以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本発明の第1実施形態に係る給湯装置10の構成について、図1を参照しながら説明する。給湯装置10は、建物の浴室(全体は不図示)に設置された浴槽300や混合水栓330に湯を供給するための装置である。給湯装置10は、後述の貯湯タンク110に湯を貯える、所謂貯湯式給湯装置として構成されている。給湯装置10は、タンクユニット100と、ヒートポンプユニット200と、を備えている。
タンクユニット100は、貯湯タンク110を内部に備える装置である。タンクユニット100は、貯湯タンク110と複数の配管やポンプ等を備えており、貯湯タンク110に貯えられた湯を外部に供給したり、外部から供給された水を貯湯タンク110に受け入れたりするための装置として構成されている。
図1に示されるように、タンクユニット100と浴槽300との間は、一対の配管33、34により接続されている。配管33の一端は、タンクユニット100に設けられた接続口35に接続されている。配管33の他端は、浴槽300に取り付けられたアダプタ310に接続されている。同様に、配管34の一端は、タンクユニット100に設けられた接続口36に接続されている。配管34の他端はアダプタ310に接続されている。
後に説明するように、給湯装置10は、配管33、34の一方又は両方からアダプタ310を介して浴槽300に湯又は水を供給することができる。また、給湯装置10は、浴槽300に貯えられている湯を配管34から引き込んだ後、当該湯を加熱して配管33から浴槽300に戻すこともできる。
尚、以下の説明においては記載を簡略なものとするために、高温の湯及び低温の水の両方を示すものとして、単に「湯」又は「水」の語を用いることがある。つまり、以下の説明における「湯」には低温の水も含まれる。また、以下の説明における「水」には高温の湯も含まれる。特に水の温度が問題となる場合には、例えば「高温の湯」や「低温の水」のように表記する。
タンクユニット100と混合水栓330との間は、配管61により接続されている。配管61の一端は、タンクユニット100に設けられた接続口60に接続されている。配管61の他端は混合水栓330に接続されている。給湯装置10は、貯湯タンク110に貯えられた湯を、配管61を介して混合水栓330に供給することができる。
混合水栓330には、上記の配管61に加えて配管62が接続されている。配管62は、上水道WSから供給される低温の水を混合水栓330に供給するための配管である。混合水栓330は、配管61から供給される高温の湯と、配管62から供給される低温の水とを混合し、これにより得られる適温の湯を吐出する。混合水栓330からの湯の吐出は、混合水栓330に対し使用者が行う操作に基づいて行われる。
タンクユニット100には更に接続口63が設けられており、接続口63には配管41が接続されている。配管41は、上水道WSから供給される低温の水をタンクユニット100に供給するための配管である。後に説明するように、給湯装置10は、配管41からタンクユニット100に供給された水を貯湯タンク110に貯えたり、当該水に湯を混合して浴槽300や混合水栓330に供給したりすることができる。
ヒートポンプユニット200は、タンクユニット100の貯湯タンク110に貯えられた水を加熱するための装置である。ヒートポンプユニット200は、タンクユニット100から供給される水を加熱してその温度を上昇させ、生成された湯をタンクユニット100へと戻す。ヒートポンプユニット200は、不図示の圧縮機、凝縮器、膨張弁、及び蒸発器等を備えた冷凍サイクルとして構成されており、外気から回収した熱により水の加熱を行うように構成されている。尚、このようなヒートポンプユニット200としては公知の構成のものを用いることができるので、その具体的な図示や説明については省略する。
図1に示されるように、タンクユニット100とヒートポンプユニット200との間は、一対の配管13、14により接続されている。配管13の一端は、タンクユニット100に設けられた接続口17に接続されている。配管13の他端は、ヒートポンプユニット200の出力ポートに接続されている。同様に、配管14の一端は、タンクユニット100に設けられた接続口19に接続されている。配管14の他端は、ヒートポンプユニット200の入力ポートに接続されている。
ヒートポンプユニット200によって水の加熱が行われる際には、貯湯タンク110の下方側部分に貯えられていた低温の水が、配管14を介してヒートポンプユニット200の入力ポートに引き込まれる。当該水は、ヒートポンプユニット200の動作によって加熱されその温度を上昇させた後、ヒートポンプユニット200の出力ポートから排出される。その後、配管13を介してヒートポンプユニット200に供給され、貯湯タンク110の上方側部分に供給され貯えられる。
タンクユニット100の内部構成について、引き続き図1を参照しながら説明する。貯湯タンク110は、略円柱形状の大型の容器であって、その内部にはヒートポンプユニット200で加熱された高温の湯が貯えられている。貯湯タンク110とヒートポンプユニット200との間には、両者の間で水を循環させるための循環経路が構成されている。当該循環経路は、既に説明した配管13、14の他、配管15と、配管12と、配管11とによって構成されている。
配管15は、貯湯タンク110の下端部と接続口19との間を繋ぐように設けられている。配管12及び配管11は、互いに直列に接続された状態で、貯湯タンク110の上端部と接続口17との間を繋ぐように設けられている。
ヒートポンプユニット200によって水の加熱が行われる際には、貯湯タンク110から排出された水は、配管15、配管14、ヒートポンプユニット200、配管13、配管12、配管11の順に通った後、再び貯湯タンク110に戻る。ヒートポンプユニット200による水の加熱を行いながら、上記のような経路で水を循環させることにより、貯湯タンク110の内部に貯えられた湯の温度が高温に維持される。尚、ヒートポンプユニット200の動作は後述の制御部120によって制御される。
配管12と配管11との間には三方弁18が設けられている。また、配管15の途中と、三方弁18との間は、配管16によって接続されている。三方弁18は、配管12を通った水が配管11に流入する状態と、配管12を通った水が配管16に流入する状態と、を切り換えることができる。三方弁18は電磁弁として構成されており、上記のような流路の切り換え動作を、外部からの信号に基づいて自動的に行うことができる。三方弁18の動作は制御部120によって制御される。
ヒートポンプユニット200が動作している通常時においては、三方弁18は配管12と配管11とを連通させた状態となっている。当該状態においては、ヒートポンプユニット200によって加熱された水は、配管13、配管12、三方弁18、及び配管11を順に通って貯湯タンク110に供給される。
一方、ヒートポンプユニット200が起動された直後においては、三方弁18は配管12と配管16とを連通させた状態となっている。当該状態においては、ヒートポンプユニット200によって加熱された水は、配管13、配管12、三方弁18、配管16、配管15、及び配管14を順に通り、貯湯タンク110を通ることなく再びヒートポンプユニット200に戻る。ヒートポンプユニット200が起動された直後は、ヒートポンプユニット200から排出される水の温度が比較的低い。このため、上記のような経路で水を循環させることにより、低温の水が貯湯タンク110に供給されてしまうことが防止される。
貯湯タンク110には、その内部の湯の温度を測定するための複数のサーミスタ(TH1、TH2、TH3、TH4、TH5、TH6)が設けられている。これらサーミスタTH1等は、互いに異なる高さの位置に設けられており、それぞれの位置における湯の温度を測定している。それぞれのサーミスタTH1等で測定された湯の温度は、制御部120に入力される。制御部120は、サーミスタTH1等で測定された温度に基づいてヒートポンプユニット200の動作を制御することにより、貯湯タンク110の内部における湯の温度を適温に維持している。
貯湯タンク110の下端部と接続口63との間は、配管42によって接続されている。配管42は、上水道WSから接続口63に供給される水を、貯湯タンク110に導くための配管である。配管42の途中には、逆止弁47と、減圧弁RVとが設けられている。逆止弁47は、貯湯タンク110側から上水道WS側へと水が逆流することを防止するための弁である。減圧弁RVは、上水道WS側における高い水圧が貯湯タンク110に直接かかってしまうことを防止するために、貯湯タンク110側における水圧を減圧するための弁である。減圧弁RVにより、貯湯タンク110側における水圧は概ね280kPa程度に維持されている。
貯湯タンク110の内部には、上水道WSからの水圧(減圧弁RVで減圧された水圧)が常にかかっている。貯湯タンク110に貯えられている湯が後述の配管46から排出されると、同時に、貯湯タンク110には配管42から低温の水が供給される。このため、貯湯タンク110の内部は常に湯で満たされた状態となっている。
貯湯タンク110の上端部には、配管46の一端が接続されている。配管46の他端は、後述のミキシング弁49に接続されている。配管46は、貯湯タンク110に貯えられている湯を、浴槽300や混合水栓330に向けて排出するための配管である。
配管46の途中には配管59の一端が接続されている。配管59の他端はミキシング弁48に接続されている。また、配管42の途中であって減圧弁RVよりも貯湯タンク110側となる位置には、配管44の一端が接続されている。配管44の他端はミキシング弁48に接続されている。更に、ミキシング弁48には配管57の一端が接続されている。配管57の他端は接続口60に接続されている。
ミキシング弁48は、貯湯タンク110から配管59を介して供給される高温の湯と、上水道WSから配管44を介して供給される低温の水とを混合し、これにより適温となった湯を、配管57を介して混合水栓330に供給するための弁である。尚、ミキシング弁48に上水道WSからの水を供給する配管44の途中には、水が上水道WS側に向かって逆流することを防止するための逆止弁45が設けられている。
ミキシング弁48と接続口60とを繋ぐ配管57の途中には、流量カウンタFC2と、サーミスタTH13とが設けられている。流量カウンタFC2は、配管57を通って排出される湯の流量を測定するためのセンサである。流量カウンタFC2で測定された流量は、制御部120に入力される。サーミスタTH13は、配管57を通る湯の温度を測定するためのセンサである。サーミスタTH13で測定された温度は、制御部120に入力される。
制御部120は、流量カウンタFC2で測定された流量と、サーミスタTH13で測定された温度とに基づいて、貯湯タンク110から排出された湯の熱量を算出する。制御部120は、算出された熱量に基づいてヒートポンプユニット200の動作を制御し、貯湯タンク110に貯えられている湯の熱量を調整する。
貯湯タンク110の上端から伸びる配管46の端部は、ミキシング弁49に接続されている。また、配管42の途中であって減圧弁RVよりも貯湯タンク110側となる位置には、配管43の一端が接続されている。配管43の他端はミキシング弁49に接続されている。更に、ミキシング弁49には配管51の一端が接続されている。配管51は、ミキシング弁49からの湯を浴槽300側に向けて導くための配管である。
ミキシング弁49は、貯湯タンク110から配管46を介して供給される高温の湯と、上水道WSから配管43を介して供給される低温の水とを混合し、これにより適温となった湯を、配管51を介して浴槽300に供給するための弁である。尚、ミキシング弁49に上水道WSからの水を供給する配管43の途中には、水が上水道WS側に向かって逆流することを防止するための逆止弁50が設けられている。
配管51の下流側にはホッパーユニット140が設けられている。ホッパーユニット140は、貯湯タンク110から浴槽300への湯の供給及び停止を切り換える機能と、浴槽300から上水道WS側に水が逆流してしまうことを防止する機能と、を有する装置である。
ホッパーユニット140は、電磁弁141と、逆止弁142と、縁切弁144と、流量カウンタFC1と、を有している。電磁弁141には、配管51の下流側端部が接続されている。また、電磁弁141と逆止弁142との間は配管52で接続されており、逆止弁142と流量カウンタFC1との間は配管53で接続されており、流量カウンタFC1と気泡混入部150との間は配管54で接続されている。
電磁弁141は、外部からの信号に基づいてその開閉が切り換わる電磁弁である。電磁弁141が開状態であるときには、ミキシング弁49からの湯が、電磁弁141、配管52、逆止弁142、配管53、流量カウンタFC1、配管54を順に通って気泡混入部150に供給される。その後、当該湯は後述の配管31を通って浴槽300に供給される。一方、電磁弁131が閉状態であるときには、浴槽300に対する貯湯タンク110からの湯の供給が停止される。電磁弁141の開閉動作は制御部120によって制御される。
逆止弁142は、流量カウンタFC1側からミキシング弁49側へと水が逆流することを防止するための弁である。
配管53の途中と配管51の途中とは、配管57によって繋がっている。縁切弁144は、この配管57の途中に設けられている。縁切弁144は、上記の逆止弁142と同様に、流量カウンタFC1側からミキシング弁49側へと水が逆流することを防止するために設けられている。
縁切弁144には配管58の一端が接続されており、配管58の他端は外部に開放されている。電磁弁141の下流側(流量カウンタFC1側)における水圧が、電磁弁141の上流側(ミキシング弁49側)における水圧よりも高くなると、水は配管57を通ってミキシング弁49側へ向かおうとする。このとき、縁切弁144は流量カウンタFC1側からの水を配管58から外部へと排出する。これにより、水がミキシング弁49側に逆流してしまうことが更に防止されている。
流量カウンタFC1は、ホッパーユニット140を通過して浴槽300側へと向かう湯の流量を測定するためのセンサである。流量カウンタFC1で測定された流量は、制御部120に入力される。
ホッパーユニット140の下流側には気泡混入部150が設けられている。気泡混入部150は、ホッパーユニット140を通過した湯に対し、気泡を混入させるための装置である。つまり、気泡混入部150は、浴槽300に供給される湯に予め気泡を混入させるための装置である。尚、ホッパーユニット140と気泡混入部150との間、具体的には、流量カウンタFC1と後述のエジェクタ153との間は、配管54によって繋がっている。配管54の途中には逆止弁143が設けられている。逆止弁143は、気泡混入部150側からホッパーユニット140側へと水が逆流することを防止するための弁である。
気泡混入部150は、エジェクタ153と、電磁弁151と、を有している。エジェクタ153には配管56の一端が接続されている。配管56は、気泡混入部150を通過した水を、浴槽30側に向けて導くための配管である。配管56の他端は、後述の配管31の途中に接続されている。
エジェクタ153には、配管55の一端が接続されている。配管55の他端は外気に開放されている。エジェクタ153は、配管54から供給された水に対し、配管55から導入された空気(気泡)を混入させ、気泡入りの水とした後に配管56に排出するように構成されている。
具体的には、エジェクタ153の内部にはノズル(不図示)が設けられている。配管54からエジェクタ153に供給された水は、当該ノズルから高速の水流として噴射される。このような高速の水流により、エジェクタ153の内部には配管55から空気が吸引される。吸引された空気は、ノズルから噴射された水に巻きこまれて気泡となり、水と共に配管56へと排出される。
電磁弁151は、配管55の途中となる位置に設けられている。電磁弁151は、外部からの信号に基づいてその開閉が切り換わる電磁弁である。電磁弁151が開状態であるときには、上記のようにエジェクタ153には配管55から空気が吸引され、エジェクタ153から気泡入りの水が排出される。一方、電磁弁151が閉状態であるときには、エジェクタ153には配管55から空気が吸引されない。このため、エジェクタ153からは、気泡が混入していない水が配管56へと排出される。電磁弁151の開閉動作は制御部120によって制御される。
配管55のうち、電磁弁151とエジェクタ153との間となる位置には、逆止弁152が設けられている。逆止弁152は、エジェクタ153から外部へと水が逆流することを防止するための弁である。
タンクユニット100には、熱交換器130が設けられている。熱交換器130は、貯湯タンク110に貯えられた湯の熱によって、浴槽300に貯えられた湯を加熱するための熱交換器である。熱交換器130によって、浴槽300における水位を変化させることなく(浴槽300に湯を追加することなく)、浴槽300に貯えられた湯の温度を上昇させることができる。つまり、浴槽300において所謂「追い炊き」を行うことができる。
貯湯タンク110の上端と熱交換器130との間は、配管21で繋がれている。また、貯湯タンク110の高さ方向における中央部と熱交換器130との間は、配管22で繋がれている。配管21の内部と、配管22の内部とは、熱交換器130を介して連通している。配管21及び配管22は、貯湯タンク110と熱交換器130との間で湯を循環させるための循環流路を構成している。
配管22の途中にはポンプP1が設けられている。ポンプP1は、熱交換器130から貯湯タンク110に向かう方向に水を送り込むものである。ポンプP1が動作しているときには、貯湯タンク110内の高温の湯が熱交換器130側に引き込まれ、熱交換器130を通って流れる。ポンプP1の動作は制御部120によって制御される。
配管21の途中には逆止弁23が設けられている。逆止弁23は、熱交換器130から貯湯タンク110の上端部に向かって水が逆流することを防止するための弁である。
接続口36と熱交換器130との間は、配管31で接続されている。また、接続口35と熱交換器130との間は、配管32で接続されている。配管31の内部と、配管32の内部とは、熱交換器130を介して連通している。ただし、熱交換器130の内部のうち、配管31からの水が通る流路と、配管21からの水が通る流路とは、互いに分けられている。配管31、32は、先に説明した配管33、34と共に、浴槽300と熱交換器130との間で湯を循環させるための循環流路を構成している。
配管31の途中であって、配管56が接続されている位置よりも浴槽300側となる位置には、ポンプP2が設けられている。ポンプP2は、浴槽300から熱交換器130に向かう方向に水を送り込むものである。ポンプP2の動作は制御部120によって制御される。
ポンプP2が動作しているときには、浴槽300から配管34を介して湯が引き込まれ、当該湯が熱交換器130に向かって流れる。このときにポンプP1も同時に動作していると、熱交換器130においては、浴槽300から引き込まれた湯と、貯湯タンク110から引き込まれた湯との間で熱交換が行われる。これにより、浴槽300から引き込まれた湯はその温度を上昇させる。その後、当該湯は配管32及び配管33を通って浴槽300に戻る。
このように、ポンプP1及びポンプP2の両方を動作させ、浴槽300に貯えられている湯の温度を上昇させる制御のことを、以下では「追い炊き制御」と表記する。追い炊き制御は、浴槽300から引き込んだ水を加熱して、当該加熱により得られた湯を再び前記浴槽300に戻す制御、ということができる。
配管31のうちポンプP2よりも上流側となる位置、具体的には接続口36の近傍となる位置には、水位センサWLSと、フロースイッチFSWと、サーミスタTH12とが設けられている。
水位センサWLSは、浴槽300に貯えられている湯の水位を測定するためのセンサである。水位センサWLSは、配管31の内部における水圧の大きさに基づいて上記水位を測定するセンサである。水位センサWLSで測定された浴槽300の水位は、制御部120に入力される。水位センサWLSは、本実施形態における「水位検知部」に該当する。
フロースイッチFSWは、配管31における湯の流れを検知するためのセンサである。フロースイッチFSWは、配管31において湯が流れているか否かを示す信号を制御部120に入力する。
サーミスタTH12は、配管31の内部における湯の温度を測定するためのセンサである。サーミスタTH12で測定された温度は、制御部120に入力される。
配管32のうち熱交換器130の近傍となる位置には、サーミスタTH11が設けられている。サーミスタTH11は、配管32の内部における湯の温度を測定するためのセンサである。換言すれば、サーミスタTH11は、熱交換器130から排出された直後における湯の温度を測定するためのセンサである。サーミスタTH12で測定された温度は、制御部120に入力される。制御部120は、サーミスタTH11及びサーミスタTH12のそれぞれで測定された湯の温度に基づいて、追い炊き制御を行う。
制御部120は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータシステムとして構成されており、本実施形態では貯湯タンク110の近傍に設けられている。これまで説明したように、制御部120は、給湯装置10を構成する各部(ポンプP1等)の動作を制御する。制御部120は、給湯装置10の全体の動作を制御するものとして構成されている。制御部120が行う制御によって、給湯装置10は、浴槽300への湯の供給を自動的に行ったり、浴槽300に貯えられている湯の温度を適温に保ったりすることができる。
その他の構成について説明する。給湯装置10は、操作部160と操作部170とを更に備えている。操作部160、170は、いずれもタッチパネル画面を有しており、使用者が行う操作を受け付ける部分となっている。使用者は、操作部160、170に対し操作を行うことにより、例えば浴槽300に供給される湯の温度を設定する等、各種の操作を行うことができる。
操作部160、170は、タッチパネル画面にメッセージを表示したり、音を発したりすることにより、使用者に対する報知を行うこともできる。つまり、操作部160、170は、本実施形態における「操作部」及び「報知部」の両方に該当するものである。尚、本実施形態では、操作部160は建物の台所(不図示)に設置されている。また、操作部170は建物の浴室(不図示)、つまり浴槽300の近傍に設置されている。
浴槽300の底部には、自動排水栓320が設けられている。自動排水栓320は、外部からの信号に基づいてその開閉が切り換わる電磁弁である。自動排水栓320が閉状態のときには、浴槽300に湯を貯えることができる。自動排水栓320が開状態になると、浴槽300に貯えられていた湯は、自動排水栓320を通って外部に排出される。自動排水栓320の開閉動作は制御部120によって制御される。自動排水栓320の開閉動作は、制御部120が行う制御によって自動的に行われる場合もあり、使用者が操作部160等に対し行った操作に基づいて行われる場合もある。
本実施形態に係る給湯装置10は、一般的な自動給湯装置としての機能の他、浴室小物の洗浄に特化した機能をも有している。以下、当該機能のことを「小物洗浄機能」とも称する。ここでいう「浴室小物」とは、例えば浴室内で使用者が用いる椅子や、洗面器、手桶等のことである。これらを総称して、以下では「小物OB」とも表記する。
図2には、小物OBの洗浄が行われている状態の例が模式的に示されている。同図に示されるように、小物OBの洗浄は浴槽300の内部で行われる。浴槽300の内部には、市販の洗浄薬剤を溶け込ませた湯WTが貯えられている。湯WTの温度は比較的高くなっており、洗浄薬剤の洗浄効果が高められている。また、湯WTは予め泡立てられており、その上面には多量の泡BBが浮いた状態となっている。小物OBは、このように泡立てられた湯WTに浸け込まれた状態で、数時間維持される。これにより、小物OBの表面に付着していた汚れが、洗浄薬剤が溶け込んだ湯WTによって除去される。
給湯装置10が有する小物洗浄機能の説明に先立ち、洗浄薬剤を用いて小物OBを洗浄するための一般的な手順を、本実施形態の比較例として説明する。図9には、比較例に係る手順がフローチャートとして示されている。尚、図9の例による小物OBの洗浄が行われる前には、浴槽300には所謂「残り湯」が貯えられている状態となっているものとする。
最初のステップS01では、浴槽300に貯えられている残り湯に、使用者が洗浄薬剤を投入する。これにより、残り湯に洗浄薬剤が溶け込んだ状態となる。
ステップS01に続くステップS02では、給湯装置による追い炊きが行われるように、使用者が給湯装置を操作する。これにより、浴槽300に貯えられている残り湯(洗浄薬剤が溶け込んだ湯)の温度が上昇する。追い炊きの目標温度としては、洗浄薬剤の洗浄効果を十分に発揮させるための適切な温度が設定される。
追い炊きが完了し、湯WTの温度が目標温度に到達した状態が、図9ではステップS03として示されている。残り湯の当初における温度にもよるが、ステップS02の操作が行われてから追い炊きが完了するまでは時間がかかる。このため、ステップS02からステップS03に移行するまでの期間では、使用者は一旦浴室から退室する。その後、例えば追い炊き完了を示す報知音等により、使用者は再び浴室に戻り、ステップS04以降の作業を行う。
ステップS03に続くステップS04では、使用者が泡立て作業を行う。具体的には、洗浄薬剤が溶け込んでいる湯WTの水面に、使用者がシャワー状の吐水を当てる。これにより湯WTを泡立てて、図2に示されるような多量の泡BBを浴槽300内で生じさせる。
ステップS04に続くステップS05では、使用者が小物OBを浴槽300に投入する。これにより、図2に示されるように、泡立てられた湯WTに小物OBが浸け込まれた状態となる。ステップS05に続くステップS06では、湯WTに小物OBが浸け込まれた状態が維持される。既に述べたように、当該状態は数時間維持される。
ステップS06のまま、必要な浸け込み時間(例えば12時間)が経過すると、ステップS07に移行する。このとき、小物OBの洗浄は完了しているので、使用者は浴槽300から小物OBを取り出す。
ステップS08では、使用者はシャワーからの吐水を小物OBに当てることにより、小物OBに付着している泡を除去する。つまり、小物OBのすすぎを行う。また、使用者は浴槽300に溜められていた洗浄薬剤入りの湯WTを外部に排出する。その後、シャワーからの吐水を浴槽300の内面に当てることにより、浴槽300に付着している泡を除去する。つまり、浴槽300のすすぎを行う。
以上のような一連の作業においては、使用者は、残り湯への洗浄薬剤の投入(ステップS01)、泡立て作業(ステップS04)、小物OBの投入(ステップS05)、のそれぞれを、浴室において行う必要がある。ステップS02からステップS03までの期間では、浴槽300内の残り湯の温度が上昇し適温となるまでに比較的長時間を要するので、上記のように使用者は一旦浴室から退室する。
このように、図9に示される比較例の手順においては、使用者が何度も浴室へ向かい作業を行う必要がある。このため、使用者への作業負荷が大きく、使用者に煩わしい思いをさせてしまうこととなる。そこで、本実施形態に係る給湯装置10では、小物洗浄機能により小物OBの洗浄における手順の一部を自動的に行うことが可能となっている。これにより、使用者への作業負荷が軽減される。
給湯装置10の小物洗浄機能について、図3を参照しながら説明する。図3に示される一連の処理は、小物洗浄機能により小物OBの洗浄が行われる際、制御部120によって実行されるものである。
尚、図9の比較例の場合と同様に、図3に示される一連の処理が開始される前には、予め、浴槽300には所謂「残り湯」が貯えられている状態となっているものとする。また、使用者は、洗浄対象である小物OBを浴槽300の残り湯に予め投入してから、給湯装置10の小物洗浄機能を開始させるための操作を行うこととする。
最初のステップS10では、使用者による開始操作がなされたか否かが判定される。開始操作とは、給湯装置10の小物洗浄機能を開始させるために、使用者が操作部160又は操作部170のいずれか(以下、「操作部160等」と表記する)に対して行う操作である。
開始操作は、例えば、操作部160等のタッチパネル画面に表示されたスタートボタンを、使用者がタッチすることによって行われる。また、操作部160等が備える機械的なプッシュボタンを、使用者が押すことによって行われてもよい。
尚、本実施形態では、上記のような開始操作を行う前に、使用者は必要に応じて待機時間を変更するための操作を行うことができる。待機時間とは、小物OBを浴槽300内の湯(洗浄薬剤が溶け込んでいる湯)浸け込んでおく時間である。待機時間は、後に説明するステップS18の判定に用いられる。
待機時間の設定変更は、例えば、操作部160等のタッチパネル画面に待機時間の候補が複数表示された状態で、使用者がいずれかの候補を選択(タッチ)することによって行われる。また、操作部160等のタッチパネル画面に「増加ボタン」と「減少ボタン」とが表示された状態で、使用者がこれらにタッチすることにより、待機時間を示す数値を変化させるような態様であってもよい。尚、待機時間の設定を、初期値から変更する必要が無い場合には、待機時間を変更するための操作は省略されてもよい。
ステップS10において開始操作が未だ行われていない場合には、ステップS10の処理が繰り返し行われる。開始操作が行われればステップS11に移行する。
ステップS11では、追い炊き制御が行われる。追い炊き制御とは、既に述べたように、ポンプP1及びポンプP2の両方を動作させ、浴槽300に貯えられている湯の温度を上昇させる制御のことである。追い炊き制御は、サーミスタTH12で測定された湯の温度が所定の目標温度に到達するまで行われる。ステップS11の追い炊き制御が完了すると、浴槽300には高温の湯、すなわち小物OBの洗浄のために適した温度の湯が溜められた状態となる。ステップS11の処理は、本実施形態における「溜湯制御」に該当する。
追い炊き制御が完了すると、ループL1の処理が行われる。ループL1の処理は、これから述べるステップS12からステップS17までの一連の処理を繰り返し行うことにより、浴槽300に貯えられている湯を泡立てるための制御である。以下では、ループL1で示さされる処理のことを「泡立て制御」とも称する。泡立て制御は、ステップS11の追い炊き制御(溜湯制御)が完了すると、これに続いて連続的かつ自動的に行われる。つまり、ステップS11の処理が完了すると、使用者が浴室に来たり、操作部160等に対して操作を行ったりすることを必要とせず、ループL1の泡立て制御が直ちに開始される。
ループL1の最初のステップS12では、バブル注湯が開始される。バブル注湯とは、気泡混入部150において気泡を混入させた湯を、浴槽300に供給することである。バブル注湯が行われる際には、配管55に設けられた電磁弁151が開状態とされ、ホッパーユニット140の電磁弁141が開状態とされる。これにより、ミキシング弁49からの湯がホッパーユニット140、気泡混入部150、配管56を順に通り、配管31及び配管34を通って浴槽300に供給される。また、配管56を通った湯の一部は、配管31、熱交換器130、配管32、及び配管33を順に通った後に浴槽300に供給される。
電磁弁151が開状態となっているので、気泡混入部150においては湯に気泡が混入される。配管33及び配管34のそれぞれからは、気泡入りの湯が浴槽300に供給される。これにより、浴槽300に貯えられている湯WTの表面では泡BBが生じる。
ステップS12に続くステップS13では、バブル注湯により浴槽300に供給された湯の流量が、所定量に到達したか否かが判定される。当該判定は、流量カウンタFC1で測定された流量値に基づいて行われる。本実施形態では、上記の「所定量」として10リットルが設定されている。浴槽300に供給された湯の流量が所定量に到達していない場合には、ステップS13の処理が繰り返し実行される。浴槽300に供給された湯の流量が所定量に到達している場合には、ステップS14に移行する。ステップS14では、電磁弁141が閉状態とされる。これによりバブル注湯が停止される。
ステップS14に続くステップS15では、給湯装置10と浴槽300との間で湯を循環させる制御が行われる。具体的には、ポンプP2を動作させることにより、配管34、配管31、熱交換器130、配管31、配管32、及び配管33を順に湯が通る状態とされる。このとき、ポンプP1は停止したままとなっているので、熱交換器130における湯の加熱は行われない。
電磁弁151は閉状態となっているので、気泡混入部150において新たな気泡が生じることは無い。ただし、それまでの期間において上記のバブル注湯が行われていたことにより、配管31、配管32等の内部及び内壁面には、多数の気泡が存在している。このため、ステップS15において湯を循環させる制御が行われると、当該気泡が配管33を通って浴槽300に供給される。その結果、浴槽300に貯えられている湯WTの表面では引き続き泡BBが生じる。
ステップS15に続くステップS16では、ステップS15に移行した時点から所定時間が経過したか否かが判定される。本実施形態では、上記の「所定時間」として3分間が設定されている。所定時間が未だ経過していなければ、ステップS16の処理が繰り返し実行される。所定時間が経過していれば、ステップS17に移行する。ステップS17では、ポンプP1の動作が停止される。これにより、給湯装置10と浴槽300との間における湯の循環が停止される。
以上のようなステップS12からステップS17までの処理が、2回繰り返して実行される。このように、本実施形態における泡立て制御は、気泡混入部150から湯に気泡を混入させながら、気泡混入部150を通過した湯を浴槽300に供給する制御(ステップS12)と、気泡混入部150から湯への気泡の混入を停止させた状態で、給湯装置10と浴槽300との間で湯を循環させる制御(ステップS15)と、を繰り返すような制御となっている。尚、ステップS14では、気泡混入部150から湯への気泡の混入を停止させるのではなく、気泡の混入量をそれまでよりも減少させることとしてもよい。このように、湯の循環を開始する直前のステップS14では、予め気泡の混入を調整した状態としておけばよい。
ループL1の処理が完了すると、ステップS18に移行する。このとき、浴槽300
では、泡立てられ多量の泡BBが生じている高温の湯WTに、小物OBが浸け込まれた状態となっている。
ステップS18では、ループL1の処理(泡立て制御)が完了した時点から、待機時間が経過したか否かが判定される。待機時間は、既に述べたように、ステップS10の開始操作に先立ち、使用者が行った操作に基づいて予め設定されていた時間である。待機時間が未だ経過していない場合には、ステップS18の処理が繰り返される。つまり、小物OBが湯WTに浸け込まれた状態が維持される。
ステップS18で待機時間が経過した場合には、ステップS19に移行する。ステップS19では、小物OBの洗浄が完了した旨が使用者に報知される。本実施形態では、操作部160等のタッチパネル画面に完了した旨のメッセージを表示するとともに、操作部160等から音を発することにより、使用者への報知が行われる。その後、使用者は浴室に行き、図9のステップS07及びステップS08で示される作業を行う。
以上のように、使用者が最初に小物OBを浴槽300に投入する作業、及びステップS10の開始操作を行った後においては、溜湯制御、泡立て制御、及び小物OBの浸け込みが自動的に行われる。つまり、給湯装置10の小物洗浄機能によれば、使用者が最初に上記作業を行うだけで、その後は小物OBの洗浄が自動的に完了する。使用者が何度も浴室に来る必要が無いので、使用者の作業負荷は著しく軽減される。
本発明の第2実施形態について、図4を参照しながら説明する。第2実施形態においては、小物洗浄機能のために制御部120が行う処理の内容についてのみ第1実施形態と異なっており、給湯装置10の構成については第1実施形態と同じである。
図4に示される処理は、図3に示される処理に替えて実行される処理である。尚、図4に示される処理のうち、ステップS20からステップS23までの処理は、図3のステップS10からステップS19までの処理と同じである。図4においてループL2として示されているのは、泡立て制御であるループL1と同一の処理である。以下では、ステップS23に続いて行われる処理についてのみ説明する。
ステップS23において報知が行われた後には、使用者は浴槽300から小物OBを取り出して、浴槽300に溜められている湯を排出する。具体的には、操作部160等に対し操作を行うことにより、自動排水栓320を開状態に切り換える。尚、浴槽300に自動排水栓320が設けられていない場合には、使用者は手動で湯の排出を行う。ステップS24では、使用者による上記操作の結果として、浴槽300から水が排出されたか否かが判定される。
当該判定の方法について説明する。ステップS24に移行すると、制御部120はポンプP2を一時的に動作させる。このとき、浴槽300から水が排出されていなければ、配管31の内部は水で満たされているので、当該水がポンプP2によって流れ始める。同時に、配管31において湯が流れていることを示す信号が、フロースイッチFSWから制御部120に入力される。一方、浴槽300から水が排出されていれば、配管31の内部には水が存在しないので、ポンプP2が動作しても水は流れない。従って、配管31において湯が流れていることを示す信号は、フロースイッチFSWから制御部120に入力されない。
制御部120は、ポンプP2の動作中においてフロースイッチFSWにより水の流れが検知されれば、浴槽300から水が未だ排出されていないと判定する。また、ポンプP2の動作中においてフロースイッチFSWにより水の流れが検知されなければ、浴槽300から水が排出されたと判定する。当該判定が完了すれば、制御部120はポンプP2の動作を停止させる。
以上のように、本実施形態では、ポンプP2の動作及びフロースイッチFSWの検知結果に基づいて、浴槽300に溜められた水の有無を検知することが可能となっている。フロースイッチFSWは、本実施形態における「溜水検知部」に該当する。尚、浴槽300に溜められた水の有無の検知は、水位センサWLSを用いて行うこともできる。しかしながら、上記のようにフロースイッチFSWを用いた方が、浴槽300に溜められた水の有無を精度よく検知することができる。
浴槽300から水が排出されていなければ、ステップS24の処理が繰り返し実行される。浴槽300から水が排出されていれば、ステップS25に移行する。
ステップS25では、配管洗浄制御が実行される。配管洗浄制御とは、気泡混入部150から湯に気泡を混入させながら、気泡混入部150を通過した湯を浴槽300に向けて流す制御である。
配管洗浄制御においては、制御部120は、図3のステップS12と同一の処理、すなわちバブル注湯を開始する処理を行う。気泡混入部150を通過した気泡入りの水が、配管31、配管34を順に通る経路、及び、配管31、熱交換器130、配管32、配管33を順に通る経路、の両方を流れて、浴槽300に到達する。気泡入りの水が流れることで、上記経路を構成する各配管の内壁面が洗浄される。
配管洗浄制御を開始すると同時に、制御部120は、流量カウンタFC1による流量の測定を開始する。流量カウンタFC1で測定された流量、すなわち、気泡混入部150を通過し浴槽300側に流された水の流量が所定の目標流量に到達すると、制御部120は電磁弁151を閉状態とし、配管洗浄制御を停止する。
以上のように、本実施形態では、使用者の操作によって浴槽300の水が排出された際に、上記のような配管洗浄制御が自動的に開始される。これにより、給湯装置10の内部に設けられた各配管の内壁面を、清浄な状態に保つことができる。
本発明の第3実施形態について、図5を参照しながら説明する。第3実施形態においては、小物洗浄機能のために制御部120が行う処理の内容についてのみ第2実施形態と異なっており、給湯装置10の構成については第2実施形態と同じである。
図5に示される処理は、図4に示される処理に替えて実行される処理である。図5に示される処理のうち、ステップS30とループL3との間において行われる処理が、本実施形態における「溜湯制御」に該当する。
最初のステップS30で実行される処理は、図3のステップS10で実行される処理と同一である。ステップS30において、開始操作が未だ行われていない場合には、ステップS30の処理が繰り返し行われる。開始操作が行われればステップS31に移行する。
ステップS31では、浴槽300における残り湯の有無が判定される。ここでは、図4のステップS24で説明したような方法、すなわち、ポンプP2を動作させながらフロースイッチFSW(溜水検知部)で水流の有無を検知する方法により、浴槽300における残り湯の有無が判定される。残り湯が有ると判定されれば、ステップS32に移行する。
ステップS32では、浴槽300の水位が所定水位以上であるか否かが判定される。ここでいう「所定水位」とは、小物OBの洗浄を行うために十分な水位として予め設定されていたものである。上記判定は、水位センサWLSによる水位の測定結果に基づいて行われる。
浴槽300の水位が所定水位以上であった場合には、ステップS33に移行する。ステップS33に移行したということは、浴槽300に湯を足さなくても、浴槽300には小物OBの洗浄を行うために十分な量の残り湯が貯えられているということである。ただし、その残り湯の温度は低いことが多い。そこで、ステップS33では追い炊き制御が行われる。ここで行われる追い炊き制御は、図3のステップS11で実行されるものと同じであるから、その説明を省略する。
このように、溜湯制御を行うにあたり、浴槽300に水が溜められていることがフロースイッチFSW(溜水検知部)によって検知され、且つ、浴槽300の水位が所定水位以上であることが水位センサWLS(水位検知部)によって検知された場合には、制御部120は追い炊き制御を行う。追い炊き制御により、浴槽300に貯えられている残り湯の温度は上昇し、小物OBの洗浄に適した温度となる。
ステップS32において、浴槽300の水位が所定水位を下回っていた場合には、ステップS34に移行する。ステップS34では、電磁弁141が開状態とされ、浴槽300への湯の追加が行われる。このとき、小物OBの洗浄に適した温度の湯が浴槽300に追加されるよう、ミキシング弁49における湯と水との混合比が調整される。浴槽300への湯の追加は、水位センサWLSで検知された水位が所定水位となるまで行われる。このように、所定水位となるまで浴槽300に湯を追加する制御のことを、以下では「たし湯制御」とも称する。
たし湯制御が完了すると、ステップS35に移行する。このとき、浴槽300に貯えられている湯は、当初から貯えられていた低温の残り湯に、たし湯制御による高温の湯を追加したものである。このため、当該湯の温度は、小物OBの洗浄に適した温度よりも低いことが多い。そこで、ステップS33では追い炊き制御が行われる。ここで行われる追い炊き制御は、図3のステップS11で実行されるものと同じである。
このように、溜湯制御を行うにあたり、浴槽300に水が溜められていることがフロースイッチFSW(溜水検知部)によって検知され、且つ、浴槽300の水位が所定水位を下回っていることが水位センサWLS(水位検知部)によって検知された場合には、制御部120は、先ずたし湯制御を行うことによって浴槽300の水位を上昇させた後に、追い炊き制御を行う。当初の残り湯の量が十分でない場合であっても、給湯装置10が自動的に湯の追加を行い、更に残り湯の温度を上昇させるので、使用者の作業負荷がより軽減される。
ステップS31において、残り湯が無いと判定されれば、ステップS36に移行する。ステップS36では、たし湯制御が行われる。ここで行われるたし湯制御は、ステップS34において行われるものと同じである。たし湯制御が完了すると、浴槽300の水位は所定水位となる。
この場合、浴槽300に貯えられている湯は、その全てがたし湯制御により供給された湯である。従って、浴槽300に貯えられている湯の温度は、この時点で小物OBの洗浄に適した温度となっている。このため、ステップS36の後においては追い炊き制御は実行されない。
このように、溜湯制御を行うにあたり、浴槽300に水が溜められていないことがフロースイッチFSW(溜水検知部)によって検知された場合には、制御部120はたし湯制御を行う。浴槽300に残り湯が貯えられていなかった場合であっても、給湯装置10が自動的に湯の追加を行い、更に残り湯の温度を上昇させるので、使用者の作業負荷がより軽減される。
ステップS33、ステップS35、ステップS36のいずれかが実行された後は、ループL3に移行する。ループL3は、泡立て制御であるループL1(及びループL2)と同一の処理である。また、ループL3からステップS40までの処理は、図4におけるループL2からステップS25までの処理と同一である。従って、その説明を省略する。
ところで、本実施形態においてステップS31からステップS36に移行するような場合、すなわち、当初の残り湯が存在しない場合には、使用者は、予め空の浴槽300に小物OBと洗浄薬剤とを投入することになる。
しかしながら、空の浴槽300に小物OBが投入された後、たし湯制御により浴槽300の水位が上昇すると、その過程において小物OBが浮き上がり、小物OBの一部が湯に触れていない状態となってしまう可能性がある。この場合、小物OBの洗浄が十分には行われないこととなるので好ましくない。また、空の浴槽300に洗浄薬剤が投入されると、浴槽300の内壁面に対し粉末状の洗浄薬剤が直接触れることにより、内壁面が変色してしまう可能性がある。
そこで、空の浴槽300に小物OBや洗浄薬剤を投入するに当たっては、図6に示されるような固定具NTや容器BTを用いることが望ましい。固定具NTは、小物OBを上方から覆う網である。当該網の末端には複数の吸盤SC1が設けられており、それぞれの吸盤SC1が浴槽300の内面に吸着している。このような状態であれば、たし湯制御により浴槽300の水位が上昇しても、小物OBの浮き上がりは固定具NTによって抑制される。これにより、小物OBの全体が湯に浸け込まれている状態を確実に維持し、小物OBを十分に洗浄することができる。
容器BTは、上方側が開口した円筒状の容器である。容器BTの下方側には吸盤SC2が設けられており、吸盤SC2が浴槽300の底面に吸着している。容器BTの内部には、粉末状の洗浄薬剤PWが投入されている。
たし湯制御により浴槽300の水位が上昇すると、容器BTには湯からの浮力が働く。しかしながら、容器BTは吸盤SC2を介して浴槽300に固定されているので、容器BTが浮き上がったり倒れてしまったりすることはない。
容器BTの高さは比較的低くなっているので、たし湯制御が開始されると、比較的短時間のうちに湯が容器BTの内部に侵入する。これにより、浴槽300内の湯に洗浄薬剤PWが溶け込んでいく。このような容器BTを用いれば、粉末状の洗浄薬剤PWが浴槽300の内壁面に直接触れてしまうことが確実に防止される。
本発明の第4実施形態について、図7を参照しながら説明する。第4実施形態においては、小物洗浄機能のために制御部120が行う処理の内容についてのみ第3実施形態と異なっており、給湯装置10の構成については第3実施形態と同じである。
図7に示される処理は、図5に示される処理に替えて実行される処理である。最初のステップS50及びステップS51で実行される処理は、図5のステップS30及びステップS31で実行される処理とそれぞれ同じである。
ステップS51において、浴槽300に残り湯が無いと判定されれば、ステップS56に移行する。ステップS56では、自動排水栓320が閉状態とされる。ステップS56に続くステップS57では、図5のステップS36と同様のたし湯制御が行われる。
このように、本実施形態では、溜湯制御を行う際に、制御部120が予め自動排水栓320を閉じる制御を行う。これにより、自動排水栓320を閉め忘れた状態で、浴槽300への湯の供給が行われてしまうようなことが確実に防止される。
図7に示される処理のうち、ステップS50からステップS59までの処理は、上記のようなステップS56が追加された点を除き、図5のステップS30からステップS38までの処理と同じである。従って、その具体的な説明を省略する。
ステップS59において使用者への報知が行われると、ステップS60に移行する。ステップS60では、使用者によって「排水操作」が行われたかどうかが判定される。本実施形態では、操作部160等のタッチパネル画面に排水ボタンを表示し、使用者がこの排水ボタンにタッチする操作を行うと、自動排水栓320を開状態として浴槽300からの湯の排出を行うように構成されている。上記の「排水操作」とは、使用者が排水ボタンにタッチする操作のことである。
使用者により排水操作が未だ行われていなければ、ステップS60の処理が繰り返し実行される。使用者により排水操作が行われれば、ステップS61に移行する。ステップS61では、自動排水栓320が開状態とされる。これにより、浴槽300からの湯の排出が開始され、浴槽300の水位は低下して行く。
ステップS61に続くステップS62では、配管洗浄制御が行われる。ここで行われる配管洗浄制御は、図4のステップS25で行われるものと同じである。
このように、本実施形態では、操作部160等(報知部)による使用者への報知が行われた後において、使用者による排水操作が行われると、制御部120が自動排水栓320を開く制御を行った後、配管洗浄制御を行う。本実施形態では、操作部160等に対し使用者による排水操作が行われたことが、ステップS59の後に自動排水栓320を開く制御や配管洗浄制御が行われるための条件(所定条件)となっている。
ステップS60では、使用者によって排水操作が行われることを待機している状態となっている。しかしながら、使用者が急に出かけてしまった場合等においては、ステップS60の処理が長時間に亘り実行され、湯の排出や配管洗浄制御が行われないままとなってしまう。そこで、ステップS60に移行してから所定時間が経過すると、使用者の排水操作を待つことなく、ステップS61に移行することとしてもよい。この場合、上記の「所定条件」は、操作部160等に対し使用者による排水操作が行われたこと、又は、排水操作が行われないまま所定時間が経過すること、である。所定条件をこのように設定することにより、ステップS60で長時間に亘り処理が止まってしまうようなことが防止される。
本発明の第5実施形態について、図8を参照しながら説明する。第5実施形態においては、小物洗浄機能のために制御部120が行う処理の内容についてのみ第4実施形態と異なっており、給湯装置10の構成については第4実施形態と同じである。
図8に示される処理は、図7に示される処理に替えて実行される処理である。図8に示される処理のうち、ステップS70からステップS80までの処理は、図7のステップS50からステップS62までの処理と同じである。図8においてループL5として示されているのは、泡立て制御であるループL1と同一の処理である。以下では、ステップS80に続いて行われる処理についてのみ説明する。
ステップS80の配管洗浄制御が完了すると、ループL6の処理が行われる。ループL6の処理は、これから述べるステップS81からステップS86までの一連の処理を繰り返し行うことにより、小物OB等に付着している泡BBを除去するための制御である。以下では、ループL6で示さされる処理のことを「すすぎ制御」とも称する。
ループL6の最初のステップS81では、自動排水栓320が閉状態とされる。ステップS81に続くステップS82では、電磁弁141が開状態とされる。これにより、浴槽300への水の供給が開始され、浴槽300の水位が上昇して行く。このとき、電磁弁151は閉状態となっている。このため、気泡混入部150においては、水への空気の混入は行われない。浴槽300には、気泡の入っていない水が供給される。ステップS82における水の供給は、ステップS82の開始時以降において流量カウンタFC1で測定された流量値が所定値となるまで行われる。流量値が所定値になると、電磁弁141が閉状態とされ、浴槽300への水の供給が停止される。
ステップS82に続くステップS83では、給湯装置10と浴槽300との間で湯を循環させる制御が行われる。ここで行われる処理は、図3のステップS15で行われる処理と同じである。給湯装置10と浴槽300との間で湯を循環させることにより、配管34、配管31、熱交換器130、配管32、及び配管33の内部に存在していた洗浄薬剤の成分、及び、小物OBの表面に(泡として)付着していた洗浄薬剤の成分が洗い落とされる。
ステップS83に続くステップS84では、ステップS83の開始時から所定時間が経過したか否かが判定される。所定時間が経過していなければ、ステップS84の処理が繰り返し実行され、給湯装置10と浴槽300との間における水の循環が継続される。所定時間が経過していればステップS85に移行する。ステップS85では、図3のステップS17で行われる処理と同様に、ポンプP1の動作が停止される。これにより、給湯装置10と浴槽300との間における湯の循環が停止される。
ステップS85に続くステップS86では、自動排水栓320が再び開状態とされる。これにより、浴槽300の水が外部に排出される。水位センサWLSにより検知された浴槽300の水位が所定水位まで低下すると、ステップS86の処理を終了する。尚、ここでいう所定水位とは、浴槽300の湯が殆ど排出されてしまったことを示す水位として予め設定されたものである。
このように、本実施形態では、泡立て制御(ループL5)が完了してから所定の待機時間が経過した後において、制御部120は、自動排水栓320を閉じる制御(ステップS81)と、浴槽300に水が溜められた状態とする制御(ステップS82)と、給湯装置と浴槽300との間で水を循環させる制御(ステップS83)と、自動排水栓320を開く制御と、を順に実行する制御であるすすぎ制御を行う。
また、以上のようなステップS81からステップS86までのすすぎ制御(ループL6)が、本実施形態では複数回繰り返して実行される。すすぎ制御が複数回繰り返されることにより、配管34等の内部や、小物OBの表面に付着していた洗浄薬剤の成分が確実に洗い落とされる。尚、洗浄薬剤が十分に洗い落とされるのであれば、すすぎ制御が実行される回数は1回のみであってもよい。
ループL6の処理が複数回繰り返し実行された後は、ステップS87に移行する。ステップS87では、小物OBの洗浄が完了した旨が使用者に報知される。ステップS87で実行される処理は、図3のステップS19で実行される処理と同じである。
尚、以上の例では、小物OBの洗浄について説明したが、使用者が小物OBを浴槽300に投入することなく以上と同様の作業を行って、浴槽300自体の洗浄を行うことも可能である。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。