次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物形燃料電池装置を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。図1に示すように、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して金属製のモジュールケース8が内蔵されている。この密閉空間であるモジュールケース8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤ガス(以下では適宜「発電用空気」又は「空気」と呼ぶ。)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が収容置されている。この燃料電池セル集合体12は、複数の燃料電池セルユニット16(図6参照)が直列接続されて構成されている。この例では、燃料電池セル集合体12は、128本の燃料電池セルユニット16を有する。
燃料電池モジュール2のモジュールケース8の発電室10の上方には、燃焼部としての燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった(発電に寄与しなかった)残余の燃料ガスと残余の空気とが燃焼し、排気ガス(言い換えると燃焼ガス)を生成するようになっている。さらに、モジュールケース8は断熱材7により覆われており、燃料電池モジュール2内部の熱が、外気へ発散するのを抑制している。また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器120が配置され、残余ガスの燃焼熱によって改質器120を改質反応が可能な温度となるように加熱している。
さらに、ハウジング6内においてモジュールケース8の上方には、蒸発器140が断熱材7内に設けられている。蒸発器140は、供給された水と排気ガスとの間で熱交換を行うことによって、水を蒸発させて水蒸気を生成し、この水蒸気と原燃料ガスとの混合ガス(以下では「燃料ガス」と呼ぶこともある。)をモジュールケース8内の改質器120に供給する。
次に、補機ユニット4は、燃料電池モジュール2からの排気中に含まれる水分を結露させた水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の原料ガスの供給源である燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)と、電源喪失時において、燃料流量調整ユニット38から流出する燃料ガスを遮断するバルブ39を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器120に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
なお、本実施形態では、装置の起動時に改質器120内において、部分酸化改質反応(POX)のみが生じるPOX工程から、部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)が混在したオートサーマル改質反応(ATR)が生じるATR工程を経て、水蒸気改質反応のみが生じるSR工程が行われるように構成してもよいし、POX工程を省略してATR工程からSR工程に移行されるように構成してもよいし、POX工程及びATR工程を省略してSR工程のみが行われるように構成してもよい。なお、SR工程のみが行われる構成では、改質用空気流量調整ユニット44は不要である。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図2乃至図4を参照して、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールの構造について説明する。図2は、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図3は、図2のIII-III線に沿った断面図であり、図4は、モジュールケース及び空気通路カバーの分解斜視図である。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2は、断熱材7で覆われたモジュールケース8の内部に設けられた燃料電池セル集合体12及び改質器120を有すると共に、モジュールケース8の外部で且つ断熱材7内に設けられた蒸発器140を有する。
まず、モジュールケース8は、図4に示すように、略矩形の天板8a,底板8c,これらの長手方向(図2の左右方向)に延びる辺同士を連結する対向する一対の側板8bからなる筒状体と、この筒状体の長手方向の両端部の2つの対向する開口部を塞ぎ、天板8a及び底板8cの幅方向(図3の左右方向)に延びる辺同士を連結する閉鎖側板8d,8eからなる。
モジュールケース8は、空気通路カバー160によって天板8a及び側板8bが覆われている。空気通路カバー160は、天板160aと、対向する一対の側板160bとを有する。天板160aの略中央部分には、排気管171を貫通させるための開口部167が設けられている。天板160aと天板8aとの間、及び、側板160bと側板8bとの間は、所定の距離だけ離間した状態となっている。これにより、モジュールケース8の外側と断熱材7との間、具体的にはモジュールケース8の天板8a及び側板8bと、空気通路カバー160の天板160a及び側板160bとの間には、天板160a及び側板160bの外面に沿って、酸化剤ガス供給通路としての空気通路161a,161bが形成されている(図3参照)。
モジュールケース8の側板8bの下部には、複数の貫通孔である吹出口8fが設けられている(図4参照)。発電用空気は、空気通路カバー160の天板160aのうち、モジュールケース8の閉鎖側板8e側の略中央部に設けられた発電用空気導入管74から流路方向調整部164を介して空気通路161a内に供給される(図2、図4参照)。そして、発電用空気は、空気通路161a,161bを通って、吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される(図3、図4参照)。
また、空気通路161a,161bの内部には、第1及び第2排気通路172a、172b内の排気ガスと空気通路161a,161b内の空気との間の熱交換を促進する熱交換促進部材としてのプレートフィン162,163が設けられている(図3参照)。プレートフィン162は、モジュールケース8の天板8aと空気通路カバー160の天板160aの間で長手方向及び幅方向に延びるように水平方向に設けられている。すなわち、プレートフィン162は、空気通路161a内の後述する第1排気通路172aに対応する部分に設けられている。また、プレートフィン163は、モジュールケース8の側板8bと空気通路カバー160の側板160bとの間であって、且つ、燃料電池セルユニット16よりも上方の位置に長手方向及び鉛直方向に延びるように設けられている。すなわち、プレートフィン163は、空気通路161b内の後述する第2排気通路172b及び排気集中部176に対応する部分に設けられている。
空気通路161a,161bを流れる発電用空気は、特にプレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の内側のモジュールケース8内(具体的には天板8a,側板8bに沿って設けられた排気通路)を通過する排気ガスとの間で熱交換を行い、加熱されることとなる。このようなことから、空気通路161a,161bにおいてプレートフィン162,163が設けられた部分は、熱交換器(熱交換部)として機能する。なお、プレートフィン162が設けられた部分が主たる熱交換器部分を構成し、プレートフィン163が設けられた部分が従たる熱交換器部分を構成する。
次に、蒸発器140は、モジュールケース8の天板8a上で水平方向に延びるように固定されている。また、蒸発器140とモジュールケース8との間には、これらの隙間を埋めるように断熱材7の一部分7aが配置されている(図2及び図3参照)。
具体的には、蒸発器140は、長手方向(図2の左右方向)の一側端側に、水及び原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい)を供給する燃料供給配管63と、排気ガスを排出するための排気ガス排出管82(図3参照)とが連結され、長手方向の他側端側に、排気管171の上端部が連結されている。排気管171は、空気通路カバー160の天板160aに形成された開口部167を貫通して下方へ延び、モジュールケース8の天板8a上に形成された排気口111に連結されている。排気口111は、モジュールケース8内の燃焼室18で生成された排気ガスをモジュールケース8の外へ排出する開口部であり、モジュールケース8の上面視略矩形の天板8aのほぼ中央部に形成されている。
また、蒸発器140は、図2及び図3に示すように、上面視で略矩形の蒸発器ケース141を有している。この蒸発器ケース141は、2つの高さの低い有底矩形筒状の上側ケース142と下側ケース143とを、これらの間に中間板144を挟んだ状態で接合して形成されている。
したがって、蒸発器ケース141は、上下方向に二層構造となっており、下層部分には、排気管171から供給された排気ガスが通過する排気通路部140Aが形成され、上層部分には、燃料供給配管63から供給された水を蒸発させて水蒸気を生成する蒸発部140Bと、蒸発部140Bで生成された水蒸気と燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとを混合させる混合部140Cが設けられている。
蒸発部140B及び混合部140Cは、複数の連通孔(スリット)が設けられた仕切り板により蒸発器140を仕切った空間にて形成されている。また、蒸発部140B内には、アルミナボール(図示せず)が充填されている。
また、排気通路部140Aは、同様に複数の連通孔を有する2つの仕切り板により排気ガスの上流側から下流側にかけて3つの空間に仕切られている。そして、2番目の空間に燃焼触媒(図示せず)が充填されている。すなわち、本実施形態の蒸発器140は、燃焼触媒器を含んでいる。
このような蒸発器140では、蒸発部140B内の水と排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により蒸発部140B内の水が蒸発して、水蒸気が生成されることとなる。また、混合部140C内の混合ガスと排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により混合ガスが昇温されることとなる。
更に、図2に示すように、混合部140Cには、改質器120に混合ガスを供給するための混合ガス供給管112が接続されている。この混合ガス供給管112は、排気管171の内部を通過するように配置されており、一端が中間板144に形成された開口144aに連結され、他端が改質器120の天面に形成された混合ガス供給口120aに連結されている。混合ガス供給管112は、排気通路部140A内,排気管171内を通過してモジュールケース8内まで鉛直下方に延び、そこで略90°屈曲されて天板8aに沿って水平方向に延びた後、下方へ略90°屈曲されて改質器120に連結されている。
次に、改質器120は、燃焼室18の上方でモジュールケース8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置され、モジュールケース8の天板8aとの間に排気ガス誘導部材130を介して所定距離隔てられて状態で、天板8aに対して固定されている。改質器120は、上面視で外形略矩形であるが、中央部に貫通孔120bが形成された環状構造体であり、上側ケース121と下側ケース122とが接合された筐体を有している。この貫通孔120bは、天板8aに形成された排気口111と上面視で重なるように位置し、好ましくは、貫通孔120bの中央位置に排気口111が形成される。
改質器120の長手方向の一端側(モジュールケース8の閉鎖側板8e側)では、上側ケース121に設けられた混合ガス供給口120aに混合ガス供給管112が連結されており、他端側(閉鎖側板8d側)では、燃料ガス供給管64が下側ケース122に、脱硫器36まで延びる水添脱硫器用水素取出管65が上側ケース121にそれぞれ連結されている。したがって、改質器120は、混合ガス供給管112から混合ガス(つまり水蒸気が混合された原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい))を受け取り、内部で混合ガスを改質し、燃料ガス供給管64及び水添脱硫器用水素取出管65から改質後のガス(即ち、燃料ガス)を排出するように構成されている。
改質器120は、その内部空間が2つの仕切り板123a,123bによって3つの空間に仕切られることにより、改質器120内に、混合ガス供給管112からの混合ガスを受入れる混合ガス受入部120Aと、混合ガスを改質するための改質触媒(図示せず)が充填された改質部120Bと、改質部120Bを通過したガスを排出するガス排出部120Cと、が形成されている(図2参照)。改質部120Bは、仕切り板123a,123bに挟まれた空間であり、この空間に改質触媒が保持されている。混合ガス及び改質後の燃料ガスは、仕切り板123a,123bに設けられた複数の連通孔(スリット)を通って移動可能となっている。また、改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
混合ガス受入部120Aには、蒸発器140から混合ガス供給管112を介して供給された混合ガスが混合ガス供給口120aを通して噴出される。この混合ガスは、混合ガス受入部120A内で拡張されて噴出速度が低下し、仕切り板123aを通過して改質部120Bに供給される。
改質部120Bでは、低速で移動する混合ガスが改質触媒により燃料ガスに改質され、この燃料ガスが仕切り板123bを通過してガス排出部120Cに供給される。
ガス排出部120Cでは、燃料ガスが燃料ガス供給管64、及び、水添脱硫器用水素取出管65へ排出される。
燃料ガス供給通路としての燃料ガス供給管64は、モジュールケース8内を閉鎖側板8dに沿って下方へ延び、底板8c付近で略90°屈曲されて水平方向に延びて、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたガスマニホールド66内へ入り、更にガスマニホールド66内で逆側の閉鎖側板8e付近まで水平方向に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、燃料ガスがガスマニホールド66内に供給される。後述するが、このガスマニホールド66の上部には、燃料電池セルユニット16を支持するための貫通孔を備えた支持板68が取り付けられており、ガスマニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。また、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
排気ガス誘導部材130は、改質器120と天板8aとの間でモジュールケース8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置されている。排気ガス誘導部材130は、上下方向に所定距離だけ離間された下部誘導板131及び上部誘導板132と、これらの長手方向の両端辺が取り付けられる連結板133,134とを備えている(図2,図3参照)。上部誘導板132は、幅方向の両端部が下方に向けて折り曲げられ、下部誘導板131に連結されている。連結板133,134は、上端部が天板8aに連結され、下端部が改質器120に連結されており、これにより、排気ガス誘導部材130及び改質器120を天板8aに固定している。
下部誘導板131は、幅方向(図3の左右方向)の中央部が下方に向けて突出する凸状段部131aが形成されている。一方、上部誘導板132は、下部誘導板131と同様に、幅方向の中央部が下方に向けて凹状となるように凹部132aが形成されている。凸状段部131aと凹部132aは、上下方向で並行して長手方向に延びている。混合ガス供給管112は、モジュールケース8内でこの凹部132a内を水平方向に延びた後、閉鎖側板8e付近で下方に向けて屈曲し、上部誘導板132及び下部誘導板131を貫通して、改質器120に連結されている。
排気ガス誘導部材130は、上部誘導板132、下部誘導板131、連結板133,134によって、断熱層として機能する内部空間であるガス溜(ガス断熱層)135が形成されている。このガス溜135は、燃焼室18と流体連通している。すなわち、上部誘導板132、下部誘導板131、連結板133,134は、所定の隙間を形成するように連結されており、気密的には連結されていない。ガス溜135には、運転中に燃焼室18から排気ガスが流入したり、停止時に外部から空気が流入したりすることが可能となっているが、総じてガス溜135の内外間のガスの移動は緩やかである。
上部誘導板132は、天板8aと所定の上下方向距離を隔てて配置されており、上部誘導板132の上面と天板8aとの間には、長手方向及び幅方向に沿って水平方向に延びる第1排気通路172aが形成されている。この第1排気通路172aは、モジュールケース8の天板8aを挟んで空気通路161aと並設されており、第1排気通路172a内には、空気通路161a,161b内のプレートフィン162,163と同様なプレートフィン175aが配置されている。このプレートフィン175aは、プレートフィン162と上面視で略同一箇所に設けられており、天板8aを挟んで上下方向に対向している。
上部誘導板132は、上部誘導板132の側面と側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、上部誘導板132の側面と側板8bとの間には、長手方向及び上下方向に延びる第2排気通路172bが形成されている。第2排気通路172bは上部において第1排気通路172aと連通している。第2排気通路172b内にも、空気通路161a、161b内のプレートフィン162、163と同様なプレートフィン175bが配置されている。このプレートフィン175bは、下端が下部誘導板131の高さまで延びている。
空気通路161a、161bと、第1及び第2排気通路172a、172bのうち、プレートフィン162、163、175a、175bが設けられた部分において、空気通路161a、161bを流れる発電用空気と第1及び第2排気通路172a、172bを流れる排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われて、排気ガスの熱により発電用空気が昇温されることとなる。
また、改質器120は、モジュールケース8の側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、改質器120と側板8bとの間には、排気ガスを下方から上方へ通過させる第3排気通路173が形成されている。
さらに、下部誘導板131は、改質器120の上側ケース121の天面から所定の上下方向距離を隔てて配置されており、下部誘導板131と上側ケース121との間、及び、改質器120の貫通孔120bは、貫通孔120bを下方から上方へ向けて通過した排気ガスを通過させる第4排気通路174を形成している。この第4排気通路174は、改質器120の上方、かつ、側板8bの近傍で第3排気通路173と合流し、排気ガスが集中する排気集中部176が形成される。
図5は、第2排気通路172b及び空気通路161bの第2排気通路172bに対応する部分を拡大して示す鉛直断面図である。図4に示すように、プレートフィン175bは、上部誘導板132の側面と、モジュールケース8の側板8bとに挟まれて配置されている。プレートフィン175bは、側板8bとは突出部204の天板部204bで接触しているが、上部誘導板132の側面とは天板部204bに設けた突起部205を介して接触している。
突起部205は、天板部204bよりも接触面積が小さくなるように形成されており、例えば、天板部204bの一部を外方へ突出させることにより形成することができる。また、突起部205は、熱伝導性の良好なプレートフィンとは別部材とすることもできる。この場合、プレートフィンよりも熱伝導性の低い材料で形成すると好適である。
突起部205は、上部誘導板132の側面側のすべての突出部204の天板部204bに設けられてはおらず、少なくとも1つの天板部204bに設けられている。このため、上部誘導板132の側面に向けて突出する突出部204のうち、ほとんどの突出部204が上部誘導板132の側面と接触せず、1つ又は少数の突出部204のみが突起部205を介して上部誘導板132の側面と接触している。
このように、プレートフィン175bは、側板8bに対しては天板部204bを介して接触しているが、上部誘導板132の側面に対して、接触面積が小さく、好ましくは熱伝導性が低い突起部205を介して接触している。このため、プレートフィン175bは、ガス断熱層135を画成する上部誘導板132よりも、空気通路161bへ熱を伝達することができる。これにより、第2排気通路172bの排気ガスと空気通路161bの発電用空気との間の熱交換効率より向上させることができる。なお、プレートフィン175aでも同様である。
また、プレートフィン163は、モジュールケース8の側板8bと空気通路カバー160の側板160bに挟まれて配置されている。プレートフィン163は、プレートフィン175bと同様に、側板8bとは突出部202の天板部202bで接触しているが、側板160bとは天板部202bに設けた突起部203を介して接触している。
突起部203は、天板部202bよりも接触面積が小さくなるように形成されており、突起部203は、熱伝導性の良好なプレートフィンとは別部材とすることもできる。この場合、プレートフィンよりも熱伝導性の低い材料で形成すると好適である。
また、突起部203は、側板160b側のすべての突出部202の天板部202bに設けられておらず、1つ又は少数の突出部202のみが突起部203を介して側板160bと接触している。
このため、プレートフィン163から側板160bを介して外部の断熱材7へ熱を放散させること(熱損失)を抑制することが可能となり、第3排気通路173の排気ガスと空気通路161bの発電用空気との間の熱交換効率より向上させることができる。なお、プレートフィン162でも同様である。
次に、図6を参照して、燃料電池セルユニット16について説明する。図6は、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図6に示すように、燃料電池セルユニット16は、発電部としての燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の両端部にそれぞれ接続されたキャップである内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路細管98が突出するように形成されている。内側電極端子86の円筒状の外周部86Aがシール材96の外周を包囲している。
この燃料ガス流路細管98は、内側電極端子86の中心から燃料電池セル84の軸線方向に延びるように設けられた細長い細管である。このため、ガスマニホールド66(図2参照)から、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃料ガス流路88に流入する燃料ガスの流れには、所定の圧力損失が発生する。従って、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流入側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。また、燃料ガス流路88から、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃焼室18(図2参照)に流出する燃料ガスの流れにも所定の圧力損失が発生する。従って、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流出側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
燃料電池セル集合体12は、各燃料電池セルユニット16の燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86が、他の燃料電池セルユニット16の空気極である外側電極層92の外周面に電気的に接続されることにより、128本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されて構成される。
図7は、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置における燃料電池セルユニットとマニホールドとの接続部を拡大して示す鉛直断面図である。なお、図中、燃料電池セルユニットは、内側電極端子のみを示す。
図7に示すように、ガスマニホールド66の支持板68には、円形断面の挿入孔68Aが形成されている。ガスマニホールド66の支持板68に形成された挿入孔68Aには、上方から支持部材180の突出部180Bが挿入されており、支持部材180の貫通孔182には、上方から内側電極端子86の燃料ガス流路細管98が挿入されている。
挿入孔68Aは、各燃料電池セルユニット16に対応して設けられている。挿入孔68Aの外周部には下方に突出する環状の突出部68Dが形成されている。挿入孔68Aの内面の上部68Bは下方に向かって直径が小さくなるような傾斜面に形成されている。また、挿入孔68Aの内面の下部68Cは鉛直な円筒状の面に形成されている。
支持部材180は、円柱状(円筒状)の基部180Aと、基部180Aの下面から下方に突出する円柱状(円筒状)の突出部180Bとを有する。基部180Aの中心軸と、突出部180Bの中心軸とは一致している。また、支持部材180の中央には上下方向に貫通する円形断面の貫通孔182が形成されている。突出部180Bの直径は、ガスマニホールド66の支持板68の挿入孔68Aの下部68Cの直径よりもわずかに小さい。また、図7に示すように、基部180Aの上面の外周縁(角部)180D及び下面の外周縁(角部)180Cは斜めに面取りが施されている。同様に、突出部180Bの下面の外周縁(角部)180Eも斜めに面取りが施されている。また、支持部材180の貫通孔182の上端の縁は斜めに面取りが施され、斜め上方を向いた傾斜面182Fが形成されている。
ガスマニホールド66と支持部材180の間には第1のシール材190が設けられており、ガスマニホールド66と支持部材180の間の隙間は第1のシール材190により封止されている。第1のシール材190は、例えば、ガラスシールからなる。第1のシール材190は、支持部材180の基部180Aの下面(外面)とガスマニホールド66の支持板68の上面との間を接着する平面シール部190Aと、支持部材180の突出部180Bの側面(外面)とガスマニホールド66の挿入孔68Aの内面の上部68Bとの間を接着する側面シール部190Bと、を含む。図7に示すように、平面シール部190Aと側面シール部190Bとは連続している。
平面シール部190Aは、支持部材180の基部180Aの外周面よりも外方まで進出している。また、平面シール部190Aの外周部190Cは、基部180Aの面取りされた下方の角部180Cと接している。平面シール部190Aは、外周部190Cにおいて厚さが最大になっている。
側面シール部190Bは、挿入孔68Aの内面の上部68Bの下端近傍まで進出している。上述の通り、挿入孔68Aの内面の上部68Bは下方に向かって直径が小さくなるような傾斜面に形成されているため側面シール部190Bはこの挿入孔68Aの内面の上部68Bにより支持されている。
なお、第1のシール材190は、予め、ガスマニホールド66の挿入孔68Aの内周面及び周囲にガラスペーストを取り付けておき、支持部材180を突出部180Bが挿入孔68A内に挿入されるように配置し、支持部材180を押し込み、ガラスペーストを焼成することにより形成することができる。なお、ガラスペーストは、ガスマニホールド66の挿入孔68Aの上部68Bから、支持部材180の基部180Aの外周よりも進出した位置まで設けておくことが望ましい。
支持部材180と、内側電極端子86との間には、第2のシール材192が設けられており、支持部材180と内側電極端子86の間の隙間は第2のシール材192により封止されている。
第2のシール材192は、第1のシール材190と同様に、例えば、ガラスシールからなる。第2のシール材192は、内側電極端子86の下面(外面)と支持部材180の基部180Aの上面との間を接着する平面シール部192Aと、内側電極端子86の燃料ガス流路細管98の側面(外面)と、支持部材180の貫通孔182の縁の傾斜面182Fとの間を接着する側面シール部192Bと、を含む。図7に示すように、平面シール部192Aと側面シール部192Bとは連続している。
平面シール部192Aは、内側電極端子86の外周部86Aよりも外方まで進出している。平面シール部192Aは内側電極端子86の外周部86Aよりも外方の外周部192Cにおいて厚さが最大になっている。また、平面シール部192Aの外周部192Cは、内側電極端子86の外周部86Aの下縁の角部を包囲している。
側面シール部192Bは、貫通孔182の縁の傾斜面182Fの下端近傍まで進出している。傾斜面182Fは斜め上方を向いており、側面シール部192Bは傾斜面182Fにより支持されている。
このような構成により、ガスマニホールド66内の空間66Aは、支持部材180の貫通孔182、及び、内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を介して、燃料電池セル84の燃料ガス流路88(図6)に連通している。
第1及び第2のシール材190、192に用いられているガラスシールは、ガスマニホールド66を構成する材料(例えば、ステンレス)よりも線膨張係数が小さいものが用いられている。より具体的には、第1のシール材190に用いられているガラスシールの線膨張係数は、ガスマニホールド66を構成する材料の線膨張係数の0.7〜0.999倍であることが好ましい。
なお、本実施形態において、燃料電池セルユニット16の燃料電池セル84が発電を行う発電部として機能し、内側電極端子86及び支持部材180により、燃料電池セルユニット16を固定するための固定用端部184(図7)が構成される。
次に、図8及び図9を参照して、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュール内のガスの流れについて説明する。図8は、図2と同様の、本発明の第1実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図9は、図3と同様の、図2のIII-III線に沿った断面図である。図8及び図9は、それぞれ、図2及び図3中にガスの流れを示す矢印を新たに付加した図であり、説明の便宜上、断熱材7を取り除いた状態の図を示している。図中、実線矢印は燃料ガスの流れ、破線矢印は発電用空気の流れ、一点鎖線矢印は排気ガスの流れを示す。
図8に示すように、水及び原燃料ガス(燃料ガス)は、蒸発器140の長手方向の一端側に連結された燃料供給配管63から蒸発器140の上層に設けられた蒸発部140B内に供給される。蒸発部140Bに供給された水は、蒸発器140の下層に設けられた排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱され水蒸気となる。この水蒸気と、燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとが、蒸発部140B内を下流方向に流れて行き、混合部140C内で混合される。混合部140C内の混合ガスは、下層の排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱される。
混合部140C内で形成された混合ガス(燃料ガス)は、混合ガス供給管112を通って、モジュールケース8内の改質器120に供給される。混合ガス供給管112は、排気通路部140A,排気管171,及び第1排気通路172aを順に通過しているため、これらの通路を流れる排気ガスにより、混合ガス供給管112内の混合ガスは更に加熱される。
混合ガスは、改質器120内の混合ガス受入部120A内に流入し、ここから仕切り板123aを通過して改質部120Bに流入する。混合ガスは、改質部120Bにおいて改質されて燃料ガスとなる。こうして生成された燃料ガスは、仕切り板123bを通過して、ガス排出部120Cに流入する。
更に、燃料ガスは、ガス排出部120Cから燃料ガス供給管64と水添脱硫器用水素取出管65とに分岐する。そして、燃料ガス供給管64に流入した燃料ガスは、燃料ガス供給管64の水平部64aに設けられた燃料供給孔64bからガスマニホールド66内に供給され、ガスマニホールド66から各燃料電池セルユニット16内に供給される。
また、図8及び図9に示すように、発電用空気は、発電用空気導入管74から空気通路161aに供給される。発電用空気は、空気通路161a,161b内において、プレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の下部のモジュールケース8内に形成された第1及び第2排気通路172,173を通過する排気ガスとの間で効率的な熱交換を行い、加熱されることとなる。
この後、発電用空気は、モジュールケース8の側板8bの下部に設けられた複数の吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される。なお、本実施形態では、燃料電池セル集合体12の側方部位には排気通路が形成されていないため、この部位において発電用空気と排気ガスとの間の熱交換は抑制される。したがって、燃料電池セル集合体12の側方部位において、空気通路161b内の発電用空気に上下方向の温度ムラが生じ難くなっている。
また、発電室10内で発電に利用されなかった燃料ガスは、図9に示すように、燃焼室18で燃焼されて排気ガス(燃焼ガス)となり、モジュールケース8内を上昇していく。具体的には、排気ガスは、第3排気通路173と第4排気通路174とに分岐して、改質器120の外側面とモジュールケース8の側板8bとの間、及び、改質器120の貫通孔120bから改質器120と排気ガス誘導部材130との間をそれぞれ通過する。このとき、第4排気通路174を通過する排気ガスは、改質器120の貫通孔120bの上方に配置された凸状段部131aによって幅方向に二分され、排気ガス誘導部材130の下部に留まることなく第3排気通路173に向けて誘導され、排気集中部176において第3排気通路173を流れる排気ガスに合流する。ここで、第2排気通路172内にはプレートフィン175bが設けられているため、第3排気通路173及び第4排気通路174を通過した排気ガスは排気集中部176において滞留する(図8のAの部分)。
その後、排気ガスは、排気集中部176から第2排気通路172bに導入される。そして、第2排気通路172bを通過した排気ガスは、第1排気通路172aを水平方向に流れていき、モジュールケース8の天板8aの中央に形成された排気口111から流出する。
なお、排気ガスが排気集中部176に滞留する際に、空気通路161b内の排気集中部176に対応する部分に設けられたプレートフィン163を介して、発電用空気と排気ガスとの間で熱交換が行われる。さらに、排気ガスが第2排気通路172b及び第1排気通路172aを流れていく際に、第2及び第1排気通路172b、172a内に設けられたプレートフィン175b、175aと、空気通路161a、161b内のプレートフィン175b、175aに対応する部分に設けられたプレートフィン162、163とを介して、発電用空気と排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われる。このようにして、排気ガスの熱により発電用空気が昇温される。
そして、排気口111から流出した排気ガスは、モジュールケース8の外部に設けられた排気管171を通過して蒸発器140の排気通路部140Aに流入し、排気通路部140Aを通過した後、蒸発器140から排気ガス排出管82へ排出される。排気ガスは、蒸発器140の排気通路部140Aを流れる際に、上述したように、蒸発器140の混合部140C内の混合ガス及び蒸発部140B内の水と熱交換を行う。
以上説明したように、第1実施形態によれば、以下の作用効果が奏される。
従来技術で説明したように、燃料電池セルユニットとガスマニホールドとを水平方向に平坦なシール材で封止すると、高温環境下において部材間の熱膨張の差により、シール材に大きなせん断力が作用し、クラックが生じてしまう。これに対して、本実施形態によれば、第1のシール材190は、支持部材180の基部180Aの下面とガスマニホールド66の上面とを接着する平面シール部190Aと、支持部材180の突出部180Bの外周面とガスマニホールド66の挿入孔68の上部68Bの内面とを接着する側面シール部190Bとを有するため、側面シール部190Bに水平方向のせん断力が作用したとしても、クラックが上下方向に進行せず、燃料電池セルユニット16のガス流路と燃料電池セルユニット16の外部空間との間でクラックが貫通することを防止できる。さらに、本実施形態によれば、第1のシール材190がガスマニホールド66よりも線膨張係数が小さいため、側面シール部190Bには圧縮力が作用する。このため、側面シール部190Bをより強固に構成することができ、気密性を確保することができる。
また、本実施形態によれば、第1のシール材190の平面シール部190Aと側面シール部190Bとが連続しているため、燃料電池セルユニット16とガスマニホールド66との間を封止する第1のシール材190の距離を長く確保することができる。さらに、第1のシール材190の平面シール部190Aと側面シール部190Bとが連続しているため、平面シール部190Aに水平方向のせん断応力が生じた場合には、側面シール部190Bには圧縮力が作用することになり、側面シール部190Bをより強固に構成することができ、気密性を確保することができる。
また、本実施形態によれば、第1のシール材190の線膨張係数は、ガスマニホールド66の線膨張係数の0.7〜0.999倍である。このように、第1のシール材190とガスマニホールド66の線膨張係数の差が小さいため、線膨張係数の差による熱応力の発生を最小限に抑えつつ、側面シール部190Bに圧縮応力を作用させることができる。
また、支持部材180とガスマニホールド66の線膨張係数の差により生じる応力は、支持部材180の中央から離間するほど大きくなり、このため、第1のシール材190には外周部にクラックが生じやすい。これに対して、本実施形態によれば、支持部材180の中央に設けられた突出部180Bの周囲に側面シール部190Bが設けられるため、側面シール部190Bに作用する応力が小さくなる。これにより、平面シール部190Aにクラックが生じても、側面シール部190Bにはクラックが発生せず、気密性を確保することができる。
また、本実施形態によれば、第1のシール材190の側面シール部190Bは、ガスマニホールド66の挿入孔68の上部68Bの傾斜面により下方から支持されているため、側面シール部190Bのガスマニホールド66の挿入孔68Aの内面との接触面積が大きくなる。第1のシール材190の線熱膨張係数がガスマニホールド66よりも小さいため、側面シール部190Bには圧縮力が作用するが、この圧縮力が大きくなり、より強固に側面シール部190Bにおいて気密性を確保できる。
また、本実施形態によれば、マニホールド66の挿入孔68Aの周囲に突出部68Dが形成されている。これにより、単に挿入孔68Aを形成した場合に比べて、ガスマニホールド66の支持板68の断面2次モーメントを大きくすることができ、ガスマニホールド66の挿入孔68A近傍の曲げ剛性を大きくすることができる。これにより、ガスマニホールド66の燃料電池セルユニット16の重量による変形を抑止し、それによる第1のシール材190への応力発生を抑えることができる。
また、上述の通り、支持部材180とガスマニホールド66の線膨張係数の差により第1のシール材190に生じる応力は外周部ほど大きくなるが、本実施形態によれば、平面シール部190Aのシール材の厚さは外周部190Cで最も厚くなっているため、第1のシール材190の外周部190Cにおけるクラックの発生を防止できる。
また、本実施形態によれば、支持部材180の角部180Cは面取りされており、面取りされた角部180Cは平面シール部190Aを介してガスマニホールド66の支持板68に接着されているため、側面シール部190Bの外周縁部の厚さを厚くすることができる。
また、本実施形態によれば、内側電極端子86と支持部材180との間を第2のシール材192が封止しており、内側電極端子86と支持部材180の上面とを接着する平面シール部192Aと、内側電極端子86の燃料ガス流路細管98の側面と支持部材180の貫通孔182の傾斜面182Fとを接着する側面シール部192Bと、を備えるため、支持部材180とガスマニホールド66との間と同様に、支持部材180と内側電極端子86との間を強固に封止することができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されない。以下、本発明の第2実施形態による固体酸化物形燃料電池装置について説明する。第2実施形態による固体酸化物形燃料電池装置は、マニホールドの形状が第1実施形態と異なっている。
図10は、本発明の第2実施形態による固体酸化物形燃料電池装置における燃料電池セルユニットとマニホールドとの接続部を拡大して示す鉛直断面図である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図10に示すように、第2実施形態においても、ガスマニホールド266の支持板268には、円形断面の挿入孔268Aが形成されている。ガスマニホールド266の支持板268に形成された挿入孔268Aには、上方から支持部材180の突出部180Bが挿入されており、支持部材180の貫通孔182には、上方から内側電極端子86の燃料ガス流路細管98が挿入されている。
挿入孔268Aは、各燃料電池セルユニット16に対応して設けられている。ガスマニホールド266の挿入孔268Aの縁には、下方に向かって鉛直方向に延びる円筒状の円筒部268Bが形成されており、円筒部268Bの下端には内方に向かって延びる円環状の円環部268Cが形成されている。このように、第2実施形態のガスマニホールド266の縁には、鉛直方向に延びる円筒部268Bと、水平方向に延びる円環部268Cが形成されており、段状になっている。
第2実施形態においても、支持部材180の構成は第1実施形態と同様である。
ガスマニホールド266と、支持部材180の間には第1のシール材290が設けられており、ガスマニホールド266と支持部材180の間の隙間は第1のシール材290により封止されている。第1のシール材290は、例えば、ガラスシールからなる。第1のシール材290は、支持部材180の基部180Aの下面(外面)とガスマニホールド266の支持板268の上面との間を接着する平面シール部290Aと、支持部材180の突出部180Bの側面(外面)とガスマニホールド266の挿入孔268Aの円筒部268Bの内周面との間を接着する側面シール部290Bと、を含む。図10に示すように、平面シール部290Aと側面シール部290Bとは連続している。
平面シール部290Aは、支持部材180の基部180Aの外周面よりも外方まで進出している。また、平面シール部290Aの外周部290Cは、基部180Aの面取りされた下方の角部と接している。平面シール部290Aは、外周部290Cにおいて厚さが最大になっている。
側面シール部290Bは、挿入孔268Aの円環部268Cの上面に接触するまで下方に向かって進出している。そして、側面シール部290Bはこの挿入孔68Aの円環部268Cにより支持されている。
なお、第1のシール材290は、予め、ガスマニホールド266の挿入孔268Aの内周面及び周囲にガラスペーストを取り付けておき、支持部材180を突出部180Bが挿入孔68A内に挿入されるように配置し、支持部材180を押し込み、ガラスペーストを焼成することにより形成することができる。なお、ガラスペーストは、ガスマニホールド266の挿入孔268Aの円環部268Cに当接し、かつ、支持部材180の基部180Aの外周よりも進出した位置まで設けておくことが望ましい。
支持部材180、内側電極端子86及び支持部材180と内側電極端子86の間を封止する第2のシール材192の構成は第1実施形態と同様である。
上記説明した第2実施形態によれば、第1実施形態で得られる作用効果に加えて以下の作用効果が奏される。
本実施形態によれば、マニホールド266の挿入孔268Aの縁が段状に形成されている。これにより、単に挿入孔268Aを形成した場合に比べて、ガスマニホールド266の支持板268の断面2次モーメントを大きくすることができ、ガスマニホールド266の挿入孔268A近傍の曲げ剛性を大きくすることができる。これにより、ガスマニホールド266の燃料電池セルユニット16の重量による変形を抑止し、それによる第1のシール材290への応力発生を抑えることができる。
なお、上記実施形態では、支持部材180を介して内側電極端子86とガスマニホールド66、266が接続された場合について説明したが、これに限らず、内側電極端子86とガスマニホールド66、266とを直接接続してもよい。このような場合であっても、平面シール部と側面シール部とを設け、シール材の線膨張係数をガスマニホールドの線膨張係数よりも小さくすれば、同様の効果が奏される。