JP4239257B2 - 耐リジング性に優れたTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた耐リジング性を有するTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Tiを含有するフェライト系ステンレス鋼板は、耐食性と溶接性とを兼ね備え、比較的安価であることから、最近、自動車排気系の部材などに使用されるようになってきた。
このTi含有フェライト系ステンレス鋼板は、一般に、連続鋳造したスラブに粗圧延−仕上げ圧延からなる熱間圧延を行い、コイルに巻き取り、焼鈍(バッチ式または連続式)により軟質化と均質化をはかった後、冷間圧延、仕上げ焼鈍を行うことによって製造される。そして、Ti含有フェライト系ステンレス鋼の熱間圧延においては、従来、操業性の観点から、汎用鋼種であるSUS430における圧延方法が踏襲されてきた。
このSUS430は、Ti含有フェライト系ステンレス鋼板に比べて、固溶状態のC、Nの含有量が多いために、高温強度が高く、圧延負荷は高い。そこで、SUS430の熱間圧延では、圧延負荷軽減のために、スラブ加熱温度を高温にして高温のうちに圧延すること、また、パス回数を多くして1パス当たりの圧下率を小さくして圧延することが肝要であるとされてきた。したがって、Ti含有フェライト系ステンレス鋼においても、このような圧延負荷軽減のための圧延条件が採用されてきた。
【0003】
このような条件で圧延したときに、Ti含有フェライト系ステンレス鋼で問題となるのは、1パス当たりの圧下率が小さいために、板厚中央部の帯状組織が十分に分断されず、冷延、仕上げ焼鈍した後の鋼板(冷延焼鈍板)の耐リジング性が十分に得られないことであった。ここに、リジングとは、フェライト系ステンレス鋼板に引張や深絞りなどの変形を与えたときに、圧延方向に沿って細かいすじ状のしわを発生する現象をいう。
ところで、Ti含有フェライト系ステンレス鋼板の耐リジング性を改善する方法について、これまでにも幾つかの提案がある。例えば、特開平10−17937 号公報には、Crを11wt%含有するステンレス鋼スラブを低温で加熱し、粗圧延後段での圧下率を高くし、仕上げ圧延の開始温度を低くするとともに、終了温度を高くすることにより、冷延焼鈍後の耐リジング性を改善する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、かかる従来方法では、仕上げ圧延の開始温度が低いために、圧延負荷の制約から圧下率を大きくすることができず、結晶組織の微細化が不十分となり、リジングの原因と考えられる帯状組織の分断が十分に図られないという問題があった。
また、特開平10−60543 号公報には、0.04〜0.30wt%のTiを含有するフェライト系ステンレス鋼スラブを、MnとTiの含有量で定まる温度に加熱し、累積圧下率90%以上かつ終了温度1000℃以上として粗圧延する方法が開示されている。しかしながら、この方法も、仕上げ圧延における強圧下が不十分であり、結晶粒を十分に微細化することができず、同様な問題を有していた。
そこで、この発明は、これら従来技術が抱えていた上記問題点の解決を図るものであり、結晶粒の微細化により、優れた耐リジング性を有するTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造技術を提案することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上掲の目的を達成すべく、Ti含有フェライト系ステンレス鋼の熱延条件について詳細に検討した。その結果、粗圧延と仕上げ圧延とを適正範囲に制御することによって解決できるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。その要旨構成は以下のとおりである。
【0006】
(1)C:0.010wt%以下、N:0.010wt%以下、かつC+N:0.015wt%以下、Cr:6wt%以上、35wt%以下、Ti:6×(C+N)wt%以上、0.5wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなるスラブを、1160℃以下に加熱して、累積圧下率を85%以上、かつ、最終パス終了温度を950℃以上とする粗圧延を行い、粗圧延で得たシートバーを900℃以上で20秒以上保持し、次いで、累積圧下率を90%以上、かつ、最終パス終了温度を900℃以上とする仕上げ圧延を行い、その後、酸洗、冷間圧延および焼鈍を施すことを特徴とする、耐リジング性に優れたTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
【0007】
(2) 上記 (1)に記載の製造方法において、スラブの組成が、上記成分のほかに、さらに
Si:2.0 wt%以下、
Ni:1.0 wt%以下、
Mo:2.0 wt%以下
Cu:1.0 wt%以下、
Co:0.5 wt%以下、
V:0.5 wt%以下
から選ばれるいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする、耐リジング性に優れたTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
【0008】
(3) 上記 (1)または (2)に記載の製造方法において、スラブの組成が、上記成分のほかに、さらに
B:0.01wt%以下、
Ca:0.01wt%以下、
Nb:0.05wt%以下
から選ばれるいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする、耐リジング性に優れたTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
【0009】
(4) 上記 (1)〜 (3)のいずれか1つに記載の製造方法において、仕上げ圧延後、酸洗前に、焼鈍を行うことを特徴とする、耐リジング性に優れたTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
【0010】
(5) 上記 (1)〜 (4)のいずれか1つに記載の製造方法において、粗圧延の少なくとも1パスの圧下率を35%以上として圧延することを特徴とする、耐リジング性に優れたTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
【0011】
(6) 上記 (1)〜 (5)のいずれか1つに記載の製造方法において、仕上げ圧延の最終2パスの圧下率をそれぞれ20%以上として圧延することを特徴とする、耐リジング性に優れたTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
発明者らは、先ず、従来技術についてあらためて見直しを行い、従来の熱間圧延方法では、粗圧延での強圧下の程度が不十分なために、帯状組織が分断されないこと、また、その結果、仕上げ圧延では、負荷が高くなり、ミルパワーの上限から強圧下が制限されてしまい、帯状組織は圧延後まで残存し、結果的に冷延焼鈍後の鋼板の耐リジング性が悪化することがわかった。
【0013】
そこで、発明者らは、これらの状況を踏まえて、粗圧延および仕上げの圧延における圧延条件を総合的に検討した。そして、詳細な実験、検討を行った結果、耐リジング性を改善するためには、以下の点について留意する必要があるとの結論に達した。
(1)まず、スラブ加熱温度をできるだけ低くすることにより、加熱中の結晶粒の粗大化を抑制し、初期粒径を小さくすること。
(2)粗圧延では、低温強圧下を行うことにより結晶粒をより微細化しておくこと。
(3)粗圧延後、仕上げ圧延開始までに、再結晶温度以上で十分な時間保持することにより、一旦再結晶組織とすること。
(4)その後の仕上げ圧延でさらに強圧下し、圧延で延ばされて生じる帯状組織を細かく分断すること、また、高温で熱延を終了し、熱延後の自己焼鈍を促進すること。
【0014】
これらの全てが満たされときに、はじめて、Ti含有フェライト系ステンレス鋼板の耐リジング性を改善することができる。特に上記 (4)で挙げた仕上げ圧延における強圧下と高温終了の要件は重要であり、これによって熱延板焼鈍を省略しても、優れた耐リジング性を得ることができる。なお、使途によって、より一層優れた耐リジング性が求められるような場合には、常法による熱延板焼鈍を行うことが望ましい。
【0015】
次に、上記項目を実現するための具体的な製造条件について説明する。
・加熱温度
スラブ加熱温度は、1160℃以下とする。というのは、1160℃を超えると結晶粒が粗大化し、粗圧延後の組織の微細化が阻害され、結果的に、冷延−焼鈍した鋼板の耐リジング性が改善されないからである。後述する粗圧延および仕上げ圧延における各終了温度を満たすことが可能であれば、スラブ加熱温度は低いぼど耐リジング性の向上が大きくなる。この点から、スラブ加熱温度は1120℃以下とすることが望ましい。
【0016】
・粗圧延
粗圧延は、結晶粒を十分に微細化するためには強圧下で行うことが有効であり、スラブから粗圧延終了までの累積圧下率を85%以上とすると耐リジング性改善の効果が現れる。さらに、粗圧延の圧下パスのうちの少なくとも1パスは、圧下率35%以上として圧延すると一層高い効果が得られる。
また、粗圧延後にシートバーを再結晶温度以上に保持して、圧延前での再結晶を促進させるためには、本発明に従うTi含有フェライト系ステンレス鋼の再結晶温度が900 ℃以上であることを考慮して、粗圧延最終パス終了温度は950 ℃以上とすることが必要である。
そして、再結晶の一層の促進を図るためには、かかる粗圧延終了温度のもとで、仕上げ圧延までに、粗圧延で得たシートバーを900 ℃以上で20秒以上保持することが望ましい。
なお、スラブ加熱温度が低いときに、粗圧延終了温度を高くするには、粗圧延パスを少なくするか、または粗圧延速度を上げて圧延時間を短くすることが必要となるが、今日では、熱間圧延ミルの能力が向上されて、従来では不可能であったこのような圧延負荷の高い圧延が可能である。
【0017】
図1は、実験室で0.004 wt%C−0.005 wt%N−18wt%Cr−0.3 wt%Tiをベースとしたフェライト系ステンレス鋼を溶製し、1100〜1200℃の温度範囲でスラブ加熱後、終了温度を850 ℃〜1000℃として粗圧延し、この温度で20秒間保持し、直ちに水冷して得られた鋼板について、組織中の再結晶率と加熱温度との関係を調べたものである。
図1から、スラブ加熱温度を1160℃以下とし、かつ粗圧延終了温度を950 ℃以上とした場合に、50%以上の再結晶組織が得られることが分かる。
【0018】
・仕上げ圧延
このような粗圧延ののち、仕上げ圧延での圧延条件と巻き取り温度を適正範囲に制御することも、冷延焼鈍板の優れた耐リジング性を発揮させる上で重要である。
すなわち、仕上げ圧延では、累積圧下率を高くするほど、帯状組織が分断される。このような効果は、累積圧下率が90%未満では期待されなくなる。また、このとき、最終2パスの圧下率をそれぞれ20%以上にすれば、帯状組織の分断が一層効果的に行われる。
仕上げ圧延の終了温度を高くするほど、冷延焼鈍板の耐リジング性が向上し、熱延直後の自己焼鈍作用が促進されるので、通常は次工程として行われる焼鈍を省略することが可能になる。その効果は、仕上げ圧延終了温度を900 ℃以上とすることにより顕著に現れるので、仕上げ圧延終了温度を900 ℃以上とする。
よって、仕上げ圧延は、累積圧下率を90%以上とするとともに、圧延終了温度を900 ℃以上とすることが必要である。また、仕上げ圧延後の鋼板の巻取り温度は 800℃以下とすることが望ましい。なお、本発明においては、粗圧延後に再結晶が行われているため、仕上げ圧延終了温度を900 ℃以上とすれば、累積圧下率90%以上という厳しい仕上げ圧延が可能となる。
【0019】
図2は、粗圧延終了温度および仕上げ圧延終了温度が耐リジング性に及ぼす影響を調べたものである。すなわち、実験室で0.004 wt%C−0.005 wt%N−18wt%Cr−0.3 wt%Tiをベースとしたフェライト系ステンレス鋼スラブを1140℃で加熱後、累積圧下率を88%、終了温度を880 〜1050℃の範囲で粗圧延し、次いで、累積圧下率を90%、終了温度を770 〜970 ℃として仕上げ圧延し、板厚3mmの熱延板とし、これを焼鈍することなく、1.0 mmまで冷間圧延し、さらに900 ℃で30秒間保持する焼鈍を行った。こうして得られた冷延焼鈍板から、JIS5号引張試験片を採取し、圧延方向に20%歪みを加え、発生したリジングのうねり高さを表面粗度計を用いて測定し、この測定値を表4に示す基準により評価した。
図2から、粗圧延の終了温度を950 ℃以上、かつ、仕上圧延の終了温度を900 ℃以上とすることにより、耐リジング性に優れた冷延焼鈍板が得られることが分かる。
【0020】
上記工程に続いて行う、冷延および仕上げ焼鈍の条件については、常法に従って実施すればよく、特に定める必要はないが、以下の条件が特に推奨される。
冷延は圧下率65%以上の条件、また仕上げ焼鈍は850 ℃以上で30秒以上保持する条件がよい。また、熱延焼鈍後および仕上げ焼鈍後、必要な場合には、酸洗による脱スケールを実施する。また、脱スケールは硝酸塩中での電解酸洗などが好適である。
なお、本発明では、熱延後再結晶を図るための焼鈍を行う必要はないが、より優れた耐リジング性を求められる場合には焼鈍を行ってもよい。熱延板の焼鈍は、800 ℃以上で1分以上保持する条件が好適である。
【0021】
以下に、成分組成を限定した理由について説明する。
C:0.010 wt%以下
Cは、耐リジング性に悪影響をおよぼす元素であり、0.010 wt%を超えると、その影響が顕著に現れるので、0.010 wt%以下に限定する。なお、より良好な耐リジング性を得るためには、C含有量は0.006 wt%以下に制限するのが望ましい。
【0022】
N:0.010 wt%以下、かつ、C+N:0.015 wt%以下
Nは、Cと同様に、耐リジング性に悪影響をおよぼす元素であり、0.010 wt%を超えると、その影響が顕著となるので、0.010 wt%以下に限定する。なお、より良好な耐リジング性を得るためには、0.007 wt%以下に制限するのが望ましい。また、加工性向上の点から、C量とN量の合計量(C+N) は0.015 wt%以下に限定する。
【0023】
Ti:6× (C+N) wt%以上、0.5 wt%以下
Tiは、鋼中のCおよびNを固定し、耐リジング性および溶接性を向上させる元素である。これらの効果は、Tiを6× (wt%C+wt%N) 以上含有させることにより発揮される。しかし、0.5 wt%を超えて添加しても、その効果が飽和するばかりでなく、固溶Tiが鋼の再結晶温度を上昇させて、粗圧延終了後の鋼の軟化を妨げてしまう。よって、Tiは、6× (C+N) wt%以上、0.5 wt%以下の範囲で添加する。なお、粗圧延後の再結晶により、耐リジング性を一層高めるには、Ti含有量は0.3 wt%以下とすることが望ましい。
【0024】
Cr:6wt%以上、35wt%以下
Crは、耐食性を向上させる元素である。この効果は、6wt%未満の含有量では不十分であり、一方、35wt%を超えて添加すると、脆化が生じて実用上の障害となる。よって、Cr含有量は6〜35wt%の範囲に限定する。
【0025】
以上の成分のほかに、さらなる耐食性向上のために、Si、Ni、Mo、Cuを、また耐2次加工脆性向上のために、Co、Vを、深絞り性向上のために、B、Ca、Nbを添加することができる。以下にこれら成分について説明する。
Si:2.0 wt%以下
Siは、耐食性および耐酸化性を向上させる有用な元素である。しかし、2.0 wt%を超えて添加しても、その効果は飽和するだけでなく、製造性および経済性を損なうので、2.0 wt%を上限として添加する。
【0026】
Ni:1.0 wt%以下、Mo:2.0 wt%以下、Cu:1.0 wt%以下
Ni、MoおよびCuは、いずれも耐食性を向上させるのに有用な元素である。しかし、Ni:1.0 wt%、Mo:2.0 wt%、Cu:1.0 wt%を超えて添加しても、その効果が飽和するほか、製造性および経済性を損なうので、それぞれこれら値を上限として添加する。
【0027】
Co:0.5 wt%以下、V:0.5 wt%以下
CoおよびVは、いずれも2次加工脆性を改善するのに有効な元素である。しかし、いずれの元素とも0.5 wt%を超えて漆加しても、その効果が飽和するうえ、製造性および経済性を損なうので、0.5 wt%を上限として添加する。
【0028】
B:0.01wt%以下、Ca:0.01wt%以下、Nb:0.05wt%以下
B、CaおよびNbは、いずれも微量の添加により、再結晶組繊を微細化し、鋼の深絞り性を向上させるのに有効な元素である。しかし、B:0.01wt%、Ca:0.01wt%、Nb:0.05wt%を超えて添加しても、その効果は飽和し、製造性および経済性を損なうので、これらの値を上限として漆加する。
【0029】
以上記載したもの以外の成分は、Feおよび、材質上、不可避的に含まれるものである。このうちMn、Alは、製鋼工程での脱酸に必要な元素であり、通常、それぞれ1.0wt %以下、0.1 wt%以下の範囲で鋼中に含有される。
【0030】
【実施例】
表1に示す化学組成のフェライト系ステンレス鋼を、連続鋳造により200 mm厚のスラブとし、このスラブを加熱後、表2のイ〜ホに示すパススケジュールを採用して、種々の圧延終了温度で粗圧延した。引き続き、7段からなる仕上げ圧延機を用いて、圧延終了温度および累積圧下率を変えて圧延し、500 ℃まで水冷後、コイルに巻き取った。これらの圧延条件を表3にまとめて示す。ここで、発明例はすべて、粗圧延から仕上げ圧延に移行するまでの間で、900 ℃以上で30秒間保持された。このようにして得られた熱延板を酸洗、冷延、仕上げ焼鈍および酸洗を施すことにより、0.6 mm厚の冷延焼鈍板とした。ここで、表3に示すように、一部のものについては熱延板の酸洗前に焼鈍を施した。
【0031】
【表1】
Figure 0004239257
【0032】
【表2】
Figure 0004239257
【0033】
【表3】
Figure 0004239257
【0034】
【表4】
Figure 0004239257
【0035】
以上の条件によって製造した各鋼板について、それぞれ耐リジング性を評価した。耐リジング性の評価は、冷延焼鈍板から、JIS5号引張試験片を採取し、圧延方向に20%歪みを加え、発生したリジングのうねり高さを表面粗度計を用いて測定し、この測定値を表4に示す基準(この基準で、リジンググレードが2以下であれば実用上差し支えない)により行った。
得られた結果を表3に合わせて示す。表3から明らかなように、本発明に従った成分および工程の組合せによると、優れた耐リジング性を有する鋼板が製造可能であることがわかる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来技術では得られなかった優れた耐リジング性を有するTi含有フェライト系ステンレス鋼板を製造することが可能となる。したがって、本発明によれば、冷間加工後の表面性状が問題となる用途に供して好適なフェライト系ステンレス鋼板を、容易に製造することが可能になり、産業上優れた効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 0.3 wt%Ti含有フェライト系ステンレス鋼における粗圧延後の再結晶率に及ぼす、スラブ加熱温度の影響を示すグラフである。
【図2】 0.3 wt%Ti含有フェライト系ステンレス鋼板のリジング特性に及ぼす、粗圧延終了温度および仕上げ圧延終了温度の影響を示すグラフである。

Claims (6)

  1. C:0.010wt%以下、N:0.010wt%以下、かつC+N:0.015wt%以下、Cr:6wt%以上、35wt%以下、Ti:6×(C+N)wt%以上、0.5wt%以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなるスラブを、1160℃以下に加熱して、累積圧下率を85%以上、かつ、最終パス終了温度を950℃以上とする粗圧延を行い、粗圧延で得たシートバーを900℃以上で20秒以上保持し、次いで、累積圧下率を90%以上、かつ、最終パス終了温度を900℃以上とする仕上げ圧延を行い、その後、酸洗、冷間圧延および焼鈍を施すことを特徴とする、耐リジング性に優れたTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法において、スラブの組成が、上記成分のほかに、さらにSi:2.0wt%以下、Ni:1.0wt%以下、Mo:2.0wt%以下Cu:1.0wt%以下、Co:0.5wt%以下およびV:0.5wt%以下から選ばれるいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする、耐リジング性に優れたTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法において、スラブの組成が、上記成分のほかに、さらにB:0.01wt%以下、Ca:0.01wt%以下およびNb:0.05wt%以下から選ばれるいずれか1種または2種以上を含有することを特徴とする、耐リジング性に優れたTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法において、仕上げ圧延後、酸洗前に、焼鈍を行うことを特徴とする、耐リジング性に優れたTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法において、粗圧延の少なくとも1パスの圧下率を35%以上として圧延することを特徴とする、耐リジング性に優れたTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法において、仕上げ圧延の最終2パスの圧下率をそれぞれ20%以上として圧延することを特徴とする、耐リジング性に優れたTi含有フェライト系ステンレス鋼板の製造方法。
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