JP6573900B2 - タキサン化合物およびその製造方法およびその使用 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は薬化学の分野に関し、特に新規化合物、特にタキサン化合物に関する。本発明はさらに、該タキサン化合物の製造方法、および経口抗腫瘍医薬品の製造における有効成分としての該タキサン化合物の使用に関する。
発明の背景
パクリタキセル(PTX)は、次式で表される構造を有する:
Figure 0006573900
パクリタキセルは、1971年にイチイ属タイヘイヨウイチイの樹皮から抽出された。これは固有の抗癌機序を有する活性抗腫瘍化合物の一つであり、様々な癌に対して明らかな治療効果を示す。現在、臨床現場では、パクリタキセルは通常は静脈内注射により投与されている。しかしながらその水溶性が低いため、商品名「Taxol」あるいは「Paxene」で販売されているパクリタキセル注射剤の調製に際しては、パクリタキセルを、通常はポリオキシエチル化ヒマシ油(Chremophor EL)とエタノールとの混合溶媒(1:1、V/V)に溶解させている。
臨床応用において大きな成功が収められたものの、パクリタキセルはその間にも多くの要因によっても制約が課されている:(1)まず、パクリタキセル自体が毒性および副作用を有しており、これは例えば正常な組織や細胞に対する用量制限毒性や骨髄抑制(臨床的には、治療のための成長因子と組み合わせて使用することが必要である)であり、かつ血液脳関門等を通過することができない;(2)Chremophor ELを使用した場合に、次に生じる問題は、パクリタキセルの重篤なアレルギー反応、一次性高脂血症、中枢神経系(CNS)毒性および薬物動態の変化である。[ten Tije AJ,et al,Clin Pharmacokinet 42,655−685,2003;H. Gelderblom,et al,Eur.J.Cancer 37(13),1590−1598,2001;van Zuylen L,et al,Invest New Drugs 19,125−141,2001;R.B.Weiss,et al,J.Clin.Oncol.8(7),1263−1268,1990];(3)長期投薬に起因して多重的な薬剤耐性が生じる。
上述の課題を解決するために、国内外の多くの学者らがパクリタキセルの構造と活性との関連性について十分な研究を行ってきた。これには例えば、パクリタキセルの医薬投与形の変更、プロドラッグの開発、タキサン誘導体の合成、P−gp阻害剤と組み合わせた投薬等が挙げられる。その水溶性を向上させ、治療効果を高め、さらには毒性および副作用を低減するための新たな方法が引き続き模索されている。
経口タキサン誘導体に関する研究の実施は、極めて大きな実用的意義を有する。なぜならば、タキサン化合物自体の性質を変化させることによって、例えば低い水溶性、高い毒性等といったその問題点を根本的に解決することができ、それによってその経口バイオアベイラビリティが向上し、その毒性および副作用が低減し、かつその治療効果が高まるためでる。さらに、補助溶媒によりもたらされる副作用を回避し、かつ治療効果の延長を補助し、かつ注射投与を経口投与に変えることにより患者の耐容性を高めることができるものと考えられる。
研究者らは、パクリタキセル分子の構造変形において、C位、C位およびC10位での置換基のバリエーションはその活性にほとんど影響を与えないことを見出したが、これらの位置は、P−gpタンパク質との結合部位である。パクリタキセル分子とP−gpタンパク質との親和性は、これらの位置における置換基の大きさ、電気的性質、水素結合形成能により影響を受ける。従って、これらの基の修飾によって、P−gp過剰発現により引き起こされる多重的な薬剤耐性を克服し、かつ経口バイオアベイラビリティが低い等の問題を解決することができるものと考えられる。
14β−ヒドロキシバッカチンIII(14β−OH−DAB)は、次式で表される構造を有する:
Figure 0006573900
これは、ヒマラヤイチイの針葉から抽出された天然のタキサン誘導体である。これは十分な水溶性を有するが、これは主にそのC14位にヒドロキシ基が導入されているためである。この目的のために、このような14β−OH−DABから誘導された化合物は、水溶性の向上および経口バイオアベイラビリティの向上を示すことが予想される(Appendino,G. et al,J. Chem.Soc.,Perkins Trans,1,2925−2929,1992)。
そこで本発明者らは、14β−OH−DAB誘導体の研究に従事し、遂に、経口バイオアベイラビリティの向上を示す一連の新規化合物を見出した。薬理学的実験において示されるように、従来技術と比較して、本発明において合成された1,14−カーボナートバッカチンIIIの構造を含むこれらのタキサンの誘導体は、様々なヒト癌細胞株に対する強力な細胞毒性と、広範な様々な抗腫瘍効果とを示す。このことは、細胞毒性が維持されたMCF−7乳癌細胞株のインビトロ活性のデータから判明した。一方でさらに、いくつかの誘導体は従来技術のものよりも良好な細胞毒性を示す。タキサン誘導体の生体内吸収および輸送は、ヒト由来の結腸直腸腺癌細胞株Caco−2細胞単層モデルを用いて予測される。このことは、従来技術と比較してこれらの誘導体のほとんどが経口バイオアベイラビリティの向上を示すという実験結果から判明した。従って、1,14−カーボナートバッカチンIIIの構造を含むこれらのタキサン誘導体の細胞毒性は維持(あるいはさらには増大)され、さらにその経口バイオアベイラビリティも大幅に向上する。
発明の内容
本発明は、次の一般式I:
Figure 0006573900
[式中、
は、−COR、−COORまたは−CONR7a7bであり;
は、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、置換炭化水素基、複素環式基、芳香族基または置換芳香族基であり;
は、−OR、−OCOOR、−OCOSRまたは−OCONR7a7bであり;
は、−OR、−OCOOR、−OCOSR、−OCONR7a7b、HまたはOHであり;
ここで、Rは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、置換炭化水素基、芳香族基または複素環式基であり;R7aおよびR7bはそれぞれ、水素、炭化水素基、置換炭化水素基または複素環式基である]
で表される構造を有するタキサン化合物を提供する。
本発明はさらに、本発明のタキサンの化合物の製造方法を提供する。
前述の本発明のタキサンの化合物の製造方法は、次のステップ:
ステップ1 タキサン母核部の合成:原料として10−デアセチルバッカチンIII(10−DAB)を用いて、まず母核部のC位およびC10位のヒドロキシル基を選択的に置換基で保護し、その後C13ヒドロキシ基を酸化してケト−カルボニル基を形成し、次いでN−(スルホニル)オキサジリジンを用いてC14にβ配置を有するヒドロキシル基を高立体選択的に導入することによりN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)の作用下で1,14−カーボナート構造を形成し、最後にC13ケト−カルボニル基をCBS還元法により高立体選択的に還元してα配置を有するヒドロキシル基を形成し、それによってタキサン母核部を形成する;
ステップ2 5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体の合成:5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体を、保護基の導入、付加縮合、酸加水分解、アルドール縮合、接触水素化等を含む一連の反応により製造する;
ステップ3 タキサン誘導体の合成:5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体を、エステル化によりタキサン母核部と結合させ、かつ酸加水分解による保護基の除去後に一連のタキサン誘導体を生成する
を含む。
より具体的には、本発明のタキサン化合物の製造方法は、次のステップ:
ステップ1 タキサン母核部の合成:原料として10−デアセチルバッカチンIII(10−DAB)を用いて、まず母核部のC位およびC10位のヒドロキシル基を選択的に置換基で保護し、その後C13ヒドロキシ基を酸化してケト−カルボニル基を形成し、次いでN−(スルホニル)オキサジリジンを用いてC14にβ配置を有するヒドロキシル基を高立体選択的に導入することによりCDIの作用下で1,14−カーボナート構造を形成し、最後にC13ケト−カルボニル基をCBS還元法により高立体選択的に還元してα配置を有するヒドロキシル基を形成し、それによってタキサン母核部を形成する;
ステップ2 5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体の合成:原料として使用するグリコール酸を順にベンジル基およびブチルオキシカルボニル基(Boc基)により保護することにより、Boc保護ベンジルグリコラートを生成し;様々な置換アルデヒドを(S)−t−ブチルスルフィンアミドと縮合させることにより、対応するエナミン化合物を形成し;このBoc保護ベンジルグリコラートとエナミン化合物とをリチウム塩の存在下での付加反応により反応させ、その後、酸加水分解後にキラル中間体が得られ、この得られた中間体を、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)により触媒されるアルドール縮合反応によって1,1’−(ジメトキシメチル)p−メトキシベンゼンと反応させることによって、縮合化合物を取得する。この縮合化合物のアミノ基を様々な置換基で置換し、かつ最後に接触水素化後に5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体を得る;
ステップ3 タキサン誘導体の合成:5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体を、エステル化によりタキサン母核部と結合させ、かつ酸加水分解による保護基の除去後に一連のタキサン誘導体を生成する
を含む。
さらに本発明は、上記で定義された一般式(I)の化合物、その製薬学的に許容される塩または溶媒和物を有効成分として含む医薬組成物、および経口抗腫瘍医薬品の製造におけるその使用を提供する。
本発明は、次の利点を有する:
1.本発明において、C13ケト−カルボニル基の立体選択的還元においてCBS還元法が選択される。水素化ホウ素金属を用いる従来の還元法と比較して、CBS還元法は高立体選択的な還元が可能であり、それによりee値>99.9%でかつ収率90%以上でC13にα配置を有するヒドロキシル基を得ることができる。
2.パクリタキセルのC位、C10位、C14位、C3’N位およびC3’位という複数の位置で置換基を同時に変化させることにより、1,14−カーボナートバッカチンIIIを含む一連のタキサンの誘導体を合成した。様々な癌細胞株に関するインビトロ細胞毒性アッセイにおいて、これらは良好な抗腫瘍活性を示した。このようなタキサン誘導体のインビトロでの経口バイオアベイラビリティは、Caco−2細胞単層膜輸送アッセイを用いて予測され、かつ、このような誘導体のほとんどの膜透過性がパクリタキセルの場合よりも高かったという実験結果によって示され、かつその経口バイオアベイラビリティが様々なレベルで向上することが予想された。双方向輸送アッセイにおける流出率の結果の分析によって、このような誘導体はP−gpの流出効果を様々なレベルで示しうることが判明し、かつさらに、これらの化合物の経口吸収能力が向上したことが確認された。さらに、ラットを用いた生体内経口バイオアベイラビリティの実施に際して、インビトロアッセイで最も高い膜透過性を示した化合物PCMI−08を選択した。このことは、その絶対経口バイオアベイラビリティが65.8%に増加したという実験結果から判明した。このことは、そのインビボでの経口吸収能力がパクリタキセルのそれと比較して有意なレベルで向上したことを示す。従って、本発明の1,14−カーボナートバッカチンIIIを含むタキサン誘導体は、潜在的な経口抗腫瘍医薬品であった。
図1は、PCMI−08の血漿中濃度−時間曲線である。 図2は、PCMI−01のH NMRスペクトルである。 図3は、PCMI−01の13C NMRスペクトルである。 図4は、PCMI−01のMSスペクトルである。 図5は、PCMI−02のH NMRスペクトルである。 図6は、PCMI−02の13C NMRスペクトルである。 図7は、PCMI−03のH NMRスペクトルである。 図8は、PCMI−03の13C NMRスペクトルである。 図9は、PCMI−04のH NMRスペクトルである。 図10は、PCMI−04の13C NMRスペクトルである。 図11は、PCMI−04のMSスペクトルである。 図12は、PCMI−04のIRスペクトルである。 図13は、PCMI−05のH NMRスペクトルである。 図14は、PCMI−05の13C NMRスペクトルである。 図15は、PCMI−05のMSスペクトルである。 図16は、PCMI−05のIRスペクトルである。 図17は、PCMI−06のH NMRスペクトルである。 図18は、PCMI−06の13C NMRスペクトルである。 図19は、PCMI−06のMSスペクトルである。 図20は、PCMI−07のH NMRスペクトルである。 図21は、PCMI−07の13C NMRスペクトルである。 図22は、PCMI−07のMSスペクトルである。 図23は、PCMI−08のH NMRスペクトルである。 図24は、PCMI−08の13C NMRスペクトルである。 図25は、PCMI−08のMSスペクトルである。 図26は、PCMI−09のH NMRスペクトルである。 図27は、PCMI−09の13C NMRスペクトルである。 図28は、PCMI−09のMSスペクトルである。 図29は、PCMI−10のH NMRスペクトルである。 図30は、PCMI−10の13C NMRスペクトルである。 図31は、PCMI−10のMSスペクトルである。 図32は、PCMI−11のH NMRスペクトルである。 図33は、PCMI−11の13C NMRスペクトルである。 図34は、PCMI−12のH NMRスペクトルである。 図35は、PCMI−12の13C NMRスペクトルである。 図36は、PCMI−12のMSスペクトルである。 図37は、PCMI−13のH NMRスペクトルである。 図38は、PCMI−13の13C NMRスペクトルである。 図39は、PCMI−14のH NMRスペクトルである。 図40は、PCMI−14の13C NMRスペクトルである。 図41は、PCMI−14のMSスペクトルである。 図42は、PCMI−15のH NMRスペクトルである。 図43は、PCMI−15の13C NMRスペクトルである。 図44は、PCMI−15のMSスペクトルである。 図45は、PCMI−16のH NMRスペクトルである。 図46は、PCMI−16の13C NMRスペクトルである。 図47は、PCMI−16のMSスペクトルである。 図48は、PCMI−17のH NMRスペクトルである。 図49は、PCMI−17の13C NMRスペクトルである。 図50は、PCMI−17のMSスペクトルである。 図51は、PCMI−17のIRスペクトルである。 図52は、PCMI−18のH NMRスペクトルである。 図53は、PCMI−18の13C NMRスペクトルである。 図54は、PCMI−18のMSスペクトルである。 図55は、PCMI−19のH NMRスペクトルである。 図56は、PCMI−19の13C NMRスペクトルである。 図57は、PCMI−19のMSスペクトルである。 図58は、PCMI−20のH NMRスペクトルである。 図59は、PCMI−20の13C NMRスペクトルである。 図60は、PCMI−20のMSスペクトルである。 図61は、PCMI−21のH NMRスペクトルである。 図62は、PCMI−21の13C NMRスペクトルである。
発明の詳細な説明
本明細書において使用される「アルキル」という用語は、(例えば二重結合、三重結合または環といった)不飽和度を全く有しない炭素原子および水素原子のみからなる基を指し、これには、その可能な幾何異性体および立体異性体の全ての種類が含まれる。これらの基には、単結合により分子の残りが結合している。本明細書において使用される「C〜Cアルキル」とは、1〜6の炭素数を有する上記で定義されたアルキルを指す。C〜Cアルキルの非限定的な例としては、直鎖または分岐鎖を有する次の基が挙げられる:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびその異性体、並びにn−ヘキシルおよびその異性体。
本明細書において使用される「アルケニル」という用語は、1つ以上の二重結合を有する上記のアルキル基(メチル以外)から形成される基を指す。「C〜Cアルケニル」という用語は、1〜6の炭素数を有する上記で定義したアルケニルを指す。
本明細書において使用される「アルキニル」という用語は、1つ以上の三重結合を有する上記のアルキル基(メチル以外)から形成される基を指す。「C〜Cアルキニル」という用語は、1〜6の炭素数を有する上記で定義したアルキニル基を指す。
本明細書において使用される「炭化水素基」という用語は、炭素および水素原子のみからなる基を指す。「置換炭化水素基」という用語は、置換基を有する上記で定義されたアルキル、アルケニルまたはアルキニル基等を意味する。この置換基は、ヒドロキシル基、アミノ基等であることができる。
本明細書において使用される「複素環式基」という用語は、芳香族の5員〜14員の環か、または独立してN、O若しくはSから選択されるヘテロ原子と炭素とからなる非芳香族の3員〜15員の環を指す。芳香環は単環式であっても二環式であっても多環式であってもよく、その際、二環式基および多環式基は、単環式基から相互に単結合により結合することによって、または縮合法によって形成される。ヘテロアリール基の非限定的な例としては、次の基が挙げられる:オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、フリル、インドリル、イソインドリル、ピロリル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、チエニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾピラニル、カルバゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、シンノリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、プリニル、キノキサリニル、チアジアゾリル、インドリジニル、アクリジニル、フェナジニル、フタラジニル、クマリニル、ピラゾロピリジニル、ピリジノピリダジニル、ピロロピリジニル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリダジニル;および上記のヘテロアリール基から相互に単結合により結合することよって、または縮合法によって形成される基。非芳香環は、単環式であっても二環式であっても多環式であっても縮合環であっても架橋した環であってもスピロ環であってもよく、これらは場合により1つ以上の二重結合を含むことができる。複素環式基の非限定的な例としては、次の基が挙げられる:アゼピニル、アクリジニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、クロマニル、ジオキソラニル、ジオキサホスホラニル、デカヒドロイソキノリニル、インダニル、インドリニル、イソインドリニル、イソクロマニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソ−ピペラジニル、2−オキソ−ピペリジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソ−アゼピニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、ペルヒドロアゼピニル、ピペラジニル、4−ピペリドニル、ピペリジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、キヌクリジニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピロリジニル、チアゾリンイル、チアゾリニル、チオモルホリニル、チオモルホリンスルホキシドおよびチオモルホリニルスルホン。
本明細書において使用される「アリール」という用語は、少なくとも6個の炭素原子からなる芳香環を指し、これは、単環式であっても二環式であっても多環式であってもよく、その際、二環式環および多環式環は、単環式環から相互に単結合により結合することによって、または縮合法によって形成される。アリール基の非限定的な例としては、次の基が挙げられる:フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、インデニル、ピレニル、ペリレニル、アズレニル、アセナフテニル、フルオレニル、ベンゾアセトナフテニル、トリフェニレニル、クリセニル、ビフェニル、ビナフチル等。
本明細書において使用される「置換芳香族基」という用語は、置換基を有する上記で定義された芳香族基を指す。この置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシル、アミノ等であることができる。
本発明は、次の一般式I:
Figure 0006573900
[式中、
は、−COR、−COORまたは−CONR7a7bであり;
は、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、置換炭化水素基、複素環式基、芳香族基または置換芳香族基であり;
は、−OR、−OCOOR、−OCOSRまたは−OCONR7a7bであり;
は、−OR、−OCOOR、−OCOSR、−OCONR7a7b、HまたはOHであり;
ここで、Rは、C〜Cアルキル基、C〜Cアルケニル基、C〜Cアルキニル基、置換炭化水素基、芳香族基または複素環式基であり;R7aおよびR7bはそれぞれ、水素、炭化水素基、置換炭化水素基または複素環式基である]
で表される構造を有するタキサン化合物を提供する。
好ましくは、
は、ベンゾイル、t−ブチルオキシカルボニルまたはN,N’−ジメチルカルバモイルであり;
Figure 0006573900
は、−OMe、−OCOOCH、−OCON(CHまたは−OCOSCであり;
は、−OMe、−OCOOCH、−OCON(CH、−OCOSC、HまたはOHである。
最も好ましくは、本発明のタキサン化合物は、次の構造を有する化合物から選択される:
Figure 0006573900
Figure 0006573900
Figure 0006573900
Figure 0006573900
本発明によれば、一般式(I)で表される構造を有する化合物には、該化合物のすべての異性体および該異性体の混合物も含まれる。
必要であれば、一般式(I)で表される構造を有する化合物は、製薬学的に許容される非毒性塩の形をとっていてもよい。
本発明によれば、一般式(I)で表される構造を有する化合物は、場合により、溶媒和物(例えば水和物)の形態で存在してもよい。従って、これらの溶媒和物(例えば水和物)も本発明の化合物の範囲に含まれる。
さらに本発明は、上記で定義された一般式(I)で表される構造を有する化合物、その製薬学的に許容される塩または溶媒和物を有効成分として含む医薬組成物、および経口抗腫瘍医薬品の製造におけるその使用を提供する。
本発明の医薬組成物において、本発明の化合物の質量比は0.01%〜99.99%であり、かつ残分は製薬学的に許容される担体である。本医薬組成物は、適切な製剤の形態である。この製剤としては、次のものが挙げられる:錠剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、散剤、スラリー剤、懸濁剤、注射剤、粉末注射剤、坐剤、クリーム剤、滴剤またはパッチ剤。その際、錠剤とは、糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶コーティング錠または徐放錠であり;カプセル剤とは、硬カプセル剤、軟カプセル剤または徐放カプセル剤であり;粉末注射剤とは、凍結乾燥粉末注射剤である。
本発明の医薬組成物の剤形においては、各剤形は本発明の化合物の0.1mg〜1000mgの有効量を含有する。ここで、各剤形とはその各単位を指し、例えば錠剤においては各錠剤を、カプセル剤においては各カプセルを指す。また、これは各回の投与用量を指す場合もある(例えば各回当たり100mgの用量)。
本発明の医薬組成物が、例えば、散剤、錠剤、分散性散剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤および軟膏剤といった固体または半固体の製剤へと調製される場合には、固体担体を使用することができる。使用可能な固体担体は、好ましくは、希釈剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、増量剤等のうちの1つ以上の物質から選択され、また、材料をカプセル化することもできる。散剤においては、これは、担体中の微粉化された有効成分5〜70質量%を含有する。適切な固体担体としては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク粉末、スクロース、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低沸点ワックス、ココアバター等が挙げられる。錠剤、散剤、カシェ剤およびカプセル剤は投与が容易であるため、これらは極めて有利な経口固体製剤の代表物である。
本発明の液体製剤には、液剤、懸濁剤および乳剤が含まれる。例えば、非経口投与のための注射剤は、等張性、pH等を調整して生体の生理的状態に適合させるために用いられる水溶液または水−プロピレングリコール溶液の形態であってもよい。あるいは、液剤は、ポリエチレングリコールまたは水の溶液の形態で調製されてもよい。経口水性液剤は、水中に有効成分を溶解させて、その中に適量の着色剤、矯味矯臭剤、安定剤および増粘剤を添加することにより調製することができる。また、経口水性懸濁剤は、例えば天然ゴム、合成ゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび他の公知の懸濁化剤といった粘性材料に微粉化した有効成分を分散させることにより調製することができる。
投与および用量の均一性の便宜上、前述の医薬製剤を製剤単位の形態で調製することが特に有利である。この製剤単位とは、単回用量を含む物理的に分離可能な単位を指す。各単位は所望の治療効果が得られるように十分に計算された所定量の有効成分を含む。この製剤単位は包装された形態であってもよく、例えば、小さなチューブ若しくは瓶中の錠剤、カプセル剤、散剤、またはチューブ若しくは瓶中の軟膏剤、ゲル剤またはクリーム剤であってもよい。
この製剤単位中の有効成分の量は様々であることができるが、一般には、選択された有効成分の有効性に基づいて1mg〜1000mgの範囲内である。
式(I)で表される本発明の化合物が抗腫瘍剤として使用される場合には、その用量は、患者の要求、疾患の状態、選択された化合物等に応じて様々であることができる。
本発明によれば、タキサン化合物は、次のステップ:
ステップ1 タキサン母核部の合成:原料として10−デアセチルバッカチンIII(10−DAB)を用いて、まず母核部のC位およびC10位のヒドロキシル基を選択的に置換基で保護し、その後C13ヒドロキシ基を酸化してケト−カルボニル基を形成し、次いでN−(スルホニル)オキサジリジンを用いてC14にβ配置を有するヒドロキシル基を高立体選択的に導入することによりCDIの作用下で1,14−カーボナート構造を形成し、最後にC13ケト−カルボニル基をCBS還元法により高立体選択的に還元してα配置を有するヒドロキシル基を形成し、それによってタキサン母核部を形成する;
ステップ2 5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体の合成:5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体を、保護基の導入、付加縮合、酸加水分解、アルドール縮合、接触水素化等を含む一連の反応により製造する;
ステップ3 タキサン誘導体の合成:5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体を、エステル化によりタキサン母核部と結合させ、かつ酸加水分解による保護基の除去後に一連のタキサン誘導体を生成する
を含む方法により製造される。
好ましくは、本発明のタキサン化合物の製造方法は、次のステップ:
ステップ1 タキサン母核部の合成:原料として10−デアセチルバッカチンIII(10−DAB)を用いて、まず母核部のC位およびC10位のヒドロキシル基を選択的に置換基で保護し、その後C13ヒドロキシ基を酸化してケト−カルボニル基を形成し、次いでN−(スルホニル)オキサジリジンを用いてC14にβ配置を有するヒドロキシル基を高立体選択的に導入することによりCDIの作用下で1,14−カーボナート構造を形成し、最後にC13ケト−カルボニル基をCBS還元法により高立体選択的に還元してα配置を有するヒドロキシル基を形成し、それによってタキサン母核部を形成する;
ステップ2 5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体の合成:原料として使用するグリコール酸を順にベンジル基およびt−ブチルオキシカルボニル基(Boc基)により保護することにより、Boc保護ベンジルグリコラートを生成し;様々な置換アルデヒドを(S)−t−ブチルスルフィンアミドと縮合させることにより、対応するエナミン化合物を形成し;このBoc保護ベンジルグリコラートとエナミン化合物とをリチウム塩の存在下での付加反応により反応させ、その後、酸加水分解後にキラル中間体が得られ、この得られた中間体を、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)により触媒されるアルドール縮合反応によって1,1’−(ジメトキシメチル)p−メトキシベンゼンと反応させることによって、縮合化合物を取得する。この縮合化合物のアミノ基を様々な置換基で置換し、かつ最後に接触水素化後に5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体を得る。この反応経路は次の通りである:
Figure 0006573900
ステップ3 タキサン誘導体の合成:5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体を、エステル化によりタキサン母核部と結合させ、かつ酸加水分解による保護基の除去後に一連のタキサン誘導体を生成する
を含む。
ここで、ステップ1において、C位およびC10位のヒドロキシル基を置換基で保護する際に:
(1)RおよびRが−ORである場合には、反応を次のように行う:まず、ヒドロキシル基を、室温〜0℃で溶媒としてのテトラヒドロフランまたはジクロロメタンおよびアルカリとしてのピリジン(Py)中でp−トルエンスルホニルクロリド(TsCl)と反応させることによりp−トルエンスルホナートを得て、これをさらにグリニャール試薬と反応させることにより、対応するエーテル−ORを得る;
(2)RおよびRが−OCOORまたは−OCONR7a7bである場合には、反応を次のように行う:アルカリ条件下に、ヒドロキシル基を室温〜−70℃で溶媒としてのテトラヒドロフラン中で対応する酸塩化物と反応させる;
(3)RおよびRが−OCOSRである場合には、反応を次のように行う:ヒドロキシル基を室温で溶媒としてのテトラヒドロフラン中でN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させ、かつ得られた生成物をさらに置換反応によりメルカプタンと反応させる。
ステップ1において、CBS還元法によるC13ケト−カルボニル基の立体選択的還元には、次の特定のステップが含まれる:C13−オキソを、室温〜−70℃で溶媒としての無水テトラヒドロフラン、無水ジクロロメタンまたはアルコール、触媒としての(R)−2−メチルオキサザボロジンおよび還元剤としてのボランを用いて立体選択的に還元させることにより、C13−α−OHを形成する。
ステップ2において、前述の様々な置換アルデヒドには、C〜Cヒドロカルビルアルデヒド、C〜C置換ヒドロカルビルアルデヒド、芳香族アルデヒド、置換芳香族アルデヒドおよび複素芳香族アルデヒド等が含まれ;キラル中間体のアミノ基の置換に関与する反応を、溶媒としてのテトラヒドロフラン、ジクロロメタンまたはジオキサンを用いて行い、それにより、室温〜−70℃でアルカリ条件下に対応する酸塩化物と反応させ;接触水素化反応においては、触媒としてパラジウム炭素または水酸化パラジウムを使用し、水素を標準圧力でかまたは加圧条件で導入し、かつこの反応を好ましくは溶媒としてのアルコール、テトラヒドロフランまたはジクロロメタン等中で行う。
好ましくは、ステップ1においてC位およびC10位のヒドロキシル基を置換基で保護する際に:
(1)RおよびRが−ORである場合には、好ましくは溶媒としてジクロロメタンを使用し、温度は0℃であり、かつグリニャール試薬にはRMgBrが含まれる;
(2)RおよびRが−OCOORまたは−OCONR7a7bである場合には、好ましくはアルカリとしてリチウムヘキサメチルジシラジドを使用し、かつ好ましくは温度は−40℃であり;酸塩化物にはROCOClおよびR7a7bNCOClが含まれる;
(3)RおよびRが−OCOSRである場合には、メルカプタンにはRSHが含まれる。
ステップ1において、CBS還元法によるC13ケト−カルボニル基の立体選択的還元を、好ましくは溶媒として無水テトラヒドロフランを用いて室温で行い;
ステップ2において、中間体のアミノ基の置換に関与する反応において、好ましくはアルカリとしてリチウムヘキサメチルジシラジド(LHMDS)を使用し、かつ溶媒としてテトラヒドロフランを使用し;好ましくは温度は−40℃であり、酸塩化物にはRCOCl、ROCOClおよびR7a7bNCOClが含まれ;接触水素化反応において、好ましくは触媒として水酸化パラジウムを使用し、水素を20psiで導入し、かつ好ましくはこの反応をアルコール溶液中で行う。
本発明のタキサン化合物は、経口抗腫瘍活性を示す。本発明の薬効を以下に実験データにより示す。
1.ヒト腫瘍細胞株を用いた細胞毒性アッセイ
パクリタキセルを陽性の薬物として使用した。16の癌細胞株(MCF−7、MDA−MB−436乳癌細胞;A549、NCI−H460非小細胞性肺癌;A2780卵巣癌;A375、B16黒色腫;HCT116、HT−29結腸癌;Hela子宮頸癌;HL−60、K562白血病;LNCaP、Du145前立腺癌;LN−18、BGC−823胃癌を含む)に対する、1μMの濃度での本発明の1,14−カーボナートバッカチンIIIを含むタキサン誘導体の増殖抑制率を調べるために、MTTアッセイを用いた。実験結果を第1表に示す。
Figure 0006573900
予備活性評価によって、このようなタキサン誘導体がほとんどの癌細胞株に対して陽性対照薬と類似またはより強い細胞毒性を示すことが判明した。A549およびB16の双方の癌細胞株においてのみ、タキサン誘導体の細胞毒性は陽性対照薬のそれをわずかに下回っている。実験結果によって、このような本発明のタキサン誘導体が優れた腫瘍抑制活性を示すことが判明した。
上述の予備スクリーニングの活性評価データから、本発明において合成された一連のタキサン誘導体が活性を示すことが判明した。その後、これらの化合物を、乳癌細胞株MCF−7に対するそのIC50値を調べるために試験する。パクリタキセルを陽性対照薬として使用した。各化合物についての実験を独立して3回繰り返し、かつ各実験においてマルチウェルを使用した。薬物の曝露時間は72時間であった。半数致死量(IC50)を平均値±SDとして表し、かつ実験データを第2表に示す。
Figure 0006573900
第2表から明らかであるように、陽性対照薬パクリタキセルのIC50値は7.05nMである。本発明の1,14−カーボナートバッカチンIIIの構造を含むタキサン誘導体のIC50値はパクリタキセルのそれと全く同等であり、オーダーは同一のままである。一方で、いくつかの誘導体のIC50値はパクリタキセルのそれよりも良好である。従って、本発明の誘導体のインビトロ活性は、パクリタキセルと比較して変わらないかまたはさらには改善されていることが判明した。
2.Caco−2細胞単層膜輸送アッセイ
ヒト由来の結腸直腸腺癌細胞株Caco−2細胞単層モデルを用いて、頂端(AP)側から側底(BL)側へ、およびBL側からAP側への標的化合物の双方向性輸送を試験した。輸送パラメータ、見かけの透過係数(Papp)および流出率を算出する定量分析のために、HPLCを使用した。陽性対照薬としてパクリタキセルを使用し、これらのタキサン誘導体の生体内経口バイオアベイラビリティおよびP−gpとのその親和性を予測するための参照体として、P−gpの基質のエリスロマイシンを使用した。
Figure 0006573900
Figure 0006573900
実験結果を第3表に示す。本発明のタキサン誘導体のほとんどのA−to−BのPapp値は、パクリタキセルのそれ(Papp A−to−B=0.97)よりも高いことが判明した。特にPCMI−08に関してはそのA−to−B値は>10×10−6cm/sであり、これは高透過性基質に属する。これらのデータは、1,14−カーボナートバッカチンIIIの構造を含むこれらのタキサン誘導体が良好な膜透過能力を有することを示しており、従って、これらはパクリタキセルよりも良好に生体内に吸収されるものと予測される。
これらのタキサン誘導体の膜透過回収率を第4表に示す。21種のタキサン誘導体から選択された10種の化合物の双方向性輸送を評価し、かつ結果を第5表に示す。流出比から、パクリタキセルと比較して本発明のこれらの誘導体の流出比が様々なレベルで低減していることが判明した。従って、生体内経口吸収が改善されることが予想される。
3.生体内経口バイオアベイラビリティアッセイ
材料
化合物PCMI−08を、本発明において提供される方法に従って合成し、かつ検出した。内部標準パクリタキセルを、中国薬品生物製品検定所(NICPBP)より購入した。クロマトグラフィーグレードのアセトニトリルをSigma−Aldrich Inc.より購入し、Tween 80および酢酸エチルをAladdin reagent Inc.より購入した。雄のS.D.ラットをBeijing Weitonglihua Inc.より購入し、動物小屋内で2週間で飼育した。
装置
Agilent 1100シリーズHPLC、Agilent G1313Aオートサンプラー、Thermo Finnigan TSQ四重極質量分析計(米国カリフォルニア州サンノゼ)、Xcalibur(登録商標)(バージョン1.3)ソフトウェア(Thermo Finnigan)データ解析ソフトウェア。
実験手順:
PCMI−08 200mgをTween 80と無水エタノールとの混合溶液(1:1)4ml中に溶解することにより50mg/mlのストック溶液を調製し、かつ生理食塩水を添加して適切な濃度に調整した。12匹の雄のS.D.ラット(体重300g)を捕獲し、一晩絶食後に2群に分けた。一方の群を静脈内注射(5mg/kg)で処理し、他方の群を経口(60mg/kg)で処理した。血液を、静脈内群では0分後、5分後、10分後、20分後、40分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、12時間後、24時間後に採取し、一方で経口群では5分後、15分後、30分後、45分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、12時間後、24時間後に採取した。血漿を4500rpmで10分間遠心分離した後、上澄み血清を採取し、かつアッセイのために−40℃の冷凍庫内に置かれた対応するEPチューブに移した。
PCMI−08の標準曲線の作成
Agilent 1100シリーズの構成:Agilent G1313A HPLCオートサンプラー装置、150mm×2.1mmC18サーモカラム(粒径3μm)逆相カラム、検出波長230nm、カラム温度30℃、移動相アセトニトリル/水(7:3)、流量0.2ml/分、注入体積20μl。組み合わせられた質量分析(MS)は、ポジティブイオンモードでエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用いて構成されたThermo Finnigan TSQ Quantum triple quadrupoleであった。MS分析のパラメータは次の通りであった:スプレーチャンバ電圧4.0kv;加熱キャピラリー温度350℃;保護ガス(窒素):20psi;補助ガス(窒素):5psi;衝突ガス(アルゴン);圧力1.5mmTorr;衝突エネルギー:CA 17eV; FAおよびIFAは19eVであった;ISは15eVであった。
3.07分の保持時間を有する内部標準として、パクリタキセルを選択した。PCMI−08の保持時間は5.13分であった。PCMI−08のMS検出条件を次のように設定した:957→901m/z;内部標準としてのパクリタキセル。検出条件:876→308m/z。PCMI−08の標準曲線の濃度範囲は、5〜10,000ng/ml(γ>0.99)であり、かつ最小検出限界は5ng/mlであった。
血漿試料の抽出および分析
血漿試料100μLを採取し、これに内部標準(パクリタキセル、500ng/mlのアセトニトリル溶液)100μLを添加し、次いでボルテックスにより十分に均質化下後に酢酸エチル3mlを添加し、5分間振とうした後に4500rpmの回転速度で8分遠心分離した。上清を、ブロー用の窒素を含む清浄なEPチューブに移し、加熱条件下に乾燥させた。移動相(CHCN/HO=7:3)120μlで再構成した後、溶液を12,000rpmで3分間遠心分離し、上清100μlを採取してオートサンプラーバイアルに移した。LC−MS/MS検出後、統計データおよび薬物動態学的パラメータをXcalibur(登録商標)(バージョン1.3)ソフトウェア(Thermo Finnigan)で処理した。
結果
経口投与または静脈内投与による化合物PCMI−08の薬物濃度−時間曲線を図1に示す。PCMI−08の関連薬物動態学的パラメータを以下の表に示す。PCMI−08の半減期は比較的長く、総じて10hであり、従ってその平均滞留時間は相対的に最高で10h以上延長される。絶対経口バイオアベイラビリティ(F%)は最高で65.8%である。報告された6%未満のパクリタキセルの絶対経口バイオアベイラビリティと比較して、動物内でのPCMI−08の経口バイオアベイラビリティは有意なレベルで向上した。
Figure 0006573900
実施例
以下の実施例は本発明を詳説するために提供されるものであり、決して本発明の限定を意図したものではない。
実施例1 PCMI−01の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
Figure 0006573900
a.ベンジルグリコラートの製造
Figure 0006573900
グリコール酸(7.60g、0.10モル)をアセトニトリル10ml中に溶解させ、これに臭化ベンジル(13.60g、0.08モル)を添加し、均一に撹拌した。DBU(12.16g、0.08モル)をゆっくりと0℃でこの反応液に滴加した。その後、この反応液を室温で一晩撹拌した。この反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、得られた有機相を合一したものを1M塩酸水溶液および飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、かつ回転蒸発により濃縮することにより、前記化合物が黄色の油状物として得られた(12.50g、94%)。
b.Boc保護ベンジルグリコラートの製造
Figure 0006573900
ベンジルグリコラート(30g、0.25モル)およびBoc無水物(39.1g、0.19モル)をジクロロメタン30ml中に溶解させた。ジクロロメタン溶液中のDMAP 5ml(4.62g、0.038モル)を得られたこの反応液に80℃で滴加した。その後、この反応液を15℃で0.5時間反応させた。反応完了後、この反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、得られた有機相を合一したものを順に水および飽和食塩水で洗浄した。有機相を濃縮し、10:1の比率での石油エーテル/酢酸エチルで再結晶させることにより、白色の固体(32.5g、66%)を得た。
c.N−t−ブチルスルフィニルベンジレンアンアミンの製造
Figure 0006573900
(S)−t−ブチルスルフィンアミド(5.22g、0.043モル)およびベンズアルデヒド(5.51g、0.052モル)をジクロロメタン20ml中に溶解させ、この溶液に硫酸マグネシウム(25.90g、0.22モル)およびPPTS(0.54g、2.20ミリモル)を添加した。この反応液を室温で24時間撹拌し、濾過し、得られたフィルターケーキをジクロロメタンで3回(20ml×3)すすぎ、濃縮後に粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=15:1)により精製することにより、無色の油状物(7.71g、85.8%)を得た。
d.ベンジル2R−t−ブチルオキシカルボニル−3S−t−ブチルスルフィンアミド−フェニルプロピオナートの製造
Figure 0006573900
Boc保護ベンジルグリコラート(32.5g、0.12モル)をテトラヒドロフラン15ml中に溶解させ、LHMDS(120ml、0.12モル)をゆっくりと−70℃でこの反応液に滴加した。その後、この反応液を0.5時間撹拌し、次いでゆっくりとTHF溶液中のN−t−ブチルスルフィニルベンジレンアミン(5.02g、THF 8ml中の0.024モルの溶液)を滴加し、4時間後に反応を終了させた。この反応液を飽和塩化アンモニウム溶液50ml中に注ぎ、酢酸エチルで3回(30ml×3)抽出した。合一した有機相を、乾燥させ、回転蒸発により濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10:1)により精製することにより、白色の固体(5.25g、46%)を得た。
e.ベンジル2R−ヒドロキシ−3S−アミノフェニルプロピオナートの製造
Figure 0006573900
前のステップで得られた生成物(5.25g、0.011モル)を2NのHCl/EtOAc溶液20ml中に溶解させ、室温で10時間反応させた。反応完了後、この反応液を濃縮し、得られた濃縮物をジクロロメタン/水(50ml/100ml)で抽出した。水相を集め、ジクロロメタンで抽出し、かつそのpH値を28%アンモニア水で9〜10に調整した。最後に、この水相をジクロロメタンで3回(20ml×3)抽出した。合一した有機相を乾燥させ、濾過し、かつ濃縮することにより、白色の固体(2.85g、95.7%)を得た。
f.ベンジル(4S,5R)−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボキシラートの製造
Figure 0006573900
ベンジル2R−ヒドロキシ−3S−アミノ−フェニルプロピオナート(2.66g、9.84ミリモル)および触媒PPTS(0.24g、0.93ミリモル)を、トルエン10ml中に溶解させ、かつ1,1−ジメトキシメチル−4−メトキシベンゼン(2.15g、11.79ミリモル)を100℃でゆっくりとこの反応液に滴加した。その後、反応を90〜100℃の温度で2時間保持し、これを継続するために1−ジメトキシメチル−4−メトキシベンゼン2.4gを補充し、次いで約2時間反応させ、その後反応を終了させた。得られたこの反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10:1)により分離および精製することにより、黄色の油状物(3.52g、92%)を得た。この黄色の油状物は、少量のp−メトキシベンズアルデヒドを含有していた。
g.ベンジル(4S,5R)−3−t−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボキシラートの製造
Figure 0006573900
前のステップで得られた油状物(4.07g、10.47ミリモル)、t−ブチルオキシホルミルクロリド(1.56g、12.57ミリモル)およびトリエチルアミン(2.64g、26.17モル)をジクロロメタン10ml中に溶解させ、室温で一晩撹拌した。この反応液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10:1)により分離および精製することにより、黄色の油状物(4.83g94.4%)を得た。
h.(4S,5R)−3−t−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
Figure 0006573900
前のステップで得られた生成物(4.83g、9.88ミリモル)をメタノール10ml中に溶解させ、これに水酸化パラジウム1.0gを添加した。室温で水素を導入し(20psi)、約1時間反応させ、反応の完了をTLCによってモニターした。この反応液を濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5:1)により分離および精製することにより、最終生成物を白色の固体(2.68g、67.9%)として得た。
2)7,10−ジメトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
Figure 0006573900
10−DAB(1当量)を原料として使用し、溶媒として使用したジクロロメタン中に溶解させ、これに0℃で3当量のピリジンを添加した。次いで、得られたこの反応液に3当量のp−トルエンスルホニルクロリドを滴加して4時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物1を85〜90%の収率で得た。
化合物1(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させて、窒素の保護下に室温で3時間臭化メチルマグネシウム(2.5当量)と反応させた。後処理後、乾燥後に粗化合物2を得た。
化合物2(1当量)をアセトン溶液中に溶解させ、これに10当量の二酸化マンガンを室温で添加して4時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物3を85%の収率で得た。
化合物3(1当量)を無水THF/DMPU(4:1)溶液中に溶解させ、これに1.2当量のカリウムt−ブトキシドを−70℃で添加して20分間反応させた。得られた反応液に2当量のN−(スルホニル)オキサジリジンをゆっくり滴加して2時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物4を75%の収率で得た。
化合物4(1当量)を、無水テトラヒドロフラン中の2当量のN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させることにより、化合物5を95%の収率で得た。
化合物5(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、これに0.2当量の(R)−2−メチルオキサザボロジンを触媒として添加し、次いで5当量のボラン/THF溶液を添加して室温で8時間反応させた。反応完了後、カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物6である7,10−ジメトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIを86%の収率で最終生成物として得た。
Figure 0006573900
3)PCMI−01の製造
7,10−ジメトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIII(1当量)および(4S,5R)−3−t−ブトキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸(4当量)を、溶媒として使用したジクロロメタン中に溶解させ、これに0.5当量のDMAPおよび2.0当量のDCCを順次添加して、室温で一晩反応させた。得られた生成物を2当量の塩化アセチル/メタノール溶液中で反応させることにより、タキサン誘導体PCMI−01を最終生成物として得た。2ステップの全体の収率は71%であり、最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
Figure 0006573900
ステップg以外は実施例1に示したのと実質的に同一の方法で、(4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸を製造した。他のステップは、実施例1の反応において見ることができる。
g)ベンジル(4S,5R)−3−ベンゾイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボキシラートの製造
Figure 0006573900
ベンジル(4S,5R)−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボキシラート(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、これに1.5当量のLHMDSを−40℃で添加した。1時間の反応の後に、この反応液に2当量の塩化ベンゾイルを滴加し、3時間反応させ、かつ反応を終了させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理後、生成物を85%の収率で得た。
ステップ2)における7,10−ジメトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造およびステップ3)におけるPCMI−02の製造は、実施例1のステップ2)およびステップ3)と同一の手順であった。これらの手順は個々に実施例1のステップ2)およびステップ3)において見ることができ、かつ最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例3 PCMI−03の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−ジメチルカルバモイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
Figure 0006573900
ステップg以外は実施例1に示したのと実質的に同一の方法で、(4S,5R)−3−ジメチルカルバモイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸を製造した。他のステップは、実施例1の反応において見ることができる。
g.ベンジル(4S,5R)−3−ジメチルカルバモイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボキシラートの製造
Figure 0006573900
ベンジル(4S,5R)−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボキシラート(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、これに1.5当量のLHMDSを−40℃で添加した。1時間の反応の後、この反応液に2当量の塩化ジメチルカルバモイルを滴加し、3時間反応させ、反応を終了させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理の後に、生成物を80%の収率で得た。
ステップ2)における7,10−ジメトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造およびステップ3)におけるPCMI−03の製造は、実施例1のステップ2)およびステップ3)と同一の手順であった。これらの手順は個々に実施例1のステップ2)およびステップ3)において見ることができ、かつ最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例4 PCMI−04の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−(2−ピリジル)−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
Figure 0006573900
ステップc以外は実施例1に示したのと実質的に同一の方法で、(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−(2−ピリジル)−5−オキサゾリジンカルボン酸を製造した。他のステップは、実施例1の反応において見ることができる。
c.N−t−ブチルスルフィニル−2−ピリジニルカルボキサエナミンの製造
Figure 0006573900
(S)−t−ブチルスルフィンアミド(5.22g、0.043モル)および2−ピリジンカルボキシアルデヒド(4.47g、0.052モル)をジクロロメタン20ml中に溶解させ、これに硫酸マグネシウム(25.90g、0.22モル)およびPPTS(0.54g、2.20ミリモル)を添加した。この反応液を室温で24時間撹拌し、濾過し、フィルターケーキをジクロロメタンで3回(20ml×3)すすぎ、かつ濃縮することにより粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=15:1)により精製することにより、無色の油状物(7.13g、80.2%)を得た。
ステップ2)における7,10−ジメトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造およびステップ3)におけるPCMI−04の製造は、実施例1のステップ2)およびステップ3)と同一の手順であった。これらの手順は個々に実施例1のステップ2)およびステップ3)において見ることができ、かつ最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例5 PCMI−05の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−イソブチル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
Figure 0006573900
ステップc以外は実施例1に示したのと実質的に同一の方法で、(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−イソブチル−5−オキサゾリジンカルボン酸を製造した。他のステップは、実施例1の反応において見ることができる。
c.N−t−ブチルスルフィニルイソブチルカルボキサエナミンの製造
Figure 0006573900
(S)−t−ブチルスルフィンアミド(5.22g、0.043モル)およびイソバレルアルデヒド(5.51g、0.052モル)をジクロロメタン20ml中に溶解させ、これに硫酸マグネシウム(25.90g、0.22モル)およびPPTS(0.54g、2.20ミリモル)を添加した。この反応液を室温で24時間撹拌し、濾過し、フィルターケーキをジクロロメタンで3回(20ml×3)すすぎ、かつ濃縮することにより、粗生成物を得た。この粗生成物をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=15:1)により精製することにより、無色の油状物(7.26g、89.3%)を得た。
ステップ2)における7,10−ジメトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造およびステップ3)におけるPCMI−05の製造は、実施例1のステップ2)およびステップ3)と同一の手順であった。これらの手順は個々に実施例1のステップ2)およびステップ3)において見ることができ、かつ最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例6 PCMI−06の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例1において見られる。
2)10−メトキシル−7−トリエチルシリカン−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
Figure 0006573900
10−DAB(1当量)を原料として使用し、DMF中に溶解させ、かつ順に2.5当量のイミダゾールおよび2.5当量のトリエチルクロロシランを添加した。後処理により、粗化合物7を得た。
化合物7を、溶媒として使用したジクロロメタン中に溶解させ、これに2当量のピリジンを0℃で添加した。続いて、この反応液に2当量のp−トルエンスルホニルクロリドを滴加して4時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物8を85〜90%の収率で得た。
化合物8(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させて、窒素の保護下に臭化メチルマグネシウム(2当量)と室温で3時間反応させた。後処理後、乾燥後に粗化合物9を得た。
化合物9(1当量)をアセトン溶液中に溶解させ、これに10当量の二酸化マンガンを添加して室温で4時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物10を75%の収率で得た。
化合物10(1当量)を無水THF/DMPU(4:1)溶液中に溶解させ、これに1.2当量のカリウムt−ブトキシドを−70℃で添加して20分間反応させた。得られた反応液に2当量のN−(スルホニル)オキサジリジンをゆっくり滴加して2時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物11を75%の収率で得た。
化合物11(1当量)を、無水テトラヒドロフラン中の2当量のN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させることにより、化合物12を95%の収率で得た。
化合物12(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、これに0.2当量の(R)−2−メチルオキサザボロジンを触媒として室温で添加し、次いで5当量のボラン/THF溶液を添加して8時間反応させた。反応完了後、カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物13である10−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIを80%の収率で最終生成物として得た。
Figure 0006573900
3)PCMI−06の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例7 PCMI−07の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例1において見られる。
2)10−メトキシル−7−ジヒドロ−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
Figure 0006573900
10−DAB(1当量)を原料として使用し、DMF中に溶解させ、かつ順に2.5当量のイミダゾールおよび2.5当量のトリエチルクロロシランを添加した。後処理により、粗化合物7を得た。
化合物7を、溶媒として使用したジクロロメタン中に溶解させ、これに2当量のピリジンを0℃で添加した。続いて、この反応液に2当量のp−トルエンスルホニルクロリドを滴加して4時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物8を85〜90%の収率で得た。
化合物8(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させて、窒素の保護下に臭化メチルマグネシウム(2当量)と室温で3時間反応させた。後処理後、乾燥後に粗化合物9を得た。
化合物9(1当量)を無水THF中に溶解させ、これに(THF中の溶液の形態である)1.5当量のフッ化テトラブチルアンモニウムを室温で添加した。1時間の反応後、反応を完了させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物14を92%の収率で得た。
化合物14(1当量)を無水THF中に溶解させ、これに8当量のN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)を室温で添加した。2時間の反応の後に、反応を完了させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物15を78%の収率で得た。
化合物15(1当量)をジオキサン/テトラヒドロフラン(10:1)の溶液中に溶解させた。0.2当量のアゾビスイソブチロニトリルを触媒として100℃で添加して、ラジカル反応を生じさせた。その後、この反応液に4当量のn−ブチルスズヒドリド(BuSnH)を添加して1時間反応させ、室温で一晩冷却させた。カラムクロマトグラフィーによる精製により、化合物16を52%の収率で得た。
化合物16(1当量)をアセトン溶液中に溶解させ、これに室温で10当量の二酸化マンガンを添加して4時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物17を75%の収率で得た。
化合物17(1当量)を無水THF/DMPU(4:1)溶液中に溶解させ、これに1.2当量のカリウムt−ブトキシドを−70℃で添加して20分間反応させた。得られた反応液に2当量のN−(スルホニル)オキサジリジンをゆっくり滴加して2時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物18を75%の収率で得た。
化合物18(1当量)を、無水テトラヒドロフラン中の2当量のN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させることにより、化合物19を95%の収率で得た。
化合物19(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、これに0.2当量の(R)−2−メチルオキサザボロジンを触媒として室温で添加し、次いで5当量のボラン/THF溶液を添加して8時間反応させた。反応完了後、カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物20である10−メトキシル−7−ジヒドロ−1,14−カーボナートバッカチンIIIを80%の収率で最終生成物として得た。
Figure 0006573900
3)PCMI−07の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例8 PCMI−08の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ1)において見られる。
2)10−ジメチルカルバモイル−7−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
Figure 0006573900
10−DAB(1当量)を原料として使用し、DMF中に溶解させ、かつ順に2.5当量のイミダゾールおよび2.5当量のトリエチルクロロシランを添加した。後処理により、粗化合物7を得た。
化合物7(1当量)を、溶媒として使用した無水THF中に溶解させ、これに1.5当量のLHMDSを0℃で添加した。1時間の反応の後に、2当量の塩化ジメチルカルバモイルをゆっくりとこの反応液に滴加し、2時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物21を87%の収率で得た。
化合物21(1当量)をアセトン溶液中に溶解させ、これに10当量の二酸化マンガンを室温で添加して4時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物22を75%の収率で得た。
化合物22(1当量)を無水THF中に溶解させ、これに(THF中の溶液の形態である)1.5当量のフッ化テトラブチルアンモニウムを室温で添加した。1時間の反応の後に、反応を完了させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物23を90%の収率で得た。
化合物23をp−トルエンスルホニルクロリドと反応させることにより、化合物24を得た。
化合物24(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、窒素の保護下で臭化メチルマグネシウム(2当量)と室温で3時間反応させた。後処理後、乾燥後に粗化合物25を得た。
化合物25(1当量)を無水THF/DMPU(4:1)溶液中に溶解させ、これに1.2当量のカリウムt−ブトキシドを−70℃で添加して20分間反応させた。得られた反応液に2当量のN−(スルホニル)オキサジリジンをゆっくり滴加して2時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物26を75%の収率で得た。
化合物26(1当量)を、無水テトラヒドロフラン中の2当量のN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させることにより、化合物27を95%の収率で得た。
化合物27(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、これに0.2当量の(R)−2−メチルオキサザボロジンを触媒として室温で添加し、次いで5当量のボラン/THF溶液を添加して8時間反応させた。反応完了後、カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物28である10−ジメチルカルバモイル−7−メトキシ−1,14−カーボナートバッカチンIIIを80%の収率で最終生成物として得た。
Figure 0006573900
3)PCMI−08の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例9 PCMI−09の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−(2−ピリジル)−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例4のステップ1)において見られる。
2)10−ジメチルカルバモイル−7−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
具体的な方法は、実施例8のステップ2)において見られる。
3)PCMI−09の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例10 PCMI−10の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−イソブチル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例5のステップ1)において見られる。
2)10−ジメチルカルバモイル−7−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
具体的な方法は、実施例8のステップ2)において見られる。
3)PCMI−10の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例11 PCMI−11の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−ジメチルカルバモイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例3のステップ1)において見られる。
2)10−ジメチルカルバモイル−7−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
具体的な方法は、実施例8のステップ2)において見られる。
3)PCMI−11の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例12 PCMI−12の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ1)において見られる。
2)10−メトキシホルミル−7−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
Figure 0006573900
10−DAB(1当量)を原料として使用し、DMF中に溶解させ、かつ順に2.5当量のイミダゾールおよび2.5当量のトリエチルクロロシランを添加した。後処理により、粗化合物7を得た。
化合物7(1当量)を、溶媒として使用した無水THF中に溶解させ、これに1.5当量のLHMDSを0℃で添加した。1時間の反応の後に、2当量の塩化メトキシルホルミルをゆっくりとこの反応液に滴加し、2時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物29を62%の収率で得た。
化合物29(1当量)をアセトン溶液中に溶解させ、これに10当量の二酸化マンガンを室温で添加して4時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物30を75%の収率で得た。
化合物30(1当量)を無水THF中に溶解させ、これに(THF中の溶液の形態である)1.5当量のフッ化テトラブチルアンモニウムを室温で添加した。1時間の反応の後に、反応を完了させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物31を90%の収率で得た。
化合物31をp−トルエンスルホニルクロリドと反応させることにより、化合物32を得た。
化合物32(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、窒素の保護下で臭化メチルマグネシウム(2当量)と室温で3時間反応させた。後処理後、乾燥後に粗化合物33を得た。
化合物33(1当量)を無水THF/DMPU(4:1)溶液中に溶解させ、これに1.2当量のカリウムt−ブトキシドを−70℃で添加して20分間反応させた。得られた反応液に2当量のN−(スルホニル)オキサジリジンをゆっくり滴加して2時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物34を75%の収率で得た。
化合物34(1当量)を、無水テトラヒドロフラン中の2当量のN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させることにより、化合物35を95%の収率で得た。
化合物35(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、これに0.2当量の(R)−2−メチルオキサザボロジンを触媒として室温で添加し、次いで5当量のボラン/THF溶液を添加して8時間反応させた。反応完了後、カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物36である10−メトキシホルミル−7−メトキシ−1,14−カーボナートバッカチンIIIを80%の収率で最終生成物として得た。
Figure 0006573900
3)PCMI−12の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例13 PCMI−13の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ1)において見られる。
2)10−エチルチオホルミル−7−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
Figure 0006573900
10−DAB(1当量)を原料として使用し、DMF中に溶解させ、かつ順に2.5当量のイミダゾールおよび2.5当量のトリエチルクロロシランを添加した。後処理により、粗化合物7を得た。
化合物7(1当量)を、溶媒として使用した無水THF中に溶解させ、これをまず2当量のN,N’−カルボニルジイミダゾールと室温で2時間反応させた。その後、この反応液に2当量のエタンチオールを添加した。4時間の反応の後に、カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物37を72%の収率で得た。
化合物37(1当量)をアセトン溶液中に溶解させ、これに10当量の二酸化マンガンを室温で添加して4時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物38を86%の収率で得た。
化合物38(1当量)を無水THF中に溶解させ、これに(THF中の溶液の形態である)1.5当量のフッ化テトラブチルアンモニウムを室温で添加した。1時間の反応の後に、反応を完了させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物39を90%の収率で得た。
化合物39をp−トルエンスルホニルクロリドと反応させることにより、化合物40を得た。
化合物40(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、窒素の保護下で臭化メチルマグネシウム(2当量)と室温で3時間反応させた。後処理後、乾燥後に粗化合物41を得た。
化合物41(1当量)を無水THF/DMPU(4:1)溶液中に溶解させ、これに1.2当量のカリウムt−ブトキシドを−70℃で添加して20分間反応させた。得られた反応液に2当量のN−(スルホニル)オキサジリジンをゆっくり滴加して2時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物42を75%の収率で得た。
化合物42(1当量)を無水THF中で2当量のN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させることにより、化合物43を95%の収率で得た。
化合物43(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、これに0.2当量の(R)−2−メチルオキサザボロジンを触媒として室温で添加し、次いで5当量のボラン/THF溶液を添加して8時間反応させた。反応完了後、カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物44である10−エチルチオホルミル−7−メトキシ−1,14−カーボナートバッカチンIIIを80%の収率で最終生成物として得た。
Figure 0006573900
3)PCMI−13の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例14 PCMI−14の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ1)において見られる。
2)7−ジメチルカルバモイル−10−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
Figure 0006573900
10−DAB(1当量)を原料として使用し、DMF中に溶解させ、かつ順に2.5当量のイミダゾールおよび2.5当量のトリエチルクロロシランを添加した。後処理により、粗化合物7を得た。
化合物7を、溶媒として使用したジクロロメタン中に溶解させ、これに2当量のピリジンを0℃で添加した。続いて、この反応液に2当量のp−トルエンスルホニルクロリドを滴加した。4時間の反応の後に、カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物8を85〜90%の収率で得た。
化合物8(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させて、窒素の保護下に臭化メチルマグネシウム(2当量)と室温で3時間反応させた。後処理後、乾燥後に粗化合物9を得た。
化合物9(1当量)をアセトン溶液中に溶解させ、これに10当量の二酸化マンガンを室温で添加して4時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物10を75%の収率で得た。
化合物10(1当量)を無水THF中に溶解させ、これに(THF中の溶液の形態である)1.5当量のフッ化テトラブチルアンモニウムを室温で添加した。1時間の反応の後に、反応を完了させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物45を90%の収率で得た。
化合物45(1当量)を、溶媒として使用した無水THF中に溶解させ、これに1.5当量のLHMDSを0℃で添加した。1時間の反応の後に、2当量の塩化ジメチルカルバモイルをゆっくりとこの反応液に滴加し、2時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物46を87%の収率で得た。
化合物46(1当量)を無水THF/DMPU(4:1)溶液中に溶解させ、これに1.2当量のカリウムt−ブトキシドを−70℃で添加して20分間反応させた。得られた反応液に2当量のN−(スルホニル)オキサジリジンをゆっくり滴加して2時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物47を75%の収率で得た。
化合物47(1当量)を、無水テトラヒドロフラン中の2当量のN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させることにより、化合物48を95%の収率で得た。
化合物48(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、これに0.2当量の(R)−2−メチルオキサザボロジンを触媒として室温で添加し、次いで5当量のボラン/THF溶液を添加して8時間反応させた。反応完了後、カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物49である7−ジメチルカルバモイル−10−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIを80%の収率で最終生成物として得た。
Figure 0006573900
3)PCMI−14の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例15 PCMI−15の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−(2−ピリジル)−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例4のステップ1)において見られる。
2)7−ジメチルカルバモイル−10−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
具体的な方法は、実施例14のステップ2)において見られる。
3)PCMI−15の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例16 PCMI−16の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−イソブチル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例5のステップ1)において見られる。
2)7−ジメチルカルバモイル−10−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
具体的な方法は、実施例14のステップ2)において見られる。
3)PCMI−16の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例17 PCMI−17の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ1)において見られる。
2)7−メトキシホルミル−10−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
Figure 0006573900
10−DAB(1当量)を原料として使用し、DMF中に溶解させ、かつ順に2.5当量のイミダゾールおよび2.5当量のトリエチルクロロシランを添加した。後処理により、粗化合物7を得た。
化合物7を、溶媒として使用したジクロロメタン中に溶解させ、これに2当量のピリジンを0℃で添加した。続いて、この反応液に2当量のp−トルエンスルホニルクロリドを滴加した。4時間の反応の後に、カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物8を85〜90%の収率で得た。
化合物8(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させて、窒素の保護下に臭化メチルマグネシウム(2当量)と室温で3時間反応させた。後処理後、乾燥後に粗化合物9を得た。
化合物9(1当量)をアセトン溶液中に溶解させ、これに10当量の二酸化マンガンを室温で添加して4時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物10を75%の収率で得た。
化合物10(1当量)を無水THF中に溶解させ、これに(THF中の溶液の形態である)1.5当量のフッ化テトラブチルアンモニウムを室温で添加した。1時間の反応の後に、反応を完了させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物45を90%の収率で得た。
化合物45(1当量)を、溶媒として使用した無水THF中に溶解させ、これに1.5当量のLHMDSを0℃で添加した。1時間の反応の後に、2当量の塩化メトキシホルミルをゆっくりとこの反応液に滴加し、2時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物50を71%の収率で得た。
化合物50(1当量)を無水THF/DMPU(4:1)中に溶解させ、これに1.2当量のカリウムt−ブトキシドを−70℃で添加して20分間反応させた。得られた反応液に2当量のN−(スルホニル)オキサジリジンをゆっくり滴加して2時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物51を75%の収率で得た。
化合物51(1当量)を、無水テトラヒドロフラン中の2当量のN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させることにより、化合物52を95%の収率で得た。
化合物52(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、これに0.2当量の(R)−2−メチルオキサザボロジンを触媒として室温で添加し、次いで5当量のボラン/THF溶液を添加して8時間反応させた。反応完了後、カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物53である7−メトキシホルミル−10−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIを80%の収率で最終生成物として得た。
Figure 0006573900
3)PCMI−17の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例18 PCMI−18の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−(2−ピリジル)−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例4のステップ1)において見られる。
2)7−メトキシホルミル−10−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
具体的な方法は、実施例17のステップ2)において見られる。
3)PCMI−18の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例19 PCMI−19の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−ジメチルカルバモイル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例3のステップ1)において見られる。
2)7−メトキシホルミル−10−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
具体的な方法は、実施例17のステップ2)において見られる。
3)PCMI−19の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例20 PCMI−20の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−イソブチル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例5のステップ1)において見られる。
2)7−メトキシホルミル−10−メトキシル−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
具体的な方法は、実施例17のステップ2)において見られる。
3)PCMI−20の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900
実施例21 PCMI−21の製造
Figure 0006573900
1)(4S,5R)−3−t−ブチルオキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニル)−4−フェニル−5−オキサゾリジンカルボン酸の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ1)において見られる。
2)7−エチルチオホルミル−10−メトキシ−1,14−カーボナートバッカチンIIIの製造
Figure 0006573900
10−DAB(1当量)を原料として使用し、DMF中に溶解させ、かつ順に2.5当量のイミダゾールおよび2.5当量のトリエチルクロロシランを添加した。後処理により、粗化合物7を得た。
化合物7を、溶媒として使用したジクロロメタン中に溶解させ、これに2当量のピリジンを0℃で添加した。続いて、この反応液に2当量のp−トルエンスルホニルクロリドを滴加した。4時間の反応の後に、カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物8を90%の収率で得た。
化合物8(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させて、窒素の保護下に臭化メチルマグネシウム(2当量)と室温で3時間反応させた。後処理後、乾燥後に粗化合物9を得た。
化合物9(1当量)をアセトン溶液中に溶解させ、これに10当量の二酸化マンガンを室温で添加して4時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物10を75%の収率で得た。
化合物10(1当量)を無水THF中に溶解させ、これに(THF中の溶液の形態である)1.5当量のフッ化テトラブチルアンモニウムを室温で添加した。1時間の反応の後に、反応を完了させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物45を90%の収率で得た。
化合物45(1当量)を、溶媒として使用した無水THF中に溶解させ、まず2当量のN,N’−カルボニルジイミダゾールと室温で2時間反応させた。その後、この反応液に2当量のエタンチオールを添加した。4時間の反応の後に、カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物54を78%の収率で得た。
化合物54(1当量)を無水THF/DMPU(4:1)溶液中に溶解させ、これに1.2当量のカリウムt−ブトキシドを−70℃で添加して20分間反応させた。得られた反応液に2当量のN−(スルホニル)オキサジリジンをゆっくり滴加して2時間反応させた。カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物55を75%の収率で得た。
化合物55(1当量)を、無水テトラヒドロフラン中の2当量のN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させることにより、化合物56を95%の収率で得た。
化合物56(1当量)を無水テトラヒドロフラン中に溶解させ、これに0.2当量の(R)−2−メチルオキサザボロジンを触媒として室温で添加し、次いで5当量のボラン/THF溶液を添加して8時間反応させた。反応完了後、カラムクロマトグラフィーによる精製の後処理により、化合物57である7−エチルチオホルミル−10−メトキシ−1,14−カーボナートバッカチンIIIを80%の収率で最終生成物として得た。
Figure 0006573900
3)PCMI−21の製造
具体的な方法は、実施例1のステップ3)において見られる。最終生成物の純度は95%以上であった。
Figure 0006573900

Claims (11)

  1. 次の一般式I:
    Figure 0006573900
    [式中、
    は、ベンゾイル、t−ブチルオキシカルボニルまたはN,N’−ジメチルカルバモイルであり;
    Figure 0006573900
    は、−OMe、−OCOOCH、−OCON(CHまたは−OCOSCであり;
    は、−OMe、−OCOOCH、−OCON(CH、または−OCOSCである]
    で表される構造を有する、タキサン化合物。
  2. 請求項1に記載のタキサン化合物であって、該化合物が、次の構造:
    Figure 0006573900
    Figure 0006573900
    Figure 0006573900
    Figure 0006573900
    Figure 0006573900
    を有する化合物から選択される、前記タキサン化合物。
  3. 請求項1または2に記載のタキサン化合物であって、該タキサン化合物がさらに、該化合物のすべての異性体および該異性体の混合物を含む、前記タキサン化合物。
  4. 請求項1または2に記載のタキサン化合物であって、該タキサン化合物が製薬学的に許容される非毒性塩の形をとっている、前記タキサン化合物。
  5. 請求項1または2に記載のタキサン化合物であって、該タキサン化合物が溶媒和物の形態で存在する、前記タキサン化合物。
  6. 抗腫瘍医薬組成物であって、該組成物が、請求項1から5までのいずれか1項に記載の式Iによるタキサン化合物、その製薬学的に許容される塩または溶媒和物を有効成分として含む、前記組成物。
  7. 請求項6に記載の組成物であって、該医薬組成物が、式Iによるタキサン化合物、その製薬学的に許容される塩または溶媒和物を0.01%〜99.99%の質量比で含み、かつ残分は製薬学的に許容される担体である、前記組成物。
  8. 経口抗腫瘍医薬品の製造における、請求項1から5までのいずれか1項に記載のタキサン化合物、その製薬学的に許容される塩、溶媒和物、および請求項6または請求項7に記載の医薬組成物の使用。
  9. 請求項1または2に記載のタキサン化合物の製造方法であって、該方法が、次のステップ:
    ステップ1 タキサン母核部の合成:原料として10−デアセチルバッカチンIII(10−DAB)を用いて、まず母核部のC位およびC10位のヒドロキシル基を選択的に置換基で保護し、その後C13ヒドロキシ基を酸化してケト−カルボニル基を形成し、次いでN−(スルホニル)オキサジリジンを用いてC14にβ配置を有するヒドロキシル基を高立体選択的に導入することによりCDIの作用下で1,14−カーボナート構造を形成し、最後にC13ケト−カルボニル基をCBS還元法により高立体選択的に還元してα配置を有するヒドロキシル基を形成し、それによってタキサン母核部を形成する;
    ステップ2 5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体の合成:原料として使用するグリコール酸を順にベンジル基およびブチルオキシカルボニル基(Boc基)により保護することにより、Boc保護ベンジルグリコラートを生成し;様々な置換アルデヒドを(S)−t−ブチルスルフィンアミドと縮合させることにより、対応するエナミン化合物を形成し;このBoc保護ベンジルグリコラートとエナミン化合物とをリチウム塩の存在下での付加反応により反応させ、その後、酸加水分解後にキラル中間体が得られ、この得られた中間体を、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)により触媒されるアルドール縮合反応によって1,1’−(ジメトキシメチル)p−メトキシベンゼンと反応させることによって、縮合化合物を取得し;この縮合化合物のアミノ基を様々な置換基で置換し、かつ最後に接触水素化後に5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体を得る;
    ステップ3 タキサン誘導体の合成:5員環オキサゾリジン酸側鎖の前駆体を、エステル化によりタキサン母核部と結合させ、かつ酸加水分解による保護基の除去後に一連のタキサン誘導体を生成する
    を含むことを特徴とする、前記方法。
  10. 請求項9に記載のタキサン化合物の製造方法であって、
    ステップ1において、C−ヒドロキシル基およびC10−ヒドロキシル基を置換基で保護する際に:
    (1)RおよびRが−ORである場合には、反応を次のように行う:まず、ヒドロキシル基を、室温〜0℃で溶媒としてのテトラヒドロフランまたはジクロロメタンおよびアルカリとしてのピリジン(Py)中でp−トルエンスルホニルクロリド(TsCl)と反応させることによりp−トルエンスルホナートを得て、これをさらにグリニャール試薬と反応させることにより、対応するエーテル−ORを得る;
    (2)RおよびRが−OCOORまたは−OCONR7a7bである場合には、反応を次のように行う:アルカリ条件下に、ヒドロキシル基を室温〜−70℃で溶媒としてのテトラヒドロフラン中で対応する酸塩化物と反応させる;
    (3)RおよびRが−OCOSRである場合には、反応を次のように行う:ヒドロキシル基を室温で溶媒としてのテトラヒドロフラン中でN,N’−カルボニルジイミダゾール(CDI)と反応させ、かつ得られた生成物をさらに置換反応によりメルカプタンと反応させる;
    ステップ1において、CBS還元法によるC13ケト−カルボニル基の立体選択的還元には、次の特定のステップが含まれる:C13−オキソを、室温〜−70℃で溶媒としての無水テトラヒドロフラン、無水ジクロロメタンまたはアルコール、触媒としての(R)−2−メチルオキサザボロジンおよび還元剤としてのボランを用いて立体選択的に還元させることにより、C13−α−OHを形成する;
    ステップ2において、前記様々な置換アルデヒドには、C〜Cヒドロカルビルアルデヒド、C〜C置換ヒドロカルビルアルデヒド、芳香族アルデヒド、置換芳香族アルデヒドおよび複素芳香族アルデヒドが含まれ;縮合化合物のアミノ基の置換に関与する反応を、溶媒としてのテトラヒドロフラン、ジクロロメタンまたはジオキサンを用いて行い、それにより、室温〜−70℃でアルカリ条件下に対応する酸塩化物と反応させ;接触水素化反応においては、触媒としてパラジウム炭素または水酸化パラジウムを使用し、水素を標準圧力でかまたは加圧条件で導入し、かつこの反応を溶媒としてのアルコール、テトラヒドロフランまたはジクロロメタン中で行う;
    ここで、Rが、−CH、−C、−C(CHまたはフェニル基;及びR7aとR7bが、−CHである、
    ことを特徴とする、前記方法。
  11. 請求項10に記載のタキサン化合物の製造方法であって、
    ステップ1において、C−ヒドロキシル基およびC10−ヒドロキシル基を置換基で保護する際に:
    (1)RおよびRが−ORである場合には、溶媒としてジクロロメタンを使用し、温度は0℃であり、かつグリニャール試薬にはRMgBrが含まれる;
    (2)RおよびRが−OCOORまたは−OCONR7a7bである場合には、アルカリとしてリチウムヘキサメチルジシラジドを使用し、かつ温度は−40℃であり;酸塩化物にはROCOClおよびR7a7bNCOClが含まれる;
    (3)RおよびRが−OCOSRである場合には、メルカプタンにはRSHが含まれる;
    ステップ1において、CBS還元法によるC13ケト−カルボニル基の立体選択的還元を、溶媒として無水テトラヒドロフランを用いて室温で行い;
    ステップ2において、縮合化合物のアミノ基の置換に関与する反応において、アルカリとしてリチウムヘキサメチルジシラジドを使用し、かつ溶媒としてテトラヒドロフランを使用し;温度は−40℃であり、酸塩化物にはRCOCl、ROCOClおよびR7a7bNCOClが含まれ;接触水素化反応において、触媒として水酸化パラジウムを使用し、水素を20psiで導入し、かつこの反応をアルコール溶液中で行う;
    ここで、Rが、−CH、−C、−C(CHまたはフェニル基;及びR7aとR7bが、−CHである、
    ことを特徴とする、前記方法。
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