JP6575083B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
そのため、ドリフト量(図7に示した例では、0.5V)を知り、このドリフト量をセンサの検出値からキャンセルすることが必要となる。ドリフト量は、センサにおける赤外線の非検出状態の経時変化から推定できる。従来このドリフト量の推定手法として「長周期サンプリング」、「区間平均」、「重加算平均」の3つの手法がある。以下これらについて説明する。
長周期サンプリングは、所定のタイミングにおけるセンサの検出値と設計上のベース電圧との差をドリフト量と推定する手法である。図8は長周期サンプリングによるセンサのドリフト量の検出状態を示すグラフである。この例では、1.5秒ごとにサンプリングを行い、このサンプリングした検出値に基づいて、センサ検出閾値を補正して補正後の閾値を決定している。
図8に示す例では、サンプリング(3)に基づく補正後の閾値1.58Vを越える1.63Vのピーク値を検出したとき、人体を検出したと判定している。補正を行わない状態では、センサ検出閾値1.65Vであり、センサ検出値のピークが1.58Vとなっても人体を検出したことにならない。
区間平均は、単位時間さかのぼって得られた各周期での検出値の和を単位時間で割って基準値を求め、基準値と設計上のベース電圧との差をドリフト量と推定する手法である。区間平均における基準値Vkは、直近のn個のデータ(V,V1…Vn−1)の平均値である。
Vk=(V+V1+V2+…+Vn−1)/n ・・・式1
図9は区間平均によるセンサのドリフト量の検出状態を示すグラフである。この例では、センサ電圧サンプリング周期:1ms、現在時刻:t、現在のセンサ電圧:V、nサンプリング前の時刻:tn、nサンプリング前の電圧:Vn、とし、1600msにおける区間平均値:Vkを、
Vk=(V+V1+…+V1599)/1600 ・・・式2
で求めている。
これにより、現時刻から1600msだけさかのぼってセンサの出力値の区間平均値Vkを求め、この取得したVkとベース電圧1.4Vとの差を求め、この差を1.65Vから差し引き、補正後の基準値とする。図9に示す例では、この補正後の基準値を超えるピーク値を検出したとき、人体を検知したものと判定している。
重加算平均は、現在の電圧をV、重加算平均分母をNとしたときの重加算平均値「HAn+1」を以下の式に従って求め、基準値と設計上のベース電圧との差をドリフト量と推定する手法である。
HAn+1={(1/N)*V}+[{(N−1)/N}*HAn] ・・・式3
ここでn、n+1は「HA」の項数又は順序を示し、いずれも自然数である。
図10は重加算平均によるセンサのドリフト量の検出状態を示すグラフ図である。
これにより、取得した重加算平均値「HAn+1」とベース電圧1.4Vとの差を求め、この差を1.65Vから差し引き、補正後の基準値とする。図10に示す例では、この補正後の基準値を超えるピーク値を検出し、人体を検知していると判定している。
まず、長周期サンプリングによる手法では、サンプリングのタイミングによっては逆方向のドリフトと判定されてしまうという問題がある。例えば、図11(a)に示すように、サンプリング(2)、(3)で得られた値は、設計上のベース電圧1.4Vを超えているため、センサ検出閾値1.6Vは変更していない。このため、ピーク値1.63Vでは、人体を検出したと判定されない。
区間平均と重加算平均の問題点を明らかにするため、以下の条件の下でシミュレーションを行った。
赤外線センサとして使用される焦電センサは、特性上、基準値1.4V±0.05V程度のノイズが存在する。そのため、ドリフト量は1.4V±0.05Vであるとした。また、ドリフトしている期間が3s程度であるとした。
検知したい人体波形のピーク値は、ノイズと区別できる限界の値とする。S/N比を考慮すると基準値1.4V±0.23Vの波形を人体として検知できるようにしたい。
歩行する人体の脚部の運びは約1.4Hzであるため、センサで検知される人体の電圧値は約1.4Hzの周期となる(波形の立ち上がりは例えば350msecとする)。
同様に重加算平均では、式2の分母Nとして1400〜1800が上記の人体を検知するには適した値となる。図11(c)にはN=1400としてシミュレーションした結果を示しており、センサの検出値が補正後の閾値を超え、人体を検出したと判定している。
更に、特許文献1に記載の技術は、環境温度の変動によるドリフトの抑制を目的としているため、判定基準値を更新する周期が長いので、判定基準値を更新するタイミングによっては実際のドリフト方向とは逆方向にドリフトしていると判定されることがある。ノイズによって短期間に発生するドリフトに対応するには適していない。
以下本発明に係る人体検知装置、及び画像形成装置の実施形態について説明する。まず、画像形成装置について説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
第1転写ベルト208は、回転する支持ローラ208a及び駆動ローラ208b間に支持、張架されていて、矢印方向に移動可能に構成される。第1転写ベルト208の内側には、第1転写ローラ205が第1転写ベルト208を間に挟んで各感光体201に対向して配置される。
露光装置203は公知のレーザ光を使用した方式であり、フルカラー画像形成に対応した光情報を、一様に帯電された感光体201の表面に照射して静電潜像を形成する。露光装置203としてLEDアレイと結像手段からなるものも採用できる。第1転写ベルト208の図中右方には、第2転写ベルト215が配備されている。第1転写ベルト208と第2転写ベルト215は接触し、予め定められた転写ニップを形成する。第2転写ベルト215は矢印方向に移動可能に、支持ローラ215a及び駆動ローラ215b間に支持、張架されている。第2転写ベルト215の裏側(ループの内側)には、第2転写手段216が配備されている。第2転写ベルト215の外側には、第2転写ベルト用のクリーニング装置217、チャージャ218等が配備されている。このクリーニング装置217は、用紙にトナーを転写した後、第2転写ベルト215に残留する不要のトナーを拭い去る。
このとき第2転写ベルト215は矢印方向に移動していて、第2転写手段216の作用で、第2転写ベルト215の表面に第1転写ベルト208表面に作られた画像が転写される。4個の作像ユニットa、b、c、dの各感光体201上で画像が形成されながら、第1、第2転写ベルト208、215が移動し、作像が進められるので、その時間が短縮できる。第1転写ベルト208の表面が、所定位置まで移動すると、用紙の他の面に作成されるべきトナー画像が、前述したような工程で再度感光体201により作像され、給紙が開始される。
このような頁揃えのための作像順、ならびに、正、逆像(鏡像)に切り換える画像処理も、コントローラ上でのメモリに対する画像データの読書き制御によって行っている。第2転写ベルト215から画像を用紙に転写した後、ブラシローラ、回収ローラ、ブレード等を備えたクリーニング装置が、第2転写ベルト215に残留する不要のトナーや紙粉を除去する。以上が、「両面転写モード」による作像プロセスである。両面印刷の場合には、常にこの作像プロセスで印刷が行われる。
操作部10はユーザーが機器を操作するためのインターフェースであり、機器の操作に必要な情報を操作画面上に描画しユーザーの操作指示内容をシステム制御部20へ送る。スキャナ部100で光学的に読み取られた原稿の画像データは、エンジン制御部30を介しシステム制御部20に送信される。
定着器214は、エンジン制御部30で制御され、未定着トナーを用紙に定着する。電源33は、エンジン制御部30で制御され、機器に必要な電力を供給するものであり、商用電源からの入力電圧を機器で必要な電圧に変換して供給する。
システム制御部20、及びエンジン制御部30は画像形成装置1全体の制御を行っており、各動作モードに応じてシーケンシャルにスキャナ部100や定着器214の制御を行う。また機器の状態遷移として待機モードや稼働モード、一番電力状態が低くなる省エネルギーモードを備え、省エネルギーモードではシステム制御部20の中でもネットワーク機能など一部の機能と人体検知装置22のみに通電を行う。
センサ制御部24は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成されたコンピュータで構成され、CPUでプログラムを実行することにより、閾値演算処理部25の各機能を実現する。
センサ制御部24には、閾値演算処理部25が配置されている。閾値演算処理部25は、A/D変換部41、検出値メモリ42、区間平均演算部43、重加算平均演算部44、閾値決定部45、検出値比較部46を備える。A/D変換部41は、人体検知センサ23からのアナログ検出信号をデジタル信号に変換し出力する。デジタル信号への変換は予め定められたタイミング、例えば1msごとに行われる。検出値メモリ42は、デジタル変換された検出値を格納する。検出値は、予め定めた数、例えば10、即ち「T」として10ms分が格納される。
Vk=(V+V1+…+V9)/10 ・・・式4
に基づいて、区間平均を演算して出力する。
ここで、区間平均演算部43で処理する検出値の数は、検出値メモリ42の容量が小さくても済む程度としている。このため、検出値メモリ42としてコストが増す大容量のものを使用しなくてもよい。なお、区間平均演算部43で処理する検出値の数は操作部10から必要に応じて他の数に変更できる。
HAn+1={(1/256)*V}+{(255/256)*HAn} ・・・式5
に基づいて、重加算平均値「HAn+1」を計算する。これにより、人体検知センサ23のドリフト値が求められる。なお、n、n+1は「HA」の項数又は順序を示し、いずれも自然数である。
ここで、上述した焦電センサの特徴と、脚部の検出の特性に鑑み、区間平均が5ms〜20ms、重加算平均の分母Nを2の累乗、即ち、8/16/32/128/256とすることが望ましい。本例では、区間平均の単位時間を10ms、Nを256(2の8乗)とすることで、人体の脚部を良好に検出できる。なお、この分母Nは、操作部10からの操作で、256の他、2の累乗に変更できる。
操作部10からの操作により、「T」を20msとし、「N」を128としたり、他の値を組み合わせたりして「T×N」の値が人体の歩行周期により人体を検出可能な範囲に設定する。
「Han+1<1.4Vのとき、上側閾値=1.65V−(1.4V−Han+1)」
とし、
「Han+1>1.4Vのとき、下側閾値=1.15V+(Han+1−1.4V)」
とし、
「HAn+1=1.4Vのとき閾値変動なし」
とする。
これにより、人体検出の閾値を人体検知センサ23のドリフトに適合させて適正な値とすることができる。
次いで重加算平均演算部44は、区間平均演算部43からの区間平均値Vkを取得して、式5に基づいて、重加算平均値「HAn+1」を出力する(ステップS4)。閾値決定部45は、この重加算平均値「HAn+1」に基づいて閾値を上述した条件で補正する(ステップS5)。これにより一連の処理は終了し、スタートに戻り同じ処理を続けて行く。
検出値比較部46は、この補正された閾値と人体検知センサ23からの出力とを比較して、人体検知センサ23からの出力が補正された閾値を超えたとき、人体を検出したとする。すると、人体検知装置22は、システム制御部20に人体を検出した旨を出力し、システム制御部20は画像形成装置1を省エネルギーモードから復帰させる。
<第1態様>
本態様は、画像形成装置1に設置され、人体が画像形成装置1から所定範囲内に存在するか否かを検知する人体検知装置であって、赤外線を検知する人体検知センサ23と、人体検知センサ23から得られた検出値が予め定めた閾値を超えた場合に人体が画像形成装置1から所定範囲内に存在すると判断するセンサ制御部24と、検出値に対して平均処理、及び重加算平均処理を行い、これらの処理の結果に基づいて閾値を設定する閾値演算処理部25と、を備えることを特徴とする。
本態様によれば、閾値演算処理部25は、人体検知センサ23の出力値を平均処理した後、重加算平均処理して閾値を設定する。これにより、安価な小容量のメモリや演算能力が高くない演算素子を採用でき、軽い処理でセンサのドリフト量を知って正確に人体を検出することができる人体検知装置を実現できる。
本態様に係る人体検知装置22において、閾値演算処理部25は、検出値に対して予め定めた単位時間について平均処理を順次行い、この平均処理をされて順次求められた単位時間についての平均値について加重平均処理を行うことを特徴とする。
本態様によれば、人体検知センサ23の出力値を予め定めた単位時間についての平均処理を行い順次出力する。これにより、安価な小容量のメモリを採用でき、軽い処理でセンサのドリフト量を知って正確に人体を検出することができる人体検知装置を実現できる。
本態様は、人体検知装置22において、平均処理の単位時間を外部から変更可能であることを特徴とする。
本態様によれば、区間平均演算部43における平均処理の単位時間を変更することができる。これにより、必要とするメモリの容量を最小限のものにできる。
本態様は、人体検知装置22において、重加算平均処理の係数を外部から変更可能であることを特徴とする。
本態様によれば、重加算平均処理の係数を外部から変更できる。これにより、重加算平均数を2の累乗として高い計算能力を備えない演算素子で処理を実現できる。
本態様に係る人体検知装置22において、センサ制御部24は、平均処理における単位時間を「T」秒とし、重加算平均処理における除算の分母として使用する係数「N」を2の累乗とし、「T×N」の値が人体の歩行周期により人体を検出可能な範囲に「T」及び「N」の値を設定したことを特徴とする。
本態様によれば、「T」及び「N」を人体検出に適正な値とし、かつ大きな記憶容量や演算能力を必要しないものとできる。これにより、安価な小容量のメモリや演算能力が高くない演算素子を採用でき、軽い処理でセンサのドリフト量を知って正確に人体を検出することができる人体検知装置を実現できる。
本態様に係る人体検知装置22において、人体検知センサ23は、画像形成装置1の下側部分に配置され、近接する人体の脚部からの赤外線を検出することを特徴とする。
本態様によれば、画像形成装置1の下側に近接する人体の脚部からの赤外線を検出する。これにより、照明等からの雑音を低減でき、正確な人体の検出を実現できる。
本態様は、人体検知装置22を備えることを特徴とする画像形成装置である。
本態様によれば、人体検知センサ23の出力値を平均処理した後、重加算平均処理して閾値を設定して人体を検出できる。これにより、安価な人体検知装置で正確に人体を検出して、省エネルギーモードから復帰する画像形成装置を実現できる。
Claims (1)
- 人体が所定範囲内に存在するか否かを検知する人体検知装置を備えた画像形成装置であって、
前記人体検知装置は、
前記画像形成装置の前部に、下方に向けて配置され、該画像形成装置に近接する人体の脚部からの赤外線を検知する検知手段と、
前記検知手段から得られた検出値が予め定めた閾値を超えた場合に人体が前記画像形成装置から所定範囲内に存在すると判断する制御部と、
前記検出値に対して平均処理、及び重加算平均処理を行うことにより算出された前記検知手段のドリフト値に基づいて前記閾値を設定する処理部と、
を備え、
前記処理部は、前記検出値に対して予め定めた単位時間「T」について前記平均処理を順次行い、この平均処理をされて順次求められた単位時間についての平均値について加重平均処理を行う手段であり、
前記処理部は、前記単位時間を「T」秒とし、前記重加算平均処理における除算の分母として使用する係数「N」を2の累乗とし、「T×N」の値が人体の歩行周期により人体を検出可能な範囲に前記「T」及び「N」の値を設定し、
前記画像形成装置は、前記単位時間及び前記重加算平均処理の係数を操作する操作手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
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