JP6586325B2 - Ptp包装体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、被収容物を収容するプレススルーパック(PTP)包装体の製造方法に関する。特に、本発明は、樹脂層と金属層とが積層されたシートを深絞り成形することにより被収容物を収容する収容部を形成する、PTP包装体の製造方法に関する。
従来、医薬用錠剤等の薬品、サプリメント、食品等を収容する包装体として、PTP包装体とよばれる包装体が使用されている。このようなPTP包装体には、通常、被収容物を収容可能な凹状の収容部が形成されている。該収容部を形成する方法としては、例えば、基材となるシートに凸状のプラグを押し込むことにより、該シートを深絞りする方法が知られている。
PTP包装体の基材として、樹脂層と金属層とが積層されたラミネートシートがよく用いられる。このようなシートに収容部を形成する際には、一般的に、シートを加熱しない冷間成形により深絞り加工が行われる。
しかしながら、深絞り冷間成形により該シートに深い凹状収容部を形成した場合、時間の経過と共に該収容部における樹脂層と金属層との間に剥離が生じることがある。このような剥離は、樹脂層と金属層とが深絞りにより引き伸ばされた後、樹脂層が時間の経過により収縮していくことにより生じると考えられる。従来の深絞り冷間成形では、このような剥離を避ける必要があるため、該シートに十分に深い凹状収容部を形成することができなかった。
上記のような樹脂層と金属層との剥離を抑制する方法として、例えば、特許文献1には、非水型電解質二次電池用の外装材を製造する際のアルミニウムと有機フィルムをラミネートしたアルミラミネート原反の深絞り加工において、ダイ穴の周囲の領域で原反の滑りを許容すると共に、該領域よりもダイ穴から遠い領域では原反を滑らないように固定しながら、原反をダイ穴に絞り込む深絞り加工方法が開示されている。斯かる方法では、ダイ穴の周囲の領域に鏡面仕上げによる平滑化処理を施したダイ及びしわ押え板を備えた装置を使用し、原反を該ダイと該しわ押え板とで挟持した状態で深絞り加工を行っている。このようにして原反の滑りを許容することにより、深絞り加工時に原反に作用する変形応力を軽減して、加工後に生じ得る剥離を抑制している。
特開2002−178046号公報
しかしながら、特許文献1の深絞り加工方法は、使用する装置として、ダイ穴の周囲において、原反を挟持するダイ及びしわ押え板を単に鏡面仕上げしたものを用いたに過ぎない。そのため、PTP包装体の収容部のように、より深さのある深絞り部分を形成する場合には、特許文献1の方法では樹脂層と金属層との間の剥離を十分に抑制することができないという問題があった。
本発明は、上記の問題点等に鑑み、樹脂層と金属層とが積層されたシートを深く深絞り成形しても、樹脂層と金属層との間の剥離を抑制することができる、PTP包装体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明に係るPTP包装体の製造方法は、使用する装置が第1のダイ穴が設けられた第1の下型と第1のプラグとを備え、第1の下型の表面がフッ素樹脂により覆われており、樹脂層と金属層とが積層されたシートを、樹脂層が設けられた面が第1の下型と接触するように、かつ、第1のダイ穴を覆うように第1の下型に設置する第1設置工程と、第1設置工程の後に、シートの第1のダイ穴を覆う部分と共に第1のプラグを第1のダイ穴内に嵌入することにより、シートの第1のダイ穴を覆う部分を成形して、シートに深絞り部分を形成する、第1成形工程とを備えている。
斯かる構成によれば、第1の下型の表面がフッ素樹脂に覆われているため、下型とシートとの摩擦が小さくなる。そのため、深絞り成形の際にシートに及ぼされる負荷が小さくなり、成形後に生じ得る樹脂の収縮が抑制される。したがって、該シートにおける樹脂層と金属層との間の剥離を効果的に抑制することができる。
また、本発明に係るPTP包装体の製造方法においては、好ましくは、第1の下型の表面と前記シートの第1の下型と接触する面との動摩擦係数が0.1以下であってもよい。斯かる構成によれば、該シートにおける樹脂層と金属層との間の剥離をより効果的に抑制することができる。
また、本発明に係るPTP包装体の製造方法においては、好ましくは、第1のプラグと前記シートの第1のプラグと接触する面との動摩擦係数が0.3以上であってもよい。斯かる構成によれば、第1成形工程において、シートの第1のプラグと接触する部分に作用する負荷が、該部分の周縁部分へと分散され易くなるため、該シートにおける樹脂層と金属層との間の剥離をさらに効果的に抑制することができる。
また、本発明に係るPTP包装体の製造方法においては、好ましくは、前記装置が、第2のダイ穴が設けられた第2の下型と第2のプラグとをさらに備え、第1成形工程の後に、前記シートを、前記樹脂層が設けられた面が第2の下型と接触するように、かつ、前記シートの深絞り部分が第2のダイ穴に位置するように第2の下型に設置する第2設置工程と、第2設置工程の後に、前記シートの深絞り部分と共に第2のプラグを第2のダイ穴内に嵌入することにより、前記シートの前記深絞り部分をさらに成形する第2成形工程とをさらに備えていてもよい。
斯かる構成によれば、第1成形工程において成形された深絞り部分を、さらに第2のプラグを嵌入して成形するため、シートにおける樹脂層と金属層との間の剥離を効果的に抑制しつつ、深絞り部分の容積をさらに大きくすることができる。
さらに、本発明に係るPTP包装体の製造方法においては、好ましくは、第1のプラグの先端形状が半球形状であり、第2のプラグの先端形状が円柱形状であってもよい。斯かる構成によれば、第1成形工程において、樹脂層と金属層との間の剥離を抑えつつ深絞り部分をより深く形成すると共に、第2成形工程において、深絞り部分を円筒形状に拡張することにより、深絞り部分の容積をより一層大きくすることができる。
本発明によれば、樹脂層と金属層とが積層されたシートを深く深絞り成形しても、樹脂層と金属層との間の剥離を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るPTP包装体の製造方法における第1設置工程を表す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係るPTP包装体の製造方法における第1成形工程を表す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係るPTP包装体の製造方法に使用される第1の下型の上面図、並びに第1の上型及び第1のプラグホルダーの底面図である。 本発明の一実施形態に係るPTP包装体の製造方法における第2設置工程を表す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係るPTP包装体の製造方法における第2成形工程を表す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係るPTP包装体の製造方法に使用される第2の下型の上面図、並びに第2の上型及び第2のプラグホルダーの底面図である。 本発明の他の実施形態に係るPTP包装体の製造方法に使用される第1の下型の上面図、並びに第1の上型及び第1のプラグホルダーの底面図である。 本発明の別の実施形態に係るPTP包装体の製造方法に使用される第1の下型の上面図、並びに第1の上型及び第1のプラグホルダーの底面図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。ただし、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に限定されない。
(第1の深絞り成形)
本実施形態のPTP包装体の製造方法は、使用する装置Eが第1のダイ穴15が設けられた第1の下型10と第1のプラグ35とを備え、下型10の表面がフッ素樹脂により覆われており、樹脂層2,4と金属層3とが積層されたシート1を、樹脂層4が設けられた面が第1の下型10と接触するように、かつ、第1のダイ穴15を覆うように第1の下型10に設置する第1設置工程と、第1設置工程の後に、シート1の第1のダイ穴15を覆う部分5と共に第1のプラグ35を第1のダイ穴15内に嵌入することにより、シート1の第1のダイ穴15を覆う部分を成形して、シート1に深絞り部分5’を形成する、第1成形工程とを備えている。
本実施形態において深絞り成形されるシート1は、樹脂層2,4と金属層3とが積層されてなる積層シートである。シート1は、1層の樹脂層と1層の金属層とが積層された2層構造であってもよく、さらに多くの樹脂層及び金属層が積層された多層構造であってもよい。本実施形態では、シート1は、金属層3の両面に樹脂層2と樹脂層4とが積層された3層構造となっており、樹脂層4の設けられた側が下型10と接触するように、下型10上に設置される。
樹脂層2,4を構成する樹脂は、特に限定されないが、例えば、ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンまたはそれらの組み合わせ等であってもよく、好ましくは、ナイロン、ポリプロピレンまたはポリ塩化ビニルであってもよい。本実施形態では、樹脂層2は、ポリ塩化ビニルより構成され、樹脂層4は、ナイロンより構成される。
金属層3を構成する金属は、特に限定されないが、例えば、アルミニウム合金、スチール、ステンレススチール、銅等を使用した合金等であってもよく、好ましくは、アルミニウム合金であってもよい。本実施形態では、金属層3は、アルミニウム合金より構成される。
また、本実施形態のシート1としては、特に、ポリ塩化ビニル層/アルミニウム層/ナイロン層、無延伸ポリプロピレン層/アルミニウム層/ナイロン層、高密度ポリエチレン層/アルミニウム層/ナイロン層がこの順番で積層された3層シート、ナイロン層/アルミニウム層/ナイロン層/ポリプロピレン層、ポリプロピレン層/アルミニウム層/ナイロン層/ポリプロピレン層が積層された4層シートまたはポリ塩化ビニル層/ナイロン層/アルミニウム層/ナイロン層/ポリ塩化ビニル層がこの順番で積層された5層シートなどが好適に使用され得る。
樹脂層2,4と金属層3とは、任意の方法で積層されていてもよい。本実施形態では、樹脂層2,4と金属層3とは、ドライラミネートにより積層されている。樹脂層2,4と金属層3とは、接着剤を介して積層されてもよく、接着剤を用いずに熱融着等により接着されて積層されてもよい。
シート1の厚さは、特に限定されないが、100〜300μmが好ましい。また、シート1を構成する樹脂層2,4の厚さは12〜100μmが好ましく、金属層3の厚さは、9〜100μmが好ましい。
本実施形態において使用する装置Eは、図1及び図2に示すように、第1の下型10を備えている。下型10は、その表面がフッ素樹脂により覆われている。フッ素樹脂は、シート1の接触する面(本実施形態では、樹脂層4の設けられた側の面)との摩擦が小さいという特徴を有する。このようなフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の完全フッ素化樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等の部分フッ素化樹脂、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等のフッ素化樹脂共重合体などが挙げられる。これらのフッ素樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくは、該フッ素樹脂としては、PTFEを含むデュポン社製「テフロン(登録商標)」等を用いることができる。
下型10の表面のフッ素樹脂とシート1の該フッ素樹脂と接触する面との静止摩擦係数は、0.15以下が好ましく、0.13以下がより好ましい。また、動摩擦係数は0.10以下が好ましく、0.09以下がより好ましい。これらの摩擦係数が当該数値以下の場合には、後述する深絞り加工時を行った後に生じ得るシート1の樹脂層と金属層と間の剥離を効果的に抑制できる。
なお、本明細書では、静止摩擦係数及び動摩擦係数は、JIS K 7125に準じて得られた値をいう。より詳細には、後述する実施例に記載された条件により測定して得られた値をいう。
なお、下型10は、表面がフッ素樹脂に覆われている限り、全体の材質は特に限定されない。例えば、下型10は、鉄製のプレートの表面にフッ素樹脂をコーティングしたものであってもよい。また、下型10の全体が、フッ素樹脂により構成されていてもよい。
下型10には、ダイ穴15が設けられている。本実施形態では、図3(a)に示されるように、下型10には、縦3列横2列の格子配列上に、複数のダイ穴15が形成されている。
ダイ穴15の平面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形または矩形であってもよい。該平面形状は、後述するプラグ35の平面形状に合わせた形状であることが好ましい。本実施形態では、ダイ穴15の平面形状は、円形である。
ダイ穴15の寸法は、特に限定されないが、好ましくは、7〜200mm2程度である。また、ダイ穴15の寸法は、後述するプラグ35が適度な隙間を保ちつつ嵌入できるように、プラグ35の外形寸法よりも若干大きいことが好ましい。例えば、ダイ穴15の寸法は、幅及び奥行きがプラグ35の外形寸法よりも0.2〜2mm大きいことが好ましい。
また、ダイ穴15は、貫通穴であってもよく、非貫通穴であってもよい。ダイ穴15が非貫通穴である場合には、ダイ穴15の深さは、後の深絞り加工においてシート1に形成する深絞り部分5’の目的の深さよりも深いことが好ましい。好ましくは、ダイ穴15の深さは、3〜30mmである。
本実施形態において使用する装置Eは、プラグ35をさらに備えている。プラグ35は、任意の材質であってもよいが、シート1のプラグ35と接触する面(本実施形態では、樹脂層2の設けられた側の面)との摩擦が比較的大きいことが好ましい。その場合には、シート1を深絞り成形する際に、シート1のプラグ35と接触する部分においてプラグ35が滑り難いため、深絞り成形する際における該部分の伸びが抑制される。一方で、下型10の表面ではシート1が滑り易いため、プラグ35によりシート1の該部分を伸ばすような力が加えられると、シート1の該部分の周縁部分が伸び易くなる。そのため、シート1が深絞りされる際に、シート1の該部分に作用する負荷が、該部分の周縁部分に分散され易くなる。したがって、後に生じ得るシート1の樹脂層2,4と金属層3との間の剥離をさらに効果的に抑制することができる。
上記摩擦が比較的大きいプラグ35の材質としては、例えば、亜鉛、マグネシウム及び銅を含むアルミニウム合金(超々ジュラルミン)、スチール、ステンレススチール等が挙げられる。本実施形態では、プラグ35は、JIS H 4140にA7075として規定される超々ジュラルミンにより構成される。
プラグ35とシート1の該面との静止摩擦係数は、0.15以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。また、動摩擦係数は0.3以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。その場合には、シート1における樹脂層2,4と金属層3との間の剥離をより効果的に抑制することができる。
本実施形態では、プラグ35の先端形状は、半球形状である。その場合には、深絞り部分5’が比較的均一な肉厚を有する半球形状の凹部となるため、好ましい。もっとも、プラグ35の先端形状は、形成する深絞り部分5’の目的の形状に合わせて、適宜選択することができる。例えば、比較的均一な肉厚を有する深絞り部分5’を形成可能なプラグ35の先端形状は、必ずしも半球形状に限らず、半楕円体形状であってもよい。さらに、プラグ35の先端形状は、円柱形状、楕円柱形状、矩形形状等の様々な形状であってもよい。
プラグ35の先端の寸法は、形成する深絞り部分5’の目的の形状に合わせて、ダイ穴15に嵌入可能な任意の寸法とすることができる。例えば、プラグ35の先端形状の寸法は、幅及び奥行きが7〜50mm程度であってもよい。また、プラグ35の先端形状が半球形状の場合には、その直径が7〜50mm程度であることが好ましい。
また、プラグ35の長さは、上述のプラグ35がダイ穴15に嵌入される深さ以上であれば、特に限定されない。すなわち、プラグ35の長さは、ダイ穴15に嵌入される長さと等しくてもよく、より長くてもよい。
本実施形態において使用する装置Eでは、図3(c)に示されるように、縦3列横2列の格子配列上に配列された複数のプラグ35が、第1のプラグホルダー30に設けられている。すなわち、各プラグ35は、それぞれ下型10の各ダイ穴15に対応する位置に設けられている。そして、プラグホルダー30を、シート1のダイ穴15を覆う各部分5に各プラグ35をそれぞれ押し当てるようにして、下型10上のシート1に被せ、プラグホルダー30を下型10にプレスすると、各プラグ35が各ダイ穴15に嵌入して、各部分5がそれぞれ深絞りされる。
このとき、プラグ35とシート1との摩擦が大きい場合には、深絞り時にシート1を複数の部分5において滑り止めすることができる。そのため、深絞り時に置けるシート1の滑りをより効果的に抑制することができる。
なお、プラグホルダー30の材質は、特に限定されない。本実施形態では、プラグホルダー30は、無電解ニッケルによりめっきされた鉄製のプレートからなる。
また、本実施形態において使用する装置Eは、さらに第1の上型20を備えている。上型20は、シート1を下型10上に固定するために用いられるものであって、図1及び図2に示すように、シート1を介して下型10上に設置することにより、下型10と上型20との間にシート1を挟持することができる。
上型20の材質は、特に限定されない。本実施形態では、上型20は、鉄製のプレートに、錆び付き防止のため無電解ニッケルによりめっきされたものであるが、アルミニウム合金、ステンレススチール合金製であってもよい。
また、上型20の表面とシート1の上型20と接触する面との摩擦係数は、下型10の表面とシート1の下型10と接触する面との摩擦係数よりも、大きくてもよい。
上型20には、貫通穴25が設けられている。本実施形態では、図3(b)に示されるように、上型20には、縦3列横2列の格子配列上に、複数の貫通穴25が形成されている。各貫通穴25は、それぞれ下型10の各ダイ穴15に対応する位置に設けられており、下型10上に上型20を設置する際、下型10のダイ穴15の位置と上型20の貫通穴25の位置とが重なるように、上型20を設置することができる。
貫通穴25の外形寸法は、下型10上に上型20を設置する際に下型10の各ダイ穴15が上型20に覆われないように、ダイ穴15の外形寸法と同じか若干大きいことが好ましい。例えば、貫通穴25の寸法は、幅及び奥行きがダイ穴15の外形寸法よりも0〜2mm大きいことが好ましい。
貫通穴25の平面形状は、ダイ穴15の平面形状に合わせた形状であることが好ましいが、ダイ穴15の平面形状と異なっていてもよい。本実施形態では、貫通穴25の平面形状は、円形である。
なお、上型20は、シート1を下型10上に固定することが可能であれば、上述の形態に限定されない。例えば、上型20は、シート1の周縁を下型10との間に挟持するフレーム状の部材であってもよい。また、他の手段によりシート1を下型10上に固定できるのであれば、装置Eは上型20を必ずしも備えていなくてもよい。
上述の装置Eを用いて、本実施形態の製造方法では、まず、図1に示すように、第1のダイ穴15が設けられた第1の下型10上に、シート1を設置する(第1設置工程)。このとき、シート1は、下型10のダイ穴15を覆うようにして、下型10上に設置される。
次に、図1に示すように、第1の下型10上に、シート1を介して第1の上型20を設置することにより、下型10と上型20との間にシート1を挟持して固定する。このとき、上型20は、下型10のダイ穴15上に上型20の貫通穴25が位置するように、下型10上に設置される。
なお、上型20を用いることは必ずしも必須ではなく、他の手段によりシート1を下型10上において固定してもよい。また、後述する深絞り成形時に、シート1の下型10に対する相対位置のずれが生じないのであれば、シート1は必ずしも下型10上に固定されていなくてもよい。
次に、図2に示すように、下型10のダイ穴15内にプラグ35を嵌入することにより、シート1のダイ穴15を覆う部分5を成形する(第1成形工程)。具体的には、シート1のダイ穴15を覆う部分5に、樹脂層2の設けられた側からプラグ35を押し当て、当該部分5ごとプラグ35をダイ穴15内に嵌入する。それによって、当該部分5が深絞りされ、深絞り部分5’が形成される。
このようにして形成された深絞り部分5’は、PTP包装体の収容部として使用することができる。
第1成形工程は、樹脂層と金属層とが積層されたシートを深絞りする際に通常用いられる、シート1を加熱せずに常温付近で深絞りする冷間成形であることが好ましい。
プラグ35がダイ穴15内に嵌入される深さは、形成する深絞り部分5’の目的の深さに応じて、適宜決定してもよい。もっとも、シート1に十分な深さの深絞り部分5’を形成すると共に、深絞り部分5’の割れやピンホールの発生及び成形後の樹脂層2と金属層3との間の剥離を効果的に抑制するためには、プラグ35は、ダイ穴15内の3〜30mmの深さの深さまで、または、プラグ35の最も短い幅の1/3〜1/2倍の深さまで嵌入させるのが好ましい。その場合、形成される深絞り部分5’の深さは、プラグ35が嵌入した深さと同じ深さとなる。
このようにして深絞り成形されたシート1は、深絞り成形後に樹脂層2,4と金属層3との間に生じる剥離が抑制されている。従来では、樹脂層と金属層とが積層されたシートを、従来の鉄製の下型を用いて深絞り成形する際に、樹脂層と金属層との間の剥離が成形後に生じることがある。これに対し、本実施形態の下型10を使用した方法により深絞り成形したシート1では、従来の摩擦係数の高い材質からなる下型を用いて深絞り成形をした場合に剥離が生じ得る深さまで深絞り成形したとしても、成形後に樹脂層と金属層との間に剥離が生じることが極めて少ない。
すなわち、本実施形態の製造方法によれば、深絞りされたシート1に生じる樹脂層2,4と金属層3との間の剥離を効果的に抑制することができる。
(第2の深絞り成形)
本実施形態では、上述の第1深絞り工程の後に、深絞り部分5’をさらに成形することができる。それにより、剥離を抑制しつつ、深絞り部分5’をより深く成形することや、深絞り部分5’の形状を所望の形状に整えることができる。
本実施形態の製造方法は、装置Eが、第2のダイ穴45が設けられた第2の下型40と第2のプラグ65とをさらに備え、第1成形工程の後に、シート1を、樹脂層4が設けられた面が第2の下型40と接触するように、かつ、シート1の深絞り部分5’が第2のダイ穴45に位置するように第2の下型40に設置する第2設置工程と、第2設置工程の後に、シート1の深絞り部分5’と共に第2のプラグ65を第2のダイ穴45内に嵌入することにより、シート1の深絞り部分5’をさらに成形する第2深絞り工程とをさらに備えていてもよい。
本実施形態の製造方法に用いる装置Eは、上述の装置Eに加えて、第2の下型40をさらに備えていてもよい。下型40の材質は、特に限定されない。本実施形態では、下型40は、鉄製のプレートに、錆び付き防止のため無電解ニッケルによりめっきされたものであるが、アルミニウム合金、ステンレススチール合金製であってもよい。
また、下型40の表面とシート1の下型40と接触する面との摩擦係数は、下型10の表面とシート1の下型10と接触する面との摩擦係数よりも大きくてもよい。
下型40には、ダイ穴45が設けられている。本実施形態では、図6(a)に示されるように、下型40には、下型10と同様に、縦3列横2列の格子配列上に、複数のダイ穴45が形成されている。各ダイ穴45は、その中にそれぞれシート1に形成された各深絞り部分5’を配置可能な位置に設けられている。すなわち、下型40の各ダイ穴45は、下型10の各ダイ穴15に対応する位置に設けられている。
本実施形態では、ダイ穴45の平面形状は円形であり、ダイ穴45の寸法はダイ穴15の寸法と実質的に等しい。このように、ダイ穴45の平面形状及び寸法は、シート1の深絞り部分5’の全体がダイ穴45内に入り込めるように、ダイ穴15の平面形状及び寸法と実質的に等しいことが好ましい。もっとも、シート1の深絞り部分5’の全体がダイ穴45内に入り込めるのであれば、ダイ穴45の寸法は、ダイ穴15の寸法より大きくてもよく、その場合には、ダイ穴45の平面形状も特に限定されない。ダイ穴45の寸法がダイ穴15の寸法より大きい場合には、ダイ穴15の寸法は、幅及び奥行きがプラグ35の外形寸法よりも0.2〜0.5mm大きいことが好ましい。
ダイ穴45は、貫通穴であってもよく、非貫通穴であってもよい。ダイ穴45が非貫通穴である場合には、ダイ穴45の深さは、後の深絞り加工においてシート1に形成する深絞り部分5’の目的の深さよりも深いことが好ましい。好ましくは、ダイ穴45の深さは、8mm以上である。
本実施形態では、装置Eは、第2のプラグ65をさらに備えていてもよい。本実施形態では、プラグ65の先端形状は、面取りされた円柱形状である。その場合には、第1成形工程において第1のプラグ35により半球形状の凹部として形成された深絞り部分5’の容積を、効率的に広げることができるため、好ましい。もっとも、プラグ65の先端形状は、深絞り部分5’の最終的な目的の形状に合わせて、適宜選択することができる。例えば、第1のプラグ35が半楕円体形状であった場合には、半楕円体形状の凹部として形成された深絞り部分5’の容積を効果的に広げるために、プラグ65の先端形状は該深絞り部分5’の形状に対応した楕円柱形状であることが好ましい。さらに、プラグ65の先端形状は、半球形状、半楕円体形状、矩形形状等の様々な形状であってもよい。
プラグ65の先端の寸法は、形成する深絞り部分5’の最終的な目的の形状に合わせて、ダイ穴45に嵌入可能な任意の寸法とすることができる。例えば、プラグ65の先端形状の寸法は、幅及び奥行きが7〜50mm程度であってもよい。また、プラグ65の先端形状が円柱形状の場合には、その直径が7〜50mm程度であることが好ましい。
また、プラグ65の長さは、上述のプラグ65がダイ穴45に嵌入される深さ以上であれば、特に限定されない。すなわち、プラグ65の長さは、ダイ穴45に嵌入される長さと等しくてもよく、より長くてもよい。
プラグ65は、任意の材質であってもよいが、シート1の下型40と接触する面と反対側の面(本実施形態では、樹脂層2の設けられた側の面)との摩擦が比較的小さいことが好ましい。そのようなプラグ65の材質としては、例えば、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等が挙げられる。本実施形態では、プラグ65は、PTFEにより構成される。
プラグ65とシート1の該面との静止摩擦係数は、0.4以下が好ましく、0.37以下がより好ましい。その場合には、シート1の深絞り部分5’を成形する際に、深絞り部分5’の形状を整え易くなる。
本実施形態では、図6(c)に示されるように、縦3列横2列の格子配列上に配列された複数のプラグ65が、第1のプラグホルダー60に設けられている。すなわち、各プラグ65は、それぞれ下型40の各ダイ穴45に対応する位置に設けられている。そして、プラグホルダー60を、下型40上のシート1に被せてプレスすると、各プラグ65が各ダイ穴45に嵌入して、シート1の深絞り部分5’に各プラグ65をそれぞれ押し当てられて成形される。
なお、プラグホルダー60の材質は、特に限定されない。本実施形態では、プラグホルダー60は、無電解ニッケルによりめっきされた鉄製のプレートからなる。
また、本実施形態において使用する装置Eは、さらに第1の上型50を備えている。上型50は、シート1を下型40上に固定するために用いられるものであって、図3及び図4に示すように、シート1を介して下型40上に設置することにより、下型40と上型50との間にシート1を挟持することができる。
上型50の材質は、特に限定されない。本実施形態では、上型50は、鉄製のプレートに、錆び付き防止のため無電解ニッケルによりめっきされたものであるが、アルミニウム合金、ステンレススチール合金製であってもよい。
また、上型50の表面とシート1の上型50と接触する面との摩擦係数は、下型40の表面とシート1の下型40と接触する面との摩擦係数よりも、大きくてもよい。
上型50には、貫通穴55が設けられている。本実施形態では、図6(b)に示されるように、上型50には、縦3列横2列の格子配列上に、複数の貫通穴55が形成されている。各貫通穴55は、それぞれ下型40の各ダイ穴45に対応する位置に設けられており、下型40上に上型50を設置する際、下型40のダイ穴45の位置と上型50の貫通穴55の位置とが重なるように、上型50を設置することができる。
貫通穴55の外形寸法は、下型40上に上型50を設置する際に下型40の各ダイ穴45が上型50に覆われないように、ダイ穴45の外形寸法と同じか若干大きいことが好ましい。例えば、貫通穴55の寸法は、幅及び奥行きがダイ穴45の外形寸法よりも0〜2mm大きいことが好ましい。
貫通穴55の平面形状は、ダイ穴45の平面形状に合わせた形状であることが好ましいが、ダイ穴45の平面形状と異なっていてもよい。本実施形態では、貫通穴55の平面形状は、円形である。
なお、上型50は、シート1を下型40上に固定することが可能であれば、上述の形態に限定されない。例えば、上型50は、シート1の周縁を下型40との間に挟持するフレーム状の部材であってもよい。また、他の手段によりシート1を下型40上に固定できるのであれば、装置Eは上型50を必ずしも備えていなくてもよい。
上述の装置Eを用いて、本実施形態の製造方法では、第1成形工程の後に、図4に示すように、第2のダイ穴45が設けられた第2の下型40上に、深絞り部分5’が設けられたシート1を設置する(第2設置工程)。このとき、シート1は、シート1の深絞り部分5’が下型10のダイ穴15内に位置するように、下型40上に設置される。本実施形態では、シート1は、樹脂層4の設けられた側が下型40と接触するように、下型40上に設置される。
次に、図4に示すように、第2の下型40上に、シート1を介して第2の上型50を設置することにより、下型40と上型50との間にシート1を挟持して固定する。このとき、上型50は、下型40のダイ穴45上に上型50の貫通穴55が位置するように、下型40上に設置される。
なお、上型50を用いることは必ずしも必須ではなく、他の手段によりシート1を下型40上に固定してもよい。また、後述する深絞り成形時に、シート1の下型40に対する相対位置のずれが生じないのであれば、シート1は必ずしも下型40上に固定されていなくてもよい。
次に、図5に示すように、下型40のダイ穴45内にプラグ65を嵌入することにより、シート1のダイ穴45内の深絞り部分5’をさらに成形する(第2成形工程)。具体的には、シート1の深絞り部分5’に、樹脂層2の設けられた側からプラグ65を押し当て、当該部分5ごとプラグ65をダイ穴45内に嵌入することにより、ダイ穴45内に位置するシート1の深絞り部分5’の樹脂層2の設けられた側にプラグ65を押し当て、それによって深絞り部分5’をさらに深絞りしたり、深絞り部分5’の形状を整えたりする。
第2成形工程もまた、第1成形工程と同様に、シート1を加熱せずに常温付近で深絞りする冷間成形であることが好ましい。
プラグ65がダイ穴45内に嵌入される深さは、深絞り部分5’の目的の最終深さに応じて、適宜決定してもよい。例えば、プラグ65は、ダイ穴45内の3〜30mmの深さまで、または、プラグ65の最も短い幅の1/3〜1/2倍の深さまで嵌入させることができる。もっとも、第1成形工程とは異なり、第2成形工程ではあまり深く深絞りしない方が好ましい。すなわち、プラグ65は、第1成形工程においてプラグ35を嵌入した深さと実質的に同じ深さまで嵌入させるか、プラグ35を嵌入した深さよりも若干浅い位置または若干深い位置まで嵌入させることが好ましい。プラグ35を嵌入した深さよりも深い位置までプラグ65を嵌入させる場合には、プラグ65は、プラグ35を嵌入した深さよりも0.2〜1mm深い位置まで嵌入させるのが好ましい。
本実施形態では、プラグ65は、プラグ35を嵌入した深さと同じ深さまで、ダイ穴45内に嵌入される。このようにして嵌入されたプラグ65の深さが、形成される深絞り部分5’(すなわち、PTP包装体の収容部)の最終深さと同じ深さとなる。
このようにして深絞り成形されたシート1は、樹脂層2,4と金属層3との間に生じる剥離を抑制しつつ、深絞り部分5’をさらに深く成形すること、または、深絞り部分5’を拡張するように形状を整えることができる。本実施形態では、第1成形工程において、シート1に先端形状が半球形状の第1のプラグ15を嵌入することにより十分な深さを備えた半球形状の深絞り部分5’を形成した後、第2成形工程において、該深絞り部分5’に先端形状が円柱形状の第2のプラグ35を嵌入することにより深絞り部分5’を円筒形状に整えて、深絞り部分5’の容積を拡張することができる。このようにして、本実施形態では、従来の深絞り成形による製造では割れやピンホールが生じていた程度の深さ及び容積を備えた深絞り部分5’を、割れやピンホールの発生を抑制しつつ、効果的に形成することができる。
すなわち、本実施形態の製造方法によれば、深絞り部分5’の割れやピンホールの発生及び深絞りされたシート1に生じる樹脂層2,4と金属層3との間の剥離を効果的に抑制しつつ、深絞り部分5’の容積をさらに大きくすることができる。したがって、本実施形態の製造方法によれば、収容部の損傷が少なく容積が大きいPTP包装体を製造することができる。
本実施形態の製造方法により製造されたPTP包装体は、第1成形工程及び第2成形工程の両方を行うことにより、その深絞り部分5’の伸び率(成形前のダイ穴15を覆っていた部分5の断面の周長に対する、成形後に形成された深絞り部分5’の断面の周長の大きさの比率)を一層高くすることができる。該伸び率は、好ましくは140%以上、より好ましくは145%以上、さらに好ましくは150%程度とすることができる。
なお、本実施形態では、先端形状が半球形状の第1のプラグを用いて、深絞り部分5’を半球形状の凹部に形成しているが、第1のプラグの先端形状は、半球形状とは異なる形状であってもよい。例えば、第1のプラグの先端形状は、半楕円体形状であってもよい。その場合には、深絞り部分5’が半楕円形状の凹部に形成されるため、楕円形状の錠剤を収容するのに適したPTP包装体を製造することができる。このとき、第1成形工程に用いられる装置は、図7及び図8に示されるように、第1のプラグホルダー30”に設けられた第1のプラグ35”の先端形状にあわせて、半楕円形の平面形状を有するダイ穴15”を備えた第1の下型10”と、半楕円形の平面形状を有する貫通穴25”を備えた第1の上型20”とを備えていることが好ましい。
上記のように、第1成形工程において半楕円体形状の先端形状を有する第1のプラグを用いた場合には、第2成形工程において用いる第2のプラグの先端形状は、第1のプラグにより形成された深絞り部分5’の平面形状に対応した楕円柱形状であることが好ましい。その際、第2成形工程において用いられる装置に含まれる第2の下型及び上型は、上記先端形状にあわせた半楕円形の平面形状を有するダイ穴及び貫通孔をそれぞれ有していることが好ましい。
また、本実施形態では、第1成形工程により形成された深絞り部分5’を、さらに第2成形工程において第2のプラグを嵌入することにより成形しているが、深絞り部分5’は、第2成形工程以外の他の方法によりさらに成形されてもよい、例えば、深絞り部分5’は、空気圧力によりさらに成形されていてもよい。また、第1成形工程及び第2成形工程により深絞り部分5’を成形した後に、さらに深絞り部分5’を成形してもよい。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
(摩擦係数試験)
ポリ塩化ビニル層60μm/アルミニウム層40μm/ナイロン層25μmがこの順番で積層されたラミネートシート(該シートの各層はドライラミネートにより接着されている)のシートを用いて、該シートのナイロン層が設けられた側の面と、以下に示す材質のプレートとの静止摩擦係数及び動摩擦係数を測定した。
プレート1:PTFEを含むフッ素樹脂製
プレート2:無電解ニッケルめっきされた鉄製
測定には、島津製作所製テンシロン型引張試験機「AGS−500N」を下記の条件で用いて、測定重量及び接触面積を下記の値とした以外はJIS K 7125に従い、摩擦係数を測定した。具体的には、それぞれのプレートについて3度の試験を行って静摩擦力及び動摩擦力を測定し、その平均値に基づいて静止摩擦係数及び動摩擦係数を算出した。
スピード:150mm/分
測定重量 355g
接触面積 38cm2
結果を表1に示す。
Figure 0006586325
(深絞り成形試験)
上述の摩擦係数試験に用いたシートと同様の積層構造を有するラミネートシート(幅200mm×長さ300m)について、以下の実施例1及び比較例1に記載の方法により、深絞り成形を行った。
実施例1
以下に示される下型、上型及びプラグホルダーを用いて、上記シートに深絞り部分を形成した(第1成形工程)。具体的には、該シートの一部を該下型に設置した後、該シートの上から該上型を設置することにより該シートを該下型と該上型との間に挟持し、その後、該プラグホルダーに設けられた各プラグを、該シートの上から該下型に設けられた各ダイ穴内に5.5mmの深さまで嵌入して、該シートに6つの直径11mm深絞り部分を形成した。
下型:図3(a)に示す形状のプレート(110mm×40mm)
ダイ穴:円形の平面形状を有する6つの貫通穴
各ダイ穴は3×2格子状に配列(各ダイ穴の中心同士の間隔:18mm)
材質:PTFEを含むフッ素樹脂製
上型:図3(b)に示す形状のプレート(110mm×40mm)
貫通穴:円形の平面形状を有する6つの貫通穴
各貫通穴は3×2格子状に配列(各貫通穴の中心同士の間隔:18mm)
材質:無電解ニッケルめっきされた鉄製
プラグホルダー:図3(c)に示す形状のプレート(110mm×40mm)
プラグ:半球状の先端形状を有する6つのプラグ
各プラグは3×2格子状に配列(各プラグの中心同士の間隔:18mm)
プラグ材質:超々ジュラルミン
上記第1成形工程により形成された上記シートの深絞り部分について、以下に示される下型、上型及びプラグホルダーを用いて、さらなる成形を行った(第2成形工程)。具体的には、上記第1成形工程において形成された深絞り部分が該下型の各ダイ穴内に位置するように上記各シートを該下型に設置した後、該シートの上から該上型を設置することにより該シートを該下型と該上型との間に挟持し、その後、該プラグホルダーに設けられた各プラグを、該下型に設けられた各ダイ穴内に5.5mmの深さまで嵌入して、上記深絞り部分をさらに成形した。
下型:図6(a)に示す形状のプレート(110mm×40mm)
ダイ穴:円形の平面形状を有する6つの貫通穴
各ダイ穴は3×2格子状に配列(各ダイ穴の中心同士の間隔:18mm)
材質:無電解ニッケルめっきされた鉄製
上型:図6(b)に示す形状のプレート(110mm×40mm)
貫通穴:円形の平面形状を有する6つの貫通穴
各貫通穴は3×2格子状に配列(各貫通穴の中心同士の間隔:18mm)
材質:無電解ニッケルめっきされた鉄製
プラグホルダー:図6(c)に示す形状のプレート(110mm×40mm)
プラグ:面取りされた円柱状の先端形状を有する6つのプラグ
各プラグは3×2格子状に配列(各プラグの中心同士の間隔:18mm)
プラグ材質:PTFEを含むフッ素樹脂製
上記の第1及び第2成形工程による深絞り成形を行った後、上記シートを自動機により定ピッチで長さ方向に送り、該シートの異なる部分を上記第1成形工程における下型に設置して、該シートの該部分付近についてさらに上記深絞り成形を行った。
このようにして、上記の第1及び第2成形工程による深絞り成形を、上記シートの異なる50の位置に対して行い、上記シートに直径11mm、深さ5.5mmの略円筒形状の深絞り部分を合計300箇所形成した。
比較例1
第1成形工程に用いた下型の代わりに以下の下型を用いた以外は、実施例1と同様にして、上記シートに直径11mm、深さ5.5mmの略円筒形状の深絞り部分を合計300箇所形成した。
下型:図3(a)に示す形状のプレート(110mm×40mm)
ダイ穴:円形の平面形状を有する6つの貫通穴
各ダイ穴は3×2格子状に配列(各ダイ穴の中心同士の間隔:18mm)
材質:無電解ニッケルめっきされた鉄製
剥離確認試験
実施例1及び比較例1により得られた各PTP包装体を、温度40℃、相対湿度75%の条件下に6か月放置して、各PTP包装体の深絞り部分に生じるポリ塩化ビニル層/アルミニウム層/ナイロン層間の剥離を観察した。
その結果、実施例1のPTP包装体では、6か月経過後においても、該PTP包装体に形成された合計300箇所の深絞り部分のいずれにも全く剥離が生じなかった。これに対し、比較例1のPTP包装体では、1週間放置後には、該PTP包装体に形成された合計300箇所の深絞り部分のうち2箇所に剥離が生じていた。さらに、3週間放置後には、さらに多数の深絞り部分に剥離が生じていた。
以上の結果から明らかなように、実施例1では、第1成形工程において、上記シートのナイロン層との摩擦係数が小さいフッ素樹脂からなる下型を用いたことにより、6か月という長期間放置しても剥離が生じない、深絞り部分を備えたPTP包装体を成形することができる。
1:シート、2,4:樹脂層、3:金属層、5:ダイ穴15を覆う部分、5’:深絞り部分、
10,40:下型、15,45:ダイ穴、
20,50:上型、25,55:貫通穴
30,60:プラグホルダー、35,65:プラグ

Claims (4)

  1. 使用する装置が第1のダイ穴が設けられた第1の下型と第1のプラグとを備え、前記第1の下型の表面がフッ素樹脂により覆われており、
    樹脂層と金属層とが積層されたシートを、前記樹脂層が設けられた面が前記第1の下型と接触するように、かつ、前記第1のダイ穴を覆うように前記第1の下型に設置する第1設置工程と、
    前記第1設置工程の後に、前記シートの前記第1のダイ穴を覆う部分と共に前記第1のプラグを前記第1のダイ穴内に嵌入することにより、前記シートの前記第1のダイ穴を覆う部分を成形して、前記シートに深絞り部分を形成する、第1成形工程とを備えており、
    前記第1のプラグと前記シートの前記第1のプラグと接触する面との動摩擦係数が0.3以上である、PTP包装体の製造方法。
  2. 前記第1の下型の表面と前記シートの前記第1の下型と接触する面との動摩擦係数が0.1以下である、請求項1に記載のPTP包装体の製造方法。
  3. 前記装置が、第2のダイ穴が設けられた第2の下型と第2のプラグとをさらに備え、
    前記第1成形工程の後に、前記シートを、前記樹脂層が設けられた面が前記第2の下型と接触するように、かつ、前記シートの前記深絞り部分が前記第2のダイ穴に位置するように前記第2の下型に設置する第2設置工程と、
    前記第2設置工程の後に、前記シートの前記深絞り部分と共に前記第2のプラグを前記第2のダイ穴内に嵌入することにより、前記シートの前記深絞り部分をさらに成形する第2成形工程とをさらに備える、請求項1又は2に記載のPTP包装体の製造方法。
  4. 前記第1のプラグの先端形状が半球形状または半楕円体形状であり、前記第2のプラグの先端形状が円柱形状または楕円柱形状である、請求項に記載のPTP包装体の製造方法。
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