JP6573279B2 - 車両用電源装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の電装系に必要な電力を供給するための電源装置に関する。
一般に、車両には、当該車両に実装された各種電気負荷に必要な電力を供給するために、電力源となる発電機と、発電機が発電した電力を蓄える蓄電装置とが搭載される。従来、蓄電装置としては鉛バッテリが用いられている。近時では、鉛バッテリが大電力の充放電に不向きである等の理由から、主蓄電装置である鉛バッテリに加えて、電力の充放電に適した二次電池、例えばニッケル水素バッテリやリチウムイオンバッテリ等、またはキャパシタが、副蓄電装置として用いられることも増えつつある。
主蓄電装置と副蓄電装置とを併用する電源装置では、両蓄電装置を発電機に対して並列に接続し、発電機が何れの蓄電装置も充電できるように、また何れの蓄電装置からでも電気負荷に給電できるように構成する。発電機と副蓄電装置との間には、両者の電気的な接続を断接切換できるよう、電磁リレーに代表されるスイッチを介在させる(例えば、下記特許文献を参照)。副蓄電装置は、特に、車両の回生制動によって生み出される電力を効果的に回収する役割を担っている。
特開2015−144524号公報
車両のNV(Noise and Vibration)性能の向上を図るとともに、スイッチの経年劣化を抑制してその寿命を引き延ばすべく、雑音の発生源となるスイッチのON/OFFの切り換え操作の回数・頻度をできる限り削減することが求められている。そのために、内燃機関及び車両の運転中、極力スイッチをONにしたままの状態に維持したいという要望がある。
他方、主蓄電装置の充電量(または、端子電圧)が低下して主蓄電装置を充電する必要が生じたときに、スイッチがONであると、発電機の発電する電力が主蓄電装置のみならず副蓄電装置にも供給されることになる。副蓄電装置が不必要に充電されて電荷を受け入れ可能な空き容量が減少すると、車両が減速する際に車両の運動エネルギを電気エネルギに変換して副蓄電装置に回収することができなくなり、実燃費の悪化を招く。加えて、副蓄電装置が過充電されて発熱し、性能の低下や損傷を招くおそれも否定できない。
副蓄電装置の空き容量を少しでも多く確保し、また過充電を防止するためには、発電機の出力電圧を予め低く抑えておくことが考えられる。しかし、当然ながら、発電機の出力電圧が低いと、主蓄電装置が満充電されるまでに要する時間が長くなる。主蓄電装置が鉛バッテリである場合、その充電量の回復の遅れが当該鉛バッテリの寿命を縮めてしまう懸念がある。無論、充電時間の延長は、発電機を駆動する内燃機関の燃料消費量を増加させることにもつながり得る。
本発明は、上記の問題に初めて着目してなされたものであり、発電機と副蓄電装置との間を断接切換するスイッチを極力ONにした状態に維持しつつ、主蓄電装置の充電量を回復させるための充電期間の長さをより短縮することを所期の目的としている。
本発明では、車両に搭載された内燃機関の出力軸の回転に連動して回転する発電機と、発電機に接続する主蓄電装置と、発電機との間に断接切換可能なスイッチを介在させた態様で主蓄電装置と並列に発電機に接続する副蓄電装置と、主蓄電装置の充電が必要な場合に発電機が発電する電力を主蓄電装置に供給し、主蓄電装置の現在の充電量がある上限値に到達するまでこれを充電する制御を実施する制御部とを具備し、前記制御部が、主蓄電装置の充電期間中、副蓄電装置の保護を図るべき所定の保護条件が成立していないときの発電機の出力電圧を、同保護条件が成立しているときの発電機の出力電圧よりも高く設定し、なおかつ、同保護条件が成立しているときには、所定量の電荷が発電機から主蓄電装置に供給されまたは主蓄電装置の現在の充電量が前記上限値よりは少ない所定値まで回復したことを条件として発電機による主蓄電装置の充電を打ち切るとともに、その打ち切り後に同保護条件が成立しなくなったときに発電機による主蓄電装置の充電を再開することを特徴とする車両用電源装置車両用電源装置を構成した。
本発明によれば、発電機と副蓄電装置との間を断接切換するスイッチを極力ONにした状態に維持しながら、主蓄電装置の充電量を回復させるための充電期間の長さをより短縮することができる。
本発明の一実施形態における内燃機関及び制御部の概略構成を示す図。 同実施形態における内燃機関と発電機兼電動機との接続の構造を模式的に示す図。 同実施形態の車両用電源装置の電気回路を示す図。 同実施形態の制御部が実行する処理の手順例を示すフロー図。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に示す車両用内燃機関100は、火花点火式の4ストロークエンジンであり、複数の気筒1(図1には、そのうち一つを図示している)を具備している。各気筒1の吸気ポート近傍には、燃料を噴射するインジェクタ11を設けている。また、各気筒1の燃焼室の天井部に、点火プラグ12を取り付けてある。点火プラグ12は、点火コイルにて発生した誘導電圧の印加を受けて、中心電極と接地電極との間で火花放電を惹起するものである。
吸気を供給するための吸気通路3は、外部から空気を取り入れて各気筒1の吸気ポートへと導く。吸気通路3上には、エアクリーナ31、電子スロットルバルブ32、サージタンク33、吸気マニホルド34を、上流からこの順序に配置している。
排気を排出するための排気通路4は、気筒1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気を各気筒1の排気ポートから外部へと導く。この排気通路4上には、排気マニホルド42及び排気浄化用の三元触媒41を配置している。
外部EGR(Exhaust Gas Recirculation)装置2は、いわゆる高圧ループEGRを実現するものである。EGR装置2は、排気通路4における触媒41の上流側と吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流側とを連通する外部EGR通路21と、EGR通路21上に設けたEGRクーラ22と、EGR通路21を開閉し当該EGR通路21を流れるEGRガスの流量を制御するEGRバルブ23とを要素とする。EGR通路21の入口は、排気通路4における排気マニホルド42またはその下流の所定箇所に接続している。EGR通路21の出口は、吸気通路3におけるスロットルバルブ32の下流の所定箇所、具体的にはサージタンク33に接続している。
図2に示すように、本実施形態における内燃機関100には、スタータモータ(セルモータ)140、発電機兼電動機であるISG(Integrated Starter Generator。または、モータジェネレータ)110及びコンプレッサ130その他の補機が付随している。
スタータモータ140は、主として冷間始動時(運転者がイグニッションスイッチまたはイグニッションキーを操作して内燃機関100を始動)に内燃機関100のクランクシャフト10を回転駆動する、クランキング専用の電動機である。スタータモータ140は、その出力軸にピニオンギア141を有し、このピニオンギア141が内燃機関100の出力軸であるクランクシャフト10に固定されたリングギア103に噛合することで、クランクシャフト10に回転駆動力を伝達する。ピニオンギア141は、スタータモータ140による内燃機関100のクランキング中以外は、リングギア103から離脱している。
ISG110は、クランクシャフト10ひいては車両の車軸(そして、駆動輪)を駆動する電動機としての機能と、クランクシャフト10から駆動力の伝達を受けて発電する発電機としての機能とを兼ね備える。ISG110は、巻掛伝動機構112、113、101を介して内燃機関100のクランクシャフト10の一端側と接続している。
ISG110は、例えばインナーロータ方式の交流同期機であり、永久磁石及びロータコイル(励磁(界磁)巻線)116を両備したロータ(回転子)と、ロータの外周面に対向する三相交流のステータコイル(固定子巻線)115を備えたステータ(固定子)とを要素としてなる。ロータは、ロータ軸111の外周に固着している。ロータ軸111及びクランクシャフト10には、それぞれプーリ(または、スプロケット)112、101が固着しており、これらプーリ112、101に巻き掛けたベルト(または、チェーン)113により、クランクシャフト10とロータ軸111との間で相互に(双方向に)回転駆動力を伝達する。
ISG110は、主としてアイドルストップした内燃機関100の再始動時や、車軸に供給する走行駆動力を増強するモータアシスト時に、車載の蓄電装置61から電力の供給を受けてクランクシャフト10を回転駆動する。翻って、クランクシャフト10により回転駆動されて発電する場合には、その発電した電力を同蓄電装置61に充電する。車両が減速する際には、ISG110による回生制動を行い、車両の運動エネルギを電気エネルギとして回収することができる。
蓄電装置61は、バッテリ及び/またはキャパシタを含む。本実施形態では、車両に、主蓄電装置611及び副蓄電装置612を搭載している。主蓄電装置611は、例えば車両用として周知の鉛バッテリ等である。副蓄電装置612は、例えばニッケル水素バッテリ、リチウムイオンバッテリ、キャパシタ等である。この副蓄電装置612は、主蓄電装置611では必ずしも回収できない回生電力を回収して蓄えることができる。主蓄電装置611の定格電圧と、副蓄電装置612の定格電圧とは同等とし、例えば12Vとする。
副蓄電装置612とISG110等とを接続する電気回路上には、断接切換可能なスイッチ613を設けてある。スイッチ613は、例えばリレーや半導体スイッチング素子(パワートランジスタ、パワーMOSFET、IGBTその他のパワーデバイス)である。このスイッチ613は、内燃機関100の冷間始動時及び冷間始動直後の時期には切断(開放)されており、主蓄電装置611が満充電または満充電に近い状態まで充電された後にはじめて接続される。
車両に実装されているエアコンディショナの冷媒圧縮用のコンプレッサ130もまた、ISG110と同様、巻掛伝動機構102、134、133を介して内燃機関100のクランクシャフト10の一端側と接続している。コンプレッサ130の入力軸132及びクランクシャフト10には、それぞれプーリ(または、スプロケット)133、102が固着しており、これらプーリ133、102に巻き掛けたベルト(または、チェーン)134によって、クランクシャフト10から入力軸132に回転駆動力を伝達する。ベルト134は、コンプレッサ130以外の補機である潤滑油ポンプ(図示せず)や冷却水ポンプ(図示せず)等にも駆動力を伝達することがある。なお、コンプレッサ130の本体と入力軸132との間には、断接切換可能なマグネットクラッチ131を設けており、エアコンディショナを稼働しないときには当該クラッチ131を切断する。
内燃機関100と車軸とを繋ぐトランスミッション120は、クランクシャフト10の他端側に設置する。
周知の通り、車両には各種の電気負荷7が実装されている。電気負荷7の具体例としては、エアコンディショナの送風用ブロワ、リアガラスの曇りを取るデフォッガ、オーディオ機器、カーナビゲーションシステム、照明灯(ヘッドランプ、テールランプ、ストップランプ(ブレーキランプ)、フォグランプ、ウィンカ(ターンシグナルランプ)等)、内燃機関の冷却水を空冷するラジエータのファン、電動パワーステアリング装置、等が挙げられる。これら電気負荷7は、発電機として働くISG110及び/または蓄電装置61から、必要な電力の供給を受ける。
図3に、ISG110の等価回路を示す。ISG110を発電機として動作させる場合、三相コイルであるステータコイル115には三相交流の誘起電流が発生する。この誘起電流は、ダイオードを用いた整流器113によって直流電流とした上で蓄電装置61や電気負荷7に供給される。
ISG110に付帯するコントローラ114は、本実施形態の制御部たるECU(Electronic Control Unit)0から発される、ISG110の出力電圧の目標値を指令する制御信号nを受け付ける。そして、その指令された目標電圧に蓄電装置61の端子電圧(換言すれば、電装系に供給する電源電圧)を追従せしめるべく、半導体スイッチング素子119をスイッチ動作させてロータコイル116に印加する励磁電流の大きさを調節するPWM(Pulse Width Modulation)制御を実施する。ISG110の出力電圧即ちステータコイル115に誘起される発電電圧は、ロータコイル116を流れる励磁電流が大きいほど大きくなる。
発電機として作動するISG110は、内燃機関100から見れば機械的な負荷となる。ISG110の出力電圧が蓄電装置61の端子電圧を超越するとき、蓄電装置61が充電され、かつISG110から電気負荷7に電力が供給される。つまり、ISG110がクランクシャフト10の回転のエネルギを費やして電気エネルギを生成する仕事をする。蓄電装置61への充電量及び電気負荷7への給電量は、ISG110の出力電圧と蓄電装置61の端子電圧との電位差に依存する。
逆に、ISG110の出力電圧が蓄電装置61の端子電圧に満たないかこれに近いときには、蓄電装置61が充電されず、またISG110から電気負荷7に電力が供給されない(蓄電装置61から電気負荷7に電力供給されることはある)。つまり、ISG110がクランクシャフト10の回転のエネルギを費やす仕事をしないか、またはその仕事が小さくなる。要するに、ECU0からISG110に高い発電電圧を指令すると、エンジン回転に対するISG110の機械負荷が増し、低い発電電圧を指令すると、エンジン回転に対するISG110の機械負荷が減る。
ISG110は、通常、電装系のシステム電圧を予め定められた目標電圧以上に維持するべく発電を行う。例えば、目標電圧が12.5Vであるとして、蓄電装置61(特に、主蓄電装置611)の端子電圧がこれを上回る12.8Vである状況下では、積極的に発電を行わない。そして、電気負荷7が増大し、蓄電装置61の端子電圧が12.5Vを下回るような状況下において発電を行い、システム電圧を12.5Vに回復させる。詳しくは後述するが、内燃機関100により駆動されたISG110が蓄電装置61を充電するときの発電電圧は、例えば14.5Vまたは13.5Vとする。
因みに、コントローラ114は、電気負荷7の増大等に伴いISG110による発電量を増加させる際、励磁電流をステップ的に急増させるのではなく、励磁電流を徐々に増大させる徐励機能を有する。この徐励機能により、内燃機関100に対する機械的な負荷の一時的な集中を避け、アイドル運転ないし低負荷運転領域におけるエンジン回転の低落を防いでいる。
また、コントローラ114は、ECU0から発される、励磁電流の上限値を指令する制御信号nを受け付けるとともに、ロータコイル116を流れる励磁電流の大きさをセンサ117を介して検出し、励磁電流を指令された上限値以下に規制する。励磁電流に上限を設けるのは、内燃機関100に対する機械的な負荷が過大となってエンジン回転が不安定化することを予防する意図である。故に、例えば、冷媒圧縮用コンプレッサ130の作動時と非作動時とでは、前者の方が励磁電流の上限値が低くなる。
励磁電流の上限値へのクリップは、ISG110の発電電圧の目標電圧値への追従に優先する。つまり、コントローラ114は、蓄電装置61の端子電圧が未だECU0から指令された目標電圧未満であるとしても、ロータコイル116を流れる励磁電流が既にECU0から指令された上限に達している場合には、それ以上励磁電流を増大させない。
他方、ISG110をクランクシャフト10を駆動する電動機として動作させる場合には、ロータコイル116に所要の励磁電流を通電しつつ、ステータコイル115に半導体スイッチング素子を用いたインバータ118を介して三相交流電流を印加して、ロータの周囲に回転磁界を発生させる。インバータ118の各相のハイサイドスイッチ及びローサイドスイッチはそれぞれ、コントローラ114によって点弧/消弧される。このときのコントローラ114は、ECU0から発される、電動機として働くISG110の出力のレベルを指令する制御信号nを受け付ける。そして、その指令された出力レベルにISG110の出力を追従せしめるべく、ロータコイル116に印加する励磁電流の大きさ、及び/または、ステータコイル115に印加する三相電流の大きさを調節するPWM制御を実施する。内燃機関100のクランクシャフト10に回転駆動力を付与するISG110の出力は、ロータコイル116を流れる励磁電流が大きいほど大きくなり、またステータコイル115を流れる三相電流が大きいほど大きくなる。
ECU0は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェース等を有したマイクロコンピュータシステムである。その入力インタフェースには、車両の実車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、クランクシャフト10の回転角度及びエンジン回転数を検出するクランク角センサ(エンジン回転センサ)から出力されるクランク角信号b、アクセルペダルの踏込量またはスロットルバルブ32の開度をアクセル開度(いわば、内燃機関100に対する要求負荷)として検出するセンサから出力されるアクセル開度信号c、吸気通路3(特に、サージタンク33)内の吸気温及び吸気圧を検出するセンサから出力される吸気温・吸気圧信号d、内燃機関の温度を示唆する冷却水温を検出する水温センサから出力される冷却水温信号e、ブレーキペダルが踏まれたことを検出するスイッチまたはブレーキペダルの踏込量を検出するセンサから出力されるブレーキ信号f、主蓄電装置611の端子電圧及び/または端子電流(特に、バッテリ電圧やバッテリ電流)を検出するセンサから出力される電圧/電流信号g、副蓄電装置612の端子電圧及び/または端子電流(特に、バッテリ電圧やバッテリ電流)を検出するセンサから出力される電圧/電流信号h、ISG110のコントローラ114からもたらされるステータス信号s等が入力される。ステータス信号sは、ISG110に関する各種の情報、例えば回転数や温度、ロータコイル116を流れる励磁電流の大きさ、現在の動作モード(即ち、発電しているか、内燃機関100をクランキングしているか、内燃機関100をモータアシストしているか、発電機としても電動機としても働かない無負荷状態か)等の情報を含む。
ECU0の出力インタフェースからは、点火プラグ12のイグナイタに対して点火信号i、インジェクタ11に対して燃料噴射信号j、スロットルバルブ32に対して開度操作信号k、EGRバルブ23に対して開度操作信号l、ISG110のコントローラ114に対してこれを制御するための制御信号n、副蓄電装置612をISG110及び電気負荷7に接続する電気回路上のスイッチ613に対してON/OFF切換信号o、マグネットクラッチ131に通電する電気回路上のスイッチ62に対してクラッチ締結信号p等を出力する。制御信号nは、ISG110の動作モードを指示するとともに、発電機として動作させる場合にISG110から出力させる発電電圧の目標値や、電動機として動作させる場合のISG110の出力レベル等を指令する信号である。また、ON/OFF切換信号oは、スイッチ613のON状態とOFF状態との切り換えを惹起し、以て副蓄電装置612をISG110等に接続した状態と副蓄電装置612をISG110等から切り離した状態との切り換えを行うための制御信号である。具体的には、リレー613を駆動するソレノイドへの通電信号であったり、半導体スイッチング素子613を点弧させるための信号であったりする。
ECU0のプロセッサは、予めメモリに格納されているプログラムを解釈、実行し、運転パラメータを演算して内燃機関100の運転を制御する。ECU0は、内燃機関100の運転制御に必要な各種情報a、b、c、d、e、f、g、h、sを入力インタフェースを介して取得し、要求されるスロットルバルブ32開度、要求される燃料噴射量、燃料噴射タイミング(一度の燃焼に対する燃料噴射の回数を含む)、燃料噴射圧、点火タイミング、要求EGR率、エアコンディショナの冷媒圧縮用コンプレッサ130の稼働の要否、ISG110の発電量または出力等といった各種運転パラメータを決定する。ECU0は、運転パラメータに対応した各種制御信号i、j、k、l、n、o、pを出力インタフェースを介して印加する。
加えて、ECU0は、内燃機関100の始動時、特に冷間始動において、スタータモータ140に制御信号qを入力し、ピニオンギア141をリングギア103に噛合させて内燃機関100のクランキングを行う。
また、ECU0は、アクセル開度が0または0に近い閾値以下となったときに、車両の運動エネルギを発電機であるISG110により電気エネルギに変換して主蓄電装置611及び/または副蓄電装置612に回収する回生制動を実行する。または、蓄電装置61が十分に充電されている場合において、副蓄電装置612に蓄えている電力をISG110に供給し、ISG110を電動機として作動させて車軸に走行駆動力を付与するモータアシスト(コースト走行のアシスト)を実行する。
一方で、アクセル開度が所定以上となったとき、即ち車両の加速要求があったときには、回生制動を実施しないが、副蓄電装置612に蓄えている電力を電気負荷7に供給することはある。
ECU0は、電流センサの出力信号gを参照して知得される、主蓄電装置611に流入する電流量及び同主蓄電装置611から流出する電流量を積算(時間積分)することを通じて、現在の主蓄電装置611の充電量を反復的に推算している。並びに、ECU0は、電流センサの出力信号hを参照して知得される、副蓄電装置612に流入する電流量及び同副蓄電装置612から流出する電流量を積算(時間積分)することを通じて、現在の副蓄電装置612の充電量を反復的に推算している。
既に述べた通り、本実施形態のECU0は、内燃機関及び車両の(気筒1における燃料の燃焼を伴う)運転中、車両の電装系のシステム電圧を目標電圧以上に維持するようにISG110を制御する。図4に示すように、ECU0は、反復的に演算している現在の主蓄電装置611の充電量がある閾値を下回っているか、電圧センサの出力信号gを参照して知得される現在の主蓄電装置611の端子電圧(または、開回路電圧)が目標電圧を下回ったときに(ステップS1)、主蓄電装置611を充電する必要が生じたものとして、ISG110を発電機として動作させるための制御信号nをコントローラ114に入力し、ISG110の出力電圧を目標電圧よりも高く引き上げる(ステップS2、S3、S6)。そして、原則として、現在の主蓄電装置611の充電量が回復しある上限値(この上限値は、上記の閾値よりも大きい)に到達したか、または現在の主蓄電装置611の端子電圧(開回路電圧)が目標電圧以上となったときに(ステップS4、S7)、主蓄電装置611がほぼ満充電されたとして主蓄電装置611の充電を終了する、即ち発電機としてのISG110の動作を停止するための制御信号nをコントローラ114に入力して、ISG110の出力電圧を目標電圧または主蓄電装置611の端子電圧以下に引き下げる(ステップS5)。
ISG110が発電を行い主蓄電装置611を充電する充電期間において、スイッチ613がONになっていると、ISG110の発電する電力が副蓄電装置612にも供給される。これにより、副蓄電装置612が不必要に充電されてしまい、電荷を受け入れ可能な空き容量が減少するきらいがある。さらには、副蓄電装置612が過充電されて発熱し、その性能の低下や損傷を招くおそれも否定できない。
副蓄電装置612の空き容量を少しでも多く確保し、また過充電を防止して副蓄電装置612を保護するためには、ISG110の出力電圧を低く抑える必要がある。だが、ISG110の出力電圧を低下させると、主蓄電装置611が満充電されるまでに要する時間が長くなる。主蓄電装置611が鉛バッテリである場合、その充電量の回復の遅れが当該鉛バッテリの寿命を縮めてしまう懸念がある。無論、充電時間の延長は、ISG110を駆動する内燃機関100における燃料消費量の増加にもつながり得る。
そこで、本実施形態では、主蓄電装置611の充電期間中のISG110の出力電圧を、副蓄電装置612の保護を図るべき所定の保護条件が成立しているか否かに応じて決定する(ステップS2、S3、S6)。保護条件は、以下の(A)ないし(C)を含む。
(A)反復的に演算している現在の副蓄電装置612の充電量がある閾値を上回っているか、電圧センサの出力信号hを参照して知得される現在の副蓄電装置612の端子電圧(または、開回路電圧)が所定電圧よりも高い
(B)副蓄電装置612の温度が所定温度よりも高い
(C)副蓄電装置612の端子電圧(開回路電圧)が異常判定値よりも低い
ECU0は、上掲の(A)ないし(C)のうち何れか少なくとも一つが成立するときに、保護条件が成立しているものと判断する。(A)は、副蓄電装置612が既にある程度以上充電されており、空き容量が多く残っていないことを意味する。(B)は、副蓄電装置612が異常に発熱していることを意味する。並びに、(C)は、副蓄電装置612を構成するバッテリセルに故障が生じている疑いがあることを意味する。
ECU0は、上記の保護条件が成立している場合、ISG110の出力電圧をより低い値、例えば13.5V前後に設定し(ステップS6)、副蓄電装置612の保護を図りながら主蓄電装置611の充電を行う。翻って、上記の保護条件が成立していない場合には、ISG110の出力電圧をより高い値、例えば14.5V前後に設定して(ステップS3)、速やかに主蓄電装置611を充電する。
但し、(A)ないし(C)のうちの何れかが成立していたとしても、スイッチ613をOFFにしている間は、副蓄電装置612がISG110から切り離されておりその保護を図る必要がないため、保護条件が成立していないものとしてISG110の出力電圧を14.5V前後に設定する(ステップS3)。
しかして、主蓄電装置611の充電期間中に保護条件が成立している場合には、主蓄電装置611の充電を開始してから所定量の電荷(アンペア時(Ah)またはアンペア秒(As))がISG110から主蓄電装置611に対して供給されたときに(ステップS8)、たとえ主蓄電装置611の現在の充電量が上限値まで回復していなかったとしても、主蓄電装置611の充電を打ち切る(ステップS9)。即ち、ステップS5と同様、発電機としてのISG110の動作を停止するための制御信号nをコントローラ114に入力して、ISG110の出力電圧を目標電圧または主蓄電装置611の端子電圧以下に引き下げる。主蓄電装置611の充電を中途で打ち切るのは、ISG110が発電を行っている時間を少しでも短くして内燃機関100における燃料の消費量を低減する意図である。なお、充電を打ち切ったとしても、主蓄電装置611の充電量は相当程度回復することから、主蓄電装置611を構成するバッテリセルの早期劣化を引き起こすような悪影響はあるとしてもごく僅かに抑えられる。
さらに、主蓄電装置611の充電を中途で打ち切った暁には、保護条件が成立しなくなった(スイッチ613がONからOFFに切り替わったことを含む)ときに(ステップS10)主蓄電装置611の充電を再開する。
また、同一のトリップ(イグニッションスイッチがONに操作されて内燃機関100を始動してから、イグニッションスイッチがOFFに操作されて内燃機関100を停止するまでの期間をトリップと称する)中に一度も主蓄電装置611の充電量を上限値まで回復させることがなかったならば(ステップS11、12)、イグニッションスイッチがOFFとなり内燃機関100を停止した後、再びイグニッションスイッチがONとなって内燃機関100を冷間始動した直後に、スイッチ613をOFFに維持した状態でISG110を発電機として作動させ、主蓄電装置611のみを強制的に充電する(ステップS13)。
ステップS13による、内燃機関100の再始動直後の主蓄電装置611の初期充電期間の長さは、内燃機関100の始動時の主蓄電装置611の充電状態に応じて設定する。具体的には、イグニッションスイッチがOFFになった(または、内燃機関100の運転を停止する)時点における主蓄電装置611の充電量の多寡、及び、イグニッションスイッチがOFFとなって(または、内燃機関100の運転を停止して)からイグニッションスイッチがONになる(または、内燃機関100を再始動する)までの時間の長さに応じて設定する。ECU0は、イグニッションスイッチがOFFになったときの主蓄電装置611の充電量が少ないほど、初期充電期間を長くする。加えて、イグニッションスイッチがOFFになったときの主蓄電装置611の充電量が同等である条件の下では、イグニッションスイッチがOFFとなってからこれが再びONとなるまでの時間(換言すれば、内燃機関100の停止時間)が長いほど、初期充電期間を長くする。要するに、内燃機関100の始動時の主蓄電装置611の充電量を推測し、その充電量が少ないほど、初期充電期間を長く設定する。なお、内燃機関100の始動後、初期充電期間が経過するまでは、スイッチ613のONへの切り換えを禁ずるとともに、アイドルストップを実施せずに内燃機関100の運転を継続することが好ましい。
本実施形態では、車両に搭載された内燃機関100の出力軸10の回転に連動して回転する発電機110と、発電機110に接続する主蓄電装置611と、発電機110との間に断接切換可能なスイッチ613を介在させた態様で主蓄電装置611と並列に発電機110に接続する副蓄電装置612と、主蓄電装置611の充電が必要な場合に発電機110が発電する電力を主蓄電装置611に供給し、主蓄電装置611の現在の充電量がある上限値に到達するまでこれを充電する制御を実施する制御部0とを具備し、前記制御部0が、主蓄電装置611の充電期間中、副蓄電装置612の保護を図るべき所定の保護条件が成立していないときの発電機110の出力電圧を、同保護条件が成立しているときの発電機110の出力電圧よりも高く設定し、なおかつ、同保護条件が成立しているときには、所定量の電荷が発電機110から主蓄電装置に供給されたことを条件として発電機110による主蓄電装置611の充電を打ち切るとともに、その打ち切り後に同保護条件が成立しなくなったときに発電機110による主蓄電装置611の充電を再開することを特徴とする車両用電源装置を構成した。
本実施形態によれば、発電機110と副蓄電装置612との間を断接切換するスイッチ613を極力ONにした状態に維持しつつ、主蓄電装置611の充電量を回復させるための充電期間の長さをより短縮することが可能となる。主蓄電装置611の充電量を恒常的に十分に高く保つことができるので、主蓄電装置611が鉛バッテリ等である場合に、当該主蓄電装置611の寿命の短命化を抑止することができる。また、充電期間の短縮により、発電機110による発電のために消費される燃料の量を削減することができる。並びに、副蓄電装置612の空き容量を適正に確保できるため、車両の減速時の回生制動を通じて車両の運動エネルギを電力として副蓄電装置612に回収し再利用することが可能となり、車両の燃費性能の向上に寄与し得る。
しかも、スイッチ613のON/OFFの切り換えの回数・頻度が減少することになるので、スイッチ613の動作音の発生機会の減少によるNV性能の向上、及びスイッチ613の寿命の延命につながる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態のステップS8では、充電期間中に所定量の電荷が発電機110から主蓄電装置611に供給されたことを以て発電機110による主蓄電装置611の充電を打ち切ることとしていたが、これに代えて、主蓄電装置611の現在の充電量が上限値よりは少ない所定値まで回復したことを条件として発電機110による主蓄電装置611の充電を打ち切るようにしても構わない。
主蓄電装置611の充電を打ち切った後、副蓄電装置612の保護条件が成立したままであった(そのために、充電を再開する機会が訪れなかった)としても、主蓄電装置611の充電量が閾値を下回り、または主蓄電装置611の端子電圧(開回路電圧)が目標電圧を下回ったときに、主蓄電装置611の再充電を開始するものとしてもよい。
内燃機関100に付随する発電機は、内燃機関100のクランクシャフト10または車軸から回転駆動力の伝達を受けて発電できるものであればよく、電動機としての機能を必ずしも兼ね備えていなくともよい。
その他各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明は、車両に搭載される電源装置に適用できる。
0…制御部(ECU)
10…出力軸(クランクシャフト)
100…内燃機関
110…発電機(ISG)
611…主蓄電装置
612…副蓄電装置
613…スイッチ(リレー)

Claims (1)

  1. 車両に搭載された内燃機関の出力軸の回転に連動して回転する発電機と、
    発電機に接続する主蓄電装置と、
    発電機との間に断接切換可能なスイッチを介在させた態様で主蓄電装置と並列に発電機に接続する副蓄電装置と、
    主蓄電装置の充電が必要な場合に発電機が発電する電力を主蓄電装置に供給し、主蓄電装置の現在の充電量がある上限値に到達するまでこれを充電する制御を実施する制御部と
    を具備し、
    前記制御部が、
    主蓄電装置の充電期間中、副蓄電装置の保護を図るべき所定の保護条件が成立していないときの発電機の出力電圧を、同保護条件が成立しているときの発電機の出力電圧よりも高く設定し、
    なおかつ、同保護条件が成立しているときには、所定量の電荷が発電機から主蓄電装置に供給されまたは主蓄電装置の現在の充電量が前記上限値よりは少ない所定値まで回復したことを条件として発電機による主蓄電装置の充電を打ち切るとともに、その打ち切り後に同保護条件が成立しなくなったときに発電機による主蓄電装置の充電を再開する
    ことを特徴とする車両用電源装置。
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