JP2016209786A - 脱水素触媒、水素の製造システム、及び水素の製造方法 - Google Patents

脱水素触媒、水素の製造システム、及び水素の製造方法 Download PDF

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行寛 杉浦
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Tomohito Furuta
智史 古田
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Abstract

【課題】メチル基を有する環状飽和炭化水素の脱水素に伴う脱メチル化を抑制することができる脱水素触媒、当該脱水素触媒を用いた水素の製造システム、及び水素の製造方法を提供すること。【解決手段】第11〜第16族元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、白金と、を含む合金と、酸化アルミニウムを含む担体と、第3族元素と、を備え、メチル基を有する環状飽和炭化水素の脱水素に用いる脱水素触媒。【選択図】なし

Description

本発明は、脱水素触媒、水素の製造システム、及び水素の製造方法に関する。より具体的には、本発明は、メチル基を有する環状飽和炭化水素の脱水素に用いる脱水素触媒、当該脱水素触媒を用いた水素の製造システム及び水素の製造方法に関する。
近年、環境負荷の小さい水素を燃料とする燃料電池を、自動車等の動力源に用いることが期待されている。水素の輸送、貯蔵及び供給の過程では、例えばナフテン系炭化水素(環状飽和炭化水素)が利用される。例えば、水素の製造施設において、芳香族炭化水素の水素化により、ナフテン系炭化水素生成させる。このナフテン系炭化水素を、水素の消費地へ輸送したり、消費地で貯蔵したりする。消費地において、ナフテン系炭化水素の脱水素により、水素と芳香族炭化水素とを生成させる。この水素を燃料電池へ供給する。ナフテン系炭化水素は、常温において液体であり、水素ガスよりも体積が小さく、水素ガスよりも反応性が低く安全である。そのため、ナフテン系炭化水素は水素ガスよりも輸送及び貯蔵に適している。
ナフテン系炭化水素用の脱水素触媒としては、白金−レニウムのバイメタルをアルミナ担体に担持させた触媒が知られている(下記非特許文献1参照)。
R.W.Coughlin, K.Kawakami, Akram Hasan, Journal of Catalysis, Vol. 88, 150‐162 (1984).
本発明は、メチル基を有する環状飽和炭化水素の脱水素に伴う脱メチル化を抑制することができる脱水素触媒、当該脱水素触媒を用いた水素の製造システム、及び水素の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る脱水素触媒は、第11〜第16族元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、白金と、を含む合金と、酸化アルミニウムを含む担体と、第3族元素と、を備え、メチル基を有する環状飽和炭化水素の脱水素に用いる脱水素触媒である。
本発明の一側面に係る上記脱水素触媒は、上記白金の原子間距離の最小値が0.2800nmよりも大きく、0.4967nm以下であってもよい。
本発明の一側面に係る水素の製造システムは、上記脱水素触媒を有し、上記脱水素触媒を用いた上記環状飽和炭化水素の脱水素により、水素を生成させる脱水素反応器を備える、水素の製造システムである。
本発明の一側面に係る水素の製造方法は、上記脱水素触媒を用いた上記環状飽和炭化水素の脱水素により、水素を生成させる工程を備える、水素の製造方法である。
本発明によれば、メチル基を有する環状飽和炭化水素の脱水素に伴う脱メチル化を抑制することができる脱水素触媒、当該脱水素触媒を用いた水素の製造システム、及び水素の製造方法を提供することができる。
図1の(a)は、本発明に係る脱水素触媒の表面を示す模式図である。図1の(b)は、従来の脱水素触媒の表面を示す模式図である。 図2の(a)は、本実施形態に係る脱水素触媒の一例における白金の結晶系(六方晶系)を示す模式図であり、図2の(b)は、図2の(a)における白金原子間の距離の一例を示す図であり、図2の(c)は、メチル基の有する3つの水素原子間の距離Qを示す図である。 図3は、本発明に係る水素の製造システムの一実施形態を示す模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
(メチル基を有する環状飽和炭化水素に用いる脱水素触媒)
本実施形態に係る脱水素触媒は、添加元素と、白金と、を含む合金と、酸化アルミニウムを含む担体と、第3族元素と、を備える。
本実施形態における添加元素とは、第11〜第16族元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である。添加元素は、第13〜第16族元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であることが好ましく、第13族元素、第14族元素、及び第16元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素であることがより好ましく、第14族元素であることがさらに好ましい。添加元素は、より具体的には、銅(Cu)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、ビスマス(Bi)、及びセレン(Se)からなる群より選ばれる一種以上の元素であることが好ましく、Sn、Ge、Ga、及びSeからなる群より選ばれる少なくとも一種であることがより好ましく、Snであることがさらに好ましい。添加元素がスズ(Sn)である場合、本願発明の効果が特に顕著である。本実施形態における第3族元素、第11族元素、第12族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素及び第16族元素とは、IUPAC(国際純正応用化学連合)の規定に基づいて分類される元素を示す。
上記特徴を有する本実施形態に係る脱水素触媒は、従来の脱水素触媒と比較して、メチル基を有する環状飽和炭化水素の脱水素に伴う脱メチル化の発生を抑制することができる。
図1の(b)は、従来の炭化水素用の脱水素触媒の表面を示す模式図である。従来の脱水素触媒10は、例えば、ニッケル、パラジウム及び白金より選ばれる1種の活性金属元素8と、活性金属元素8が担持された担体3と、を備える。従来の脱水素触媒10は、活性金属元素8からなる複数の活性部位7を備える。
触媒による化学反応は、構造鈍感型反応と構造敏感型反応に分類することができる。構造鈍感型反応では、反応速度が、表面に露出している金属原子の数のみで決まる。つまり、構造鈍感型反応は、触媒の表面構造に依存しない反応である。炭化水素の脱水素反応は、構造鈍感型反応である。一方、構造敏感型反応では、反応速度が触媒の表面構造に依存する。例えば、脱メチル化等の炭素−炭素結合切断反応は、触媒の活性部位(活性点)において所定の立体構造を構成する活性金属元素と、メチル基等に属する炭素原子と、が相互に作用することによって進行する。つまり、脱メチル化等の炭素−炭素結合切断反応は構造敏感型反応であると推定される。
従来の脱水素触媒10を用いて、例えば、メチルシクロヘキサンの脱水素反応を行うと、炭化水素の脱水素反応が進行してトルエンが生成するのみならず、さらに炭素−炭素結合切断反応が進行して、トルエンからメチル基が脱離し、副生成物のベンゼンやメタンが生成する。つまり、従来の脱水素触媒10を用いた脱水素反応では、構造鈍感型反応のみならず、構造敏感型反応が起こる。
図1の(a)は、本実施形態に係る脱水素触媒の表面の一部を示す模式図である。脱水素触媒1は、活性金属元素2と、添加元素4と、活性金属元素2及び添加元素4とが担持された単体5と、を備える。活性部位6は、活性成分の合金から構成される。活性金属元素2及び添加元素4が活性部位6の表面に露出していてよい。活性金属元素2は、合金を構成する原子又は分子であってよい。添加元素4は、合金を構成する原子又は分子であってよい。活性部位6(特に活性部位6の表面)においては、添加元素4が活性金属元素2の間に介在し、活性金属元素2及び添加元素4が高度に分散している。
本実施形態における脱水素触媒は、上記構成を備えることにより、構造敏感型反応を抑制し、脱メチル化の発生をより抑制することができる。
本実施形態において、添加元素と、白金と、を含む合金とは、金属間化合物、又は固溶体を含んでもよい。
白金と合金を形成する添加元素としては、Sn、Ge、Ga、及びSeからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、Snであることがより好ましい。
白金は、多数の原子、クラスター又は微粒子として、担体に担持されていてもよい。この場合、白金は、担体に含まれる酸化アルミニウム等の表面に存在している。表面とは、実質的に活性金属が担持され触媒反応が進行する部分を示し、その厚みは酸化アルミニウムの単分子以上であればよい。担体に担持された白金の微粒子の粒径は、特に限定されないが、例えば10nm以下であってもよい。
脱水素触媒における添加元素と、白金と、の含有量比(モル比)は、特に制限されないが、等モルとなるように調整されることがより好ましい。
第3族元素としては、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド及びアクチノイドから選ばれる少なくとも一種以上を用いることができる。ランタノイドとしては、例えば、ランタン(La)又はセリウム(Ce)が挙げられる。これらの第3族元素のうち、セリウムが最も好ましい。上記のように、脱水素触媒は、セリウムを含むことにより、顕著に高い脱水素活性を有すると共に、メチル基を有する環状飽和炭化水素の脱水素に伴う脱メチル化抑制効果をより向上させることが可能となる。
第3族元素も白金と同様に担体に担持されていてもよい。つまり第3族元素は、酸化アルミニウムの表面に存在していてもよい。また、第3族元素は酸化アルミニウムの内部に含有されていてもよい。換言すれば、酸化アルミニウムの結晶構造において、アルミニウム(Al)の一部が第3族元素によって置換されて、担体の一部が第3族元素の酸化物(例えば酸化セリウム)であってよい。
還元雰囲気において、環状飽和炭化水素が脱水素触媒に接触すると、活性点である白金が環状飽和炭化水素から少なくとも一対の水素原子を引き抜いて、水素分子と環状不飽和炭化水素(例えば芳香族炭化水素)が生成する。このような脱水素反応を促進する触媒の活性を、脱水素活性という。
脱水素活性は、例えば、下記数式(1)で定義される環状飽和炭化水素の転化率C(単位:mol%)に基づいて評価される。転化率Cが高いことは、脱水素触媒の脱水素活性が高いことを意味する。
転化率C=(M2/M1)×100={M2/(M2+M3)}×100 (1)
数式(1)中、M1とは、脱水素触媒が配置された反応容器へ供給される環状飽和炭化水素のモル数である。M2とは、脱水素反応の生成物中に含まれる芳香族炭化水素のモル数である。M3とは、脱水素反応後に残存する炭化水素のモル数である。例えば、転化率Cがメチルシクロヘキサンの転化率であるとき、M1、M3はメチルシクロヘキサンのモル数であり、M2はトルエンのモル数である。
本実施形態に係る脱水素触媒において、第3族元素(例えば、セリウム)を酸化アルミニウムに添加することで、その物理的、電子的又は化学的な作用により、触媒表面で活性点として作用する白金が増加したり、または活性点としての白金の機能が増大したりする、と本発明者らは推察している。また、本発明者らは、本発明の効果が達成されるより具体的な理由の一つは以下のとおりである、と考える。ただし、本発明の効果が達成される具体的な理由は以下に限定されない。
本実施形態では、第3族元素が酸化アルミニウムに付着したり、酸化アルミニウムの内部に含まれたりしているため、酸化アルミニウム又は第3族元素の酸化物を構成する酸素の一部が還元雰囲気において担体から脱離して、担体に多数の格子欠陥が形成される。この格子欠陥に白金が嵌り込むことにより、白金が担体に固定される。その結果、脱水素反応時の加熱によって白金がより高分散な状態となり、かつ白金の担体表面における移動及び凝集が抑制される。メチル基を有する環状飽和炭化水素の脱水素に伴う脱メチル化は、当該メチル基が有する3つの水素原子すべてが、触媒表面の白金原子に吸着することにより誘発されると考えられるところ、本発明者らは、上記の様に白金が高分散状態となることで、白金原子間距離が大きく、脱メチル化の発生を抑制している、と推察する。この点について、図2を用いてさらに詳述する。図2の(a)及び(b)は、本実施形態に係る脱水素触媒の一例における白金の結晶系(六方晶系)を示す模式図である。図2は、第3族元素としてセリウム、添加元素としてスズを用いた脱水素触媒であり、当該脱水素触媒におけるスズと白金とがモル比で1:1の場合とした脱水素触媒を想定したものである。図2の(b)は、図2の(a)における白金原子間の距離の一例を示す図であり、図2の(c)は、メチル基の有する3つの水素原子間の距離Qを示す図である。白金原子間の距離Lが、メチル基の有する3つの水素原子間の距離Q(一般的には、0.1785nm)よりも大きい場合にはメチル基の吸着を抑制することができる。なお、白金原子の中心間距離Mが、メチル基の有する3つの水素原子間の距離Qよりも大きい場合も同様である。
なお、本実施形態に係る脱水素触媒では、第3族元素を含まない従来の脱水素触媒に比べて、脱水素反応中の白金表面積が増大し、白金の凝集が抑制されているために、充分な脱水素活性を維持しつつ、耐久性が向上したものとなっている。このような効果についても、脱水素触媒が第3族元素としてセリウム(Ce)を含む場合に顕著である。第3族元素に起因する格子欠陥の形成は、例えば、脱水素触媒の光電子分光(XPS)のスペクトルにおいて酸化物を構成する第3族元素に由来するピークの化学シフトを観察することによって確認することができる。
白金の原子間距離の最小値が0.2800nmよりも大きく、0.4967nm以下であってもよい。本実施形態における白金間の原子間距離については、この数値に限られるものではない。白金を含む合金の結晶格子において、(100)面における白金の原子間距離の最小値は、0.41nm〜0.54nmの範囲であることが好ましく、(101)面においては、0.41nm〜0.68nmの範囲であることが好ましく、(102)面においては0.41nm〜0.89nmの範囲であることが好ましい。本実施形態における原子間距離は、白金元素の原子核間の距離(中心間距離)を示し、白金の原子間隔という場合には、白金原子同士の間隔(原子間の距離の半分から、金属原子半径を引いた値のことを示す。原子間距離、及び原子間隔は、例えば、エネルギー分散型X線分光法(TEM/EDX)により測定される格子面間隔の値から算出することができる。白金の原子間距離の最小値が上記下限値よりも大きいと、メチル基を有する環状飽和炭化水素のメチル基の3つの水素原子の全てが脱水触媒上の白金に対して吸着することを抑制することが可能であり、脱メチル化をより抑制することができる。また、白金の原子間距離の最小値が上記上限値以下であれば、脱水素触媒の脱水素活性の低下を充分に低減することができる。
本実施形態においては、白金間の原子間距離に関して、隣接する3つの白金の原子間距離のうち少なくとも1つの距離が、0.5165nm以上であることが好ましい。このような原子間距離となるように白金間の原子間距離が調整されることにより、メチル基を有する環状飽和炭化水素のメチル基の3つの水素原子の白金に対する吸着がより抑制されることになり、脱メチル化をさらに抑制することが可能である。また、隣接する3つの白金の原子間距離のうち少なくとも1つの距離が0.4967nm以下であることが好ましい。このような原子間距離となるように白金間の原子間距離が調整されることにより、脱水素触媒の脱水素活性の低下を充分抑制することができる。
また本実施形態では、第3族元素を含まない脱水素触媒に比べて、脱水素反応中の白金の凝集が抑制されるため、脱水素反応に伴う経時的な失活が抑制され、反応時間の経過とともに脱水素活性が略一定に維持され易い。一方、第3族元素を含まない脱水素触媒の脱水素活性は、反応時間の経過に伴い減少し続ける。つまり、本実施形態では、第3族元素を含まない脱水素触媒に比べて、触媒寿命が向上する。
本実施形態では、脱水素触媒が第3族元素を含むことにより、その脱水素活性が向上するため、その白金の担持量が第3族元素を含まない従来の脱水素触媒と同じであっても、従来の脱水素触媒よりも優れた脱触媒活性を有することが可能である。換言すれば、本実施形態では、その白金の担持量が第3族元素を含まない従来の脱水素触媒よりも少ない場合であっても、従来の脱水素触媒と同等の脱水素活性を得ることが可能である。したがって、本実施形態では、脱水素活性を犠牲にすることなく、高価な白金の担持量を低減することが可能となる。
担体の表面は、多孔質の酸化アルミニウムから構成されていてよい。なお、担体とは、以下のいずれかの機能を有するものである。
主触媒を助けてその触媒活性または選択性を増大させる。
活性金属の分散性を増大させる。
触媒寿命を延長させる。
触媒の構造体としての機械的強度を増大させる。
触媒を固体化する。
触媒の成型を可能にする。
実質的に活性金属を担持する構造体である。
担体の形状は、特に限定されない。例えば、担体はペレット状であってよく、プレート状であってもよく、ハニカム状であってもよい。
酸化アルミニウムの種類は限定されないが、酸化アルミニウムの具体例としては、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、γ−アルミナ又はアルマイトが挙げられる。酸化アルミニウムの比表面積は、特に限定されないが、おおよそ100〜500m/gの範囲内に収まる。
添加元素の担持量は、特に限定されないが、添加元素単体換算で、酸化アルミニウムの全質量に対して、0.1〜5.0質量%、0.1〜4.0質量%又は0.2〜1.0質量%であってよい。添加元素の担持量が上記の下限値以上であることにより、脱水素活性がより向上する。添加元素の担持量が上記の上限値以上である場合、添加元素の担持量の増加に伴う触媒活性の向上の程度が緩やかになる。
白金の担持量は、特に限定されないが、白金単体換算で、担体(酸化アルミニウム、及び第3族元素の酸化物の全量)の全質量に対して、0.1〜5.0質量%、又は0.2〜1.0質量%であってよい。白金の担持量が上記の下限値以上であることにより、脱水素活性がより向上する。白金の担持量が上記の上限値以上である場合、白金の担持量の増加に伴う触媒活性の向上の程度が緩やかになる。また白金の価格は非常に高いため、脱水素触媒の実用化のためには白金の担持量が限られるが、本実施形態に係る脱水素触媒であれば、白金の担持量を従来よりも抑制することが可能である。
白金の担持量が、白金単体換算で、酸化アルミニウムの全質量に対して、m質量%であり、第3族金属の担持量が、第3族金属の酸化物換算で、酸化アルミニウムの全質量に対して、m質量%であるとき、m/mが、(10/3)〜4であってよい。この場合、白金分散度が高く、脱水素反応の反応速度が高い傾向がある。白金分散度が高く、脱水素反応の反応速度が高い傾向があるという理由から、m/mが2.78〜3.64であってもよい。
第3族元素の担持量は、特に限定されないが、第3族元素の酸化物換算で、酸化アルミニウムの全質量に対して、0質量%より大きく20質量%以下、又は0質量%より大きく10質量%以下であってもよく、0.1〜5.0質量%、0.3〜5.0質量%、又は2.0〜3.0質量%であってよい。第3族元素の担持量が上記の下限値以上であることにより、白金表面積がより増加して、脱水素活性がより向上する。第3族元素の担持量が上記の上限値以下であることにより、脱水素触媒の機械的強度を維持しつつ、白金表面積を増加させ易くなる。また、第3族元素の担持量が上記の上限値以下であることにより、製造過程における担体の成形が容易になる。第3族元素の担持量が、第3族元素の酸化物換算で、酸化アルミニウムの全質量に対して、2.0〜3.0質量%である場合、白金表面積が特に増大し易い傾向がある。
(脱水素触媒の製造方法)
本実施形態に係る脱水素触媒は、例えば、以下のように、第3族元素の担持工程と、これに続く白金の担持工程と、添加元素の担持工程と、を備える方法によって製造される。第3族元素の担持工程では、酸化アルミニウムを含み、第3族元素が担持された担体を作製する。白金の担持工程では、白金化合物の溶液を担体に担持して、担体を焼成する。添加元素の担持工程では、該当元素(例えば、スズ)を含む化合物の溶液を単体に担持して、担体を焼成する。
[第3族元素の担持工程]
担体(例えば多孔質の酸化アルミニウム担体)に、第3族元素化合物の溶液(例えば水溶液)を担持する。担持方法としては、例えばincipient wetness法、pore filling法、吸着法、浸漬法、蒸発乾固法、噴霧法、イオン交換法、液相還元法等が挙げられる。これらの方法により、担体の表面に第3族金属の塩を付着させる。脱水素触媒における第3族金属の担持量は、第3族金属化合物の濃度又は量によって調整すればよい。
第3族元素化合物としては、例えば硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩、塩化物、アルコキシド、アセチルアセトナート等を用いればよい。
第3族元素の塩が付着した担体を焼成して塩を分解することにより、第3族元素が担体に担持される。焼成温度は、塩の熱分解が進行する温度であればよく、例えば300〜600℃程度であればよい。
上記の担持工程の代わりに、安定な多孔質構造を有する前の酸化アルミニウム又はその前駆体に第3族元素化合物を混合し、多孔質構造を有する混合物を形成する方法もある。このような方法として、例えば、混練法、ゾルゲル法、共沈法などが挙げられる。または酸化アルミニウムと第3族元素の酸化物を物理的に混合してもよい。担体の原料粉末と第3族元素化合物との混合物を成型し、成型体を焼成する工程により、第3族元素を担体に添加してもよい。担体の原料粉末としては、例えばγ−アルミナの原料であるベーマイト(Boehmite)を用いればよい。この場合の焼成温度は、第3族元素化合物の熱分解が進行し、且つベーマイトの焼結によりγ−アルミナが生成する温度であればよい。このような焼成温度は、例えば300〜600℃程度である。
擬ベーマイト状態のアルミニウムの水酸化物、第3族元素の硝酸塩の水溶液、及び稀硝酸を混練して、混練物を調製し、混練物の押出し成形によってペレットを作製し、ペレットを焼成することにより、担体を作製してもよい。このような方法によって担体を作製することにより、担体において第3族元素が分散し易い。このような担体を用いて作製された脱水素触媒では、白金表面積が大きくなり易く、高い脱水活性が得られ易い。擬ベーマイト状態のアルミニウムの水酸化物とは、例えば、AlOOH又はAl・HOという組成式で表される。混練物は、ドウ(dough)とも呼ばれる。混練物のpHは、3〜7に調整すればよい。pHの調整により、混練物が適度な粘度を有し、混練物を成形し易くなる。混練物のpHは、硝酸の添加量によって変動する。混練物にアンモニア水を添加することにより、混練物のpHを調整してもよい。
[白金の担持工程]
第3族元素が担持された担体に、白金化合物の溶液(例えば水溶液)を担持する。担持方法としては、例えばincipient wetness法、pore filling法、吸着法、浸漬法、蒸発乾固法、噴霧法、イオン交換法、液相還元法などが挙げられる。これらの方法により、白金化合物を担体の表面に付着させる。脱水素触媒における白金の担持量は、白金化合物の濃度又は量によって調整すればよい。
白金化合物は、特に限定されないが、液体の溶媒に可溶であることが求められる。例えば、テトラクロロ白金酸、テトラクロロ白金酸カリウム、テトラクロロ白金酸アンモニウム、テトラクロロ白金酸ナトリウム、ビス(アセチルアセトナート)白金、ジアンミンジクロロ白金、ジニトロジアンミン白金、ジニトロジアンミン白金硝酸塩、ジニトロジアンミン白金アンモニア溶液、エタノールアミン白金、テトラアンミン白金ジクロライド、テトラアンミン白金水酸塩、テトラアンミン白金硝酸塩、テトラアンミン白金酢酸塩、テトラアンミン白金炭酸塩、テトラアンミン白金リン酸塩、ヘキサアンミン白金テトラクロライド、ヘキサアンミン白金水酸塩、ヘキサアンミン白金水酸塩、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキソ白金(IV)、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸ナトリウム、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸カリウム、硝酸白金、硫酸白金等を用いればよい。白金化合物は、アミン又はアンモニアを含むことが好ましい。この場合、脱水素触媒における白金表面積が増大し易い。アミン又はアンモニアを含む白金化合物は、ジニトロジアンミン白金硝酸塩、ジニトロジアンミン白金アンモニア溶液、エタノールアミン白金、及びヘキサアンミン白金水酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種であってよい白金化合物がジニトロジアンミン白金硝酸塩又はジニトロジアンミン白金アンモニア溶液である場合、白金が担体に均一に分散し易く、白金表面積が増大し易い。白金化合物がエタノールアミン白金である場合、白金が担体の外殻部(外表面近傍)へ選択的に分布し易く、白金表面積が増大し易い。
白金化合物を担持した担体を焼成して白金化合物を分解することにより、白金が担体に担持される。焼成温度は、白金化合物の分解が進行する温度であればよく、例えば200〜500℃程度であればよい。特に400℃以下又は360℃以下で焼成することにより、焼成中の白金の凝集が起こり難く、脱水素触媒における白金表面積が増加し易くなる。
上記のように、第3族元素を担体に担持する際には、第3族元素化合物が分解する程度の高温で焼成を行うことが好ましい。一方、白金を担体に担持する際には、白金の凝集が起こり難い程度の低温で焼成を行うことが好ましい。これらの相反する条件を両立するために、本実施形態では、第3族元素と白金とを同時に担体に担持せず、焼成温度が異なる上記2つの工程において両金属を個別に担体に担持させる。
[添加元素の担持工程]
第3族元素、及び白金が担持された単体に、添加元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む化合物の溶液(水溶液)を担持する。担持方法としては、例えばincipient wetness法、pore filling法、吸着法、浸漬法、蒸発乾固法、噴霧法、イオン交換法、液相還元法などが挙げられる。これらの方法により、添加元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む化合物を担体の表面に付着させる。脱水素触媒における添加元素の担持量は、添加元素を含む化合物の濃度又は量によって調整すればよい。
添加元素は、例えば硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩、塩化物、アルコキシド、アセチルアセトナート等を用いればよい。
添加元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素を含む化合物は、特に限定されないが、液体の溶媒に可溶であることが求められる。例えばスズであれば、塩化スズ、硫酸スズ、シュウ酸スズ等を用いればよい。
添加元素の塩が付着した担体を焼成して塩を分解することにより、添加元素が担体に担持され、本実施形態に係る脱水素触媒が完成する。焼成温度は、塩の熱分解が進行する温度であればよく、例えば300〜600℃程度であればよく、300〜400℃程度であってもよい。
本実施形態に係る脱水素触媒の製造方法は、上記の他、還元雰囲気下における還元工程等を備えてもよい。上記製造方法において、白金を含む担持元素及び単体の焼成を行うことから、白金を含む担持元素等が酸化物を形成する場合があり、還元雰囲気下で加熱することでこれを還元させてもよい。加熱は、例えば300〜600℃程度であればよく、300〜400℃程度であってもよい。
(水素の製造システム、及び水素の製造法)
本実施形態では、図3に示す水素の製造システム200を用いて、水素を製造する。なお、水素の製造システム200とは、例えば燃料電池車に燃料として水素ガスを供給するための水素ステーションである。
本実施形態に係る水素の製造システム200は、少なくとも脱水素反応器20、気液分離器40、水素精製装置60、及びタンク160を備える。製造システム200は、更に高圧コンプレッサー140を備えてもよい。脱水素反応器20は、上記本実施形態に係る脱水素触媒を有し、当該脱水素触媒を用いたメチル基を有する環状飽和炭化水素の脱水素により、水素及び有機化合物(不飽和炭化水素等)を生成させる。つまり、本実施形態に係る水素の製造方法は、上記本実施形態に係る脱水素触媒を用いたメチル基を有する環状飽和炭化水素の脱水素により、水素及び有機化合物を生成させる工程(脱水素工程)を備える。
メチル基を有する環状飽和炭化水素は、例えば、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、1−メチルデカリン、及び2−メチルデカリンからなる群より選択される少なくとも一種であってよい。これらの化合物は、有機ハイドライドと呼ばれる。メチル基を有する環状飽和炭化水素としては、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
脱水素工程では、メチル基を有する環状飽和炭化水素を脱水素反応器20内へ供給する。脱水素反応器20内には、上記本実施形態に係る脱水素触媒が設置されている。脱水素反応器20内は還元雰囲気である。脱水素反応器20内において、メチル基を有する環状飽和炭化水素が脱水素触媒に接触すると、脱水素反応が起こり、少なくとも一対の水素原子が上記環状飽和炭化水素から引き抜かれる。例えば、メチル基を有する環状飽和炭化水素としてナフテン系炭化水素(環状飽和炭化水素)の一種を用いる場合、水素分子と、芳香族炭化水素等の有機化合物(環状不飽和炭化水素)と、が生成する。このように、脱水素反応は気相反応である。脱水素工程では、メチル基を有する環状飽和炭化水素と共に水素を脱水素反応器20内へ供給してもよい。これにより、脱水素活性がより長期間維持される傾向がある。
脱水素反応の条件は、特に限定されない。反応温度は、250〜420℃であってよく、300〜400℃であってもよい。反応温度を上記範囲に調整するためには、脱水素反応器20内の触媒層の中央部の温度を上記範囲に調整すればよい。液空間速度(LHSV)は、0.2〜4.0h−1であってよい。メチル基を有する環状飽和炭化水素と共に水素を脱水素反応器20内へ供給する場合、水素分圧は、0.1〜1.0MPaであってよい。また、脱水素反応器20内へ供給する水素のモル数nと、脱水素反応器20内へ供給するメチル基を有する環状飽和炭化水素のモル数nとの比n/nは0.05〜1.0であってよい。
脱水素反応の生成物(水素分子及び有機化合物)は、脱水素反応器20から気液分離器40内へ供給される。気液分離器40内の温度は、有機化合物の融点以上有機化合物の沸点未満である。したがって、気液分離器40内の水素分子は気体であり、気液分離器40内の有機化合物は液体である。つまり、気液分離器40内において、脱水素反応の生成物は、水素ガス(気相、気層)と、有機化合物の液体(液相、液層)と、に分離する。気液分離器40内の気相(水素含有ガス)は、は水素精製装置60へ供給される。気液分離器40内の液相(有機化合物の液体)は、タンク160へ供給される。なお、気相には、有機化合物の蒸気が混入している場合がある。気相における有機化合物の分圧は最大で有機化合物の飽和蒸気圧程度である。なお、本実施形態に係る水素の製造方法においては、上記本実施形態に係る脱水素触媒を用いていることから、この有機化合物の割合を低減することができる。一方、液相には、脱水素されなかった有機ハイドライドが残存する場合がある。
気液分離器40から水素精製装置60へ供給された水素含有ガスは、水素精製装置60において精製される。水素精製装置60は、例えば、水素ガス及び有機化合物のうち水素ガスのみが選択的に透過する分離膜を備えてよい。分離膜は、例えば、金属膜(PbAg系膜、PdCu系膜、若しくはNb系膜など)、無機膜(シリカ膜、ゼオライト膜、若しくは炭素膜など)、又は高分子膜(フッ素樹脂膜、若しくはポリイミド膜など)であってよい。水素ガスが分離膜を透過することにより、水素ガスの純度が高まる。一方、水素含有ガス中の有機化合物(未反応の有機ハイドライド等)は、分離膜を透過することができない。したがって、有機化合物が水素含有ガスから分離され、高純度の水素ガスが精製される。精製された高純度の水素ガスは、高圧コンプレッサー140を経ることなく、燃料電池の燃料として用いられてもよく、高圧コンプレッサー140において圧縮された後、燃料電池の燃料として用いられてもよい。なお、有機化合物のみならず、微量の水素ガスも炭素膜を透過しない場合がある。炭素膜を透過しなかった水素ガスを、有機ハイドライドと共に回収して、オフガスとして、脱水素反応器20内へ供給してもよい。または、炭素膜を透過しなかった有機化合物を、タンク160内へ回収してもよい。水素精製装置60は、分離膜を備える装置に限定されない。水素精製装置60は、例えば、圧力スイング吸着(PSA)法、熱スイング吸着(TSA)法(温度スイング吸着法)、温度圧力スイング吸着(TPSA)法、及び深冷分離法からなる群より選ばれる少なくとも一種の方法を実施する装置であってもよい。これらの装置を用いて、水素含有ガスを精製し、精製に伴って生じたオフガスを脱水素反応器20内へ供給し、水素含有ガスから分離された有機化合物をタンク160へ供給してよい。精製された水素ガスの一部を、有機ハイドライドと共に脱水素反応器20へ供給してよい。これにより、脱水素反応器20内の脱水素触媒の脱水素活性が維持され易くなる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
[第3族元素の担持工程]
担体として、多孔質のγ−アルミナと酸化セリウムからなる成型体を用いた。酸化セリウムは担体製造工程において擬ベーマイト構造を有した水酸化アルミニウムに対して硝酸セリウムの水溶液を酸化アルミニウム(Al)に対して酸化セリウム(CeO)が2質量%となるように混合し、混合物を押し出し成型した。これを100℃で一晩乾燥した後、空気中において550℃で3時間焼成して、担体を調製した。
[白金の担持工程]
セリウムが添加された担体に塩化白金酸水溶液をpore filling法で担持した。続いて、担体を100℃で一晩乾燥した後、空気中において360℃で2時間焼成した。
[スズの担持工程]
白金が担持された担体に塩化スズ水溶液をpore filling法で担持した。この際、白金の配合量1モルに対してスズの配合量が9モルとなるように調整した。続いて、担体を100℃で一晩乾燥した後、空気中において360℃で2時間焼成して、スズが担体に担持された。
以上の工程によって、実施例1の脱水素触媒を作製した。実施例1の脱水素触媒は、γ−アルミナと酸化セリウムとからなる担体と、担体に担持された白金と、担体に担持されたスズとを備える。脱水素触媒における白金の担持量は、担体(γ−アルミナ及び酸化セリウム)の全質量に対して0.55質量%であった。脱水素触媒におけるスズの担持量は、白金の担持量に対し、モル比で0.3〜0.4であった。
[脱水素触媒表面における組成評価]
実施例1で得られた脱水素触媒を還元雰囲気下において、330℃で5時間加熱し、還元処理した、還元処理後の脱水素触媒について、透過型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(TEM/EDX)により白金間の格子面間隔を測定した。スズ及び白金の合金についての格子面間隔との比較から、実施例1の脱水素触媒表面における組成評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2016209786
[白金の原子間距離の測定]
実施例1で得られた脱水素触媒を還元雰囲気下において、330℃で5時間加熱し、還元処理した、還元処理後の脱水素触媒について、透過型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光法(TEM/EDX)により白金間の格子面間隔を測定した。測定値から、原子間距離、原子間隔を算出した。結果を表2に示す。
Figure 2016209786
(実施例2)
スズの担持工程において、白金の配合量1モルに対してスズの配合量が1モルとなるように調整したこと以外は実施例1と同様の方法で、実施例2の脱水素触媒を作製した。実施例2の脱水素触媒は、γ−アルミナと酸化セリウムとからなる担体と、担体に担持された白金と、担体に担持されたスズとを備える。脱水素触媒における白金の担持量は、担体(γ−アルミナ及び酸化セリウム)の全質量に対して0.55質量%であった。
(比較例1)
添加元素の担持を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1の脱水素触媒を作製した。比較例1の脱水素触媒は、γ−アルミナと酸化セリウムとからなる担体と、担体に担持された白金とを備える。比較例1の脱水素触媒は、第3族元素を含有しない。脱水素触媒における白金の担持量は、担体(γ−アルミナ及び酸化セリウム)の全質量に対して0.55質量%であった。
(比較例2)
添加元素にかえて、第7族元素であるレニウム(Re)を担持させていること以外は実施例1と同様の方法で比較例1の脱水素触媒を作製した。比較例2の脱水素触媒は、γ−アルミナと酸化セリウムとからなる担体と、担体に担持されたセリウムと、担体に担持された白金とを備える。比較例2の脱水素触媒は添加元素を含有しない。脱水素触媒における白金の担持量は、担体(γ−アルミナ及び酸化セリウム)の全質量に対して0.55質量%であった。
[脱水素活性評価]
実施例2、比較例1、及び2で得られた脱水素触媒について脱水素活性評価を行った。
まず、上記で得られた脱水素触媒を固定床流通式の反応器内に充填した。メチルシクロヘキサンを反応器内へ供給しながら、触媒層の最下流部の温度を340℃に維持して、反応器内でメチルシクロヘキサンの脱水素反応を継続させた。反応器内へ供給するメチルシクロヘキサンの液空間速度(LHSV)を1.5h−1に維持した。反応開始から1時間が経過した時点で反応器から排出されたガスを回収して冷却し、生成油を得た。生成油をガスクロマトグラフ−水素炎イオン化検出器(GC−FID)で分析し、生成油に含まれるメチルシクロヘキサンのGC面積(ピーク面積)と、液体に含まれるトルエンのGC面積との比率から、メチルシクロヘキサンの転化率(単位:mol%)を算出した(上記数式(1)参照。)。反応開始時間から、3時間が経過した時点、及び5時間が経過した時点で反応器から排出されたガスを回収して冷却して得られる生成油についても同様に分析した。結果を表3に示す。
[メタン生成量の測定]
実施例2、比較例1、及び2で得られた脱水素触媒について、下記条件の下、脱水素反応を行い、生成ガスをガスバッグに採取し、FID検出器を有したガスクロマトグラフィーにより、上記精製ガス中の脱水素反応に伴うメタン生成量を測定した。結果を表3に示す。
(脱水素反応の条件)
触媒量:10cc
反応温度:出口温度を340℃に制御
反応圧力0.19MPaG
液空間速度(LHSV)を1.5h−1
水素/メチルシクロヘキサン比:0.713mol/mol
触媒前処理:無し
Figure 2016209786
表3に示されるように、実施例2の脱水素触媒においては、メチル基を有する環状飽和炭化水素の脱水素に際する脱メチル化の発生が抑制されていることが確認された。
1…脱水素触媒、2,8…活性金属元素、4…添加元素、3,5…担体、6,7…活性部位、10…従来の脱水素触媒、20…脱水素反応器、40…気液分離器、60…水素精製装置、140…高圧コンプレッサー、160…タンク、200…水素の製造システム。

Claims (4)

  1. 第11〜第16族元素からなる群より選ばれる少なくとも一種の元素と、白金と、を含む合金と、
    酸化アルミニウムを含む担体と、
    第3族元素と、
    を備え、
    メチル基を有する環状飽和炭化水素の脱水素に用いる脱水素触媒。
  2. 前記白金の原子間距離の最小値が0.2800nmよりも大きく、0.4967nm以下である、
    請求項1に記載の脱水素触媒。
  3. 請求項1又は2に記載の脱水素触媒を有し、前記脱水素触媒を用いた前記環状飽和炭化水素の脱水素により、水素を生成させる脱水素反応器を備える、
    水素の製造システム。
  4. 請求項1又は2に記載の脱水素触媒を用いた前記環状飽和炭化水素の脱水素により、水素を生成させる工程を備える、
    水素の製造方法。
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