JP6575599B2 - 空気調和機の室内機 - Google Patents

Description

本発明は、空気調和機の室内機に関するもので、特に前面パネルの構造に関するものである。

近年、空気調和機の室内機において、前面パネルの前面は桟を設けないフラットな面形状にして室内のインテリアに溶け込むデザインとなり、空気は上部から吸い込む方式が主流となってきた。しかし、それだけでは桟が無いことで前面から吸い込めず、空気の吸込量が不足するため、前面からも空気を取り入れる必要がある。そこで、フラットな面形状の前面パネルの上下方向の中央に横長の凹部を形成し、その一部を吸込口として構成することで吸込風量を増やすとともに、フラットな面による単調なデザインにアクセント的な効果も与え、意匠性を向上させた空気調和機の室内機が提案されている（たとえば、特許文献１参照）。

ここで、前面パネルは空気調和機の室内機の点検修理、または、内包するフィルターおよび同前面パネルの清掃のために、着脱可能で取扱い易いことが求められる。そのため、合成樹脂で成形されたフラットな面形状の前面パネルの上下方向の中央に横長の凹部を形成し、その一部を吸込口として構成した場合は、着脱時に落下などの外力によって吸込口から左右端部にかけて変形や亀裂が発生しやすい。そこで、特許文献１では、強度を補強するため、左右端部の凹部の底面を他の部分の凹部の底面よりも浅くしている。

特許第４８４９２４１号公報

しかし、特許文献１は、左右端部の凹部の強度は他の部分に比べて弱く、落下などの外力が前面パネルに加わった場合、依然として左右端部の凹部を中心に変形および破損が生じやすいという課題があった。

本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、変形および破損を抑制できるとともに、意匠性を向上させることができる空気調和機の室内機を提供することを目的としている。

本発明に係る空気調和機の室内機は室内機本体の前面側に設けられ、前面がフラットな面形状を有する前面パネルと、前記前面パネルの前面側に取り付けられる意匠カバーと、を備えた空気調和機の室内機であって、前記前面パネルは、正面視して上下方向の中央に、左端部の内側から右端部の内側まで伸びる凹部を有し、前記凹部の下部には吸込口が形成されており、前記意匠カバーは、正面視して前記凹部の上端部から前記前面パネルの上端部まで、前記前面パネルの左端部から右端部までを覆い、前記前面パネルの左右端部よりもはみ出すように前記前面パネルの前面側に取り付けられる上意匠カバーと、正面視して前記凹部の下端部から前記前面パネルの下端部まで、前記前面パネルの左端部から右端部までを覆い、前記前面パネルの左右端部よりもはみ出すように前記前面パネルの前面側に取り付けられ、前記上意匠カバーとは別体である下意匠カバーと、を有し、正面視して前記前面パネルの前記凹部よりも左側および前記凹部よりも右側はフラットである。

本発明に係る空気調和機の室内機によれば、前面パネルの凹部よりも左側の凹側部は、フラットであり、かつ、左側の凹側部の上下のフラットな面と同一平面上であり、前面パネルの凹部よりも右側の凹側部は、フラットであり、かつ、右側の凹側部の上下のフラットな面と同一平面上である。そのため、凹側部に凹形状が形成されている場合に比べ、変形および破損を抑制できる。また、上意匠カバーと下意匠カバーとで前面パネルの左端部から右端部までを覆うことにより、上意匠カバーと下意匠カバーとの隙間に形成される影によって前面パネルを上下に分断させる視覚的効果が得られるため、シャープでスッキリとした印象を与え、意匠性を向上させることができる。

本発明の実施の形態に係る空気調和機の室内機を正面側から見た外観斜視図である。 本発明の実施の形態に係る空気調和機の室内機の正面図である。 図２に示す空気調和機の室内機のＹ−Ｙ断面の矢視図である。 図２に示す空気調和機の室内機のＺ−Ｚ断面の矢視図である。 本発明の実施の形態に係る空気調和機の室内機の前面パネルおよびその一部を拡大した斜視図である。 本発明の実施の形態に係る空気調和機の室内機の前面パネルおよび意匠カバーを示す斜視図であり意匠カバーを前面パネルに取り付ける前の図である。 本発明の実施の形態に係る空気調和機の室内機の前面パネルおよび意匠カバーを示す斜視図であり意匠カバーを前面パネルに取り付けた後の図である。

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。

実施の形態．
図１は、本発明の実施の形態に係る空気調和機の室内機を正面側から見た外観斜視図であり、図２は、本発明の実施の形態に係る空気調和機の室内機の正面図であり、図３は、図２に示す空気調和機の室内機のＹ−Ｙ断面の矢視図であり、図４は、図２に示す空気調和機の室内機のＺ−Ｚ断面の矢視図である。
なお、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語（例えば「上」、「下」、「右」、「左」など）を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本願発明を限定するものではない。また、本実施の形態では、室内機本体１００を正面視した状態において、「上」、「下」、「右」、「左」を使用する。

以下、図１〜図４に基づいて、室内機の構成について説明する。
本実施の形態に係る室内機は、冷媒を循環させる冷凍サイクルを利用することで室内などの空調対象域に空調空気を供給するものである。なお、本実施の形態では、室内機が空調対象域の壁面に取り付けられる壁掛け型である場合を例に示している。

室内機本体１００は、図１および図２に示すように、背面側に設けられ壁面に取り付けられる背面ケース１と、前面側に設けられ凹部１１および前面吸込口１２が形成された前面パネル２と、前面パネル２の前面側に取り付けられる意匠カバー３と、上部に開口形成され、主に室内空気を内部に吸い込むための上部吸込口４と、下部に開口形成され、空調空気を空調対象域に供給するための吹出口５と、を備えている。なお、意匠カバー３は、上意匠カバー３ａと下意匠カバー３ｂとで構成されている。

室内機本体１００内には、図３および図４に示すように、上部吸込口４および前面吸込口１２から室内空気を吸い込み、吹出口５から空調空気を吹き出す送風ファン６と、送風ファン６を上方から覆うように配置され、冷媒と室内空気とで熱交換することで空調空気を作り出す熱交換器７と、が収納されている。そして、これらの構成要素により室内機本体１００内に空気流路が連通されている。また、室内機本体１００内にはさらに、回路基板などを収容する図示省略の電気品箱と、熱交換器７の下端部の下方に設けられ、熱交換器７の結露水を回収するドレンパン８と、を備えている。

なお、送風ファン６は、例えば、クロスフローファンであり、熱交換器７は、例えばフィンチューブ型熱交換器であるが、それらに限定されない。

また、上部吸込口４および前面吸込口１２と熱交換器７との間には、吸い込まれた室内空気に含まれる塵埃などを取り除くためのフィルター９が設けられている。さらに、吹出口５には、気流の吹出し方向を制御する上下風向調整板１０が設けられている。

次に、室内機本体１００内における空気の流れについて簡単に説明する。
まず、室内空気は、送風ファン６によって室内機本体１００の上部吸込口４および前面吸込口１２から室内機本体１００内に流れ込む。このとき、フィルター９によって空気に含まれている塵埃などが除去される。この室内空気は、熱交換器７を通過する際に熱交換器７内を導通している冷媒によって加熱または冷却されて空調空気となる。そして、空調空気は、上下風向調整板１０によって風向きが調整され、吹出口５から室内機本体１００の外部、つまり空調対象域に吹き出されるようになっている。

図５は、本発明の実施の形態に係る空気調和機の室内機の前面パネル２およびその一部を拡大した斜視図であり、図６は、本発明の実施の形態に係る空気調和機の室内機の前面パネル２および意匠カバー３を示す斜視図であり意匠カバー３を前面パネル２に取り付ける前の図であり、図７は、本発明の実施の形態に係る空気調和機の室内機の前面パネル２および意匠カバー３を示す斜視図であり意匠カバー３を前面パネル２に取り付けた後の図である。なお、図５中の矢印は、拡大した箇所を示している。また、図６中の矢印は、意匠カバー３が取り付けられる位置を示している。

図５に示すように、前面パネル２は意匠性を向上させるため前面の全体がフラットな面形状である。また、矩形状を有し、室内機本体１００が壁面に取り付けられた状態において、長手方向が左右方向、つまり、水平方向となり、短手方向が上下方向、つまり、鉛直方向となる。また、正面視して上下方向の中央に、左端部の内側から右端部の内側まで伸びる凹部１１が形成されている。そのため、前面パネル２は、図３に示すように、上下方向の中央が前面側から背面側に向かって凹んでいる。

しかし、図５に示すように、前面パネル２の前面の上下方向の中央において、凹部１１よりも左側、つまり、凹部１１の左端部から前面パネル２の左端部までの部分（以下、左側の凹側部２ａと称する）は、フラットであり、かつ、左側の凹側部２ａの上下のフラットな面と同一平面上である。さらに、前面パネル２の前面の上下方向の中央において、凹部１１よりも右側、つまり、凹部１１の右端部から前面パネル２の右端部までの部分（以下、右側の凹側部２ａと称する）は、フラットであり、かつ、右側の凹側部２ａの上下のフラットな面と同一平面上である。また、凹部１１は、前面側から背面側に向かって凹んでおり、凹部１１の下部には、前面吸込口１２が形成されている。
なお、凹部１１が形成されている位置は、厳密に上下方向の中央でなくてもよい。

図６および図７に示すように、意匠カバー３は、例えば透明部品でできており、前面パネル２と同様に前面の全体がフラットな面形状である。また、矩形状を有し、室内機本体１００が壁面に取り付けられた状態において、長手方向が左右方向、つまり、水平方向となり、短手方向が上下方向、つまり、鉛直方向となる。また、意匠カバー３は、四側部の一部または全部に、背面側に突出した図示省略の周壁部が設けられており、それら周壁部の一部または全部に設けられた図示省略の爪により、前面パネル２に取り付けられる。なお、意匠カバー３を前面パネル２に取り付ける方法は爪に限定されず、例えば、接着剤などを用いて取り付けてもよい。

また、図６および図７に示すように、上意匠カバー３ａは前面パネル２の凹部１１の上側に、凹部１１の上端部から前面パネル２の上端部にかけて、前面パネル２の左端部から右端部までを覆うように取り付けられる。また、下意匠カバー３ｂは前面パネル２の凹部１１の下側に、凹部１１の下端部から前面パネル２の下端部にかけて、前面パネル２の左端部から右端部までを覆うように取り付けられる。そして、このように意匠カバー３を前面パネル２の前面側に取り付けることで、室内機本体１００を正面から見たときの意匠性を向上させている。

また、意匠カバー３が前面パネル２の前面側に取り付けられた状態において、図３および図４に示すように意匠カバー３は、前面パネル２の凹部１１、および左右の凹側部２ａよりも、前面側に突出している。そのため、上意匠カバー３ａと下意匠カバー３ｂとの隙間に影が形成される。そして、その影は前面パネル２の左右端部まで伸びて形成されるため、凹部１１が前面パネル２の左右端部まで伸びて形成されていなくても、影によって前面パネル２を上下に分断させる視覚的効果が得られるため、シャープでスッキリとした印象を与え、意匠性を向上させることができる。

また、意匠カバー３は、前面パネル２に取り付けられた際、前面パネル２の左右端部からはみ出す大きさに設けられており、室内機本体１００の側面も上下に分断するような構成とした場合に、前面側と統一感のあるデザインとすることができる。

なお、前面パネル２の色と意匠カバー３の色とは、例えば、白色同士など同色でもよいが、例えば、前面パネル２を黒色、意匠カバー３を赤色とするなど、前面パネル２の色と意匠カバー３の色とを異ならせることで、前面パネル２の凹部１１の色を強調させることができるため、意匠性をさらに向上させることができる。

また、前面パネル２は、凹部１１が左右端部まで伸びて形成されておらず、左側の凹側部２ａは、フラットであり、かつ、左側の凹側部２ａの上下のフラットな面と同一平面上である。さらに、右側の凹側部２ａは、フラットであり、かつ、右側の凹側部２ａの上下のフラットな面と同一平面上である。そのため、強度を確保することができ、凹側部２ａに凹形状が形成されている場合に比べ変形および破損を抑制できる。

また、上意匠カバー３ａと下意匠カバー３ｂとを同一部品とすることで、部品を成型する際の金型にかかるコストおよび部品管理コストを低減することができるため、製造コストを低減することができる。

また、意匠カバー３を透明部品とすることで、光が反射しやすくなるため、意匠性を向上させることができる。

また、透明部品でできた意匠カバー３を背面側から塗装することで、塗装面が傷ついたり剥がれたりするのを防ぐことができる。さらに、前面パネル２に取り付けた際に、意匠カバー３と前面パネル２との間に挟まれた埃、および、取り付け形状を隠ぺいすることができるため、意匠性を向上させることができる。

なお、本実施の形態では、意匠カバー３は、１つの上意匠カバー３ａと１つの下意匠カバー３ｂとで構成されているとしたが、それに限定されず、上意匠カバー３ａを例えば２つなど複数に分割して構成してもよいし、下意匠カバー３ｂも同様に、例えば２つなど複数に分割して構成してもよい。

以上のように、本実施の形態に係る空気調和機の室内機によれば、前面パネル２の左側の凹側部２ａは、フラットであり、かつ、左側の凹側部２ａの上下のフラットな面と同一平面上である。さらに、前面パネル２の右側の凹側部２ａは、フラットであり、かつ、右側の凹側部２ａの上下のフラットな面と同一平面上である。そのため、凹側部２ａに凹形状が形成されている場合に比べ、変形および破損を抑制できる。また、上意匠カバー３ａは前面パネル２の凹部１１の上側に、凹部１１の上端部から前面パネル２の上端部にかけて、下意匠カバー３ｂは前面パネル２の凹部１１の下側に、凹部１１の下端部から前面パネル２の下端部にかけて、それぞれ前面パネル２の左端部から右端部までを覆うことにより、上意匠カバー３ａと下意匠カバー３ｂとの隙間に形成される影によって前面パネル２を上下に分断させる視覚的効果が得られるため、シャープでスッキリとした印象を与え、意匠性を向上させることができる。

１ 背面ケース、２ 前面パネル、２ａ 凹側部、３ 意匠カバー、３ａ 上意匠カバー、３ｂ 下意匠カバー、４ 上部吸込口、５ 吹出口、６ 送風ファン、７ 熱交換器、８ ドレンパン、９ フィルター、１０ 上下風向調整板、１１ 凹部、１２ 前面吸込口、１００ 室内機本体。

Claims (8)

1. 室内機本体の前面側に設けられ、前面がフラットな面形状を有する前面パネルと、
   前記前面パネルの前面側に取り付けられる意匠カバーと、を備えた空気調和機の室内機であって、
   前記前面パネルは、
   正面視して上下方向の中央に、背面側へと凹んで、左端部の右側から右端部の左側まで伸びる凹部を有し、
   前記凹部の下部には吸込口が形成されており、
   前記意匠カバーは、
   正面視して前記凹部の上端部から前記前面パネルの上端部まで、前記前面パネルの左端部から右端部までを覆い、前記前面パネルの左右端部よりもはみ出すように前記前面パネルの前面側に取り付けられる上意匠カバーと、
   正面視して前記凹部の下端部から前記前面パネルの下端部まで、前記前面パネルの左端部から右端部までを覆い、前記前面パネルの左右端部よりもはみ出すように前記前面パネルの前面側に取り付けられる、前記上意匠カバーとは別体の下意匠カバーと、を有し、
   正面視して前記前面パネルの前記凹部よりも左側の凹側部は、
   フラットであり、かつ、左側の前記凹側部の上下のフラットな面と同一平面上であり、
   正面視して前記前面パネルの前記凹部よりも右側の凹側部は、
   フラットであり、かつ、右側の前記凹側部の上下のフラットな面と同一平面上である
   空気調和機の室内機。
2. 前記上意匠カバーと前記下意匠カバーとは別体の同一部品である
   請求項１に記載の空気調和機の室内機。
3. 前記前面パネルおよび前記意匠カバーは、前面の全体がフラットである
   請求項１または２に記載の空気調和機の室内機。
4. 前記意匠カバーは透明部品である
   請求項１〜３のいずれか一項に記載の空気調和機の室内機。
5. 前記意匠カバーは背面側から塗装が施されている
   請求項１〜４に記載の空気調和機の室内機。
6. 前記上意匠カバーは矩形である
   請求項１〜５に記載の空気調和機の室内機。
7. 前記下意匠カバーは矩形である
   請求項１〜６に記載の空気調和機の室内機。
8. 前記上意匠カバーと前記下意匠カバーの間に隙間を有する
   請求項１〜７に記載の空気調和機の室内機。

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