JP6574349B2 - ナフテン系炭化水素用の脱水素触媒の製造方法、水素の製造システムの製造方法及び水素の製造方法 - Google Patents

ナフテン系炭化水素用の脱水素触媒の製造方法、水素の製造システムの製造方法及び水素の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭化水素用の脱水素触媒、水素の製造システム及び水素の製造方法に関する。
近年、環境負荷の小さい水素を燃料とする燃料電池を、自動車等の動力源に用いることが期待されている。水素の輸送、貯蔵及び供給の過程では、例えば、ナフテン系炭化水素(環状炭化水素)が利用される。例えば、水素の製造施設において、芳香族炭化水素の水素化により、ナフテン系炭化水素を生成させる。このナフテン系炭化水素を、水素の消費地へ輸送したり、消費地で貯蔵したりする。消費地において、ナフテン系炭化水素の脱水素により、水素と芳香族炭化水素とを生成させる。この水素を燃料電池へ供給する。ナフテン系炭化水素は、常温において液体であり、水素ガスよりも体積が小さく、水素ガスよりも反応性が低く安全である。そのため、ナフテン系炭化水素は水素ガスよりも輸送及び貯蔵に適している。
ナフテン系炭化水素用の脱水素触媒としては、白金‐レニウムのバイメタルをアルミナ担体に担持させた触媒が知られている(下記非特許文献1参照。)。
R.W.Coughlin, K.Kawakami, Akram Hasan, Journal of Catalysis, Vol. 88, 150‐162 (1984).
本発明は、優れた脱水素活性を有する炭化水素用の脱水素触媒、並びに当該脱水素触媒を用いた水素の製造システム及び水素の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る脱水素触媒は、炭化水素用の脱水素触媒であって、Alを含む担体と、担体に担持されたPtと、を備え、脱水素触媒の断面上に位置し且つ脱水素触媒の表面に垂直な直線に沿う、Ptの特性X線のスペクトルを、電子線マイクロアナライザを用いて測定したとき、スペクトルが脱水素触媒の表面側においてピークを有し、ピークの半値幅がWμmであり、脱水素触媒の単位体積当たりの、Ptの担持量がCg/mLであるとき、C/Wが1.3×10−4〜3.5×10−4g/mL・μmである。
本発明の一側面に係る上記脱水素触媒では、Wが12〜20μmであってよい。
本発明の一側面に係る上記脱水素触媒では、Ptを含む溶液に担体を浸漬する方法により、Ptが担体に担持されてよい。
本発明の一側面に係る水素の製造システムは、上記脱水素触媒を有し、脱水素触媒を用いた炭化水素の脱水素により、水素を生成させる脱水素反応器を備える。
本発明の一側面に係る水素の製造方法は、上記脱水素触媒を用いた炭化水素の脱水素により、水素を生成させる工程を備える。
本発明の一側面に係る上記水素の製造方法では、炭化水素が、ナフテン系炭化水素であってよい。
本発明によれば、優れた脱水素活性を有する炭化水素用の脱水素触媒、並びに当該脱水素触媒を用いた水素の製造システム及び水素の製造方法を提供することができる。
図1中の(a)は、本発明の一実施形態に係る円柱状の脱水素触媒を示す図である。図1中の(b)は、本発明の一実施形態に係る球状の脱水素触媒を示す図である。 図2中の(a)は、本発明の一実施形態に係る脱水素触媒の断面の一部分の模式図である。図2中の(b)は、本発明の一実施形態に係る脱水素触媒の断面上で測定されたPtの特性X線のスペクトルを示す。 図3は、本発明に係る水素の製造システムの一実施形態を示す模式図である。 図4中の(a)は、実施例3に係る脱水素触媒の断面の二次電子像である。図4中の(b)は、図4中の(a)における領域Iの拡大図である。図4中の(c)は、実施例3に係る脱水素触媒の断面の反射電子像である。図4中の(d)は、図4中の(c)における領域IIの拡大図である。 図5中の(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)は、電子線マイクロアナライザ(EPMA)によって撮影された実施例3に係る脱水素触媒の断面のイメージであり、Ptの特性X線のスペクトルを測定した箇所を示す。図5中の(f)、(g)、(h)、(i)及び(j)は、実施例3に係る脱水素触媒の断面上で測定されたPtの特性X線のスペクトルを示す。 図6中の(a)は、実施例3に係る脱水素触媒の断面上で測定されたPtの特性X線のスペクトルである。図6中の(b)は、図6中の(a)に示すスペクトルのベースライン補正により得られたスペクトルである。 図7は、実施例及び比較例に係る脱水素触媒其々のC/W(単位:g/mL・μm)と転化率rc(単位:%)との関係を示す。 図8は、実施例及び比較例に係る脱水素触媒其々の半値幅W(単位:μm)と転化率rc(単位:%)との関係を示す。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。図面において、同等の構成要素には同等の符号を付す。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
(炭化水素用の脱水素触媒)
本実施形態に係る脱水素触媒は、炭化水素の脱水素に用いられる。脱水素触媒は、Al(酸化アルミニウム)を含む担体と、担体に担持されたPt(白金)と、を備える。以下に説明するように、本実施形態に係る脱水素触媒は、その断面において測定されるPtの特性X線のスペクトルとPtの担持量とによって特徴付けられる。Ptの特性X線のスペクトルは、電子線マイクロアナライザ(EPMA)によって測定される。以下では、Ptの特性X線のスペクトルを、単に「スペクトル」ともいう。以下では、図1及び図2を参照しながら、スペクトルに基づく脱水素触媒のキャラクタライゼーション(characterization)の詳細を説明する。
図1中の(a)に示すように、本実施形態に係る脱水素触媒1は円柱状であってよい。図1中の(b)に示すように、本実施形態に係る脱水素触媒1の変形例は球状であってもよい。脱水素触媒1全体の形状は、特に限定されない。
図2中の(a)は、図1中の(a)又は(b)に係る脱水素触媒1の断面CSの部分拡大図である。つまり、図2中の(a)が示す断面CSは、図1中の(a)が示す円柱状の脱水素触媒1の断面CSであってよい。または、図2中の(a)が示す断面CSは、図1中の(b)が示す球状の脱水素触媒1の断面CSであってよい。図2中の(a)に示すように、脱水素触媒1の断面CSは、脱水素触媒1の表面Sに垂直な断面である。言うまでもなく、脱水素触媒1の断面CSは、脱水素触媒1を切断することによって形成される面であり、脱水素触媒1の表面S(外表面)とは異なる。脱水素触媒1の表面Sが曲面である場合、表面Sに垂直な断面CSとは、脱水素触媒1の表面Sに接する平面(接平面S’)に垂直であり、且つ脱水素触媒1の表面Sと接平面S’との接点pを通る平面であってよい。接平面S’が接する表面Sは、図1中の(a)に示すように、円筒状であってよい。接平面S’が接する表面Sは、図1中の(b)に示すように、球面であってもよい。脱水素触媒1の表面Sの形状は、図1に示す形状に限定されない。例えば、脱水素触媒1の表面Sは、平面であってもよい。
EPMAを用いたPtの特性X線のスペクトルの測定方法は、例えば、次の通りである。図2中の(a)に示すように、脱水素触媒1の断面CSを露出させる。脱水素触媒1の断面CS上に位置し、且つ脱水素触媒1の表面Sに垂直な直線aに沿って、電子線を照射する。つまり、脱水素触媒1の断面CSを直線aに沿って電子線で走査してよい。電子線の照射された箇所からPtの特性X線が放射される。この特性X線を直線aに沿って連続的に検出する。このような測定方法により、図2中の(b)に示すPtの特性X線のスペクトルが得られる。図2中の(b)が示すスペクトルの横軸は、図2中の(a)が示す直線aと一致してよい。スペクトルの横軸は、例えば、直線a上における原点0からの距離D(単位:μm)である。横軸の原点0は、電子線の照射(特性X線の検出)を開始した位置であってよい。横軸の原点0は、脱水素触媒1の外側に位置していてよく、脱水素触媒1の断面CSの中心側に位置してもよい。脱水素触媒1の外側から断面CSの中心側へ向けて、断面CSを電子線で走査してよい。脱水素触媒1の断面CSの中心側から外側へ向けて、断面CSを電子線で走査してよい。図2中の(b)が示すスペクトルの縦軸は、検出されるPtの特性X線の強度I(単位:cps)を示す。
電子線の加速電圧は、例えば、25kVであってよい。電子線の照射電流は、例えば、137nAであってよい。電子線のステップサイズは、例えば、0.5μm/stepであってよい。電子線の照射時間は、20msec/stepであってよい。
Ptの特性X線が有するエネルギーは、Pt元素に固有である。例えば、EPMAによって検出されるPtの特性X線は、Lα線であってよい。検出されるPtの特性X線の強度I(単位:cps)が強いほど、特性X線を放射する箇所に存在するPtの原子数が多い。したがって、図2中の(b)が示すPtの特性X線のスペクトルは、脱水素触媒1の断面CS上に位置する直線aに沿うPt元素の分布を示している。
図2中の(a)及び(b)の相対的な位置関係から明らかなように、Ptの特性X線のスペクトルは、脱水素触媒1の表面S側においてピークを有する。換言すれば、脱水素触媒1は、その表面S側に、Ptの存在量が極大となる領域を有している。つまり、脱水素触媒1の表面S近傍に位置する特性X線のピークは、Ptが脱水素触媒1の表面S近傍に局在することを示している。図2中の(b)に示すように、Pt元素の特性X線のピークの半値幅は、W(単位:μm)と定義される。脱水素触媒1の単位体積当たりのPtの担持量は、C(単位:g/mL)と定義される。本実施形態に係る脱水素触媒1では、C/Wが1.3×10−4〜3.5×10−4g/mL・μmである。C/Wが上記範囲にある脱水素触媒1は、従来の脱水素触媒と比較して、優れた脱水素活性を有する。その理由を以下に説明する。
脱水素触媒1による炭化水素の脱水素(脱水素反応)は、例えば、以下のような経路で進行すると考えられる。まず、還元雰囲気において、炭化水素が脱水素触媒1に接触する。次いで、活性点であるPtが炭化水素から少なくとも一対の水素原子を引き抜いて、水素分子と不飽和炭化水素が生成する。このような炭化水素の脱水素を促進する脱水素触媒1の活性を、脱水素活性という。
脱水素活性は、炭化水素の転化率Rcに基づいて評価される。脱水素触媒1の単位体積当たりの転化率Rcが高いことは、脱水素触媒1の脱水素活性が高いことを意味する。転化率Rcは、例えば、下記式(1)により定義される。
Rc(単位:%)=(M/M)×100={M/(M+M)}×100 (1)
式(1)中、Mとは、脱水素触媒1が配置された反応容器へ供給される炭化水素のモル数である。Mとは、脱水素反応の生成物中に含まれる不飽和炭化水素のモル数である。換言すると、Mとは、炭化水素の脱水素により生成した不飽和炭化水素のモル数である。Mとは、脱水素反応後に残存する原料(脱水素されなかった炭化水素)のモル数である。
脱水素触媒1の優れた脱水素活性とC/Wとの関係は以下の通りである、と推測される。
炭化水素の脱水素反応では、炭化水素の触媒内部への拡散速度よりも、反応速度が支配的である。そのため、炭化水素が触媒内部に拡散するよりも早く、脱水素触媒1の表面S近傍において、炭化水素が活性金属であるPtと接触し、脱水素反応が進行する。したがって、脱水素触媒1の内部深くに位置するPtは、炭化水素と接触し難く、脱水素反応に寄与し難い。半値幅Wが大きいことは、Ptが脱水素触媒1の表面Sから内部にわたる広い領域に分布することを意味する。つまり、半値幅Wが大きいことは、Ptが脱水素触媒1の表面Sのみならず、脱水素触媒1の内部深くにも存在していることを意味する。したがって、半値幅Wが大きいほど、脱水素触媒1の表面S近傍におけるPtの密度(例えばPt粒子密度)が小さくなる。つまり、C/Wが小さいほど、脱水素触媒1の表面S近傍におけるPtの密度が小さくなる。その結果、脱水素反応に寄与しうるPtの量が少なくなり、脱水素活性が不十分になる。また、半値幅Wが小さ過ぎる場合、脱水素触媒1の表面S側においてPt同士の間隔(例えばPt粒子の間隔)が小さ過ぎる。つまり、C/Wが大きいほど、脱水素触媒1の表面S近傍におけるPtの密度(例えばPt粒子の密度)が高くなる。その結果、脱水素触媒1の表面S近傍においてPtが凝集し易く、活性なPtの表面積が小さくなる。つまり、脱水素触媒1の活性点が少なくなる。その結果、炭化水素が十分にPtに接触せず、脱水素活性が不十分になる。C/Wが1.3×10−4g/mL・μm以上である場合、脱水素触媒1の深部に位置して脱水素反応に寄与しないPtが少ない。またC/Wが3.5×10−4g/mL・μm以下である場合、脱水素触媒1の表面S近傍に局在するPtが適度に分散して、炭化水素が接触するための十分なPtの表面積が確保される。したがって、C/Wが1.3×10−4〜3.5×10−4g/mL・μmである場合、脱水素触媒1の表面S近傍において、炭化水素の脱水素が効率的に進行する。つまり、優れた脱水素活性が実現する。
本実施形態に係る脱水素触媒1におけるPtの担持量Cが、C/Wが上記範囲にない従来の脱水素触媒におけるPtの担持量と同一であったとしても、本実施形態に係る脱水素触媒1は、従来の脱水素触媒よりも優れた脱水素活性を有する。換言すれば、本実施形態では、Ptの担持量Cが従来の脱水素触媒よりも少ない場合であっても、従来の脱水素触媒と同等の触媒活性を有することが可能である。したがって、本実施形態では、脱水素活性を犠牲にすることなく、高価なPtの担持量Cを低減することが可能となる。
脱水素活性をより向上させる観点から、C/Wは、1.4×10−4〜3.1×10−4g/mL・μmであってよい。C/Wは、1.4×10−4〜2.8×10−4g/mL・μmであってもよい。
半値幅Wは、10〜21μmであってよく、12〜20μmであってよく、であってよい。半値幅Wが上記範囲である場合、反応に寄与できるPtの割合が高くなり、転化率が向上しやすい傾向がある。
半値幅Wは、例えば、以下の方法により算出することができる。まず、脱水素触媒1の断面CSのうち、脱水素触媒1の表面S側の領域から、任意のN箇所を選択する。選択したN箇所でPtの特性X線のスペクトルを測定し、N個のスペクトルを得る。次に、以下の手順で各スペクトルを解析する。まず、図2中の(b)においてAで示す領域(Ptが存在していないと想定される領域)をベースラインとみなす。当該ベースラインにおける特性X線の強度Iの標準偏差σを算出する。次いで、スペクトルの特性X線の強度Iから3σを引くことによりスペクトルを補正する。この補正をベースライン補正という。補正後のスペクトルにおいて、ピークの半値幅を求める。ピークの半値幅とは、例えば、特性X線の強度がピークトップの強度の半分であってピークトップの両側に位置する2点間の距離(ピークの幅)である。N個のスペクトルを上記手順で解析し、N個の半値幅を得る。N個の半値幅のうち、最大値及び最小値を除いた残り(N−2)個の半値幅の平均値を求める。この平均値を半値幅Wとする。Nが3である場合、3個の半値幅のうち最大値及び最小値を除いた残り1個の半値幅(中間値)を、C/Wの算出に用いてもよい。半値幅Wの算出のためのデータ数N(Nは整数)は、例えば、3〜10であってよく、5であってよい。
担体は、Alのみからなっていてよい。Alの種類は限定されないが、Alの具体例としては、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、γ−アルミナ又はアルマイトが挙げられる。酸化アルミニウムの比表面積は、特に限定されないが、おおよそ100〜500m/gの範囲内に収まる。
担体は、長周期表第3族に属する金属元素(以下、単に「第3族金属」という。)を更に含んでいてよい。
第3族金属は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド及びアクチノイドからなる群より選択される少なくとも一種であってよい。ランタノイドとしては、例えば、ランタン(La)又はセリウム(Ce)が挙げられる。これらの第3族金属のうち、Ceが最も好ましい。
第3族金属は、金属単体として担体に含有されていてよい。第3族金属は、酸化物として、担体に含有されていてもよい。また、第3族金属は、Alとの複合酸化物として存在していてもよい。担体は、Alと、第3族金属との複合酸化物のみからなっていてもよい。第3族金属は、Alの内部に含まれていてよく、Alの表面に担持されていてもよい。第3族金属がAlの表面に担持されている場合、第3族金属が担持されたAlを「担体」という。
担体が第3族金属を含む場合、担体がAlのみからなる場合に比べて、Ptが担体の内部に担持されにくくなる。換言すれば、担体が第3族金属を含む場合、担体がAlのみからなる場合に比べて、ピークの半値幅Wが小さくなる傾向がある。
また、担体が第3族金属を含む場合、脱水素活性がより向上し易い傾向がある。第3族金属を担体に添加すると、その物理的、電子的又は化学的な作用により、触媒表面で活性点として作用するPtが増加したり、又は、活性点としてのPtの機能が増大したりするため、このような効果が得られると本発明者らは考える。また、本発明者らは、担体が第3族金属を含むことにより上記効果が得られる、具体的な理由の一つは以下の通りである、と考える。
第3族金属が担体の表面に担持されている場合、Al又は第3族金属の酸化物を構成する酸素の一部が還元雰囲気において担体から脱離して、担体に多数の格子欠陥が形成される。この格子欠陥にPtが嵌り込むことにより、Ptが担体に固定される。その結果、脱水素反応時の加熱によってPtがより高分散な状態となり、かつPtの担体表面における移動及び凝集がより抑制される。つまり、第3族金属が担体の表面に担持されることにより、従来の脱水素触媒に比べて、脱水素反応中のPtの表面積がより増大し、Ptの凝集がより抑制される。これにより、脱水素活性及び耐久性がより向上する。このような効果は、第3族金属がCeである場合に顕著である。第3族金属に起因する格子欠陥の形成は、例えば、脱水素触媒1のX線光電子分光(XPS)のスペクトルにおいて酸化物を構成する第3族金属に由来するピークの化学シフトを観察することによって確認することができる。
担体が第3族金属を含む場合、担体が第3族金属を含まない場合に比べて、脱水素反応中のPtの凝集がより抑制される。そのため、脱水素反応に伴う経時的な失活がより抑制され易く、高い脱水素活性がより長期間にわたり維持され易い。
ただし、担体が第3族金属を含まない場合であっても、脱水素触媒1は優れた脱水素活性を有する。
担体における第3族金属の含有量は、特に限定されないが、第3族金属の酸化物換算で、担体全体の質量に対して、0.1〜5.0質量%であってよい。担体全体の質量とは、第3族金属の酸化物の質量を含む。第3族金属の含有量が上記の下限値以上であることにより、白金表面積がより増加して、脱水素活性がより向上する傾向がある。第3族金属の含有量が上記の上限値以下であることにより、脱水素触媒1の機械的強度を維持しつつ、白金表面積を増加させ易くなる。また、第3族金属の含有量が上記の上限値以下であることにより、製造過程における担体の成形が容易になる。第3族金属の含有量が上記の上限値を大きく超えた場合、担体の性能が低下して、白金表面積が減少する傾向がある。しかし、第3族金属の含有量が上記数値範囲を外れる場合であっても、本発明の効果は達成される。例えば、担体における第3族金属の含有量は、第3族金属の酸化物換算で、Al100質量部に対して、0質量部より大きく、20質量部以下であってよい。担体における第3族金属の含有量は、第3族金属の酸化物換算で、Al100質量部に対して、0質量部より大きく、10質量部以下であってもよい。担体における第3族金属の含有量は、第3族金属の酸化物換算で、Al100質量部に対して、0.3〜5.0質量部であってよく、2.0〜3.0質量部であってもよい。担体における第3族金属の含有量が、第3族金属の酸化物換算で、Al100質量部に対して、2.0〜3.0質量部である場合、白金表面積が特に増大し易く、脱水素活性がより一層向上し易い傾向がある。
担体は、Al及び第3属金属以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分は、例えば、TiO及びSiOであってよい。これらの他の成分は、Alとの複合酸化物として存在していてもよい。担体は、Alと、上記他の成分との複合酸化物のみからなっていてもよい。
担体が第3属金属又は上記他の成分を含む場合、担体におけるAlの含有量は、担体の全質量を基準として、例えば、50〜99.5質量%又は80〜99.5質量%であってよい。Alの含有量が上記範囲である場合、脱水素活性が一層向上する傾向がある。
担体の形状は、特に限定されない。担体は、成形又は成型されていてよい。担体は、例えば、球状又は柱状であってよい。柱状の担体の断面(脱水素触媒1の断面CS)は、円状、三葉状、又は四葉状であってよい。担体は、プレート状、又はハニカム状であってよい。
担体の長径(例えば直径)は、特に限定されないが、1〜4mmであってよい。担体の長径が上記下限値以上である場合、優れた機械的強度が得られやすい。担体の長径が上記上限値以下である場合、脱水素触媒1の幾何学的表面積が小さくなりすぎず、C/Wを所望の範囲に調整し易くなる。同様の理由から、担体の長径は、1.15〜1.59mmであってよい。
Ptは、多数の原子、クラスター又は微粒子として、担体に担持されていてよい。担体に担持されたPtの微粒子の粒径は、特に限定されないが、例えば10nm以下であればよく、例えば1.6〜2.1nmであってもよい。本実施形態では、Ptが実質的に担体の表面全体に担持されているが、担体の表面には、Ptが担持されていない部分が存在していてもよい。Ptが担体の表面全体に担持されている場合、より優れた脱水素活性が得られやすい。
脱水素触媒1におけるPtの担持量Cは、脱水素触媒1の全体積基準で、6.0×10−4〜7.0×10−3g/mLであってよい。Ptの担持量Cが上記の下限値以上である場合、脱水素活性がより向上する傾向がある。また、Ptの担持量Cが上記の上限値を超える場合、Ptの担持量の増加に伴う触媒活性の向上の程度が緩やかになる。Ptの価格は非常に高いため、脱水素触媒1の実用化のためにはPtの担持量Cが限られる。同様の理由から、担持量Cは、2.8×10−3〜3.4×10−3g/mLであってよい。
担体には、Ptのみが担持されていてよい。担体には、Pt以外の他の金属成分が担持されていてもよい。他の金属成分は、短周期表の第VIII族元素(長周期表の第8〜10族元素)(Ptを除く)等であってよい。短周期表の第VIII族元素は、Fe(鉄)、Ru(ルテニウム)、Os(オスミウム)、Co(コバルト)、Rh(ロジウム)、Ir(イリジウム)、Ni(ニッケル)及びPd(パラジウム)からなる群より選択される少なくとも一種であってよい。担体に他の金属成分が担持されている場合、Ptは金属単体として担体に担持されていてよく、他の金属成分との合金として、担体に担持されていてもよい。
脱水素触媒1の形状は、上述した担体の形状と同一であってよい。脱水素触媒1の長径(脱水素触媒1のサイズ)は、上述した担体の長径(担体のサイズ)と同程度であってよい。
(脱水素触媒1の製造方法)
本実施形態に係る脱水素触媒1は、例えば、以下のように、Alを含む担体を得る工程(第1工程)と、得られた担体にPtを担持する工程(第2工程)と、を備える方法によって製造される。
[第1工程]
Alを含む担体は、公知の方法により作製することができる。担体には、市販のAlを用いてもよい。
担体が第3族金属を含有する場合、当該担体は、例えば、安定な多孔質構造を有する前のAl又はその前駆体に第3族金属化合物を混合し、多孔質構造を有する混合物を形成する方法により得ることができる。このような方法として、例えば、混練法、ゾルゲル法、共沈法などが挙げられる。
第3族金属化合物としては、例えば硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩、塩化物、アルコキシド、アセチルアセトナート等を用いればよい。
担体は、Alと第3族金属の酸化物を物理的に混合して得てもよい。Alの原料粉末と第3族金属化合物との混合物を成型し、成型体を焼成する工程により、第3族金属を担体に添加してもよい。Alの原料粉末としては、例えばγ−アルミナの原料であるベーマイト(Boehmite)を用いればよい。この場合の焼成温度は、第3族金属化合物の熱分解が進行し、且つベーマイトの焼結によりγ−アルミナが生成する温度であればよい。このような焼成温度は、例えば300〜600℃程度である。
担体は、以下の方法で作製してもよい。まず、擬ベーマイト状態のアルミニウムの水酸化物、第3族金属の硝酸塩の水溶液、及び稀硝酸を混練して混練物を調製する。次いで、混練物の押出し成形によってペレットを作製する。得られたペレットを焼成することにより、担体を作製する。このような方法によって担体を作製することにより、担体において第3族金属が分散し易い。このような担体を用いて作製された脱水素触媒1では、白金表面積が大きくなり易く、高い脱水素活性が得られ易い。擬ベーマイト状態のアルミニウムの水酸化物は、例えば、AlOOH又はAl・HOという組成式で表される。混練物は、ドウ(dough)とも呼ばれる。混練物のpHは、3〜7に調整すればよい。pHの調整により、混練物が適度な粘度を有し、混練物を成形し易くなる。混練物のpHは、硝酸の添加量によって変動する。混練物にアンモニア水を添加することにより、混練物のpHを調整してもよい。
担体が、Alに第3族金属が担持された担体である場合、当該担体は、例えば、多孔質のAlに、第3族金属を含む溶液(例えば水溶液)を担持する方法により作製することができる。第3族金属を含む溶液は、例えば、第3族金属化合物を溶媒に溶解させることにより調製することができる。第3族金属を含む溶液をAlに担持する方法としては、例えば含浸法(incipient wetness法、又はpore filling法)、吸着法、浸漬法(化学吸着法)、蒸発乾固法、噴霧法、イオン交換法、液相還元法等が挙げられる。これらの方法により、Alの表面に第3族金属の塩を付着させる。第3族金属の担持量は、第3族金属を含む溶液における第3族金属化合物の濃度又は第3族金属を含む溶液の使用量によって調整すればよい。
第3族金属の塩が付着したAlを焼成して塩を分解することにより、第3族金属がAlに担持される。焼成温度は、塩の熱分解が進行する温度であればよく、例えば300〜600℃程度であればよい。
焼成前又は焼成後の担体を、所定の形状に成形又は成型してよい。
[第2工程]
第2工程では、第1工程で得られた担体にPtを担持する。第2工程は、第1工程で得られた担体にPtを含む溶液(Pt溶液)を担持する工程を備えてよい。Pt溶液を担持する方法は、含浸法(incipient wetness法、又はpore filling法)、吸着法、浸漬法(化学吸着法)、蒸発乾固法、噴霧法、イオン交換法、液相還元法等であってよい。Pt溶液を担持する方法が、浸漬法(化学吸着法)である場合、Pt溶液が担体の表面全体に均一に担持されやすい傾向がある。そのため、浸漬法(化学吸着法)を用いた場合、ピークの半値幅Wが大きくなりすぎず、C/Wを所望の範囲に調整することが容易となる。
浸漬法(化学吸着法)によりPt溶液を担体に担持する方法について、より詳細に説明する。
浸漬法(化学吸着法)は、含浸法とは異なる担持方法である。浸漬法(化学吸着法)では、Pt溶液に担体を浸漬することにより、Pt溶液を担体に担持する。Pt溶液は、例えば、Ptの化合物を溶媒に溶解させることにより調製することができる。Ptの化合物は、特に限定されないが、液体の溶媒に可溶であることが求められる。Ptの化合物は、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩、塩化物、アルコキシド、アセチルアセトナート等であってよい。
Ptの化合物は、テトラクロロ白金酸、テトラクロロ白金酸カリウム、テトラクロロ白金酸アンモニウム、テトラクロロ白金酸ナトリウム、ビス(アセチルアセトナート)白金、ジアンミンジクロロ白金、ジニトロジアンミン白金、テトラアンミン白金ジクロライド、テトラアンミン白金水酸塩、テトラアンミン白金硝酸塩、テトラアンミン白金酢酸塩、テトラアンミン白金炭酸塩、テトラアンミン白金リン酸塩、ヘキサアンミン白金テトラクロライド、ヘキサアンミン白金水酸塩、ヘキサアンミン白金水酸塩、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金(IV)、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸ナトリウム、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸カリウム、硝酸白金及び硫酸白金からなる群より選択される少なくとも一種であってよい。
本実施形態では、担体を浸漬する際に、Pt溶液を激しく撹拌してよい。Pt溶液を激しく撹拌することにより、溶液中のPtイオンと、担体との接触回数を増やすことができる。その結果、Pt溶液が担体の表面全体に均一に担持されやすくなり、本実施形態に係る脱水素触媒1が得られやすくなる。
第2工程において、Ptの担持に用いるPt溶液の濃度(溶液中のPtの含有率)を調整することにより、Ptの担持量Cを調整することができる。
浸漬法では、Ptの担持速度(吸着速度)の調整により、Wを制御してもよい。ただし、Wは、Ptの担持速度の調整のみによって制御されるわけではない。Ptの担持速度V(単位:質量%/min)は、下記式(X)で定義される。
V=[Pt]/T (X)
式(X)中、Tとは、担体をPt溶液中に浸漬させる時間(単位:分)である。[Pt]とは、時間Tの間に担体に担持されるPtの量であり、完成後の脱水素触媒におけるPtの担持量を100質量%としたときの相対量(単位:質量%)である。
例えば、Ptの担持量が所望の担持量の80%に達するまで、Ptの担持速度Vを5〜6質量%/minに維持してよい。そして、Ptの担持量が所望の担持量の80%に達した後、Ptの担持速度Vを0.5〜1.5質量%/minに調整しながら、Ptの担持を完了してよい。Ptの担持速度Vが小さ過ぎる場合、所定量のPtを担持するのに時間がかかり、脱水素触媒の製造効率が低下する傾向がある。Ptの担持速度Vが大き過ぎる場合、Ptの担持斑が生じ、Wの斑も生じる傾向がある。
Pt溶液の温度が高いほど、Pt溶液中のPt化合物が担体へ吸着し易く、Ptの担持速度Vが大きい傾向がある。換言すれば、Pt溶液の温度が低いほど、Ptの担持速度Vが小さい傾向がある。また、Pt溶液の濃度が高いほど、Ptの担持速度Vが大きい傾向がある。一方、Pt溶液の濃度が低いほど、Ptの担持速度Vが小さい傾向がある。Pt溶液の温度又は濃度の調整により、Ptの担持速度Vを自在に制御することができる。
担体をPt溶液へ浸漬する前に、水を担体に吸収させてもよい。事前に水を担体に吸収させることにより、Ptの担体への急激な吸着が抑制される。その結果、Ptの担持速度の制御が容易になる。
第2工程は、Pt溶液が担持された担体を焼成するサブステップ有してよい。焼成によって担体に付着したPtの化合物を分解する。これにより、Ptが担体に担持され、本実施形態に係る脱水素触媒1が完成する。
Pt化合物(前駆体)が担持された担体の焼成に用いる炉は、例えば、固定型の炉であってよい。つまり、所定量の担体を焼成用容器に投入し、容器内の担体を撹拌することなく、炉内の温度を所定の温度まで昇温して、容器内の担体を焼成してよい。焼成に用いる炉は、ベルトコンベアー式の炉であってもよい。焼成に用いる炉は、ロータリーキルン等の回転式の炉であってもよい。ただし、固定型の炉又はベルトコンベアー式の炉は、回転式の炉に比べて、本実施形態に係る脱水素触媒1の製造に適している。回転式の炉は、担体を焼成する工程において一般的に用いられる。回転式の炉では、炉の回転により炉内の担体を撹拌しながら、担体を焼成する。炉の回転によって、担体の表面と炉の内壁との間で摩擦が生じる。その結果、当該担体の表面が削られてしまう。したがって、担持したPt又はPt化合物が担体の表面から脱離したり、ピークの半値幅Wの調整が困難となったりする。一方、固定型の炉又はベルトコンベアー式の炉を用いた場合、Ptが担体から脱離しにくく、C/Wを所望の範囲に調整することが容易となる。
焼成温度は、Ptの化合物の分解が進行する温度であればよく、例えば200〜500℃程度であってよい。焼成における昇温速度は、例えば1〜10℃/分であってよい。昇温速度が高いほど、Wが小さくなる傾向がある。昇温速度が低いほどWが大きくなる傾向がある。
浸漬法(化学吸着法)以外の方法によりPtを担体に担持する場合であっても、Pt溶液を、担体の表面に均一に接触させることにより、C/Wを所望の範囲に調整することが可能である。例えば、含浸法では、筒状の容器に担体を投入し、容器を回転させながら、Pt溶液を担体に含浸させればよい。これにより、Ptが担体の表面に均一に担持されやすくなる。
上記担持方法によってPtを担体に担持することにより、C/Wを1.4×10−4〜3.1×10−4の範囲に調整することができる。
本実施形態では、第2工程を繰り返してよい。つまり、Pt溶液の担体への担持及び担体の乾燥からなるサイクルを繰り返してよい。サイクルを繰り返した後、担体を1回焼成すればよい。例えば、Ptを含浸法により担体に担持した後、再度、Ptを含浸法により担体に担持してよい。この方法を2回含浸法という。担体へのPtの担持を複数回行うことにより、同量のPtを一度に担体へ担持する場合に比べて、脱水素活性が向上し易い傾向がある。その原因は、明らかではないが、Ptを複数回に分けて担体に担持する場合、各回の担持ステップに用いるPt溶液の濃度を薄めることにより、Ptをより均一に斑なく担体へ担持することが容易になることにある、と推測される。
(水素の製造システム、及び水素の製造方法)
本実施形態では、図3に示す水素の製造システム100を用いて、水素を製造する。なお、水素の製造システム100とは、例えば燃料電池車に燃料として水素ガスを供給するための水素ステーションである。
本実施形態に係る水素の製造システム100は、少なくとも脱水素反応器2、気液分離器4、水素精製装置6、及びタンク16を備える。製造システム100は、更に高圧コンプレッサー14を備えてもよい。脱水素反応器2は、上記本実施形態に係る脱水素触媒1を有し、当該脱水素触媒1を用いた炭化水素の脱水素により、水素及び有機化合物(不飽和炭化水素等)を生成させる。つまり、本実施形態に係る水素の製造方法は、上記本実施形態に係る脱水素触媒1を用いた炭化水素の脱水素により、水素及び有機化合物を生成させる工程(脱水素工程)を備える。
炭化水素は、例えば、ナフテン系炭化水素(環状炭化水素)であってよい。ナフテン系炭化水素(環状炭化水素)は、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、デカリン、1−メチルデカリン、2−メチルデカリン及び2−エチルデカリンからなる群より選択される少なくとも一種であってよい。これらの化合物は、有機ハイドライドと呼ばれる。
脱水素工程では、炭化水素を脱水素反応器2内へ供給する。脱水素反応器2内には、上記本実施形態に係る脱水素触媒1が設置されている。脱水素反応器2内は還元雰囲気である。脱水素反応器2内において、炭化水素が脱水素触媒1に接触すると、脱水素反応が起こり、少なくとも一対の水素原子が炭化水素から引き抜かれる。例えば、炭化水素としてナフテン系炭化水素を用いる場合、水素分子と、芳香族炭化水素等の有機化合物(不飽和炭化水素)と、が生成する。このように、脱水素反応は気相反応である。脱水素工程では、炭化水素と共に水素を脱水素反応器2内へ供給してもよい。これにより、脱水素活性がより長期間維持される傾向がある。
脱水素反応の条件は、特に限定されない。反応温度は、250〜420℃であってよい。反応温度を上記範囲に調整するためには、脱水素反応器2内の触媒層の中央部の温度を上記範囲に調整すればよい。液空間速度(LHSV)は、0.2〜4.0h−1であってよい。炭化水素と共に水素を脱水素反応器2内へ供給する場合、水素分圧は、0.1〜1.0MPaであってよい。また、脱水素反応器2内へ供給する水素のモル数nと、脱水素反応器2内へ供給する炭化水素のモル数nとの比n/nは0.05〜1.0であってよい。
脱水素反応の生成物(水素分子及び有機化合物)は、脱水素反応器2から気液分離器4内へ供給される。気液分離器4内の温度は、有機化合物の融点以上有機化合物の沸点未満である。したがって、気液分離器4内の水素分子は気体であり、気液分離器4内の有機化合物は液体である。つまり、気液分離器4内において、脱水素反応の生成物は、水素ガス(気相、気層)と、有機化合物の液体(液相、液層)と、に分離する。気液分離器4内の気相(水素含有ガス)は、は水素精製装置6へ供給される。気液分離器4内の液相(有機化合物の液体)は、タンク16へ供給される。なお、気相には、有機化合物の蒸気が混入している場合がある。気相における有機化合物の分圧は最大で有機化合物の飽和蒸気圧程度である。一方、液相には、脱水素されなかった有機ハイドライドが残存する場合がある。
気液分離器4から水素精製装置6へ供給された水素含有ガスは、水素精製装置6において精製される。水素精製装置6は、例えば、水素ガス及び有機化合物のうち水素ガスのみが選択的に透過する分離膜を備えてよい。分離膜は、例えば、金属膜(PbAg系膜、PdCu系膜、若しくはNb系膜など)、無機膜(シリカ膜、ゼオライト膜、若しくは炭素膜など)、又は高分子膜(フッ素樹脂膜、若しくはポリイミド膜など)であってよい。水素ガスが分離膜を透過することにより、水素ガスの純度が高まる。一方、水素含有ガス中の有機化合物(未反応の有機ハイドライド等)は、分離膜を透過することができない。したがって、有機化合物が水素含有ガスから分離され、高純度の水素ガスが精製される。精製された高純度の水素ガスは、高圧コンプレッサー14を経ることなく、燃料電池の燃料として用いられてもよく、高圧コンプレッサー14において圧縮された後、燃料電池の燃料として用いられてもよい。なお、有機化合物のみならず、微量の水素ガスも炭素膜を透過しない場合がある。炭素膜を透過しなかった水素ガスを、有機ハイドライドと共に回収して、オフガスとして、脱水素反応器2内へ供給してもよい。または、炭素膜を透過しなかった有機化合物を、タンク16内へ回収してもよい。水素精製装置6は、分離膜を備える装置に限定されない。水素精製装置6は、例えば、圧力スイング吸着(PSA)法、熱スイング吸着(TSA)法(温度スイング吸着法)、温度圧力スイング吸着(TPSA)法、及び深冷分離法からなる群より選ばれる少なくとも一種の方法を実施する装置であってもよい。これらの装置を用いて、水素含有ガスを精製し、精製に伴って生じたオフガスを脱水素反応器2内へ供給し、水素含有ガスから分離された有機化合物をタンク16へ供給してよい。精製された水素ガスの一部を、有機ハイドライドと共に脱水素反応器2へ供給してよい。これにより、脱水素反応器2内の脱水素触媒1の脱水素活性が維持され易くなる。
以上、本発明の一態様について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[第1工程]
担体として、多孔質のγ−アルミナからなる成型体を用意した。成型体の形状は円柱状であった。成型体の直径は約1/16inch(1inch=約25.4mm)であった。
[第2工程]
担体を筒状の容器に入れた。ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金酸の水溶液を調製した。この水溶液を、容器を回転させながら、容器内の担体へ滴下した。つまり、含浸法(pore filling法)により、溶液中の白金塩を担体に担持した。続いて、担体を100℃で一晩乾燥した。乾燥した担体を、空気中において330℃で2時間焼成して、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金を分解した。焼成には、マッフル炉を用いた。第2工程では、脱水素触媒におけるPtの担持量Cが3.0×10−3g/mLとなるように、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金酸水溶液の濃度を調整した。
以上の工程により、実施例1の脱水素触媒を作製した。実施例1の脱水素触媒は、γ−アルミナからなる担体と、担体に担持されたPtとを備える。脱水素触媒の単位体積当たりの、Ptの担持量Cは、3.0×10−3g/mLであった。
(実施例2)
[第1工程]
擬ベーマイト状態のアルミニウムの水酸化物の粉末に、所定量の水、硝酸セリウムの水溶液及び稀硝酸を添加して、これらを混練した。さらに、稀硝酸を添加することにより、混練物のpHを3〜7程度に調整した。混練物の押し出し成形により、柱状の成形体を作製した。成形体の断面は、四葉状であった。成形体の直径は1/22incであった。成形体を100〜150℃で2時間乾燥した。乾燥後の成形体を550℃で2時間焼成することにより、実施例2の担体を得た。担体は、γアルミナ及びCeを含む。担体におけるCeの含有量は、Ceの酸化物(Ce)換算で、Ceを含む担体全体の質量に対して、2質量%であった。
[第2工程]
ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金(IV)の水溶液を用意した。この水溶液を容器内で激しく撹拌しながら、第1工程で得られた担体を水溶液に浸漬した。つまり、化学吸着法により、Ptを担体に担持した。化学吸着法では、脱水素触媒におけるPtの担持量が所望の担持量の80%になるまで、Ptの担持速度を5〜6質量%/minに調整した。また、脱水素触媒におけるPtの担持量が所望の担持量の80%となった時点で、Ptの担持速度を0.5〜1.5質量%/minに調整した。次いで、担体を100℃で一晩乾燥した。乾燥した担体を、空気中において330℃で2時間焼成して、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金を分解した。焼成には、マッフル炉を用いた。第2工程では、脱水素触媒における白金(Pt)の担持量Cが2.9×10−3g/mLとなるように、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金酸水溶液の濃度を調整した。
以上の工程により、実施例2の脱水素触媒を作製した。実施例2の脱水素触媒は、γ−アルミナ及びCe(酸化セリウム)を含む担体と、担体に担持されたPtとを備える。実施例2のPtの担持量Cは、2.9×10−3g/mLであった。
(実施例3)
実施例3の第2工程では、脱水素触媒におけるPtの担持量Cが2.8×10−3g/mLとなるように、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金酸水溶液の濃度を調整した。また実施例3では、担体の焼成時における炉内の昇温速度を、実施例1及び2よりも小さい値に調整した。これらの点以外は実施例2と同様の方法で、実施例3の脱水素触媒を作製した。実施例3のPtの担持量Cは、2.8×10−3g/mLであった。
(実施例4)
実施例4の第2工程では、脱水素触媒におけるPtの担持量Cが2.8×10−3g/mLとなるように、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金酸水溶液の濃度を調整した。また実施例4では、実施例3とは異なるPtの担持速度(吸着速度)で化学吸着法を実施した。さらに実施例4では、担体の焼成時における炉内の昇温速度を、実施例1及び2よりも小さい値に調整した。これらの点以外は実施例2と同様の方法で、実施例4の脱水素触媒を作製した。実施例4のPtの担持量Cは、2.8×10−3g/mLであった。
(実施例5)
[第1工程]
実施例5では、実施例2と同じ担体を用いた。
[第2工程]
担体を筒状の容器に入れた。ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金酸の水溶液を調製した。この水溶液を、容器を回転させながら、容器内の担体へ滴下した。つまり、含浸法により、溶液中の白金塩を担体に担持した。続いて、担体を100℃で一晩乾燥した。
乾燥後の担体を筒状の容器に入れた。ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金酸の水溶液を調製した。この水溶液を、容器を回転させながら、容器内の担体へ滴下した。つまり、含浸法により、溶液中の白金塩を担体に担持した。続いて、担体を90℃で一晩乾燥した。乾燥した担体を、空気中において乾燥後の担体330℃で2時間焼成して、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金を分解した。焼成には、固定床式の炉を用いた。実施例5では、担体の焼成時における炉内の昇温速度を、実施例1及び2よりも小さい値に調整した。
以上のように、実施例5では、第2工程を2回行った。脱水素触媒におけるPtの担持量Cが2.9×10−3g/mLとなるように、各第2工程で用いたビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金酸水溶液の濃度を調整した。
以上の工程により、実施例5の脱水素触媒を作製した。実施例5の脱水素触媒は、γ−アルミナ及びCeを含む担体と、担体に担持されたPtとを備える。実施例5のPtの担持量Cは、2.9×10−3g/mLであった。
(実施例6)
実施例6の第1工程では、担体を円柱状に成形した。担体の直径は1/16inchに調整した。この点以外は実施例2と同様の方法で、実施例6の担体を得た。
実施例6の第2工程では、脱水素触媒におけるPtの担持量Cが3.4×10−3g/mLとなるように、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金酸水溶液の濃度を調整した。この点以外は実施例2と同様にして、Ptを実施例6の担体に担持させた。
以上の工程により、実施例6の脱水素触媒を作製した。実施例6のPtの担持量Cは、3.4×10−3g/mLであった。
(実施例7)
実施例7では、実施例2と同じ担体を用いた。実施例7の第2工程では、脱水素触媒におけるPtの担持量Cが3.1×10−3g/mLとなるように、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金酸水溶液の濃度を調整した。これらの点以外は実施例1と同様の方法で、実施例7の脱水素触媒を作製した。実施例7のPtの担持量Cは、3.1×10−3g/mLであった。
(実施例8)
実施例8の第2工程では、脱水素触媒におけるPtの担持量Cが3.1×10−3g/mLとなるように、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金酸水溶液の濃度を調整した。また実施例8では、担体の焼成時における炉内の昇温速度を、実施例1と同様の値に調整した。つまり、実施例8では、担体の焼成時における炉内の昇温速度を、実施例5よりも大きい値に調整した。この点以外は実施例5と同様の方法で、実施例8の脱水素触媒を作製した。実施例8のPtの担持量Cは、3.1×10−3g/mLであった。
(比較例1)
比較例1の第2工程では、脱水素触媒におけるPtの担持量Cが6.0×10−4g/mLとなるように、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金酸水溶液の濃度を調整した。この点以外は実施例8と同様の方法で、比較例1の脱水素触媒を作製した。比較例1のPtの担持量Cは、6.0×10−4g/mLであった。
(比較例2)
比較例2の第2工程では、脱水素触媒におけるPtの担持量Cが1.7×10−3g/mLとなるように、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金酸水溶液の濃度を調整した。この点以外は実施例8と同様の方法で、比較例2の脱水素触媒を得た。脱水素触媒の単位体積当たりの、Ptの担持量Cは、6.0×10−4g/mLであった。
[スペクトルの測定]
実施例3の脱水素触媒を、脱水素触媒の表面に垂直な方向に切断し、四葉状の断面を露出させた。EPMAを用いて、脱水素触媒の断面を観察した。EPMAとしては、日本電子製JXA−8800Rを用いた。撮影した脱水素触媒の断面の二次電子像及び反射電子像を図4に示す。図4中の(a)は、実施例3の脱水素触媒の断面の二次電子像である。図4中の(b)は、図4中の(a)においてIで示す領域の拡大図である。図4中の(c)は、脱水素触媒の断面の反射電子像である。図4中の(d)は、図4中の(c)においてIIで示す領域の拡大図である。
脱水素触媒の断面上で、Ptの特性X線のスペクトルを測定した。スペクトルの測定には上記EPMAを用いた。スペクトルの測定は、以下の手順で行った。
まず、脱水素触媒の断面のうち、脱水素触媒の表面側の領域から、任意の5箇所を選択した。選択した5箇所の画像を図5中の(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)に示す。図5中の(a)に示す断面を、直線b及び直線cの間に位置し直線b及び直線cに平行な直線に沿って、電子線で走査した。直線b及び直線cに平行な40本の直線に沿って走査を40回実施することにより、40通りのスペクトルを得た。直線b及び直線cの間において、電子線で走査した領域の幅は20μmであった。電子線の加速電圧は、25kVであった。電子線の照射電流は137nAであった。電子線のステップサイズは、20msec/stepであった。電子線の照射時間は0.5μm/stepであった。照射した電子線の幅(スポット径)は、0.5μmであった。40通りのスペクトルの強度を平均することにより、走査方向に沿うPtの特性X線のスペクトルを得た。得られたスペクトルを図5中の(f)に示す。
同様の方法で、図5中の(b)、(c)、(d)及び(e)に示す断面上でPtの特性X線のスペクトルを測定した。図5中の(b)に示す断面において測定したスペクトルを、図5中の(g)に示す。図5中の(c)に示す断面において測定したスペクトルを、図5中の(h)に示す。図5中の(d)に示す断面において測定したスペクトルを、図5中の(i)に示す。図5中の(e)に示す断面において測定したスペクトルを、図5中の(j)に示す。
[スペクトルの解析]
得られたPtの特性X線のスペクトルを以下の手順で解析した。
図6中の(a)に示すスペクトルは、図5中の(g)に示すスペクトルに相当する。ただし図6中の(a)に示す横軸の原点0は、図5中の(g)に示す横軸の原点0と必ずしも一致しない。まず、図6中の(a)においてA’で示す領域をベースラインとみなした。ベースラインにおける特性X線の強度Iの標準偏差σを算出した。次いで、スペクトルの特性X線の強度Iから3σを引くことで、スペクトルを補正した。これにより、図6中の(b)に示す補正後のスペクトルを得た。補正後のスペクトルから、ピークの半値幅を求めた。
上記と同じ手順で、図5中の(f)、(h)、(i)及び(j)に示すスペクトルも解析した。つまり、5つのスペクトルから5つの半値幅を得た。5つの半値幅のうち、最大値及び最小値を除いた3つの半値幅の平均値を算出した。この平均値を実施例3の半値幅Wとした。実施例3の半値幅Wは17μmであった。
半値幅W(μm)に対する担持量C(g/mL)の比C/W(g/mL・μm)を算出した。実施例3の比C/Wは1.6×10−4(g/mL・μm)であった。
他の実施例及び比較例其々の脱水素触媒を、実施例3と同様の方法で分析することにより、他の実施例及び比較例其々のPtの特性X線のスペクトルを得た。他の実施例及び比較例其々のスペクトルを、実施例3と同様の方法で解析することにより、他の実施例及び比較例其々のピークの半値幅W及び比C/Wを求めた。
実施例1の半値幅Wは21μmであった。実施例1の比C/Wは1.4×10−4g/mL・μmであった。
実施例2の半値幅Wは15μmであった。実施例2の比C/Wは1.9×10−4g/mL・μmであった。
実施例4の半値幅Wは20μmであった。実施例4の比C/Wは1.4×10−4g/mL・μmであった。
実施例5の半値幅Wは18μmであった。実施例5の比C/Wは1.6×10−4g/mL・μmであった。
実施例6の半値幅Wは12μmであった。実施例6の比C/Wは2.8×10−4g/mL・μmであった。
実施例7の半値幅Wは10μmであった。実施例7の比C/Wは3.1×10−4g/mL・μmであった。
実施例8の半値幅Wは10μmであった。実施例8の比C/Wは3.1×10−4g/mL・μmであった。
比較例1の半値幅Wは5μmであった。比較例1の比C/Wは1.2×10−4g/mL・μmであった。
比較例2の半値幅Wは4μmであった。比較例2の比C/Wは4.3×10−4g/mL・μmであった。
[脱水素活性の評価]
実施例1〜8、並びに比較例1及び2の脱水素触媒の脱水素活性を、以下の方法により評価した。
まず、脱水素触媒0.5mLを固定床流通式の反応器内に充填した。次に、メチルシクロヘキサン(以下、場合により「MCH」という。)及び水素の混合ガスを反応器内へ供給しながら、触媒層の出口部の温度を300℃に維持した。これにより、反応器内でMCHの脱水素反応を継続させた。混合ガスにおける、水素のモル数nと、MCHのモル数nとの比n/nは0.7とした。反応圧力は0.19MPaGであった。反応器内へ供給するMCHの液空間速度(LHSV)を80h−1に維持した。反応開始から所定の時間が経過した時点で反応器から排出されたガスを回収して冷却し、生成油を得た。
生成油をガスクロマトグラフ−水素炎イオン化検出器(GC−FID)で分析した。生成油に含まれるMCHのGC面積(ピーク面積)と、液体に含まれるトルエンのGC面積との比率から、300℃でのMCHの転化率rcを算出した。rcは、下記式(2)で定義される。
rc(単位:%)=(m/m)×100={m/(m+m)}×100 (2)
式(2)中、mとは、脱水素触媒が配置された反応容器へ供給されるメチルシクロヘキサンのモル数である。mとは、脱水素反応の生成物中に含まれるトルエンのモル数である。換言すると、mとは、メチルシクロヘキサンの脱水素により生成したトルエンのモル数である。mとは、脱水素反応後に残存するメチルシクロヘキサン(脱水素されなかったメチルシクロヘキサン)のモル数である。
高い転化率rcは、優れた脱水素活性を意味する。実施例及び比較例其々の転化率rcを、下記表1に示す。図7は、実施例及び比較例其々のC/Wと転化率rcとの関係を示す。図8は、実施例及び比較例其々の半値幅Wと転化率rcとの関係を示す。表1及び図7に記載の「E−0n」(nは自然数)とは、「×10−n」を意味する。
本発明に係る脱水素触媒を用いた炭化水素の脱水素によって生成する水素ガスは、例えば、燃料電池車の燃料として利用される。
1…脱水素触媒、S…表面、CS…断面、a…直線、2…脱水素反応器、4…気液分離器、6…水素精製装置、14…高圧コンプレッサー、16…タンク、100…水素の製造システム。

Claims (4)

  1. ナフテン系炭化水素用の脱水素触媒の製造方法であって、
    前記脱水素触媒は、Alを含む担体と、前記担体に担持されたPtと、を備え、
    前記脱水素触媒の断面上に位置し且つ前記脱水素触媒の表面に垂直な直線に沿う、Ptの特性X線のスペクトルを、電子線マイクロアナライザを用いて測定したとき、
    前記スペクトルが前記脱水素触媒の表面側においてピークを有し、
    前記ピークの半値幅がWμmであり、
    前記脱水素触媒の単位体積当たりの、前記Ptの担持量がCg/mLであるとき、
    C/Wが1.3×10−4〜3.5×10−4g/mL・μmであり、
    前記Wが10〜21μmであり、
    前記Ptを含む溶液に前記担体を浸漬する方法により、前記Ptを前記担体に担持させることを特徴とし、
    前記方法では、Ptの担持量が所望の担持量の80%に達するまで、Ptの担持速度Vを5〜6質量%/minに維持し、Ptの担持量が所望の担持量の80%に達した後、Ptの担持速度Vを0.5〜1.5質量%/minに調整しながら、Ptの担持を完了させる、
    ナフテン系炭化水素用の脱水素触媒の製造方法。
  2. 前記Wが12〜20μmである、
    請求項1に記載の脱水素触媒の製造方法。
  3. 脱水素触媒を有し、前記脱水素触媒を用いたナフテン系炭化水素の脱水素により、水素を生成させる脱水素反応器を備える、水素の製造システムの製造方法であって、
    前記脱水素触媒として、請求項1又は2に記載の方法により製造される脱水素触媒を用いる、
    水素の製造システムの製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の方法により製造される脱水素触媒を用いたナフテン系炭化水素の脱水素により、水素を生成させる工程を備える、
    水素の製造方法。
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