1のスリット331hDの組と、XZ平面に対して面対称に配置された2つの第2のスリット332hDの組とが、Z軸方向に沿って交互に配置されている。言い換えると、Z軸方向から見て、2つの第1のスリット331hDが中心軸Zrを中心として点対称に配置されており、且つ2つの第2のスリット332hDが中心軸Zrを中心として点対称に配置されている。このような構成とすることにより、力覚センサ1Dの使用目的に適した剛性を弾性部33Dに対して設定することが可能である。
(第3の実施形態)
図20は、第3の実施形態に係る力覚センサを示す模式図である。なお、上述した第1の実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
第3の実施形態に係る力覚センサ1Eは、図20に示すように、上述した第1の実施形態の支持体30とは異なる支持体30Eを備える。支持体30Eは、Z軸方向の少なくとも一部に、Z軸周りの全周に亘る薄肉部34を備える。薄肉部34は、例えば上部固定部32の外周よりも小さな外周を有する略円筒状の部材である。このような構造とすることにより、基部10および上部固定部32が旋削加工される際に薄肉部34を同時に形成することが可能である。このため、力覚センサ1Eは、上述した第1の実施形態および第2の実施形態に比べて、スリット33rまたはスリット33hを形成するための加工コストを削減することができる。
(第4の実施形態)
図21は、第4の実施形態に係る力覚センサを示す模式図である。図22は、第4の実施形態に係る力覚センサを、中心軸を含む平面で切った断面図である。なお、上述した第1の実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図22に示すように、第4の実施形態に係る力覚センサ1Fは、基部10Fと、支持体30Fと、ジョイント2Fと、を備える。を備える。例えば、基部10Fは、円盤状の部材であり、Z軸方向に貫通する貫通孔である第1内部通路10hFと、センサ配線通路10aFと、を備える。また、基部10Fは、第1可動部21に対向する表面の中央部でZ軸方向に突出する突出部101を備える。第1内部通路10hFは、突出部101を貫通している。このため、突出部101は筒状になっている。
支持体30Fは、下部固定部31Fと、上部固定部32Fと、ディスク33Fと、を有する。下部固定部31Fは、例えば、アルミニウム等の金属で形成されている。下部固定部31Fは、Z軸方向に貫通する貫通孔31hを中央部に備えた円筒状の部材であり、端面がZ軸に対して垂直になるように基部10Fに固定されている。例えば、基部10Fの突出部101が貫通孔31hに圧入されることにより、支持体30Fが基部10Fに固定されている。上部固定部32Fは、例えば、アルミニウム等の金属で形成されている。上部固定部32Fは、Z軸方向に貫通する貫通孔32hを中央部に備えた円筒状の部材であり、端面がZ軸に対して垂直になるようにディスク33Fを介して下部固定部31Fに固定されている。上部固定部32Fは、第1可動部21をZ軸方向に貫通している。ディスク33Fは、例えば、板ばねである。ディスク33Fは、Z軸方向に貫通する貫通孔33hを備える。貫通孔33hは、円盤状のディスク33Fの中央部を貫通している。貫通孔31h、貫通孔33hおよび貫通孔32hは、Z軸方向で見て重なっている。これにより、貫通孔31h、貫通孔33hおよび貫通孔32hは、Z軸方向に貫通する第2内部通路30hFを形成している。
ジョイント2Fは、円筒状の部材であるシャフト11Fを備える。シャフト11Fは、深溝玉軸受35を介して第2内部通路30hFの内壁に支持されており、Z軸方向に貫通する孔である第3内部通路11hFを備える。第3内部通路11hFの一端は、第2内部通路30hFの内部で開口しており、第3内部通路11hFの他端は、第2可動部22のうち第1可動部21とは反対側の表面から突出した位置で開口している。
第2内部通路30hFおよび第3内部通路11hFは、Z軸方向で見て第1内部通路10hFと重なっている。すなわち、第1内部通路10hF、第2内部通路30hFおよび第3内部通路11hFは、同一直線上に配置されている。
センサ配線通路10aFは、基部10Fおよび第1可動部21の間の空間と、第1内部通路10hFとを繋ぐ孔である。センサ配線通路10aFは基部10Fを貫通している。センサ配線通路10aFの一端は基部10Fおよび第1可動部21の間の空間で開口しており、センサ配線通路10aFの他端は第1内部通路10hFで開口している。第1内部通路10hFは、例えば直線状であって、XY平面に平行である。第1内部通路10hFは、例えば、基部10Fの第1可動部21と対向する表面に設けられた溝10bFと、溝10bFおよび第1内部通路10hFを繋ぐ貫通孔10cFとから構成されている。
力覚センサ1Fにおいては、他の装置の配線または配管は、第1内部通路10hF、第2内部通路30hFおよび第3内部通路11hFを通過することができる。すなわち、配線または配管が力覚センサ1Fの内部に収納される。このため、配線または配管が力覚センサ1Fの外側を通過する場合に比べて、力覚センサ1Fは、力覚センサ1Fが取り付けられる装置全体を小型化することができる。
また、力覚センサ1Fにおいては、第1センサ15および第2センサ28の出力配線は、センサ配線通路10aFを介して第1内部通路10hFへ引き出される。これにより、第1センサ15および第2センサ28の出力配線が力覚センサ1Fの内部を通過するので、出力配線と他の装置との干渉が抑制される。
なお、センサ配線通路10aFは、必ずしもXY平面に平行な孔でなくてもよい。例えば、センサ配線通路10aFは、XY平面に対して傾斜していてもよいし、XY平面に対して垂直な孔であってもよい。すなわち、少なくともセンサ配線通路10aFの一端が基部10Fおよび第1可動部21の間の空間で開口し、他端が第1内部通路10hF又は基部10Fを挟んだ反対側の空間に開口していればよい。