JP2018144016A - 脱水素触媒及びその製造方法並びにそれを用いた脱水素処理方法 - Google Patents

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政志 斉藤
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利行 渡邉
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Abstract

【課題】 担体の細孔内部にまで触媒金属が分散した状態で担持された脱水素触媒を提供する。【解決手段】 少なくともアルミナとチタニアとからなり、好適にはアルミナからなる基材にチタニアが被覆された形態を有する複合担体に脱水素触媒金属として好ましくは白金及び/又はロジウムが担持されてなる脱水素触媒であって、該複合担体は、比表面積が150m2/g以上450m2/g以下、細孔容積が0.36cm3/g以上1.10cm3/g以下、平均細孔径が4〜30nmであって、該脱水素触媒金属が該担体外表面及び細孔内表面に分散して担持されており、好ましくは細孔シャープネス度が50%以上である。【選択図】 図3

Description

本発明は、脂肪族環状炭化水素化合物を芳香族炭化水素化合物に脱水素化する脱水素触媒及びその製造方法並びに該脱水素触媒を用いた脂肪族環状炭化水素化合物の脱水素処理方法に関する。
近年、エネルギー媒体として水素エネルギーが注目されている。水素はクリーンであることに加えて化石燃料、原子力、再生可能エネルギーなどあらゆる一次エネルギーから製造可能であるという利点を有しているが、そのエネルギーを大規模に利用するには、大量の水素を貯蔵したり長距離輸送したりできることが必要であり、その技術の一つとして有機ケミカルハイドライド法が提案されている(非特許文献1、2)。
この方法は、水素を水素化反応でトルエン等の芳香族炭化水素に固定することによって、常温常圧で液体のメチルシクロヘキサン等の有機ケミカルハイドライドに転換し、この有機ケミカルハイドライドの形態で水素の消費地へ輸送すると共に該消費地で一旦貯蔵した後、脱水素反応を行って有機ケミカルハイドライドから製品としての水素を取り出すと共に並行して生成されるトルエン等の芳香族炭化水素を回収・再利用する方法である。この方法は、上記のようにガソリンの成分であるトルエンやメチルシクロヘキサン等を利用するので、水素の貯蔵や輸送をガソリンと同様に取り扱うことができ、既存のガソリン流通のインフラを転用できるという利点を有している。
「水素貯蔵材料 有機ハイドライドを利用する水素貯蔵・供給システムの特徴と将来性」、梅沢順子、ペトロテック、vol.29、No.4、253−257(2006) 「グローバルな水素サプライチェーン構想と有機ケミカルハイドライド法水素貯蔵・輸送システムの開発」、岡田佳巳、斉藤政志、恩田信博、坂口順一、水素エネルギーシステムvol.33、No.4、p.8(2008)
上記の脱水素反応で用いる脱水素触媒には、従来、アルミナやシリカ等の金属酸化物からなる多孔性触媒担体に白金等の脱水素触媒金属を担持させたものが用いられてきた。係る脱水素触媒を作製する場合は、例えば塩化白金酸水溶液、塩化白金アンモニウム水溶液、アセチルアセトナト白金等の有機白金化合物の溶液等の触媒金属化合物の溶液を多孔性触媒担体に含浸させ、これを乾燥させて触媒金属化合物担持乾燥物とした後、例えば350〜800℃及び0.5〜24時間の条件で焼成し、得られた触媒金属化合物担持焼成物に対して必要に応じて例えば250〜800℃及び0.5〜24時間の条件で水素還元することにより製造することが行われてきた。
このような方法で製造された金属触媒は、例えば触媒担体として最も広く用いられているアルミナの多孔性担体に触媒金属として代表的な活性金属種の1つである白金を担持させた白金担持アルミナ触媒の場合、アルミナ担体に対する白金化合物の吸着力が強いため、白金化合物がアルミナ担体の細孔内部に拡散する前にアルミナ担体の外表面に吸着されてそのまま固定され、担体の細孔内部には触媒金属がほとんど担持されなくなり、その結果、活性金属粒子の分散度が不十分になって、活性金属粒子の密度が局所的に高い部位においてシンタリングやコーキングによる触媒劣化が起きやすくなる等の問題を生ずることがあった。
このように、白金等の活性金属を担体の細孔内部にまで分散して担持させることは容易ではなく、担体への吸着力が強い競争吸着剤を併用する方法等を利用することが提案されているが(触媒学会編触媒講座第5巻触媒設計第134〜141頁)、この方法においても担体の細孔内部にまで活性金属が分散するように触媒を調製するのは容易ではなかった。本発明は上記した従来の問題に鑑みてなされたものであり、担体の細孔内部にまで触媒金属が分散した状態で担持された脱水素触媒及びその製造方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る脱水素触媒は、少なくともアルミナとチタニアとからなる複合担体に脱水素触媒金属が担持されてなる脱水素触媒であって、前記複合担体は、比表面積が150m/g以上450m/g以下、細孔容積が0.36cm/g以上1.10cm/g以下、平均細孔径が4〜30nmであり、好ましくは細孔シャープネス度が50%以上であって、該脱水素触媒金属が該担体外表面及び細孔内表面に分散して担持されていることを特徴としている。
本発明によれば、担体の外表面及び細孔内表面に触媒金属が分散した状態で担持された脱水素触媒を提供することができる。これにより脱水素触媒の触媒活性、反応選択性、寿命等を向上させることができるので効率のよい脱水素処理反応を行うことが可能になる。
本発明の実施例の脱水素触媒を構成する複合担体及び比較のために作製した混合担体のX線回折分析結果を示すグラフである。 本発明の実施例の脱水素触媒を構成する複合担体の細孔分布を示すグラフである。 本発明の実施例である試料1の脱水素触媒の断面をSEM/EDXで測定したときの各元素の分布を示すグラフである。 本発明の比較例である試料2の脱水素触媒の断面をSEM/EDXで測定したときの各元素の分布を示すグラフである。 本発明の実施例における試料1及び試料2の脱水素触媒のMCH転化率の経時変化を示すグラフである。
1.脱水素触媒
以下、本発明の脱水素触媒の一具体例について説明する。この本発明の一具体例の脱水素触媒は、少なくともアルミナとチタニアとからなる複合担体に脱水素触媒金属が担持されたものであり、この複合担体は、表面積が150m/g以上450m/g以下であり、細孔容積が0.36cm/g以上1.10cm/g以下であり、平均細孔径が4〜30nmであり、好ましくは細孔シャープネス度が50%以上である。この脱水素触媒は脱水素触媒金属として例えば白金やロジウムが該担体外表面及び細孔内表面に分散して担持されている。
具体的に説明すると、本発明の一具体例の脱水素触媒の担体は、酸化アルミニウム(以下、アルミナとも称する)及び酸化チタン(以下、チタニアとも称する)の少なくとも2種類の金属からなり、例えばアルミナからなる基材の表面にチタニアが被覆された形態を有している。アルミナは、それ自身大きな比表面積を有する多孔質体を形成しやすく、この多孔質体に酸化チタンを被覆してなる多孔質複合担体(以降、単に複合担体とも称する)においても極めて大きな比表面積を維持することができる。
上記したアルミナからなる基材の形状としては特に制約はなく、各種の形状を採用することができるが、比表面積を大きく確保でき、広範な細孔構造の制御が可能であり、機械的強度が高いことから、無数の略同サイズの針状体又は柱状体が三次元的に複雑にからみ合うことによって無数の細孔群が三次元方向にランダムに延在して多孔部を構成する骨格構造がより好ましい。係る針状体や柱状体の好適なサイズは、各針状体又は柱状体のアスペクト比(即ち、長手方向の長さを該長手方向に垂直な断面の相当直径で除した値)が2.5以上であるのが好ましく、5.0以上がより好ましい。
上記のアルミナからなる基材は、pHスイング法で合成したものであることが好ましい。pHスイング法で形成することによって、上記の無数の略同サイズの針状体又は柱状体が三次元的に複雑にからみ合った骨格構造を全体に亘って略均質に形成することができる。pHスイング法とは、アルミナの原料となる無機酸化物合成液のpHを酸性側とアルカリ性側との間で変化させることにより、無機酸化物を溶解領域と沈殿領域にスイングさせ、目的の大きさまで略均質に成長させる合成方法のことである。pHスイング法では、スイング回数、合成温度、酸性側やアルカリ性側のpH及び保持時間、原料濃度、粒子成長調整剤等の添加物の有無など、各種条件を適宜制御することにより、所望の細孔径を有する略均一な細孔構造の無機酸化物の粒子を得ることができる。従って、触媒の用途等に応じてpHスイング法による上記無機酸化物の合成時の各種条件を適宜選択すればよい。
pHスイング法によるアルミナの合成については、例えば特公平1−16773号公報、特公平2−56283号公報、特公昭56−120508号公報、特公昭57−44605号公報、特願2002−97010号、特開昭56−115638号公報、「セラミックス」1998年No.4等の文献に詳細に記載されている。本発明はこれらの開示内容を含むものとする。
上記したアルミナからなる基材の表面に被覆させるチタニアは、一般に略球形形状を有しており、これをそのまま基材の表面に付着させてもよいが、アルミナからなる基材に対してチタニアを化学的及び/又は微視的に一体化させることでチタニアの形状が確認できないような状態でアルミナ基材の表面を被覆するのが好ましい。本発明者らはこれについて鋭意研究を重ねた結果、アルミナ基材の表面でチタニアをアルミナに対して化学的及び/又は微視的に一体化した状態で被覆させることにより、X線回折を行ってもチタニアの結晶構造を示さない担体が得られ、そして、この担体を脱水素触媒の担体として用いることで、高い反応選択性を引き出すと共に触媒活性の維持に対しても顕著な効果を発現することを見出した。
ここで、「化学的及び/又は微視的に一体化した状態」とは、アルミナからなる基材の外表面や細孔内面を被覆するチタニアが、例えば凝集や混合のように単に物理的に基材表面に接触して存在しているのではなく、化学的に強固に結合しているかあるいは結晶格子面の繰り返し長さが5nm以下の状態で基材表面を覆うように結合してアルミナとチタニアとが一体化している状態を指す。この一体化状態の複合担体は、基材となるアルミナの化学的特性に左右されずにチタニアの触媒活性効果を示すものとなる。その結果、アルミナとチタニアとの単なる中間的な性能はほとんど発現しなくなる上、アルミナの複合効果による副反応が助長されなくなって、反応物の選択性が低下したり触媒劣化が進んだりといった不具合が生じにくくなる。
すなわち、従来のチタニアと異種酸化物との複合物(異種酸化物をチタニア粒子のバインダーとするものや、共沈法により作製したチタニアと異種酸化物との混合物等)では、担体表面に異種酸化物がまだらに現れるので、チタニアと異種酸化物の双方の性質に由来する触媒反応特性が発現する。それに対して、上記した本発明の一具体例の脱水素触媒では、ヒドロゲルの状態において、基材となるアルミナ結晶の一次粒子表面にチタンの水酸化物が薄層で被覆するので、焼成により細孔構造の定まった基材への蒸着等によるコーティングとは異なり、細孔サイズの大小に関係なく担体のほぼ全ての露出面をチタニアとすることができるので、チタニアに由来する性質のみを発現させることができる。更に、上記した複合担体ではアルミナ基材の物理的特性が反映されるので、アルミナ基材自身が有する優れた特徴をも備えることになる。
すなわち、アルミナ基材の表面にチタニアを被覆させた複合担体は、比表面積が大きくて細孔容積が大きく、反応物質に適した細孔分布を有し、機械的強度の高いアルミナ基材の特徴と、高い表面活性を有するチタニアの優れた化学的特性との両方を兼ね備えた担持体を実現することができる。しかも、高価で高密度のチタンの酸化物を基材の表面にのみ被覆させるだけであるので、高純度のチタニア担体と比較して軽量化できる上コストを大幅に抑えることも可能になる。
なお、本発明の一具体例の脱水素触媒には、複合担体に加えて、化学的及び/又は微視的に一体化せずに例えば複数のアルミナ粒子と複数のチタニア粒子とが混在した状態で結合した担体が部分的に含まれていても構わない。この場合のアルミナ粒子と混在するチタニア粒子とは、アルミナ基材と化学的及び/又は微視的に一体化していないチタニアの粒子であると考えることができる。本発明の一具体例の脱水素触媒に用いる担体にこの種のチタニア粒子が存在する場合、X線回折分析において、当該チタニア粒子の含有割合に応じて、チタニアの存在を示すアナタース結晶の(101)面に相当するメインピーク(X線源にCuKα線を用いる一般な装置では回折角2θ=25.3±0.2°に出現)が検出されることがある。
ただし、本発明の一具体例の脱水素触媒で用いる担体では、たとえX線回折分析でアナタース結晶の(101)面に相当するピークが検出される場合であっても、そのピーク強度は、アナタース結晶を有するチタニアがアルミナに単に物理的に混合した担体に比べて極めて小さなものとなる。これは本発明の一具体例の脱水素触媒に用いる担体にこの種のチタニア粒子が存在する場合であっても、担体として含有される全酸化チタンに対してマイナーな存在量に過ぎないためである。なお、ここで想定するチタニア粒子は本発明の一具体例の脱水素触媒に用いる担体と同じチタン原料から合成及び洗浄され、最終的に本発明の一具体例の脱水素触媒に用いる担体と同温度で焼成処理されたアナタース結晶を有するものと考えることができる。
上記した「化学的及び/又は微視的に一体化」している状態の一例としては、アルミナ基材の表面におけるチタニアの結晶格子面の繰り返し長さが、好ましくは5nm以下、より好ましくは4nm以下、最も好ましくは2nm以下となっている状態を挙げることができる。一般的には、このように結晶格子面の繰り返しが微細な物質は、X線回折装置で測定すると他の回折線との重なり等が生じてしまい、測定限界をオーバーしてしまう。その結果、一般的なX線回折装置により複合担体の表面を測定しようとしても、チタニアのアナタース結晶のメインピーク2θ=25.3゜近傍が検出されない場合がある。逆にいうと、アルミナの表面に、確実にチタニアが存在しているにもかかわらず、一般的なX線回折装置によりチタニアのメインピーク2θ=25.3゜近傍が検出されない場合には、上記した複合担体であると判断することができる。勿論、上記した通り、本発明の一具体例の脱水素触媒で用いる担体の全てが、X線回折装置によりチタニアのメインピーク2θ=25.3゜近傍が検出されないわけではない。
また、「化学的及び/又は微視的に一体化」している状態の他の一例としては、透過型電子顕微鏡(TEM)による高倍率(例えば200万倍)像(以下、単に「TEM像」という。)において、アルミナとチタニアの粒子が明確に区別できない状態が挙げられる。アルミナとチタニアとが、化学的にも微視的にも別個のものとなっていれば、それぞれ結晶系の異なる一次粒子を形成するため、TEM像で結晶格子面間隔から別個に認識できるはずであるが、アルミナとチタニアが化学的に一体化していたり、チタニアが極微細な結晶としてアルミナ基材の表面を被覆していたりすれば、両者を確認することはできない。
従って、アルミナ基材の表面に確実にチタニアが存在しているにもかかわらず、一般的なTEM装置によるTEM像でアルミナとチタニアの粒子が結晶格子面間隔から明確に区別できない場合は、上記した複合担体であると判断することができる。勿論、上記した複合担体の全てが、TEM像でアルミナとチタニアの粒子とが明確に区別できないわけではない。
上記した複合担体においては、その多孔質部を構成しているのは、アルミナ自体が元々有している細孔構造に由来するものが主であるが、その外表面及び細孔内壁面を厚さ5nm以下の薄層のチタニアが被覆していることから、そのチタニア自体の外表面状態に由来するものもある。すなわち、上記した複合担体の細孔構造はこの両者で決まるものである。略均一な球状の粒子であるチタニアのみで構成される担体の場合は、その粒子サイズでほぼ比表面積が定まるが、チタニア自身の熱安定性の悪さにより加熱に伴ってチタニア粒子同士の凝集が生じ、その結果、大きな二次粒子になって比表面積の低下が起こる。これに対して上記した複合担体においては、熱安定性に優れたアルミナの表面状態がほぼそのまま反映されることから、多孔質のアルミナ基材の段階で比表面積がほぼ定まり、加熱されてもこの比表面積がほぼ維持される。
本発明の一具体例の脱水素触媒に用いる複合担体は、脱水素触媒用として優れた適性を発揮させるため、比表面積を150m/g以上450m/g以下とする。この場合、アルミナ基材を作製する際のpHスイングにおいて、例えばスイング回数を増減したり、沈殿反応側のpH領域や保持時間を調整したりすることにより所望の比表面積を得ることができる。なお、担体の比表面積は、例えば水銀圧入法や窒素吸着法等により測定することができる。
本発明の一具体例の脱水素触媒において、上記の複合担体に担持させる触媒金属については、脱水素作用を有する脱水素触媒であれば特に制限はないが、白金及び/又はロジウムが好ましい。この触媒金属の担持量は、触媒金属が白金及び/又はロジウムである場合は、脱水素触媒全体に対して0.05質量%以上5.0質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3.0質量%以下がより好ましい。これら白金やロジウムの担持量が0.05質量%より少ないと活性が低くなるおそれがあり、逆に5.0質量%より多くなると触媒金属の粒子径が大きくなり、選択性が低下したりシンタリングし易くて劣化し易くなったりするおそれがある。
本発明において、触媒金属が担体の外表面及び細孔内面にどのように分散しているかについては、触媒をEPMA(Electron Probe Microscope/Electron Probe Micro analyzer)あるいは、SEM/EDX(Scanning Electron Microscope / Energy Dispersive X−raySpectroscope)によって、触媒断面における触媒金属元素の濃度分布を定量的に観察することで確認することができる。EPMAは、サンプルに電子線を照射することによって発生する元素に特有の蛍光X線を検出することによって電子線照射部分の特定元素の濃度をその検出強度から定量するものである。通常は、電子線を照射する位置を移動させてサンプル断面全体の特定元素の分布状態をその検出強度の範囲によって色分けして断面全体の分布状態を示す面分析と共に、サンプル断面を直線的に横断する測定位置での検出強度を相対値としてグラフ表示する線分析が可能である。また、SEMは電子ビームを照射し、サンプル表面で走査させることで、サンプル表面から放出される二次電子や反射電子を検出しサンプルの表面観察を行う分析法であり、これにEDXを組み合わせることで、SEM測定時に同時に放出される特性X線を検出し、エネルギーで分光することにより元素及び組成の分析を行い、サンプル断面を直線的に横断する測定位置での検出強度を相対値としてグラフ表示する線分析が可能である。
また、触媒金属がどの程度高分散状態にあるか、換言すれば、どの程度の小ささの金属粒子径が担体の外周面及び細孔内面にどの程度分散しているかについては、次のようなCOパルス吸着法により測定される金属の分散度(%)によって定量的に把握することができる。ここで、金属の分散度は、担持されている金属原子の全体数に対して、担持されている金属粒子の外表面に存在している金属原子数の割合で定義される。例えば100個の原子からなる金属粒子が担持されており、このうちの40個の金属原子が外表面に存在している場合には、その金属分散度は40%となる。金属分散度の測定は、一般的にCOパルス吸着法によって測定され、外表面に存在する金属原子数を吸着したCO分子の数から求める方法によって実施される。この結果と金属粒子の形状を立方体や正八面体等の形状に仮定すると、その仮定に基づく金属粒子径を推算することができる。
本発明の一具体例の脱水素触媒では、その触媒金属の分散度は30%以上が好ましく、40%以上80%以下がより好ましい。40%以上の分散度に相当する金属粒子の平均サイズは1.2nm程度であり、80%の分散度では0.6nm程度となる。このように金属の分散度を向上させて担持されている金属粒子のサイズを小さくすることの意義は、主に以下の2つである。1つめは、金属の分散度が向上するにつれて、金属粒子の外表面に存在する原子の割合が増えることによって、活性金属の表面積が増大して活性が向上することである。2つめは、小さな貴金属粒子のクラスターでは、平面部分を形成する白金原子の数は少ないことから、反応原料等の成分が金属上に平面吸着しづらくなると考えられることである。例えば、2nm以下のサイズに高度に分散した白金担持触媒を用いて水素化芳香族類の脱水素反応を行う場合、その分子サイズを考慮すると、これらの芳香族類の分子が平面的に吸着してしまう貴金属表面の平面は著しく少ないものと考えられる。従って、芳香族類の炭素原子が複数吸着することが著しく少ないため、これらの分解反応を抑制することができると考えられる。但し、金属分散度を著しく向上させた場合、本発明の脱水素反応のように高温の還元雰囲気にさらされることで、シンタリングが生じやすくなるため、反応の安定性が低下することがある。
白金を例にした場合、市販されている一般的な白金担持アルミナ触媒の粒子サイズは2〜3nm程度であり、その金属分散度は20〜40%程度であることが多く、2nm以下の粒子サイズの白金を高い分散度で担持することは困難といわれている。更に1nm程度の粒子サイズの白金が高分散された触媒は、触媒の高活性化の観点からばかりでなく、白金資源の有効利用の観点からも望まれていたが、これまではそのような高い分散度を安定的に有する金属触媒を調製するのは極めて困難であった。
本発明一具体例の脱水素触媒においては、多孔質の複合担体の細孔分布がシャープになるように細孔のサイズが制御されている。具体的には、複合担体の細孔容積が0.36cm/g以上1.10cm/g以下であり、平均細孔径が4〜30nmであり、好ましくは細孔シャープネス度が50%以上である。このように細孔分布がシャープに制御されることによって、後述するような硫酸塩等の硫黄化合物を積極的に存在させることなく、細孔が制御されていない担体に比べて触媒金属を担体に担持させる際に該触媒金属を良好に分散させることができる。また、上記した白金等を含浸するときの水溶液のpH値を最適な値に調整して含浸することにより触媒金属の分散度を更に高くすることができる。
従来、触媒金属の分散度を高めるため、触媒金属を担持する前に予め担体に硫黄化合物溶液を含浸させて焼成するなどの方法により担体の外表面及び細孔内面に担体100質量部に対して硫黄換算で0.15〜5.0質量部程度の硫黄化合物を分散状態で存在させておくことがあった。これにより例えばアルミナ担体の外表面及び細孔内面に白金等の触媒金属を60〜80%程度という高い分散度で担持させることが可能になる。このような分散度の高い触媒は、目的の反応に対して触媒の外表面よりも主に内部の細孔が活用される系に適用する場合に適する他、金属粒子が担体内部全般に亘って分散していることから、金属粒子同士を適度に離間させることができ、シンタリングによる金属粒子の凝集が起こり難く、触媒金属の活性劣化が生じにくくなる。しかしながら、硫黄を用いて白金等の貴金属の分散度を上げる場合、本発明の一具体例の脱水素触媒として用いられる反応条件下では、添加した硫黄が脱水素反応によって生成した水素により水素化されて硫化水素となり、水素中に流出する可能性がある。この水素をそのまま燃料電池等に利用すると、流出した硫化水素が燃料電池を被毒するおそれがあり、これを抑制するために脱硫塔の設置が必要となる場合が生じうる。これに対して本発明の一具体例の脱水素触媒は、複合担体の外表面や細孔内面にこのような硫黄化合物が存在していないにもかかわらず、上記の硫黄化合物を存在させている触媒とほぼ同等の分散性を得ることができる。
ところで、脱水素触媒では一般的に白金等の貴金属粒子をレニウムやスズ等の第2金属成分でバイメタル化して白金等の分解活性を有する原子の連続的な配列を断つことによって、原料や生成物の炭素原子の平面的な吸着を阻害して分解反応を抑制することが行われるが、本発明に係る触媒系は上記したように貴金属粒子が高分散状態であって且つその粒子径が十分に小さいため、バイメタル化を行わなくとも白金等の貴金属粒子上で起こる分解反応を抑制することが可能と考えられる。また、アルミナを担体とした触媒を利用する場合は、アルミナ上の酸点で起こる分解反応の抑制も必要となるため、これらの酸点をカリウムやリチウム等のアルカリ金属を用いてマスキングすることでアルミナ表面での分解反応を抑制することが行われることが多いが、本発明の一具体例の脱水素触媒は、複合担体を用いることでこのようなマスキング処理が不要になる。
本発明の脱水素触媒は、触媒担体の外表面のみならず細孔内部に分散させて触媒金属を担持させることができ、それだけ触媒金属の担持量を高い分散度を維持したまま増加させることが可能なため、触媒活性が向上し、例えば触媒担体に触媒金属の白金を担持させた場合、白金担持量2質量%程度まで50%以上という高い分散度で担持させることができ、例えばケミカルハイドライド法による水素供給システム等で用いられる水素貯蔵体としてのシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の単環式水素化芳香族類や、テトラリン、デカリン、メチルデカリン等の2環式水素化芳香族類や、テトラデカヒドロアントラセン等の3環式水素化芳香族類等の脱水素触媒として好適に用いられる。
2.脱水素触媒の製造方法
次に、上記した本発明の一具体例の脱水素触媒の製造方法について説明する。この本発明の一具体例の脱水素触媒の製造方法は、アルミナ基材作製工程、コーティング工程、複合担体成形工程、複合担体焼成工程、触媒金属担持工程から主に構成される。以下、これらを工程順に説明する。
[アルミナ基材作製工程]
本発明の一具体例の脱水素触媒の担体の基材となるアルミナは、その原料にアルミナ水和物粒子を含んだヒドロゾル、ヒドロゲル、キセロゲル等を使用することができる。このアルミナ水和物粒子の結晶系としては、ベーマイト、擬ベーマイト、アルミナゲルなど、またこれらを混合したものを用いることができる。アルミナ水和物粒子の調製方法については特に制限はないが、前述したようにpHスイング法で合成するのが好ましい。pHスイング法で合成することで、均質な形状を有し、後述するようにチタン水和物粒子をコーティングして得られる複合担体において50%以上の細孔シャープネス度を得ることができる。なお、このpHスイング法で製造したアルミナ水和物粒子のヒドロゾル中には、原料のアルミナ化合物に由来する夾雑イオンが存在するため、必要に応じて後段のチタン水酸化物のコーティング工程の前に、当該夾雑イオンを洗浄除去する処理を行ってもよい。
[コーティング工程]
コーティング工程は、例えば前述したpHスイング法で形成したアルミナ水和物粒子を含むヒドロゾルに対して、チタンを含む酸性化合物水溶液及びアルカリ性化合物を含む水溶液を、所定の温度とpHの範囲内で添加し、pHを一定に保持しながらアルミナ水和物粒子の表面にチタンの水酸化物の粒子をコーティングして水酸化チタンで被覆されたアルミナ水和物粒子を得る工程である。ここで「チタンを含む酸性化合物」(以下、単に「チタン化合物」とも称する)としては、硫酸チタン、硫酸チタニル、塩化チタン、過酸化チタン、シュウ酸チタン、酢酸チタンなどが好ましい。
具体的に説明すると、アルミナ水和物粒子へのチタン化合物水溶液の添加方法としては、後述する温度及びpHの条件下において、アルミナ水和物粒子が分散したヒドロゾル中に、チタン化合物水溶液とアルカリ性化合物を含む水溶液とを好適には同時且つ連続的に添加することで行う。この時の温度条件としては、10〜100℃の範囲内とするのが好ましく、15〜80℃の範囲内であることがより好ましい。例えば、上記したpHスイング法でアルミナ水和物粒子を製造し、そのまま続けてチタン化合物水溶液を添加する場合には、アルミナ水和物粒子の製造温度条件によるが、概略50〜100℃の範囲内になり、アルミナ水和物粒子を製造し、貯蔵して、温度が下がった場合は概略室温〜50℃の範囲内になる。
また、この時のpH条件としてはpH4.5〜6.5の範囲内が好ましく、できるだけpHを一定に保持しながらチタン化合物水溶液とアルカリ性化合物を含む水溶液とを好適には同時且つ連続的に添加する。なお、大容量のコーティング反応器を用いる場合、pHを完全に一定に保持することは困難であるため、ここでいう「一定に保持」とは、目標のpH値になるべく近付けるように制御する場合を含むものとし、例えば目標のpH値に対して±0.5の範囲内に収まるように制御するのが好ましい。このようにpH条件を制御することでアルミナ水和物粒子の表面にチタン水酸化物粒子が良好にコーティングされる。その際、そのコーティング量に応じてチタン水酸化物がコーティングされたアルミナ水和物粒子の等電点が変化する。下記表1には、チタン水酸化物のコーティング量別の等電点測定結果が示されている。
Figure 2018144016
上記表1において、チタン水酸化物粒子の被覆量は、アルミナ水和物粒子とチタン水酸化物粒子との酸化物基準の合計に対するチタン水酸化物粒子の酸化物基準の質量割合(質量%)で示されており、チタン水酸化物粒子の被覆量0質量%及び100質量%は、それぞれアルミナ水和物粒子のみの場合及びチタン水酸化物粒子のみの場合を示すものである。以下の説明において「チタン水酸化物粒子の被覆量(又はコーティング量)」といった場合には、同様に、チタン水酸化物粒子及びアルミナ水和物粒子の酸化物基準の合計に対するチタン水酸化物粒子の酸化物基準の質量割合(質量%)を意味する。なお、等電点は、測定装置として大塚電子製のHLS−8000型装置を用いて電気泳動光散乱法により測定した。等電点の求め方は、測定したpHとゼーター電位の関係から、ゼーター電位が0となるpHを求めて、これを等電点とした。
アルミナ水和物粒子の表面にチタンの水酸化物の粒子をコーティングする場合のpHの範囲は、上記表1に示すように原理的には100%チタン水酸化物粒子の等電点であるpH4.2を超え、それぞれのチタン水酸化物粒子の濃度(チタン水酸化物のコーティング量)に相当する等電点未満の値でよい。例えばチタン水酸化物粒子の濃度が10質量%の場合はpH9.2未満になる。
しかし、アルミナ水和物粒子の表面にチタンの水酸化物を均一且つ強固にコーティングする場合のpHの範囲は、前述したようにpH4.5〜6.5の範囲内が好ましい。これは、pHを4.5以上にすることで、チタン水酸化物粒子のゼーター電位が−5.0mV以下(絶対値が5.0mV以上)にあり、pHを6.5以下にすることで、アルミナ水和物粒子のゼーター電位が20mV以上(絶対値が20mV以上)になり、常にチタン水酸化物はマイナス、アルミナ水和物粒子はプラスに帯電して、互いに強固に結合することができるからである。すなわち、上記したpHの範囲にすることで、アルミナ水和物粒子表面にチタン水酸化物がプラス・マイナスの関係で互いに強く引き合うので効率的且つ強固にコーティングすることができる。
コーティング工程の操作においては、下記式2に示すpHを中心にpH変動幅が±0.5以内において、コーティング時間5分〜5時間の範囲内の条件で行うことが更に好ましい。なお、Tは複合担体におけるチタン水酸化物のコーティング量(質量%)である。
[式2]
pH=6.0−0.03×T
上記pH条件でコーティング工程の操作を行うことで、チタン水酸化物粒子及びアルミナ水和物粒子のゼーター電位の絶対値の合計がほぼ最大値に有効に保持されることになり、アルミナ水和物粒子表面にチタン水酸化物をより強固にコーティングすることができる。上記式2は、チタン水酸化物粒子及びアルミナ水和物粒子のゼーター電位とpHの関係を実測し、両ゼーター電位が有効に正負に隔たる条件を、チタン水酸化物のコーティング量を変数として導き出した関係式である。
上記したチタン水酸化物のコーティング時間が5分未満であると、大容量のコーティング反応器を用いる場合に所望のpH値に完全に一定に保持することが困難となり、結果としてチタン水酸化物をアルミナ水和物粒子に均一且つ強固にコーティングすることが困難になる。一方、5時間を超えるとアルミナ水和物にコーティングする効率が大幅に低下する。上記した条件でアルミナ水和物粒子表面にコーティングされたチタン水酸化物は、X線回折による分析結果でアナタースの結晶構造を示さないところに特徴がある。これについては、後述する焼成工程において詳細に説明する。
アルミナ水和物粒子の表面にコーティングされるチタンの水酸化物粒子のコーティング量としては、複合担体全体に対して5〜40質量%の範囲内であるのが好ましく、10〜35質量%の範囲内にすることがより好ましい。コーティング量が5質量%未満では、チタン水酸化物添加の効果が十分発揮されない場合があり、コーティング量が40質量%を超えるとチタン水酸化物同士の凝集が生じ、アルミナ水和物粒子表面に均一にコーティングされない場合がある。
上記方法でアルミナ水和物粒子の表面にチタンの水酸化物の粒子をコーティングした後の反応液には、例えば陽イオンとしてナトリウムイオンやアンモニウムイオン、あるいは陰イオンとして硫酸イオンや塩素イオンなどの夾雑イオンが一般に含まれる。従って、上記コーティングで得られた水酸化チタンで被覆されたアルミナ水和物粒子は洗浄するのが好ましい。この洗浄処理により、これら夾雑イオンを除去又は低減することができる。洗浄方法としては、吸引ろ過器、オリバーフィルター、加圧ろ過器等を用いて水で洗い流す洗浄・ろ過操作により行うのが好ましい。
[複合担体成形工程]
次に、上記コーティング工程で得られた水酸化チタンで被覆されたアルミナ水和物粒子に対して成形可能な水分量になるまで脱水処理を行う。この脱水処理は、加圧ろ過、吸引ろ過、遠心ろ過、圧搾等の機械的な固液分離操作により行うことが一般的であるが、例えば余剰熱を利用して乾燥してもよいし、脱水と乾燥とを組み合わせてもよい。この脱水処理後、例えば成形機を用いて円柱状、断面クローバー形の柱状、円筒状、球状など使用目的に適した形状に成形して、水酸化チタンで被覆されたアルミナ水和物粒子成形体を得る。
[複合担体焼成工程]
この焼成工程は、上記成形工程で得られた水酸化チタンで被覆されたアルミナ水和物粒子成形体を焼成して水酸化チタンを酸化チタンに変化させてチタニアで被覆された担体を作製する工程である。焼成する際の雰囲気温度は100〜600℃の範囲内が好ましく、120〜550℃の範囲内がより好ましい。また、焼成時間は0.5時間以上48時間以下が好ましく、1時間以上24時間以下がより好ましい。この雰囲気温度が100℃未満では、焼成に時間がかかり過ぎるので実用的でなくなる。逆に600℃を超えるとアナタースの結晶形が観測されるようになり、チタニアのコーティングが不均一になる。なお、上記成形工程で得られる水酸化チタンで被覆されたアルミナ水和物粒子成形体から水分を蒸発させるため、上記の焼成工程の前工程として別途乾燥工程を設けてもよい。また、上記の方法でアルミナにチタニアを被覆して得た担体の特徴として、基材であるアルミナ水和物粒子の比表面積よりもチタニアで被覆させた担体の比表面積の方が大きくなる傾向がある。
既述の通り、上記の方法でアルミナ水和物の表面にコーティングされたチタン水酸化物は、X線回折による分析結果で、アナタースの結晶構造を示さないところに特徴がある。一般のX線回折装置によりアナタースのメインピーク2θ=25.3゜近傍が検出される場合には、チタニアの凝集体が存在していることを示しており、コーティングが最適に行われたとはいえない。しかしながら、このピークが検出されない場合には、アルミナ水和物粒子の表面にチタン水酸化物が強固且つ均一にコーティングされていると考えられ、更に、チタン水酸化物の結晶格子面の繰り返し長さが、5nm以下になっていることが示唆される。
一方、上記した条件から外れてコーティングされた場合のチタン水酸化物については、X線回折による分析結果で、アナタースの結晶構造を示す蓋然性が高く、また強固なコーティングにならない蓋然性も高くなる。例えば、pHを8.0に保持して、チタン水酸化物を酸化物基準で30質量%コーティングした場合、チタン水酸化物及びチタニアコーティングアルミナ水和物粒子の電荷が共にマイナスになるので、アルミナ水和物粒子の表面にチタン水酸化物が均一にコーティングされにくくなり、また、チタン水酸化物のみからなる一次粒子が生成し易くなる。その結果、担体中には結晶格子面の繰り返し長さが5nm以上のチタニアの凝集体が生成し、X線回折装置によりアナタースのメインピークが2θ=25.3゜近傍に検出される。
このようにして作製した複合担体は、前述した焼成工程において500℃にて3時間焼成した後の細孔容積が0.36cm/g以上1.10cm/g以下の範囲内であることが好ましい。細孔容積が0.36cm/g未満であると、触媒金属を担持した際の充填密度が高く(例えば1.1g/mL超)なってしまい、既存の脱水素反応装置の耐荷重を超過するおそれがある。一方、細孔容積が1.10cm/gを超えると、触媒金属を担持した場合に触媒粒子圧壊強度(SCS、Side Crushing Strength)が低く(例えば、直径1mm基準で0.6kg/mm未満)なってしまい、実用強度を保つことができなくなるおそれがある。
また、複合担体を500℃にて3時間焼成した後の細孔シャープネス度は50%以上であることが好ましく、55%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。ここで「細孔シャープネス度」とは、細孔径の均一性の指標となる数値であり、細孔シャープネス度が100%に近づくほど触媒や担体の細孔径が均一に揃っていることを意味する。細孔シャープネス度は、水銀圧入法により測定された累積細孔分布曲線から計算することができる。具体的には、平均細孔径として細孔容積の50%における細孔径(メディアン径)を求め、このメディアン径の対数値の±5%の細孔径範囲内に存在する部分細孔容積(PVM)を求め、その部分細孔容積(PVM)と細孔容積(PVT)から、下記の式1により細孔シャープネス度を求めることができる。
[式1]
細孔シャープネス度(%)=(PVM/PVT)×100
[触媒金属担持工程]
白金やパラジウム等の貴金属類を複合担体に担持させる方法としては、含浸により担持させる方法が好ましく、この場合、焼成担持後の貴金属類の分散度は含浸水溶液のpH値によって異なる。本発明の一具体例の脱水素触媒において、このpH値は1.0〜5.0の範囲内が好ましく、1.8〜3.0の範囲内がより好ましい。含浸溶液のpH値が1.0より低い場合には、担持後の貴金属類の分散度が低く、pH値が5.0より高い場合も分散度は低下する。このことは、含浸時のpH値により複合担体への金属化合物分子の吸着力が異なり、焼成時にシンタリングして粒子成長する際に大きな影響を与えていると推定される。
本発明において、触媒担体に触媒金属を担持させる場合、上記の触媒担体に上記の触媒金属の溶液を含浸させ、乾燥したのち所定の温度で焼成すればよく、触媒金属の化合物の溶液としては、触媒金属の塩化物、臭化物、アンモニウム塩、カルボニル化合物、アミン及びアンミン錯体やアセチルアセトナト錯体等の各種の錯体化合物等を挙げることができ、例えば触媒金属が白金である場合、塩化白金酸、アセチルアセトナト白金、白金酸アンモニウム塩、臭化白金酸、二塩化白金、四塩化白金水和物、二塩化カルボニル白金二塩化物、ジニトロジアミン白金酸塩等の白金化合物が挙げられる。
例えば、上記の多孔質の複合担体に触媒金属として白金を担持させる場合、該複合担体に上記の白金化合物の溶液を含浸させ、好ましくは50℃以上200℃以下、0.5時間以上48時間以下の条件で乾燥した後、好ましくは350℃以上600℃以下、0.5時間以上48時間以下、より好ましくは350℃以上450℃以下、0.5時間以上5時間以下の条件で焼成し、次いで、水素ガス雰囲気下において、350℃以上600℃以下、0.5時間以上48時間以下、好ましくは350℃以上550℃以下、3時間以上24時間以下の還元条件で水素還元処理を行う。この水素還元時の温度が350℃未満であると十分に白金が還元されなくなるおそれがあり、逆に600℃を超えると還元時に白金粒子がシンタリングして金属分散度が低下するおそれがある。
3.脱水素処理方法
次に、上記した脱水素触媒を用いて脱水素処理を行う方法について説明する。脱水素処理装置は固定床方式が好ましく、その場合の反応条件としては、反応器の材質や構造等による制約をふまえた上で様々な条件に設定することが可能であるが、一般的には液空間速度(LHSV)1〜20hr−1の範囲内、圧力0.3〜15MPaGの範囲内、温度100〜400℃程度の範囲内にすることが好ましい。
また、触媒の充填密度(CBD:Compact Bulk Density)としては、0.5〜1.1g/mLの範囲内であることが好ましく、0.5〜1.0g/mLの範囲内であることがより好ましい。充填密度(CBD)が0.5g/mL未満であると触媒の粒子圧壊強度(SCS)が低く(例えば、0.6kg/mm以下)なり、触媒の実用強度以下になる恐れがある。また、1.1g/mLを超えると既存の脱水素設備に充填することが難しくなるので、それぞれ好ましくない。
ここで充填密度(CBD)は、以下のようにして測定した。先ず、篩を用いて30〜80メッシュの間で分取した触媒を120℃にて3時間乾燥後、約30g採取し、化学天秤で精秤して、内径21mm、容量50mLのガラス製メスシリンダーに充填する。そして、バイブレーターを用いて良くタッピングして、嵩が最小になった時の容積を測定する。充填密度(CBD)は、触媒を精秤して求めた質量を、嵩が最小になった時の容積値で除して求める。
上記した本発明の脱水素触媒を用いて脱水素処理を行う場合、触媒金属の活性化のための前処理として水素還元処理を行うのが好ましい。具体的には、脱水素触媒が充填された脱水素反応装置に窒素ガスを導入して系内の酸素をパージした後、窒素ガスを水素ガスに切り替えて水素還元処理を行う。これにより、比較的早い段階で脱水素触媒の活性を効果的に発現させることが可能になる。
このようにして前処理された触媒は、有機ケミカルハイドライド法における脂肪族環状炭化水素の芳香族化合物への脱水素反応の脱水素触媒として機能し、例えばメチルシクロヘキサンをヒーターで蒸発させた後、150℃程度まで予熱してからホットオイルで熱供給がなされている固定床反応器に導入することで、このメチルシクロヘキサンを水素とトルエンに変換することができる。得られた反応ガスを20℃程度まで冷却してから気液分離を行うことで水素ガスを取り出すことができる。
アルミナ基材の表面にチタニアがコーティングされた複合担体に白金が担持された脱水素触媒を用いてメチルシクロヘキサンをトルエンに脱水素化する実験を行った。具体的には、先ず、80℃に加温された温水を有する容器内に、Al換算で8質量%となる硫酸アルミニウム水溶液を添加し、溶液のpHを2.5とし、次いでその5分後にAl換算で19質量%となるアルミン酸ソーダ水溶液を添加し合成溶液のpHを9とした。次いで、同じ硫酸アルミニウム水溶液を添加して合成溶液のpHを3としてから同じアルミン酸ソーダ水溶液を添加して合成溶液のpHを9とする操作を更に2回繰り返すことにより、Al換算で1.8質量%となるアルミナ水和物粒子のヒドロゾルを得た。
次に、上記にて得たヒドロゾルを吸引ろ過し、回収されたゲルに再度水を加えて吸引ろ過を繰り返す洗浄操作により該ヒドロゾルに含まれる夾雑イオンを除去した。得られた洗浄後のアルミナ水和物粒子のヒドロゾルHをAl換算で1.8質量%に調整した後、60℃に保持して、これに先ずTi換算濃度が1.7質量%となる硫酸チタン水溶液を連続的に添加して溶液のpHを5.6まで下げ、その時点から、硫酸チタン水溶液の連続添加と同時に8質量%の水酸化ナトリウム水溶液を該ヒドロゾルのpHが5.6±0.1内に保持されるように連続的に添加した。このようにして1時間かけて連続的に該ヒドロゾルに両原料を添加した。これによりアルミナ水和物粒子の表面にチタン水酸化物の粒子がコーティングされた複合ヒドロゾルを得た。
次に、上記にて得たチタン水酸化物でコーティングされた複合ヒドロゾルを前述したアルミナ水和物粒子のヒドロゾルHを得たのと同様の方法により洗浄し、夾雑イオンを除去した後、更に吸引ろ過によって押出し成形可能なヒドロゲルの状態まで脱水・調湿した。次いで押出し成形機を用いて、ヒドロゲルを円柱状に成形した。この成形体を120℃の空気雰囲気で3時間乾燥し、更に500℃の空気雰囲気で3時間焼成を行った。以上の操作を経て、直径が1.3mmとなる円柱状の複合担体Aを得た。この複合担体Aに含まれるチタニアの量をICP発光分光分析により測定したところ、酸化物換算でチタニアの含有率は15質量%であった。
比較のため、上記した洗浄後のアルミナ水和物粒子のヒドロゾルHに対して、チタン水酸化物で被覆するコーティングを行わないこと以外は上記と同様にして脱水・調湿、成形、乾燥、及び焼成を行ってアルミナ担体Bを得た。更に、比較のため、60℃に加温された温水を有する容器内に、上記したチタン水酸化物のコーティングの際に用いた硫酸チタン水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液を、溶液のpHが5.6±0.1内に保持されるようにすべく上記した複合担体Aを作製する場合と同様にして連続添加し、これによりチタン水酸化物のヒドロゾルを得た。以降は上記した複合ヒドロゾルの処理の場合と同様に洗浄から焼成までを行ってチタニア担体Cを得た。上記で得たアルミナ担体Bとチタニア担体Cを粉化した後、チタニアの含有量が15質量%となるようにアルミナ担体Bにチタニア担体Cを均一に混合して混合担体Dを得た。
(アスペクト比)
複合担体Aの基材に相当するアルミナ担体Bについて、日立ハイテクノロジーズ製H−9000NARを用いてTEM分析を実施した。TEM分析では100万倍の画像により、アルミナ担体Bが針状体の一次粒子で構成されていることを確認した。形状認識の可能なそれらの針状体50個において、長辺方向と短辺方向の長さを測定した結果、針状体のアスペクト比は約5であった。
(X線回折)
複合担体Aと混合担体Dについて、リガク製のX線回折分析装置SmartLab用いて、X線出力40kV、40mA、CuKαをX線源としてX線回折分析を実施した。図1に複合担体Aと混合担体DのX線回折チャートを示す。混合担体Dでは2θ=25.3°にチタニアのアナタース結晶の(101)面に相当するピークが特に高強度で観測されるのに対し、複合担体Aでは、チタニアの含有率が混合担体Dと同等であるにも拘らず、チタニアの該当ピークが全く観測されなかった。
(細孔容積と細孔シャープネス度)
複合担体Aについて、島津製作所製オートポアIV9520形を使用して、測定圧力414MPaまで加圧する水銀圧入法により、細孔容積及び細孔分布を測定した。図2に細孔分布のチャートを示す。複合担体Aの細孔容積は0.64mL/gであった。また、本データから[式1]に従って算出した複合担体Aの細孔シャープネス度は64%であった。
(比表面積)
複合担体Aについて、BET法により分析した比表面積は406m/gであった。
次に、複合担体Aに対して、pH=2.0に調製した塩化白金酸水溶液を用いて焼成後の白金担持量が1.0質量%となるように塩化白金酸の水溶液量を調整して含浸させた。その後、エバポレーターにて水分を除去し、乾燥(120℃、3時間)、焼成(450℃、3時間)した。更に、流通式水素還元装置に充填して水素気流下に450℃、15時間の条件で水素還元し、白金を1.0質量%担持する複合担体の試料1を得た。また、白金を1.0質量%担持する市販のPt/アルミナ触媒(試料2)を別途用意した。なお、白金の担持量はICP発光分光分析により測定した。
このようにして白金が複合担体に担持された試料1の触媒及び白金がアルミナ担体に担持された市販の試料2の触媒に対して、SEM/EDXを用いて断面上の白金の存在濃度を線分析により測定した。その結果を図3及び図4に示す。アルミナ担体を用いた市販の試料2では白金は、図4から分かるように触媒の外周面上にのみ存在していわゆるエッグシェルの形態を有しているのに対し、複合担体を用いた試料1では、図3から分かるように白金は触媒断面の全域に亘って均一に分散されている。
上記の試料1及び2の白金の分散度をCOパルス吸着法によって測定した。以下、このCOパルス吸着法について説明する。触媒に対してCOをパルス的に試料に注入すると、導入初期はCOが担持金属表面に吸着され、溶出するCOは少ないが、やがて、ほとんどの担持金属表面にCOが吸着し、定常状態になると、注入したCOのほとんどが溶出されるようになる。このとき、定常時に溶出されるCO量から始めの吸着時の溶出CO量を差し引き、その差分の和をCO吸着量として求める。COパルス吸着法は、この吸着量と担持金属含有量から金属表面積、分散度、粒子径を算出する方法である。
具体的には、触媒の試料量W[g]が測定温度t[℃]で吸着したCOガス量Vt[mL]より、0℃における触媒1g当たりの吸着ガス量V[mL/g・cat]を下記[式3]から求めた。
V=(Vt/W)×{273/(273+t)}…[式3]
ここで、試料の金属含有率をC(%)、担持金属の原子量をMとすると、試料1g当たりの担持金属のモル数R[mol/g・cat]は、下記[式4]から求まる。
R=(C/100)×(1/M)…[式4]
試料1g当たりの吸着ガス量のモル数K[mol/g・cat]は、下記[式5]から求まる。
K=V/(22.4×10−3×10)…[式5]
これら[式4]及び[式5]から、分散度B[%](担持金属中の有効担持金属の割合)は、下記[式6]となる。
B=(K/R)×100…[式6]
担持金属触媒の格子定数をa[Å]とした時、格子定数面積aに対して吸着ガス分子1個が吸着するとすれば、金属の比表面積Sは、下記[式7]から求まる。
S=試料1gに吸着したガス分子数×a
=K×6.02×1023×(a×10−10)…[式7]
また、担持金属粒子を一辺の長さをD[m]とする立方体と仮定すると、粒子の6面のうち有効な面[m]は5面であることから、粒子1個の有効面積s[m]及び体積v[m]はそれぞれ下記[式8]及び[式9]となる。
粒子1個の有効面積s[m]=5D…[式8]
粒子1個の体積v[m]=D…[式9]
試料1g当たりの担持金属の粒子数をnとすると、上記[式8]及び[式9]から下記[式10]及び[式11]が求まる。
担持金属の比表面積S[m]=ns=n5D…[式10]
担持金属の体積Vc[m]=nv=nD…[式11]
上記[式10]及び[式11]から、S/Vc=5/Dとなるので、下記[式12]が求まる。
D[m]=5Vc/S…[式12]
担持金属の比重をd[g/cm]とすると、試料1g当たりの担持金属の体積Vcは、下記[式13]となる。
Vc=C/100/d…[式13]
よって、粒子径は下記[式14]となる。
粒子径=5Vc/S
={5(C/100/d)×10−6}/S[m]
={5(C/100/d)×10−6×1010}/S[Å]…[式14]
上記の試料1及び2のCOパルス吸着法による白金の分散度測定の結果を、下記の表2(COパルス吸着法による分散度と粒子径)に示す。
Figure 2018144016
次に、これら試料1及び2に対して、メチルシクロヘキサン(MCH)の脱水素反応試験を実施し、MCH転化率を調べた。具体的には、内径12.6mm×300mmサイズで、反応管断面の中心に外形1/8インチの熱電対用保護管を備えたステンレス製反応管の長さ方向の中心に、触媒層の中心が位置するように上記各触媒1.3gを充填し、触媒の上側に予熱層として外径1mmの球状α−アルミナビーズを充填した。
触媒層の中心温度が370℃になるまで昇温した後、ヒーターで蒸発させたガス圧3atmのMCHガスを7.2L/hrの流量で反応器に供給して脱水素反応を行った。この場合、LHSVは16hr−1となる。脱水素反応中は触媒層の中心温度が370℃になるように電気炉の出力を調整して反応試験を行った。反応管の出口側にはクーラーを設け、この脱水素反応により生成した反応ガスを冷却し、これにより液化したトルエン等の液状生成物と水素ガス等の気体から分離した。回収された液状生成物と気体とを各々ガスクロマトグラフィで分析し、反応開始から165時間後までのMCH転化率(%)を求めた。その結果を図5に示す。
図5の結果から明らかなように、本発明の要件を満たす試料1の脱水素触媒は165時間に亘って約50%を超える高い選択性を維持しており、長期に安定して選択性良く脱水素反応を行い得ることが分かる。これに対して、比較例としての市販の試料2の脱水素触媒は、165時間後には約44%まで低下しており、触媒活性が顕著に低下することが分かる。

Claims (9)

  1. 少なくともアルミナとチタニアとからなる複合担体に脱水素触媒金属が担持されてなる脱水素触媒であって、前記複合担体は、比表面積が150m/g以上450m/g以下、細孔容積が0.36cm/g以上1.10cm/g以下、平均細孔径が4〜30nmであって、該脱水素触媒金属が該担体外表面及び細孔内表面に分散して担持されている脱水素触媒。
  2. 前記複合担体の細孔シャープネス度が50%以上である、請求項1に記載の脱水素触媒。
  3. 前記脱水素触媒金属が白金及び/又はロジウムであり、その担持量が脱水素触媒の全体に対して0.05質量%以上5.0質量%以下である、請求項1又は2に記載の脱水素触媒。
  4. 前記複合担体が、アルミナからなる基材にチタニアが被覆されたものを少なくとも含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱水素触媒。
  5. 前記基材が、無数の針状体又は柱状体が三次元的にからみ合って構成される多孔質構造体からなる、請求項4に記載の脱水素触媒。
  6. 前記チタニアがX線回折による分析においてアナタースの結晶構造を示さない、請求項4又は5に記載の脱水素触媒。
  7. 前記触媒金属が、COパルス吸着法に基づいて測定された分散度40%以上90%以下で前記複合担体の外表面及び細孔内表面に分散している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の脱水素触媒。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の脱水素触媒を用いて飽和環状炭化水素化合物を脱水素する脱水素処理方法。
  9. チタン水酸化物で被覆されたアルミナ水和物粒子を所定の形状に成形してから乾燥することにより複合担体を構成するアルミナ及びチタニアの前駆体の乾燥物を得る工程と、該乾燥物を焼成して該複合担体を得る工程と、該複合担体に貴金属化合物を含む水溶液を含浸させた後、乾燥及び焼成して貴金属触媒が担持された複合担体を得る工程と、該貴金属触媒が担持された複合担体を水素で還元する還元工程とからなる脱水素触媒の製造方法。


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