JP7198048B2 - 脱水素反応方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電場を印加した触媒の存在下において化学反応を行う電場触媒反応装置及び電場触媒反応方法に関する。
従来、弱電場を印加した触媒の存在下において化学反応を行う電場触媒反応に関する技術が開発されている(非特許文献1参照)。この電場触媒反応によれば、従来の触媒反応では反応が進行しない比較的低温においても化学反応を進行させることが可能となるため、反応温度の抑制(低下)や、触媒の劣化防止などの効果が期待されている。
Sakurai, S., Ogo, S., & Sekine, Y.(桜井 沙織, 小河 脩平, 関根 泰) (2016). Hydrogen production by steam reforming of ethanol over Pt/CeO2 catalyst in electric field at low temperature(セリア担持白金触媒を用いた低温電場中でのエタノール水蒸気改質による水素製造). Journal of the Japan Petroleum Institute(日本石油学会論文誌), 59(5), 174-183. DOI: 10.1627/jpi.59.174
ところで、本願発明者らが鋭意検討した結果、上記のような電場触媒反応は、所定の条件下において有機ハイドライドから水素を脱離させる脱水素反応にも適用することが可能であり、それにより、吸熱反応である脱水素反応における反応温度の抑制などの効果が得られることが確認されている。
さらに、本願発明者らは、そのような電場触媒反応を行う反応器において、触媒層を挟み込むように配置された一対の電極の間に所定の電圧を印加する場合に、その触媒層の絶縁性が比較的高い状態にあると、それら電極間に放電が生じ、良好な脱水素反応が阻害されることを見出した。
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、有機ハイドライドから水素を脱離させる脱水素反応を電場触媒反応によって行う場合に、電場の印加に用いられる電極間での放電の発生を抑制することを可能とする電場触媒反応装置及び電場触媒反応方法を提供することを主目的とする。
本発明の第1の側面では、有機ハイドライドから水素を脱離させる脱水素反応装置(1)であって、一対の電極(電極21A、21B)及びそれら電極間に配置された脱水素用触媒を有する反応器(10)と、前記反応器に前記有機ハイドライドを供給する原料供給ライン(L2)と、前記電極に直流電圧を印加する電圧印加装置(30)と、前記反応器に水素を供給する水素供給ライン(L3)と、を備え、前記脱水素用触媒は、少なくとも前記電極に直流電圧が印加される前の状態において、前記水素供給ラインから供給された前記水素によって還元された触媒を含むことを特徴とする。
これによると、有機ハイドライドから水素を脱離させる脱水素反応を電場触媒反応によって行う場合に、水素供給ラインから反応器に供給する水素によって脱水素用触媒を還元することにより、当該脱水素用触媒の絶縁性を低下させることができるため、電場の印加に用いられる電極間での放電の発生を抑制することが可能となる。
本発明の第2の側面では、前記水素供給ラインにおける前記水素の流通を遮断可能な遮断弁(25)を更に備えたことを特徴とする。
これによると、反応器では脱水素反応の進行により水素が発生するため、脱水素反応が安定した後には、遮断弁により水素供給ラインにおける水素の流通を遮断することにより、反応器への不要な水素の供給を回避することが可能となる。
本発明の第3の側面では、前記脱水素用触媒は、所定の担持体に担持された白金を含み、前記還元された触媒は、X線光電子分光法により測定されたスペクトルに関し、異なる価数の白金の各ピークの全体の面積のうちの価数ゼロの白金のピークの面積の百分率として算出される還元度が19%以上であることを特徴とする。
これによると、脱水素用触媒の還元状態に関する適切な指標に基づき、電場の印加に用いられる電極間での放電の発生を抑制することが可能となる。
本発明の第4の側面では、前記白金の異なる価数は、0価、+2価、及び+4価であることを特徴とする。
これによると、脱水素用触媒の還元状態に関する適切な指標に基づき、電場の印加に用いられる電極間での放電の発生を抑制することが可能となる。
本発明の第5の側面では、前記還元度が24%以上であることを特徴とする。
これによると、脱水素用触媒の還元状態に関する適切な指標に基づき、電場の印加に用いられる電極間での放電の発生をより確実に抑制することが可能となる。
本発明の第6の側面では、有機ハイドライドから水素を脱離させる脱水素反応方法であって、一対の電極及びそれら電極間に配置された脱水素用触媒を有する反応器に対し、前記有機ハイドライドを供給し、前記反応器において、前記電極間に直流電圧を印加した状態で前記有機ハイドライドの脱水素反応を行い、少なくとも前記脱水素反応の開始前において、前記反応器に水素を供給することを特徴とする。
これによると、有機ハイドライドから水素を脱離させる脱水素反応を電場触媒反応によって行う場合に、水素供給ラインから反応器に供給される水素によって脱水素用触媒が還元されることにより、当該脱水素用触媒の絶縁性を低下させることができるため、電場の印加に用いられる電極間での放電の発生を抑制することが可能となる。
本発明の第7の側面では、前記脱水素反応の開始後において、前記反応器への前記水素の供給を停止することを特徴とする。
これによると、反応器では脱水素反応により水素が発生するため、脱水素反応が安定した後には、反応器への水素の供給を停止することにより、不要な水素の供給を回避することが可能となる。
このように本発明によれば、有機ハイドライドから水素を脱離させる脱水素反応を電場触媒反応によって行う場合に、電場の印加に用いられる電極間での放電の発生を抑制することが可能となる。
実施形態に係る脱水素反応装置の構成図 図1に示した反応器の詳細構成を示す説明図 図1に示した電極の詳細構成を示す説明図 図1に示した反応器の変形例を示す図 図1に示した脱水素反応装置の変形例を示す図 電場印加が水素収率に及ぼす影響を示す説明図 電場印加がMCHの転化率に及ぼす影響を示す説明図 触媒の種別が水素収率に及ぼす影響を示す説明図 触媒の種別が水素収率に及ぼす影響を示す説明図 LHSVがMCH転化率に及ぼす影響を示す説明図 電極間距離がMCH転化率に及ぼす影響を示す説明図 原料ガス中のMCH濃度がMCH転化率に及ぼす影響を示す説明図 触媒の表面積が水素収率に及ぼす影響を示す説明図 触媒担持量が水素収率に及ぼす影響を示す説明図 還元状態の異なる複数の触媒についてのXPSによる分析結果を示す説明図 還元状態の異なる複数の触媒についてのXPSによる分析結果を示す説明図 触媒の還元状態が水素収率に及ぼす影響を示す説明図
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る脱水素反応装置1の構成図であり、図2及び図3は、それぞれ図1に示した反応器10及び電極21A、21Bの要部の詳細構成を示す説明図であり、図4は、図1に示した反応器10の変形例を示す図である。
脱水素反応装置1は、脱水素反応により有機ハイドライドから水素を脱離させる装置である。本実施形態では、有機ハイドライドとしてメチルシクロヘキサン(以下、MCHという。)を用いた例を示しており、脱水素反応装置1では、MCHの脱水素反応によって、水素及びトルエンが主として生成される。
図1に示すように、脱水素反応装置1は、脱水素反応の原料となるMCH(液体)を収容する原料容器2を備えている。原料容器2には、不活性ガス(ここでは、Arガス)がガス供給ラインL1を介して供給される。ガス供給ラインL1の下流端は、原料容器2内のMCHの液中に挿入された状態にあり、これにより、MCHは、ガス供給ラインL1から導入されたArガスによってバブリングされ、Arガスと混合された原料ガスとして原料容器2から原料供給ラインL2に送出される。なお、原料容器2内のMCHは、図示しないヒータによって所定温度(例えば、約60℃)に加温される。
ガス供給ラインL1には、Arガスの流量を調整する流量調整弁3及び流量計4が設けられている。流量調整弁3の動作は、流量計4の測定値に応じて流量制御器5から送出される制御命令によって制御される。脱水素反応装置1では、流量調整弁3によるArガスの流量制御により、原料供給ラインL2における原料ガス(ここでは、MCH及びArの混合ガス)の流量を制御することが可能である。
ここでは、原料ガス中のMCHの割合は、約20mol%(すなわち、Arガスが約80mol%)であるが、これに限らず、MCHの割合は適宜変更することができる。後述するように、MCHのみ(100%のMCH)を原料ガスとして用いてもよい。
脱水素反応装置1は、MCHの脱水素反応に電場触媒反応を適用した(すなわち、電場を印加した触媒の存在下においてMCHの脱水素反応を行う)反応器10を備えている。反応器10には、原料供給ラインL2の下流端が接続されており、これにより、原料容器2から原料ガスが供給される。原料供給ラインL2を流れる原料ガスは、図示しないヒータによって所定の温度(例えば、約110℃)に加温される。
原料供給ラインL2には、外部の水素(または水素を主成分とするガス)が導入される水素供給ラインL3が接続されており、これにより、必要に応じて外部の水素を反応器10に供給することが可能である。水素供給ラインL3には、外部からの水素の流量を制御(水素を完全に遮断する場合を含む)する制御弁25が設けられている。
水素供給ラインL3を流れる水素は、反応器10における脱水素反応の開始時に(すなわち、脱水素反応が安定するまで)供給され、反応器10における脱水素触媒の還元に用いることができる。反応器10における脱水素反応が安定した後は、脱水素反応による水素が発生するため、水素供給ラインL3を流れる水素を制御弁25によって遮断することができる。これにより、反応器10への不要な水素の供給を回避することが可能となる。
反応器10には、熱供給により脱水素反応の温度を制御するための加熱器11が付設されている。加熱器11は、反応器10の外周を囲むように配置され、その動作は加熱制御器12によって制御される。加熱器11としては、例えば、ジュール熱や誘導加熱を利用する公知の装置を用いることができるが、これに限らず熱交換器等の他の公知の装置を用いてもよい。
また、反応器10には、反応温度(ここでは、後述する触媒層22の温度)を測定する温度測定器13および加熱器温度を測定する温度測定器14が付設されている。加熱制御器12は、温度測定器14の測定値に基づき加熱器11の動作を制御可能である。後述するように、反応温度を常温から300℃までの範囲内とするように加熱器11を制御することが好ましい。
反応器10は、図2にも示すように、略円筒状をなす外殻20内に、互いに対向するように上下に配置された一対の電極21A、21Bと、それら電極21A、21B間に配置された脱水素用触媒から構成される略円柱状の触媒層22を有する。電極21A、21Bは、触媒層22の上面及び下面をそれぞれ画定する略円盤状の支持プレート23A、23Bに取り付けられている。電極21A、21Bの先端部は、それぞれ支持プレート23A、23Bの中心部を貫通し、触媒層22内に突出するように配置されている。なお、支持プレート23A、23Bの設置は必須ではなく、少なくとも触媒層22を安定して保持可能であればそれらを省略してもよい。
また、図3に示すように、支持プレート23Aの適所には、反応前のMCHを通過させる複数の貫通孔24が設けられている。図示は省略するが、同様に支持プレート23Bの適所には、反応後の水素及びトルエン等を通過させる複数の貫通孔が設けられている。
なお、反応器10における電極の構成は、図1~図3に示した構成に限らず種々の変更が可能である。例えば、図4に示すように、反応器10において、略円筒状をなす外殻20内に、その軸方向に延びる棒状の電極121Aと、その電極121Aを外囲するように配置された円筒形の電極121Bとが設けられ、それら電極121A、121Bの間に触媒層122を配置した構成も可能である。
再び図1を参照すると、電極21A、21Bの一方は、直流電圧を印加する電圧印加装置30に接続され、その他方はアースに接続される。これにより、反応器10では、脱水素反応中に触媒層22に所定の電場を印加することが可能である。脱水素反応を適切に実施するためには、電極21A、21B間の電位勾配は、例えば0.1~1000V/mmの範囲で設定するとよい。
反応器10で生成された反応生成物(水素、トルエン、及び副生成物)は、生成物輸送ラインL4を介して気液分離器31に送られる。気液分離器31に供給される反応生成物は、図示しない冷却器によって所定の温度(例えば、約-5℃)に冷却される。
気液分離器31では、反応器10からの反応生成物が、主として水素を含むガス及び主としてトルエンを含む液体に分離される。そこで分離されたガスは、水素輸送ラインL5を介して外部(例えば、貯留タンク)に送られる。また、分離された液体は、液排出ラインL6を介して外部(例えば、貯留タンク)に排出される。液排出ラインL6から排出された液体の一部は、例えば、水素炎イオン化型検出器を用いたガスクロマトグラフによって分析され、MCHやトルエン等の濃度が測定される。
水素輸送ラインL5には、気液分離器31で分離されたガスの流量を測定する流量計(ここでは、体積流量計)32が設けられている。また、水素輸送ラインL5における流量計32の上流側には、流れるガスの一部をサンプリングするサンプリングラインL7が接続されている。サンプリングラインL7からサンプリングされたガスは、例えば、水素炎イオン化型検出器または熱伝導度型検出器を用いたガスクロマトグラフによって分析され、水素や炭化水素等の濃度が測定される。
なお、脱水素反応装置1に用いられる有機ハイドライドとしては、MCHに限らず、シクロヘキサン等の単環式水素化芳香族化合物や、テトラリン、デカリン、メチルデカリン等の2環式水素化芳香族化合物や、テトラデカヒドロアントラセン等の3環式水素化芳香族化合物等を単独、或いは2種以上の混合物として用いることができる。
また、触媒層22を構成する脱水素触媒としては、例えば、酸化セリウム、酸化セリウムと酸化ジルコニウムの固溶体、酸化チタン、及び多孔質酸化チタンなどから選ばれた坦体に、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、及びパラジウム(Pd)のような第10族元素や、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、及びルテニウム(Ru)などから選ばれた少なくとも1種の活性金属を担持されたものであるが、これに限らず、有機ハイドライドの脱水素反応に用いられる公知の触媒を用いることができる。
また、電極21A、21Bの材料としては、ここでは、ステンレス材料が用いられるが、これに限らず、他の公知の材料を用いてもよい。
図5は、図1に示した脱水素反応装置1の変形例を示す図である。図5では、上述の図1に示した構成要素と同様の構成要素については同一の符号を付してある。
この変形例では、図1に示したArガス用のガス供給ラインL1が省略され、原料容器2内のMCH(液体)は、原料供給ラインL2に設けられた原料ポンプ41によって輸送されることにより気化器42に供給される。MCHは、気化器42において気化された後、反応器10に供給される。原料ポンプ41によりMCHの流量を調整するこのような
構成により、変形例では、100%のMCHを原料ガスとして用いることができる。
以下では、上述の脱水素反応装置1による脱水素反応の実施例について説明する。ただし、本発明に係る脱水素反応装置1またはその脱水素反応方法は、それらの実施例で示される具体的な条件(例えば、脱水素反応装置1を構成する各構成要素のサイズや動作、触媒の種類や構成、原料ガスや反応生成物等の組成、流量、及び圧力など)に限定されるものではなく、当業者であれば本発明の範囲内において種々の変更が可能である。
(実施例1)
触媒層22を構成する脱水素触媒として3wt%Pt/CeO(Ce含有酸化物上に3wt%の白金を担持させたもの:日本参照触媒JRC-CEO-1)を使用した。担持されるPtの前駆体はPt(NH(NOである。反応器10の内径を6mmとし、触媒層22高さを4.5mmとした。反応器10の内径は、その外殻20をなす石英製ガラス管の内径であり、略円柱状をなす触媒層22の外径に相当する。触媒層22を構成する脱水素触媒の粒径は約355~500μmの範囲とし、触媒層22の重量は200mgとした。焼成された脱水素触媒の還元処理を行わず(すなわち、水素供給ラインL3から反応器10に水素を供給せず)に使用した。
原料ガスは、MCH及びArの混合ガス(MCH:6.4ml/min、Arガス:30ml/min)として供給した。このとき、LHSV(Liquid Hourly Space Velocity)は15.8h-1であった。
反応器10の反応温度を150℃~500℃の間で変化させ、電極21A、21Bに219Vの直流電圧(3mA定電流)を印加した状態でMCHの脱水素反応を行った。このとき、電極21A、21B間の電位勾配は、約50V/mmである。
(比較例1)
電極21A、21Bに電圧を印加しないことを除き、上述の実施例1と同様の構成及び条件において従来のMCHの脱水素反応を行った。
図6は、上記実施例1及び比較例1に関し、電場印加が水素収率に及ぼす影響を示す説明図であり、図7は、上記実施例1に関し、MCHの転化率に及ぼす影響を示す説明図である。また、表1は、脱水素反応の反応生成物における副生メタン濃度を示す。
<電場印加が水素収率に及ぼす影響の評価>
図6に示すように、上記実施例1及び比較例1に関し、触媒温度(反応温度)の上昇にともない脱水素反応における水素収率(mol%)は増大する傾向にある。また、実施例1では、比較例1と同様の水素収率がより低い触媒温度において達成される。例えば、実施例1では触媒温度が約300℃の場合に水素収率が90%となるのに対し、比較例1では、触媒温度が約400℃の場合に同様の水素収率が達成される(図6中の破線参照)。つまり、MCHの脱水素反応に電場触媒反応を適用することにより、より低い温度で従来(電場印加なし)と同様の水素収率が実現される。
<電場印加が副生メタンの生成に及ぼす影響の評価>
また、表1に示すように、実施例1では、比較例1に比べて副生メタンの生成が抑制される。例えば、水素収率を90%とする場合には、比較例1では2852ppm(触媒温度400℃)の副生メタンが生成されるのに対し、実施例1では202ppm(触媒温度300℃)の副生メタンが生成される。つまり、同じ水素収率を実現する場合には、MCHの脱水素反応に電場触媒反応を適用することにより、電場を印加しない従来の反応と比べて副生メタンの生成が効果的に抑制される。
Figure 0007198048000001
<電場印加がMCHの転化率に及ぼす影響の評価>
また、図7に示すように、上記実施例1では、反応温度が200℃以下の場合に、平衡転化率を超えるMCHの転化率が実現される。この電場触媒反応では、従来とは異なる反応メカニズムが生じていると考えられ、反応温度が従来の脱水素反応温度(例えば、300~400℃)よりも低い300℃以下となる領域において(より好ましくは、反応温度が約200℃において)、MCHの転化率に関してより有利となる。
なお、図7では実施例1に関する150℃未満のデータが省略されているが、上記実施例1では、反応温度が常温(25℃)以上において、平衡転化率を超えるMCHの転化率が実現される。したがって、反応温度を常温から300℃までの範囲内とするように、反応器10に対する加熱(熱の供給)を制御するとよい。
(実施例2)
触媒層22を構成する脱水素触媒として3wt%Pt/TiO(Ti含有酸化物上に3wt%の白金を担持させたもの)を使用した。反応器10の内径を6mmとし、触媒層22高さを7mmとした。脱水素触媒の粒径は約355~500μmの範囲とし、触媒層22の重量は200mgとした。焼成された脱水素触媒の還元処理を行わずに使用した。
原料ガスは、MCH及びArの混合ガス(MCH:6.4ml/min、Arガス:30ml/min)として供給した。このとき、LHSVは10.2h-1であった。
反応器10の反応温度を約150℃とし、電極21A、21Bに178Vの直流電圧(3mA定電流)を印加した状態で120分間のMCHの脱水素反応を行った。このとき、電極21A、21B間の電位勾配は、約25V/mmである。
(比較例2)
上述の実施例1と同様の条件で120分間のMCHの脱水素反応を行った。
図8は、上記実施例2及び比較例2に関し、触媒の種別が水素収率に及ぼす影響を示す説明図であり、表2は、それらの脱水素反応の反応生成物における副生メタン濃度を示す。
<触媒の種別が水素収率に及ぼす影響を示す説明図の評価(1)>
図8に示すように、実施例2では比較例2よりも水素収率(mol%)は僅かに低下することを確認した。
<触媒の種別が副生メタンの生成に及ぼす影響の評価(1)>
一方、表2に示すように、実施例2では、脱水素反応が安定した後(25分経過後)においては、副生メタン濃度がゼロとなり、比較例2(実施例1に相当)に比べて副生メタンの生成がより効果的に抑制される。つまり、触媒層22を構成する脱水素触媒として3wt%Pt/TiO(すなわち、酸化チタンを含む担持体)を用いることは副生メタンの生成量の低減に有効である。
Figure 0007198048000002
(実施例3)
触媒層22を構成する脱水素触媒として3wt%Pt/HBT(HBT含有酸化物上に3wt%の白金を担持させたもの)を使用した。なお、HBTは、無機酸化物を核とし、その表面に酸化チタンが担持されてなる多孔質酸化チタン担持体である。より詳細には、HBTは、酸化チタンが、13質量%以上含有され、無機酸化物の表面に担持されてなり、無機酸化物の表面における酸化チタンの結晶格子面の繰り返し長さが、50Å以下である多孔質酸化チタン担持体である。反応器10の内径を6mmとし、触媒層22高さを5.3mmとした。脱水素触媒の重量は70mgとした。なお、HBTの詳細については、本願の出願人の特許第3781417号を参照されたい。また、HBTは、ハイブリッドチタニア触媒(CT-HBT(登録商標))としても知られている。
原料ガスは、MCH及びArの混合ガス(MCH:6.4ml/min、Arガス:30ml/min)として供給した。このとき、LHSVは13.4h-1であった。
反応器10の反応温度を約150℃とし、電極21A、21Bに160Vの直流電圧(3mA定電流)を印加した状態で120分間のMCHの脱水素反応を行った。このとき、電極21A、21B間の電位勾配は、30V/mmである。
(比較例3)
上述の実施例1と同様の条件で120分間のMCHの脱水素反応を行った。
図9は、上記実施例3及び比較例3に関し、触媒の種別が水素収率に及ぼす影響を示す説明図であり、表3は、それらの脱水素反応の反応生成物における副生メタン濃度を示す。
<触媒の種別が水素収率に及ぼす影響を示す説明図の評価(2)>
図9に示すように、実施例3では比較例3よりも水素収率(mol%)は僅かに低下することを確認した。
<触媒の種別が副生メタンの生成に及ぼす影響の評価(2)>
一方、表3に示すように、実施例3では、脱水素反応が安定した後(25分経過後)においては、副生メタン濃度がゼロとなり、比較例3(実施例1に相当)に比べて副生メタンの生成が効果的に抑制される。つまり、触媒層22を構成する脱水素触媒として3wt%Pt/HBTを用いることは副生メタンの生成量の低減に有効である。
Figure 0007198048000003
(実施例4)
触媒層22を構成する脱水素触媒として3wt%Pt/CeOを使用した。反応器10の内径を10mmし、電極21A、21Bの距離(すなわち、触媒層22高さ)を9mm(または18mm)とした。脱水素触媒の粒径は約0.85~1.18mmの範囲とした。
原料ガスは、MCH及びArの混合ガスとし、電極21A、21Bの距離が9mmの場合、LHSVは、4h-1(MCH:8.1Ncm/min、Arガス:25Ncm/min)、8h-1(MCH:16.9Ncm/min、Arガス:60Ncm/min)、または12h-1(MCH:25.2Ncm/min、Arガス:94Ncm/min)とした。
反応器10の反応温度を約150℃とし、電極21A、21Bへの投入電力を変化させながらMCHの脱水素反応を行った。
<LHSVがMCH転化率に及ぼす影響の評価>
図10は、上記実施例4に関し、LHSVがMCH転化率に及ぼす影響を示す説明図である。ここでは、電極21A、21Bの距離は9mmである。図に示すように、投入電力の増大にともないMCH転化率は増大する。また、LHSVの増大にともないMCH転化率は低下する。
<電極間距離がMCH転化率に及ぼす影響の評価>
図11は、上記実施例4に関し、電極間距離がMCH転化率に及ぼす影響を示す説明図である。LHSVは12h-1とし、電極21A、21Bの距離が18mmの場合、原料ガスはMCH:50.4Ncm/min、Arガス:198Ncm/minとした。図に示すように、電極間距離の増大にともないMCH転化率は減少する。なお、このような電極間距離のMCH転化率への影響は、反応器10の内径を22mmとした場合にも同様であった。
(実施例5)
触媒層22を構成する脱水素触媒として3wt%Pt/CeOを使用した。反応器10の内径を22mmとし、電極21A、21Bの距離を18mmとした。脱水素触媒の粒径は約0.85~1.18mmの範囲とした。
原料ガスは、MCH及びArの混合ガス(MCH:20%、Arガス:80%)またはMCH100%とした。MCH及びArの混合ガスでは、LHSVを6h-1とし、MCH100%では、LHSVを8h-1とした。
反応器10の反応温度を約150℃とし、電極21A、21Bへの投入電力を変化させながらMCHの脱水素反応を行った。
<原料ガス中のMCH濃度がMCH転化率に及ぼす影響の評価>
図12は、上記実施例5に関し、原料ガス中のMCH割合がMCH転化率に及ぼす影響を示す説明図である。図に示すように、原料ガス中のMCH濃度が高い(ここでは、100%)場合には、MCH濃度が低い(ここでは、20%)場合と比べてMCH転化率は多少低下するが、脱水素反応は問題なく進行する。
(実施例6)
触媒のBET比表面積の変更を除き、上述の実施例1と同様の構成及び条件において従来のMCHの脱水素反応を行った。触媒のBET比表面積は、141.1m/g、85.7m/g、29.9m/g、3.1m/g、または1.7m/gとした。それらのBET比表面積は、触媒の焼成温度を、焼成なし、600℃、700℃、900℃、または1100℃にそれぞれ設定することにより実現される。
<触媒の表面積が水素収率に及ぼす影響の評価>
図13は、上記実施例6に関し、触媒の表面積が水素収率に及ぼす影響を示す説明図である。図に示すように、触媒のBET比表面積が小さくなると、触媒活性が低下する。触媒のBET比表面積が1.7m/g(触媒の焼成温度が1100℃)の場合には、水素収率は略ゼロとなる。したがって、触媒の比表面積は3.1m/g以上であることが好ましい。
(実施例7)
Pt担持量の変更を除き、上述の実施例1と同様の構成及び条件において従来のMCHの脱水素反応を行った。触媒におけるPt担持量は、1wt%、3wt%、または5wt%とした。
<触媒担持量が水素収率に及ぼす影響の評価>
図14は、上記実施例に関し、触媒担持量が水素収率に及ぼす影響を示す説明図である。図に示すように、Pt担持量が1wt%の場合には、Pt担持量が3wt%または5wt%の場合と比べて水素収率は低下するものの、電場脱水素反応は進行する。したがって、Ptの担持量は、少なくとも1wt%以上とするとよい。
次に、電極21A、21B間における放電の発生に影響を及ぼす脱水素触媒の還元状態について説明する。
図1または図5に示した反応器10において脱水素反応を行う場合に、触媒層22の絶縁性が比較的高い状態にあると、電極21A、21Bの間に所定の電圧を印加した際に、電極21A、21B間に放電が生じ、脱水素反応(すなわち、触媒に対する適切な電場の印加)が阻害されることがある。そこで、以下に示すように、上述の実施例1の構成を一部変更して、電極21A、21B間における放電の発生を確認するための試験を実施した。
触媒層22を構成する脱水素触媒として3wt%Pt/CeO(Ce含有酸化物上に3wt%の白金を担持させたもの)を使用した。担持されるPtの前駆体はPt(NH(NOである。Pt担持後、空気中で500℃、2時間焼成した。反応器10の内径を10mmとし、触媒層22高さを18mmとした。反応器10の内径は、その外殻20をなす石英製ガラス管の内径であり、略円柱状をなす触媒層22の外径に相当する。触媒層22を構成する脱水素触媒の粒径は約0.85~1.18mmの範囲とし、触媒層22の重量は3.3gとした。
反応器10には、Arガス25Ncm/minおよびHガス2.5Ncm/minを供給し、反応器10の触媒温度を約25℃とし、電極21A、21Bに絶縁破壊電圧以上の直流電圧を印加した。
また、触媒層22を構成する触媒として、還元状態の異なる複数の触媒をそれぞれ用いた。触媒の還元状態(ここでは、Ptの還元状態)については、(A)25℃還元(前段落で言及したArガスおよびHガスを供給し、25℃で30分水素還元したもの)、(B)150℃還元(前段落で言及したArガスおよびHガスを供給し、150℃で30分水素還元した後、25℃に戻したもの)、(C)500℃還元(前段落で言及したArガスおよびHガスを供給し、500℃で30分水素還元した後、25℃に戻したもの)、及び(D)反応後(反応器10における約150℃での脱水素反応によって2時間水素還元されたもの)とした。
<触媒の還元状態が電極間の放電発生に及ぼす影響の評価>
反応器10の内を目視観察した結果、還元状態(A)の触媒を用いた場合には、電場の印加時に電極21A、21B間で放電が発生した。つまり、25℃での還元状態(A)では、触媒層22の絶縁性が比較的高い状態にあり、これにより、電極21A、21B間に放電が生じたと考えられる。
その他の還元状態(B)及び(C)の触媒を用いた場合には、電場の印加時に電極21A、21B間での放電は発生しなかった。これにより、ある程度還元された触媒を用いることにより、電極21A、21B間での放電を抑制できることが確認された。
しかしながら、上述の還元状態(A)~(D)のように、触媒の還元状態を還元処理の違いによって特定する方法では、放電の抑制に必要な触媒の還元の度合いを定量的に評価することは難しい。そこで、脱水素触媒の還元状態を定量的に評価するために、XPS (X線光電子分光法)による測定の結果に基づく指標(以下、還元度という。)を導入した。
図15及び図16は、それぞれ還元状態の異なる複数の触媒についてのXPS (X線光電子分光法)による測定結果を示す説明図である。図15では、触媒の還元状態(A)及び(B)についての分析結果が示されており、また、図16では、触媒の還元状態(C)及び(D)についての分析結果が示されている。また、図17は、図15及び図16にそれぞれ示した還元状態(B)及び(C)に関し、触媒の還元状態が脱水素反応における水素収率に及ぼす影響を示す説明図である。ここで、触媒以外の脱水素反応の構成及び条件については上述の図14の場合と同様である。
XPSの測定を行う装置として、VersaProbe2(アルバック・ファイ株式会社(ULVAC-PHI, Inc.)製)を使用した。Al Kα線をX線源として用い、Pt,4f7/2軌道のXPS測定を実施した。各処理後のサンプルは大気に触れないように窒素置換したグローブボックス内で密閉可能な反応管からベッセル内のサンプルホルダーに移し替え、その後、真空中で測定チャンバー内に移動させた。測定時のパラメータはスイープ回数が200回、PassEnergyが187.85eVである。
解析ソフトとしては、Multipakを使用した。バックグラウンド補正は、試料をホルダーに固定する際に用いたカーボン両面テープのC1sピークを284.8eVに補正した。フィッティング関数は、ガウスローレンツ関数を用い、フィッティング時の半値全幅FWHM(ピーク太さ)は、Pt,Pt2+,Pt4+でそれぞれ2.62、2.82、2.82である。Pt4f7/2とPt4f5/2は、ダブレットピークであるため、上述のFWHM等の値は揃えたまま理論値であるエネルギーシフト+3.3eVとピーク高さ比0.75倍を反映させてデコンボリューションを実施した。各サンプルでピークトップの位置が0.2以上ずれないようにしながら残渣が極力小さくなるよう解析した。ピークトップの位置については学術論文等を参照した。
図15及び図16に関し、触媒(ここでは、Pt)の還元度は、XPSにより測定されたスペクトルにおいて、Pt(4f7/2, 4f5/2)のピークについてPt、Pt2+、Pt4+の3本のピークで分割フィッティングし、それぞれのピーク面積(A(Pt)、A(Pt2+)、A(Pt4+))を求め、各ピークの全体の面積のうちPtに帰属するピークの面積(A(Pt))の割合(面積百分率)を還元度として定義した。
還元度(%)=A(Pt)/(A(Pt)+A(Pt2+)+A(Pt4+))×100
表4には、それらの還元度の算出結果を示す。
Figure 0007198048000004
その結果、上述の還元状態(A)~(D)の還元度は、それぞれ(A)23.7%、(B)37.2%、(C)68.2%、(D)39.8%となった。このような結果から、脱水素触媒の還元度は、少なくとも電極21A、21B間に電場が印加される前に、還元状態(A)の触媒の還元度よりも高い(例えば、24%以上である)こと、より好ましくは還元状態(B)の触媒の還元度以上(37.2%以上)であることが好ましい。
なお、還元状態(B)と(D)の還元度が、それぞれ37.2%、39.8%と、ほぼ同じであることから、電場反応によって触媒(Pt)の還元が劇的に進行することはない。
また、図17に示すように、上述の還元状態(A)~(D)において最も還元度の高い還元状態(C)を用いても電場反応は進行することを確認できた。ただし、還元状態(C)では、触媒は還元状態(B)もしくは(D)と比較してより高温で還元され、その結果、Pt粒子が凝集して粒径が大きくなる(シンタリングする)ことにより、触媒の活性が低下した可能性がある。つまり、還元状態(B)と比べて還元状態(C)の活性が低いのは、触媒の還元度の大きさに直接起因するものではないと考えられる。電場の安定発生(放電発生の抑制)のための触媒の還元度の範囲については、少なくとも触媒の活性を大きく阻害しない(すなわち、所望の反応について触媒の活性が許容範囲にある)限りにおいて、その上限を制限されることなく、還元状態(C)よりも更に大きな還元度を採用することが可能である。
電場脱水素反応は、外部から供給された水素もしくは脱水素反応により生成した水素からプロトン(H+)が生成し、電場によって移動するプロトンとPt粒子に吸着したメチルシクロヘキサンが、Pt粒子と担体の界面で反応して進行すると考える。この界面のPtが還元されていないとプロトンが移動できず電場が発生しないと考える。
上述のように、図1または図5に示した脱水素反応装置1では、外部の水素を反応器10に導入する水素供給ラインL3が設けられているため、例えば、上述の還元状態(B)に概ね対応する脱水素触媒を使用することができる。
より詳細には、まず、脱水素反応の準備工程において、焼成後の脱水素触媒を電極21A、21Bの間に配置する。その後、反応器10を150℃に加熱し、原料供給ラインL2を介して反応器10に原料ガスが供給される。このとき、外部の水素が水素供給ラインL3を介して原料ガスに混合される。これにより、反応器10内の脱水素触媒の一部が外部の水素によって還元される。続いて、電極21A、21Bに電場が印加され、反応器10における脱水素反応が開始される。このような構成により、脱水素触媒に電場が印加される前に、脱水素用触媒の絶縁性を低下させることができるため、電極21A、21B間での放電の発生を抑制することが可能となる。
なお、水素供給ラインL3を介した外部の水素の供給は、反応器10における脱水素反応が開始時に、制御弁(遮断弁)25によって遮断することができる。より好ましくは、外部の水素の供給は、脱水素反応(すなわち、水素の発生)が安定するまで行うとよい。場合によっては、脱水素反応中も外部の水素を遮断することなく継続的に反応器10に供給することも可能である。
また、脱水素反応装置1では、予め還元された脱水素触媒(例えば、還元状態(B)~(D))を使用する場合には、外部の水素の供給(すなわち、水素供給ラインL3)を省略することもできる。
以上、本発明を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。
例えば、電場触媒反応に用いられる触媒の還元度合い(還元度)の調整に基づき電極間の放電の発生を抑制する効果は、有機ハイドライドから水素を脱離させる脱水素反応やそれに用いられる脱水素触媒に限らず、他の化学反応やそれに用いられる触媒についても同様に適用することが可能である。
また、上述の実施形態に示した本発明に係る電場触媒反応装置及び電場触媒反応方法の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、当業者であれば少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
1 :脱水素反応装置
2 :原料容器
3 :流量調整弁
4 :流量計
5 :流量制御器
10 :反応器
11 :加熱器
12 :加熱制御器
13 :温度測定器
20 :外殻
21A、21B:電極
22 :触媒層
23A、23B:支持プレート
24 :貫通孔
25 :制御弁
30 :電圧印加装置
31 :気液分離器
32 :流量計
41 :原料ポンプ
42 :気化器
121A、121B:電極
122 :触媒層
L1 :ガス供給ライン
L2 :原料供給ライン
L3 :水素供給ライン
L4 :生成物輸送ライン
L5 :水素輸送ライン
L6 :液排出ライン
L7 :サンプリングライン

Claims (3)

  1. 有機ハイドライドから水素を脱離させる脱水素反応方法であって、
    前記有機ハイドライドは、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサン、テトラリン、デカリン、メチルデカリン、及びテトラデカヒドロアントラセンを単独、或いは2種以上の混合物として含み、
    一対の電極及びそれら電極間に配置された脱水素用触媒を有する反応器に対し、前記有機ハイドライドを供給し、
    前記反応器において、前記電極間に直流電圧を印加した状態で前記有機ハイドライドの脱水素反応を行い、
    前記脱水素用触媒は、所定の担持体に担持された白金を含み、
    少なくとも脱水素反応の開始前において、前記反応器に水素を供給することにより、少なくとも前記電極に直流電圧が印加される前の状態において、前記脱水素用触媒を還元し、
    前記還元された触媒は、X線光電子分光法により測定されたスペクトルに関し、異なる価数の白金の各ピークの全体の面積のうちの価数ゼロの白金のピークの面積の百分率として算出される還元度が37.2%以上であることを特徴とする脱水素反応方法
  2. 前記白金の異なる価数は、0価、+2価、及び+4価であることを特徴とする請求項に記載の脱水素反応方法
  3. 前記脱水素反応の開始後において、前記反応器への前記水素の供給を停止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脱水素反応方法。
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