次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物形燃料電池装置を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。図1に示すように、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して金属製のモジュールケース8が内蔵されている。この密閉空間であるモジュールケース8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤ガス(以下では適宜「発電用空気」又は「空気」と呼ぶ。)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、8個の燃料電池セルスタック14(図7参照)を備え、この燃料電池セルスタック14は、各々が燃料電池セルを含む、16本の燃料電池セルユニット16(図6参照)から構成されている。この例では、燃料電池セル集合体12は、128本の燃料電池セルユニット16を有する。燃料電池セル集合体12は、複数の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール2のモジュールケース8の発電室10の上方には、燃焼部としての燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の空気とが燃焼し、排気ガス(言い換えると燃焼ガス)を生成するようになっている。さらに、モジュールケース8は断熱材7により覆われており、燃料電池モジュール2内部の熱が、外気へ発散するのを抑制している。また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器120が配置され、残余ガスの燃焼熱によって改質器120を改質反応が可能な温度となるように加熱している。
さらに、ハウジング6内においてモジュールケース8の上方には、蒸発器140が断熱材7内に設けられている。蒸発器140は、供給された水と排気ガスとの間で熱交換を行うことによって、水を蒸発させて水蒸気を生成し、この水蒸気と原燃料ガスとの混合ガス(以下では「燃料ガス」と呼ぶこともある。)をモジュールケース8内の改質器120に供給する。
次に、補機ユニット4は、燃料電池モジュール2からの排気中に含まれる水分を結露させた水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)と、電源喪失時において、燃料流量調整ユニット38から流出する燃料ガスを遮断するバルブ39を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器120に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
なお、本実施形態では、装置の起動時に改質器120内において、部分酸化改質反応(POX)のみが生じるPOX工程から、部分酸化改質反応(POX)と水蒸気改質反応(SR)が混在したオートサーマル改質反応(ATR)が生じるATR工程を経て、水蒸気改質反応のみが生じるSR工程が行われるように構成してもよいし、POX工程を省略してATR工程からSR工程に移行されるように構成してもよいし、POX工程及びATR工程を省略してSR工程のみが行われるように構成してもよい。なお、SR工程のみが行われる構成では、改質用空気流量調整ユニット44は不要である。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図2乃至図4を参照して、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールの構造について説明する。図2は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図3は、図2のIII-III線に沿った断面図であり、図4は、モジュールケース及び空気通路カバーの分解斜視図である。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2は、断熱材7で覆われたモジュールケース8の内部に設けられた燃料電池セル集合体12及び改質器120を有すると共に、モジュールケース8の外部で且つ断熱材7内に設けられた蒸発器140を有する。
まず、モジュールケース8は、図4に示すように、略矩形の天板8a,底板8c,これらの長手方向(図2の左右方向)に延びる辺同士を連結する対向する一対の側板8bからなる筒状体と、この筒状体の長手方向の両端部の2つの対向する開口部を塞ぎ、天板8a及び底板8cの幅方向(図3の左右方向)に延びる辺同士を連結する閉鎖側板8d,8eからなる。
モジュールケース8は、空気通路カバー160によって天板8a及び側板8bが覆われている。空気通路カバー160は、天板160aと、対向する一対の側板160bとを有する。天板160aの略中央部分には、排気管171を貫通させるための開口部167が設けられている。天板160aと天板8aとの間、及び、側板160bと側板8bとの間は、所定の距離だけ離間した状態となっている。これにより、モジュールケース8の外側と断熱材7との間、具体的にはモジュールケース8の天板8a及び側板8bと、空気通路カバー160の天板160a及び側板160bとの間には、酸化剤ガス供給通路としての空気通路161a,161bが形成されている(図3参照)。
モジュールケース8の側板8bの下部には、複数の貫通孔である吹出口8fが設けられている(図4参照)。発電用空気は、空気通路カバー160の天板160aのうち、モジュールケース8の閉鎖側板8e側の略中央部に設けられた発電用空気導入管74から流路方向調整部164を介して空気通路161a内に供給される(図2、図4参照)。そして、発電用空気は、空気通路161a,161bを通って、吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される(図3、図4参照)。
また、空気通路161a,161bの内部には、熱交換促進部材としてのプレートフィン162,163が設けられている(図3参照)。プレートフィン162は、モジュールケース8の天板8aと空気通路カバー160の天板160aの間で長手方向及び幅方向に延びるように水平方向に設けられ、プレートフィン163は、モジュールケース8の側板8bと空気通路カバー160の側板160bとの間であって、且つ、燃料電池セルユニット16よりも上方の位置に長手方向及び鉛直方向に延びるように設けられている。
空気通路161a,161bを流れる発電用空気は、特にプレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の内側のモジュールケース8内(具体的には天板8a,側板8bに沿って設けられた排気通路)を通過する排気ガスとの間で熱交換を行い、加熱されることとなる。このようなことから、空気通路161a,161bにおいてプレートフィン162,163が設けられた部分は、熱交換器(熱交換部)として機能する。なお、プレートフィン162が設けられた部分が主たる熱交換器部分を構成し、プレートフィン163が設けられた部分が従たる熱交換器部分を構成する。
次に、蒸発器140は、モジュールケース8の天板8a上で水平方向に延びるように固定されている。また、蒸発器140とモジュールケース8との間には、これらの隙間を埋めるように断熱材7の一部分7aが配置されている(図2及び図3参照)。
具体的には、蒸発器140は、長手方向(図2の左右方向)の一側端側に、水及び原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい)を供給する燃料供給配管63と、排気ガスを排出するための排気ガス排出管82(図3参照)とが連結され、長手方向の他側端側に、排気管171の上端部が連結されている。排気管171は、空気通路カバー160の天板160aに形成された開口部167を貫通して下方へ延び、モジュールケース8の天板8a上に形成された排気口111に連結されている。排気口111は、モジュールケース8内の燃焼室18で生成された排気ガスをモジュールケース8の外へ排出する開口部であり、モジュールケース8の上面視略矩形の天板8aのほぼ中央部に形成されている。
また、蒸発器140は、図2及び図3に示すように、上面視で略矩形の蒸発器ケース141を有している。この蒸発器ケース141は、2つの高さの低い有底矩形筒状の上側ケース142と下側ケース143とを、これらの間に中間板144を挟んだ状態で接合して形成されている。
したがって、蒸発器ケース141は、上下方向に二層構造となっており、下層部分には、排気管171から供給された排気ガスが通過する排気通路部140Aが形成され、上層部分には、燃料供給配管63から供給された水を蒸発させて水蒸気を生成する蒸発部140Bと、蒸発部140Bで生成された水蒸気と燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとを混合させる混合部140Cが設けられている。
蒸発部140B及び混合部140Cは、複数の連通孔(スリット)が設けられた仕切り板により蒸発器140を仕切った空間にて形成されている。また、蒸発部140B内には、アルミナボール(図示せず)が充填されている。
また、排気通路部140Aは、同様に複数の連通孔を有する2つの仕切り板により排気ガスの上流側から下流側にかけて3つの空間に仕切られている。そして、2番目の空間に燃焼触媒(図示せず)が充填されている。すなわち、本実施形態の蒸発器140は、燃焼触媒器を含んでいる。
このような蒸発器140では、蒸発部140B内の水と排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により蒸発部140B内の水が蒸発して、水蒸気が生成されることとなる。また、混合部140C内の混合ガスと排気通路部140Aを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により混合ガスが昇温されることとなる。
更に、図2に示すように、混合部140Cには、改質器120に混合ガスを供給するための混合ガス供給管112が接続されている。この混合ガス供給管112は、排気管171の内部を通過するように配置されており、一端が中間板144に形成された開口144aに連結され、他端が改質器120の天面に形成された混合ガス供給口120aに連結されている。混合ガス供給管112は、排気通路部140A内,排気管171内を通過してモジュールケース8内まで鉛直下方に延び、そこで略90°屈曲されて天板8aに沿って水平方向に延びた後、下方へ略90°屈曲されて改質器120に連結されている。
次に、改質器120は、燃焼室18の上方でモジュールケース8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置され、モジュールケース8の天板8aとの間に排気ガス誘導部材130を介して所定距離隔てられて状態で、天板8aに対して固定されている。改質器120は、上面視で外形略矩形であるが、中央部に貫通孔120bが形成された環状構造体であり、上側ケース121と下側ケース122とが接合された筐体を有している。この貫通孔120bは、天板8aに形成された排気口111と上面視で重なるように位置し、好ましくは、貫通孔120bの中央位置に排気口111が形成される。
改質器120の長手方向の一端側(モジュールケース8の閉鎖側板8e側)では、上側ケース121に設けられた混合ガス供給口120aに混合ガス供給管112が連結されており、他端側(閉鎖側板8d側)では、燃料ガス供給管64が下側ケース122に、脱硫器36まで延びる水添脱硫器用水素取出管65が上側ケース121にそれぞれ連結されている。したがって、改質器120は、混合ガス供給管112から混合ガス(つまり水蒸気が混合された原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい))を受け取り、内部で混合ガスを改質し、燃料ガス供給管64及び水添脱硫器用水素取出管65から改質後のガス(即ち、燃料ガス)を排出するように構成されている。
改質器120は、その内部空間が2つの仕切り板123a,123bによって3つの空間に仕切られることにより、改質器120内に、混合ガス供給管112からの混合ガスを受入れる混合ガス受入部120Aと、混合ガスを改質するための改質触媒(図示せず)が充填された改質部120Bと、改質部120Bを通過したガスを排出するガス排出部120Cと、が形成されている(図2参照)。改質部120Bは、仕切り板123a,123bに挟まれた空間であり、この空間に改質触媒が保持されている。混合ガス及び改質後の燃料ガスは、仕切り板123a,123bに設けられた複数の連通孔(スリット)を通って移動可能となっている。また、改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。
混合ガス受入部120Aには、蒸発器140から混合ガス供給管112を介して供給された混合ガスが混合ガス供給口120aを通して噴出される。この混合ガスは、混合ガス受入部120A内で拡張されて噴出速度が低下し、仕切り板123aを通過して改質部120Bに供給される。
改質部120Bでは、低速で移動する混合ガスが改質触媒により燃料ガスに改質され、この燃料ガスが仕切り板123bを通過してガス排出部120Cに供給される。
ガス排出部120Cでは、燃料ガスが燃料ガス供給管64、及び、水添脱硫器用水素取出管65へ排出される。
燃料ガス供給通路としての燃料ガス供給管64は、モジュールケース8内を閉鎖側板8dに沿って下方へ延び、底板8c付近で略90°屈曲されて水平方向に延びて、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内へ入り、更にマニホールド66内で逆側の閉鎖側板8e付近まで水平方向に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、燃料ガスがマニホールド66内に供給される。このマニホールド66の上方には、燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。また、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
排気ガス誘導部材130は、改質器120と天板8aとの間でモジュールケース8の長手方向に沿って水平方向に延びるように配置されている。排気ガス誘導部材130は、上下方向に所定距離だけ離間された下部誘導板131及び上部誘導板132と、これらの長手方向の両端辺が取り付けられる連結板133,134とを備えている(図2,図3参照)。上部誘導板132は、幅方向の両端部が下方に向けて折り曲げられ、下部誘導板131に連結されている。連結板133,134は、上端部が天板8aに連結され、下端部が改質器120に連結されており、これにより、排気ガス誘導部材130及び改質器120を天板8aに固定している。
下部誘導板131は、幅方向(図3の左右方向)の中央部が下方に向けて突出する凸状段部131aが形成されている。一方、上部誘導板132は、下部誘導板131と同様に、幅方向の中央部が下方に向けて凹状となるように凹部132aが形成されている。凸状段部131aと凹部132aは、上下方向で並行して長手方向に延びている。混合ガス供給管112は、モジュールケース8内でこの凹部132a内を水平方向に延びた後、閉鎖側板8e付近で下方に向けて屈曲し、上部誘導板132及び下部誘導板131を貫通して、改質器120に連結されている。
排気ガス誘導部材130は、上部誘導板132、下部誘導板131、連結板133,134によって、断熱層として機能する内部空間であるガス溜135が形成されている。このガス溜135は、燃焼室18と流体連通している。すなわち、上部誘導板132、下部誘導板131、連結板133,134は、所定の隙間を形成するように連結されており、気密的には連結されていない。ガス溜135には、運転中に燃焼室18から排気ガスが流入したり、停止時に外部から空気が流入したりすることが可能となっているが、総じてガス溜135の内外間のガスの移動は緩やかである。
上部誘導板132は、天板8aと所定の上下方向距離を隔てて配置されており、上部誘導板132と天板8aとの間には、長手方向及び幅方向に沿って水平方向に延びる排気通路172が形成されている。この排気通路172は、モジュールケース8の天板8aを挟んで空気通路161aと並設されており、排気通路172内には、空気通路161a,161b内のプレートフィン162,163と同様なプレートフィン175が配置されている。このプレートフィン175は、プレートフィン162と上面視で略同一箇所に設けられており、天板8aを挟んで上下方向に対向している。空気通路161a及び排気通路172のうち、プレートフィン162,175が設けられた部分において、空気通路161aを流れる発電用空気と排気通路172を流れる排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われて、排気ガスの熱により発電用空気が昇温されることとなる。
また、改質器120は、モジュールケース8の側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、改質器120と側板8bとの間には、排気ガスを下方から上方へ通過させる排気通路173が形成されている。また、排気ガス誘導部材130も側板8bと所定の水平方向距離を隔てて配置されており、排気通路173は、排気ガス誘導部材130と側板8bとの間の通路を含んで天板8aまで延びている。排気通路173は、天板8aと側板8bとの角部に位置する排気ガス導入口172aで排気通路172と連通している。この排気ガス導入口172aは、モジュールケース8内で長手方向に延びている。
さらに、下部誘導板131は、改質器120の上側ケース121の天面から所定の上下方向距離を隔てて配置されており、下部誘導板131と上側ケース121との間、及び、改質器120の貫通孔120bは、貫通孔120bを下方から上方へ向けて通過した排気ガスを通過させる排気通路174を形成している。この排気通路174は、改質器120の上方で排気通路173と合流する。
次に、図5を参照して、燃料電池セルユニット16について説明する。図5は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図5に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の両端部にそれぞれ接続されたキャップである内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路細管98が形成されている。
この燃料ガス流路細管98は、内側電極端子86の中心から燃料電池セル84の軸線方向に延びるように設けられた細長い細管である。このため、マニホールド66(図2参照)から、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃料ガス流路88に流入する燃料ガスの流れには、所定の圧力損失が発生する。従って、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流入側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。また、燃料ガス流路88から、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃焼室18(図2参照)に流出する燃料ガスの流れにも所定の圧力損失が発生する。従って、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流出側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
次に、図6を参照して、燃料電池セルスタック14について説明する。図6は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。
図6に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16は、8本ずつ2列に並べて配置されている。
各燃料電池セルユニット16は、下端側がセラミック製の長方形の下支持板68(図2参照)により支持され、上端側は、両端部の燃料電池セルユニット16が4本ずつ、概ね正方形の2枚の上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴がそれぞれ形成されている。
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極層92の外周面と電気的に接続される空気極用接続部102bとを接続するように一体的に形成されている。また、各燃料電池セルユニット16の外側電極層92(空気極)の外表面全体には、空気極側の電極として、銀製の薄膜が形成されている。この薄膜の表面に空気極用接続部102bが接触することにより、集電体102は空気極全体と電気的に接続される。
さらに、燃料電池セルスタック14の端(図6では左端の奥側)に位置する燃料電池セルユニット16の空気極には、2つの外部端子104がそれぞれ接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の内側電極端子86に接続され、上述したように、128本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
次に、図7及び図8を参照して、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュール内のガスの流れについて説明する。図7は、図2と同様の、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図8は、図3と同様の、図2のIII-III線に沿った断面図である。図7及び図8は、それぞれ、図2及び図3中にガスの流れを示す矢印を新たに付加した図であり、説明の便宜上、断熱材7を取り除いた状態の図を示している。図中、実線矢印は燃料ガスの流れ、破線矢印は発電用空気の流れ、一点鎖線矢印は排気ガスの流れを示す。
図7に示すように、水及び原燃料ガス(燃料ガス)は、蒸発器140の長手方向の一端側に連結された燃料供給配管63から蒸発器140の上層に設けられた蒸発部140B内に供給される。蒸発部140Bに供給された水は、蒸発器140の下層に設けられた排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱され水蒸気となる。この水蒸気と、燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとが、蒸発部140B内を下流方向に流れて行き、混合部140C内で混合される。混合部140C内の混合ガスは、下層の排気通路部140Aを流れる排気ガスにより加熱される。
混合部140C内で形成された混合ガス(燃料ガス)は、混合ガス供給管112を通って、モジュールケース8内の改質器120に供給される。混合ガス供給管112は、排気通路部140A,排気管171,及び排気通路172を順に通過しているため、これらの通路を流れる排気ガスにより、混合ガス供給管112内の混合ガスは更に加熱される。
混合ガスは、改質器120内の混合ガス受入部120A内に流入し、ここから仕切り板123aを通過して改質部120Bに流入する。混合ガスは、改質部120Bにおいて改質されて燃料ガスとなる。こうして生成された燃料ガスは、仕切り板123bを通過して、ガス排出部120Cに流入する。
更に、燃料ガスは、ガス排出部120Cから燃料ガス供給管64と水添脱硫器用水素取出管65とに分岐する。そして、燃料ガス供給管64に流入した燃料ガスは、燃料ガス供給管64の水平部64aに設けられた燃料供給孔64bからマニホールド66内に供給され、マニホールド66から各燃料電池セルユニット16内に供給される。
また、図7及び図8に示すように、発電用空気は、発電用空気導入管74から空気通路161aに供給される。発電用空気は、空気通路161a,161b内において、プレートフィン162,163を通過する際に、これらプレートフィン162,163の下部のモジュールケース8内に形成された排気通路172,173を通過する排気ガスとの間で効率的な熱交換を行い、加熱されることとなる。特に、排気通路172内には、空気通路161aのプレートフィン162に対応してプレートフィン175が設けられているので、発電用空気は、プレートフィン162とプレートフィン175とを介して、排気ガスとより効率的な熱交換を行う。この後、発電用空気は、モジュールケース8の側板8bの下部に設けられた複数の吹出口8fから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される。なお、本実施形態では、燃料電池セル集合体12の側方部位には排気通路が形成されていないため、この部位において発電用空気と排気ガスとの間の熱交換は抑制される。したがって、燃料電池セル集合体12の側方部位において、空気通路161b内の発電用空気に上下方向の温度勾配が生じ難くなっている。
また、発電室10内で発電に利用されなかった燃料ガスは、図8に示すように、燃焼室18で燃焼されて排気ガス(燃焼ガス)となり、モジュールケース8内を上昇していく。具体的には、排気ガスは、排気通路173と排気通路174とに分岐して、改質器120の外側面とモジュールケース8の側板8bとの間、及び、改質器120の貫通孔120bから改質器120と排気ガス誘導部材130との間をそれぞれ通過する。このとき、排気通路174を通過する排気ガスは、改質器120の貫通孔120bの上方に配置された凸状段部131aによって幅方向に二分され、排気ガス誘導部材130の下部に留まることなく排気通路173に向けて誘導され、排気通路173を流れる排気ガスに素早く合流される。
その後、排気ガスは、排気ガス導入口172aから排気通路172に流入する。排気通路172内では、排気ガスは、排気通路172を水平方向に流れていき、モジュールケース8の天板8aの中央に形成された排気口111から流出する。
なお、排気ガスが排気通路173を上方へ流れていく際に、空気通路161b内に設けられたプレートフィン163を介して、発電用空気と排気ガスとの間で熱交換が行われる。また、排気ガスが排気通路172を水平方向に流れていく際に、排気通路172内に設けられたプレートフィン175と、このプレートフィン175に対応して空気通路161a内に設けられたプレートフィン162とを介して、発電用空気と排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われる。このようにして、排気ガスの熱により発電用空気が昇温される。
そして、排気口111から流出した排気ガスは、モジュールケース8の外部に設けられた排気管171を通過して蒸発器140の排気通路部140Aに流入し、排気通路部140Aを通過した後、蒸発器140から排気ガス排出管82へ排出される。排気ガスは、蒸発器140の排気通路部140Aを流れる際に、上述したように、蒸発器140の混合部140C内の混合ガス及び蒸発部140B内の水と熱交換を行う。
次に、図9〜図13を参照して、本実施形態の改質器の作用について説明する。図9は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の燃料電池モジュールの上部の部分断面図であり、図10は、改質器の周囲を流れる排気ガスの説明図であり、図11及び図12は、それぞれ改質器及び排気ガス誘導部材の側面断面斜視図及び正面断面斜視図であり、図13は、改質器の貫通孔を流れる排気ガスの説明図である。
図9に示すように、発電室10内に供給された発電用空気は、上方へ向けて移動し(図9の破線矢印参照)、燃焼室18でオフガスを燃焼させて排気ガスとなる。改質器120に貫通孔120bが形成されていない場合には、排気ガスは、燃焼室18から、排気通路173(モジュールケース8の側板8bの内面に沿って延びる)のみを通って、モジュールケース8内の上部へ向けて移動することになる。この場合、発電用空気の流路分布は、燃料電池セル集合体12に対して、上面視幅方向の両端部付近に偏ったものとなり、中央部分の燃料電池セルユニット16への空気供給が十分でなくなり、この部分の燃料電池セルユニット16を劣化させてしまうおそれがあった。
そこで、本実施形態では、改質器120に貫通孔120bを設けることにより、排気通路174(改質器120の貫通孔120bから改質器120と排気ガス誘導部材130との間に延びる)を形成している。これにより、本実施形態では、排気ガスは、燃焼室18から、排気通路174と排気通路173とに分岐して、モジュールケース8内の上部へ向けて移動することができる(図10参照)。
また、本実施形態では、特に、排気通路174と排気通路173を流れる排気ガスの流量比が所定値になるように、特定的には、排気通路173よりも排気通路174を流れる排気ガスの流量が大きくなるように、排気通路173の通路断面積,改質器120の上側での排気通路174の通路断面積,貫通孔120bの開口面積や角部R形状,後述する連結凹部等が寸法設計されている。これにより、改質器120と燃料電池セル集合体12との距離が接近していたとしても、排気ガスを確実に排気通路174へ流すことができる。このため、本実施形態では、このような排気ガスの流れに伴い、発電用空気の流れは、上面視で燃料電池セル集合体12の幅方向の両端部付近に偏ることなく、中央部分へも流れるため、発電室10内での発電用空気の空気供給量のムラが抑制され、発電用空気の流れが均等化され易くなる。
また、本実施形態では、改質器120は、その底面に衝突する排気ガスによって加熱された後、排気通路173を通過する排気ガスにより幅方向の側方から加熱されると共に、貫通孔120bを通過する排気ガスにより中央部からも加熱される。このように、本実施形態では、排気ガスによる改質器120の加熱を効率良く行うことができる。
また、本実施形態では、上面視で改質器120の貫通孔120bとモジュールケース8の排気口111とが少なくとも部分的に重なり合うように形成されている。より好適には、上面視で排気口111は、貫通孔120bの点対称な位置である、貫通孔120bの長手方向及び幅方向の中央部に配置されている。また、上面視で排気口111及び貫通孔120bは、燃料電池セル集合体12の中央部分に配置されている。
仮に、排気口111が、上面視で貫通孔120bに対して幅方向にずれて配置されている場合には、貫通孔120bから排気口111への排気ガスの流れが、少なくとも幅方向において不均等又は非対称になる。そして、このような排気ガスの流れに伴って、発電用空気の流れも幅方向において不均等になる。しかしながら、本実施形態では、排気口111と貫通孔120bが上面視でモジュールケース8の中央部分に配置され、且つ、互いに重なり合う構成となっているため、貫通孔120bから排気口111への排気ガスの流れが、少なくとも幅方向において均等になり、発電用空気の流れも幅方向において均等になる。なお、改質器120も上面視でモジュールケース8の中央位置に配置されている。これにより、発電用空気の流路分布の偏りが抑制されて、中央部分及び両端部付近を含んで略均等に燃料電池セルユニット16へ発電用空気を十分に供給することができるため、燃料電池セルユニット16の劣化を抑制することが可能となる。
また、本実施形態では、改質器120の幅方向において、排気ガスの流量が対称(線対称)となるように、即ち、貫通孔120bを挟んで両側の排気通路173の流量が均等で流路分布の偏りがなくなるように、貫通孔120bは、上面視で改質器120を少なくとも幅方向に略等分に区分けするように線対称に形成されている。なお、本実施形態では、貫通孔120bは、上面視で改質器120を長手方向にも略等分に区分けするように線対称に形成されている。
また、本実施形態では、図11及び図12に示されているように、改質器120の貫通孔120bは、上面視略長円形であり、長手方向に延びるように形成されている。また、改質器120のハウジングは、上側ケース121及び下側ケース122からなる。上側ケース121及び下側ケース122の各々には、幅方向の両端部から貫通孔120bを連結するように内方へ窪んだ連結凹部121a,122aが形成されている。本実施形態では、連結凹部121a,122aは、それぞれ長手方向に離間して2つずつ形成されている。
連結凹部122aは、燃焼室18から上昇してきた排気ガスが改質器120の下側ケース122の底面に衝突すると、この排気ガスを幅方向の両側、即ち、貫通孔120b(排気通路174)及びモジュールケース8の側板8bに沿った排気通路173に誘導する。これにより、本実施形態では、排気通路173に排気ガスの流れが偏ることなく、貫通孔120bに排気ガスを積極的に供給することが可能となる。
また、連結凹部121a,122aは、改質器120の内部空間へ向けて突出している。具体的には、連結凹部121a,122aは、改質器120内の改質部120Bの流路を狭めるように内部空間へ向けて突出している。このため、混合ガスは、連結凹部121a,122aによる突出部分によって流路を変更しながら改質部120Bを流れるので、混合ガスと改質触媒との接触機会及び接触時間が増える。これにより、本実施形態では、混合ガスの改質効率を向上させることができる。さらに、改質触媒は改質器120の周囲を流れる排気ガスにより所定温度まで昇温されるが、混合ガスと改質触媒との接触機会・接触時間が増えることにより、昇温した改質触媒によって混合ガスを効率良く加熱することができる。
また、本実施形態では、上側ケース121及び下側ケース122は、同一の原ケース部材から形成されている。即ち、原ケース部材は、金属材料を所定の型を用いて成形(例えば、絞り加工)したものである。そして、同一の原ケース部材を加工することにより、上側ケース121と下側ケース122がそれぞれ形成される。このため、低コスト化と組み立て性の向上を両立することができる。また、改質器120のケースを1パーツ構成とすると、絞り加工では嵩高のケースを形成できないが、本実施形態では、改質器120のケースを上側ケース121及び下側ケース122による2パーツ構成としているため、嵩高なケースを形成することができる。このため、容積を同一とした場合には、より底面積の小さな小型の改質器とすることができる。
上側ケース121と下側ケース122は、それぞれ外周側のフランジ部121b,122bと、貫通孔120bを形成する内周側のフランジ部121c,122cを有しており、これらフランジ部を重ね合せた状態で溶接固定されている。外周側のフランジ部121b,122bは、同一の幅を有しており、ケースの側方から容易に溶接作業を行うことが可能である。これに対して、内周側のフランジ部121c,122cが同一の幅を有していた場合には、これらフランジ部を側方から溶接作業を行うことは困難であり、組み立て性が悪い。このため、本実施形態では、内周側のフランジ部121cは、フランジ部122cよりも幅が狭くなるように原ケース部材から加工されている(図12参照)。このため、フランジ部121c,122cは、これらフランジ部の段差を利用して上側から溶接作業を容易に行うことが可能となり、組み立て性を向上させることができる。
また、上側ケース121及び下側ケース122は、その内側面の角部(貫通孔120bの角部を含む)は、所定の曲率半径を有するR形状となるように湾曲形状とされている(図11及び図10の破線部A参照)。曲率半径は、1.0mm〜30mmが好ましい。このため、本実施形態では、ガスが改質器120の内部を通過する際に、角部にガスが滞留することが防止されるので、容器内にデッドスペースがなくなり改質触媒に対して均一にガスを流通させ易くなる。
また、貫通孔120bの周面と下側ケース122の下面との接続部分又は角部は、貫通孔120bの周縁(連結凹部122aの部分も含む)にわたって、所定の曲率半径となるようにR形状に形成されている(図12の破線部A参照)。即ち、図13に示されているように、改質器120のケース断面は、改質器120の底面から貫通孔120bの周面(側面)にかけて、外側に向けて凸状となるR形状となっている。
貫通孔120bの周面と下側ケース122の底面との角部が所定の曲率半径の断面円弧状に形成されていることにより、下側ケース122に衝突した排気ガスは貫通孔120bに向けて誘導され易くなる。そして、このような排気ガスの流れに引っ張られて、発電用空気も貫通孔120bに向けて誘導される。しかしながら、曲率半径が大きくなり過ぎると、貫通孔120bへ誘導される発電用空気が多くなり過ぎて、改質器120の外周側を通過する発電用空気が少なくなり過ぎ、発電室10内での発電用空気の流路分布が不均等になってしまう。
このため、本実施形態では、排気通路173と排気通路174での発電用空気の流量比が適宜な値になるように、角部の曲率半径が1.0mm〜30mmに設定されており、これにより、中央部分及び周縁部分に配置された燃料電池セルユニット16にそれぞれ十分な発電用空気を行き渡らせることができる。
次に、図9を参照して、本実施形態の排気ガス誘導部材の作用について説明する。
本実施形態では、蒸発器140をモジュールケース8の外部に配置しており、この配置により、モジュールケース8内で水の蒸発熱による局所的な温度低下(排気ガスの温度低下を含む)を防止し、排気ガスと発電用空気との熱交換をより効率的に行うように構成されている。したがって、本実施形態では、燃料電池セルユニット16の側方部分で熱交換を行うことを回避して、モジュールケース8の天板8a付近の限定された部位のみで実質的な熱交換を行うことを可能としている。
このため、本実施形態では、天板8aを挟んでその上下に空気通路161a,排気通路172が形成され、この部分で実質的な熱交換が行われるように構成されている。しかしながら、装置の小型化を図る場合には、天板8aの面積も小さくなるため、十分な熱交換を行うための面積が確保できなくなるおそれがある。そこで、本実施形態では、排気通路172の入口と出口における排気ガスの温度差を可能な限り大きく維持することにより、高い熱交換効率を達成するように構成している。
このため、本実施形態では、排気ガス誘導部材130を採用している。排気ガス誘導部材130は、貫通孔120bを通過して上昇してきた排気ガスを、貫通孔120bと向かい合うように下方に向けて突出する凸状段部131aに衝突させ、幅方向に方向付けて、速やかに排気ガス導入口172aに誘導する。これにより、排気ガスは、排気ガス誘導部材130の底面付近に滞留することなく、素早く排気ガス導入口172aに向けて誘導される。
排気ガス誘導部材130の上部には熱交換部として機能する排気通路172が形成されているため、排気ガス誘導部材130の上部の排気ガスは下部の排気ガスよりも低温である。したがって、排気通路174内で排気ガスが排気ガス誘導部材130の底面付近に滞留すると、排気ガス誘導部材130を介して排気通路172内の排気ガスとの間で熱交換が生じて、排気通路174内の排気ガスの温度が低下するおそれがある。また、排気通路174内の排気ガスは、改質器120の上面や排気ガス誘導部材130の下面を通して熱を奪われるおそれがある。しかしながら、本実施形態では、排気ガス誘導部材130の底面に凸状段部131aを設けたことにより、改質器120の貫通孔120bを通過して上昇してきた高温の排気ガスを、排気ガス誘導部材130の底面付近に滞留させることなく、速やかに側方に誘導することができるので、高い温度を維持したまま排気ガス導入口172aに到達させることが可能となる。
また、排気通路172では、幅方向の両端部(排気通路172の入口である排気ガス導入口172a)から中央部(特に、排気通路172の出口である排気口111)に向けて排気ガスが流れる際に、発電用空気との熱交換が行われるため、排気ガス誘導部材130の凹部132a付近(図9の破線部A参照)での排気ガスの温度が最も低くなる。特に、凹部132aの長手方向の中央部分に配置された排気口111付近の温度が最も低くなる。一方、排気通路174では、改質器120の貫通孔120bの上方、即ち、排気ガス誘導部材130の凸状段部131a付近(図9の破線部B参照)の温度が最も高くなる。
最も温度が低い破線部Aの領域と最も温度が高い破線部Bの領域(図9参照)とは、排気ガス誘導部材130を介して上下に位置するため、直線的な離間距離は小さい。このため、これらの領域間で熱交換が行われてしまうと、排気ガスの入口温度が低下するおそれがある。そこで、本実施形態では、排気ガス誘導部材130のケース部材内にガス溜135(ガス室)を形成し、このガス溜135を断熱材として機能させている。これにより、本実施形態では、排気ガス誘導部材130の上下の空間(即ち、排気通路172と排気通路174)との間、特に図9の破線部A及びBの領域間の熱交換が遮断されるため、改質器120の貫通孔120bを通過して上昇してきた高温の排気ガスの温度低下が防止され、高温状態に維持したまま排気ガス導入口172aへ流出させて、排気ガスの入口温度を高温に維持することができる。
また、排気ガス誘導部材130が断熱材として機能するため、排気通路172内の排気ガスの熱が排気ガス誘導部材130によって奪われることが抑制され、排気通路172内の排気ガスと空気通路161a内の発電用空気との間の熱交換を促進させることができる。
さらに、排気通路172において、排気ガス誘導部材130の上部誘導板132が熱反射板として機能するため、上部誘導板132からの輻射熱を排気ガス及び空気に与えることができる。これにより、本実施形態では、熱交換部でのより高い熱交換効率を達成することができる。
また、排気ガス誘導部材130は、伝熱性を有する部材(例えば、金属材料等)で形成されており、それ自体が熱伝導させる。したがって、高温の排気ガスが排気ガス誘導部材130の凸状段部131aに衝突することにより凸状段部131aが加熱されると、凸状段部131aから排気ガス誘導部材130の他の部位への熱伝導を完全に遮断することはできない。このため、排気ガス誘導部材130の上面への熱伝導も生じ得る。そうすると、排気ガス誘導部材130の上面において、熱交換部を構成する排気通路172の上流側と下流側の温度差が縮小され、熱交換効率の向上に不利となる。
そこで、本実施形態では、排気ガス誘導部材130の上面のうち排気ガスの温度が最も低くなる排気通路172の下流側の部位(即ち、幅方向の中央部分)に凹部132aを形成することにより、排気通路172内で排気ガスの本流部分が通過する部分(凹部132aが形成された部位以外の通路高さ位置であり、図9ではプレートフィン175が位置する高さ位置)と排気ガス誘導部材130の凹部132aの底面との間の距離を大きくしている。これにより、排気通路172の下流側の部位において、排気ガスと排気ガス誘導部材130との間で熱交換が起き難くなり、凸状段部131aから凹部132aへの熱伝導が抑制される。即ち、凹部132aが熱伝導により一旦昇温した後は、凹部132a付近で排気ガスとの熱交換が起き難いため、凹部132aの温度は低下し難くなる。これにより、本実施形態では、熱交換部でのより高い熱交換効率を達成することができる。
また、混合ガス供給管112は、排気口111からモジュールケース8内を通って、改質器120へ配管されている。このため、混合ガス供給管112内の混合ガスをモジュールケース8内で予熱することができるが、この予熱により排気ガスの熱が奪われるため、熱交換効率の向上にとって不利となる。そこで、本実施形態では、排気ガスの温度が最も低くなっている排気通路172の下流側にある排気ガス誘導部材130の凹部132a内に混合ガス供給管112を配置することにより、熱交換部での熱交換前の高温の排気ガスではなく、熱交換後の低温の排気ガスによって混合ガス供給管112を昇温させるように構成されている。これにより、排気ガスの熱が混合ガス供給管112によって過剰に奪われることが抑制され、混合ガスを予熱する効率(熱交換効率)を低減することができる。
次に、図14〜図19を参照して、本実施形態の熱交換器の作用について説明する。図14は、本発明の一実施形態による固体酸化物形燃料電池装置の熱交換部の横断面図であり、図15は、モジュールケースの天板と排気管の接続部分の説明図であり、図16は、モジュールケースの天板上の発電用空気供給通路の説明図であり、図17は、モジュールケースの天板下の排気通路の説明図であり、図18は、プレートフィンの斜視図であり、図19は、空気通路カバーの側板とモジュールケースの側板との間に配置されたプレートフィンの説明図である。
図14に示すように、空気通路カバー160は、モジュールケース8に対して、長手方向の一端側(図14の右側)にやや偏った位置に取り付けられている。具体的には、モジュールケース8の長手方向の他端側では、水添脱硫器用水素取出管65が天板8aを貫通して上方に延びているが、空気通路カバー160は、水添脱硫器用水素取出管65を避けてモジュールケース8の長手方向の一端側にずらして配置されている。これにより、空気通路カバー160には、水添脱硫器用水素取出管65を貫通させるための貫通孔を設けることが不要になる。また、空気通路カバー160に貫通孔を設けた場合には、水添脱硫器用水素取出管65を貫通孔において溶接等により気密的に固定する必要があるが、このような複雑な加工工程も不要となる。
また、図14に示すように、空気通路カバー160の天板160aの一端側の端部中央部分には、開口部165が形成されており、この開口部165を覆うように流路方向調整部164が固定されている。発電用空気導入管74を流れてきた発電用空気は、流路方向調整部164を介して開口部165を通って空気通路161a内へ供給される。発電用空気導入管74は、少なくともその供給側端部が、空気通路カバー160の天板160aの長手方向に沿って水平に延びている(図4参照)。なお、本実施形態では、発電用空気導入管74の供給側端部が天板160a又は天板8aと平行に延びているが、先端側が下がるように角度付けされていてもよい。
流路方向調整部164は、発電用空気導入管74を連結するための略半円形状の取付部164aと、上方に突出するように形成された凸状流路部164bとを有する流路部材であり、天板160aの開口部165を塞ぐように取り付けられている。凸状流路部164bは、取付部164aから発電用空気の進行方向に沿って徐々に略半円形状の断面が相似的に縮小するカバー部材であり、内部に空気流路を形成している。したがって、内部空気流路は、先端側ほど上面が低くなり且つ幅も狭くなる。また、凸状流路部164bの下部は、開口部165を介して空気通路161aと連通している。
天板160aの下に形成された空気通路161aは、幅方向寸法及び長手方向寸法は大きいが、通路の高さは低くなるように形成されている。このため、モジュールケース8の天板8aと空気通路カバー160の天板160aとの間の距離(通路の高さ)は、発電用空気導入管74の径寸法よりも小さいので、発電用空気導入管74を空気通路161aの高さ部分で空気通路カバー160に連結することは困難であり、仮に連結することができたとしても圧力損失が大きくなる。
また、発電用空気導入管74を上下方向に延びるように配置し、上方から開口部165を通して空気通路161a内に発電用空気を供給した場合には、発電用空気が空気通路161aの下面に衝突し、側方の通路空間に向けて分散し難くなる。このため、発電用空気を空気通路161aの全域にムラなく供給することが困難となり、局所的に熱交換効率が低下する部位が生じるため、全体として熱交換効率が低下してしまう。
そこで、本実施形態では、発電用空気導入管74の供給側端部を、流路方向調整部164を介して空気通路カバー160の天板160aに連結している。このように構成することにより、流路方向調整部164を別部材として空気通路カバー160に組み付けることが可能となると共に、発電用空気導入管74を空気通路カバー160に連結する組み付け性が向上される。また、流路方向調整部164を空気通路カバー160に予め組み付けておき、その後、空気通路カバー160をモジュールケース8に組み付けることが可能である。
しかしながら、この構成では、発電用空気導入管74が空気通路161aの上方にずれて位置することになり、発電用空気導入管74と空気通路161a内の流路方向とは長手方向成分において略平行であるが、上下方向に離間することになる。このため、流路方向調整部164は、発電用空気導入管74の供給側端部から離れるに従って、内部流路高さが低くなるように形成されている。これにより、凸状流路部164bは、発電用空気導入管74から供給される発電用空気の流路方向を徐々に下方に向けて変更し、空気通路161aの流路方向に対して緩やかな角度に角度付けて空気通路161aへ発電用空気を送り出すことができる。
さらに、凸状流路部164bは、発電用空気導入管74の供給側端部から離れるに従って、内部流路高さが低くなることに加えて、内部流路幅が狭くなるように形成されている(図4参照)。したがって、凸状流路部164bは、進行方向に対して流路断面積が徐々に小さくなる。このため、発電用空気は、流路方向調整部164内で大きな抵抗を受けることなく、徐々に増速される。これにより、空気通路カバー160の長手方向の一端側から空気通路161aに供給された発電用空気は、空気通路カバー160の長手方向の他端側まで到達可能であり、空気通路161aの全域に発電用空気をムラなく供給することができる。
また、流路方向調整部164を用いない場合には、発電用空気導入管74から流路高さの低い空気通路161aへの流入面積が小さくなるため、上述のように、圧力損失が大きくなってしまうが、流路方向調整部164を用いることにより、大きな流入面積を確保することができる。このため、本実施形態では、圧力損失を小さくして、空気通路161aにおいて、空気通路カバー160の長手方向の他端側まで発電用空気をスムーズに供給することができる。
また、空気通路161a内には、排気管171の両側にモジュールケース8の長手方向に沿って2つの空気分配部材166が略平行に配置されている(図15、図16参照)。プレートフィン162は、空気分配部材166に対して、空気通路161aの幅方向外側に配置されており、したがって、2つの空気分配部材166の間には、プレートフィン162のようなガスが移動する際の抵抗となる部材(排気管171を除く)が存在しない空間が形成される。
空気分配部材166は、空気通路カバー160の天板160aの長手方向の略全体の長さ範囲にわたって空気通路161aを区画するように延びる長尺部材である。空気分配部材166は、長手方向に離間して所定間隔で形成された多数の貫通孔を有し、この貫通孔により空気通路161aを幅方向に連通している(図14参照)。また、空気分配部材166は、天板8aと天板160aとを連結している(図15参照)。
図16に示すように、流路方向調整部164を介して供給された発電用空気は、空気通路カバー160の一端側(図16の右側)から他端側に向けて2つの空気分配部材166の間を流れる。2つの空気分配部材166の間は、プレートフィンのような物理的な抵抗がないため、流路方向調整部164によって流速を速められて空気通路161a内に供給された発電用空気は、空気通路カバー160の他端側まで到達可能である。そして、発電用空気は、空気分配部材166の貫通孔を通って幅方向へ移動する。
空気分配部材166の貫通孔を通過した発電用空気は、プレートフィン162,天板8a,排気通路172内のプレートフィン175を介して、排気ガスとの間で熱交換が行われ昇温される。その後、発電用空気は、空気通路161aの幅方向の両端部に到達し、空気通路161bを経由して、モジュールケース8の側板8bに形成された吹出口8fから発電室10内へ噴射される。
流路方向調整部164は、空気通路カバー160の天板160aの4つの端辺のうち、空気通路161bに連通する端辺(長手方向に延びる辺)とは異なる端辺(幅方向に延びる辺)に配置されている。このため、本実施形態では、発電用空気を天板8a上の空気通路161a内で長手方向に沿って供給しつつ幅方向に供給することにより、その後、側板8b上の空気通路161bに対して長手方向において均等に発電用空気を供給することができる。
本実施形態では、モジュールケース8の外側から空気通路カバー160を組み付けて固定することにより、モジュールケース8外に空気通路161a,161bを容易に形成することができる(図4参照)。また、モジュールケース8の天板8a及び側板8b上に予めプレートフィン162,163を配置した後に、空気通路カバー160を配置することが可能であり、プレートフィン162,163の組み付け性も良好である。
また、モジュールケース8に対して空気通路カバー160を外部から機械溶接を適用し固定することが可能であるため、量産化を図ることができる。特に、本実施形態では、空気通路カバー160が共に矩形状の天板160a及び側板160bを備えているため、外郭が直線的に形成されており、自動機械による溶接の適用が容易である。
このように、本実施形態では、空気通路の形成のための作業性が良好となり、製造コストを低減することが可能である。
また、本実施形態では、モジュールケース8内には排気通路のみを形成すればよくなるため、製造が容易になる。更に、モジュールケース8内に排気通路が位置するので、排気ガスがモジュールケース8外に漏洩することを防止することができる。一方、空気通路はモジュールケース8外に位置するが、空気通路の気密性が確保できなくなった場合でも、発電用空気がモジュールケース8外に漏洩するだけに留めることができる。
また、本実施形態では、図15に示すように、モジュールケース8の天板8aの排気口111には排気管171が固定されている。このため、空気通路カバー160の開口部167に排気管171を挿入することにより、モジュールケース8に対して空気通路カバー160を位置決めすることができるので、良好な組付け性を確保することができる。
さらに、空気通路カバー160の開口部167には、その周縁部が上方へ突出するように湾曲されることにより環状部167aが形成されている。したがって、環状部167aの曲面に沿って排気管171を開口部167に容易に挿入することができる。
また、環状部167aと排気管171とを固定する際に、環状部167aが溶接を行う際の接続しろとなる。このため、本実施形態では、環状部167aのような接続しろが無い場合と比べて、空気通路カバー160の開口部167と排気管171の周面とをより確実に溶接によって固定することができる。
このように、本実施形態では、開口部167に上方へ突出する環状部167aを設けたことにより、空気通路カバー160をモジュールケース8に組み付ける際の作業性を向上させることができる。
本実施形態では、上述のように、燃料電池セルユニット16の側方部分での熱交換を行うことを回避して、モジュールケース8の天板8a付近で実質的な熱交換を行うこととしている。この場合、天板8aの面積は燃料電池セルユニット16の側方の側板8bの面積よりも小さくなるため、十分な熱交換を行うための面積が確保できないおそれがある。しかしながら、本実施形態では、小さな面積でも十分な熱交換を行うことができるように、上述の排気ガス誘導部材130に加えて、熱交換距離延長部材176を設けている。
図17に示すように、排気ガス誘導部材130の上部誘導板132上には、混合ガス供給管112及び凹部132aを挟んで幅方向の両側にプレートフィン175が配置されている。また、これらプレートフィン175の長手方向に延びる中央側の端辺に沿って、その内側に熱交換距離延長部材176が配置されている。2つの熱交換距離延長部材176は、長手方向に沿って略平行、且つ、排気口111に対して対称に配置されている。熱交換距離延長部材176は、その長さが天板8aの長手方向長さの略半分である長尺な板状部材であり、その下端部が上部誘導板132に固定されると共に、上端部が天板8aに当接されている(図15参照)。
排気通路173,174から排気ガス導入口172aを介して排気通路172へ供給された排気ガスは、天板8aの略中央部分に設けられた排気口111から排出される。したがって、熱交換距離延長部材176が無い場合には、排気ガスの流れは、排気ガス導入口172aから排気口111へ直接的に向かうようになり、排気通路172の一部に排気ガスの流れが偏ってしまい、排気ガスから十分な熱量をプレートフィン175に伝えることができない。その結果、排気ガスと発電用空気との間の熱交換を十分に行うことができない。
そこで、本実施形態では、排気口111を挟んで2つの熱交換距離延長部材176を配置することにより、排気ガスを迂回させて排気口111へ導くように構成されている。具体的には、排気ガスは、排気ガス導入口172aからプレートフィン175を通過しつつ、排気通路172の幅方向の中央部に向けて移動する。ところが、排気口111の両側には長手方向に沿って熱交換距離延長部材176が配置されているので、排気ガスは、熱交換距離延長部材176に衝突し、その長手方向の一端側又は他端側に迂回して、2つの熱交換距離延長部材176の間の空間に到達し、さらにこの空間を通過して排気口111に到達する。このように、本実施形態では、排気ガスに熱交換距離延長部材176を迂回させることにより、排気通路172において排気ガスが流れる距離が延長されると共に、排気通路172の全面で熱交換が可能となる。これにより、排気ガスから十分な熱量を空気通路161a内の発電用空気に伝えることが可能となり、その結果、排気ガスと発電用空気との間の熱交換効率を向上させることができる。
また、熱交換距離延長部材176は、その上端部が天板8aに当接されているので(図15参照)、排気ガスの熱を天板8aに直接的に伝導させて、空気通路161a内の発電用空気を昇温させることができる。
さらに、空気通路161aに供給された発電用空気は、排気管171の外周壁に衝突するため、排気管171の周囲付近は、空気密度が他の領域よりも高くなり(図15の破線部A参照)、排気管171は冷却される。一方、熱交換距離延長部材176の上端部は、排気管171(及び排気口111)付近の天板8aと当接している(図15、図17参照)。このため、熱交換距離延長部材176から温度が低下された排気管171への熱伝導が促進されるので、より効率的に空気通路161a内の発電用空気を昇温させることが可能である。
次に、図18に示すように、プレートフィン162,163,175は、矩形状の薄い金属板をプレス加工することにより形成されており、平面部200と、平面部200に所定間隔で形成され、平面部200の両面側に向けてそれぞれ突出する突出部202とを備えている。突出部202は、平面部200の一部を切り欠いて台形状に展伸させたものであり、傾斜部202aと天板部202bからなる。突出部202の傾斜部202aと天板部202bは、平面部200から離間しており、離間した部位に開口202cが形成されている。このように形成されたプレートフィンでは、平面部200の両側面に沿ってガスが流れる際に、ガスと平面部200とが直接的に熱交換を行う以外に、ガスが突出部202に衝突することにより、ガスと突出部202とが熱交換を行う。これにより、ガスとプレートフィンとの間で効率よく熱交換を行うことができる。
また、ガスと突出部202との衝突により、ガスの流路方向が変更される。具体的には、突出部202の傾斜部202aの外側面(開口202cと逆側の面)又は内側面(開口202c側の面)に衝突することにより、ガスの流路は側方へ変更される。これにより、ガスは、全体としては流路に沿った方向に流れるが、局所的には種々の方向に流れて互いに混じり合うため分散性が向上される。
また、図19に示すように、プレートフィン163は、モジュールケース8の側板8bと空気通路カバー160の側板160bに挟まれて配置されている。プレートフィン163は、側板8bとは突出部202の天板部202bで接触しているが、側板160bとは天板部202bに設けた突起部203を介して接触している。
突起部203は、天板部202bよりも接触面積が小さくなるように形成されており、例えば、天板部202bの一部を外方へ突出させることにより形成することができる。また、突起部203は、熱伝導性の良好なプレートフィンとは別部材とすることもできる。この場合、プレートフィンよりも熱伝導性の低い材料で形成すると好適である。
突起部203は、側板160b側のすべての突出部202の天板部202bに設けられてはおらず、少なくとも1つの天板部202bに設けられている。このため、側板160bに向けて突出する突出部202のうち、ほとんどの突出部202が側板160bと接触せず、1つ又は少数の突出部202のみが突起部203を介して側板160bと接触している。
このように、プレートフィン163は、接触面積が小さく、好ましくは熱伝導性が低い突起部203を介して、側板160bと接触している。このため、プレートフィン163から側板160bを介して外部の断熱材7へ熱を放散させること(熱損失)を抑制することが可能となり、排気通路173の排気ガスと空気通路161bの発電用空気との間の熱交換効率より向上させることができる。なお、プレートフィン162でも同様である。