JP6575650B2 - フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、深絞り加工の後に溶接によって接合が行われる構造体の製造に好適に用いられる、溶接部の形状および耐食性に優れるフェライト系ステンレス鋼に関する。
従来、フェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系ステンレス鋼や高張力鋼板などと比較して、プレス成形性の面で劣っており、優れたプレス成形性が必要とされる用途にはその使用が制限されてきた。
しかし、近年のフェライト系ステンレス鋼のプレス成形性、特に深絞り加工性の向上は目覚しく、厳しいプレス加工が施される用途、たとえば厨房用材料や電気機器部品、自動車用部品などへのフェライト系ステンレス鋼の適用が進んでいる。
特許文献1には深絞り性に優れたフェライト系ステンレス鋼板が開示されている。この鋼板では、鋼の成分組成と製造条件を適正範囲に制御し、仕上焼鈍後の鋼板の平均r値を2.0以上、平均結晶粒径を50μm以下、かつ、(引張強度(MPa)×平均r値)/(結晶粒径(μm)))を20以上とすることにより、深絞り性を改善している。
特許文献2には、プレス成形性に優れたフェライト系ステンレス冷延鋼板が開示されている。この鋼板では、AlNの微細析出を防止して微細AlNによる析出強化を低減するとともに、フェライト粒径を10μm未満とすることにより局部伸びを増加させ、さらに、フェライト粒内のCr炭窒化物の平均粒径を0.6μm以上とすることにより均一伸びを向上させて、プレス成形性を向上させている。
また、特許文献3には深絞り性に優れたフェライト系ステンレス鋼板が開示されている。この鋼板では、熱間圧延条件を調整することにより、平均フェライト結晶粒径が40μm以下であり、圧延方向と板厚方向からなる断面に占める{111}//NDとの方位差が10°以内のフェライト結晶粒の割合が20%以上として、深絞り性を向上している。
しかしながら、これらのプレス成形性に優れたフェライト系ステンレス鋼板を用いても厳しいプレス成形を行った際に発生する縦割れの発生は必ずしも十分に抑制することはできない。
この縦割れを抑制するために特許文献4には深絞り性、耐2次加工脆性および耐食性に優れるフェライト系ステンレス鋼板が開示されている。この鋼板では、Nbおよび/またはTiならびにB、Vを適正量添加することに加え、仕上焼鈍し、酸洗した後あるいはさらにスキンパス圧延した後の鋼板の平均結晶粒径を40μm以下かつ表面粗さRaを0.30μm以下とすることで、深絞り性と耐2次加工脆性を両立している。
特開2003−138349号公報 特開2007−119847号公報 特開2009−299116号公報 特開2003−201547号公報
しかし、特許文献4のフェライト系ステンレス鋼板を用いても、特に、プレス成形後に溶接を行った場合に発生する溶接部近傍の割れは、完全に防止することはできない。
従来技術の抱える上記のような問題点に鑑み、本発明は、深絞り加工の後に溶接を行った際に、溶接の熱影響による膨張収縮および変形による応力によって溶接部近傍での割れが発生しにくく、溶接部近傍の耐食性に優れるフェライト系ステンレス鋼を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、フェライト系ステンレス鋼の成分組成と溶接部近傍での割れおよび耐食性との相関を調査し、以下の(1)〜(3)の知見を得た。
(1)深絞り加工により結晶粒界の強度が低下した領域に対して溶接を行うと、溶接の熱により溶接部近傍に発生した膨張および収縮の応力によって溶接部近傍に割れが発生する。
(2)Coの添加は熱膨張係数を減少させるため、溶接の熱による膨張および収縮が減少し、溶接部の変形および溶接部近傍での応力が低下する。その結果、Co添加によって溶接部近傍の割れが発生しにくくなる。
(3)Bの添加は深絞り加工による結晶粒界の強度の低下を抑制するため、深絞り加工後の溶接部近傍に熱応力が発生しても割れが発生しにくくなる。
以上の結果に基づき、本発明は構成される。すなわち本発明は下記の構成を要旨とするものである。
[1]質量%で、C:0.001〜0.020%、Si:0.01〜0.30%、Mn:0.01〜0.50%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Cr:18.0〜22.0%、Ni:0.01〜0.40%、Mo:0.30〜3.0%、Al:0.01〜0.15%、Ti:0.01〜0.50%、Nb:0.01〜0.50%、V:0.01〜0.50%、Co:0.01〜6.00%、B:0.0003〜0.0050%、N:0.001〜0.020%を含有し、下記(1)式を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物である成分組成を有することを特徴とするフェライト系ステンレス鋼。
0.30≦Ti+Nb+V≦0.60% (1)
(1)式における元素記号は各元素の含有量(質量%)を意味する。
[2]前記成分組成は、さらに、質量%で、Zr:0.5%以下、W:1.0%以下、REM:0.1%以下のいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする[1]に記載のフェライト系ステンレス鋼。
本発明のフェライト系ステンレス鋼であれば、深絞り加工の後に溶接によって接合が行われる構造体の製造に用いても、溶接の熱影響による膨張収縮および変形による応力によって溶接部近傍での割れが発生しにくく、溶接部近傍の耐食性に優れる構造体が得られる。
なお、溶接部近傍での割れが発生しにくいことから、上記構造体は、溶接部の形状に優れるといえる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本発明のフェライト系ステンレス鋼の成分組成は、質量%でC:0.001〜0.020%、Si:0.01〜0.30%、Mn:0.01〜0.50%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Cr:18.0〜22.0%、Ni:0.01〜0.40%、Mo:0.30〜3.0%、Al:0.01〜0.15%、Ti:0.01〜0.50%、Nb:0.01〜0.50%、V:0.01〜0.50%、Co:0.01〜6.00%、B:0.0003〜0.0050%、N:0.001〜0.020%を含有し、下記(1)式を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物である。
0.30%≦Ti+Nb+V≦0.60% (1)
(1)式における元素記号は各元素の含有量(質量%)を意味する。
また、本発明のフェライト系ステンレス鋼の成分組成は、さらに、質量%で、Zr:0.5%以下、W:1.0%以下、REM:0.1%以下のいずれか1種または2種以上を含有してもよい。
以下に本発明のフェライト系ステンレス鋼の成分組成について詳細に説明する。なお、各元素の含有量を示す%は特に記載しない限り質量%とする。
C:0.001〜0.020%
Cの含有量が多いと強度が向上し、少ないと加工性が向上する。適度な強度を得るためには0.001%以上の含有が適当である。しかし、C含有量が0.020%を超えると加工性の低下が顕著となり、深絞り加工に適さない。よって、C含有量は0.001〜0.020%とした。より好ましくは、0.002〜0.018%である。なお、不可避的に含まれるCのみでC含有量が上記範囲になる場合には、Cを積極的に添加する必要はない。
Si:0.01〜0.30%
Siは脱酸に有用な元素である。その効果は0.01%以上の含有で得られる。しかし、Si含有量が0.30%を超えると、加工性の低下が顕著となり、深絞り加工には適さない。よって、Siの含有量は0.01%〜0.30%とした。より好ましくは、0.05%〜0.20%である。
Mn:0.01〜0.50%
Mnには強度を高める効果がある。その効果は0.01%以上の含有で得られる。一方、Mnを過剰に含有すると加工性が顕著に低下し、深絞り加工には適さなくなる。したがって、Mn含有量は0.50%以下が適当である。よって、Mnの含有量は0.01〜0.50%とした。より好ましくは、0.03%〜0.40%である。なお、Mnは鋼に不可避的に含まれるため、不可避的に含まれるMn含有量が上記範囲にあれば、Mnを添加する必要はない。
P:0.04%以下
Pは鋼に不可避的に含まれる元素であり、深絞り加工後の結晶粒界に偏析して、結晶粒界の強度を低下させ、粒界割れを発生しやすくする元素である。よって、P含有量は少ないほど好ましく、0.04%以下とした。より好ましくは0.03%以下である。
S:0.01%以下
Sは鋼に不可避的に含まれる元素である。S含有量が0.01%を超えるとCaSやMnSなどの水溶性硫化物の形成が促進され耐食性が低下する。よって、S含有量は0.01%以下とした。
Cr:18.0〜22.0%
Crはステンレス鋼の耐食性を決定付ける最も重要な元素である。Cr含有量が18.0%未満ではステンレス鋼として十分な耐食性が得られない。特に溶接部での耐食性が不十分となる。一方で、過剰にCrを含有すると、加工性が低下し、深絞り加工に適さない。そこで、Cr含有量は22.0%以下が適当である。よって、Cr含有量は18.0〜22.0%とした。より好ましくは、18.5〜21.5%である。
Ni:0.01〜0.40%
Niはステンレス鋼の耐食性を向上させる元素であり、不動態皮膜が形成できず活性溶解が起こる腐食環境において腐食の進行を抑制する元素である。その効果はNi含有量を0.01%以上にすることで得られる。しかし、Ni含有量が0.40%以上になると、加工性が低下するため、深絞り加工には適さない。よって、Niの含有量は0.01〜0.40%とした。より好ましくは、0.03〜0.18%である。
Mo:0.30〜3.0%
Moは不動態皮膜の再不動態化を促進し、ステンレス鋼の耐食性を向上する元素である。Crとともに含有することによってその効果はより顕著となる。Moによる耐食性向上効果は0.30%以上の含有で得られる。しかし、Mo含有量が3.0%を超えると高温強度が増加し、圧延負荷が大きくなるため製造性が低下する。よって、Mo含有量は0.30〜3.0%とした。より好ましくは、0.40〜2.0%である。
Al:0.01〜0.15%
Alは脱酸に有用な元素であり、その効果は、Alの含有量が0.01%以上で得られる。しかし、Alの含有量が0.15%を超えるとフェライト結晶粒径が増大しやすくなり、溶接部近傍の割れが起こりやすくなる。よって、Al含有量は0.01〜0.15%とした。より好ましくは、0.02〜0.10%である。
Ti:0.01〜0.50%
TiはC、Nと優先的に結合してCr炭窒化物の析出による耐食性の低下を抑制する元素である。その効果は、Ti含有量が0.01%以上で得られる。しかし、Ti含有量が0.50%を超えると固溶したC、Nが過度に減少し、深絞り後の結晶粒界の強度が不十分となり、溶接部近傍で割れが発生しやすくなる。よって、Ti含有量は0.01〜0.50%とした。より好ましくは、0.15〜0.40%である。なお、本明細書において、炭窒化物には、炭化物、窒化物も含む。
Nb:0.01〜0.50%
NbはC、Nと優先的に結合してCr炭窒化物の析出による耐食性の低下を抑制する元素である。その効果は、Nb含有量が0.01%以上で得られる。しかし、Nb含有量が0.50%を超えると固溶したC、Nが過度に減少し、深絞り後の結晶粒界の強度が不十分となり、溶接部近傍で割れが発生しやすくなる。よって、Nbの含有量は0.01〜0.50%とした。より好ましくは、0.05〜0.40%である。
V:0.01〜0.50%
Vは、Cr炭窒化物の析出による耐食性の低下を抑制する元素である。その効果は、V含有量が0.01%以上で得られる。しかし、0.50%を超える過剰な含有は加工性を低下させ、深絞り加工には適さない。よって、V含有量は0.01〜0.50%とした。より好ましくは、0.02〜0.30%である。
0.30%≦Ti+Nb+V≦0.60%
上述のようにTi、Nb、VはいずれもCr炭窒化物の生成を抑制し、溶接部の耐食性を向上させる元素である。Cr炭窒化物析出による鋭敏化を抑制し、溶接部の耐食性を十分なものとするためにはTi含有量、Nb含有量、V含有量の合計が0.30%以上になることが必要である。より好ましくは0.35%以上である。加えて、溶接部の冷却速度は通常、非常に速いため、Ti、Nb、Vのいずれか単独あるいは2種のみの添加では、それぞれの元素の炭窒化物の析出しやすい温度域を急速に通過してしまい、C、Nを完全には無害化しきれない場合がある。そのため、Ti、Nb、Vのいずれの元素も0.01%以上の含有が必要である。
一方で、Ti、Nb、Vの含有量の合計が0.60%を超えると加工性が低下するため、深絞り加工には適さない。よって、Ti含有量、Nb含有量、V含有量の合計が0.60%以下とした。より好ましくは、0.55%以下である。
Co:0.01〜6.00%
Coは本発明にとって重要な元素である。Coの添加はフェライト系ステンレス鋼の電子状態を変化させ、熱膨張係数を低下させる。この熱膨張係数の低下は溶接の熱によって引き起こされる溶接部の膨張および変形を緩和する。深絞り加工後の溶接部近傍では、溶接による熱膨張および変形によって生じる応力によって割れが発生する場合がある。Coの添加による熱膨張係数の低下は、溶接の熱影響および変形によって溶接部近傍にかかる応力負荷を緩和し、割れの発生を抑制する。その効果はCo含有量が0.01%以上で得られる。一方で、Co含有量が6.00%を超えると加工性が低下するため、深絞り加工には適さない。よってCo含有量は0.01〜6.00%とした。より好ましくは、0.03〜3.00%である。
B:0.0003〜0.0050%
Bは本発明にとって重要な元素である。高純度のフェライト系ステンレス鋼では深絞り加工によって、深絞り加工の壁面部分の結晶粒界にPが偏析し、結晶粒界が脆くなる。そのため、過度の深絞り加工を行った後に、深絞り方向に沿って割れが発生する場合がある。特にTiやNbによって固溶したC、Nを低減した成分でその傾向が顕著である。深絞り加工によって割れが発生しやすくなった結晶粒界では、溶接の熱影響による応力負荷が割れを発生させる場合がある。Bの添加は深絞り加工によるPの偏析を抑制し結晶粒界を強化して、こういった割れの発生を抑制する。この効果はBを0.0003%以上含有することで得られる。一方で、B含有量が0.0050%を超えると加工性が低下するため、深絞り加工には適さない。よって、B含有量は0.0003〜0.0050%とした。より好ましくは0.0004〜0.0020%である。
N:0.001〜0.020%
Nは、固溶強化により鋼の強度を上昇させる効果がある。その効果はN含有量が0.001%以上で得られる。しかし、N含有量が0.020%を超えると加工性の低下が顕著となり、深絞り加工に適さない。よって、N含有量は0.001〜0.020%とした。より好ましくは、0.002〜0.018%である。
また、本発明のフェライト系ステンレス鋼は、以下の成分を含んでもよい。
Zr:0.5%以下
ZrはC、Nと結合して、鋭敏化を抑制する効果がある。その効果は、Zr含有量を0.01%以上にすることで得られる(Zr含有量が0.01%未満の場合、上記効果は大きくないが、本発明の効果を害さないため、Zr含有量が0.01%未満でも問題が無い)。しかし、過剰のZrの含有は加工性を低下させる。また、Zrは価格が非常に高い元素であるため、過剰のZr含有はコストの増大を招く。よって、Zrの含有量は0.5%以下とした。
W:1.0%以下
WはMoと同様に耐食性を向上させる効果がある。その効果はW含有量を0.01%以上にすることで得られる(W含有量が0.01%未満の場合、上記効果は大きくないが、本発明の効果を害さないため、W含有量が0.01%未満でも問題が無い)。しかし、過剰のWの含有は強度を上昇させ、製造性を低下させる。よって、W含有量は1.0%以下とする。
REM:0.1%以下
REMは耐酸化性を向上して、酸化スケールの形成を抑制し、溶接部の耐食性を向上する。その効果はREM含有量を0.0001%以上にすることで得られる(REM含有量が0.0001%未満の場合、上記効果は大きくないが、本発明の効果を害さないため、REM含有量が0.0001%未満でも問題が無い)。しかし、過剰にREMを含有すると、酸洗性などの製造性を低下させるうえ、コストの増大を招く。よってREMの含有量は0.1%以下とした。
上記以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としてはZn:0.03%以下、Sn:0.3%以下、Cu:0.1%未満等が挙げられる。なお、本発明のCr含有量、Mo含有量を有する耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼では、Cuは不動態維持電流を増加させて不動態皮膜を不安定とし、耐食性を低下させる作用がある。この観点からはCuを含まない方がよい。Cuを含有する場合、その含有量は0.1%未満が適当である。よって、不純物としてのCuの含有量は上記の通り0.1%未満とした。
本発明のフェライト系ステンレス鋼の製造方法は特に限定されない。好適な製造方法の一例を以下に示す。
上記成分組成のステンレス鋼を1100〜1300℃に加熱後、仕上温度を700〜1000℃、巻取温度を400〜800℃として板厚2.0〜5.0mmになるように熱間圧延を施す。こうして作製した熱間圧延鋼帯を800〜1100℃の温度で焼鈍し酸洗を行う。次に、板厚0.5〜2.0mmになるように冷間圧延を行い、700〜1050℃の温度で冷延板焼鈍を行う。冷延板焼鈍後には酸洗を行い、スケールを除去する。スケールを除去した冷間圧延鋼帯にはスキンパス圧延を行ってもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
表1に示すステンレス鋼を真空溶製し、1200℃に加熱した後、板厚4mmまで熱間圧延し、800〜1000℃の範囲で焼鈍し、酸洗によりスケールを除去した。さらに、板厚0.8mmまで冷間圧延し、800〜950℃の範囲で焼鈍し、酸洗を行い、供試材とした。
作製した供試材からφ72mmの円板を採取し、φ49mm、φ35mm、φ26mm、φ22mmのポンチを順に用いて4段の深絞り加工を行い、加工後の高さが50mmとなるように耳を切除し、深絞り底部の中心部にφ5mmの穴を開け、円筒深絞り形状の試験片を作製した。その後、試験片のφ22mmの開口部をふさぐようにφ23mmの円板をTIG溶接にて接合した。溶接条件は、溶接電流100A、溶接速度60cm/minとした。シールドガスはArを用い、流量は20L/minとした。溶接後、24h経過した後に試験片内部を水で満たし、10気圧の圧力をかけて割れの有無を確認した。その後、光学顕微鏡を用いて200倍の倍率で円筒深絞り壁面の溶接部近傍(フュージョンラインから2〜5mmの位置)を観察し、割れの長さを確認した。長さが0.5mm以上の割れのあったものを「×」、割れのなかったものを「○」として結果を表2に示す。
表2のうち、本発明例ではいずれも溶接部近傍に割れは確認できなかった。一方で、比較例であるNo.12では、Coが無添加であるため割れが発生した。No.13ではBが無添加であるため割れが発生した。No.14ではAlが過剰に添加されたため割れが発生した。No.15ではCrが過剰に添加されたため割れが発生した。
続いて、割れの有無を確認した試験片を用いて、溶接ままの溶接部の耐食性を評価した。JIS H 8502に準拠した中性塩水噴霧サイクル試験を5サイクル行い、溶接部近傍(溶接ビード中心からフージョンラインより5mmの範囲)の腐食の有無を目視により確認した。5サイクルの試験によって溶接部近傍に長径が1mm以上の腐食が発生したものを「×」、腐食が発生しなかったものを「○」として表2に示した。
No.12、No.13、No.14はいずれも溶接近傍の割れから腐食が発生した。No.16は(1)式を満たさなかったため溶接ビードから腐食が発生した。No.17はCr量が少なく溶接ビードおよびテンパー部から腐食が発生した。No.18はNb量が少なかったため、溶接ビードから腐食が発生した。No.19はTi量が少なかったため、溶接ビードから腐食が発生した。No.20はVが無添加であったため、溶接ビードから腐食が発生した。
Figure 0006575650
Figure 0006575650
本発明によれば、深絞り加工の後に溶接によって接合が行われる構造体に用いるのに好適な、溶接部の形状および耐食性に優れるフェライト系ステンレス鋼が得られる。本発明で得られるフェライト系ステンレス鋼は、深絞り後に溶接によって構造体の作製が行われる用途、たとえば、電池ケースなどの電子機器部品、コンバータなどの自動車部品などへの適用に好適である。

Claims (1)

  1. 質量%で、C:0.001〜0.020%、Si:0.01〜0.30%、Mn:0.01〜0.50%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Cr:18.0〜22.0%、Ni:0.01〜0.40%、Mo:0.30〜3.0%、Al:0.01〜0.15%、Ti:0.01〜0.50%、Nb:0.01〜0.50%、V:0.01〜0.50%、Co:0.01〜6.00%、B:0.0003〜0.0050%、N:0.001〜0.020%を含有し、さらに、質量%で、Zr:0.5%以下、W:1.0%以下、REM:0.1%以下のいずれか1種または2種以上を含有し、下記(1)式を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物である成分組成を有することを特徴とするフェライト系ステンレス鋼。
    0.30%≦Ti+Nb+V≦0.60% (1)
    (1)式における元素記号は各元素の含有量(質量%)を意味する。
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